特許第6729809号(P6729809)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6729809
(24)【登録日】2020年7月6日
(45)【発行日】2020年7月22日
(54)【発明の名称】空気入りタイヤ
(51)【国際特許分類】
   B60C 11/00 20060101AFI20200713BHJP
   B60C 11/03 20060101ALI20200713BHJP
   B60C 11/13 20060101ALI20200713BHJP
   B60C 9/18 20060101ALI20200713BHJP
【FI】
   B60C11/00 Z
   B60C11/03 Z
   B60C11/00 F
   B60C11/13 C
   B60C9/18 F
   B60C11/03 100B
【請求項の数】13
【全頁数】16
(21)【出願番号】特願2019-536321(P2019-536321)
(86)(22)【出願日】2018年3月8日
(86)【国際出願番号】JP2018009071
(87)【国際公開番号】WO2019171554
(87)【国際公開日】20190912
【審査請求日】2019年7月24日
(73)【特許権者】
【識別番号】000006714
【氏名又は名称】横浜ゴム株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001368
【氏名又は名称】清流国際特許業務法人
(74)【代理人】
【識別番号】100129252
【弁理士】
【氏名又は名称】昼間 孝良
(74)【代理人】
【識別番号】100155033
【弁理士】
【氏名又は名称】境澤 正夫
(72)【発明者】
【氏名】芝井 孝志
【審査官】 市村 脩平
(56)【参考文献】
【文献】 特開2007−182099(JP,A)
【文献】 特開2005−53268(JP,A)
【文献】 特開2013−91444(JP,A)
【文献】 特開2010−126103(JP,A)
【文献】 特開2017−1474(JP,A)
【文献】 特開平5−131805(JP,A)
【文献】 特開2010−58554(JP,A)
【文献】 特開平9−71107(JP,A)
【文献】 特開2004−224270(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60C1/00−19/12
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
タイヤ周方向に延在して環状をなすトレッド部と、該トレッド部の両側に配置された一対のサイドウォール部と、これらサイドウォール部のタイヤ径方向内側に配置された一対のビード部とを備えた空気入りタイヤにおいて、
前記空気入りタイヤに230kPaの空気圧を充填し、規格にて定められた最大負荷能力のそれぞれ40%,75%,100%の荷重を負荷した条件にて接地した際のタイヤ周方向の最大接地長をそれぞれLA1,LB1,LC1とし、タイヤ幅方向の最大接地幅をそれぞれWA1,WB1,WC1とし、タイヤ中心位置からタイヤ幅方向外側に向かって最大接地幅WA1,WB1,WC1の40%の位置におけるタイヤ周方向の外部接地長をそれぞれLA2,LB2,LC2としたとき、前記最大接地長LA1,LB1,LC1及び前記外部接地長LA2,LB2,LC2が1.02≦(LB2/LB1)/(LA2/LA1)≦1.25、1.00≦(LC2/LC1)/(LB2/LB1)≦1.20の関係を満足し、
前記トレッド部を、タイヤ赤道を中心として最大接地幅WB1の53%に相当する幅を持つ中央領域と最大接地幅WB1内で前記中央領域よりもタイヤ幅方向外側となる外側領域とに区分したとき、前記中央領域の溝面積Scと前記外側領域の溝面積Ssが1.01≦Sc/Ss≦1.50の関係を満足することを特徴とする空気入りタイヤ。
【請求項2】
前記最大接地長LB1及び前記外部接地長LB2が0.65≦LB2/LB1≦0.95の関係を満足することを特徴とする請求項1に記載の空気入りタイヤ。
【請求項3】
前記最大接地長LA1,LB1,LC1及び前記外部接地長LA2,LB2,LC2が(LC2/LC1)/(LB2/LB1)≦(LB2/LB1)/(LA2/LA1)の関係を満足することを特徴とする請求項1又は2に記載の空気入りタイヤ。
【請求項4】
前記トレッド部に、タイヤ周方向に延びる中央主溝と、該中央主溝よりもタイヤ幅方向外側の位置でタイヤ周方向に延びる外側主溝と、該外側主溝よりもタイヤ幅方向外側の位置でタイヤ幅方向に延びる複数本の外側横溝とが形成されていることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の空気入りタイヤ。
