(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0012】
本発明の一実施形態に係る信号生成装置としての電子楽器10について説明する。まず、電子楽器10の概略を説明する。電子楽器10は、ユーザの演奏操作に応じた楽音を発生する。電子楽器10は、複数の演奏パート(例えば、演奏パートPT
n=1〜演奏パートPT
n=8)の楽音信号を同時に生成可能である。各演奏パートに、音色が割り当てられる。電子楽器10は、ユーザの演奏操作に応じて、複数の演奏パートの楽音信号を同時に生成するレイヤー機能を備える。また、電子楽器10は、操作子に割り当てられた音域に応じた演奏パートの楽音信号を生成するスプリット機能を備える。また、電子楽器10は、複数の演奏パートの演奏を表すシーケンスデータに従って楽音信号を生成する自動演奏機能を備える。ユーザは、自動演奏機能を用いて伴奏(自動演奏パート)を再生させつつ、主旋律(手動演奏パート)を手動演奏することができる。また、電子楽器10は、前記楽音の態様(音色、定位など)を変化させるための操作子(後述するマスターノブKN
M、アサイナブルノブKN
Sなど)を有している。ユーザが前記操作子を操作すると、電子楽器10は、前記操作に応じて、複数の演奏パートの楽音の態様を変化させる。
【0013】
つぎに、電子楽器10の具体的構成について説明する。電子楽器10は、
図1に示すように、入力操作子11、入力操作検出回路12、コンピュータ部13、表示器14、記憶装置15、外部インターフェース回路16、音源回路17及びサウンドシステム18を備えており、これらがバス19を介して接続されている。
【0014】
入力操作子11は、各種パラメータを設定する際、楽曲を演奏する際などに用いられる。
図2に示すように、入力操作子11には、楽音の発生開始及び停止を指示する鍵盤装置KYが含まれる。また、入力操作子11には、楽音の態様を変化させることを指示する、ピッチベンドホイールPW、モジュレーションホイールMW、リボンコントローラRC、回転式のアサイナブルノブKN
S=1〜アサイナブルノブKN
S=8、マスターノブKN
M、スライド式のレバーSL
S=1〜レバーSL
S=8、ダンパーペダルDP、エクスプレッションペダルEPなどのうちの1つ又は複数のハードウェアが含まれる。また、入力操作子11には、各種設定項目を選択するカーソルキーCK及びタッチパネルTP、各種パラメータの値を入力する数字キーNKなどが含まれる。入力操作子11は、オン・オフ操作に対応したスイッチ、回転操作に対応したロータリーポテンショメータ又はロータリーエンコーダ、スライド操作に対応したリニアポテンショメータ又はリニアエンコーダ、各種センサなどから構成される。
【0015】
例えば、アサイナブルノブKN
S及びマスターノブKN
Mは、所定の回転軸回りに回転可能なノブを有するロータリーエンコーダである。つまり、ユーザが各ノブを回すと、位相が90°ずれた2つのパルス列Pa,Pbが各ノブから出力される。ノブの回転方向が時計方向であるとき、パルス列Paの位相はパルス列Pbの位相よりも90°進む。一方、ノブの回転方向が反時計方向であるとき、パルス列Paの位相はパルス列Pbの位相よりも90°遅れる。
【0016】
なお、アサイナブルノブKN
Sの周囲には、複数(例えば16個)の発光ダイオードLKN
Sが配置されている。また、マスターノブKN
Mの周囲には、環状の発光素子LKN
Mが配置されている。発光素子LKN
Mは、環状に配置された複数の発光ダイオードと、前記複数の発光ダイオードを覆うカバーとから構成されている。前記カバーは、前記複数の発光ダイオードから発せられた光を拡散させる。これにより、
図2において斜線を付した部分が均一に発光する。また、発光素子LKN
Mを構成する発光ダイオードは、赤色、緑色及び青色の発光ダイオードから構成されており、それぞれの発光量を制御可能に構成されている。これにより、発光素子LKN
