(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6729415
(24)【登録日】2020年7月6日
(45)【発行日】2020年7月22日
(54)【発明の名称】クランクシャフトの軸受支持構造
(51)【国際特許分類】
F16C 9/02 20060101AFI20200713BHJP
F16C 17/02 20060101ALI20200713BHJP
【FI】
F16C9/02
F16C17/02 Z
【請求項の数】4
【全頁数】9
(21)【出願番号】特願2017-7356(P2017-7356)
(22)【出願日】2017年1月19日
(65)【公開番号】特開2018-115717(P2018-115717A)
(43)【公開日】2018年7月26日
【審査請求日】2019年4月8日
(73)【特許権者】
【識別番号】000003218
【氏名又は名称】株式会社豊田自動織機
(74)【代理人】
【識別番号】110001195
【氏名又は名称】特許業務法人深見特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】神谷 佳明
【審査官】
中島 亮
(56)【参考文献】
【文献】
実開昭56−125523(JP,U)
【文献】
特開平08−028544(JP,A)
【文献】
特開平08−061378(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F16C 3/00− 9/06
F16C 17/00−17/26
F16C 33/00−33/28
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
シリンダブロックと、
前記シリンダブロックに保持される第一滑り軸受と、
前記シリンダブロックに締結されるクランクキャップと、
前記クランクキャップに保持される第二滑り軸受と、
前記第一滑り軸受と前記第二滑り軸受とに回転可能に保持され、ピストンからの爆発荷重をコネクティングロッドを経由して受け取るクランクシャフトと、を備え、
前記シリンダブロックは前記第一滑り軸受を保持する第一保持部を有し、
前記クランクキャップは前記第二滑り軸受を保持する第二保持部を有し、
爆発荷重を受けると前記クランクシャフトの回転軸は爆発荷重の方向に沿って撓み、
前記クランクキャップは、爆発荷重を受けた前記クランクシャフトの撓みに前記第二保持部の軸受保持面が追従するように前記第二保持部を変形させる撓み追従機構を有し、
前記クランクキャップは、前記クランクシャフトの軸線方向における前記第二保持部の両側に設けられた一対のボルト締結点を複数有し、前記一対のボルト締結点は前記クランクシャフトの軸線方向からみて前記クランクシャフトの両側に設けられ、
前記一対のボルト締結点は、それぞれ、前記クランクシャフトの軸線方向における前記第二保持部の両側に該第二保持部より突出して一体形成される突出部に設けられている、クランクシャフトの軸受支持構造。
【請求項2】
前記クランクキャップの前記シリンダブロックと対向する面における前記各突出部と前記第二保持部との間には、前記第二保持部の長手方向に沿って延在する溝が設けられている、請求項1に記載のクランクシャフトの軸受支持構造。
【請求項3】
前記第二保持部は、前記第二滑り軸受を保持する円弧面に沿って円弧状に設けられるとともに前記クランクシャフトの軸線方向に深さを有する溝または貫通孔を備える、請求項1または2に記載のクランクシャフトの軸受支持構造。
【請求項4】
前記第二保持部は、前記シリンダブロックと対向する面における縁部に、R面取りもしくはC面取りされた面取り部を備える、請求項1から3のいずれか1項に記載のクランクシャフトの軸受支持構造。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、クランクシャフトの軸受支持構造に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来のクランクシャフトの軸受支持構造は、たとえば、特開2009−222087号公報(特許文献1)、特開2015−132368号公報(特許文献2)、特開2008−89093号公報(特許文献3)に開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2009−222087号公報
【特許文献2】特開2015−132368号公報
