(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明の実施形態について、図面を参照して説明する。
【0016】
図1は、本発明の一実施形態に係る組電池の外観斜視図であり、組電池の上部ケースを外した状態を示す外観斜視図である。ただし、
図1では、各部品の描写について一部簡略化して示している。各部品の詳細については、
図5乃至
図15を参照されたい。組電池100は、電池セルを収容する下部ケース110と、下部ケース110に収容された電池セルを上部ケースが取り付けられる側(以下、「上面側」ともいう)において保持するセルホルダ120と、セルホルダ120の上面側に取り付けられた補機台座200と、補機台座200に取り付けられた各種部品と、各種部品を保護するための
図1には図示していない上部ケースとを備える。
【0017】
本実施形態において、組電池100は、補機台座200に取り付けられる各種部品として、半導体スイッチング素子としてのMOSFET(metal oxide semiconductor field effect transistor)210と、リレー220と、電流センサ230と、ヒュージブルリンク240とを備える。また、組電池100は、上部ケースを取り付けた状態において上部ケースの外部に突出するSSG端子250、LOAD端子260及びGND端子270の3つの端子を備える。
【0018】
本実施形態において、組電池100は、内燃機関を備えた車両、又は内燃機関と電動機との双方の動力で走行可能なハイブリッド車両等の車両に搭載されて使用されるものとして説明するが、組電池100の用途は車両用に限られない。
【0019】
図2は、
図1に示す組電池100を含む電源システムの概略を示す機能ブロック図である。電源システム400は、組電池100と、オルタネータ410と、スタータ420と、第2の二次電池430と、負荷440と、スイッチ450と、制御部460とを備える。組電池100は、下部ケース110に収容される第1の二次電池130を含む。第1の二次電池130、オルタネータ410、スタータ420、第2の二次電池430及び負荷440は、並列に接続される。
【0020】
組電池100は、MOSFET210と、リレー220と、電流センサ230と、ヒュージブルリンク240と、第1の二次電池130と、バッテリコントローラ(LBC)140とを備える。リレー220と、電流センサ230と、ヒュージブルリンク240と、第1の二次電池130とは、この順で直列に接続される。また、MOSFET210は、第2の二次電池430及び負荷440に直列に接続される。
【0021】
組電池100において、SSG端子250はオルタネータ410に接続され、LOAD端子260は負荷440に接続される。また、GND端子270は、接地のために使用される。
【0022】
リレー220は、第1の二次電池130を、電源システム400における組電池100外の各構成要素と並列に接続し又は切り離すスイッチとして機能する。
【0023】
電流センサ230は、適宜な構造を有し、適宜な方式で第1の二次電池130を含む回路に流れる電流を測定する。
【0024】
ヒュージブルリンク240は、ヒューズ本体と、ヒューズ本体を収容保持する絶縁樹脂製のハウジングと、ハウジングを覆う絶縁樹脂製のカバーとにより構成され、過電流が生じた場合に溶断する。
【0025】
第1の二次電池130は、
図3に下部ケース110及びセルホルダ120を透明な状態で示すように、下部ケース110に収容される電池セル150のアセンブリにより構成される。第1の二次電池130を構成する各電池セル150は、例えばリチウムイオン電池又はニッケル水素電池等の二次電池である。第1の二次電池130は、正極側がヒュージブルリンク240に接続され、負極側がGND端子270を介して接地される。
【0026】
MOSFET210は、第2の二次電池430及び負荷440を、電源システム400における他の構成要素と並列に接続し又は切り離すスイッチとして機能する。
【0027】
LBC140は、第1の二次電池130に接続され、第1の二次電池130の状態を推定する。LBC140は、例えば第1の二次電池130の充電状態(SOC:state of charge)等を推定する。
【0028】
オルタネータ410は、発電機であって、車両のエンジンに機械的に接続される。オルタネータ410は、エンジンの駆動によって発電を行う。オルタネータ410がエンジンの駆動によって発電した電力は、レギュレータで出力電圧を調整されて、組電池100が備える第1の二次電池130、第2の二次電池430、及び負荷440に供給され得る。またオルタネータ410は、車両の減速時等に回生によって発電可能である。オルタネータ410が回生発電した電力は、第1の二次電池130及び第2の二次電池430の充電に使用される。
【0029】
スタータ420は、例えばセルモータを含んで構成され、第1の二次電池130及び第2の二次電池430の少なくとも一方からの電力供給を受けて、車両のエンジンを始動させる。
【0030】
第2の二次電池430は、例えば鉛蓄電池により構成され、負荷440に電力を供給する。
【0031】
