(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6729897
(24)【登録日】2020年7月6日
(45)【発行日】2020年7月29日
(54)【発明の名称】評価方法
(51)【国際特許分類】
C12Q 1/06 20060101AFI20200716BHJP
【FI】
C12Q1/06
【請求項の数】6
【全頁数】9
(21)【出願番号】特願2018-43555(P2018-43555)
(22)【出願日】2018年3月9日
(65)【公開番号】特開2019-154286(P2019-154286A)
(43)【公開日】2019年9月19日
【審査請求日】2019年4月19日
(73)【特許権者】
【識別番号】000226242
【氏名又は名称】日機装株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】593006630
【氏名又は名称】学校法人立命館
(74)【代理人】
【識別番号】100105924
【弁理士】
【氏名又は名称】森下 賢樹
(72)【発明者】
【氏名】神子 直之
(72)【発明者】
【氏名】橋本 翔太郎
(72)【発明者】
【氏名】望月 洋明
【審査官】
西 賢二
(56)【参考文献】
【文献】
特開2004−159508(JP,A)
【文献】
特開2008−022765(JP,A)
【文献】
特開2008−022764(JP,A)
【文献】
特開2011−139682(JP,A)
【文献】
特開2011−041524(JP,A)
【文献】
特開2012−044957(JP,A)
【文献】
中国実用新案第201217660(CN,Y)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C12Q 1/00−3/00
C12M 1/00−3/10
JSTPlus/JMEDPlus/JST7580(JDreamIII)
MEDLINE/EMBASE/BIOSIS(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
吸気口および排気口を有する処理容器の内部の空気中に微生物を浮遊させる工程と、
前記吸気口および前記排気口を閉じた状態で前記処理容器の内部の空気中に浮遊する微生物に紫外線を照射する工程と、
前記紫外線の照射後、前記吸気口を通じて前記処理容器の内部に評価対象の微生物を含まない空気を流入させながら、前記排気口から前記処理容器の内部の容積よりも多くの体積の空気を排出させ、前記排出される空気中に含まれる微生物を回収する工程と、
前記回収した微生物の量を測定する工程と、
前記照射する工程における前記処理容器の内部の紫外線の平均積算照度に対する前記微生物の不活化量を評価する工程と、を備えることを特徴とする評価方法。
【請求項2】
前記照射する工程において、前記処理容器の内部の空気を攪拌しながら前記処理容器の内部に紫外線を照射することを特徴とする請求項1に記載の評価方法。
【請求項3】
前記微生物を浮遊させる工程において、前記排気口から前記処理容器の内部の空気を排出させながら、前記処理容器の内部の容積よりも多くの体積の空気であって前記微生物を含む空気を前記吸気口から流入させることを特徴とする請求項1または2に記載の評価方法。
【請求項4】
前記微生物を浮遊させる工程において、前記処理容器の内部に配置される微生物を前記処理容器の内部の空気中に分散させることを特徴とする請求項1または2に記載の評価方法。
【請求項5】
前記紫外線の平均積算照度は、前記処理容器の内部に設定される複数の仮想平面上での紫外線の照度の平均値である平均照度に前記紫外線の照射時間を乗算することにより算出されることを特徴とする請求項1から4のいずれか一項に記載の評価方法。
【請求項6】
前記複数の仮想平面は、前記紫外線の所定の照射方向に直交するように設定されることを特徴とする請求項5に記載の評価方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、空間に浮遊する微生物の不活化性能を評価するための評価方法および評価装置に関する。
【背景技術】
【0002】
紫外線には殺菌能力があることが知られており、医療や食品加工の現場などでの殺菌処理に紫外線照射装置が用いられる。紫外線による殺菌処理では、処理対象に照射される紫外線の照度、つまり、単位面積に入射するエネルギー量に対して殺菌性能が評価される。また、放電等の電離現象により生じる正イオンおよび負イオンを用いて空気中の浮遊微生物を殺菌処理する技術も知られている。後者のような装置では、空気中のイオン濃度に対して殺菌性能が評価される(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2004−159508号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に記載される技術では、殺菌処理がなされた空間の空気の一部を採取して評価するため、殺菌処理に用いたエネルギーがどの程度有効に作用したかを正確に把握することが難しい。紫外線を空間に照射して空間に浮遊する微生物を不活化させる性能を定量的に測定できることが好ましい。