【請求項5】
前記外側横溝の側壁がトレッド面の法線に対してなす傾斜角度θslが0°≦θsl≦10°の関係を満足することを特徴とする請求項4に記載の空気入りタイヤ。
【請求項6】
前記外側横溝の溝深さDslが前記外側主溝の溝深さGDsに対して0.20≦Dsl/GDs≦0.90の関係を満足することを特徴とする請求項4又は5に記載の空気入りタイヤ。
【請求項7】
前記外側横溝がその長手方向の一部に底上げ部を有し、該底上げ部での溝深さDbが前記外側横溝の溝深さDslに対して0.30≦Db/Dsl≦0.90の関係を満足することを特徴とする請求項4〜6のいずれかに記載の空気入りタイヤ。
【請求項8】
前記外側主溝の溝深さGDsが前記中央主溝の溝深さGDcに対して0.80≦GDs/GDc≦1.00の関係を満足することを特徴とする請求項4〜7のいずれかに記載の空気入りタイヤ。
【請求項9】
前記トレッド部に、前記外側主溝よりもタイヤ幅方向内側の位置でタイヤ幅方向に延びる複数本の中央横溝が形成され、前記外側横溝の溝深さDslが前記中央横溝の溝深さDclに対して0.50≦Dsl/Dcl≦1.00の関係を満足することを特徴とする請求項4〜8のいずれかに記載の空気入りタイヤ。
【請求項10】
前記外側主溝よりもタイヤ幅方向外側に形成された前記外側横溝の全てが1.0mm以下の溝幅を有することを特徴とする請求項4〜9のいずれかに記載の空気入りタイヤ。
【請求項11】
前記トレッド部に、タイヤ周方向に対して傾斜する複数本のベルトコードを含み、層間でベルトコードが互いに交差する複数層のベルト層が埋設され、前記ベルトコードのタイヤ中心位置でのタイヤ周方向に対する傾斜角度αが21°≦α≦30°の関係を満足することを特徴とする請求項1〜10のいずれかに記載の空気入りタイヤ。
【請求項12】
前記ベルトコードのタイヤ中心位置でのタイヤ周方向に対する傾斜角度αと前記ベルトコードのベルト端末位置でのタイヤ周方向に対する傾斜角度βとが18°≦β<α≦30°の関係を満足することを特徴とする請求項11に記載の空気入りタイヤ。
【請求項13】
前記空気入りタイヤが偏平比0.65以下の乗用車用タイヤであることを特徴とする請求項1〜12のいずれかに記載の空気入りタイヤ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、空気入りタイヤに関し、更に詳しくは、トレッド部のショルダー偏摩耗を抑制すると共に、乗心地を改善することを可能にした空気入りタイヤに関する。
【背景技術】
【0002】
空気入りタイヤは、一般に、タイヤ周方向に延在して環状をなすトレッド部と、該トレッド部の両側に配置された一対のサイドウォール部と、これらサイドウォール部のタイヤ径方向内側に配置された一対のビード部とを備えると共に、一対のビード部間に装架されたカーカス層と、トレッド部におけるカーカス層のタイヤ径方向外側に配置された複数層のベルト層とを備えた構造を有している。
【0003】
このような空気入りタイヤにおいては、恒久的な課題として、摩耗特性を改善することが求められている。摩耗特性を改善するための手法として、例えば、キャップトレッドゴムの硬度を高くしてトレッド部の剛性を増大させることが提案されている(例えば、特許文献1参照)。しかしながら、キャップトレッドゴムの硬度を単に高くしたのでは、トレッド部の剛性の増大に伴って走行時に路面から受ける衝撃が増大し、乗心地(マイルド感)が悪化するという問題がある。そのため、二律背反関係にある摩耗特性と乗心地とを両立させることが必要である。
【0004】
ところで、空気入りタイヤの接地形状を規定することにより、空気入りタイヤの諸性能を改善する技術が提案されている(例えば、特許文献2〜4参照)。しかしながら、これら技術は摩耗特性と乗心地との両立を図るものではない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】日本国特開2017−203080号公報
【特許文献2】日本国特開平6−8710号公報
【特許文献3】日本国特開平8−108710号公報
【特許文献4】日本国特開2009−78790号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明の目的は、トレッド部のショルダー偏摩耗を抑制すると共に、乗心地を改善することを可能にした空気入りタイヤを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するための本発明の空気入りタイヤは、タイヤ周方向に延在して環状をなすトレッド部と、該トレッド部の両側に配置された一対のサイドウォール部と、これらサイドウォール部のタイヤ径方向内側に配置された一対のビード部とを備えた空気入りタイヤにおいて、