負荷440は、例えば車両に備えられたオーディオ、エアコンディショナ、及びナビゲーションシステム等を含み、供給された電力を消費して動作する。負荷440は、エンジン駆動の停止中に第1の二次電池130から電力供給を受けて動作し、エンジン駆動中にオルタネータ410及び第2の二次電池430から電力供給を受けて動作する。
【0032】
スイッチ450は、スタータ420と直列に接続される。スイッチ450は、スタータ420を他の構成要素と並列に接続し又は切り離す。
【0033】
制御部460は、電源システム400の全体の動作を制御する。制御部460は、例えば車両のECU(Electric Control Unit又はEngine Control Unit)により構成される。制御部460は、スイッチ450、MOSFET210及びリレー220の動作をそれぞれ制御して、オルタネータ410、第1の二次電池130及び第2の二次電池430による電力供給、並びに第1の二次電池130及び第2の二次電池430の充電を行なう。
【0034】
次に、組電池100の詳細な構成について、
図4乃至
図17を参照して説明する。
図4は、
図1の組電池の分解斜視図である。ただし、
図4では、
図1と同様に、各部品の描写を一部簡略化している。
図5は、下部ケース110の外観斜視図であり、
図6は、下部ケース110の上面図である。また、
図7は、セルホルダ120の外観斜視図である。
図7(a)は、セルホルダ120の上面側からの外観斜視図であり、
図7(b)は、セルホルダ120の上面側と反対側(以下、「下面側」ともいう)からの外観斜視図である。
図8は、下部ケース110にセルホルダ120を取り付けた状態を示す外観斜視図である。
図9は、セルホルダ120に取り付けられたセル間バスバ160の拡大外観斜視図である。
図10は、組電池100における電池セル150と下部ケース110及びセルホルダ120との接着位置を模式的に示す図である。
図11は、セルホルダ120の係合爪205と下部ケース110の係合孔115との係合前後の状態を模式的に示す図である。
図12は、補機台座200の外観斜視図であり、
図13は、補機台座200を一側面から見た場合の側面図である。
図13(a)は、補機台座200のみの側面図であり、
図13(b)は、補機台在200に、リレー220等の各部品を載置した状態の側面図である。
図14は、各部品及びバスバを取り付けた状態を示す補機台座200の外観斜視図である。
図15は、各部品及びバスバをナット290で固定した状態を示す補機台座200の上面図である。
図16は、組電池全体の組立の様子を示す図であり、
図17は、電池モジュール群と補機モジュール群との組付けの様子を説明するための図である。
【0035】
本実施形態に係る組電池100は、電池モジュール群と、補機モジュール群とを組み立てた後、電池モジュール群と補機モジュール群とを組付け、上部ケースを固定することにより組み立てられる。すなわち、電池モジュール群と補機モジュール群とを別々に組み立てることができるため、組付けタクト及び組付けロスを低減することができる。
【0036】
電池モジュール群は、電池セル150と、電池セル150を収容する下部ケース110と、電池セル150を保持するセルホルダ120と、セル間バスバ160と、総プラス端子バスバ164と、総マイナス端子バスバ165と、LBC140とを組み付けることにより構成される。
【0037】
本実施形態において、組電池100が備える電池セル150は、略直方体形状である。本実施形態の組電池100は、電池セル150を5つ収容するが、組電池100が収容可能な電池セル150の数量は5つに限られない。組電池100が収容可能な電池セル150の数量は、電池セル150の最大出力及び車両等の被駆動機器が消費する電力等に応じて、適宜決定される。
【0038】
下部ケース110は、
図5に示すように、上面側から電池セル150を収容可能な空間110aを有する筐体である。つまり、下部ケース110は、底面111と、4つの側面112a、112b、112c及び112dとを有し、底面111の反対側(つまり上面側)に開口113を有する。下部ケース110において、側面112aと112cとが対向し、側面112bと112dとが対向する。以下、4つの側面112a、112b、112c及び112dを区別しない場合には、まとめて側面112と記載する。側面112の高さは、下部ケース110に収容する電池セル150の高さよりも低くなっている。
【0039】
側面112b及び112dは、下部ケース110の外側(つまり空間110aの反対側)に、組電池100を車両に取り付けるための取付機構114を備える。取付機構114は、車両との取付方法に応じて、適宜、形状と、側面112b及び112d上における位置とが決定される。
【0040】
また、側面112は、開口113側に、セルホルダ120との係合用の係合孔115を有する。本実施形態において、各側面112は、開口113側の中央及び両端近傍に、3つの係合孔115を有する。
【0041】
底面111は、下部ケース110の内側(つまり空間110a側)に、収容する電池セル150の位置を示すとともに収容した電池セル150の位置ずれを防止するためのガイド116を備える。ガイド116は、電池セル150同士の空間を維持する機能も有する。なお、ガイド116により形成される電池セル150間の空間には、例えば絶縁シート等が挿入されていてもよい。
