特許第6728745号(P6728745)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6728745
(24)【登録日】2020年7月6日
(45)【発行日】2020年7月22日
(54)【発明の名称】サーバおよびシステム
(51)【国際特許分類】
   H04L 12/70 20130101AFI20200713BHJP
   H04M 11/00 20060101ALI20200713BHJP
【FI】
   H04L12/70 A
   H04M11/00 302
【請求項の数】11
【全頁数】13
(21)【出願番号】特願2016-29663(P2016-29663)
(22)【出願日】2016年2月19日
(65)【公開番号】特開2017-147672(P2017-147672A)
(43)【公開日】2017年8月24日
【審査請求日】2018年12月20日
(73)【特許権者】
【識別番号】000004075
【氏名又は名称】ヤマハ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000408
【氏名又は名称】特許業務法人高橋・林アンドパートナーズ
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 智浩
(72)【発明者】
【氏名】岡本 和樹
【審査官】 鈴木 肇
(56)【参考文献】
【文献】 国際公開第2015/162539(WO,A1)
【文献】 国際公開第2010/150734(WO,A1)
【文献】 米国特許出願公開第2015/0257084(US,A1)
【文献】 中国特許出願公開第101771965(CN,A)
【文献】 特開2016−171564(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04L 12/00−12/26
H04L 12/50−12/955
H04M 11/00−11/10
H04W 4/00−99/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
通信装置から第1ネットワークを介して送信された当該通信装置の識別情報を受信し、
前記識別情報と第2ネットワークへ通信装置を接続させるための第1設定情報とを対応付けたデータベースを参照して、前記第1ネットワークを介して受信した前記識別情報に対応する前記第1設定情報を特定し、
特定した前記第1設定情報を前記通信装置に前記第1ネットワークを介して受信させるように、当該第1設定情報を送信することを特徴とするサーバ。
【請求項2】
前記データベースは前記識別情報に対して所定の設定内容を示す第2設定情報を対応付け、
前記通信装置から前記第2ネットワークを介して送信された前記識別情報を受信し、
前記データベースを参照して、前記第2ネットワークを介して受信した前記識別情報に対応する前記第2設定情報を特定し、
特定した前記第2設定情報を前記通信装置に前記第2ネットワークを介して受信させるように、当該第2設定情報を送信する、請求項1に記載のサーバ。
【請求項3】
前記第2設定情報は、前記通信装置の動作を制御するための情報を含む、請求項2に記載のサーバ。
【請求項4】
前記第1ネットワークは電話回線であり、
前記第2ネットワークはIPネットワークであり、
前記識別情報は電話番号を含む、請求項1乃至請求項3のいずれかに記載のサーバ。
【請求項5】
前記第1ネットワークを介して送信された前記識別情報は、前記通信装置からSMSによって送信され、
前記第1設定情報は、前記通信装置においてSMSによって受信される、請求項4に記載のサーバ。
【請求項6】
特定された前記第2設定情報が所定の情報である場合には、前記第2ネットワークではなく前記第1ネットワークを介して当該第2設定情報を送信する、請求項2に記載のサーバ。
【請求項7】
通信装置とサーバとを備え、
前記通信装置が、前記サーバを宛先として第1ネットワークを介して当該通信装置の識別情報を送信し、
前記サーバが、前記通信装置から送信された識別情報を受信し、
前記サーバが、前記識別情報と第2ネットワークへ前記通信装置を接続させるための第1設定情報とを対応付けたデータベースを参照して、受信した前記識別情報に対応する前記第1設定情報を特定し、
前記サーバが、特定した前記第1設定情報を前記通信装置に送信し、
前記通信装置が、前記第1ネットワークを介して前記第1設定情報を受信し、
