特許第6730051号(P6730051)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6730051
(24)【登録日】2020年7月6日
(45)【発行日】2020年7月29日
(54)【発明の名称】肌状態評価方法
(51)【国際特許分類】
   A61B 5/00 20060101AFI20200716BHJP
   A61B 5/107 20060101ALI20200716BHJP
【FI】
   A61B5/00 MZDM
   A61B5/107 800
【請求項の数】8
【全頁数】21
(21)【出願番号】特願2016-47853(P2016-47853)
(22)【出願日】2016年3月11日
(65)【公開番号】特開2017-158921(P2017-158921A)
(43)【公開日】2017年9月14日
【審査請求日】2018年12月7日
(73)【特許権者】
【識別番号】000000918
【氏名又は名称】花王株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100137589
【弁理士】
【氏名又は名称】右田 俊介
(72)【発明者】
【氏名】五十嵐 崇訓
【審査官】 永田 浩司
(56)【参考文献】
【文献】 特開2016−022093(JP,A)
【文献】 特開2013−078520(JP,A)
【文献】 特開2011−118671(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2017/0079599(US,A1)
【文献】 特開2004−166801(JP,A)
【文献】 特開2015−080647(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61B 5/00
A61B 5/107
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
肌表面が撮影された所定ぼかし強度のぼかし画像であってぼかし強度の異なる複数のぼかし画像を取得する取得工程と、
前記取得されたぼかし強度の異なるぼかし画像毎に特定の明度範囲の分布情報をそれぞれ生成する工程と、
前記肌表面に関するぼかしのかかっていない肌画像から抽出される前記特定の明度範囲の分布情報に基づいて、前記分布情報を規格化する工程と、
記取得されたぼかし強度の異なるぼかし画像毎にそれぞれ生成され規格化された複数の分布情報におけるぼかし強度の違いに伴う変化傾向を示す情報を生成する工程と
を含む肌状態評価方法。
【請求項2】
前記分布情報は、前記ぼかし画像中の前記特定の明度範囲の画素に基づく、面積、局所領域数及び方向の少なくとも一つを示す指標値である、
請求項1に記載の肌状態評価方法。
【請求項3】
被験肌に関して生成された前記変化傾向を示す情報と、サンプル肌に関して生成された前記変化傾向を示す情報との対比により、該被験肌の状態を評価する工程、
を更に含む請求項2に記載の肌状態評価方法。
【請求項4】
前記取得工程では、肌表面が撮影された肌画像に対して平滑化フィルタを複数回適用することにより、ぼかし強度の異なる前記複数のぼかし画像を取得する、
請求項1から3のいずれか一項に記載の肌状態評価方法。
【請求項5】
前記特定の明度範囲は、前記ぼかし画像の各画素が示し得る明度の上限値を含む所定範囲を除いた、所定明度値範囲の中から選択された明度値の範囲である、
請求項1から4のいずれか一項に記載の肌状態評価方法。
【請求項6】
化粧料、美容施術(医療行為を除く)又は美容用若しくは健康用の飲食品の適用前後の肌を、請求項1から5のいずれか一項に記載の肌状態評価方法により評価することにより、該化粧料、該美容施術又は該飲食品の効果を評価する方法。
【請求項7】
肌表面が撮影された所定ぼかし強度のぼかし画像であってぼかし強度の異なる複数のぼかし画像を取得する取得手段と、
前記取得されたぼかし強度の異なるぼかし画像毎に特定の明度範囲の分布情報をそれぞれ生成する生成手段と、
を備え、
前記生成手段は、前記肌表面に関するぼかしのかかっていない肌画像から抽出される前記特定の明度範囲の分布情報に基づいて前記分布情報を規格化し、前記取得されたぼかし強度の異なるぼかし画像毎にそれぞれ生成され規格化された複数の分布情報におけるぼかし強度の違いに伴う変化傾向を示す情報を更に生成する、
肌状態評価装置。
【請求項8】
前記生成手段は、前記分布情報として、前記ぼかし画像中の前記特定の明度範囲の画素に基づく、面積、局所領域数及び方向の少なくとも一つを示す指標値を算出する、
請求項7に記載の肌状態評価装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、肌状態の評価技術に関する。
【背景技術】
【0002】
肌の状態を評価する指標の一つに質感(テクスチャ)があり、質感には、光沢感、透明感、美肌感、暗さ感、凹凸感、加齢感(年齢印象)など様々な印象要素が含まれ得る。
下記の特許文献1には、被験者の顔画像を用いて被験者の美容上のハリ感を質感として評価する方法が開示されている。この方法では、被験者の顔画像の頬領域についての輝度の階調画像から所定の階調領域の面積又は形状に関する指標値が算出され、その指標値に基づいて被験者の美容上のハリ感が評価される。
【0003】
また、凹凸や色ムラ等のような肌表面の形体的特徴自体により肌の状態を評価することもできる。
下記の特許文献2には、肌表面の形体的特徴として頬のたるみを評価する方法が開示されている。具体的には、ファンデーションによる頬のたるみの補正効果を評価する方法が開示されている。この方法は、モーフィング技術により平均化した仮想顔画像の明度分布を複数階調の明度等高線で表し、その等高線を利用して得られる角度や面積を算出する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2008−93048号公報
【特許文献2】特開2005−237409号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上述の各手法によれば、「ハリ感」や「頬のたるみ」といった限定された指標に基づく評価が可能である。しかしながら、質感や形体的特徴など様々な指標による肌状態評価を横断的に実現し得る手法は未だ確立されていない。
【0006】
本発明は上記の課題に鑑みてなされたものであり、様々な指標による肌状態評価を可能とする技術を提供する。本明細書において「肌状態の評価」とは、非医療目的で、肌表面の見かけ状態を評価することを意味し、専門家以外の評価者であっても可能な評価を含む。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の第一の態様に係る肌状態評価方法は、肌表面が撮影された所定ぼかし強度のぼかし画像であってぼかし強度の異なる複数のぼかし画像を取得する取得工程と、前記取得されたぼかし強度の異なるぼかし画像毎に特定の明度範囲の分布情報をそれぞれ生成する工程と、前記肌表面に関するぼかしのかかっていない肌画像から抽出される前記特定の明度範囲の分布情報に基づいて、前記分布情報を規格化する工程と、前記取得されたぼかし強度の異なるぼかし画像毎にそれぞれ生成され規格化された複数の分布情報におけるぼかし強度の違いに伴う変化傾向を示す情報を生成する工程と、を含む