M全体としての発光色を任意に設定可能である。
【0017】
ユーザが入力操作子11を操作すると、入力操作検出回路12によって、入力操作子11が操作されたこと及びその操作内容が検出される。入力操作検出回路12は、入力操作子11が操作されたことを表す割り込み信号を、バス19を介して、後述するコンピュータ部13に供給する。そして、入力操作検出回路12は、コンピュータ部13の要求に応じて、操作内容を表す操作情報をコンピュータ部13に供給する。なお、ハードウェアで構成された操作子の一部又はすべての操作子に代えて、表示器13に前記操作子を模した画像を表示し、タッチパネルTPの操作に応じて、前記操作子の操作内容を表す情報がコンピュータ部13に供給されても良い。
【0018】
コンピュータ部13は、バス19にそれぞれ接続されたCPU13a、ROM13b、RAM13c及びタイマー13dを有する。CPU13aは、各種プログラムをROM13bから読み出して、各種処理を実行する。例えば、CPU13aは、後述する音源回路17を制御して、鍵盤装置KYを構成する複数の鍵のうち、押し下げられた鍵に対応する楽音信号を発生させる。また、CPU13aは、複数の演奏パートの演奏を表すシーケンスデータに従って音源回路17を制御して、複数の楽音を順次発生させる(自動演奏機能)。また、CPU13aは、楽音の態様を規定する複数のパラメータの値を音源回路17に供給する。
【0019】
ROM13bには、前記各種プログラムに加えて、各種パラメータの初期値、表示器14に表示される画像を表す表示データを生成するための図形データ、文字データなどが記憶されている。RAM13cには、各種プログラムの実行時に、各種データが一時的に記憶される。タイマー13dは、所定の時間間隔でカウント値をインクリメントするカウンタを備える。
【0020】
表示器14は、液晶ディスプレイ(LCD)などによって構成される。コンピュータ部13は、図形データ、文字データなどを用いて表示内容を表わす表示データを生成して、表示器14に供給する。表示器14は、コンピュータ部13から供給された表示データに基づいて画像を表示する。例えば、現在選択されている楽音の名称、前記楽音の態様を規定する各種パラメータの値などが表示される。上述のように、表示器14がタッチパネルTPを備えていても良い。
【0021】
また、記憶装置15は、HDD、DVDなどの大容量の不揮発性記録媒体と、各記録媒体に対応するドライブユニットから構成されている。また、記憶装置15は、大容量のフラッシュメモリから構成されていても良い。
【0022】
外部インターフェース回路16は、電子楽器10を他の電子楽器、パーソナルコンピュータなどの外部機器に有線接続可能とする接続端子、無線接続可能とする回路などを備えている。電子楽器10は、外部インターフェース回路16を介して、LAN(Local Area Network)、インターネットなどの通信ネットワークにも接続可能である。
【0023】
波形メモリWMには、ピアノ、オルガン、バイオリン、トランペットなどの楽音の音響波形をそれぞれ表す複数の楽音波形データが記憶されている。音源回路17は、CPU13aによって指定された楽音波形データを波形メモリWMから読み出す。そして、前記読み出した楽音波形データを、CPU13aから供給されたパラメータの値に応じて修正してデジタル楽音信号を生成し、サウンドシステム18に供給する。また、音源回路17は、CPU13aから供給されたパラメータの値に応じて、各種楽音にリバーブ、コーラスなどの効果を付与する効果回路、フィルタなどを備えている。音源回路17は、デジタル楽音信号をそれぞれ生成する複数の発音チャンネルを備える。この複数の発音チャンネルnのうちの1つ又は複数の発音チャンネルが、各演奏パートPT
nに割り当てられる。各演奏パートPT
nに割り当てられた発音チャンネルが同時に動作することにより、各演奏パートPT
