(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記利用者の食事を構成する要素は、前記利用者の食事の材料の種類に関する情報を、当該種類別に複数の項目を前記表示画面に表示して当該表示画面上で指示入力を受け付けることによって選択入力され、
前記基準は、前記複数の項目のうちの所定の組み合わせに該当するか否かである、
請求項2に記載の情報処理端末。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、図面を参照して本発明の実施の形態を説明する。ただし、以下に説明する実施形態は、あくまでも例示であり、以下に明示しない種々の変形や技術の適用を排除する意図はない。即ち、本発明は、その趣旨を逸脱しない範囲で種々変形して実施することができる。また、以下の図面の記載において、同一または類似の部分には同一または類似の符号を付して表している。図面は模式的なものであり、必ずしも実際の寸法や比率等とは一致しない。図面相互間においても互いの寸法の関係や比率が異なる部分が含まれていることがある。
【0011】
本実施の形態は、携帯電話、スマートホン、タブレット端末等の情報処理端末において実現される。以上に限られず、各種のコンピュータ機能を有する情報処理装置一般に適用することができるが、上述の小型情報処理端末において適用することを想定して説明する。
【0012】
本実施の形態にかかる情報処理端末は、図示しないがCPU(Central Processing Unit)と、ROM(Read Only Memory)と、RAM(Random Access Memory)と、画像処理部と、メモリを備えている。CPU、ROM、RAM、画像処理部及びメモリは、バスを介して相互に接続されている。
【0013】
CPUは、ROMに記録されているプログラム、又はメモリからRAMにロードされたプログラムに従って各種の処理を実行する。RAMには、CPUが各種の処理を実行する上において必要なデータ等も適宜記憶される。
【0014】
画像処理部は、DSP(Digital Signal Processor)や、VRAM(Video Random Access Memory)等から構成されており、CPUと協働して、画像のデータに対して各種画像処理を施す。
【0015】
メモリは、DRAMやキャッシュメモリ、磁気ディスク、光ディスク、光磁気ディスク、或いは半導体メモリ等何らかの記憶媒体が挙げられる。メモリは、バスにより接続されるもののみならず、ドライブを介して読み書きされるものも含まれる。本実施形態で記憶されたデータは、一時的記憶も不揮発性メモリによる長期記憶の場合も、このメモリにいったん記憶するものとして説明する。
【0016】
情報処理端末には、入出力インターフェースが接続されている。入出力インターフェースを介して、撮像部、入力部、通信部が接続されている。入力部は、各種ボタンにより構成され、ユーザの指示操作を受け付ける。通信部は、インターネットを含むネットワークを介して他の装置との間で行う通信を制御する。情報処理端末は、加速度センサ、ジャイロ(角速度)センサを内蔵する構成とすることにより、以上の各種構成に出力が与えられる。
【0017】
情報処理端末は、それぞれ以上の各構成を備えるが、機能的構成についてはそれぞれ後述する。各機能的構成は、CPU、ROM、RAM、画像処理部及びメモリの協働動作により機能的に実現される。これらの各部の機能は電子回路又はプログラムによって提供されるモジュール構成であり、プログラムについてはROMに格納され、CPUにより適宜読み出しながら各部と協働することで実行される。
図1に示した各機能的構成については、
図2以降の各図をそれぞれ参照しながら説明する。
【0018】
図1は、本実施の形態の情報処理端末の機能的構成を説明するブロック図である。本実施の形態に係る情報処理端末は、アプリケーション記憶部10、取得部20、制御部30、表示部40を備える。アプリケーション記憶部10、取得部20、制御部30、表示部40の機能的構成は、上述のハードウェア構成によって実現される機能的構成である。表示部40は表示画面41を有する。
【0019】
(取得部10と利用者の活動情報について)
取得部10は、利用者の活動に基づいた活動情報を、当該活動を行った時間と関連付けて取得する。利用者の活動は、主に認知症の予防に役立つ各種活動が挙げられる。認知症に役立つ食事、運動、ストレスの解消、社会参加などである。活動情報とは、これらの利用者の活動について定量化又は識別化できるようにした情報である。利用者の活動については、利用者の運動及び食事を中心について説明する。食事や運動の具体的な種類としては、それ自体が認知症予防に役立つ活動が挙げられる。
【0020】