【0008】
本発明の第二の態様に係る化粧料、美容施術(医療行為を除く)又は美容用若しくは健康用の飲食品の効果を評価する方法は、該化粧料、該美容施術(医療行為を除く)又は美容用若しくは健康用の該飲食品の適用前後の肌を、上記肌状態評価方法により評価する。
【0009】
本発明の第三の態様に係る肌状態評価装置は、肌表面が撮影された所定ぼかし強度のぼかし画像であってぼかし強度の異なる複数のぼかし画像を取得する取得手段と、前記取得されたぼかし強度の異なるぼかし画像毎に特定の明度範囲の分布情報をそれぞれ生成する生成手段と、を備え、前記生成手段は、前記肌表面に関するぼかしのかかっていない肌画像から抽出される前記特定の明度範囲の分布情報に基づいて前記分布情報を規格化し、前記取得されたぼかし強度の異なるぼかし画像毎にそれぞれ生成され規格化された複数の分布情報におけるぼかし強度の違いに伴う変化傾向を示す情報を更に生成する。

【発明の効果】
【0010】
本発明により提供される技術によれば、様々な指標による肌状態評価が可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】本実施形態の肌状態評価方法(本方法)を示すフローチャートである。
図2】複数の異なるぼかし強度によるぼかし処理の例を概念的に示す図である。
図3】ぼかし画像に対して適用される減階調処理の例を概念的に示す図である。
図4】減階調画像から生成される局所領域の輪郭線画像及び対象画素を示す画像の例を示す図である。
図5】変化傾向情報の一例のグラフである。
図6】本実施形態における肌画像分析装置(評価装置)のハードウェア構成例を概念的に示す図である。
図7】本実施形態における肌状態評価装置10の処理構成例を概念的に示す図である。
図8】三人の肌画像を示す図である。
図9】ぼかし強度の違いに伴う局所領域数の変化傾向を示すグラフである。
図10】ぼかし強度の違いに伴う局所領域面積の変化傾向を示すグラフである。
図11】ぼかし強度の違いに伴う規格化された局所領域数の変化傾向を示すグラフである。
図12】ぼかし強度の違いに伴う規格化された局所領域面積の変化傾向を示すグラフである。
図13】規格化された局所領域面積の変化量の算出例を示す図である。
図14】8諧調の濃淡画像の動画の例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明の実施形態について図面を用いて説明する。
はじめに、本実施形態の概要について説明する。
本実施形態の肌状態評価方法(以下、本方法と表記する場合がある)は、肌表面のぼかし画像を取得する取得工程と、そのぼかし画像における特定の明度範囲の分布情報を生成する生成工程とを含む。
【0013】
取得工程で取得されるぼかし画像は、被験者の肌表面の評価対象部位を含む被験者の体の少なくとも一部が撮影された所定ぼかし強度の画像である。ぼかし画像に写り込む評価対象部位は特に限定されない。例えば、透明感、光沢感、加齢感、色ムラ感などの対象となる評価指標に応じて、当該評価対象部位が決められる。また、人体における当該評価対象部位を包む広い範囲が写る画像から当該評価対象部位の画像領域を切り出すことで、当該ぼかし画像が取得されてもよい。
【0014】
ぼかし画像は、カメラにより撮像された肌画像に対して所定ぼかし強度のぼかし処理を施すことによって取得されてもよい。例えば、ぼかし処理には、ぼかしのかかっていない肌画像に含まれる大局的な空間情報(低周波成分)を維持しつつ、局所的な特徴(高周波成分)を平均化する処理が選ばれる。具体的なぼかし処理手法には、移動平均フィルタなどの平滑化フィルタ、メディアンフィルタなどの非平滑化処理によるノイズ除去フィルタなどがある。本実施形態では、ぼかし処理手法は制限されない。
「所定ぼかし強度」は、予め定められたぼかしの強さであり、評価指標などに応じて決められる。例えば、移動平均フィルタがぼかし処理で利用される場合、移動平均フィルタの適用回数がぼかし強度に相当する。この場合、「所定ぼかし強度のぼかし画像」は、元の肌画像に対して予め定められた回数、移動平均フィルタを繰り返し適用することで取得される。また、移動平均フィルタのフィルタサイズが大きい程、平滑化の度合いが増し、ぼかし強度が強くなる。よって、移動平均フィルタのフィルタサイズを予め定められたサイズとすることにより、所定ぼかし強度を実現することもできる。
他の例として、ぼかし画像は、撮像装置(カメラ)の独自機能により取得されてもよい。例えば、ぼかし画像は、カメラに所定ぼかし強度を実現し得る特殊レンズを装着してぼかし撮影されたものであってもよいし、カメラに実装される画像処理ソフトウェアによりぼかし撮影又はぼかし処理されたものであってもよい。この場合、カメラからぼかし画像が直接取得されてもよいし、カメラから可搬型記録媒体やパーソナルコンピュータ(PC)等を経由して間接的に取得されてもよい。
【0015】
また、ぼかし画像は、カラー画像でもよく、又は特定色チャネルの濃淡画像でもよい。濃淡画像としては、淡色の濃淡画像(グレースケール画像)、R(赤)、G(緑)、B(青)又は特定波長の濃淡画像が例示される。グレースケール画像は、カラー画像から単純平均法等の周知の手法で変換されて得られたものであってもよい。
ぼかし画像のファイル形式は、JPEG、GIF、TIFF、BMP等、任意であるが、TIFFやBMPのように非圧縮形式であることが望ましい。圧縮による画像情報の欠落を抑止できるからである。
【0016】
生成工程で生成される「分布情報」は、ぼかし画像中の、特定の明度範囲内の明度を持つ画素(以降、対象画素と表記する場合もある)の分布を示す情報である。「分布情報」としては、対象画素の数(面積)、一以上の対象画素が連なって形成する局所領域(島)の数又は面積、二以上の対象画素の連なりなどで示される方向、対象画素の分布範囲の広がり度合又は位置などの一以上の指標値が例示される。「分布情報」の他の例として、ぼかし画像中の当該局所領域を輪郭線又は色分けで表す画像(等高線画像など)、又はぼかし画像中の対象画素の分布を画像(図、表、グラフ等)であってもよい。
【0017】
「特定の明度範囲」とは、明度に関する特定の範囲を意味する。評価対象やぼかし画像の明度分布などに応じて、特定範囲を決めることができる。例えば、光沢のような明るい成分を評価対象とする場合には、明度が高い範囲が設定され、陰影のような暗い成分を評価対象とする場合には、明度が低い範囲が設定される。
「明度」とは、明るさの度合いを意味する。本明細書において「明度」は、一般的な「明度」の意味に加えて、「輝度」の意味も包含する広い意味で用いられる。即ち、本明細書における「明度」は、HSV又はHSBモデルの明度(Value又はBrightness)成分の値で示されてもよいし、HSLモデルの輝度(Lightness)成分の値で示されてもよい。例えば、「明度」は、画素値(R値、G値及びB値)の中の最大値、R値、G値及びB値のいずれか一つ、又はR値、G値及びB値の少なくとも2つから算出される輝度値により示される。輝度値は、グレースケール画像の画素値(濃淡の度合いを示す値)であってもよい。
【0018】