【0042】
ガイド116の高さは、側面112の高さよりも低くなっている。本実施形態において、ガイド116は、側面112b及び112dに平行に、等間隔に4つ設けられる。すなわち、本実施形態において、下部ケース110は、ガイド116により5つに区切られた底面111の各領域に沿って、側面112bから側面112dまで積層するように配置された5つの電池セル150を収容する。
【0043】
一般に、下部ケース110の製造において、取付機構114を備える側面112b及び112dよりも、取付機構114を備えない側面112a及び112cの方が、寸法誤差が生じにくい。そのため、本実施形態のように、電池セル150を側面112a及び112cの方向に沿って積層するように配置することにより、下部ケース110に収容された電池セル150は、下部ケース110内において積層方向にずれにくくなる。
【0044】
なお、ガイド116の位置及び大きさ等は、下部ケース110が収容する電池セル150の形状及び数量等に応じて、適宜決定される。
【0045】
電池セル150は、略直方体形状の1つのキャップ面151上に、正極端子152と、負極端子153とを有する。キャップ面151は、長辺と短辺とを有する長方形状であり、正極端子152及び負極端子153は、キャップ面151の長辺方向の両端付近に設けられている。また、キャップ面151の中央には、経年劣化や熱暴走等によって電池セル150内部でガスが発生し電池セル150内部の圧力が所定以上になった場合にガスを外部に排出するために開く安全弁154が設けられている。電池セル150は、キャップ面151が開口113から突出するように、つまり上面側となるように、下部ケース110に収容される。
図4に示すように、下部ケース110内において、電池セル150は、互いに隣接する電池セル150の正極端子152と負極端子153との配置が逆方向となるように、下部ケース110内に収容される。
【0046】
電池セル150のキャップ面151側、つまり下部ケース110の開口113側には、セルホルダ120が取り付けられる。
【0047】
セルホルダ120は、上面視において略長方形で、所定の高さを有する外周枠121と、外周枠121の内側において、セルホルダ120が下部ケース110に係合した状態で電池セル150を上面側から保持する保持蓋122とを備える。保持蓋122は、下部ケース110に収容された電池セル150のキャップ面151を上面側から保持する。
【0048】
外周枠121は、4つの側面121a、121b、121c及び121dを有する。4つの側面121a、121b、121c及び121dは、外周枠121と下部ケース110とが係合された状態において、それぞれ下部ケース110の4つの側面112a、112b、112c及び112dに対応する位置に配置される。
【0049】
外周枠121は、側面121b及び121dの端部に、補機台座200をねじ留めによりセルホルダ120に固定するためのねじ穴123aを有するねじ穴形成部123を備える。外周枠121は、側面121b及び121dから外側に突出するように形成されている。ねじ穴形成部123において、ねじ穴123aは、上面側からねじを挿入できるように形成されている。
【0050】
また、外周枠121は、側面121b及び121dの上面側に、補機台座200に取り付けたバスバ(つまり、後述する総プラス銅バスバ285及び総マイナス銅バスバ286)をセルホルダ120にねじ留めするためのねじ穴123bを有する。ねじ穴123bは、後述する総プラス端子バスバ164及び総マイナス端子バスバ165が取り付けられる開口124aの近傍に設けられることが好ましい。尚、上記銅バスバ285、286、及び以下に挙げられる各種銅バスバは、銅以外の他の導体を用いたバスバとしても構わない。
【0051】
保持蓋122は、セルホルダ120と下部ケース110との係合状態における電池セル150の正極端子152及び負極端子153に対応する位置に、開口124aを有する。つまり、
図8に示すように、セルホルダ120と下部ケース110との係合状態において、電池セル150の正極端子152及び負極端子153は、開口124aから保持蓋122の上面側に露出した状態となる。
【0052】
また、保持蓋122は、セルホルダ120と下部ケース110との係合状態における電池セル150の安全弁154に対応する位置に、開口124bを有する。つまり、
図8に示すように、セルホルダ120と下部ケース110との係合状態において、安全弁154から排出されたガスは、開口124aから電池セル150の外部に排出される。
【0053】
開口124aから露出して一列に整列した正極端子152及び負極端子153は、ヒュージブルリンク240に接続される正極端子152とGND端子270に接続される負極端子153とを除いて、隣り合う端子同士がセル間バスバ160により電気的に接続される。セル間バスバ160は、例えばアルミニウム等の導電性の金属で構成される。セル間バスバ160は、セルホルダ120に取り付けられて正極端子152と負極端子153とに接続した状態における、開口124a間での保持蓋122のフレーム部分122aとの干渉を回避するための凸部161を有する。つまり、セル間バスバ160は、側面視において、正極端子152及び負極端子153に接続する2つの端子接続部162と、2つの端子接続部162を接続する、端子接続部162から上面側に突出した凸部161とを有する。
