特許第6729601号(P6729601)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6729601
(24)【登録日】2020年7月6日
(45)【発行日】2020年7月22日
(54)【発明の名称】集積回路パッケージ用基板
(51)【国際特許分類】
   H05K 1/11 20060101AFI20200713BHJP
   H01L 23/14 20060101ALI20200713BHJP
【FI】
   H05K1/11 H
   H01L23/14 M
【請求項の数】10
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2017-551215(P2017-551215)
(86)(22)【出願日】2016年4月6日
(65)【公表番号】特表2018-512736(P2018-512736A)
(43)【公表日】2018年5月17日
(86)【国際出願番号】KR2016003560
(87)【国際公開番号】WO2016163728
(87)【国際公開日】20161013
【審査請求日】2018年10月9日
(31)【優先権主張番号】10-2015-0048473
(32)【優先日】2015年4月6日
(33)【優先権主張国】KR
(73)【特許権者】
【識別番号】502411241
【氏名又は名称】コーニング精密素材株式会社
【氏名又は名称原語表記】Corning Precision Materials Co., Ltd.
(74)【代理人】
【識別番号】100070024
【弁理士】
【氏名又は名称】松永 宣行
(74)【代理人】
【識別番号】100159042
【弁理士】
【氏名又は名称】辻 徹二
(72)【発明者】
【氏名】パク、 ヒョン ハン
(72)【発明者】
【氏名】キム、 ボ ギョン
(72)【発明者】
【氏名】キム、 ヒョン ビン
(72)【発明者】
【氏名】イ、 ソン フン
【審査官】 ゆずりは 広行
(56)【参考文献】
【文献】 特開2003−218525(JP,A)
【文献】 国際公開第2009/017146(WO,A1)
【文献】 特開2006−024672(JP,A)
【文献】 特開2014−120689(JP,A)
【文献】 特開平08−008498(JP,A)
【文献】 特開平06−053632(JP,A)
【文献】 特開2014−127701(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H05K 1/11
H01L 23/14
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ガラスからなるコア部;
前記コア部の上部に形成されCuからなる第1の金属薄板;
前記コア部の下部に形成されCuからなる第2の金属薄板;
前記第1の金属薄板、前記コア部、及び前記第2の金属薄板を貫通する形態に形成されて、前記第1の金属薄板と前記第2の金属薄板とを電気的に接続させる、Cuからなる金属ライン;及び
前記金属ラインの外周面に形成される中間層;
を含み、
前記中間層は、
CuO、遷移金属がドープされたCuO、及びCuと遷移金属を含む金属酸化物のいずれか一種からなることを特徴とする、集積回路パッケージ用基板。
【請求項2】
前記遷移金属は、前記CuOにx原子%含まれていることを特徴とする、請求項1に記載の集積回路パッケージ用基板。
ここで、前記xの範囲は5<x<10である。
【請求項3】
前記遷移金属は、Ti、Cr、Hf、Nb、及びTaを含む候補群から選択されたいずれか一種または二種以上であることを特徴とする、請求項1に記載の集積回路パッケージ用基板。
【請求項4】
前記金属酸化物は、三元系金属酸化物または四元系金属酸化物からなるものであることを特徴とする、請求項1に記載の集積回路パッケージ用基板。
【請求項5】
前記金属酸化物はペロブスカイトからなるものであることを特徴とする、請求項4に記載の集積回路パッケージ用基板。
【請求項6】
前記金属酸化物は、デラフォサイトからなるものであることを特徴とする、請求項4に記載の集積回路パッケージ用基板。
【請求項7】
半導体チップと印刷回路基板との間に介在して前記半導体チップと前記印刷回路基板とを電気的に接続させることを特徴とする、請求項1に記載の集積回路パッケージ用基板。
【請求項8】
前記第1の金属薄板は、前記半導体チップに電気的に接続され、前記第2の金属薄板は、前記印刷回路基板に電気的に接続されることを特徴とする、請求項7に記載の集積回路パッケージ用基板。
【請求項9】
前記第1の金属薄板と前記コア部との間及び前記コア部と前記第2の金属薄板との間にそれぞれ形成されるポリマー層を更に含むことを特徴とする、請求項1に記載の集積回路パッケージ用基板。
【請求項10】