nのデジタル楽音信号が同時に生成される(
図3参照)。演奏パートPT
nごとに、音の種類(楽器の種類、効果音の種類など)を設定できる。なお、音源回路17の方式として、波形メモリ方式に限られず、FM(周波数変調)方式、物理モデル方式、アナログシミュレーション方式など、種々の方式を採用可能である。また、専用のハードウェアによって構成されたものに限られず、CPU、DSPなどによるソフトウェア処理によりデジタル楽音信号を生成しても良い。また、楽音に限られず、音声、効果音などのデジタル音信号が生成されてもよい。
【0024】
サウンドシステム18は、音源回路17から供給されたデジタル楽音信号をアナログ楽音信号に変換するD/A変換器、前記変換したアナログ楽音信号を出力する出力端子を備えている。
【0025】
つぎに、電子楽器10の動作について説明する。アサイナブルノブKN
S=1〜アサイナブルノブKN
S=8及びマスターノブKN
Mは、各演奏パートPT
nの楽音の態様をリアルタイムに変更する操作子として機能する。すなわち、ユーザは、アサイナブルノブKN
S=1〜アサイナブルノブKN
S=8に、演奏パートPT
n=1〜演奏パートPT
n=8のうちの所望の演奏パートPT
nの楽音の態様を規定する所望のパラメータをそれぞれ割り当て可能である。つまり、アサイナブルノブKN
Sには、任意に選択した演奏パートPT
nを割り当てるとともに、その演奏パートPT
nの楽音の態様を規定するパラメータのうち任意に選択した1つ又は複数のパラメータを割り当てることができる。ユーザがアサイナブルノブKN
Sを手で操作すると、アサイナブルノブKN
Sの指示値に応じて、そのアサイナブルノブKN
Sに割り当てられたパラメータの値が変化する。
【0026】
マスターノブKN
Mには、楽音の態様を規定するパラメータは割り当てられない。以下説明するように、ユーザがマスターノブKN
Mを手で操作すると、マスターノブKN
Mの指示値に基づいて、アサイナブルノブKN
S=1〜アサイナブルノブKN
S=8の指示値に相当する複数の指示値が計算される。そして、その計算された複数の指示値に基づいて、アサイナブルノブKN
S=1〜アサイナブルノブKN
S=8にそれぞれ割り当てられたパラメータの値が決定される。つまり、ユーザがマスターノブKN
Mを手で操作すると、アサイナブルノブKN
S=1〜アサイナブルノブKN
S=8にそれぞれ割り当てられたパラメータの値が同時に変化する。
【0027】
具体的には、ユーザは、まず、各演奏パートPT
nに関する設定データセットDS
n(
図4参照)を設定する。設定データセットDS
nは、RAM12cに記憶される。ユーザは、設定データセットDS
nを任意に編集可能である。その編集結果をROM13b、記憶装置15などにも記憶しておき、電源投入時に前記記憶しておいた設定データセットDS
nを読み出して用いてもよい。
【0028】
設定データセットDS
nは、
図5に示すように、複数(例えば16個)の設定データSD
m=1,2,・・・,16から構成されている。設定データSD
mは、割り当てデータAS
m及び変化カーブデータCD
mからなる。
【0029】
割り当てデータAS
mは、ソースデータSO
m及びデスティネーションデータDN
mからなる。ソースデータSO
mは、パラメータに対応付ける操作子を識別する識別データ(例えば、操作子の名称)である。デスティネーションデータDN
mは、ソースデータSO
mが表す操作子に割り当てるパラメータを識別する識別データ(例えば、パラメータの名称)である。変化カーブデータCD
mは、ソースデータSO
mに対応する操作子の操作位置(指示値)とデスティネーションデータDN
mに対応するパラメータの値との関係を表す変化カーブを識別する識別データ(例えば、変化カーブの名称)である。なお、本実施形態においては、説明を簡単にするために、設定データSD
