(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記第1シャフト部材の外周面に、前記押圧の開始位置において前記シリンジの後端に係合するリブを設けてなる、請求項1乃至6のいずれか一項に記載のシリンジ型噴出器。
前記嵌合軸の外周面には拡径部が設けられ、該拡径部は前記筒部の内周面に設けられている拡径溝に嵌合する、請求項1乃至7のいずれか一項に記載のシリンジ型噴出器。
前記嵌合軸の外周面には、前記拡径部に対して周方向に隣接して縮径部が設けられ、前記筒部の内周面に設けられている凸部が前記縮径部に嵌合する、請求項8に記載のシリンジ型噴出器。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、図面を参照して、本発明の一実施形態であるシリンジ型噴出器1を詳細に説明する。
【0020】
図1(b)において、符号2は、例えば薬剤等の内容物Cを充填可能なシリンジである。なお、本明細書、特許請求の範囲、要約書および図面では、内容物Cが噴出する方向(
図1(b)における下方向)を前方とし、第2シャフト部材3bが位置する側(
図1(b)における上方向)を後方とする。また、径方向外側とは、
図1におけるシリンジ型噴出器1の軸線Oを通り軸線Oに垂直な直線に沿って外側に向かう方向であり、径方向内側とは、当該直線に沿って軸線Oに向かう方向を指すものとする。シリンジ2は、中空の胴部2aを有し、この胴部2aには、肩部2bを介して先端部2cが一体に繋がる。先端部2cは、胴部2aよりも小径としてなる。また、胴部2aの後端には、拡径されたシリンジ後端部2d
0が設けられ、このシリンジ後端部2d
0にフランジ部2dが装着されている。そして、フランジ部2dがシリンジ2の後端を構成している。
【0021】
符号3は、シリンジ2内に収納されるプランジャである。プランジャ3は、第1シャフト部材3aと、この第1シャフト部材3aの後方に配置される第2シャフト部材3bとを有する。
【0022】
第1シャフト部材3aは、シリンジ2に収納される先端部にピストン4が設けられている。ピストン4は、例えば、ゴムやエラストマーなどの弾性材料からなり、シリンジ2の胴部2aの内周面2fに摺動可能に保持されている。
【0023】
シリンジ2とピストン4との間には空間Rが形成されている。空間Rには、内容物Cが充填される。空間Rに充填された内容物Cは、プランジャ3の押し込みによって、先端部2cに形成した先端貫通孔A
1に圧送される。
【0024】
第1シャフト部材3aの後方には、
図1(b)等に示すように、筒部3a
9が設けられている。また、筒部3a
9の周壁には径方向に貫通する開口3a
8が設けられており、開口3a
8は第2シャフト部材3bが挿入される筒部挿入孔3a
10に連通している(
図4参照)。
【0025】
第1シャフト部材3aには、
図1(b)に示すように、後方に向かって伸びる2つの弾性片3a
1が一体に設けられている。弾性片3a
1には、摺動突起3a
2と係止突起3a
3とが設けられている。摺動突起3a
2と係止突起3a
3は、摺動突起3a
2、係止突起3a
3の順で、軸線Oに沿って後方に向かって間隔を置いて設けられている。摺動突起3a
2は、先端に向かって先細りに傾斜するテーパ部3f
0を有する。これにより、摺動突起3a
2は、シリンジ2の後端開口部A
2から進入して、シリンジ2の内周面2fを摺動可能となるため、プランジャ3の押し込みを許容する。また、摺動突起3a
2と係止突起3a
3とは薄肉部3a
6によって連結され、摺動突起3a
2を起点として弾性片3a
1が撓み変形し易いように構成されている。係止突起3a
3は、後述のように、シリンジ2の後端に設けられたフランジ部2dの内周端に引っ掛かってプランジャ3の押し込みを阻止する。
図1(b)及び
図2(b)に示すように、弾性片3a
1は、開口3a
8内に収容されるように配置される。なお、
図1(b)に示すように、初期状態(初期位置)における摺動突起3a
2の外径は、シリンジ2の内径よりも大きく形成されている。
【0026】
第1シャフト部材3aは、
図1(b)等に示すように、ピストン4を固定する基部3a
4を有し、弾性片3a
1はそれぞれ、基部3a
4の後端に連結されている。基部3a