前記ポリマー層は、PPG(プリプレグ)からなるものであることを特徴とする、請求項9に記載の集積回路パッケージ用基板。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、集積回路パッケージ用基板に係り、より詳しくは、集積回路パッケージ用基板の上部と下部とを電気的に接続させる金属ラインと、集積回路パッケージ用基板の内部に形成されているガラスとの接合力の向上によって、優れた伝導度及び信頼性を示す集積回路パッケージ用基板に関する。
【背景技術】
【0002】
集積回路パッケージ用基板は、半導体チップを印刷回路基板(PCB)と電気的に接続させる中間基板であって、半導体チップと印刷回路基板との間で電気信号を伝達するインターフェース(interface)である。従来では、このような集積回路パッケージ用基板にCCL(copper clad lamination)が使用されていた。しかし、CCLからなる集積回路パッケージ用基板では、コア部分が例えば、ガラス繊維が含浸されているポリマー複合体であるPPG(プリプレグ)からなり、高温変形及び体積弾性率(bulk modulus)などに関する問題があった。
【0003】
このような問題を解決するために、CCLのコア部分として、既存のPPGに代えてフレキシブルガラス、例えば、コーニング社製のウィロー・ガラス(willow glass)からなるWCCL(willow copper clad lamination)が導入された。
【0004】
一方、集積回路パッケージ用基板の全体に電流が流れるようにするためには、その上部と下部を貫通する孔を開け、この孔の内部をCuで満たす工程が必須となる。しかし、孔の内部を無電解めっき(electroless plating)方式でCu蒸着する際、蒸着されるCuとコア部分に形成されているガラスとの接合力が良くないため、その結果、集積回路パッケージ用基板の伝導性が低下し、短絡などが発生するという問題が生じていた。
【0005】
これを解決するために、Cu蒸着方式の変更が考慮されたが、Cuが蒸着される孔は集積回路パッケージ用基板の上部と下部を貫通する長くて狭い柱形状、すなわち、アスペクト比(aspect ratio)の高い形状であるため、スパッタリング(sputtering)のような物理的蒸着(physical deposition)方式も、そして高熱を加えた場合に集積回路パッケージ用基板が変形する可能性が高いため化学気相蒸着(CVD)方式も、両方とも使用不可能であるという問題があった。
【0006】
したがって、無電解Cuめっきの際にもCuとガラスとの接合力を強化させることができる方法や技術が切実に求められている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】韓国登録特許公報第10−0648968号(2006.11.16)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明は上述したような従来技術の問題点を解決するためになされたものであって、その目的は、集積回路パッケージ用基板の上部と下部とを電気的に接続させる金属ラインと、集積回路パッケージ用基板の内部に形成されているガラスとの接合力の向上によって、優れた伝導度及び信頼性を示す集積回路パッケージ用基板を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
このために、本発明は、ガラスからなるコア部;前記コア部の上部に形成されCuからなる第1の金属薄板;前記コア部の下部に形成されCuからなる第2の金属薄板;前記第1の金属薄板、前記コア部、及び前記第2の金属薄板を貫通する形態に形成されて、前記第1の金属薄板と前記第2の金属薄板とを電気的に接続させる、Cuからなる金属ライン;及び前記金属ラインの外周面に形成される中間層を含み、前記中間層は、CuO、遷移金属がドープされたCuO、及びCuと遷移金属を含む金属酸化物のいずれか一種からなることを特徴とする集積回路パッケージ用基板を提供する。
【0010】
ここで、前記遷移金属は、前記CuOにx原子%含まれていてよく、前記xの範囲は5<x<10である。
【0011】
また、前記遷移金属は、Ti、Cr、Hf、Nb、及びTaを含む候補群から選択されたいずれか一種または二種以上であってよい。
【0012】
そして、前記金属酸化物は、三元系または四元系金属酸化物からなるものであってよい。
【0013】
このとき、前記金属酸化物はペロブスカイトからなるものであってよい。
【0014】
また、前記金属酸化物は、デラフォサイトからなるものであってよい。
【0015】
さらに、前記集積回路パッケージ用基板は、半導体チップと印刷回路基板との間に介在して前記半導体チップと前記印刷回路基板とを電気的に接続させていてよい。
【0016】
このとき、前記第1の金属薄板は、前記半導体チップに電気的に接続され、前記第2の金属薄板は、前記印刷回路基板に電気的に接続されていてよい。