mが割り当てデータAS
m及び変化カーブデータCD
mから構成されるものとしたが、設定データSD
mがさらに多くのデータから構成されていてもよい。
【0030】
ここで、
図5の割り当てデータAS
mの概念図を
図6に示す。
図5及び
図6に示す例においては、アサイナブルノブKN
S=1が、音源回路16のフィルタのカットオフ周波数に割り当てられ、アサイナブルノブKN
S=2が、音源回路17のパンニングに割り当てられている。また、エクスプレッションペダルEPが、音源回路17のディストーションレベルに割り当てられている。この例のように、1つの演奏パートPT
nに対し、複数の操作子を割り当てることができる。また、1つの操作子に対し、複数のパラメータを割り当てても良い。なお、
図5において、未設定の項目には、「N/A」と記載している。
【0031】
また、CPU13aは、各種プログラムを実行することにより、
図7に示すように、操作子設定部CS、楽音信号発生指示部SG、パラメータ値計算部PSとして機能する。なお、パラメータ値計算部PSが、本発明の信号制御手段に相当する。
【0032】
操作子設定部CSは、ユーザの指示に従って、
図8及び
図9に示すような、マスターノブKN
Mの指示値v
MとアサイナブルノブKN
Sの指示値v
Sに相当する指示値vv
Sとの対応関係を表す操作子設定テーブルTB
KNを予め作成する。具体的には、ユーザは、まず、入力操作子11(例えば、タッチパネルTP)を操作して、マスターノブKN
Mの指示値が「0」であるときの指示値v
S1、及びマスターノブKN
Mの指示値が「127」であるときの指示値v
S2を入力する。ユーザによる入力操作を表す入力操作情報は、入力操作検出回路12を介して操作子設定部CSに供給される。操作子設定部CSは、前記入力された各指示値を操作子設定テーブルTB
KNとしてRAM13cに記憶する。なお、作成した操作子設定テーブルTB
KNをROM13b、記憶装置15などにも記憶しておき、電源投入時に、前記記憶しておいた操作子設定テーブルTB
KNを読み出して、前記読み出した操作子設定テーブルTB
KNを用いても良い。
【0033】
指示値v
S1よりも指示値v
S2が大きい場合には、マスターノブKN
Mの指示値v
Mが増大すると、指示値vv
Sが増大し、マスターノブKN
Mの指示値v
Mが減少すると、指示値vv
Sが減少する。一方、指示値v
S1よりも指示値v
S2が小さい場合には、マスターノブKN
Mの指示値v
Mが増大すると、指示値vv
Sが減少し、マスターノブKN
Mの指示値v
Mが減少すると、指示値vv
Sが増大する。また、指示値v
S1と指示値v
S2とが同じ値である場合には、マスターノブKN
Mの指示値v
Mが増減しても、指示値vv
Sは変化しない。
【0034】
つぎに、楽音信号発生指示部SGについて説明する。説明を簡単にするために、本実施形態においては、鍵を押すと8つの演奏パートの楽音信号が同時に生成されるレイヤー機能を用いて演奏する場合の動作について説明する。鍵盤装置の鍵が押し下げられたとき、又は押し下げられていた鍵が解放されたとき、入力操作検出回路12は、楽音信号発生指示部SGに割り込み信号KIを供給する。このキーオン・キーオフ割り込み信号KIをトリガとして、楽音信号発生指示部SGは、鍵盤装置KYの鍵が押下されたことを表すキーオンデータKON、又は鍵が解放されたことを表すキーオフデータKOFFを鍵盤装置から取得する。キーオンデータKONは、押し下げられた鍵の音高を表すノートナンバーNN、押し下げ強度を表すベロシティVLを含む。また、キーオフデータKOFFは、解放された鍵の音高を表すノートナンバーNNを含む。楽音信号発生指示部SGは、キーオンデータKONを取得したとき、前記キーオンデータKONに含まれるノートナンバーNN及びベロシティVLを音源回路17に供給して、各演奏パートPT