前記通信装置が、受信した前記第1設定情報を用いて当該通信装置を前記第2ネットワークへ接続可能に設定すること
を特徴とするシステム。
【請求項8】
前記通信装置が、
予め決められたサーバを宛先として前記第2ネットワークを介して前記識別情報を送信し、
前記第2ネットワークを介して送信した前記識別情報の応答として、所定の設定内容を示す第2設定情報を、前記第2ネットワークを介して受信すること、
をさらに含む、請求項7に記載のシステム。
【請求項9】
前記通信装置は、前記第2設定情報に基づいて前記通信装置の動作を制御するための設定を行う、請求項8に記載のシステム。
【請求項10】
前記第1ネットワークは電話回線であり、
前記第2ネットワークはIPネットワークであり、
前記サーバはIPアドレスによって特定され、
前記識別情報は電話番号を含む、請求項7乃至請求項9のいずれかに記載のシステム。
【請求項11】
前記通信装置が前記サーバを宛先として第1ネットワークを介して当該通信装置の識別情報を送信するときには、前記サーバを特定するIPアドレスを前記識別情報に関連付けてSMSによって送信し、
前記通信装置が前記第1ネットワークを介して前記第1設定情報を受信するときには、SMSによって前記第1設定情報を受信する、請求項10に記載のシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、通信装置の設定を行う技術に関する。
【背景技術】
【0002】
ルータなどの通信装置においては、その機能を利用するための設定が必要なものがある。このような設定には、ユーザが容易に行うことができない程度に複雑なものも存在する。このような場合、システムインテグレータ(SIerと略される場合がある)が、通信装置が設置された場所に行き、様々な設定を行わなくてはならない。そこで、システムインテグレータが現地に行かなくても、ネットワークを介して装置に対する設定を行うことが行われている。このような技術は、例えば、特許文献1、2に開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2006−135645号公報
【特許文献2】特開2009−104648号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、携帯電話などの電話通信ネットワークに接続可能な通信装置においては、電話回線を用いた限られた範囲での通信が可能である。一方、インターネットなどのネットワークに接続した通信を実現するときには、APN(Access Point Name)を設定する必要がある。APNは、通信キャリアによって様々なパラメータを取り得る。そのため、ユーザに販売する時点においてAPNを予め設定しておくことができず、特許文献1、2に開示された技術を用いようとしても、前提となる通信を確立することができない。したがって、APNの設定を手動で行う必要があった。
【0005】
本発明の目的の一つは、第1のネットワークに接続可能である一方、第2のネットワークに接続するための設定が必要な通信装置において、その設定を自動的に行うことにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一実施形態によると、予め決められたサーバを宛先として第1ネットワークを介して自装置の識別情報を送信する第1送信部と、前記第1送信部が送信した前記識別情報の応答として、第2ネットワークへ接続するための第1設定情報を、前記第1ネットワークを介して受信する第1受信部と、前記第1設定情報を用いて前記自装置を前記第2ネットワークへ接続可能に設定する第1設定部と、を含む通信装置が提供される。
【0007】
予め決められたサーバを宛先として前記第2ネットワークを介して前記識別情報を送信する第2送信部と、前記第2送信部が送信した前記識別情報の応答として、所定の設定内容を示す第2設定情報を、前記第2ネットワークを介して受信する第2受信部と、をさらに含んでもよい。
【0008】
前記第2設定情報に基づいて前記通信装置の動作を制御するための設定を行う第2設定部をさらに含んでもよい。
【0009】
前記第1ネットワークは電話回線であり、前記第2ネットワークはIPネットワークであり、前記サーバはIPアドレスによって特定され、前記識別番号は電話番号を含んでもよい。
【0010】
前記第1送信部は、前記サーバを特定するIPアドレスを前記識別情報に関連付けてSMSによって送信し、前記第1受信部は、SMSによって前記第1設定情報を受信してもよい。