【0054】
端子接続部162は、例えば
図9に示すように、中央に溶接用開口162aを有する。セル間バスバ160並びに後述する総プラス端子バスバ164及び総マイナス端子バスバ165は、溶接用開口162aの周縁部においてビード溶接により、電池セル150の各端子に接続される。
【0055】
また、各端子接続部162は、セルホルダ120に取り付けた状態において、開口124b側に突出する電圧センサ取付端子163を有する。各電圧センサ取付端子163は、ねじ穴163aを有する。セル間バスバ160において、各電圧センサ取付端子163は、セル間バスバ160の端子接続部162を正極端子152又は負極端子153に接続した場合に、後述するねじ穴形成部126上に配置されるように形成されている。ねじ穴163aは、電圧センサ取付端子163がねじ穴形成部126上に配置された状態において、ねじ穴形成部126に形成されたねじ穴126aと重なり、LBC140のねじ留めにより、ねじ穴126aとねじ穴163aとが合わせてねじ留めされる。電圧センサ取付端子163は、電圧センサに接続され、端子間の電圧を検出するために用いられる。
【0056】
また、ヒュージブルリンク240に接続される正極端子152には、総プラス端子バスバ164が接続され、GND端子270に接続される負極端子153には、総マイナス端子バスバ165が接続される。総プラス端子バスバ164及び総マイナス端子バスバ165は、例えばアルミニウム等の導電性の金属で構成される。総プラス端子バスバ164及び総マイナス端子バスバ165は、1つの端子接続部162と、それぞれ補機台座200が備える総プラス銅バスバ285及び総マイナス銅バスバ286に接続するための外部接続部166とを有する。外部接続部166は、外周枠121の内側の面及び外側の面を挟持するような、端子接続部162よりも上面側に突出した凸形状になっている。特に、外部接続部166は、
図16に示すように、外周枠121の内側の面から外側の面に跨って形成されるバスバ支持部123cに沿って取り付けられる。また、外部接続部166は、外周枠121に取り付けられた状態において、ねじ穴123bに対応する位置にねじ穴166aを有する。なお、総プラス端子バスバ164及び総マイナス端子バスバ165の端子接続部162も、セルホルダ120に取り付けた状態において、開口124b側に突出する電圧センサ取付端子163を有する。
【0057】
保持蓋122は、セルホルダ120に取り付けられるセル間バスバ160同士の間、及び、セル間バスバ160と総プラス端子バスバ164又は総マイナス端子バスバ165との間に、バスバ同士の電気的な接続を防止するとともにバスバの位置決めを行うためのビード125を備える。ビード125は、保持蓋122の上面側に突出する。
【0058】
また、保持蓋122は、上面側にLBC140を固定するためのねじ穴形成部126を備える。ねじ穴形成部126は、保持蓋122の上面側において、開口124aと開口124bとの間に形成される。すなわち、本実施形態においては、保持蓋122は、10個のねじ穴形成部126を備える。ねじ穴形成部126は、略円柱形状であり、中央にねじ穴126aが設けられている。LBC140は、セルホルダ120の上面側に載置され、ねじ穴形成部126に形成されたねじ穴126aを使用して、上面側からセルホルダ120にねじ留めされる。
【0059】
また、保持蓋122は、下面側において、下部ケース110に収容する電池セル150の位置ずれを防止するためのリブ127を備える。リブ127は、側面121b及び121dに平行に、等間隔に4つ設けられる。つまり、保持蓋122のリブ127は、セルホルダ120と下部ケース110とが係合した状態において、下部ケース110のガイド116に対応する方向及び位置に設けられる。
【0060】
外周枠121は、全周に亘って、所定の高さの係合挿入部121eを有する。係合挿入部121eは、外周枠121の他の箇所よりも厚みが薄くなっており、そのため、外周枠121の外側の面は、係合挿入部121eが、外周枠121の他の箇所よりも窪んでいる。係合挿入部121eは、
図11(b)に示すように、セルホルダ120を下部ケース110に係合させる際に、下部ケース110の開口113側において、下部ケース110の内側に挿入される。
【0061】
各側面121a、121b、121c及び121dにおいて、係合挿入部121eは、中央及び両端近傍に、3つの係合爪128を備える。係合爪128は、下部ケース110の係合孔115に対応する位置に設けられる。セルホルダ120と下部ケース110とを係合させる際、セルホルダ120の係合爪128が、下部ケース110の係合孔115に嵌め込まれて係合されることにより、セルホルダ120と下部ケース110とが係合される。なお、係合孔115及び係合爪128の位置及び数量は、本実施形態において示した例に限られず、適宜の位置及び数量に決定することができる。
【0062】
また、外周枠121は、側面121a及び121cの上面側であって、ねじ穴123bの近傍に係合孔129aを備える。係合孔129aは、外周枠121から外部側に突出するように設けられており、上面視において、略長方形状の孔になっている。係合孔129aは、セルホルダ120と補機台座200とを組み付ける際に使用される。