利用者の運動には多数のものがあるが、年齢が上がるにつれて、実際にできる運動の種類には限りがある。さらに気軽に始められるものはさらに数が少ない。気軽にできる運動としては、散歩などによる歩行、早歩き、ジョギングが考えられ、歩行の場合は歩数、早歩きとジョギングの場合は心拍数によって測ることができる。そしていずれも運動時間が重要な要素である。
【0021】
特に歩くという行為は単純な運動である一方で、単に机に向かって考え事をしたり検討したりするよりも、歩きながら考える方が、成果が出やすいことも多い。歩くという行為が脳に対して良い効果をもたらすことが確認されている。激しい運動と比較すると、どの程度歩くことで健康に効果が出るかについては、特に日頃運動しない利用者を対象とした場合には効果の管理が比較的しやすいという利点がある。
【0022】
利用者の運動を歩行とした場合、取得部10は、歩数計としてもよい。この場合、取得部10は、活動情報として利用者の歩数情報を取得する。取得部10は、歩数計からの出力である歩数情報を、歩行した時間と組み合わせ、取得した歩数情報の歩数のカウント開始時間からカウントの終了時間までを、活動を行った時間として、歩数情報と関連付けて取得する。
【0023】
図2は、歩数画面を示す表示画面である。取得部10を歩数計とした場合の表示画面41を
図2に示す。利用者の操作により
図2の表示画面41を表示することができる。歩行の自動判定機能を用いる場合には、取得部10は、利用者が歩行を開始したと判定した場合には、表示部40への指示により、表示画面41に
図2の画面を表示する。
【0024】
歩行中は、
図2に示すように歩行中の歩数を表示する。表示部40は、歩行期間中の歩数を表示してもよいが、
図2では、歩行した日の累積の歩数を表示している。これと併せて、利用者の目標とする歩数、目標までの端数、過去の歩行からの累積となる歩数などを表示することもできる。さらに表示画面41の下には各種メニュー項目を表示し、表示中に他のメニューに戻ることもできる。
【0025】
歩行の開始と終了は、利用者が情報処理端末に入力することにより設定する。一方で、自動で歩行の開始と終了を判定する構成とすることもできる。情報処理端末に例えば加速度センサ、ジャイロ(角速度)センサを内蔵する構成とすることにより、その出力から歩行したか否かに関する情報を取得することができる。その歩行が継続したか否かを判定することにより、歩行が継続した時間の開始と終了を歩行時間、活動を行った時間として取得する。
【0026】
このように歩行の開始と終了を自動判定する構成とすることにより、利用者が自ら入力しなくても利用者の活動情報を入力することができるだけでなく、恣意的又は正確でない歩行情報の入力を防止することができる。利用者の運動状態を正確に把握することにより、後述のトレーニングゲーム等の際の評価スコアの付与を正確に行うことができるようになる。単に「運動をした」と入力すればよい、という不正確な運用を避けることができるようになり、運動とトレーニングゲームの連動動作を適切に促すことができ、後述の本実施の形態の効果を適切に得ることができるようになる。
【0027】
また、取得部10は、ある期間において歩数が所定の数を超えて増加した場合に運動をしたと判定してもよい。この場合取得部10は、事前に基準の歩数を設定し、設定された基準の歩数以上をカウントしたときに、その歩行の開始をもって運動開始とする。例えば50歩歩いたら歩行をしたとして、その1歩目の時間を歩行開始とすることができる。そして3分以上歩行がカウントされない場合は、最後の歩行の時間をもって歩行終了と判定する。
【0028】
単に数歩歩いただけ、というのは日常生活において当たり前のことであり、上述の構成とすることにより、ある程度の歩数以上をもって歩行がされ、運動をしたと判定することができる。特に上述のように歩行の開始及び終了を自動判定するようにした場合、家の中を少し動いただけで運動したことになり、ノイズが含まれることになるので、こうしたノイズの発生を防止することができる。
【0029】
(活動情報としての食事について)
利用者の活動として運動、特に歩行について説明したが、認知症の予防という観点では、食事の管理も重要である。
図3は、食事項目を示す表示画面である。
図3に示すように、その日に食べた食事を項目ごとに分類してアイコンの項目として表示部40により表示する。例えば「豆」「ゴマ」「卵」「チーズ」「わかめ」「野菜」「魚」「しいたけ」「芋」という具体的な項目をアイコンとして画面表示する。食事をしたらその食事の時間帯と共に、その実際にした食事の内容をアイコンを選択する操作により入力する。このようにして取得部10は、利用者の食事を構成する要素を選択入力により受け付け、利用者の食事の時期に関する情報と関連付けて取得する。利用者の食事を構成する要素として、利用者の食事の材料の種類に関する情報を、当該種類別に複数の項目を表示画面41に表示して表示画面41上で指示入力を受け付けることによって選択入力される。