【0005】
本発明はこうした課題に鑑みてなされたものであり、空間に浮遊する微生物の不活化性能を評価する技術を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明のある態様の評価方法は、吸気口および排気口を有する処理容器の内部の空気中に微生物を浮遊させる工程と、吸気口および排気口を閉じた状態で処理容器の内部の空気中に浮遊する微生物に紫外線を照射する工程と、紫外線の照射後、吸気口を通じて処理容器の内部に評価対象の微生物を含まない空気を流入させながら、排気口から処理容器の内部の容積よりも多くの体積の空気を排出させ、排出される空気中に含まれる微生物を回収する工程と、回収した微生物の量を測定する工程と、照射する工程における処理容器の内部の紫外線の平均積算照度に対する微生物の不活化量を評価する工程と、を備える。
【0007】
この態様によると、紫外線の照射後に処理容器の内部の容積よりも多くの体積の空気を排出させて微生物を回収することで、紫外線の照射後に処理容器内に残存する微生物を確実に回収することができる。これにより、微生物の不活化量の定量的な評価の精度を高めることができる。
【0008】
照射する工程において、処理容器の内部の空気を攪拌しながら処理容器の内部に紫外線を照射してもよい。
【0009】
微生物を浮遊させる工程において、排気口から処理容器の内部の空気を排出させながら、処理容器の内部の容積よりも多くの体積の空気であって微生物を含む空気を吸気口から流入させてもよい。
【0010】
微生物を浮遊させる工程において、処理容器の内部に配置される微生物を処理容器の内部の空気中に分散させてもよい。
【0011】
紫外線の平均積算照度は、処理容器の内部に設定される複数の仮想平面上での紫外線の照度の平均値である平均照度に紫外線の照射時間を乗算することにより算出されてもよい。
【0012】
複数の仮想平面は、紫外線の所定の照射方向に直交するように設定されてもよい。
【0013】
本発明の別の態様は、評価装置である。この装置は、吸気口および排気口を有する処理容器と、処理容器の内部の空気中に微生物を浮遊させる微生物供給装置と、吸気口および排気口を閉じた状態で処理容器の内部の空気中に浮遊する微生物に紫外線を照射する光源と、排気口に接続される微生物回収装置と、を備える。微生物回収装置は、紫外線の照射後、吸気口を通じて処理容器の内部に評価対象の微生物を含まない空気を流入させながら、排気口から処理容器の内部の容積よりも多くの体積の空気を排出させ、排出される空気中に含まれる微生物を回収する。
【0014】
この態様によると、紫外線の照射後に処理容器の内部の容積よりも多くの体積の空気を排出させて微生物を回収することで、紫外線の照射後に処理容器内に残存する微生物を確実に回収することができる。これにより、微生物の不活化量の定量的な評価の精度を高めることができる。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、空間に浮遊する微生物を不活化させる性能をより好適に定量評価できる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【
図1】実施の形態に係る評価装置の構成を概略的に示す図である。
【
図2】平均照度を算出するために処理容器の内部空間に設定される複数の仮想平面を模式的に示す図である。
【
図3】仮想平面上の照度分布の一例を模式的に示す図である。
【
図4】実施の形態に係る評価方法の流れを示すフローチャートである。
【
図5】変形例に係る評価装置の構成を概略的に示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、図面を参照しながら、本発明を実施するための形態について詳細に説明する。なお、説明において同一の要素には同一の符号を付し、重複する説明を適宜省略する。
【0018】
図1は、実施の形態に係る評価装置10の構成を概略的に示す図である。評価装置10は、処理容器12と、光源20と、微生物供給装置30と、微生物回収装置40とを備える。評価装置10は、処理容器12の内部空間14の空気中に浮遊する微生物に光源20からの紫外線22を照射し、紫外線照射による微生物の不活化性能(例えば死滅率)を測定および評価するために用いられる。試験対象となる微生物として、例えば、大腸菌や枯草菌といった細菌、カビなどの真菌、原生動物などを挙げることができる。