前記空気入りタイヤに230kPaの空気圧を充填し、規格にて定められた最大負荷能力のそれぞれ40%,75%,100%の荷重を負荷した条件にて接地した際のタイヤ周方向の最大接地長をそれぞれLA1,LB1,LC1とし、タイヤ幅方向の最大接地幅をそれぞれWA1,WB1,WC1とし、タイヤ中心位置からタイヤ幅方向外側に向かって最大接地幅WA1,WB1,WC1の40%の位置におけるタイヤ周方向の外部接地長をそれぞれLA2,LB2,LC2としたとき、前記最大接地長LA1,LB1,LC1及び前記外部接地長LA2,LB2,LC2が1.02≦(LB2/LB1)/(LA2/LA1)≦1.25、1.00≦(LC2/LC1)/(LB2/LB1)≦1.20の関係を満足し、
前記トレッド部を、タイヤ赤道を中心として最大接地幅WB1の53%に相当する幅を持つ中央領域と最大接地幅WB1内で前記中央領域よりもタイヤ幅方向外側となる外側領域とに区分したとき、前記中央領域の溝面積Scと前記外側領域の溝面積Ssが1.01≦Sc/Ss≦1.50の関係を満足することを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0008】
本発明では、中央領域の溝面積Scと外側領域の溝面積Ssとが1.01≦Sc/Ss≦1.50の関係を満足し、中央領域での溝面積Scを十分に確保することにより、トレッド部の中央領域での剛性を低くして路面からの入力を緩和し、乗心地(マイルド感)を改善することができる。一方、外側領域での溝面積Ssを少なくすることにより、トレッド部の外側領域での剛性を確保し、トレッド部のショルダー偏摩耗を抑制することができる。また、最大接地長LA1,LB1,LC1及び外部接地長LA2,LB2,LC2が1.02≦(LB2/LB1)/(LA2/LA1)≦1.25、1.00≦(LC2/LC1)/(LB2/LB1)≦1.20の関係を満足し、荷重変動を考慮した接地形状を規定することにより、ショルダー偏摩耗の抑制効果と乗心地の改善効果を更に高めることができる。
【0009】
本発明において、最大接地長LB1及び外部接地長LB2は0.65≦LB2/LB1≦0.95の関係を満足することが好ましい。また、最大接地長LA1,LB1,LC1及び外部接地長LA2,LB2,LC2は(LC2/LC1)/(LB2/LB1)≦(LB2/LB1)/(LA2/LA1)の関係を満足することが好ましい。これにより、接地形状に基づいて乗心地を改善することができる。
【0010】
本発明においては、トレッド部に、タイヤ周方向に延びる中央主溝と、該中央主溝よりもタイヤ幅方向外側の位置でタイヤ周方向に延びる外側主溝と、該外側主溝よりもタイヤ幅方向外側の位置でタイヤ幅方向に延びる複数本の外側横溝とが形成されたトレッドパターンを採用することができる。
【0011】
この場合、トレッド部の外側領域での剛性を確保し、トレッド部のショルダー偏摩耗を抑制するために、以下のような構造を採用すると良い。即ち、外側横溝の側壁がトレッド面の法線に対してなす傾斜角度θslは0°≦θsl≦10°の関係を満足することが好ましい。外側横溝の溝深さDslは外側主溝の溝深さGDsに対して0.20≦Dsl/GDs≦0.90の関係を満足することが好ましい。外側横溝はその長手方向の一部に底上げ部を有し、該底上げ部での溝深さDbが外側横溝の溝深さDslに対して0.30≦Db/Dsl≦0.90の関係を満足することが好ましい。外側主溝の溝深さGDsは中央主溝の溝深さGDcに対して0.80≦GDs/GDc≦1.00の関係を満足することが好ましい。また、トレッド部に外側主溝よりもタイヤ幅方向内側の位置でタイヤ幅方向に延びる複数本の中央横溝が形成される場合、外側横溝の溝深さDslは中央横溝の溝深さDclに対して0.50≦Dsl/Dcl≦1.00の関係を満足することが好ましい。更に、外側主溝よりもタイヤ幅方向外側に形成された外側横溝の全てが1.0mm以下の溝幅を有することが好ましい。
【0012】
本発明において、トレッド部に、タイヤ周方向に対して傾斜する複数本のベルトコードを含み、層間でベルトコードが互いに交差する複数層のベルト層が埋設される場合、ベルトコードのタイヤ中心位置でのタイヤ周方向に対する傾斜角度αが21°≦α≦30°の関係を満足することが好ましい。ベルトコードのタイヤ中心位置での傾斜角度αを極度に低角度化しないことにより、ベルト層の剛性の増大を抑えて乗心地を改善することができる。
【0013】