ここで、「局所領域」とは、ぼかし画像中の、一以上の対象画素が連なって形成する部分領域である。「局所領域」の設定手法には複数種の手法が考えられる。例えば、一つの手法では、「局所領域」が一以上の対象画素で形成され、かつ、隣接する対象画素同士が同じ「局所領域」に属するように「局所領域」が設定される。また、別の手法では、所定数以上の対象画素の連なりが「所定領域」の形成条件とされてもよい。この手法において所定数が3に設定される場合、隣接する対象画素が存在しない一つの対象画素は「局所領域」とは見なされない。更に別の手法では、対象画素以外の画素と隣接しない対象画素が一つ以上存在する対象画素の連なりが「局所領域」の形成条件とされてもよい。
【0019】
本発明者は、後述するとおり、複数人の肌画像を対象に肌表面の見かけ状態に関する官能評価を行った。その官能評価では、光沢感、加齢感などといった複数の指標での評価が行われた。結果、所定強度でぼかした肌画像中の特定の明度範囲の分布の違いが各指標での肌表面の見かけ状態の違いと相関性を示すことが見出された。
本実施形態では、このような知見に基づき、肌表面のぼかし画像における特定の明度範囲の分布情報が生成され、この生成された分布情報に基づいて、肌状態が評価される。
所定強度での肌画像のぼかしは、美肌が示す均一的な淡い光沢のある印象を阻害する不均一な肌要素の中の特定のものを選択的に見え難くする。ぼかし強度は肌の目視距離に相当し、目視距離に応じて肌状態の見え方が変わるからである。そして、肌画像をぼかすことで均一的で美肌と同視し得る画像に近付けることができる。ここで、上記不均一な肌要素には、毛穴、毛穴の汚れ、皺、色ムラ(しみなど)、テカリなどの肌特徴が該当する。つまり、ぼかしが弱ければ、細かな形状や繊細なコントラスト(高周波成分)の不均一肌要素が消されるが大まかな形状やコントラスト(低周波成分)の不均一肌要素は残り、ぼかしが強ければ、その大まかな不均一肌要素も消されていく。よって、所定強度でぼかした肌画像には、特定の不均一肌要素が消された残りの肌特徴が表されているということができる。
本実施形態は、このような肌特徴を特定の明度範囲の分布により可視化する。これにより、例えば、或る被験肌のぼかし画像から生成される当該分布情報によれば、質感及び形体的特徴に関する複数指標での肌の見かけ状態の客観的評価が可能となる。
このように本実施形態によれば、肌表面の見かけ状態を様々な指標により客観的に評価することができる。
【0020】
〔肌状態評価方法〕
以下、本方法について図1等を用いて更に詳細に説明する。
図1は、本実施形態の肌状態評価方法(本方法)を示すフローチャートである。図1に示されるように、本方法は、工程(S11)から工程(S17)を含む。
【0021】
工程(S11)は、被験者の肌画像を取得する工程である。
工程(S11)で取得される肌画像は、被験者の肌表面の評価対象部位を含む被験者の人体の少なくとも一部が撮像装置(カメラ)により撮影された画像である。工程(S11)で取得される肌画像は、元肌画像と表記される場合がある。撮像装置は、一般的なRGBカメラであってもよいし、モノクロカメラ又はスペクトルカメラであってもよく、撮像装置の性能や仕様は制限されない。照明数、照明角度、照度、撮影角度などの撮影環境条件についても制限はなく、毛穴や皺、色ムラ、又は光沢などのような評価指標に影響を与える肌の見た目の特徴が目視で確認できる環境となっていればよい。
取得される肌画像の解像度についても、上述のような肌の見た目の特徴が目視可能な程度に写るものであればよい。肌画像のファイル形式は、JPEG、GIF、TIFF、BMP等、任意であるが、TIFFやBMPのように非圧縮形式であることが望ましい。圧縮による画像情報の欠落を抑止できるからである。
また、肌画像は、カラー画像でもよく、又は特定色チャネルの濃淡画像でもよい。濃淡画像としては、淡色の濃淡画像(グレースケール画像)、R、G、B又は特定波長の濃淡画像が例示される。グレースケール画像は、カラー画像から単純平均法等の周知の手法で変換されて得られたものであってもよい。
【0022】
工程(S12)は、工程(S11)で取得された元肌画像から評価対象部位を抽出する工程である。評価対象部位は、対象となる評価指標等に応じて、任意に決められる。評価対象部位の例としては、頬、額、口元、目尻などといった顔の少なくとも一部、首から胸元までの領域であるデコルテの少なくとも一部、腕や足の少なくとも一部が例示される。
工程(S12)は、元肌画像をトリミング加工することにより、評価対象部位の肌画像を抽出することができる。このとき、本工程は、評価対象部位の肌画像に対して拡大等の更なる加工を施してもよい。また、元肌画像の評価対象部位以外を黒等の特定色で塗りつぶした画像が評価対象部位の肌画像とされてもよい。以降、工程(S12)で抽出される評価対象部位の肌画像を対象肌画像と表記する場合もある。
工程(S11)で取得された元肌画像中の評価対象部位の写り込み態様によっては、工程(S12)は省かれてもよい。例えば、元肌画像に評価対象部位のみが写っている場合や、評価対象部位が大部分を占める場合などには、工程(S12)は実施されなくてもよい。
【0023】
工程(S13)は、工程(S12)で抽出された対象肌画像に対して複数の異なるぼかし強度によるぼかし処理を適用する工程である。ぼかし処理の具体的手法は制限されないが、上述したとおり、平滑化フィルタ、ノイズ除去フィルタ等のぼかしフィルタを用いたぼかし処理が例示される。平滑化フィルタとしては、具体的に、ガウシアン(Gaussian)フィルタ、移動平均フィルタ、加重平均フィルタ、ローパスフィルタなどが挙げられる。各フィルタの特性に応じてぼかし処理で利用するフィルタを使いわけることができる。ガウシアンフィルタによれば、美肌特有の内部反射光の減衰パターンがガウス曲線に近いため、元肌画像を美肌の見かけ状態に近付く方向に加工することができる。また、移動平均フィルタによれば、他のフィルタに比べて、ぼかし処理を高速化することができる。
【0024】
「複数の異なるぼかし強度によるぼかし処理」は、例えば、対象肌画像に対して平滑化フィルタを複数回適用することで実現される。処理の高速化のためには、特に、予め定められたサイズの移動平均フィルタを予め定められた回数適用することが望ましい。また、上記ぼかし処理は、異なるサイズの複数のフィルタを対象肌画像に対してそれぞれ適用することにより実現することもできる。
【0025】
図2は、複数の異なるぼかし強度によるぼかし処理の例を概念的に示す図である。図2では、対象肌画像と6つの異なるぼかし強度のぼかし画像とが示されており、矢印の方向に従って、ぼかし画像のぼかし強度が大きくなっている。図2の例では、縦1032ピクセル、横770ピクセルの対象肌画像に対して、縦5ピクセル、横5ピクセルの移動平均フィルタが繰り返し適用されて得られたぼかし画像が示されている。
図2に例示されるように、工程(S13)により、異なるぼかし強度の複数のぼかし画像を得ることができる。
【0026】
本実施形態では、取得すべきぼかし画像の数、言い換えれば、適用するぼかし処理のぼかし強度の数は、二以上である。二以上の異なるぼかし強度のぼかし画像を用いることで、ぼかし強度の推移に伴うぼかし画像の変化傾向を捉えることができる。但し、上述したとおり、一つの予め定められたぼかし強度のぼかし画像を用いたとしても、十分有効な評価を実施することができる。これら効果の立証は後述される。