【0063】
また、外周枠121は、各側面121a、121b、121c及び121dの中央付近の上面側に、係合孔129bを備える。係合孔129bは、外周枠121から外部側に突出するように設けられており、上面視において、略長方形状の孔になっている。係合孔129bは、セルホルダ120と上部ケースとを組み付ける際に使用される。なお、係合孔129bは、必ずしも各側面121a、121b、121c及び121dの中央付近に設けられていなくてもよく、後述する上部ケースを係合可能な位置であれば、任意の位置に設けられていてもよい。
【0064】
ここで、電池モジュール群の組立について説明する。まず、電池セル150に接着剤を塗布する。接着剤は、電池セル150と、下部ケース110及びセルホルダ120とを接着可能な任意の接着剤であり、例えばエポキシ系接着剤を使用することができる。セルホルダ120と下部ケース110とを係合した際に、下部ケース110内で電池セル150の位置が固定されていればよいため、接着剤は、必ずしも電池セル150の全体に塗布されていなくてもよく、電池セル150の一部分に塗布されてもよい。例えば、接着剤は、電池セル150において、下部ケース110に電池セル150を挿入した際に底面111に接触する面(つまりキャップ面151の反対側の面)と、セルホルダ120で上面側から電池セル150を保持する際に保持蓋122に接触する面(つまりキャップ面151)とに、塗布されてもよい。特に、キャップ面151は、正極端子152と、負極端子153と、安全弁154とを有するため、これらの正極端子152、負極端子153及び安全弁154に接着剤が塗布されないよう、例えば、キャップ面151の長手方向の周縁にのみ接着剤が塗布されてもよい。
【0065】
図10は、電池セル150において、下部ケース110に電池セル150を挿入した際に底面111に接触する面と、セルホルダ120で上面側から電池セル150を保持する際に保持蓋122に接触する面(つまりキャップ面151)とに接着剤を塗布した場合における、接着位置を模式的に示す図である。
図10は、
図8のA−A線における断面図であり、積層された5つの電池セル150のうち、特に中央の電池セル150及びその周辺のみを示している。また、
図10では、接着剤が塗布される領域を、網掛けにより示している。この場合、
図10に示されるように、電池セル150は、保持蓋122とリブ127との交差部分の周辺においてセルホルダ120に接着され、底面111において下部ケース110に接着される。
【0066】
なお、電池セル150と下部ケース110の底面111との間に塗布されるのは、接着剤に限られない。電池セル150と底面111との間には、他の充填剤が塗布されてもよい。充填剤は、特に弾性を有するものが好ましい。弾性を有する充填剤を電池セル150と底面111との間に塗布することにより、組電池100を備える車両の走行時に生じる振動を充填剤が吸収するため、電池セル150に振動が伝達されにくい。
【0067】
次に、セルホルダ120を上下反転させた状態で、電池セル150のキャップ面151を下向きにして、セルホルダ120の保持蓋122の下面側に、リブ127に従って電池セル150を挿入する。そして、下部ケース110を上下反転させた状態で、電池セル150が挿入されたセルホルダ120に覆い被せるようにして、下部ケース110をセルホルダ120に係合させる。このとき、
図11(a)及び(b)に示すように、セルホルダ120の係合爪128を下部ケース110の係合孔115に係合させる。セルホルダ120と下部ケース110とが係合した状態の様子の一例が、
図8に示されている。
【0068】
なお、電池セル150の接着手順は、上記手順に限られない。例えば、下部ケース110及びセルホルダ120を上下反転させることなく、電池セル150を下部ケース110の空間110aに挿入し、その上からセルホルダ120を下部ケース110に係合させてもよい。
【0069】
そして、保持蓋122の開口124aから露出した電池セル150の各端子に、セル間バスバ160、総プラス端子バスバ164及び総マイナス端子バスバ165を、ビード溶接により取り付け、保持蓋122にLBC140を取り付けることにより、電池モジュール群の組立が完了する。LBC140は、上述したように、例えばねじ留めにより保持蓋122に取り付けられる。
【0070】
次に、本実施形態に係る組電池100の補機モジュール群について説明する。補機モジュール群は、補機台座200と、補機台座200上に配置されるMOSFET210、リレー220、電流センサ230及びヒュージブルリンク240と、補機台座200上に配置される各部品を電気的に接続するための銅バスバとを組み付けることにより構成される。
【0071】
補機台座200は、4つの側面200a、200b、200c及び200dと、載置面201とを有する。4つの側面200a、200b、200c及び200dは、補機台座200が電池モジュール群に組み付けられた状態において、それぞれ下部ケース110の4つの側面112a、112b、112c及び112d(及びセルホルダ120の4つの側面121a、121b、121c及び121d)に対応する位置に配置される。