【特許文献3】特開2008−89093号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1では、作用する圧力に応じて上下の軸受有効幅を設定し、油膜厚の最適化とフリクション低減を図っている。
【0005】
特許文献2では、軸受に溝を掘ってクランクジャーナルに発生するフリクションの低減効果を均等にしている。
【0006】
特許文献3では、クランクキャップを分割構造にして、クランクキャップとシリンダブロックの合せ面で発生する段差を解消してフリクション低減化をする支持構造が開示されている。
【0007】
従来のクランクシャフトの軸受支持構造では、クランクキャップの滑り軸受に摩耗が生じやすいという問題があった。
【0008】
そこで、この発明は上記の問題点を解決するためになされたものであり、クランクキャップ側の滑り軸受の摩耗を抑制することが可能なクランクシャフトの軸受支持構造を提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明者は、クランクキャップ側の滑り軸受が摩耗する理由について鋭意検討した。クランクシャフトには、ピストンの爆発荷重がコネクティングロッドを通じで伝達される。この際にクランクシャフトには下方向(上死点から下死点に向かう方向)に力が加えられてクランクシャフトが撓む。クランクシャフトの荷重は高剛性のクランクキャップに保持されている滑り軸受に伝達される。撓んだクランクシャフトと、クランクキャップ側の滑り軸受の回転軸方向の端部とで片当たりが発生し、油膜が切れて固体接触となることを見出した。そして、クランクキャップ側の滑り軸受の保持強度を弱くし、クランクシャフトの撓みにクランクキャップおよび滑り軸受を追従させることで、上記の課題を解決できることを本発明者は見出した。
【0010】
上記の知見に基づく、この発明に従ったクランクシャフトの軸受支持構造は、シリンダブロックと、シリンダブロックに保持される第一滑り軸受と、シリンダブロックに締結されるクランクキャップと、クランクキャップに保持される第二滑り軸受と、第一滑り軸受と第二滑り軸受とに回転可能に保持され、ピストンからの爆発荷重をコネクティングロッドを経由して受け取るクランクシャフトと、を備え、シリンダブロックは第一滑り軸受を保持する第一保持部を有し、クランクキャップは第二滑り軸受を保持する第二保持部を有し、爆発荷重を受けるとクランクシャフトの回転軸は爆発荷重の方向に沿って撓み、クランクキャップは、爆発荷重を受けたクランクシャフトの撓みに第二保持部の軸受保持面が追従するように第二保持部を変形させる撓み追従機構を有する。
【0011】
このように構成されたクランクシャフトの軸受支持構造では、クランクキャップは、爆発荷重を受けたクランクシャフトの撓みに第二保持部の軸受保持面が追従するように第二保持部を変形させる撓み追従機構を有するため、第二保持部およびこれに保持される第二滑り軸受が撓み方向へ変形する。その結果、第二滑り軸受の多くの面がクランクシャフトに接触する。そのため、クランクシャフトと第二保持部との片当たりを抑制でき、第二滑り軸受の摩耗を抑制できる。
【0012】
好ましくは、クランクキャップは、クランクシャフトの軸線方向における第二保持部の両側に設けられた一対のボルト締結点を複数有し、一対のボルト締結点はクランクシャフトの軸線方向からみてクランクシャフトの両側に設けられる。この場合、ボルト締結点は第二保持部の両側に設けられるため、第二保持部にボルト締結点が設けられる場合と比較して第二保持部がクランクシャフトの撓みに追従しやすくなる。さらに、一対のボルト締結点はクランクシャフトの両側に設けられるため、クランクシャフトを両側から保持することができる。
【0013】
好ましくは、一対のボルト締結点は、それぞれ、クランクシャフトの軸線方向における第二保持部の両側に該第二保持部より突出して一体形成される突出部に設けられており、クランクキャップのシリンダブロックと対向する面における各突出部と第二保持部との間には、第二保持部の長手方向に沿って延在する溝が設けられている。この場合、ボルト締結点が第二保持部を保持する力が溝付近で弱くなり、第二保持部がクランクシャフトの撓みに追従しやすくなる。
【0014】