【0011】
また、本発明の一実施形態によると、コンピュータを上記の通信装置として機能させるためのプログラムが提供される。
【0012】
また、本発明の一実施形態によると、通信装置から第1ネットワークを介して送信された当該通信装置の識別情報を受信し、前記識別情報と第2ネットワークへ通信装置を接続させるための第1設定情報とを対応付けたデータベースを参照して、受信した前記識別情報に対応する前記第1設定情報を特定し、特定した前記第1設定情報を前記通信装置に前記第1ネットワークを介して受信させるように、当該第1設定情報を送信することを特徴とするサーバが提供される。
【0013】
また、本発明の一実施形態によると、通信装置とサーバとを備え、前記通信装置が、前記サーバを宛先として第1ネットワークを介して当該通信装置の識別情報を送信し、前記サーバが、前記通信装置から送信された識別情報を受信し、前記サーバが、前記識別情報と第2ネットワークへ前記通信装置を接続させるための第1設定情報とを対応付けたデータベースを参照して、受信した前記識別情報に対応する前記第1設定情報を特定し、前記サーバが、特定した前記第1設定情報を前記通信装置に送信し、前記通信装置が、前記第1ネットワークを介して前記第1設定情報を受信し、前記通信装置が、受信した前記第1設定情報を用いて当該通信装置を前記第2ネットワークへ接続可能に設定することを特徴とするシステムが提供される。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、第1のネットワークに接続可能である一方、第2のネットワークに接続するための設定が必要な通信装置において、その設定を自動的に行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】本発明の一実施形態における通信システムの構成を示すブロック図である。
図2】本発明の一実施形態における通信装置の構成を示すブロック図である。
図3】本発明の一実施形態における設定テーブルの一例である。
図4】本発明の一実施形態における設定処理を示す通信フローである。
図5】本発明の一実施形態における通信装置の機能構成を示すブロック図である。
図6】本発明の一実施形態におけるサーバの機能構成を示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明の一実施形態における通信システムについて、図面を参照しながら詳細に説明する。以下に示す実施形態は本発明の実施形態の一例であって、本発明はこれらの実施形態に限定して解釈されるものではない。
【0017】
<実施形態>
[通信システムの構成]
図1は、本発明の一実施形態における通信システムの構成を示すブロック図である。一実施形態に係る通信システム1は、ネットワークNW1(第1のネットワーク)に接続可能な通信装置10に対して、ネットワークNW2(第2のネットワーク)に接続するための接続設定を自動的に行うシステムである。ネットワークNW1は、電話回線であり、例えば、携帯電話の通信回線である。電話回線は、比較的、セキュアな通信を実現することができる。ネットワークNW2は、例えば、IPネットワークである。この例では、ネットワークNW2への接続設定は、APNを指定することによって行われる。
【0018】
通信システム1は、通信装置10、SMSゲートウェイ40、アクセスポイント50およびサーバ80を含む。SMSゲートウェイ40およびアクセスポイント50は、ネットワークNW1、NW2に接続し、ネットワーク間の中継を行う。サーバ80は、ネットワークNW2に接続している。通信システム1は、SMSゲートウェイ40およびサーバ80を用いて、通信装置10にAPNの設定をする。この設定によって、通信装置10は、APNによって指定されたアクセスポイント50を介して、ネットワークNW2に接続することができる。通信システム1の各構成については、以下に詳述する。
【0019】
通信装置10は、端末20が接続され、複数の端末20によるLAN(Local Area Network)(第3のネットワーク)を構築するとともに、ネットワークNW1およびアクセスポイント50を介して端末20をネットワークNW2に接続させるためのルータ(中継装置)である。なお、通信装置10は、例えば、スマートフォン、パーソナルコンピュータ等の通信可能な装置であってもよく、プログラムを実行することによって所定の機能を実現することができるコンピュータであれば、ルータでなくてもよい。