【0027】
工程(S14)は、工程(S13)で得られた各ぼかし画像における特定の明度範囲の画素(以降、対象画素と表記する)をそれぞれ特定する工程である。
「特定の明度範囲」及び「明度」の定義については上述したとおりである。
各画素の明度は、ぼかし画像を形成する各画素の画素値から得られる明度値又は輝度値により示される。例えば、各画素の画素値(RGB値)を既知の手法でHSVモデル、HSBモデル又はHSLモデルに変換し、得られたモデルの明度(Value若しくはBrightness)成分又は輝度(Lightness)成分の値が各画素の明度値として利用される。また、各画素の明度値は、ぼかし画像を形成する各画素のR値、G値及びB値の中の最大値とされてもよいし、R値、G値及びB値の中から予め選択された一つとされてもよいし、又はR値、G値及びB値の少なくとも2つから既知の輝度値算出手法で得られる輝度値とされてもよい。本実施形態では、肌の状態の見え方を評価するため、人間の視角感度が高いG値又は輝度値が明度値として利用されることが望ましい。
【0028】
本実施形態において「特定の明度範囲」は、ぼかし画像の各画素が示し得る明度の上限値を含む所定範囲を除いた、所定明度値範囲の中から予め選択された明度値の範囲に設定される。例えば、8ビットグレースケール画像の画素値(輝度値)が明度値として利用される場合、明度値の上限値(255)を含む所定範囲(例えば253以上255以下)を除いた所定明度値範囲(0以上252以下)の中から予め選択された明度値の範囲(例えば220以上252以下)が特定の明度範囲として利用される。このように、明度の上限値を含む所定範囲を除くことにより、画像中のノイズ成分を除去することができ、高精度な評価が可能となる。以降、除外される明度値の範囲を除外明度範囲と表記する場合がある。なお、上述したとおり、「特定の明度範囲」は、上記除外明度範囲を除外した残りの明度値範囲の中から、評価指標に応じて選択された明度値の範囲として設定されればよい。美肌評価は光沢のある画素に注目するとよいことから、除外明度範囲を除外した残りのうち、最も高い明度値の範囲を「特定の明度範囲」として設定するとよい。
【0029】
工程(S14)は、工程(S13)で得られたぼかし画像を対象に直接的に又は間接的に実施される。間接実施の例としては、工程(S14)は、カラー画像であるぼかし画像を特定色チャネルの濃淡画像に変換し、変換された濃淡画像に対して実施されてもよい。
また、工程(S14)は、ぼかし画像又はその濃淡画像の階調数を減ずる(圧縮する)処理(以降、減階調処理と表記する場合もある)を行った上で、得られた減階調画像に対して実施されてもよい。この場合、削減(圧縮)された階調の中から「特定の明度範囲」に相当する階調値を有する画素の位置が特定される。例えば、256階調から8階調に減ずる(圧縮する)処理が行われた場合、8階調の明度値(0から7)の中から「特定の明度範囲」に相当する明度値(7)の画素の位置が特定される。
減階調処理は、ぼかし画像の画素値又はぼかし画像の各画素が示す明度値に対して適用される。また、減階調処理は、除外明度範囲を除外した残りの明度値範囲に対して適用されてもよい。
【0030】
図3は、ぼかし画像に対して適用される減階調処理の例を概念的に示す図である。図3の例では、カラーのぼかし画像(左側の画像)においてG値が明度として利用されている。そのぼかし画像の各画素のG値(明度値)の階調を、除外明度範囲を除いた0以上252以下の253階調から8階調へ圧縮して得られる値を画素値として持つ減階調画像(右側の画像)が生成される。
【0031】
工程(S15)は、工程(S14)で各ぼかし画像についてそれぞれ特定された対象画素の画素数情報又は位置情報に基づいて、ぼかし強度の異なるぼかし画像毎に分布情報を生成する工程である。「分布情報」の定義や例については上述したとおりであるが、工程(S15)は、次のような指標値を分布情報として算出することができる。以降、分布情報として算出される指標値を分布指標値と表記する場合もある。
例えば、工程(S15)は、対象画素の画素数情報を用いて、ぼかし強度の異なるぼかし画像毎の分布情報として、ぼかし強度の異なるぼかし画像毎に対象画素の総数をそれぞれ算出することができる。
また、工程(S15)は、局所領域の数又は面積を分布情報として算出することもできる。「局所領域」の定義及び設定手法については上述したとおりである。工程(S15)は、上述した局所領域の設定手法に従って、ぼかし画像中の局所領域を検出し、検出された局所領域の数をカウントすればよい。また、検出された各局所領域を形成する対象画素の数の合計が局所領域の面積として算出されてもよい。なお、全ての対象画素がいずれかの局所領域に属する場合には、対象画素の総数と局所領域の面積とは同意となる。
更に、工程(S15)は、対象画素の位置情報に基づいて、局所領域の輪郭線を形成する画素を特定し、その輪郭線の接線方向を算出することで、各局所領域について方向を示す値をそれぞれ算出することもできる。この場合、局所領域毎に算出された方向を示す値又はその値の統計値(平均、分散など)を分布情報とすることができる。また、隣接する対象画素ペアの隣接方向の統計値が分布情報として算出されてもよい。
【0032】
このように分布情報として指標値が算出される場合、工程(S15)は、算出された指標値の規格化を更に行い、規格化後の指標値を分布情報(分布指標値)としてもよい。工程(S15)は、同一被験者のぼかしのかかっていない肌画像から抽出される当該対象画素の分布指標値に基づいて、上述のように算出された指標値を規格化する。この場合、工程(S12)で抽出された対象肌画像(ぼかしのかかっていない肌画像)を対象に工程(S14)及び工程(S15)を実行することにより、その対象肌画像に関し、対象画素の分布指標値が生成される。例えば、規格化は、対象肌画像の分布指標値に対するぼかし画像から得られた分布指標値の割合計算により実現される。このように分布情報を規格化することにより、他の肌画像から得られる分布情報と基準が統一されるため、他の肌との比較がし易くなり、ひいては、肌状態評価を容易化することができる。また、同一人物で規格化するため、撮影条件の影響を排除することもできる。
【0033】
工程(S15)は、次のような画像を分布情報として生成することもできる。
例えば、工程(S15)は、各ぼかし画像、その濃淡画像又はその減階調画像から当該対象画素とそれ以外の画素とを区別し得る画像を分布情報として生成することができる。一例として、対象画素とそれ以外の画素とを二値の画素値で表す画像(図4参照)が生成可能である。
また、工程(S15)は、ぼかし画像中の当該局所領域を輪郭線又は色分けで表す画像(図4参照)を分布情報として生成することもできる。
図4は、減階調画像から生成される局所領域の輪郭線画像及び対象画素を示す画像の例を示す図である。図4では、特定の明度値範囲の明度を持つ当該対象画素が、減階調画像内の最も高い画素値を持つ画素とされ、局所領域が、そのような一以上の対象画素が連なって形成する部分領域とされる例が示されている。図4に例示される輪郭線画像では、当該局所領域の輪郭線が黒で示されており、当該対象画素を示す画像では、対象画素が黒で示され、それ以外の画素が白で示されている。なお、図4の例では、2つの局所領域が検出されている。
