特許第6730105号(P6730105)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 株式会社筑水キャニコムの特許一覧 ▶ 福山ゴム工業株式会社の特許一覧

<>
  • 特許6730105-ゴムクローラ 図000002
  • 特許6730105-ゴムクローラ 図000003
  • 特許6730105-ゴムクローラ 図000004
  • 特許6730105-ゴムクローラ 図000005
  • 特許6730105-ゴムクローラ 図000006
  • 特許6730105-ゴムクローラ 図000007
  • 特許6730105-ゴムクローラ 図000008
  • 特許6730105-ゴムクローラ 図000009
  • 特許6730105-ゴムクローラ 図000010
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6730105
(24)【登録日】2020年7月6日
(45)【発行日】2020年7月29日
(54)【発明の名称】ゴムクローラ
(51)【国際特許分類】
   B62D 55/253 20060101AFI20200716BHJP
【FI】
   B62D55/253 E
   B62D55/253 A
【請求項の数】5
【全頁数】8
(21)【出願番号】特願2016-119768(P2016-119768)
(22)【出願日】2016年6月16日
(65)【公開番号】特開2017-222284(P2017-222284A)
(43)【公開日】2017年12月21日
【審査請求日】2019年6月14日
(73)【特許権者】
【識別番号】390005234
【氏名又は名称】株式会社筑水キャニコム
(73)【特許権者】
【識別番号】000239127
【氏名又は名称】福山ゴム工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100119644
【弁理士】
【氏名又は名称】綾田 正道
(72)【発明者】
【氏名】包行 均
(72)【発明者】
【氏名】包行 良光
(72)【発明者】
【氏名】山崎 久興
(72)【発明者】
【氏名】石岡 卓也
【審査官】 川村 健一
(56)【参考文献】
【文献】 特開昭57−144174(JP,A)
【文献】 特開2000−095159(JP,A)
【文献】 実公昭62−36698(JP,Y2)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B62D 55/253
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
無端状のゴム本体と、
該ゴム本体中にその周方向Yに一定の間隔で横並べに埋設配置されていてゴム本体の内周面側に突出する一対の駆動突起を備えた複数の芯金と、
前記ゴム本体の外表面側にその周方向Yに一定の間隔で横並べに突出配置された複数のゴムラグと、
を備えたゴムクローラであって、
前記複数の芯金の内の一部の芯金の幅方向の両端部にボルト挿通孔が形成され、このボルト挿通孔を有する芯金部分のゴムラグを設けず、これに変えて金属製のラグ構成体が前記芯金に対しボルトで着脱可能に取り付け固定されていることを特徴とするゴムクローラ。
【請求項2】
請求項1記載のゴムクローラにおいて、前記両端部にボルト挿通孔が形成された一部の芯金は、その他の芯金の一定個数ごとに複数配置されていることを特徴とするゴムクローラ。
【請求項3】
請求項1又は2に記載のゴムクローラにおいて、前記金属製のラグ構成体は、幅方向の両端部に前記一部の芯金のボルト挿通孔に対応する幅方向の両端部にボルト挿通孔を有する本体部と、該本体部から突出するラグ部とで構成されていることを特徴とするゴムクローラ。
【請求項4】
請求項3記載のゴムクローラにおいて、前記ラグ部が前記ゴムラグより突出していることを特徴とするゴムクローラ。
【請求項5】
請求項3又は4に記載のゴムクローラにおいて、前記ラグ部の先端部には少なくとも1箇所に切欠部が形成されていることを特徴とするゴムクローラ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、主に寒冷地における林業作業車両の足回りである無端軌道走行装置に装着して用いられるゴムクローラに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、ゴムクローラは、無端状のゴム本体と、該ゴム本体中にその周方向一定ピッチをもって横並べに埋設されていてゴム本体の内周面側に突出する一対の駆動突起を備えた複数の芯金と、前記ゴム本体の外周面側にその周方向一定ピッチをもって横並べに突出する複数のゴムラグと、を備えた構造となっている(特許文献1参照。)