【0020】
図2は、本発明の一実施形態における通信装置の構成を示すブロック図である。通信装置10は、制御部11、記憶部12、操作部13、表示部15、接続部17および通信部19を備える。これらの各構成はバスを介して接続されている。
【0021】
制御部11は、CPUなどの演算処理回路を含む。制御部11は、記憶部12に記憶されたプログラムをCPU(コンピュータ)により実行して、後述する設定処理を行うための機能を実現する。ここの機能を実現する構成の一部または全部は、プログラムの実行によってソフトウエアによって実現される場合に限られず、ハードウエアによって実現されてもよい。なお、制御部11によって実現される機能は、設定処理を行う機能(設定機能)以外にも、装置各部を制御する機能を含む。設定機能を実現するための構成については後述する。
【0022】
記憶部12は、不揮発性メモリ、ハードディスク等の記憶装置である。記憶部12は、上述したプログラムなど、様々な機能を実現するためのアプリケーションプログラムを記憶する記憶領域、設定処理などによって設定される設定情報を記憶する記憶領域を含む。プログラムは、コンピュータにより実行可能であればよく、磁気記録媒体、光記録媒体、光磁気記録媒体、半導体メモリなどのコンピュータ読み取り可能な記録媒体に記憶した状態で提供されてもよい。この場合には、通信装置10は、記録媒体を読み取る装置を備えていてもよい。また、プログラムは、ネットワーク経由でダウンロードされてもよい。
【0023】
操作部13は、操作ボタンなどによりユーザが入力した操作に応じた信号を制御部11に出力する。操作ボタンは、例えば、電源スイッチ、カーソルキーなどを含み、ユーザの指示を受け付ける操作子であればよい。表示部15は、液晶ディスプレイ、有機ELディスプレイ等の表示装置であり、制御部11による制御に基づいた画面(設定画面など)を表示する。なお、操作部13および表示部15については、通信装置10が有していなくてもよい。この場合には、通信装置10に接続される外部装置において操作部13および表示部15に相当する機能が代用されてもよい。
【0024】
接続部17は、上述した端末20と接続するためのインターフェイスである。この例では、接続部17と端末20との接続は有線であっても無線であってもよい。この例では、接続部17に接続された端末20によって、LANが構築される。
【0025】
通信部19は、制御部11の制御に基づいてネットワークNW1に接続し、外部の装置と情報の送受信を行う。この例では、制御部11の制御に基づいて、SMSによるメッセージ送信を行うことができる。そのため、通信装置10には、一般的な携帯電話と同様に、通信装置10を識別する情報として電話番号が割り当てられている。電話番号の割り当ては、例えば、SIM(Subscriber Identity Module)カードが接続されることによって行われる。なお、上述したプログラムは、このSIMカードの記憶領域に記憶されていてもよい。
【0026】
また、通信部19は、制御部11によってAPNが設定されると、アクセスポイント50に接続することによって、ネットワークNW2に接続することも可能となる。以上が、通信装置10の説明である。
【0027】
図1に戻って説明を続ける。SMSゲートウェイ40は、Short Message Service(以下、単に「SMS」という)によるテキストベースのメッセージを、ネットワークNW1を介して受信すると、ネットワークNW2を介して、所定の装置に転送する。メッセージが転送される所定の装置は、予め決められた装置であってもよいし、受信したメッセージの内容に応じた装置であってもよい。例えば、受信したメッセージにサーバ80を特定する情報(IPアドレス等)が記述されている場合には、そのメッセージがサーバ80に転送される。すなわち、SMSゲートウェイ40が受信するメッセージには、転送すべき宛先(例えば、サーバ80)を特定する情報が含まれている。一方、SMSゲートウェイ40は、外部装置(この例では、サーバ80)からの要求に応じたメッセージを、要求によって指定された電話番号に対してSMSで送信する。
【0028】
アクセスポイント50は、ネットワークNW1を介して接続される通信装置10をネットワークNW2に接続するためのゲートウェイである。上述したように、通信装置10は、APNによって指定されたアクセスポイント50を介して、ネットワークNW2に接続可能となる。
【0029】