【0017】
また、前記第1の金属薄板と前記コア部との間及び前記コア部と前記第2の金属薄板との間にそれぞれ形成されるポリマー層を更に含んでいてよい。
【0018】
このとき、前記ポリマー層は、PPG(プリプレグ)からなるものであってよい。
【発明の効果】
【0019】
本発明によれば、集積回路パッケージ用基板の上部と下部とを電気的に接続させる金属ラインと、集積回路パッケージ用基板の内部に形成されているガラスとの間にCuO、遷移金属がドープされたCuO、三元系金属酸化物及び四元系金属酸化物のいずれか一種からなる中間層を備えることで、金属ラインとガラスとの接合力を向上させることができ、その結果、優れた伝導度及び信頼性を確保することができる。
【0020】
また、本発明によれば、金属ラインとガラスとの接合力の向上によって、集積回路パッケージ用基板の歩留まりを向上させることができ、その結果、製造コストも削減することができる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
図1図1は、本発明の実施例に係る集積回路パッケージ用基板を概略的に示す断面図である。
図2図2は、本発明の実施例に係る銅金属ラインとCuOからなる中間層とがなす界面の化学結合を示す模型図である。
図3図3は、本発明の実施例に係るCuOからなる中間層とガラスとがなす界面の化学結合を示す模型図である。
図4図4は、Cuとガラスとがなす界面の結合構造(左側)及びCuOとガラスとがなす界面の結合構造(右側)を示す模型図である。
図5図5は、本発明の実施例に係るTaがドープされたCuOからなる中間層とガラスとがなす界面の化学結合を示す模型図である。
図6図6は、ZrがドープされたCuOとガラスとがなす界面の結合構造(左側)、HfがドープされたCuOとガラスとがなす界面の結合構造(中間)、及びTaがドープされたCuOとガラスとがなす界面の結合構造(右側)を示す模型図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、添付の図面を参照して本発明の実施例に係る集積回路パッケージ用基板について詳しく説明する。
【0023】
なお、本発明を説明するにあたって、関連した公知機能あるいは構成についての具体的な説明が本発明の要旨を不必要に曖昧にし得ると判断された場合、その詳細な説明は省略する。
【0024】
図1に示したように、本発明の実施例に係る集積回路パッケージ(integrated circuit package)用基板100は、半導体チップと印刷回路基板(PCB)との間に介在して、これらを電気的に接続させる中間媒介体あるいは中間基板である。このような本発明の実施例に係る集積回路パッケージ用基板100は、コア部110、第1の金属薄板121、第2の金属薄板122、金属ライン130、及び中間層140を含む。
【0025】
コア部110は、集積回路パッケージ用基板100内部の中心領域と定義される。このようなコア部110は、ガラス、より詳しくは、フレキシブルガラスあるいは薄板ガラスからなるものであってよい。例えば、コア部110は、コーニング社製のウィロー・ガラス(willow glass)からなるものであってよい。このように、コア部110がガラスからなると、従来の集積回路パッケージ用基板のコア部分がPPGから形成された場合に生じていた高温変形の問題や体積弾性率を改善することができる。
【0026】
第1の金属薄板121は、Cu薄板であって、コア部110の上部に形成される。また、第2の金属薄板122は、製1の金属薄板121と同様のCu薄板であって、コア部110の下部に形成される。このような第1の金属薄板121は、その上面に配設される半導体チップ(図示せず)に電気的に接続され、第2の金属薄板122は、その下面に配設される印刷回路基板(PCB)(図示せず)に電気的に接続される。
【0027】
このような第1の金属薄板121及び第2の金属薄板122は、無電解銅めっきによってコア部110の上部と下部にそれぞれ形成されていてよい。ここで、図示したように、ガラスはコア部110をなし、その端部にはポリマー層150が形成される。すなわち、第1の金属薄板121とコア部110との間及びコア部110と第2の金属薄板122との間にはそれぞれポリマー層150が形成される。これにより、第1の金属薄板121及び第2の金属薄板122は無電解銅めっきによってポリマー層150の表面にそれぞれ形成される。このようなポリマー層150は、PPG(プリプレグ)からなるものであってよい。従来では、このようなポリマー層150が集積回路パッケージ用基板の内部全体、すなわち、コア部分と端部分の双方に形成されていたのに対し、本発明の実施例に係る集積回路パッケージ用基板100の場合は、コア部分に形成されていたPPGに代えてガラスがその位置を占めており、ガラスからなるコア部110を端部分のポリマー層150が覆う構造をなす。