【0019】
処理容器12は、紫外線照射処理がなされる内部空間14を包囲する。処理容器12の形状は問わないが、例えば、円筒形状、直方体形状などである。処理容器12の材質は特に問わないが、少なくとも処理容器12の内面13が耐紫外線性を有する材料で構成されることが好ましい。処理容器12の内面13は、例えば、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)などのフッ素系樹脂やステンレスなどの金属材料で構成されることができる。
【0020】
処理容器12は、吸気口16および排気口18を有する。吸気口16は、微生物供給装置30と接続されており、試験対象となる微生物を含む空気が導入される。排気口18は、微生物回収装置40と接続されており、紫外線照射後の空気が排出される。
【0021】
光源20は、処理容器12の内部空間14に向けて紫外線22を出力するよう配置される。図示する例において、光源20は、処理容器12の内部空間14に設けられ、処理容器12の内面13に取り付けられている。光源20は、処理容器12の外部に設けられてもよく、処理容器12の壁の一部に設けられる窓部材を介して、処理容器12の内部空間14に紫外線を照射してもよい。窓部材は、石英(SiO
2)などのガラス材料、サファイア(Al
2O
3)または非晶質のフッ素系樹脂で構成することができる。
【0022】
光源20は、例えば、紫外線22を出力するLED(Light Emitting Diode)を含む。光源20のLEDは、発光の中心波長またはピーク波長が約200nm〜350nmの範囲に含まれ、殺菌効率の高い波長である260nm〜290nm付近の紫外線を発することが好ましい。このような紫外線LEDとして、例えば、窒化アルミニウムガリウム(AlGaN)を用いたものが知られている。光源20は、いわゆる殺菌灯や紫外線ランプといったLEDとは異なる形式のものであってもよい。
【0023】
処理容器12の内部には、攪拌装置28が設けられる。攪拌装置28は、光源20の内部空間14の空気を攪拌して微生物を浮遊させ、内部空間14の空気の全体に均一に紫外線22が照射されるようにする。攪拌装置28は、例えば、送風ファンなどで構成されることができる。
【0024】
微生物供給装置30は、噴霧部32、混合部34、吸気バルブ36および吸気フィルタ38を含む。噴霧部32は、試験対象となる微生物を噴霧して空気中に混入させる。混合部34は、吸気口16に向かう空気と、噴霧部32から供給される微生物とを混合させる。吸気口16に向かう空気は、吸気フィルタ38および吸気バルブ36を通じて供給される。吸気フィルタ38は、微生物の除去が可能な除菌フィルタであり、例えば、HEPA(High Efficiency Particulate Air)フィルタなどで構成される。
【0025】
微生物供給装置30は、吸気バルブ36を開けた状態で噴霧部32を動作させることにより、微生物を含む空気を吸気口16に供給する。微生物供給装置30は、噴霧部32の動作を制御することにより、吸気口16に供給される微生物の個数または濃度を調整してもよい。微生物供給装置30は、噴霧部32を動作させずに吸気バルブ36を開けた状態とすることで、微生物を含まない清浄な空気を吸気口16に供給する。
【0026】
微生物回収装置40は、インピンジャ42、排気ポンプ46および排気バルブ48を含む。インピンジャ42は、いわゆる液体捕集法により微生物を回収する器具である。排気口18から排出される微生物を含む空気がインピンジャ42の捕集液44を通過することにより、微生物は捕集液44に留まる一方、空気はインピンジャ42の外部に排出される。排気バルブ48を開けた状態で排気ポンプ46を動作させることにより、排気口18からの空気がインピンジャ42の捕集液44を通過し、捕集液44に微生物が回収される。微生物回収装置40は、いわゆる濾過捕集法により微生物を回収してもよく、例えば、微生物を含む空気がフィルタを通過することで、フィルタに微生物が留まるようにしてもよい。
【0027】
微生物回収装置40により回収された微生物の量は、公知の技術を用いて測定される。例えば、捕集液44に含まれる微生物の生物活性を測定する方法、捕集液44に含まれる微生物を培養してコロニー数をカウントとして微生物の残存量を測定する方法などが挙げられる。
【0028】
つづいて、処理容器12の内部空間14の紫外線照度の考え方について説明する。一般に、対象に紫外線を照射して殺菌処理をする場合、被照射面上での紫外線の照度(W/cm