サーバ80は、SMSゲートウェイ40からメッセージが転送されると、第1設定情報を応答する。第1設定情報は、APNを設定するための情報を含む。また、サーバ80は、通信装置10からの要求に応じて第2設定情報を応答する。第2設定情報は、通信装置10における各種設定を行うための情報を含む。各種設定とは、例えば、ルータの設定(ネットワークNW2に接続されたサーバ等の装置と、接続部17(LAN)に接続された端末20との通信を中継するときに用いる設定)またはネットワークNW2を介した通信方法の設定などを含む通信装置10の動作を制御するための設定であってもよい。さらに具体的に述べると、この設定は、VPN(Vertual Private Network)設定、IP電話接続設定、経路情報、ルーティングプロトコル、アドレス変換機能、QoS(Quality of Service)機能、ファイアウォール機能、フィルタ設定などが例示される。サーバ80は、第1設定情報および第2設定情報の内容を、データベースに登録された設定テーブルを参照して決定する。
【0030】
図3は、本発明の一実施形態における設定テーブルの一例である。設定テーブルは、識別情報に対して、第1設定情報および第2設定情報が関連付けられた情報である。識別情報は、この例では、電話番号である。第1設定情報は、APNを設定するための情報(APN_1、APN_2、・・・)、すなわち、アクセスポイント50の接続先を特定する情報を含む。第2設定情報は、通信装置10における各種の設定を行うための情報(CONFIG_1、CONFIG_2、・・・)を含む。この例では、第2設定情報は、第1設定情報よりも情報量が大きい。
【0031】
このような設定テーブルの内容については、サーバ80にアクセス可能な管理者(システムインテグレータ等)によって、変更可能になっている。例えば、管理者は、通信装置10の識別情報(電話番号など)および接続したいアクセスポイント50を特定する情報(携帯電話における通信キャリアなど)を、通信装置10のユーザから取得して登録することによって、予め設定テーブルを変更しておく。管理者でなく、通信装置10のユーザが、通信装置10とは別の端末を用いて、予め設定テーブルを変更してもよい。このとき、サーバ80によって設定のためのWebページが提供されてもよい。なお、設定テーブルは、識別情報に対して第1設定情報が関連付けられた第1設定テーブル、および識別情報に対して第2設定情報が関連付けられた第2設定テーブルに分離していてもよい。この場合、第1設定テーブルと第2設定テーブルとは別々のサーバに記憶されていてもよい。
【0032】
図3に示す設定テーブルの例では、電話番号「070−X456−YYYY」に対して、第1設定情報「APN_2」、第2設定情報「CONFIG_2」が関連付けられている。したがって、サーバ80は、SMSゲートウェイ40から転送されるメッセージにおいて、通信装置10の識別番号として「070−X456−YYYY」が特定されている場合には、「070−X456−YYYY」に対して第1設定情報「APN_2」を記述したメッセージをSMSで送信するように、SMSゲートウェイ40に要求することになる。サーバ80は、通信装置10からネットワークNW2を介して第2設定情報の要求(識別情報を含む)があった場合には、第2設定情報「CONFIG_2」を記述したデータを、ネットワークNW2を介して通信装置10に送信する。
【0033】
[通信システムの動作]
通信装置10において実行される設定処理を含む設定方法について説明する。ここでは、この設定方法を通信システム1全体の動作として説明する。
【0034】
図4は、本発明の一実施形態における設定処理を示す通信フローである。以下に説明する設定処理は、この例では、通信装置10の電源をオンにしたときに、APNの設定が行われていないと制御部11によって判定されたときに開始される。また、所定の操作ボタンを押しながら電源をオンにした場合、電源をオンにした後に所定の操作を行った場合などにおいて、設定処理が開始されてもよい。なお、図4においては、「SMSゲートウェイ40」は、「SMS−GW」として示されている。
【0035】