【0028】
金属ライン130は、集積回路パッケージ用基板100全体に電流が流れるようにするために形成される。すなわち、集積回路パッケージ用基板100の上面をなす第1の金属薄板121と集積回路パッケージ用基板100の下面をなす第2の金属薄板122との間の電気的接続のために、金属ライン130は、図示したように、第1の金属薄板121、コア部110、及び第2の金属薄板122を貫通する形態あるいは垂直方向に挿入された形態で形成される。
【0029】
本発明の実施例に係る金属ライン130はCuからなる。例えば、Cuからなる金属ライン130は、集積回路パッケージ用基板100に対する孔あけ加工によって形成された孔に無電解Cuめっき方式で形成される。このような金属ライン130を介して、半導体チップ(図示せず)、集積回路パッケージ用基板100、及び印刷回路基板(図示せず)が互いに電気的に接続される。
【0030】
一方、本発明の実施例では、このような金属ライン130とコア部110とがなす界面の間にこれらの接合力を増加させるための中間層140が形成され、これについては後でより詳しく説明することにする。
【0031】
中間層(interlayer)140は金属ライン130の外周面に形成される。すなわち、中間層140は、金属ライン130とコア部110とがなす界面の間及び金属ライン130と第1の金属薄板121、金属ライン130と第2の金属薄板122とがなす界面の間に形成される。
【0032】
本発明の実施例に係る中間層140は、材料的な特性によって相互間の接合力が良くない、ガラスからなるコア部110とCuからなる金属ライン130との接合力を向上させるための媒介体として働く。本発明の実施例において、このような中間層140はCuOからなる。中間層140をなすCuOは、Cuめっきの過程で一部自然的に生成され、以降Cuを蒸着する際に、活性サイト(activation site)と作用してCu蒸着速度を高めると知られている。図2は、コア部110と金属ライン130とがなす界面の間にCuOからなる中間層140が形成された場合、金属ライン130をなすCuと中間層140をなすCuOとの界面でこれらが化学結合(chemical bonding)をなす態様を示している。また、図3は、コア部110と金属ライン130とがなす界面の間にCuOからなる中間層140が形成された場合、コア部110をなすガラスと中間層140をなすCuOの界面でこれらが化学結合(chemical bonding)をなす態様を示している。ここで、Cuとガラスとの接合力に影響を及ぼす主要因子は、二つの物質表面間の化学結合の強度であり、この側面から、CuOのような金属酸化物がCuよりもガラスと一層強い結合をなすと予想される。なぜなら、ガラスもイオン系(ionic system)とみなすことができ、よって、金属中のCuよりは酸化物中のCuの方がガラス中の酸素とCu−O結合をなし易いからである。これに加え、CuO中の酸素とガラス中の金属イオン間の追加的な化学結合を期待することもできる。図4は、Cuとガラスとがなす界面の結合構造(左側)及びCuOとガラスとがなす界面の結合構造(右側)を示す模型図であり、シミュレーション検証結果、Cuとガラスとがなす界面の吸着エネルギーは1.179J/mと測定され、CuOとガラスとがなす界面の吸着エネルギーは3.115J/mと測定された。すなわち、CuOとガラスとの接合力は、Cuとガラスとの接合力よりも約2.7倍高いことが確認された。
【0033】
このように、CuOからなる中間層140が一方側に接するCuからなる金属ライン130と化学結合をなし、他方側に接するガラスからなるコア部110とも化学結合をなすようになることで、結果的に、金属ライン130とコア部110とは、中間層140を介して、優れた接合力を示すようになる。
【0034】
また、本発明の実施例において、中間層140は、遷移金属がドープされたCuOからなる。Cuとは異なり、特定の遷移金属の場合、ガラスと優れた接合力を示す。これは、これらの遷移金属がガラス中の酸素と共有結合(covalent bonding)を活発になすことができる電子構造を持っているからである。ここで、前記特定の遷移金属は、Ti、Cr、Hf、Nb、及びTaを含む候補群から選択されたいずれか一種または二種以上であってよい。本発明の実施例において、これらの遷移金属は、CuOにx原子%(5<x<10)ドープされていてよい。前記範囲で遷移金属がCuOにドープされると、全体的な化学結合の強度がより強くなることがある。図5は、コア部110と金属ライン130とがなす界面にTaがドープされたCuOからなる中間層140が形成された場合における、コア部110をなすガラスと中間層140をなすTaがドープされたCuOの界面でこれらが化学結合をなす態様を示している。このように、中間層140が特定の遷移金属がドープされたCuOからなる場合、中間層140がCuOからなる場合と同様に、中間層140が一方側の金属ライン130及び他方側のコア部110とそれぞれ化学結合をなすようになることで、金属ライン130とコア部110とは優れた接合力を示すようになる。