好ましくは、第二保持部は、第二滑り軸受を保持する円弧面に沿って円弧状に設けられるとともにクランクシャフトの軸線方向に深さを有する溝または貫通孔を備える。この場合にはクランクシャフトの軸線方向に深さを有する溝または貫通孔が第二保持部の第二滑り軸受を保持する円弧面に沿って円弧状に設けられるため、第二保持部における第二滑り軸受を保持する部分の周辺部の強度が低下する。そのため第二保持部の第二滑り軸受を保持する部分がクランクシャフトの撓みに追従しやすくなる。
【0015】
好ましくは、第二保持部は、シリンダブロックと対向する面における縁部に、R面取りもしくはC面取りされた面取り部を備える。この場合、第一保持部に接触する第二保持部の面の端部にはR面取りもしくはC面取りが設けられているため、第二保持部と第一保持部との接触面積が小さくなり、第二保持部が第一保持部に対して揺動しやすくなる。
【発明の効果】
【0016】
この発明に従えば、クランクキャップ側の滑り軸受の摩耗を抑制することが可能なクランクシャフトの軸受支持構造を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【
図1】実施の形態1に従ったクランクシャフトの軸受支持構造の断面図である。
【
図2】実施の形態1に従ったクランクキャップの斜視図である。
【
図4】シリンダブロックに取り付けられる実施の形態1に従ったクランクキャンプの正面図である。
【
図6】
図4中のVI−VI線に沿った断面図である。
【
図7】比較品のクランクキャップでのクランクシャフトの軸受支持構造を示す模式図である。
【
図8】実施の形態1のクランクキャップでのクランクシャフトの軸受支持構造を示す模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本発明の各実施形態に係るクランクシャフトの軸受支持構造について図を参照して説明する。以下の説明においては、図中の同一または相当部分には同一符号を付して、その説明は繰り返さない。
【0019】
(実施の形態1)
図1は、実施の形態1に従ったクランクシャフトの軸受支持構造の断面図である。
図1で示すように、クランクシャフトの軸受支持構造1は、シリンダブロック10と、シリンダブロック10に保持される第一滑り軸受14と、シリンダブロック10に締結されるクランクキャップ20と、クランクキャップ20に保持される第二滑り軸受24と、第一滑り軸受14と第二滑り軸受24とに回転可能に保持され、ピストンからの爆発荷重をコネクティングロッドを経由して受け取るクランクシャフト11と、を備える。シリンダブロック10は第一滑り軸受14を保持する第一保持部12を有する。クランクキャップ20は第二滑り軸受24を保持する第二保持部29を有する。
【0020】
ボルト41によりクランクキャップ20がシリンダブロック10に締結されている。複数のクランクキャップ20と、シリンダブロック10との間にクランクシャフト11が位置している。クランクシャフト11はクランクジャーナル、コンロッドが取り付けられるクランクピン、およびクランクジャーナルとクランクピンとを接続するクランクアームとを有する。
図1ではクランクジャーナル部を示している。第一滑り軸受14および第二滑り軸受24が保持するのはクランクジャーナルである。
【0021】
第一滑り軸受14および第二滑り軸受24の内周面と、クランクシャフト11との間に潤滑油が存在する。クランクシャフト11は、第一滑り軸受14および第二滑り軸受24との間で滑り運動をするが、これらの間に潤滑油が存在するため滑り摩擦は微小である。この実施の形態では、クランクシャフト11は、車両の前後方向に延びるように配置されている。第一滑り軸受14および第二滑り軸受24は、1つの円筒を分割した半円筒形状である。
【0022】
図2は、実施の形態1に従ったクランクキャップの斜視図である。
図2で示すように、クランクキャップ20は、クランクシャフト11と平行に延びてシリンダブロック10に締結される第一突出部21と、第一突出部21と対向するようにクランクシャフト11と平行に延びてシリンダブロック10に締結される第二突出部22と、第一突出部21および第二突出部22を接続する第二保持部29とを備える。
【0023】
第一突出部21および第二突出部22には、第二保持部29からずれた位置にボルト締結点21a1,21a2,22a1,22a2が設けられる。ボルト締結点21a1,21a2,22a1,22a2はボルトによりシリンダブロック10に締結される。
【0024】