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2015−205579号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、従来例のゴムクローラにあっては、走行路面に接するラグが弾性ゴム素材であるため、寒冷地の山などで走行路面が凍結している場合、ゴムラグが凍結路面に食い込まずにスリップして走行することができないという問題があった。
【0005】
本発明の解決しようとする課題は、凍結した路面でもスリップすることなく走行することができるゴムクローラを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するため請求項1記載のゴムクローラは、
無端状のゴム本体と、
該ゴム本体中にその周方向Yに一定の間隔で横並べに埋設配置されていてゴム本体の内周面側に突出する一対の駆動突起を備えた複数の芯金と、
前記ゴム本体の外表面側にその周方向Yに一定の間隔で横並べに突出配置された複数のゴムラグと、
を備えたゴムクローラであって、
前記複数の芯金の内の一部の芯金の幅方向の両端部にボルト挿通孔が形成され、このボルト挿通孔を有する芯金部分のゴムラグを設けず、これに変えて金属製のラグ構成体が前記芯金に対しボルトで着脱可能に取り付け固定されていることを特徴とする。
【0007】
また、請求項2記載のゴムクローラは、請求項1記載のゴムクローラにおいて前記両端部にボルト挿通孔が形成された一部の芯金は、その他の芯金の一定個数ごとに複数配置されていることを特徴とする。
【0008】
また、請求項3記載のゴムクローラは、請求項1又は2に記載のゴムクローラにおいて、前記金属製のラグ構成体は、幅方向の両端部に前記一部の芯金のボルト挿通孔に対応する幅方向の両端部にボルト挿通孔を有する本体部と、該本体部から突出するラグ部とで構成されていることを特徴とする。
【0009】
また、請求項4記載のゴムクローラは、請求項3記載のゴムクローラにおいて、前記ラグ部が前記ゴムラグより突出していることを特徴とする。
【0010】
また、請求項5記載のゴムクローラは、請求項3又は4に記載のゴムクローラにおいて、前記ラグ部の先端部には少なくとも1箇所に切欠部が形成されていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0011】
この発明のゴムクローラでは、上述のように、複数の芯金の内の一部の芯金の幅方向の両端部にボルト挿通孔が形成され、このボルト挿通孔を有する芯金部分のゴムラグを設けず、これに変えて金属製のラグ構成体が前記芯金に対しボルトで着脱可能に取り付け固定されている構成としたことで、金属製のラグ部が凍結路面に食い込んで凍結路面でのグリップ力を高めることができるようになる。
従って、凍結した路面でもスリップすることなく林業作業車両等を走行させることができるようになる。
【0012】
また、金属製のラグ構成体は一部の芯金に対しボルトで取り付け固定されたものであるため、ラグ部が磨耗した場合は金属製のラグ構成体を容易に交換することができる。
さらに、一部の芯金から金属製のラグ構成体を取り外すことにより、舗装道路の走行も可能になる。
【0013】
また、金属製のラグ部がゴムラグより僅かでも突出した構成とすることで、グリップ力を高めることができるようになる。
【0014】
また、前記金属製のラグ部の先端部には少なくとも1箇所に切欠部が形成されることで、横滑り防止効果を高めることができるようになる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】実施例1のゴムクローラを適用した無端軌道走行装置を示す平面図である。
図2】実施例1のゴムクローラを適用した無端軌道走行装置を示す背面図である。
図3】実施例1のゴムクローラを適用した無端軌道走行装置を示す右側面図である。
図4】実施例1のゴムクローラの要部拡大底面図である。
図5】実施例1のゴムクローラの要部拡大側面図である。
図6図5のS6−S6線における拡大縦断面図である。
図7】芯金を示す拡大縦断面図である。
図8】金属製のラグ構成体を示す拡大正面図である。
図9】金属製のラグ構成体を示す拡大底面図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下にこの発明の実施例を図面に基づいて説明する。