2)に基づいて殺菌性能が評価されることが多い。しかしながら、本実施の形態のように空間に対して紫外線を照射する場合、単一の「被照射面」を設定することは難しい。そこで、本実施の形態では、内部空間14に複数の仮想平面を設定し、各仮想平面上での照度の平均化した「平均照度」に基づいて殺菌性能を評価することとする。
【0029】
図2は、平均照度を算出するために処理容器12の内部空間14に設定される複数の仮想平面24a〜24nを模式的に示す図である。複数の仮想平面24a〜24n(総称して仮想平面24ともいう)は、紫外線22の特定の照射方向Aに直交するように設定され、特定の照射方向Aに等間隔で並ぶように設定される。
【0030】
図3は、仮想平面24b上の照度分布の一例を模式的に示す図であり、処理容器12の内部空間14に対応する領域Cの照度分布を示す。
図3に示す例では、領域Cの中心付近の照度が高く、中心から離れるについて照度が低下するような分布となっている。このように設定される一つの仮想平面24bに入射する紫外線22の強度の合計値P(W)を領域Cの面積S(cm
2)で割ることにより、一つの仮想平面24b上での照度E(W/cm
2)=P/Sが得られる。
【0031】
さらに、
図2に示されるような複数の仮想平面24a〜24nのそれぞれで算出される照度Ea〜Enを平均化することで、処理容器12の内部空間14の全体としての平均照度Eavを求めることができる。なお、算出した平均照度Eavに紫外線22の照射時間tを掛け合わせることとにより、内部空間14に作用する紫外線の平均積算照度D(J/cm
2)=Eav×tを求めることができる。
【0032】
処理容器12の平均照度Eavは、実際の処理容器12を用いた紫外線22の照度の計測結果に基づいて算出されてもよいし、光学シミュレーションの結果に基づいて算出されてもよい。前者の場合、光源20からの距離を変えながら複数の仮想平面上での照度を実際に測定することにより平均照度Eavを求めることができる。後者の場合、処理容器12を模擬した光学モデルを作成し、その光学モデル上で光線追跡などのシミュレーションを実行することで、複数の仮想平面上での照度を算出して平均照度Eavを求めることができる。
【0033】
つづいて、評価装置10を用いた評価手順について説明する。まず、処理容器12の内部空間14に所定濃度の微生物を含む空気を導入する。吸気バルブ36および排気バルブ48を開けた状態で排気ポンプ46を動作させ、処理容器12に空気が流入するようにする。この状態で噴霧部32を動作させることにより、所定濃度の微生物を含む空気が処理容器12の内部空間14に充満するようにする。このとき、内部空間14の容積よりも多くの体積の微生物を含む空気を処理容器12の内部に流入させることが好ましい。内部空間14の容積を超える微生物を含む空気を流入させることで、内部空間14の微生物の濃度が所定濃度となるのを確実にし、評価精度を高めることができる。
【0034】
次に、吸気バルブ36および排気バルブ48を閉じることで内部空間14が密閉されるようにする。密閉状態のまま光源20を点灯させて内部空間14に紫外線22を照射するとともに、攪拌装置28を動作させて内部空間14の空気が攪拌されるようにする。所定の照射時間が経過した後、光源20を消灯させるとともに、攪拌装置28の動作を停止させる。また、紫外線22の照射処理中に微生物回収装置40の捕集液44を交換し、捕集液44に微生物が含まれていない状態にする。
【0035】
次に、吸気バルブ36および排気バルブ48を開けて排気ポンプ46を動作させることにより、紫外線照射された内部空間14の空気を排気し、排気された空気に含まれる微生物が捕集液44に回収されるようにする。このとき、内部空間14の容積よりも多くの体積の空気を排気させることが好ましく、吸気バルブ36を通じて評価対象の微生物を含まない空気を処理容器12の内部に流入させながら内部空間14の空気を採取することが好ましい。内部空間14の容積を超える空気を排気させることで、内部空間14に残存する微生物の大部分が微生物回収装置40に回収されるようにすることができ、評価精度を高めることができる。
【0036】
次に、微生物回収装置40により回収された微生物の量を測定し、微生物の生存数を求める。求めた微生物の生存数を内部空間14の容積で割ることにより、紫外線照射後の内部空間14に残存する微生物の残存濃度を求める。さらに、紫外線22の平均照度Eavおよび照射時間tから平均積算照度Dを算出することで、平均積算照度Dに対する微生物の不活化性能を評価できる。
【0037】