【0034】
また、図3に示される減階調画像が分布情報として生成されてもよい。減階調画像における或る一つの階調値が上述の特定の明度範囲に相当する場合には、その減階調画像は、当該対象画素とそれ以外の画素とを区別し得る画像である。また、全ての対象画素がいずれかの局所領域に属する場合には、減階調画像は、局所領域を表す画像ということもできる。
【0035】
工程(S16)は、ぼかし強度の異なるぼかし画像毎にそれぞれ生成された複数の分布情報におけるぼかし強度の違いに伴う変化傾向を示す情報(以降、変化傾向情報と表記する場合もある)を生成する工程である。
図5は、変化傾向情報の一例のグラフを示している。図5に例示されるように、工程(S16)は、ぼかし強度及び分布指標値をそれぞれ座標軸とする変化傾向グラフを変化傾向情報として生成することができる。変化傾向グラフは図5の例に限定されない。例えば、縦軸と横軸は入れ替えられてもよい。また、図5に例示される横軸では、ぼかし強度が昇順に並べられているが、ぼかし強度は降順に並べられてもよい。また、図5では、算出された分布指標値間が曲線で補間されたグラフが示されるが、分布指標値間は線形補間されてもよいし、算出された分布指標値のみが離散点で示されてもよい。
【0036】
変化傾向情報の他の例として、工程(S16)は、ぼかし強度と分布指標値との関係を表形式で表す変化傾向表を生成することもできる。
また、工程(S16)は、ぼかし強度の違いに伴う分布指標値の変化量若しくは変化率、それらの平均又は微分値を変化傾向情報として算出することもできる。例えば、変化量、変化率及び微分値は、予め定められたぼかし強度に関し算出されればよい。
更に、工程(S16)は、ぼかし強度の異なるぼかし画像毎の分布情報としてぼかし強度の異なるぼかし画像毎の画像が生成される場合には、ぼかし強度の昇順又は降順に各画像が並べられた動画を変化傾向情報として生成することもできる。
変化傾向情報は、複数の分布情報におけるぼかし強度の違いに伴う変化傾向を示していればよく、その具体的態様は限定されない。
【0037】
工程(S17)は、被験者の肌状態を評価する工程である。工程(S17)は、工程(S15)でぼかし強度の異なるぼかし画像毎に生成された分布情報及び工程(S16)で生成された変化傾向情報のいずれか一方又は両方を用いて、実行され得る。工程(S17)で変化傾向情報が用いられない場合、工程(S16)は省かれてもよい。本実施形態において工程(S17)での具体的な評価方法は制限されない。
【0038】
例えば、被験者自身又は第三者が評価者となり、その評価者が、工程(S15)で生成されたぼかし強度の異なるぼかし画像毎の分布情報とサンプル分布情報とを比較することにより、被験者の肌(被験肌)を評価することができる。
この場合、上述の工程(S11)から工程(S15)により前もって、サンプル肌に関するぼかし強度の異なるぼかし画像毎の分布情報を生成しておき、生成されたサンプル分布情報を何らかの形で保持しておく。サンプル分布情報は、コンピュータや可搬型記録媒体に格納されていてもよいし、紙媒体などに印刷出力されていてもよい。また、サンプル分布情報の元となるサンプル肌としては、複数の評価指標の各々において代表的な肌が選ばれることが望ましい。例えば、加齢感の強い肌、テカリ感の強い肌、色ムラ感の強い肌、毛穴が目立つ肌などのような、少なくとも一つのマイナス印象の肌及び理想的な美肌の少なくとも一つが選ばれる。その他、年代若しくは性別毎の平均肌、著名人(女優やモデル、歌手等)の肌などといった、被験者が比較を希望する可能性の高い肌が選ばれてもよい。なお、平均肌は、複数人のサンプル肌画像の合成により生成可能である。
【0039】
また、評価者は、被験肌に関して生成された変化傾向情報と、サンプル肌に関して生成された変化傾向情報との対比をすることにより、被験肌の状態を評価することもできる。サンプル肌に関する変化傾向情報は、予め生成され、何らかの形で保持されていればよい。
評価者は、ぼかし強度の異なるぼかし画像毎に被験者の分布情報とサンプル分布情報との対比、又は被験肌の変化傾向情報とサンプル肌の変化傾向情報との対比を行う。評価者は、被験者の肌がサンプル肌と近いか否か、被験者の肌とサンプル肌との近さ、又は被験者の肌がどのサンプル肌と近いかを判定することで、被験者の肌状態の評価をすることができる。
【0040】
ここで、本方法の各工程は、人がコンピュータを操作することにより実行されてもよい。例えば、工程(S11)では、人がカメラを操作することで被験者の肌画像を撮像し、人がコンピュータを操作してその肌画像をコンピュータに取り込んでもよい。工程(S12)及び工程(S13)は、人が市販の画像編集ソフトを操作して実行可能である。工程(S14)及び工程(S15)についても、人が市販のソフトウェアを操作して実行可能である。なお、工程(S16)については、上述したとおり、コンピュータを用いることなく、評価者(人)が実行することができる。
また、本方法の各工程は、コンピュータ(例えば、後述の肌状態評価装置)によって自動で実行されてもよい。工程(S16)は、後述の肌状態評価装置のようなコンピュータにより実行されてもよい。
【0041】
〔肌状態評価装置〕
以下、本方法を実現する肌状態評価装置10について説明する。
図6は、本実施形態における肌画像分析装置10のハードウェア構成例を概念的に示す図である。本実施形態における肌状態評価装置(以降、評価装置と略称する場合もある)10は、いわゆるコンピュータであり、例えば、バスで相互に接続される、CPU(Central Processing Unit)11、メモリ12、入出力インタフェース(I/F)13、通信ユニット14等を有する。評価装置10を形成する各ハードウェア要素の数はそれぞれ制限されず、これらハードウェア要素は情報処理回路と総称することもできる。
【0042】
CPU11には、一般的なCPUに加えて、特定用途向け集積回路(ASIC)、DSP(Digital Signal Processor)、GPU(Graphics Processing Unit)等も含まれる。
メモリ12は、RAM(Random Access Memory)、ROM(Read Only Memory)、補助記憶装置(ハードディスク等)である。
入出力I/F13は、表示装置15、入力装置16等のユーザインタフェース装置と接続可能である。表示装置15は、LCD(Liquid Crystal Display)やCRT(Cathode Ray Tube)ディスプレイのような、CPU11等により処理された描画データに対応する画面を表示する装置である。入力装置16は、キーボード、マウス等のようなユーザ操作の入力を受け付ける装置である。表示装置15及び入力装置16は一体化され、タッチパネルとして実現されてもよい。
通信ユニット14は、他のコンピュータとの通信網を介した通信や、他の機器との信号のやりとり等を行う。通信ユニット14には、可搬型記録媒体等も接続され得る。例えば、通信ユニット14には、撮像装置(カメラ)(図示せず)が接続されてもよい。この場合、カメラは、肌画像(静止画像)を撮像し、その静止画像データを評価装置10に送ってもよい。