【0030】
そして、取得部10は、選択入力により受け付けた要素が基準を満たす場合に、活動を行ったものと判定して、利用者の食事の時期に関する情報を前記活動を行った時間として取得する。具体的には、
図3に示す9項目のうちの5項目が満たされている場合に基準を満たしたとすることができる。または、「魚」と「野菜」をとった場合、「ゴマ」と「野菜」をとった場合、「卵」と「豆」をとった場合、「芋」と「豆」をとった場合などの、複数の項目のうちの所定の組み合わせに該当するか否かをもって基準とすることができる。
【0031】
(アプリケーション記憶部20とトレーニングゲームについて)
アプリケーション記憶部20は、複数のアプリケーションソフトを記憶しており、特にゲーム21〜23を記憶している。図示のためにゲーム21〜23と3つを例にして示しているが、数はこれ以上又はこれ以下となってもよい。また、ゲームソフトウェアではないアプリケーションソフトを格納してもよい。以降、ゲーム21〜23や他のソフトウェアを、アプリケーションソフトウェアとして総称して説明する。
【0032】
ゲーム21〜23には、認知症予防に役立つ、脳を刺激するようなトレーニングゲームの中からあらかじめ用意されている。トレーニングゲームとしては、計算ゲームや、クイズゲーム、間違い探しなどが挙げられる。さらに、認知症予防のために社会的参加を認識される側面から、対戦ゲームとすることにより、さらに効果を上げることができる。ゲーム21〜23のトレーニングゲームは、それ自体によっても認知症の要望に対しては一定の効果があることが確認されているものが選択されている。
【0033】
トレーニングゲームについては、正解が存在してその正解に到達したかどうかを確認することができるものが、認知症予防により効果的であるということが確認されている(高次脳機能研究34(3):335〜341、2014、「脳トレ(登録商標)ゲームは認知機能を向上させることができるのか?」)。単にゲームをすることで頭を使った、という程度ではなく、認知症予防に効果のあるゲームを、運動や食事との関係で適切なタイミングで、規則正しくおこなわせることにより、トレーニングゲームを他の行為と組み合わせることによる効果をさらに高めることができる。
【0034】
ゲーム21〜23の具体的な例として、問題及び回答の選択肢を表示して利用者からの回答入力に基づいて正解判定をする、問答の複数の組み合わせからなる問答ゲーム、クイズゲームが挙げられる。また、表示画面41に表示される複数の対象物を入力により操作し、場合によってはその対象物を表示画面41上で動かし、当該操作の結果として複数の対象物の配置が要件を満たす場合に、例えば動かした対象物の配置が要件に合致する場合に、正解状態とするパズルゲームが挙げられる。また、計算式を表示画面41に表示して、数字の入力を受け付けることにより、計算式の計算結果と入力された数字を照らし合わせて一致する場合に正解状態とする計算ゲームが挙げられる。
【0035】
このように、アプリケーション記憶部20に記憶されるゲーム21〜23は、表示画面41から所定位置の指摘又は表示画面の所定位置にある対象の移動動作による回答または操作の入力を受け付け、当該入力に基づき正解判定することによりゲームスコアを加算していくゲームを少なくとも1つ有する。
【0036】
トレーニングゲームについては、このように正解のあるゲームとすることにより、認知症の予防に効果があると考えられる。正確な作業や回答の繰り返しにより、認知機能が向上するものと考えられる。正解がない作業を行うゲームについて、正誤の確認がされないままゲームが進行していくので、認知に対するフィードバックはされない。
【0037】
ゲームの中でも認知機能の向上に役立つものについては、現在でも研究が進んでいる。例えば、高次脳機能研究34(3):335〜341、2014、「脳トレ(登録商標)ゲームは認知機能を向上させることができるのか?」によると、計算や音読などの正解があるような、正しく作業を行うようなゲームについて認知機能の向上効果があることが確認されている。
【0038】
通常のゲームの場合、操作によりスコアが上がったり画面上の効果が生じたとしても、必ずしも正解があるものではない。正解のない中で適宜反射能力、判断能力を発揮するものであると考えられる。それは反射神経を向上させる可能性はあるものの、認知能力の向上、ひいては認知症の予防に対する効果を上げるものであるとの研究は現在はされていない。
【0039】