【0035】
図6は、ドープされる遷移金属の種類によるガラスとの接合力を検証するためのものであって、ZrがドープされたCuOとガラスとがなす界面の結合構造(左側)、HfがドープされたCuOとガラスとがなす界面の結合構造(中間)、TaがドープされたCuOとガラスとがなす界面の結合構造(右側)を示す模型図である。シミュレーション検証結果、Zrの場合、ガラスとなす界面の吸着エネルギーは4.975J/mと測定された。これは、遷移金属がドープされていないCuOとガラスとがなす界面の吸着エネルギー3.115J/mよりも向上し、Cuとガラスとがなす界面の吸着エネルギーよりも約4.2倍向上した結果を示すが、ドーピング含量が4.2原子%であるときに吸着エネルギー向上の限界を示した。一方、HfとTaの場合、ガラスとなす界面の吸着エネルギーはそれぞれ5.056J/m、5.234J/mと測定された。すなわち、HfとTaの場合、ドーピング含量が5.6原子%であり、Cuとガラスとがなす界面の吸着エネルギーよりもそれぞれ4.3倍及び4.4倍向上した吸着エネルギーを有すると示され、ドーピング含量が高くなるほど吸着エネルギー値の増加、すなわち、接合力が増加する傾向を見せた。よって、5原子%<x<10原子%の範囲でHf及びTaをドープした場合、4.3倍、4.4倍以上の接合力向上効果を期待することができる。すなわち、遷移金属の中でもHfやTaがドープされたCuOからなる中間層140を備える場合、Cuからなる金属ライン130とガラスからなるコア部110との接合力は、ZrがドープされたCuOからなる中間層を備えるときよりも優れた接合力を示すことが検証された。
【0036】
そして、本発明の実施例において、中間層140はCuと遷移金属を含む金属酸化物からなる。このとき、中間層140は、三元系または四元系金属酸化物からなるものであってよい。中間層140が三元系金属酸化物からなる場合、中間層140はデラフォサイト(delafossite)からなるものであってよい。例えば、中間層140はCuCrOからなるものであってよい。また、中間層140が四元系金属酸化物からなる場合、中間層140はペロブスカイト(perovskite)からなるものであってよい。例えば、中間層140は、CuCaTi12からなるものであってよい。このような中間層140は、CuOからなる中間層140と遷移金属がドープされたCuOからなる中間層140との混合した形態であるため、一方側の金属ライン130及び他方側のコア部110とそれぞれ強力な化学結合をなすようになり、その結果、金属ライン130とコア部110とは優れた接合力を示すようになる。
【0037】
上述したように、本発明の実施例に係る集積回路パッケージ用基板100は、Cuからなる金属ライン130とガラスからなるコア部110との間にこれらのそれぞれと化学結合をなすCuO、遷移金属がドープされたCuO、及びCuと遷移金属を含む三元系または四元系金属酸化物のいずれか一種からなる中間層140を備える。これにより、集積回路パッケージ用基板100は、金属ライン130とコア部110との接合力を向上させ、優れた伝導度及び信頼性を確保することができ、さらには、歩留まりの向上及び製造コストも節減することができる。
【0038】
一方、本発明の実施例では、金属ライン130と第1の金属薄板121とがなす界面、金属ライン130と第2の金属薄板122とがなす界面の間にも中間層140が形成される。この部分に形成される中間層140は、金属ライン130とコア部110とがなす界面の間に中間層140が形成されることにより、金属ライン130と第1の金属薄板121とがなす界面、金属ライン130と第2の金属薄板122とがなす界面の間に形成されるギャップ(gap)を充填する役割をするようになる。このとき、図2に図示したように、中間層140は、Cuと化学結合をなすようになるため、この部分に形成される中間層140の両側はいずれもCuと化学結合をなすようになり、金属ライン130と第1及び第2の金属薄板121、122もまた、安定した接合力を示すようになる。
【0039】
以上、本発明を限定された実施例や図面に基づいて説明してきたが、本発明は前記の実施例に限定されるものではなく、本発明の属する分野における通常の知識を有する者であればこのような記載から種々の修正及び変形が可能である。
【0040】
よって、本発明の範囲は説明された実施例に限定されて決められてはならず、後述する特許請求の範囲及び特許請求の範囲と均等なもの等によって決められるべきである。
【符号の説明】
【0041】
100:集積回路パッケージ用基板
110:コア部
121:第1の金属薄板
122:第2の金属薄板
130:金属ライン
140:中間層
150:ポリマー層
図1
図2
図3
図4
図5
図6