【実施例1】
【0017】
まず、この実施例1のゴムクローラを図面に基づいて説明する。なお、以下の説明において、「幅方向X」とは、無端状のゴム本体1の幅方向を意味し、「周方向Y」とは、無端状のゴム本体1の周方向(長手方向)を意味する。
【0018】
このゴムクローラAは、図4〜9に示すように、無端状のゴム本体1と、複数の芯金2と、スチールコード層3と、金属製のラグ構成体4と、を主な構成として備えている。
【0019】
さらに詳述すると、前記無端状のゴム本体1は、図3〜5に示すように、その外表面には左右先端が幅方向Xに向かって伸びたゴムラグ11が周方向Yに一定の間隔で配置されている。ただし、ゴムラグ11の形状および配列は、本実施形態の形状および配列に限定されるものではなく、適宜、変更を行うことができる。また、ゴムラグ11は、ゴム本体1のゴムと一体に構成することも、別体に構成することもできる。
【0020】
前記複数の芯金2は、図6、7に示すように、左右先端が幅方向Xに向かって伸びていて、無端状のゴム本体1の周方向Yに一定の間隔で横並べに埋設配置されている。
また、この芯金2は、無端状のゴム本体1の内周面側に突出する一対の駆動突起21を備えている。
また、前記駆動突起21の外周面もゴム本体1のゴム弾性体で被覆されている。
【0021】
前記複数の芯金2の内の一部の芯金2aは、その幅方向Xの両端部にボルト挿通孔22が形成されている。
【0022】
前記スチールコード層3は、芯金2の外側のゴム本体1内に無端状に埋設されている
【0023】
前記金属製のラグ構成体4は、図6、8、9に示すように、芯金2a部分のゴムラグ11を設けず、これに変えて芯金2aに対しボルト・ナット41で着脱可能に取り付け固定されている。
なお、金属製のラグ構成体4と前記芯金2aは、図3に示すように、走行路面に対し少なくとも1個が当接するように複数個配置される。
【0024】
また、金属製のラグ構成体4は、幅方向Xの両端に前記芯金2aのボルト挿通孔22に対応する幅方向Xの両端部にボルト挿通孔42を有する本体部4aと、該本体部4aから突出するラグ部4bとで構成されている。
【0025】
また、金属製のラグ構成体4のラグ部4bは、図3、5に示すように、前記ゴムラグ11より少しだけ外周面側に突出している。
【0026】
また、図8、9に示すように、前記ラグ部4bの先端部にはその幅方向Xの2箇所に切欠部4cが形成されている。
【0027】
次に、この実施例1の作用・効果を説明する。
この実施例1のゴムクローラAでは、上述のように、複数の芯金2の内の一部の芯金2aの幅方向の両端部にボルト挿通孔22が形成され、このボルト挿通孔22を有する一部の芯金2a部分のゴムラグ11を設けず、これに変えて金属製のラグ構成体4が一部の芯金2aに対しボルト・ナット41で着脱可能に取り付け固定されている構成としたことで、金属製のラグ部4bが凍結路面に食い込んで凍結路面でのグリップ力を高めることができるようになる。
従って、凍結した路面でもスリップすることなく林業作業車両等を走行させることができるようになる。


【0028】
また、金属製のラグ構成体4は一部の芯金2aに対しボルト・ナット41で取り付け固定されたものであるため、ラグ部4bが磨耗した場合は金属製のラグ構成体4を容易に交換することができる。
さらに、一部の芯金2aから金属製ラグ構成体4を取り外すことにより、舗装道路の走行も可能になる。
【0029】
また、金属製のラグ部4がゴムラグ11より僅かでも突出した構成とすることで、グリップ力を高めることができるようになる。
【0030】
また、前記金属製のラグ部4bの先端部にはその幅方向Xの2箇所に切欠部4cが形成されることで、横滑り防止効果を高めることができるようになる。
【0031】
以上本実施例を説明してきたが、本発明は上述の実施例に限られるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲の設計変更等があっても、本発明に含まれる。
【0032】
例えば、実施例では、金属製のラグ部4bの先端部にはその幅方向Xの2箇所に切欠部4cが形成された例を示したが、その個数は任意である。
【符号の説明】
【0033】
A ゴムクローラ
1 無端状のゴム本体
11 ゴムラグ
2 芯金
2a 一部の芯金
21 駆動突起
22 ボルト挿通孔
3 スチールコード層
4 金属製のラグ構成体
4a 本体部
4b ラグ部
4c 切欠部
41 ボルト・ナット
42 ボルト挿通孔
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9