このように、正解があるものに対して利用者が答えを導くことが重要であり、そのための入力方法として、利用者は、表示画面41から所定位置の指摘又は表示画面の所定位置にある対象の移動動作による回答または操作の入力を行う。その結果としての正誤判定のフィードバックの繰り返しにより、本実施の形態では、認知症の予防を行っていく。
【0040】
(制御部30について)
制御部30は、機能的構成として計測部31、比較部32、評価部33を備える。制御部30は、取得部10から取得した活動情報に基づく制御処理や、アプリケーション記憶部20に記憶されるゲーム21〜23の実行制御、データ管理、表示制御、ネットワークに対する制御処理を含む、情報処理端末に対する制御全般を実行する処理部である。
【0041】
計測部31は、アプリケーションソフトウェアによるゲームの実行時間を計測する。ゲームの実行時間は、ゲームの開始時間から終了時間までとすることができる。例えば、利用者がゲームの開始ボタンを入力してから、終了ボタンを入力するまでの時間とすることができる。ただし、近年のアプリケーションソフトウェアには、バックグラウンドで動作し続けるものもあるので、情報処理端末上で表示画面41に画面を表示してから画面を消去するまでの時間をゲームの実行時間としてもよい。実行時間は、年月日の日付と、何時何分何秒の時刻によって開始終了の情報とする。さらに、ゲーム実行の継続時間を含む。
【0042】
比較部32は、活動情報に関連付けられた活動を行った活動時間と、前記計側部によって計測されたゲームの実行時間を比較して、活動時間と実行時間の間があらかじめ定められた時間内であるか否かを判定する。例えば、活動時間として歩行などの運動を6月1日午後2時から2時30分まで行ったとする。一方で、例えばゲーム21を6月1日午後5時から5時30分まで行ったとする。運動の終了時間は午後2時30分、ゲーム21の開始時間は6月1日午後5時であるので、活動時間と実行時間の間は、2時間30分となる。
【0043】
一方で比較部32では、比較対象となる設定時間をあらかじめ設定しておく。設定時間として、例えば3時間とすることができる。今回、活動時間と実行時間の間は2時間30分であり3時間以内であるので、比較部32は、あらかじめ定められた時間内であると判定する。なお、ここでの設定時間が1時間とされている場合、活動時間と実行時間の間の2時間30分は、1時間を超えているので、比較部32は、あらかじめ定められた時間内ではないと判定する。
【0044】
評価部33は、比較部32によって活動時間と実行時間の間が所定時間内であると判定された場合、評価スコアを加算する。評価スコアは、このアプリケーションソフトウェアに対して特に設定されたスコアとしてもよいし、他のソフトウェアでも用いられるスコアをそのまま用いてもよい。
【0045】
または評価スコアについては、単なる点数に限らず、金銭的に引き換えができる購買用のポイントや、一定のポイントがたまった場合に何らかの特典を与えるというような、経済的なポイントとすることにより、利用者に対するインセンティブをさらに高めてもよい。
【0046】
図4は、評価スコアの加算画面を示す表示画面である。評価スコアとして、「脳の健康維持活動スターボーナス」を採用し、この評価スコアに加算がされたことを示す表示画面41の一例を
図4に示す。トレーニングゲームを終了したときのこの表示画面41を表示することにより、利用者のインセンティブとすることができる。
【0047】
以上のインセンティブを介して、利用者は定められた時間内にトレーニングゲームを実行することが動機づけられる。その利用者は本来自らそのトレーニングゲームを所有しており、一定の頻度でそのトレーニングゲームを行うのであるから、利用者は、インセンティブによって動機づけられたタイミングでトレーニングゲームを実行する可能性が高まる。例えば利用者が歩いた時間帯とトレーニングゲームの時間帯が近い時間に行われるよう動機づけることで、特に高い効果をもたらすことが期待される。
【0048】
評価部33は、合致した場合に一律な値を評価スコアとして加算してもよいが、たとえば歩いた時間帯とトレーニングゲームの時間帯が近いかどうかだけでなく、何分程度歩いた場合にどの程度スコア加算するかを設定してもよい。
【0049】
一方で、活動時間と実行時間の間が所定時間内でないと比較部32によって判定された場合、評価部33は、時間外であることを利用者に通知する。例えば表示部40によって警告表示をする。情報処理端末から警告音を発してもよい。時間内か時間外かを利用者が随時確認できるようにすることにより、利用者の決められた時間でのアプリケーションソフトウェアの利用を促すことができる。
【0050】