ボルト締結点21a1,21a2とボルト締結点22a1,22a2はクランクシャフトを挟んで互いに対向した位置に設けられる。ボルト締結点21a1,22a1とボルト締結点21a2,22a2は第二保持部29を挟んで互いに対向した位置に設けられる。ボルト締結点21a1,21a2,22a1,22a2は第二保持部29からずれた位置に設けられるため、第二保持部29にボルト締結部が設けられている場合と比較して、第二保持部29がクランクシャフトの撓みに追従して揺動しやすい。クランクキャップ20は、クランクシャフトの軸線方向における第二保持部29の両側に設けられた一対のボルト締結点21a1,21a2,22a1,22a2を複数有し、一対のボルト締結点21a1,21a2,22a1,22a2はクランクシャフトの軸線方向からみてクランクシャフトの両側に設けられる。すなわち、ボルト締結点21a1,21a2はクランクシャフトの軸線方向の一方側、ボルト締結点22a1,22a2はクランクシャフトの軸線方向の他方側に設けられる。
【0025】
ボルト締結点21a1,21a2,22a1,22a2は、それぞれ、クランクシャフトの軸線方向における第二保持部29の両側に該第二保持部29より突出して一体形成される第一突出部21および第二突出部22に設けられている。クランクキャップ20のシリンダブロックと対向する面における第一突出部21および第二突出部22と第二保持部29との間には、第二保持部29の長手方向に沿って延在する溝26,27が設けられている。溝26,27が設けられるため、第一突出部21と第二保持部29との接合面積が小さくなる。その結果、第二保持部29が揺動しやすくなる。溝27が設けられるため、第二突出部22と第二保持部29との接合面積が小さくなる。その結果、第二保持部29が揺動しやすくなる。
【0026】
第二保持部は、シリンダブロックと対向する面における縁部に、R面取りされた面取り部としてのR形状26R,27Rを備える。面取り部は、C面取りであってもよい。溝26,27に沿って、R形状26R,27Rの一部分が設けられている。第二保持部29の両側にR形状26Rが設けられることで、2つのR形状26Rの間の接触面21fの面積が小さくなる。第二保持部29の両側にR形状27Rが設けられることで、2つのR形状27Rの間の接触面22fの面積が小さくなる。その結果、R形状26R,27Rが設けられていない場合と比較して、第二保持部29が接触面21f,22fを中心として矢印2で示す車両の前後方向(クランクシャフト11の延びる方向)に揺動しやすくなる。
【0027】
第二保持部29は第二滑り軸受24を保持している。第二滑り軸受24は、潤滑油を保持しやすい材質、たとえば金属焼結体により構成される。第二保持部29の円弧状の第一凹部23aに第二滑り軸受24が嵌め合わせされている。第一凹部23aと反対側に第二凹部23bが設けられている。反対側に第二凹部23bを設けることで第一凹部23aから第二凹部23bまでの間での第二保持部29の強度を低下させることができる。
【0028】
第二保持部29は、第二滑り軸受を保持する円弧面に沿って円弧状に設けられるとともにクランクシャフトの軸線方向に深さを有する溝25を備える。溝25は、第二保持部29を厚み方向に貫通していてもよく、貫通していなくてもよい。また、この実施の形態では円弧方向に所定の長さを有する溝25を設けているが、溝25の円弧方向の長さが短く貫通孔となっていてもよい。この貫通孔または溝25を複数個設けてもよい。溝25または貫通孔の深さ方向が、クランクシャフトの軸方向である。溝25または貫通孔を設けることで、第二保持部29の強度を低下させることができる。
【0029】
矢印2で示す方向と平行な方向に第一突出部21および第二突出部22が延びる。矢印2で示す方向に直交する方向に第二保持部29は延びる。クランクキャップは、爆発荷重を受けたクランクシャフトの撓みに第二保持部29の軸受保持面が追従するように第二保持部29を変形させる撓み追従機構としての、溝25または貫通孔、溝26,27およびR形状26R,27Rを有する。これらのすべてが設けられている必要はなく、溝25もしくは貫通孔、溝26,27またはR形状26R,27Rの少なくともいずれかが設けられていればよい。
【0030】
図3は、比較品のクランクキャンプの斜視図である。比較品のクランクキャップ20には第二保持部29にボルト締結点21a,22aが設けられている。第二保持部29が第二滑り軸受24を保持している。第二保持部29にボルト締結点21a,22aが設けられているため、第二保持部29がクランクシャフトの撓みに追従して変形することが困難である。
【0031】
図4は、シリンダブロックに取り付けられる実施の形態1に従ったクランクキャンプの正面図である。