また、ベルトコードのタイヤ中心位置でのタイヤ周方向に対する傾斜角度αとベルトコードのベルト端末位置でのタイヤ周方向に対する傾斜角度βとは18°≦β<α≦30°の関係を満足することが好ましい。ベルトコードのベルト端末位置での傾斜角度βを小さく設定することにより、ショルダー偏摩耗を効果的に抑制することができる。
【0014】
本発明の空気入りタイヤは偏平比0.65以下の乗用車用タイヤであることが好ましい。本発明によれば、乗心地の改善が厳しく要求される乗用車用タイヤにおいて、耐偏摩耗性と乗心地とを両立することが可能になる。
【0015】
本発明において、トレッド部の接地形状は、タイヤを正規リムにリム組みして所定の空気圧を充填した状態で平面上に垂直に置いて所定の荷重を負荷した条件にて測定される。「正規リム」とは、タイヤが基づいている規格を含む規格体系において、当該規格がタイヤ毎に定めるリムであり、例えば、JATMAであれば標準リム、TRAであれば“Design Rim”、或いはETRTOであれば“Measuring Rim”とする。空気圧は230kPaとする。また、所定の荷重は、タイヤが基づいている規格を含む規格体系において、各規格がタイヤ毎に定めている最大負荷能力の40%,75%又は100%の荷重とする。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1図1は本発明の実施形態からなる空気入りタイヤを示す子午線断面図である。
図2図2図1の空気入りタイヤのトレッドパターンを示す展開図である。
図3図3図1の空気入りタイヤの接地形状(40%荷重)を示す平面図である。
図4図4図1の空気入りタイヤの接地形状(75%荷重)を示す平面図である。
図5図5図1の空気入りタイヤの接地形状(100%荷重)を示す平面図である。
図6図6図1の空気入りタイヤのトレッド部に形成された中央主溝、外側主溝及び外側横溝(ラグ溝)を示す断面図である。
図7図7図1の空気入りタイヤのトレッド部に形成された外側横溝(ラグ溝)を示す断面図である。
図8図8図1の空気入りタイヤのトレッド部に形成された中央横溝(ラグ溝)を示す断面図である。
図9図9は本発明の他の実施形態からなる空気入りタイヤのトレッドパターンを示す展開図である。
図10図10図9の空気入りタイヤのトレッド部に形成された外側横溝(サイプ)を示す断面図である。
図11図11は外側横溝(サイプ)の変形例を示す断面図である。
図12図12は本発明の空気入りタイヤを構成するベルト層を示す展開図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明の構成について添付の図面を参照しながら詳細に説明する。図1及び図2は本発明の実施形態からなる空気入りタイヤを示すものである。図2において、CLはタイヤ中心位置であり、Tcはタイヤ周方向であり、Twはタイヤ幅方向である。
【0018】
図1に示すように、本実施形態の空気入りタイヤは、タイヤ周方向に延在して環状をなすトレッド部1と、該トレッド部1の両側に配置された一対のサイドウォール部2,2と、これらサイドウォール部2のタイヤ径方向内側に配置された一対のビード部3,3とを備えている。
【0019】
一対のビード部3,3間にはカーカス層4が装架されている。このカーカス層4は、タイヤ径方向に延びる複数本のカーカスコードを含み、各ビード部3に配置されたビードコア5の廻りにタイヤ内側から外側へ折り返されている。ビードコア5の外周上には断面三角形状のゴム組成物からなるビードフィラー6が配置されている。
【0020】
一方、トレッド部1におけるカーカス層4の外周側には複数層のベルト層7が埋設されている。これらベルト層7はタイヤ周方向に対して傾斜する複数本のベルトコードを含み、かつ層間でベルトコードが互いに交差するように配置されている。ベルト層7を構成するベルトコードとしては、スチールコードが好ましく使用される。ベルト層7の外周側には、タイヤ周方向に配向する複数本のバンドコードを含む少なくとも1層のベルト補強層8が配置されている。ベルト補強層8は少なくとも1本のバンドコードを引き揃えてゴム被覆してなるストリップ材をタイヤ周方向に連続的に巻回したジョイントレス構造とすることが望ましい。ベルト補強層8を構成するバンドコードとしては、ナイロンやアラミド等の有機繊維コードが好ましく使用される。
【0021】
図2に示すように、トレッド部1には、タイヤ中心位置CLの両側の位置でタイヤ周方向に延びる一対の中央主溝11,11と、該中央主溝11,11よりもタイヤ幅方向外側の位置でタイヤ周方向に延びる一対の外側主溝12,12とが形成されている。中央主溝11及び外側主溝12は、ストレート形状を有していても良く、或いは、ジグザグ形状を有していても良い。これにより、中央主溝11,11の相互間にはセンター陸部20が区画され、中央主溝11と外側主溝12との間にはミドル陸部30が区画され、外側主溝12の外側にはショルダー陸部40が区画されている。