【0072】
載置面201には、側面200aの近傍に電流センサ230が、側面200bの近傍にMOSFET210が、側面200cの近傍にリレー220が、側面200dの近傍にヒュージブルリンク240が、それぞれ載置される。載置面201には、
図12に示すように、MOSFET210、リレー220、電流センサ230及びヒュージブルリンク240を載置する位置に応じて、凹凸が形成されている。載置面201は、凹凸により、凹凸がない場合と比較して剛性が高くなっている。
【0073】
本実施形態において、載置面201の凹凸は、
図12に示すように、載置面201においてリレー220が載置される領域201cが、電流センサ230が載置される領域201a、MOSFET210が載置される領域201b及びヒュージブルリンク240が載置される領域201dと比較して、組電池100を組み立てた際に高い位置になるように形成されている。また、載置面201の凹凸は、ヒュージブルリンク240が載置される領域201dが、領域201a及び領域201bと比較して、組電池100を組み立てた際に高い位置になるように形成されている。代替例として、領域201dは領域201bと同じ高さになるように形成されてもよい。つまり、載置面201の凹凸は、電流センサ230が載置される領域201aが、領域201c及び領域201dよりも低い位置になるように形成されている。載置面201がこのような凹凸を有することにより、ヒュージブルリンク240を、補機台座200においてリレー220よりも低い位置に配置するとともに、ヒュージブルリンク240よりも厚い電流センサ230も、リレー220よりも低い位置に配置することができる。このため、作動振動を発生するリレー220は、他の部品(MOSFET210、電流センサ230及びヒュージブルリンク240)よりも高い位置に配置され、リレー220及び他の部品よりも重い1以上の電池セル150がこれらより下方に配置されることになる。したがって、リレー220が電池セル150(マス)から比較的遠い位置に配置されるので、作動振動が電池セル150に直接伝わることがない。すなわち、リレー220の作動振動が吸収され作動振動音の伝搬が防止される。また、MOSFET210、電流センサ230及びヒュージブルリンク240のうち最も厚い電流センサ230を補機台座200上で最も低い位置に配置するため、組み付け後に電流センサ230が他の補機に比べて上方に突出しない。このため、組電池100が高くなることを避けることができる。
【0074】
電流センサ230、MOSFET210、リレー220及びヒュージブルリンク240は、それぞれ領域201a、201b、201c及び201dにおいて、載置面201の凹凸により形成される立ち壁又は載置面201に形成されたリブ202により、位置決めされる。
【0075】
本実施形態では、例えば
図12及び
図14に示すように、領域201cは、その周囲の一部がリブ202により囲われている。つまり、リレー220は、リブ202により位置決めされる。補機台座200のリブ202は、ナット290でリレー220を補機台座200に固定する際の廻り止め(位置決め)の機能及びリレー220の締結補強機能も有する。
図14において補機台座200は、リレー220と電流センサ230との間を接続する銅バスバ281と、リレー220とMOSFET210との間を接続する銅バスバ282との間にリブ202を有する。当該リブ202は銅バスバ281及び銅バスバ282の廻り止めの機能を有する。また、リブ202は、後述する銅バスバ同士の接触を防止する絶縁の機能も有する。例えばリブ202は、銅バスバ281と銅バスバ282とを絶縁する機能をも有する。このように銅バスバ281と銅バスバ282との間にリブ202が設けられるため、補機台座200の中央付近は突起状となる。
【0076】
また、MOSFET210、リレー220及びヒュージブルリンク240は、それぞれ領域201a、201b及び201dの周囲の一部に形成された立ち壁により位置決めされる。載置面201における立ち壁は、ナット290でMOSFET210、リレー220及びヒュージブルリンク240を補機台座200に固定する際の廻り止めの機能も有する。
【0077】
また、補機台座200は、載置面201に複数の上向きのスタッド203を備える。スタッド203は、電池モジュール群の電池セル150と、MOSFET210と、リレー220と、電流センサ230と、ヒュージブルリンク240とを互いに電気的に接続するために使用される。また、SSG端子250、LOAD端子260及びGND端子270も、載置面201から上向きに延在しており、スタッドとして機能する。
【0078】
各スタッド203と、SSG端子250と、LOAD端子260と、GND端子270とは、凹凸を有する載置面201において、適宜な高さに設けられる。例えば、各スタッド203は、載置面201において、各領域201a、201b、201c及び201dにそれぞれ載置される電流センサ230、MOSFET210、リレー220及びヒュージブルリンク240の各端子に合わせた高さに設けられる。つまり、各スタッド203の直径は、電流センサ230、MOSFET210、リレー220及びヒュージブルリンク240の各端子に設けられた接続用開口に合わせた大きさになっており、電流センサ230、MOSFET210、リレー220及びヒュージブルリンク240は、それぞれ上面側から端子の接続用開口にスタッド203を通すことにより、補機台座200に取り付けられる。このように各スタッド203の向きを上向きにすることにより、自動化等により補機台座200への各部品の取り付けがしやすく仮固定も可能となるため、補機モジュール及び組電池100の生産性が向上する。