なお、対照試験を実施して紫外線22を照射しない場合の微生物の残存濃度を求めてもよい。具体的には、内部空間14に微生物を空気を導入する工程、内部空間14を密閉状態として内部の空気を所定時間にわたって攪拌する工程、攪拌後の空気を排気して残存する微生物を回収する工程、回収した微生物の量を測定する工程を実行する。このとき、攪拌する工程において紫外線22を非照射とする点以外の試験条件を同一とすることで、紫外線22を照射しない場合の微生物の残存濃度を求める。その後、紫外線22を照射した場合の微生物の残存濃度(照射時濃度)を紫外線22を照射していない場合の微生物の残存濃度(非照射時濃度)で割ることにより、微生物の不活化率(=照射時濃度/非照射時濃度)を求める。この不活化率を平均積算照度Dと比較することで、微生物の不活化性能を評価してもよい。
【0038】
さらに、紫外線22の照射強度や照射時間を異ならせて微生物の不活化率を求めることで、紫外線22の平均積算照度Dを変化させたときの不活化率の変化の傾向を求めることができる。これにより、平均積算照度Dに対する微生物の不活化性能をより好適に評価できる。
【0039】
図4は、実施の形態に係る評価方法の流れを示すフローチャートである。まず、処理容器12の内部に微生物を供給し(S10)、吸気バルブ36および排気バルブ48を閉じて処理容器12を密閉状態とする(S12)。処理容器12の内部空間14に光源20からの紫外線22を照射し(S14)、所定時間が経過するまで紫外線照射を継続し(S16のN)、所定時間の経過後(S16のY)、紫外線照射を停止する(S18)。つづいて、吸気バルブ36および排気バルブ48を開けて紫外線照射後の内部空間14の空気を排気し(S20)、内部空間14の容積を超えるまで排気を継続し(S22のN)、内部空間14の容積を超えて排気された場合(S22のY)、微生物回収装置40により回収された微生物の量を測定する(S24)。つづいて、紫外線22の平均積算照度Dに対して微生物の不活化量を評価し(S26)、本フローを終了する。
【0040】
本実施の形態によれば、処理容器12の内部空間14の容積よりも多くの体積の微生物を含む空気を導入することで、紫外線照射前の内部空間14の微生物濃度が所定濃度となるようにすることができる。また、紫外線照射後に処理容器12の内部空間14の容積よりも多くの体積の空気を排出させることで、紫外線照射後の内部空間14に残る微生物の大部分を回収することができる。これにより、微生物の量の測定精度を高めることができる。さらに、内部空間14の紫外線22の照射態様を数値的に評価するために平均照度を用いることで、空間に対する紫外線照射の性能を数値的に適切に評価できる。
【0041】
図5は、変形例に係る評価装置110の構成を概略的に示す図である。本変形例では、微生物供給装置130が処理容器12の内部空間14に設けられる点で上述の実施の形態と相違する。以下、本変形例について、上述の実施の形態との相違点を中心に説明し、共通点については適宜記載を省略する。
【0042】
評価装置110は、処理容器12と、光源20と、微生物供給装置130と、微生物回収装置40とを備える。微生物供給装置130は、処理容器12の内部に配置され、内部空間14に微生物を直接的に供給するよう構成される。微生物供給装置130は、例えば、粉末状の微生物を保持し、粉末状の微生物を振動させることで内部空間14に微生物を分散させる。微生物供給装置130は、攪拌装置28により生じる空気の流れにより微生物を分散させるよう構成されてもよい。
【0043】
処理容器12の吸気口16には吸気バルブ36が接続されている。吸気バルブ36を開けることにより、吸気フィルタ38を通過した清浄な空気が処理容器12の内部空間14に導入される。微生物供給装置130は、内部空間14に導入された空気に微生物を分散させ、内部空間14の空気に所定濃度の微生物が含まれるようにする。攪拌装置28は、内部空間14の空気を攪拌し、内部空間14の空気中に微生物を浮遊させる。
【0044】
本変形例によれば、微生物供給装置130が内部空間14に設けられるため、処理容器12の外部から微生物を導入する場合と比べて、内部空間14の微生物の濃度を容易に制御することができる。これにより、微生物量の測定精度を高め、不活化性能をより好適に評価できる。
【0045】
以上、本発明を実施例にもとづいて説明した。本発明は上記実施の形態に限定されず、種々の設計変更が可能であり、様々な変形例が可能であること、またそうした変形例も本発明の範囲にあることは、当業者に理解されるところである。
【0046】
上述の実施の形態では、紫外線を用いて微生物の不活化させる場合について説明した。変形例においては、X線やγ線などの放射線を用いてもよい。また、イオン粒子、オゾン(O
3)、ラジカル分子などにより微生物を不活化させる場合の評価に上述の技術を適用してもよい。
【符号の説明】
【0047】
10…評価装置、12…処理容器、14…内部空間、16…吸気口、18…排気口、20…光源、22…紫外線、30…微生物供給装置、40…微生物回収装置。