【0022】
ミドル陸部30の各々には、タイヤ幅方向に延びる複数本の中央横溝31が形成されている。中央横溝31は、トレッド面での溝幅が1.1mm〜9.5mmの範囲にある中央ラグ溝31Aと、トレッド面での溝幅が1.0mm以下である中央サイプ31Bとを含んでいる。これら中央ラグ溝31A及び中央サイプ31Bはタイヤ周方向に沿って交互に配置されている。また、ミドル陸部30の一方には、タイヤ周方向に沿って延びていてジグザグ形状を有する周方向細溝32が形成されている。
【0023】
ショルダー陸部40の各々には、タイヤ幅方向に延びる複数本の外側横溝41が形成されている。外側横溝41は、トレッド面での溝幅が1.1mm〜9.0mmの範囲にある外側ラグ溝41A及びトレッド面での溝幅が1.0mm以下である外側サイプ41Bの少なくとも一方を含んでいる。両者が混在する形態においては、外側ラグ溝41A及び外側サイプ41Bがタイヤ周方向に沿って交互に配置されている。
【0024】
図3図5はそれぞれ図1の空気入りタイヤの接地形状(40%荷重、75%荷重、100%荷重)を示すものである。上記空気入りタイヤにおいて、該空気入りタイヤに230kPaの空気圧を充填し、規格にて定められた最大負荷能力のそれぞれ40%,75%,100%の荷重を負荷した条件にて接地した際のタイヤ周方向の最大接地長をそれぞれLA1,LB1,LC1(mm)とし、タイヤ幅方向の最大接地幅をそれぞれWA1,WB1,WC1(mm)とし、タイヤ中心位置からタイヤ幅方向外側に向かって最大接地幅WA1,WB1,WC1の40%の位置におけるタイヤ周方向の外部接地長をそれぞれLA2,LB2,LC2(mm)とする。
【0025】
つまり、図3に示すように、上記空気入りタイヤに230kPaの空気圧を充填し、規格にて定められた最大負荷能力の40%の荷重を負荷した条件にて接地した際のタイヤ周方向の最大接地長をLA1とし、タイヤ幅方向の最大接地幅をWA1とし、タイヤ中心位置CLからタイヤ幅方向外側に向かって最大接地幅WA1の40%の位置におけるタイヤ周方向の外部接地長をLA2とする。外部接地長LA2はタイヤ中心位置CLの両側における測定値の平均値である。
【0026】
また、図4に示すように、上記空気入りタイヤに230kPaの空気圧を充填し、規格にて定められた最大負荷能力の75%の荷重を負荷した条件にて接地した際のタイヤ周方向の最大接地長をLB1とし、タイヤ幅方向の最大接地幅をWB1とし、タイヤ中心位置CLからタイヤ幅方向外側に向かって最大接地幅WB1の40%の位置におけるタイヤ周方向の外部接地長をLB2とする。外部接地長LB2はタイヤ中心位置CLの両側における測定値の平均値である。
【0027】
更に、図5に示すように、上記空気入りタイヤに230kPaの空気圧を充填し、規格にて定められた最大負荷能力の100%の荷重を負荷した条件にて接地した際のタイヤ周方向の最大接地長をLC1とし、タイヤ幅方向の最大接地幅をWC1とし、タイヤ中心位置CLからタイヤ幅方向外側に向かって最大接地幅WC1の40%の位置におけるタイヤ周方向の外部接地長をLC2とする。外部接地長LC2はタイヤ中心位置CLの両側における測定値の平均値である。
【0028】
ここで、最大接地長LA1,LB1,LC1及び外部接地長LA2,LB2,LC2は以下の関係を満足する。
1.02≦(LB2/LB1)/(LA2/LA1)≦1.25
1.00≦(LC2/LC1)/(LB2/LB1)≦1.20
【0029】
また、図4に示すように、トレッド部1を、タイヤ赤道(即ち、タイヤ中心位置CL)を中心として最大接地幅WB1の53%に相当する幅を持つ中央領域Xcと最大接地幅WB1内で中央領域Xcよりもタイヤ幅方向外側となる外側領域Xsとに区分したとき、中央領域Xcの溝面積Sc(mm2)と外側領域Xsの溝面積Ss(mm2)は以下の関係を満足する。
1.01≦Sc/Ss≦1.50
【0030】
中央領域Xcの溝面積Scはタイヤ周上で中央領域Xcに形成された溝成分の総面積を意味し、外側領域Xsの溝面積Ssはタイヤ周上で外側領域Xsに形成された溝成分の総面積を意味する。なお、溝成分が面取り部を有する場合、その面取り部の面積も溝成分の総面積に含まれるものとする。
【0031】