図4で示すように、回転体であるクランクシャフト11を、第一滑り軸受14および第二滑り軸受24で挟んで保持している。第一保持部12と接触する第二保持部29の領域には、R形状26R,27Rが設けられている。第二滑り軸受24と距離を隔てて溝25が設けられている。溝25は、第二滑り軸受24に沿うように、かつ、R形状26R,27Rに到達しないように設けられている。第二滑り軸受24の下には、信頼性上必要な肉厚が残っている。第一滑り軸受14を保持する第一保持部12には、溝25などの構造は設けられていない。
【0032】
図5は、
図4中のV−V線に沿った断面図である。
図5で示すように、クランクキャップ20はクランクシャフト11を保持している。クランクシャフト11には矢印20cで示す方向に、ピストンからコンロッドを経由して爆発荷重が加わる。この荷重により、矢印20cに近い側には矢印20bで示す下方向の力が、矢印20cから遠い側には矢印20aで示す上方向の力が、それぞれ加わる。
【0033】
図6は、
図4中のVI−VI線に沿った断面図である。
図6で示すように通常(無負荷時)は二点鎖線で示す位置にクランクシャフト11が存在するが、矢印20cで示す方向に爆発による荷重が加えられると、クランクシャフト11が点線で示すように撓む。この撓みが第二滑り軸受24伝達される。その結果、第二保持部29および第二滑り軸受24には矢印20d,20eで示す方向のねじれの力が加わる。その撓み方向への第二保持部29が追従するように撓み追従機構が設けられているため、第二保持部29およびその上の第二滑り軸受24は、点線で示す位置まで移動する。
【0034】
すなわち、爆発荷重を受けるとクランクシャフト11の回転軸101は爆発荷重の方向に沿って撓む。その撓み方向への第二保持部29の強度は第一保持部12の強度よりも小さい。その結果、第二保持部29は矢印20cで示す方向に変形するため、第二保持部29およびその上の第二滑り軸受24はクランクシャフト11に追従する。これにより、クランクシャフト11と第二滑り軸受24との片当たりを回避できる。
図7および
図8においてより模式的にクランクシャフト11および第二保持部を記載して実施の形態の効果について説明する。
【0035】
図7は、比較品のクランクキャップでのクランクシャフトの軸受支持構造を示す模式図である。
図7で示すように、比較品に従ったクランクシャフトの軸受支持構造では、クランクキャップ側の第二保持部29の剛性が大きい。そのため、ピストンからの爆発荷重がコンロッドを経由してクランクシャフトに伝達されてクランクシャフト11が撓むが第二保持部29が撓みに追随しない。そのため、第二滑り軸受24の角部分24aがクランクシャフト11と固体接触する。
【0036】
図8は、実施の形態1のクランクキャップでのクランクシャフトの軸受支持構造を示す模式図である。
図8で示すように、ピストンからの爆発荷重がコンロッドを経由してクランクシャフトに伝達されてクランクシャフト11が撓む。実施の形態1に従った第二保持部29の強度が低いため、クランクシャフト11が撓むとこの撓みに追従するように第二保持部29が変形する。その結果、第二滑り軸受24とクランクシャフト11に片当たりすることを抑制できる。なお、この実施の形態では、溝25,26,27、R形状26R,27Rを設けたが、必ずしもこれらを設けなくてもよい。これらを設けずに、たとえば第二保持部29のうち、第二滑り軸受24近傍のみを低強度の材料で構成することにより、第二滑り軸受24をクランクシャフト11に追従させることができる。
【0037】
以上、実施の形態について説明したが、上記の開示内容はすべての点で例示であって制限的なものではない。本発明の技術的範囲は特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【産業上の利用可能性】
【0038】
この発明は、クランクシャフトの軸受支持構造の分野において用いることができる。
【符号の説明】
【0039】
1 軸受支持構造、10 シリンダブロック、11 クランクシャフト、12 第一保持部、14 第一滑り軸受、20 クランクキャップ、21 第一突出部、21a1,21a2,22a1,22a2 ボルト締結点、21f,22f 接触面、22 第二突出部、23a 第一凹部、23b 第二凹部、24 第二滑り軸受、24a 角部分、25,26,27 溝、26R,27R R形状、29 第二保持部、41 ボルト、101 回転軸。