【0079】
また、本実施形態において、GND端子270は、SSG端子250及びLOAD端子260よりも低い位置に設けられる。このように、GND端子270と、SSG端子250及びLOAD端子260との高さを変えることにより、GND端子270の識別性が高まるため、組電池100を車両に搭載する際における誤配線を防止しやすくなる。
【0080】
ここで、補機台座200上における、銅バスバを使用した各部品の配線について説明する。
図14及び
図15に示すように、銅バスバ280乃至284は、補機台座200の載置面201の凹凸に沿うように、配置される位置に応じて多様な形状を有する。
【0081】
ヒュージブルリンク240の端子240bは、銅バスバ280を介して、電流センサ230の端子230aに電気的に接続される。電流センサ230の他方の端子230bは、銅バスバ281を介して、リレー220の端子220aに電気的に接続される。電流センサ230とリレー220とを電気的に接続する銅バスバ281は図示する通り、折れ曲がった形状の段違いバスバである。すなわち、銅バスバ281は、電流センサ230の他方の端子230bから、当該他方の端子230bよりも高い位置に配置されたリレー220に向かって駆け上がるように高くなる。リレー220の端子220bは、銅バスバ282を介して、MOSFET210の正極端子210aに電気的に接続される。リレー220の端子220bは、さらに、銅バスバ282及び283を介して、SSG端子250に電気的に接続される。MOSFET210の他方の端子210bは、銅バスバ284を介して、LOAD端子260に電気的に接続される。
【0082】
ヒュージブルリンク240の端子240aには、電池モジュール群の総プラス端子バスバ164に電気的に接続するための総プラス銅バスバ285が接続される。また、GND端子270には、電池モジュール群の総マイナス端子バスバ165に電気的に接続するための総マイナス銅バスバ286が接続される。総プラス銅バスバ285及び総マイナス銅バスバ286は、それぞれ側面200b及び200dに沿って下面側に延びており、その先端が、補機台座200とセルホルダ120とが組み付けられた状態においてそれぞれ総プラス端子バスバ164及び総マイナス端子バスバ165とに接触することにより、電気的な接続が担保される。総プラス銅バスバ285及び総マイナス銅バスバ286は、その先端に、補機台座200とセルホルダ120とが組み付けられた状態において、セルホルダ120に設けられたねじ穴123bに対応する位置に、それぞれねじ穴285a及び286aを有する。
【0083】
銅バスバ280乃至284及び総プラス銅バスバ285は、上面側からスタッド203にねじ嵌合されるナット290により、MOSFET210、リレー220、電流センサ230及びヒュージブルリンク240とともに補機台座200に固定される。また、リレー220は、端子220a及び端子220bとは異なる位置に設けられた開口221をスタッド203に通して、上面側からナット290をスタッド203にねじ嵌合することによっても、補機台座200に固定される。
【0084】
なお、各銅バスバは、上述したように、補機台座200に設けられたリブ202により、互いに接触しないように配置されている。また、リレー220の端子220a及び端子220bに設けられた隔壁222も、各銅バスバが接触しないように絶縁する機能を有する。
【0085】
補機台座200は、側面200b及び200dの端部に、セルホルダ120と補機台座200とをねじ留めにより固定するためのねじ穴204aを有するねじ穴形成部204を備える。ねじ穴204aは、セルホルダ120と補機台座200とが組み付けられた状態においてセルホルダ120に設けられたねじ穴123aに対応する位置に設けられる。
【0086】
また、補機台座200は、側面200aの総プラス銅バスバ285を取り付けるスタッド203の近傍と、側面200cの総マイナス銅バスバ286を取り付けるGND端子270の近傍とに、係合爪205を備える。係合爪205は、セルホルダ120と補機台座200とが組み付けられた状態において、係合孔129aに対応する位置に設けられる。係合爪205は、側面200a及び200cの外部側から下面方向に延びており、係合爪205の先端部は、側面視において楔形状になっている。係合爪205の先端部が係合孔129aに嵌め込まれることにより、係合爪205と係合孔129aとが係合する。
【0087】
ここで、補機モジュール群の組立について説明する。補機モジュール群の組立では、まず、各部品(つまり、MOSFET210、リレー220、電流センサ230、ヒュージブルリンク240)及び銅バスバ(つまり、銅バスバ280乃至284、総プラス銅バスバ285及び総マイナス銅バスバ286)が、補機台座200の載置面201のスタッド203、SSG端子250、LOAD端子260及びGND端子270に、通して配置される。そして、スタッド203、SSG端子250、LOAD端子260及びGND端子270を上面側からナット290をねじ嵌合することにより、補機モジュール群の組立が行われる。