通信装置10は、APNを設定するための要求(APN設定要求)を行う(ステップS111)。これによって、予め決められた電話番号(この例ではSMSゲートウェイ40)に対して、所定のメッセージがSMSによって送信される(ステップS113)。具体的には、制御部11が、APNの設定要求を示す情報と、サーバ80を特定する情報(例えばIPアドレス)とを含むメッセージを生成し、通信部19が、ネットワークNW1を介して、このメッセージをSMSゲートウェイ40に送信する。メッセージの送信時には、通信装置10の識別情報(この例では通信装置10に割り当てられている電話番号)についても、発信元を示す情報としてSMSゲートウェイ40に通知される。これによって、通信装置10の識別情報とサーバ80を特定する情報とが関連付けられている。なお、この発信元を示す情報はメッセージに含まれていてもよい。また、メッセージに通信装置10の識別情報を記述する場合には、電話番号と併せて、または電話番号に代えて、通信装置10のシリアルナンバなどの固有情報が用いられてもよい。
【0036】
SMSゲートウェイ40は、通信装置10からメッセージを受信すると、メッセージの転送先を解析する(ステップS115)。具体的には、SMSゲートウェイ40は、メッセージに記述されたIPアドレスを抽出し、そのIPアドレスを、メッセージの転送先として特定する。SMSゲートウェイ40は、特定したIPアドレス(この例ではサーバ80)宛に通信装置10の識別情報を含む情報を、ネットワークNW2を介して送信する(ステップS117)。このとき、SMSゲートウェイ40は、メッセージをそのままサーバ80に転送してもよいし、APNの設定要求および通信装置10の識別情報を含む情報に変換して(例えば、メッセージの転送先として記述されたIPアドレスを削除して)、サーバ80に送信してもよい。
【0037】
サーバ80は、APNの設定要求を含むメッセージを受信すると、通信装置10の識別情報を抽出し、設定テーブルを参照して、通信装置10の識別情報に関連付けられた第1設定情報(APN)を特定する(ステップS119)。サーバ80は、例えば、上述した図3に示す設定テーブルの例では、通信装置10の識別番号として「070−X456−YYYY」を抽出した場合には、「070−X456−YYYY」に対して第1設定情報「APN_2」を特定する。
【0038】
サーバ80は、特定した第1設定情報(APN)を含むメッセージを、通信装置10にSMSで送信するようにネットワークNW2を介してSMSゲートウェイ40に通知する(ステップS121)。このとき、SMSゲートウェイ40に通知される情報は、特定された第1設定情報および通信装置10の識別情報を含む。SMSゲートウェイ40は、サーバ80からの通知に基づいて、ネットワークNW1を介して、第1設定情報(APN)を含むメッセージを通信装置10に対してSMSで送信する(ステップS125)。
【0039】
通信装置10において通信部19がSMSゲートウェイ40からメッセージを受信すると、制御部11はメッセージに記述された第1設定情報を参照してAPNを設定する(ステップS127)。この結果、通信部19がネットワークNW2に接続可能となる。このように、通信装置10は、APN設定要求に伴うメッセージをSMSで送信すると、その応答として第1設定情報を受信することができる。
【0040】
APN(第1設定情報)を設定する処理(第1設定処理)が終了することによって、設定処理が終了してもよいが、この例では、さらに通信装置10における各種設定(CONFIG設定)を行うための処理(第2設定処理)が続く。
【0041】
通信装置10における各種設定を行うための要求(CONFIG設定要求)を行う(ステップS151)。これによって、サーバ80に対して、この要求を示す情報がネットワークNW2を介して送信される(ステップS153)。送信される情報には、通信装置10の識別情報も含まれ、さらに通信装置10のIPアドレスも含まれている。なお、上述したように、通信装置10には、APNが設定されている。そのため、通信装置10は、APNによって指定されたアクセスポイント50にネットワークNW1を介して接続し、アクセスポイント50を介してネットワークNW2に接続して、サーバ80と情報の送受信が可能となっている。そのため、通信装置10には、ネットワークNW2において通信装置10を特定するためのIPアドレスも割り当てられることになる。
【0042】
サーバ80は、CONFIG設定要求を受信すると、通信装置10の識別情報を抽出し、設定テーブルを参照して、通信装置10の識別情報に関連付けられた第2設定情報(CONFIG)を特定する(ステップS155)。サーバ80は、例えば、上述した図3に示す設定テーブルの例では、通信装置10の識別番号として「070−X456−YYYY」を抽出した場合には、「070−X456−YYYY」に対して第2設定情報「CONFIG_2」を特定する。