なお、一機能として、比較部32は、活動時間と実行時間を比較して重複が生じているか否かを判定してもよい。具体的には歩行中にゲームを始めるような場合である。移動中にゲーム21〜23などのアプリケーションソフトウェアを実行するのは極めて危険である。したがって、移動中にアプリケーションソフトウェアの実行が操作された場合には、制御部30は、アプリケーションソフトウェアの実行を差し止めることができる。または割り込みによる強制終了や、表示部40により警告の画面を表示することもできる。このように構成することにより、歩行中のゲームによる熱中という危険な状態を回避することができる。
【0051】
(本実施の形態による効果)
以上のように、利用者がトレーニングゲームを行う際に、運動データを参照して、運動を行った時間から1時間以内などのある定められた期間内である場合は、評価ポイントを加算するので、その定められた時間内にトレーニングゲームを行うことに対するインセンティブが高まる。
【0052】
また、食事を行った時間とその食事の内容を入力し、その要件を満たす食事を、定められた時間内にした場合にもまた評価ポイントを加算するので、その定められた時間内にトレーニングゲームを行うことが動機づけられる。また、ゲームを行うものにとっても規則正しい食生活を送ることに動機づけられる。
【0053】
このように食事や運動からの決まった時間内にトレーニングゲームを行うことが動機づけられ、適切なタイミングに行われることにより、認知症予防に対して複合的な効果が高まることが期待される。1つ1つの行為による認知症予防の効果は現時点では必ずしも高いとは言えない中で、これらを複合して行うように動機づけることで、相乗的な効果が発揮される。
【0054】
また、認知症予防に対する研究は始まったばかりで、個々の行為についての効果が必ずしも確認されていない中で、複合的に行わせることによって効果が確認されたものについては、認知症予防の施策として取り入れることも可能となる。特に、認知症予防のためになされる行為は生活習慣的なものであり、繰り返し行うことによってはじめて成果が出るものが多いと考えられる。医者の管理などにより強制的に行わせるのも1つの方法ではあるが、動機づけによって自ら習慣的にトレーニングゲームに組み合わせる方がコスト面を考慮しても合理的である。
【0055】
また、繰り返しによる生活習慣的な改善策というものは、早い段階で目に見える効果が出る方が本人に対する動機づけとなりやすい。複数の行為について組み合わせで実行することを無理なく動機づけられることで、複数の行為の結果早く効果が出ることが期待される。効果が出ることが利用者にとっての動機づけとなり、その結果としてよい循環が生まれてくることが期待される。
【0056】
また、健康な食事をして、適切な運動をして、あとは脳に対する適切な刺激を定期的に得る、ということが大事であるとは分かっていても、その組み合わせを動機づけられる機会が得られないと、どれかが抜け落ちてしまう可能性が高まる。また、強制力が与えられることで、ストレスになることや、本人のやる気が返って削がれることも考えられる。気楽にできるゲームであるにもかかわらず、嫌気を催すことも考えられる。
【0057】
本実施例では、あくまで評価スコアに加算されるだけであるので、忙しいのに無理してゲームをする必要もないし、今日忘れていても明日やればよいだけで、ストレスになるような強制力にはなりにくいことが考えられる。その一方で、定められた時間内にゲームがされないことでスコアが伸びにくくなることが確認されることから、これではいけないと、その後の動機付けに駆り立てるであろうことが予測される。その結果として成果が出やすくなることが期待される。
【0058】
(フローチャート)
上述の構成について、処理の流れをフローチャートを参照して説明する。本実施の形態ではフローチャートに沿って処理の流れを説明するが、各図に示した順序に限られるものではなく、該当する処理を実施する上で支障がない範囲で、処理を前後させてもよい。
【0059】
図5は、本実施の形態の活動評価処理を説明するフローチャートである。まず評価部33は、初期化と評価データの取得処理を行う(ステップ100)。ここでは、変数データの初期化や、評価データとしてのスターデータの取得処理を行う。評価データはすでに蓄積されたデータにさらに加算させていく形となる。
【0060】
次に、計測部31は、アプリケーション記憶部20からトレーニングデータを取得する(ステップ110)。すなわち、アプリケーション記憶部20にはゲーム21〜23とそこでの実行結果としてのゲームスコア、さらにアプリケーションソフトウェアを実行した日付と時間のデータが記憶されているので、これらのトレーニングデータを取得する。
【0061】
そして計測部31は、トレーニングデータを取得することができたか否かを判定する(ステップ120)。トレーニングデータがない場合には、評価スコアの加算はされないので、評価スコアの加算に関する処理を省略してその他の出力処理に移行すべくステップ160に進む。