評価装置10は、図6に図示しないハードウェア要素を含んでもよく、評価装置10のハードウェア構成は制限されない。
【0043】
図7は、本実施形態における肌状態評価装置10の処理構成例を概念的に示す図である。
本実施形態の評価装置10は、画像取得部21、ぼかし処理部22、生成部23、情報格納部24、出力処理部25等を有する。これら処理モジュールは、ソフトウェア要素であり、例えば、メモリ12に格納されるプログラムがCPU11により実行されることにより実現される。このプログラムは、例えば、CD(Compact Disc)、メモリカード等のような可搬型記録媒体やネットワーク上の他のコンピュータから入出力I/F13を介してインストールされ、メモリ12に格納されてもよい。
【0044】
画像取得部21は、肌表面が撮影された肌画像を取得する。具体的には、画像取得部21は、撮像装置(カメラ)により撮像された被験者の肌画像の画像データを、その撮像装置、可搬型記録媒体、又は他のコンピュータから通信により取り込む。また、画像取得部21が、評価装置10の内蔵カメラであってもよい。
画像取得部21は、必要に応じて外部から取得された画像データをトリミング加工して、評価対象部位の肌画像を抽出してもよい。即ち、画像取得部21は、本方法の工程(S11)及び工程(S12)を実行することができる。その他、画像取得部21は、取り込まれた画像データに対してグレースケール化を施してもよい。
以降、画像取得部21により取得された画像データを対象肌画像と表記する場合もある。
【0045】
ぼかし処理部22は、画像取得部21により取得された対象肌画像に対してぼかし処理を施すことにより、ぼかし強度の異なる複数のぼかし画像を取得する。ぼかし処理部22は、平滑化フィルタ、ノイズ除去フィルタ等のぼかしフィルタを予め有する。例えば、ぼかし処理部22は、対象肌画像に対して所定サイズの平滑化フィルタを複数回適用することにより、ぼかし強度の異なる複数のぼかし画像を取得する。即ち、ぼかし処理部22は、本方法の工程(S13)を実行することができる。
画像取得部21及びぼかし処理部22は、肌表面が撮影された所定ぼかし強度のぼかし画像を取得する取得手段に相当する。
【0046】
生成部23は、ぼかし処理部22により取得されたぼかし画像における特定の明度範囲の分布情報を生成する生成手段に相当する。ぼかし処理部22により、ぼかし強度の異なる複数のぼかし画像が生成された場合、生成部23は、ぼかし強度の異なるぼかし画像毎に分布情報をそれぞれ生成する。例えば、生成部23は、当該分布情報として、ぼかし画像中の特定の明度範囲の画素に基づく、面積、局所領域数及び方向の少なくとも一つを示す指標値、又は、ぼかし画像中の局所領域を表す画像を生成する。
「特定の明度範囲」は、ぼかし画像の各画素が示し得る明度の上限値を含む所定範囲を除いた、所定明度値範囲の中から選択された明度値の範囲であることが好ましい。このような「特定の明度範囲」、「分布情報」、「局所領域」等については、上述したとおりである。
【0047】
生成部23は、画像取得部21で取得されたぼかしのかかっていない対象肌画像に関しても同様に、特定の明度範囲の分布情報を生成してもよい。
更に、生成部23は、サンプル肌に関する分布情報も生成してもよい。サンプル肌については上述したとおりである。
生成部23は、生成した分布情報を情報格納部24に格納する。具体的には、生成部23は、ぼかし強度を識別する識別情報(ぼかしなしの識別情報も含む)と分布情報とを相互に関連付けて、情報格納部24に格納する。また、生成部23は、サンプル肌と被験肌とを区別するための区別情報を分布情報に更に関連付けて格納してもよい。
【0048】
情報格納部24は、生成部23により生成された分布情報をぼかし強度の識別情報と関連付けた状態で格納する。サンプル肌の分布情報も格納する場合、情報格納部24は、上述の区別情報を更に関連付けた状態で分布情報を生成する。また、評価装置10が複数の被験者を対象とする場合には、情報格納部24は、被験者の識別情報と更に関連付けた状態で、分布情報を格納することもできる。
【0049】
生成部23は、分布情報として指標値を算出した場合、ぼかしのかかっていない肌画像から生成された特定の明度範囲の分布情報(分布指標値)に基づいて、算出された分布指標値を規格化してもよい。このとき、生成部23は、ぼかしのかかっていない肌画像の当該分布情報を情報格納部24から抽出すればよい。ここで規格化された分布指標値も分布情報と表記される。規格化手法については上述したとおりである。
このように、生成部23は、本方法の工程(14)及び工程(S15)を実行することができる。
【0050】
更に、生成部23は、ぼかし強度の異なるぼかし画像毎にそれぞれ生成された複数の分布情報におけるぼかし強度の違いに伴う変化傾向を示す情報(変化傾向情報)を更に生成してもよい。このとき、生成部23は、ぼかし強度の異なるぼかし画像毎の分布情報を情報格納部24から抽出して用いることができる。変化傾向情報についても上述した通りである。
このように、生成部23は、本方法の工程(S16)も実行することができる。
【0051】
出力処理部25は、生成部23により生成された分布情報及び変化傾向情報のいずれか一方又は両方(以降、出力情報と表記する場合もある)を出力する。出力情報の出力形態は制限されない。出力処理部25は、出力情報を表示装置15に表示出力してもよいし、印刷装置(図示せず)に印刷出力してもよいし、可搬型記録媒体又は他のコンピュータへファイル出力してもよい。また、出力情報が数値である場合には、出力処理部25は、その出力情報を音声出力することもできる。
また、出力処理部25は、情報格納部24にサンプル肌に関する分布情報が格納されている場合には、被験肌の分布情報との比較のために、サンプル分布情報を出力することもできる。
【0052】
更に、出力処理部25は、被験者の肌状態を評価し、その評価結果を出力してもよい。出力処理部25は、サンプル分布情報と被験肌に関する分布情報とを比較する又はサンプル肌に関する変化傾向情報と被験肌に関する変化傾向情報とを比較することにより、被験者の肌状態を評価する。比較対象となる分布情報及び変化傾向情報は、情報格納部24に格納されている。
例えば、出力処理部25は、ぼかし強度の異なるぼかし画像毎に被験者の分布指標値とサンプル肌の分布指標値との差分、又は被験肌の変化傾向情報とサンプル肌の変化傾向情報との差分を算出する。出力処理部25は、算出された差分値をサンプル肌との近さスコア(評価結果)として出力する。このとき、出力処理部25は、複数のサンプル肌の各々と各差分値との相対表(近さスコア比較表)を出力することもできる。
また、出力処理部25は、算出された差分値が予め定められた閾値より小さいか否かにより、比較されたサンプル肌と近いか否かを示す評価結果メッセージ(例えば、「あなたの肌は美肌に近いです」)を出力することもできる。また、出力処理部25は、算出された差分値をサンプル肌間で比較することにより、最も小さい差分値となったサンプル肌に近似することを示す評価結果メッセージ(例えば、「あなたの肌は美肌に最も近く、加齢肌、テカリ肌からは少し遠いです」)を出力することもできる。
【0053】