上述した空気入りタイヤでは、中央領域Xcの溝面積Scと外側領域Xsの溝面積Ssとが1.01≦Sc/Ss≦1.50の関係を満足し、中央領域Xcでの溝面積Scを十分に確保することにより、トレッド部1の中央領域Xcでの剛性を低くして路面からの入力を緩和し、乗心地(マイルド感)を改善することができる。一方、外側領域Xsでの溝面積Ssを少なくすることにより、トレッド部1の外側領域Xsでの剛性を確保し、トレッド部1のショルダー偏摩耗を抑制することができる。
【0032】
ここで、Sc/Sが1.01よりも小さいと中央領域Xcでの溝面積Scが不足するため乗心地の改善効果が不十分になり、逆にSc/Ssが1.50よりも大きいと外側領域Xsでの溝面積Ssが過大になるためショルダー偏摩耗の抑制効果が不十分になる。特に、1.05≦Sc/Ss≦1.30、更には、1.13≦Sc/Ss≦1.30の関係を満足することが望ましい。
【0033】
また、上述した空気入りタイヤでは、最大接地長LA1,LB1,LC1及び外部接地長LA2,LB2,LC2が1.02≦(LB2/LB1)/(LA2/LA1)≦1.25、1.00≦(LC2/LC1)/(LB2/LB1)≦1.20の関係を満足し、荷重変動を考慮した接地形状を規定することにより、ショルダー偏摩耗の抑制効果と乗心地の改善効果を更に高めることができる。つまり、エンジンを前方に搭載した一般的な車両において、負荷荷重が相対的に小さいリヤ装着タイヤの荷重変動を考慮して(LB2/LB1)/(LA2/LA1)を所定の範囲に設定する一方で、負荷荷重が相対的に大きいフロント装着タイヤの荷重変動を考慮して(LC2/LC1)/(LB2/LB1)を所定の範囲に設定することにより、ショルダー偏摩耗の抑制効果と乗心地の改善効果を最適化することができる。
【0034】
ここで、(LB2/LB1)/(LA2/LA1)が1.02よりも小さいと乗心地の改善効果が不十分になり、逆に1.25よりも大きいとショルダー偏摩耗の抑制効果が不十分になる。同様に、(LC2/LC1)/(LB2/LB1)が1.00よりも小さいと乗心地の改善効果が不十分になり、逆に1.20よりも大きいとショルダー偏摩耗の抑制効果が不十分になる。特に、1.03≦(LB2/LB1)/(LA2/LA1)≦1.15、1.02≦(LC2/LC1)/(LB2/LB1)≦1.10の関係を満足することが望ましい。
【0035】
上記空気入りタイヤにおいて、最大接地長LB1及び外部接地長LB2は0.65≦LB2/LB1≦0.95の関係を満足すると良い。最大負荷能力の75%の荷重を負荷した条件における接地形状をコントロールすることにより、定常走行時において良好な乗心地を発揮することができる。特に、0.70≦LB2/LB1≦0.88の範囲ではトレッド部1のエンベロープ特性が良化して乗心地が効果的に改善される。
【0036】
上記空気入りタイヤにおいて、最大接地長LA1,LB1,LC1及び外部接地長LA2,LB2,LC2は(LC2/LC1)/(LB2/LB1)≦(LB2/LB1)/(LA2/LA1)の関係を満足すると良い。このようにリヤ装着タイヤとフロント装着タイヤにおける接地形状を最適化することで乗心地を改善することができる。
【0037】
上述のようにトレッド部1に、タイヤ周方向に延びる中央主溝11と、該中央主溝11よりもタイヤ幅方向外側の位置でタイヤ周方向に延びる外側主溝12と、該外側主溝12よりもタイヤ幅方向外側の位置でタイヤ幅方向に延びる複数本の外側横溝41とが形成されたトレッドパターンを有する空気入りタイヤでは、トレッド部1の外側領域Xsでの剛性を確保し、トレッド部1のショルダー偏摩耗を抑制するために、図6図8のような構造を採用することができる。
【0038】
即ち、図7に示すように、外側横溝41(特に、外側ラグ溝41A)の側壁がトレッド面の法線に対してなす傾斜角度θslは0°≦θsl≦10°の関係を満足すると良い。外側横溝41の傾斜角度θslを上記範囲に設定することにより、トレッド部1の外側領域Xsでの剛性を確保することができる。ここで、θslが0°よりも小さく側壁がオーバーハング形状を有していると外側領域Xsでの剛性が低下し、逆に10°よりも大きいと排水性に悪影響を与えることになる。特に、1°≦θsl≦8°の関係を満足することが望ましい。
【0039】
図6に示すように、外側横溝41の溝深さDslは外側主溝12の溝深さGDsに対して0.20≦Dsl/GDs≦0.90の関係を満足すると良い。これにより、トレッド部1の外側領域Xsでの剛性を確保することができる。ここで、Dsl/GDsが0.20よりも小さいと排水性に悪影響を与えることになり、逆に0.90よりも大きいと外側領域Xsでの剛性が低下する。
【0040】