【0043】
サーバ80は、特定した第2設定情報(CONFIG)を、ネットワークNW2を介して通信装置10に送信する(ステップS157)。通信装置10において通信部19が第2設定情報を受信すると、制御部11は第2設定情報の内容を参照して通信装置10の各種設定(CONFIG設定)を行う(ステップS159)。なお、第2設定情報は、第1設定情報に比べて情報量が大きい。そのため、第1設定情報は、SMSでの情報の送信でも十分対応可能な情報量である。一方、第2設定情報は、その情報量を考慮すると、SMSでの情報送信よりもIPネットワークを用いた情報送信の方が、送信の容易性、コスト面において有用である。なお、ネットワークNW1の方が、セキュアな通信を実現することができるため、第2設定情報であっても、秘匿性の高い内容の情報が存在する場合には、SMSゲートウェイ40およびネットワークNW1を利用したSMSでの情報の送受信を用いてもよい。以上が、設定処理についての説明である。
【0044】
このように、通信装置10は、ネットワークNW2に接続するために必要な第1設定情報を、ネットワークNW1を介してSMSなどの電話回線を利用した通信において受信することができる。そして、第1設定情報によりネットワークNW2に接続可能な状態になった後には、通信装置10はネットワークNW2を利用して他の装置と情報の送受信を行えばよい。これにより、通信装置10に接続された端末20は、通信装置10を中継装置(例えば、ルータ)として、ネットワークNW2に接続することができる。なお、APNの設定を変更したい場合には、所定の操作がユーザによって行われることにより、再度、上記の設定処理が実行されればよい。
【0045】
続いて、上記の設定処理を行うために、通信装置10およびサーバ80において実現される機能の構成を説明する。この機能は、通信装置10およびサーバ80が、それぞれCPUによって所定のプログラムを実行することにより実現される。
【0046】
[通信装置の機能構成]
図5は、本発明の一実施形態における通信装置の機能構成を示すブロック図である。通信装置10は、第1送信部101、第1受信部103、第1設定部105、第2送信部111、第2受信部113および第2設定部115の各機能を有する。
【0047】
第1送信部101は、予め決められたサーバ(この例ではサーバ80)を宛先として、ネットワークNW1を介して通信装置10(自装置)の識別情報を送信する。この例では、第1受信部103は、この情報を含むSMSメッセージ(APN設定要求)を、ネットワークNW1を介してSMSゲートウェイ40に送信する。これによって、SMSゲートウェイ40は、宛先として指定されたサーバ80にメッセージを転送する。
【0048】
第1受信部103は、第1送信部101が送信したSMSメッセージの応答として、第1設定情報を含むSMSメッセージを、ネットワークNW1を介してSMSゲートウェイ40から受信する。このSMSメッセージは、サーバ80によって生成される。
【0049】
第1設定部105は、第1受信部103によって受信されたSMSメッセージに含まれる第1設定情報を参照し、この第1設定情報を用いて通信装置10をネットワークNW2に接続可能に設定する。この例では第2送信部111にアクセスポイント50の情報を設定する。
【0050】
第2送信部111は、ネットワークNW2に接続可能になった後に、予め決められたサーバ(この例ではサーバ80)を宛先として、ネットワークNW2を介して通信装置10(自装置)の識別情報を含むメッセージ(CONFIG設定要求)を送信する。このとき、ネットワークNW2へはアクセスポイント50を介して接続する。
【0051】
第2受信部113は、第2送信部111が送信したメッセージの応答として、第2設定情報を含むメッセージを、ネットワークNW2を介して受信する。このメッセージは、サーバ80によって生成されてネットワークNW2に送信され、アクセスポイント50を介して第2受信部113によって受信される。
【0052】
第2設定部115は、第2受信部113によって受信されたメッセージに含まれる第2設定情報を参照し、通信装置10の各種設定(CONFIG設定)を行う。
【0053】
なお、通信装置10は、第1設定情報に基づく設定(この例ではAPN設定)を行うための構成、具体的には、第1送信部101、第1受信部103および第1設定部105の各機能を少なくとも備えていればよい。すなわち、通信装置10は、上述した第2送信部111、第2受信部113および第2設定部115の各機能を有していない構成であってもよい。