評価装置10は、入力装置16に対するユーザの操作に応じて、比較対象となるサンプル肌を指定する情報を取得することもできる。この場合、評価装置10は、情報格納部24に分布情報が格納される複数のサンプル肌の中から所望のサンプル肌を指定するための表示を表示装置15に出力させてもよい。
また、評価装置10は、入力装置16に対するユーザの操作に応じて、評価指標又は特定の明度範囲の指定情報を取得してもよい。このとき、ユーザは、被験者の肌の撮影環境や評価指標などに応じて、表示装置15に出力される表示から評価指標又は特定の明度範囲を指定する操作を行う。
【0054】
上述のように、本方法及び評価装置10では、被験者の肌表面が写り込む肌画像に対してぼかし処理が施されることにより、ぼかし強度の異なる複数のぼかし画像が取得され、ぼかし強度の異なるぼかし画像毎に、取得されたぼかし画像における特定の明度範囲の分布情報が生成される。
ぼかし強度の異なる複数のぼかし画像によれば、目視距離の変化に伴う肌特徴の見え方の変化を画像上に再現することができる。つまり、ぼかし強度の異なるぼかし画像毎の分布情報によれば、均一的な美肌の肌特徴を阻害する不均一肌要素の存否、度合い、特性(高周波成分か低周波成分かなど)などを把握することができる。当該分布情報の一例である局所領域の面積を例に挙げると、特定の明度範囲として高い明度範囲を設定した場合、その面積がぼかし強度の違いでそれほど変化しない場合には、その肌には不均一肌要素が少ないことを確認できる。また、ぼかし強度が或る値から小さくなると、当該局所領域の面積が急激に大きくなる場合には、その肌には、低周波成分の不均一肌要素が多く含まれることを確認することができる。
本実施形態によれば、ぼかし強度の異なるぼかし画像毎の特定の明度範囲の分布情報を用いることで、不均一肌要素の存否、度合い、特性などを把握することができ、それらにより影響を受ける、肌の見かけ状態を高精度にかつ容易に評価することができる。
【0055】
スキンケアの目的又は肌の見栄えをよくする目的で、各種の化粧料、美容施術、美容用若しくは健康用の飲食品などが利用されている。化粧料は、皮膚に塗布されるものであり、例えば化粧水、乳液、美容液、クリーム、ファンデーションなどがある。美容施術は、くすみやニキビ跡を改善する手技や小じわやくぼみを改善する手技などの肌に対する施術であり、非医療施術である。美容用又は健康用の飲食品は、スキンケアのための飲食品であり、コラーゲンやヒアルロン酸などを含む製品が流通している。
そこで、化粧料、美容施術、又は美容用若しくは健康用の飲食品が適用される前後の被験者の素肌の肌画像を用いて、各画像に写る肌の状態を上述の本方法又は評価装置10により評価することで、当該化粧料、当該美容施術又は当該飲食品に関する肌状態の改善効果を定量評価することができる。この評価方法は、具体的には、当該化粧料、当該美容施術又は当該飲食品を適用する前の被験者の肌画像から当該分布情報を生成し、更に、それら適用後の被験者の肌画像から当該分布情報を生成する。生成された両者の分布情報を比較することにより、評価指標について肌表面の見かけ状態が改善しているか否か、又は改善程度を評価することができる。
【実施例】
【0056】
以下、本発明者により行われた実験内容及び実験結果について説明すると共に、上述の実施形態の効果を実証する。実験内容については本方法に沿って説明する。
本実験では、米国Canfield社製のVISIA−CR(登録商標)が撮像装置として利用され、異なる三方位から照明を当てた環境条件の下、複数人の被験者の顔が斜め前方からそれぞれ撮影された(S11)。
次に、撮影された各顔画像をそれぞれトリミング加工することにより、評価対象部位である頬の肌表面の画像(肌画像)がそれぞれ抽出された(S12)。本実験では、縦1217ピクセル、横835ピクセルのカラーの肌画像が抽出された。
そして、抽出された肌画像を対象に肌表面の見かけ状態に関する官能評価が行われた。
図8は、官能評価において光沢感、加齢感及び美肌感の指標に関して代表的な結果を示した三人の肌画像を示している。被験者#1の肌画像は、「きれいでふんわりとした光沢感」と評価された肌画像である。被験者#2の肌画像は、「加齢感がありテカリを感じる光沢感」と評価された肌画像である。被験者#3の肌画像は、「加齢感のないテカリを感じる光沢感」と評価された肌画像である。
【0057】
続いて、図8に示される3人の肌画像に対して縦5ピクセル、横5ピクセルの移動平均フィルタをそれぞれ50回繰り返し適用することで、各肌画像に関して、ぼかし強度の異なる50枚のぼかし画像がそれぞれ生成された(S13)。この移動平均フィルタを用いることで、ぼかし強度の異なるぼかし画像を高速に取得することができる。移動平均フィルタの適用回数の上限(50回)は、肌の見かけた状態に影響を与えている肌特徴が視認できなくなる程度に設定された。
【0058】
次に、各ぼかし画像の画素値のG値を画素の明度値とし、220以上252以下を特定の明度範囲として持つ画素が対象画素として特定された(S14)。本実験の官能評価では光沢やテカリといった明るさ成分に関する評価指標が用いられているため、除外明度範囲(253以上255以下)を除いた明度範囲の中の、最高の明度範囲(220以下252以下)が選択されている。
そして、特定された対象画素に基づいて、局所領域の数及び面積が各ぼかし画像についてそれぞれ算出された(S15)。本実験では、全ての対象画素がいずれかの局所領域に属するという局所領域の設定手法が用いられ、工程(S14)及び工程(S15)の計算は、ライブラリ社の濃度変位計測ソフトウェア(Gray−val)により実施された。
【0059】
本実験では、図9及び図10に示されるグラフが変化傾向情報としてそれぞれ生成された。
図9は、ぼかし強度の違いに伴う局所領域数の変化傾向を示すグラフである。図10は、ぼかし強度の違いに伴う局所領域面積の変化傾向を示すグラフである。図9では、縦軸に局所領域数が表され、横軸にぼかし強度に相当するフィルタ適用回数が表されている。図10では、縦軸に局所領域面積が表され、横軸にぼかし強度に相当するフィルタ適用回数が表されている。
図9によれば、いわゆる美肌と評価される被験者#1については他の被験者と比較して変化が小さく、加齢感もテカリも感じられる被験者#2については、或るぼかし強度よりも小さくなると、急激に局所領域数が増加している。そして、加齢感はないがテカリが感じられる被験者#3については、被験者#1よりも変化は大きいが、被験者#2よりは増加量が大きくなっていない。
図10では、被験者#1については、図9と同様に、他の被験者と比較して変化が小さくなっている。被験者#2については、被験者#1の変化幅とあまり大差はないが、局所領域面積が被験者#1よりも全体的に小さくなっている。また、被験者#3については、変化幅が最も大きく、局所領域面積が、ぼかし強度が弱くなるにつれて、被験者#1を逆転して増加している。
このように、図9及び図10に例示されるように、変化傾向情報が、被験者の肌の見かけ状態に応じて特有の変化傾向を示すことが実証され、その情報を用いることで、被験者の肌の見かけ状態を複数の指標に関して評価できることが実証される。
【0060】
更に、本実験では、ぼかしのかかっていない肌画像からも局所領域の数及び面積が算出され、それらに基づいて被験者に関し算出された局所領域数及び面積の規格化も行われた。この規格化では、ぼかしのかかっていない肌画像の局所領域数及び面積に対する被験者の局所領域数及び面積の割合が百分率で算出された。