外側横溝41(特に、外側ラグ溝41A)はその長手方向の一部に底上げ部42を有し、該底上げ部42での溝深さDbが外側横溝41の溝深さDslに対して0.30≦Db/Dsl≦0.90の関係を満足すると良い。ここでは、底上げ部42は外側主溝12と隣接するに開口する位置に配置されている。このような底上げ部42を設けることにより、トレッド部1の外側領域Xsでの剛性を確保することができる。ここで、Db/Dslが0.90よりも大きいと剛性に与える影響が小さくなり、逆に0.30よりも小さいと排水性に悪影響を与えることになる。
【0041】
外側主溝12の溝深さGDsは中央主溝11の溝深さGDcに対して0.80≦GDs/GDc≦1.00の関係を満足すると良い。これにより、トレッド部1の外側領域Xsでの剛性を確保することができる。ここで、GDs/GDcが0.80よりも小さいと排水性に悪影響を与えることになり、逆に1.00よりも大きいとトレッド部1の外側領域Xsでの剛性を確保することが難しくなる。
【0042】
トレッド部1に外側主溝12よりもタイヤ幅方向内側の位置でタイヤ幅方向に延びる複数本の中央横溝31が形成される場合、外側横溝41の溝深さDslは中央横溝31の溝深さDclに対して0.50≦Dsl/Dcl≦1.00の関係を満足すると良い(図7及び図8参照)。これにより、トレッド部1の外側領域Xsでの剛性を確保することができる。ここで、Dsl/Dclが0.50よりも小さいと排水性に悪影響を与えることになり、逆に1.00よりも大きいとトレッド部1の外側領域Xsでの剛性を確保することが難しくなる。
【0043】
図9は本発明の他の実施形態からなる空気入りタイヤのトレッドパターンを示すものである。図9において図2と同一物には同一符号を付してその部分の詳細な説明は省略する。図9において、外側主溝12よりもタイヤ幅方向外側に形成された外側横溝41の全てが1.0mm以下の溝幅を有する外側サイプ41Bから構成されている。このように外側横溝41の全てを溝幅1.0mm以下の外側サイプ41Bとすることにより、トレッド部1の外側領域Xsでの剛性を確保し、ショルダー偏摩耗を抑制することができる。図9では、外側主溝12よりもタイヤ幅方向内側に形成された中央横溝31の全てが1.0mm以下の溝幅を有する中央サイプ31Bから構成されている。
【0044】
外側サイプ41Bは、図10に示すように、トレッド面から溝底まで一定の溝幅を有するものであっても良く、或いは、図11に示すように、トレッド面への開口部分に面取り部43を有していても良い。なお、中央サイプ31Bにも同様の構造を採用することができる。
【0045】
上述した空気入りタイヤにおいて、トレッド部1に、タイヤ周方向に対して傾斜する複数本のベルトコードCを含み、層間でベルトコードCが互いに交差する複数層のベルト層7が埋設される場合、図12に示すように、ベルトコードCのタイヤ中心位置CLでのタイヤ周方向に対する傾斜角度αは21°≦α≦30°の関係を満足すると良い。ベルトコードCのタイヤ中心位置CLでの傾斜角度αを極度に低角度化しないことにより、ベルト層7の剛性の増大を抑えて乗心地を改善することができる。ここで、傾斜角度αが21°よりも小さいとベルト層7の剛性の増大により乗心地の改善効果が低下し、逆に30°よりも大きいと操縦安定性等のタイヤ特性が低下するため実用的ではない。
【0046】
また、ベルトコードCのタイヤ中心位置CLでのタイヤ周方向に対する傾斜角度αとベルトコードCのベルト端末位置BEでのタイヤ周方向に対する傾斜角度βとは18°≦β<α≦30°の関係を満足すると良い。ベルトコードCのベルト端末位置BEでの傾斜角度βを低角度化することにより、ショルダー偏摩耗を効果的に抑制することができ、しかも、ベルトコードCのタイヤ中心位置CLでの傾斜角度αを極度に低角度化しないことにより、トレッド部1の中央領域Xcにおけるベルト層7の剛性の増大を抑えて良好な乗心地を維持することができる。特に、傾斜角度αと傾斜角度βとの差は3°以上であると良い。なお、ベルトコードCのベルト端末位置BEでのタイヤ周方向に対する傾斜角度βをベルトコードCのタイヤ中心位置CLでのタイヤ周方向に対する傾斜角度αよりも小さくした構造が好ましいが、ベルト層7の全幅にわたってベルトコードCをタイヤ周方向に対して一定の角度で傾斜させ、傾斜角度α,βを同一値に設定しても良く、或いは、α<βとしても良い。
【0047】