【0062】
トレーニングデータがあった場合には、取得部10は、トレーニングデータに示される日時から24時間以内の活動データを取得する(ステップ130)。なお、ステップ130〜150は、単一の活動情報のみを対象とした処理の流れとして説明しているが、上述のように、活動情報には運動情報、歩行情報、食事情報などの多岐にわたる情報が含まれる。そこでステップ130〜150は、活動情報の種類ごとに、それぞれ処理をループさせる。例えば最初に歩行に関する評価処理(ステップ130〜150)を実行し、その後同様に運動に関する評価処理、食事に関する評価処理、とそれぞれ実行していく構成とすることができる。これらの処理が終了した後、その他の出力処理に移行すべくステップ160に進む。
【0063】
次に、取得部10は、活動情報を取得できたか否かを判定する(ステップ140)。活動情報が取得できない場合、その活動に関する処理を終了する。活動情報が取得できた場合、活動評価処理に移行する(ステップ150)。活動評価処理については、
図6及び
図7のフローチャートを参照して説明する。
【0064】
ステップ150の活動評価処理にて評価スコアを取得し、もしくは評価スコアに関する処理を実行しなかった場合、評価部33は、評価スコアとアドバイスの出力処理を実行する(ステップ160)。評価スコアの表示処理については、
図4に示す。
【0065】
図6は、運動情報に対する評価処理を説明するフローチャートである。
図5ステップ150の活動評価処理のうち、運動情報の評価処理について説明する。最初は歩行に関する評価処理を実行する。まず取得部10は、ゲーム開始1時間前の歩数データを取得する(ステップ200)。そして取得部10は、取得した歩数データについての歩行が30分以上継続したものであるか否かを判定する(ステップ210)。
【0066】
30分以上継続したものの場合には、評価スコアの対象となる運動として、評価部33は、評価スコアを+2加算する(ステップ220)。30分以上継続したものでない場合には、評価スコアの対象となる運動ではないことから、表示部40により、活動を推奨するメッセージを表示する(ステップ225)。
【0067】
歩行に関する評価処理を実行したので、次は早歩きに関する評価処理を実行する。取得部10は、ゲーム開始24時間前の早歩き時間データを取得する(ステップ230)。そして取得部10は、取得した早歩き時間データについての歩行が30分以上継続したものであるか否かを判定する(ステップ240)。
【0068】
30分以上継続したものの場合には、評価スコアの対象となる運動として、評価部33は、評価スコアを+2加算する(ステップ250)。30分以上継続したものでない場合には、評価スコアの対象となる運動ではないことから、表示部40により、活動を推奨するメッセージを表示する(ステップ255)。以上により、運動情報についての評価処理を終了する。
【0069】
図7は、食事情報に対する評価処理を説明するフローチャートである。まず、取得部10は、表示画面41を介して魚と野菜が選択されたか否かを判定する(ステップ310)。選択された場合は、評価スコアを+2加算する(ステップ320)。選択されていない場合は表示部40により、活動を推奨するメッセージを表示する(ステップ325)。以上により、運動情報についての評価処理を終了する。
【0070】
次に、取得部10は、表示画面41を介してゴマと野菜が選択されたか否かを判定する(ステップ330)。選択された場合は、評価スコアを+2加算する(ステップ340)。選択されていない場合は表示部40により、活動を推奨するメッセージを表示する(ステップ345)。以上により、運動情報についての評価処理を終了する。
【0071】
同様に、取得部10は、表示画面41を介して卵と豆が選択されたか否かを判定する(ステップ350)。選択された場合は、評価スコアを+2加算する(ステップ360)。選択されていない場合は表示部40により、活動を推奨するメッセージを表示する(ステップ365)。以上により、運動情報についての評価処理を終了する。
【0072】
同様に、取得部10は、表示画面41を介して芋と豆が選択されたか否かを判定する(ステップ370)。選択された場合は、評価スコアを+2加算する(ステップ380)。選択されていない場合は表示部40により、活動を推奨するメッセージを表示する(ステップ385)。以上により、運動情報についての評価処理を終了する。
【0073】
以上、本発明について実施例を用いて説明したが、本発明の技術的範囲は上記実施例に記載の範囲には限定されない。上記実施例に、多様な変更又は改良を加えることが可能であることが当業者に明らかである。その様な変更又は改良を加えた形態も本発明の技術的範囲に含まれ得ることが、特許請求の範囲の記載から明らかである。