nの楽音信号であって、前記供給したデータに対応する楽音信号を発生させる。また、楽音信号発生指示部SGは、キーオフデータKOFFを取得したとき、前記キーオフデータに含まれるノートナンバーNNを音源回路17に供給して、各演奏パートPT
nの楽音信号であって、前記供給したデータに対応する楽音信号の発生を停止させる。また、楽音信号発生指示部SGには、外部機器から、外部インターフェース回路16を介して、キーオンデータKON及びキーオフデータKOFFが供給される。この場合も、楽音信号発生指示部SGは、鍵盤装置KYからキーオンデータKON及びキーオフデータKOFFが供給されたときの動作と同様に動作する。
【0035】
つぎに、パラメータ値計算部PSについて説明する。パラメータ値計算部PSは、アサイナブルノブKN
S及びマスターノブKN
Mの指示値を計算する。電源投入時において、パラメータ値計算部PSは、アサイナブルノブKN
S及びマスターノブKN
Mの指示値v
S及び指示値v
Mを「0」又は所定の初期値にそれぞれ設定する。
【0036】
アサイナブルノブKN
Sが手動操作されると、入力操作検出回路12は、アサイナブルノブKN
Sが操作されたことを表す割り込み信号SIをパラメータ値計算部PSへ供給する。パラメータ値計算部PSは、割り込み信号SIに応答して、アサイナブルノブKN
Sの指示値v
Sを計算する。具体的には、パラメータ値計算部PSは、アサイナブルノブKN
Sから出力された前記2つのパルス列Pa,Pbを、入力操作検出回路12を介して取得する。そして、パルス列Pa(又はパルス列Pb)を構成するパルスの数、及びパルス列Pa,Pbの位相のずれに基づいて、アサイナブルノブKN
Sの手動操作量Δv
Sを計算する。アサイナブルノブKN
Sの回転方向が時計方向である場合、手動操作量Δv
Sは正値である。一方、アサイナブルノブKN
Sの回転方向が反時計方向である場合、手動操作量Δv
Sは負値である。パラメータ値計算部PSは、前記計算した手動操作量Δv
Sを指示値v
Sに加算する。
【0037】
したがって、ユーザがアサイナブルノブKN
Sを時計方向に回すと、アサイナブルノブKN
Sの指示値v
Sはその回転角度に比例して増大する。一方、アサイナブルノブKN
Sを反時計方向に回すと、アサイナブルノブKN
Sの指示値v
Sはその回転角度に比例して減少する。アサイナブルノブKN
Sの指示値v
Sの最大値は、例えば「127」である。また、アサイナブルノブKN
Sの指示値v
Sの最小値は、例えば「0」である。すなわち、アサイナブルノブKN
Sの指示値v
Sが「127」であるときに、アサイナブルノブKN
Sを時計方向にさらに回しても、アサイナブルノブKN
Sの指示値v
Sは変化しない。また、アサイナブルノブKN
Sの指示値v
Sが「0」であるときに、アサイナブルノブKN
Sを反時計方向にさらに回しても、アサイナブルノブKN
Sの指示値v
Sは変化しない。
【0038】
パラメータ値計算部PSは、前記操作されたアサイナブルノブKN
Sが割り当てられている設定データSD
mを参照し、前記計算した指示値v
S及びカーブデータCD
mに基づいて、パラメータ値を計算する。そして、前記参照した設定データSD
mのデスティネーションデータDN
mと前記計算したパラメータ値とを、一組のデータprとして、音源回路17へ供給する。
【0039】
また、マスターノブKN
Mが手動操作されると、入力操作検出回路12は、マスターノブKN
Mが操作されたことを表す割り込み信号MIをパラメータ値計算部PSへ供給する。パラメータ値計算部PSは、割り込み信号MIに応答して、マスターノブKN
Mの指示値v
Mを計算する。指示値v
Mの計算手順は、指示値v
Sの計算手順と同様である。
【0040】
そして、パラメータ値計算部PSは、前記計算した指示値v
M及び操作子設定テーブルTB
KNに基づいて、アサイナブルノブKN
Sの指示値v
S=1,2,・・・,8に相当する指示値vv