【0054】
[サーバの機能構成]
図6は、本発明の一実施形態におけるサーバの機能構成を示すブロック図である。サーバ80は、第3受信部801、第1特定部803、第3送信部805、第4受信部811第2特定部813および第4送信部815の各機能を有する。
【0055】
第3受信部801は、通信装置10からネットワークNW1を介して送信され、SMSゲートウェイ40によって転送されたメッセージ(APN設定要求)を受信する。第1特定部803は、設定テーブルが登録されているデータベース820を参照して、受信したメッセージに含まれる識別情報に関連付けられた第1設定情報を特定する。第3送信部805は、特定された第1設定情報を通信装置10にネットワークNW1を介して受信させるように、SMSゲートウェイ40に対して第1設定情報を送信する。この例では、第3送信部805は、第1設定情報および通信装置10の識別情報を、SMSゲートウェイ40に通知する。これによって、SMSゲートウェイ40は、第1設定情報を含むSMSメッセージを生成して通信装置10に送信する。
【0056】
第4受信部811は、通信装置10からネットワークNW2を介して送信されたメッセージ(CONFIG設定要求)を受信する。第2特定部813は、データベース820を参照して、受信したメッセージに含まれる識別情報に関連付けられた第2設定情報を特定する。第4送信部815は、特定された第2設定情報をネットワークNW2を介して通信装置10に送信する。
【0057】
なお、サーバ80は、第1設定情報に基づく設定(この例ではAPN設定)を通信装置10に実施させるための構成、具体的には、第3受信部801、第1特定部803および第3送信部805の各機能を少なくとも備えていればよい。すなわち、サーバ80は、上述した第4受信部811、第2特定部813および第4送信部815の各機能を有していない構成であってもよい。データベース820は、サーバ80が有していてもよいし、サーバ80がアクセス可能な他の装置が有していてもよい。
【0058】
<変形例>
以上、本発明の一実施形態について説明したが、本発明は以下のように、様々な態様で実施可能である。
【0059】
(1)上述した実施形態では、ネットワークNW1(第1ネットワーク)は、携帯電話の回線であったが、固定電話等で用いられるアナログ回線またはデジタル回線(ISDN:Integrated Service Digital Network)の電話回線であってもよい。この場合、第1設定情報を要求するときのメッセージをSMSではない方法で送受信してもよい。例えば、通信部19は、アナログ回線に接続する場合にはアナログ信号で、デジタル回線に接続する場合にはデジタル信号で、上記メッセージに相当する情報(通信装置10の識別情報、サーバ80のIPアドレス)を送信すればよい。
【0060】
(2)上述した実施形態では、通信装置10は、ルータなどの中継装置であったが、携帯電話であってもよい。例えば、携帯電話にSIMカードを最初に挿入して、アクティベートする場合に、上記のような設定処理が実行されることにより、自動的にAPNの設定などが可能となる。また、第2設定情報により携帯電話の各種設定が可能となるが、例えば、MDM(Mobile Device Management)などの通信装置10の動作を制御または管理する設定(ソフトウエアのインストールによる設定を含む)も可能となる。
【0061】
(3)上述した実施形態では、SMSゲートウェイ40とサーバ80とは、ネットワークNW2を介して接続された別々の装置であったが、一体の装置であってもよい。例えば、SMSゲートウェイの機能を有するサーバが、ネットワークNW1およびネットワークNW2に接続していてもよい。この場合には、サーバは、電話番号およびIPアドレスの双方によって特定することができる。
【符号の説明】
【0062】
1…通信システム、10…通信装置、11…制御部、12…記憶部、13…操作部、15…表示部、17…接続部、19…通信部、20…端末、40…SMSゲートウェイ、50…アクセスポイント、80…サーバ、101…第1送信部、103…第1受信部、105…第1設定部、111…第2送信部、113…第2受信部、115…第2設定部、801…第3受信部、803…第1特定部、805…第送信部、811…第4受信部、813…第2特定部、815…第4送信部、820…データベース
図1
図2
図3
図4
図5
図6