図11は、ぼかし強度の違いに伴う規格化された局所領域数の変化傾向を示すグラフである。図12は、ぼかし強度の違いに伴う規格化された局所領域面積の変化傾向を示すグラフである。
本規格化によれば、ぼかしのかかっていない肌画像から算出された値を基準に被験者間の値が統一されるため、肌特徴に応じた変化傾向がより顕著に表される。
更に、図13に矢印で示されているように、規格化された局所領域面積の変化傾向を示す値として、評価指標に対応する特定ぼかし強度における局所領域面積の変化量、変化率又は微分値を算出することもできる。図13は、規格化された局所領域面積の変化量の算出例を示す図である。
【0061】
また、本実験では、各ぼかし画像からそのぼかし画像のG値を輝度値として持つ濃淡画像が生成され、輝度値を明度値として用いて、その濃淡画像に対して、255以下253以上の明度値を除く253諧調の明度値範囲を8諧調に圧縮する減階調処理が行われた。その結果、各ぼかし画像に対して、8諧調の濃淡画像がそれぞれ生成され、ぼかし強度の降順に8諧調の濃淡画像が時系列に並ぶ動画が3人の肌画像に関してそれぞれ生成された。
図14は、8諧調の濃淡画像の動画の例を示す図である。図14には、4つのぼかし強度に関して生成された4枚の8諧調濃淡画像が示される。なお、本実験では、50枚の8諧調濃淡画像が生成され、それらの動画が生成された。このような動画が再生されることで、ぼかし強度の違いに伴う特定の明度範囲の分布の変化が視認することができ、その変化がどのような質感及び形体的特徴の肌の変化に近いのかを定性評価することにより、被験者の肌状態を複数の評価指標で評価することができる。
【0062】
以上、図面を参照して本発明の実施形態及び実施例について述べたが、これらは本発明の例示であり、上記以外の様々な構成を採用することもできる。また、本発明は上述の実施形態及び実施例に限定されるものではなく、本発明の目的が達成される限りにおける種々の変形、改良等の態様も含む。また、上述の評価装置10の構成要素は、個々に独立した存在である必要はない。複数の構成要素が一個の要素として形成されていること、一つの構成要素が複数の要素で形成されていること、ある構成要素が他の構成要素の一部であること、ある構成要素の一部と他の構成要素の一部とが重複していること、等を許容する。また、上述の肌状態評価方法の説明で用いた工程の実行順(図1に例示)は、その順に限定されるものではない。各工程の実行順は内容的に支障のない範囲で変更することができ、また複数の工程の実行タイミングの一部または全部が互いに重複していてもよい。
【0063】
例えば、撮像装置(カメラ)により撮影された被験者の肌画像を正規化し、正規化後の肌画像に対してぼかし処理が施されてもよい。この正規化では、例えば、被験者の肌画像の最高明度値が所定上限値となるように、肌画像の明度範囲を拡張する処理が行われてもよい。また、被験者の肌画像の平均明度値が所定値となるように、その画像の明度値ヒストグラムの移動処理が行われてもよい。
【0064】
上記の内容の一部又は全部は、次のようにも特定され得る。但し、上述の内容が以下の記載に制限されるものではない。
【0065】
<1>肌表面が撮影された所定ぼかし強度のぼかし画像を取得する取得工程と、前記ぼかし画像における特定の明度範囲の分布情報を生成する生成工程と、を含む肌状態評価方法。
<2>前記分布情報は、前記ぼかし画像中の前記特定の明度範囲の画素に基づく、面積、局所領域数及び方向の少なくとも一つを示す指標値、又は、前記ぼかし画像中の該局所領域を表す画像である、<1>に記載の肌状態評価方法。
<3>前記取得工程では、肌表面のぼかし画像であってぼかし強度の異なる複数のぼかし画像を取得し、前記生成工程では、前記ぼかし強度の異なるぼかし画像毎に前記分布情報をそれぞれ生成する、<1>又は<2>に記載の肌状態評価方法。
<4>前記生成工程では、前記ぼかし強度の異なるぼかし画像毎にそれぞれ生成された複数の分布情報における前記ぼかし強度の違いに伴う変化傾向を示す情報を更に生成する、<3>に記載の肌状態評価方法。
<5>被験肌に関して生成された前記変化傾向を示す情報と、サンプル肌に関して生成された前記変化傾向を示す情報との対比により、該被験肌の状態を評価する工程、を更に含む<4>に記載の肌状態評価方法。
<6>前記取得工程では、肌表面が撮影された肌画像に対して平滑化フィルタを複数回適用することにより、ぼかし強度の異なる前記複数のぼかし画像を取得する、<3>から<5>のいずれか一つに記載の肌状態評価方法。
<7>前記特定の明度範囲は、前記ぼかし画像の各画素が示し得る明度の上限値を含む所定範囲を除いた、所定明度値範囲の中から選択された明度値の範囲である、<1>から<6>のいずれか一つに記載の肌状態評価方法。
<8>ぼかしのかかっていない肌画像から抽出される前記特定の明度範囲の分布情報に基づいて、前記分布情報を規格化する工程、を更に含む<1>から<7>のいずれか一つに記載の肌状態評価方法。
<9>化粧料、美容施術(医療行為を除く)又は美容用若しくは健康用の飲食品の適用前後の肌を、<1>から<8>のいずれか一つに記載の肌状態評価方法により評価することにより、該化粧料、該美容施術又は該飲食品の効果を評価する方法。
<10>肌表面が撮影された所定ぼかし強度のぼかし画像を取得する取得手段と、前記ぼかし画像における特定の明度範囲の分布情報を生成する生成手段と、を備える肌状態評価装置。
<11>前記生成手段は、前記分布情報として、前記ぼかし画像中の前記特定の明度範囲の画素に基づく、面積、局所領域数及び方向の少なくとも一つを示す指標値、又は、前記ぼかし画像中の該局所領域を表す画像を生成する、<10>に記載の肌状態評価装置。
<12>前記取得手段は、肌表面が撮影された肌画像を取得し、前記取得された肌画像に対して平滑化フィルタを複数回適用する、ことを含み、ぼかし強度の異なる複数のぼかし画像を取得し、前記生成手段は、前記ぼかし強度の異なるぼかし画像毎に前記分布情報をそれぞれ生成する、<10>又は<11>に記載の肌状態評価装置。
<13>前記生成手段は、前記ぼかし強度の異なるぼかし画像毎にそれぞれ生成された複数の分布情報における前記ぼかし強度の違いに伴う変化傾向を示す情報を更に生成する、<12>に記載の肌状態評価装置。
<14>前記特定の明度範囲は、前記ぼかし画像の各画素が示し得る明度の上限値を含む所定範囲を除いた、所定明度値範囲の中から選択された明度値の範囲である、<10>から<13>のいずれか一つに記載の肌状態評価装置。
<15>ぼかしのかかっていない肌画像から生成された前記特定の明度範囲の分布情報に基づいて、前記分布情報を規格化する規格化手段、を更に備える<10>から<14>のいずれか一つに記載の肌状態評価装置。
【符号の説明】
【0066】
10 肌状態評価装置(評価装置)
11 CPU
12 メモリ
13 入出力I/F
14 通信ユニット
15 表示装置
16 入力装置
21 画像取得部
22 ぼかし処理部
23 生成部
24 情報格納部
25 出力処理部
図1
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