S=1,2,・・・,8をそれぞれ計算する。具体的には、パラメータ値計算部PSは、操作子設定テーブルTB
KNを参照して指示値v
S1,v
S2を取得し、マスターノブKN
Mの現在の指示値v
M、及び前記取得した指示値v
S1,v
S2を下記の数式(1)に適用する。これにより、指示値vv
Sが線形補間演算される。
【数1】
【0041】
パラメータ値計算部PSは、各アサイナブルノブKN
Sが割り当てられている設定データSD
mを参照し、前記計算した指示値vv
S及びカーブデータCD
mに基づいて、パラメータ値を計算する。そして、前記参照した設定データSD
mの割り当てデータAS
mのパラメータの識別情報と前記計算したパラメータ値とを、一組のデータprとして、音源回路17へ供給する。
【0042】
つまり、指示値v
s及び指示値vv
sのうちの最新の指示値に基づいてデータprが生成されて、音源回路17に供給される。言い換えれば、後着の指示値が優先的に用いられる。
【0043】
上記のように構成した電子楽器10においては、ユーザは、1つの操作子(すなわち、マスターノブKN
M)を操作するだけで複数の演奏パートPT
nのパラメータの値を変化させることができる。つまり、ユーザは、簡単な操作をするだけで、複数の演奏パートPT
nの楽音の態様を同時に変化させることができる。
【0044】
さらに、本発明の実施にあたっては、上記実施形態に限定されるものではなく、本発明の目的を逸脱しない限りにおいて種々の変更が可能である。
【0045】
上記実施形態においては、本発明を、演奏操作子を有する電子楽器10に適用した例を説明したが、本発明は、演奏操作子を有していない音源モジュールにも適用可能である。また、本発明は、汎用のパーソナルコンピュータ、タブレット型コンピュータにおいて演奏プログラムを実行することにより実現される電子音響装置にも適用可能である。これらの場合、外部インターフェース回路15を介して外部機器から演奏情報(発音情報)を入力すれば良い。
【0046】
また、上記実施形態においては、本発明を電子楽器(音信号生成装置)に適用した例を説明したが、本発明は、映像(静止画又は動画)を表す信号をそれぞれ生成する複数の信号生成部(映像の一部の領域、又は複数の層から構成された映像の1つの層を生成する部分)を有する映像信号生成装置にも適用可能である。例えば、各アサイナブルノブKN
Sに、各トラックにて生成される映像の態様(コントラスト、明度など)を規定するパラメータを割り当てておき、マスターノブKN
Mを用いて、各トラックの映像の態様を同時に変化させるとよい。なお、マスターノブKN
Mによって、複数の音及び映像の態様が同時に制御されてもよい。また、電子楽器又は映像生成装置が複数のマスターノブKN
Mを備えていても良い。この場合、例えば、複数のトラックをグループ分けし、各グループにマスターノブKN
Mを1つずつ割り当てると良い。
【0047】
また、上記実施形態においては、アサイナブルノブKN
S及びマスターノブKN
Mは、ロータリーエンコーダから構成されている。しかし、アサイナブルノブKN
S及びマスターノブKN
Mが他の装置から構成されていてもよい。例えば、アサイナブルノブKN
S及びマスターノブKN
Mがロータリーポテンショメータ又はリニアポテンショメータから構成されていてもよい。また例えば、アサイナブルノブKN
S及びマスターノブKN
Mのうちのいずれか1つ又は複数のノブに相当する図柄を表示器14に表示し、ユーザがタッチパネルTPにおける前記図柄が表示された部分をタッチ操作することにより、前記ノブが操作されたのと同様に動作するように構成してもよい。
【0048】
また、上記実施形態においては、現在の指示値v
Mに対応する現在の指示値vv
Sを線形補間演算している。しかし、他の演算式を用いてもよい。また、現在の指示値v
Mと現在の指示値vv
Sとの関係を表すテーブルを設けて用いても良い。