図12に示すように、ベルト層7はベルトコードCの傾斜角度がα±1°の範囲となるセンター側の高角度領域AcとベルトコードCの傾斜角度がβ±1°の範囲となるショルダー側の低角度領域Asとを有し、高角度領域Acの幅Lcがベルト層7の全幅Lの1/2以上であり、各低角度領域Asの幅Lsがベルト層7の全幅Lの1/8以上であると良い。このようにベルト層7のセンター側の高角度領域Acとショルダー側の低角度領域Asとを上記の如く設定することにより、トレッド部1の剛性配分を適正化することができる。ここで、高角度領域Acの幅Lcがベルト層7の全幅Lの1/2よりも小さいとベルト層7としての機能が低下し、また、低角度領域Asの幅Lsがベルト層7の全幅Lの1/8よりも小さいとトレッド部1の外側領域Xsでのタイヤ周方向の剛性を十分に高めることができなくなる。なお、高角度領域Acの幅Lc及び低角度領域Asの幅Lsは各ベルト層7の全幅Lに基づいて設定されるものである。
【0048】
上述した空気入りタイヤは偏平比0.65以下の乗用車用タイヤとして好適である。乗心地の改善が厳しく要求される乗用車用タイヤにおいて、耐偏摩耗性と乗心地とを両立することが可能になる。
【0049】
上述した実施形態では、トレッド部に4本の主溝を含むトレッドパターンについて説明したが、本発明はトレッド部に3本の主溝を含むトレッドパターンや、トレッド部にV字状の主溝を含むトレッドパターンにも適用可能である。
【実施例】
【0050】
タイヤサイズ205/55R16 91Vで、一対のビード部間にカーカス層が装架され、トレッド部におけるカーカス層のタイヤ径方向外側に2層のベルト層が埋設され、トレッド部に、タイヤ周方向に延びる一対の中央主溝と、該中央主溝よりもタイヤ幅方向外側の位置でタイヤ周方向に延びる一対の外側主溝と、該外側主溝よりもタイヤ幅方向内側の位置でタイヤ幅方向に延びる複数本の中央横溝と、該外側主溝よりもタイヤ幅方向外側の位置でタイヤ幅方向に延びる複数本の外側横溝とが形成された空気入りタイヤにおいて、ベルトコードのタイヤ中心位置でのタイヤ周方向に対する傾斜角度α、ベルトコードのベルト端末位置でのタイヤ周方向に対する傾斜角度β、外側横溝の側壁の傾斜角度θsl、外側主溝の溝深さGDs、外側横溝の溝深さDsl、比Dsl/GDs、外側横溝の底上げ部での溝深さDb、比Db/Dsl、中央主溝の溝深さGDc、比GDs/GDc、中央横溝の溝深さDcl、比Dsl/Dcl、外側横溝の溝幅、中央領域の溝面積Scと外側領域の溝面積Ssの比Sc/Ss、(LB2/LB1)/(LA2/LA1)、(LC2/LC1)/(LB2/LB1)、LB2/LB1(矩形比)を表1のように設定した比較例1〜3及び実施例1〜9のタイヤを製作した。
【0051】
これら試験タイヤについて、下記試験方法により、耐偏摩耗性(ショルダー領域)、乗心地、ウエット性能を評価し、その結果を表1に併せて示した。
【0052】
耐偏摩耗性(ショルダー領域):
各試験タイヤをリムサイズ16×6.5Jのホイールに組み付けて摩擦エネルギー測定試験機に装着し、空気圧230kPa、負荷荷重4.5kNの条件下にて、トレッド部のショルダー領域での平均摩擦エネルギーを測定した。測定値は、各領域で10mm間隔となるタイヤ幅方向2箇所×タイヤ周方向2箇所の計4点における摩擦エネルギーを測定し、これらを平均したものである。評価結果は、測定値の逆数を用い、比較例2を100とする指数にて示した。指数値が大きいほど耐偏摩耗性が優れていることを意味する。
【0053】
乗心地:
各試験タイヤをリムサイズ16×6.5Jのホイールに組み付けて排気量2リットルの前輪駆動車に装着し、当該車両の指定空気圧を充填し、路面上に突起が配設されたテストコースにてパネラーによる走行試験を実施し、突起の入力等を考慮した乗心地(マイルド感)に関する官能評価を行った。評価結果は、比較例1を100とする指数にて示した。指数値が大きいほど乗心地が良好であることを意味する。
【0054】
ウエット性能:
各試験タイヤをリムサイズ16×6.5Jのホイールに組み付けて排気量2リットルの前輪駆動車に装着し、当該車両の指定空気圧を充填し、散水されたテストコースにてパネラーによる走行試験を実施し、ウエット路面での操縦安定性に関する官能評価を行った。評価結果は、比較例1を100とする指数にて示した。指数値が大きいほどウエット性能が優れていることを意味する。
【0055】
【表1】
【0056】
この表1から判るように、実施例1〜9のタイヤは、比較例1との対比において、耐偏摩耗性、乗心地、ウエット性能が共に優れていた。一方、比較例2,3のタイヤは、これら性能の改善効果が必ずしも十分ではなかった。
【符号の説明】
【0057】
1 トレッド部
2 サイドウォール部
3 ビード部
4 カーカス層
5 ビードコア
6 ビードフィラー
7 ベルト層
8 ベルト補強層
11 中央主溝
12 外側主溝
31 中央横溝
31A 中央ラグ溝
31B 中央サイプ
41 外側横溝
41A 外側ラグ溝
41B 外側サイプ
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12