【0088】
次に、上部ケースについて説明する。上部ケース300は、
図16に示すように、組電池100を組み立てた際に、それぞれSSG端子250、LOAD端子260及びGND端子270を上部ケース300から外部に露出させるための3つの開口310a、310b及び310cを有する。
【0089】
また、上部ケース300は、4つの側面の下面側にセルホルダ120に係合するための係合爪320を備える。係合爪320は、セルホルダ120と上部ケース300とが組み付けられた状態において、係合孔129bに対応する位置に設けられる。係合爪320は、各側面の外部側から下面方向に延びており、係合爪320の先端部は、側面視において楔形状になっている。係合爪320の先端部が係合孔129bに嵌め込まれることにより、係合爪320と係合孔129bとが係合する。
【0090】
また、上部ケース300は、セルホルダ120と上部ケース300とが組み付けられた状態において、総プラス銅バスバ285及び総マイナス銅バスバ286を保護するためのバスバ保護部330を備える。
【0091】
次に、組電池100全体の組立について説明する。まず、電池モジュール群と補機モジュール群との組付けについて説明する。電池モジュール群と補機モジュール群との組付けは、セルホルダ120と補機台座200との組付けにより実現される。
【0092】
セルホルダ120と補機台座200とは、係合爪205を係合孔129aに嵌め込んで係合させることにより、組み付けられる。また、セルホルダ120と補機台座200とは、補機台座200がセルホルダ120に載置された状態において、ボルト340を、側面200b及び200dの外部側から、ねじ穴285a又はねじ穴286aと、ねじ穴166aとを貫通させて、ねじ穴123bにねじ留めされることにより組み付けられる。つまり、ボルト340により、総プラス銅バスバ285及び総マイナス銅バスバ286を介して、間接的にセルホルダ120と補機台座200とが組み付けられる。このとき、総プラス銅バスバ285及び総マイナス銅バスバ286に沿って設けられた支持部206は、廻り止めの機能を有する。
【0093】
このように、係合による組付けと、ボルト340による組付けとの双方の手段で組付けを行うことにより、一方で組付けを行う場合と比較して、より堅牢な組付けを実現できる。
【0094】
また、セルホルダ120と補機台座200とは、補機台座200にセルホルダ120を載置した状態において、
図17に示すように、ボルト350を、上面側からねじ穴204aを貫通させて、ねじ穴123aにねじ留めすることにより、組み付けられる。
【0095】
本実施形態の電池モジュール群と補機モジュール群とは、上記のように組み付けられるため、上面視において略矩形の補機台座200の四隅において、電池モジュール群と補機モジュール群とが固定される。これにより、堅牢な組付けを実現できる。
【0096】
次に、上部ケース300の組付けについて説明する。上部ケース300は、係合爪320をセルホルダ120の係合孔129bに嵌め込んで係合させることにより、セルホルダ120と係合される。このようにして、セルホルダ120に上部ケース300が係合されることにより、組電池100全体の組立が完了する。
【0097】
このように、本発明の一実施形態による組電池100によれば、作動振動を発生するリレー220は補機台座200上で他の部品よりも高い位置に配置される。また、1以上の電池セル150はリレー220及び当該他の部品よりも下方に配置される。このため、リレー220が電池セル150から比較的遠い位置に配置されるので、作動振動が電池セル150(マス)に直接伝わることがない。すなわち、リレー220により発生された作動振動は吸収され、音の伝搬が防止される。
【0098】
このように、本発明の一実施形態による組電池100によれば、補機台座200は、リレー220の廻り止め及び前記リレーの締結補強のためのリブを有する。このため、リレー220が補機台座200に強固に固定されるため、リレー220が補機台座200から外れること及び作動振動音を抑制することが可能となる。
【0099】
このように、本発明の一実施形態による組電池100によれば、補機台座200上には電流センサ230がさらに配置され、電流センサ230とリレー220とを電気的に接続する銅バスバ281は電流センサ230からリレー220に向かって高くなる。このため、電流センサ230をリレー220より低い位置に配置しつつ、電流センサ230及びリレー220を強固に補機台座200に固定することが可能となる。
【0100】
このように、本発明の一実施形態による組電池100によれば、補機台座200上にはMOSFET210がさらに配置され、補機台座200は、リレー220とMOSFET210との間を接続する銅バスバ282と、リレー220と電流センサ230との間を接続する銅バスバ281との間に絶縁のためのリブ202を有する。このため、銅バスバ281と銅バスバ282が絶縁されるだけでなく、銅バスバ281と銅バスバ282が不安定に廻ることを防ぐことができる。