4は、例えば、円板状の前壁3a
41及び後壁3a
42の間に、十字形断面形状となるように前後方向(
図1(b)の上下方向)に延びる2つの壁面が中央で直角に交わるように配置された形状のものを採用することができる。これにより、弾性片3a
1は、基部3a
4との連結部分を固定端として、係止突起3a
3が設けられている自由端側を変形および復元可能に撓み変形させることができる。また、基部3a
4の後端には、
図1(b)、
図3等に示すように中空円筒状の筒部3a
9が連結されている。
【0027】
係止突起3a
3は、弾性片3a
1の自由端側に一体に形成されている。また、係止突起3a
3の後端面は、後述するように、内容物Cを2回目に噴出する際に第2シャフト部材3bに当接する当接面3a
7として形成されている。当接面3a
7は、弾性片3a
1が径方向内側に変形した際に第2シャフト部材3bの前端面3f
3と面同士が当接する(
図6参照)ように、径方向外側に向けてやや前方に傾斜するテーパ面として形成されている(
図4等参照)。
【0028】
筒部3a
9の外側面には、
図3に示すように前後方向2箇所(
図3における上下方向2箇所)にリブ3a
12が設けられている。前方のリブ3a
12は、1回目の内容物Cの噴出が開始されるプランジャ3位置においてフランジ部2dの内周端に係合するように設けられている。また、同様に後方のリブ3a
12は、2回目の内容物Cの噴出が開始されるプランジャ3位置においてフランジ部2dの内周端に係合するように設けられている。これにより、シリンジ型噴出器1の利用者は、リブ3a
12がフランジ部2dの内周端に係合する位置で先端貫通孔A
1を噴出対象に対して方向付けし、プランジャ3を押圧することによって、前記リブ3a
12が前記フランジ部2dの内周端を乗り越え、内容物Cを確実に対象物に噴出させることができる。なお、リブ3a
12がフランジ部2dの内周端を乗り越えるためにはある程度の押圧力が必要となる。従って、利用者は押圧力を高めた状態でプランジャ3を押し込むことになるため、内容物Cが勢いよく吐出される。特に霧状として噴出(噴霧)する場合に好ましい。
【0029】
第2シャフト部材3bは、
図4に示すように、嵌合軸3b
4と、嵌合軸3b
4の後方(
図4における上方)に設けられ利用者がプランジャ3を押し込むための押圧フランジ3b
1から構成されている。嵌合軸3b
4は、
図4に示すように有底筒状の形状を有しており、前端面3f
3は軸線Oに直交する水平面で構成されている。なお、嵌合軸3b
4は有底筒状形状の他、中空筒状、有頂筒状、中実筒状等の他の形状を有していてもよい。嵌合軸3b
4の外側面には、
図2(a)及び
図4に示すように円周上の対向する位置に拡径部3b
3が設けられている。拡径部3b
3は、
図4に示すように第2シャフト部材3bの前端(
図4における下端)に配置される前方拡径部3b
31と、後方(
図4における上方)に配置される後方拡径部3b
32から構成されている。前方拡径部3b
31は、
図4に示すように筒部3a
9における開口3a
8の後端に配置された縮径部3a
91よりも僅かに大きな直径を有している。これによって前方拡径部3b
31が開口3a
8の後端に当接して第2シャフト部材3bが後方へ抜け出るのを防止する役割を有している。また、後方拡径部3b
32は、
図2(a)に示すように筒部3a
9の内周面に設けられた拡径溝3a
92内に嵌合することで、第1シャフト部材3aに対して第2シャフト部材3bが周方向に位置決めされる。このように、第2シャフト部材3bを第1シャフト部材3aに挿入する際に、周方向の位置合わせを併せて行うことができるので、組み立て性が向上する。また、
図2(a)に示すように、第2シャフト部材3bは、外周面に後方拡径部3b
32に隣接して縮径溝3b
41を有しており、縮径溝3b
41が筒部3a
9の内周面に設けられた凸部3a
93が嵌合することによっても周方向の位置決めがなされる。なお、本実施形態では、第2シャフト部材3bに後方拡径部3b
32及び縮径溝3b
41がそれぞれ軸線Oを挟んで一対ずつ設けられているが、この態様には限定されず、周上に1つのみ配置されていてもよい。また、後方拡径部3b
32及び縮径溝3b
41のいずれか一方のみが配置されていてもよい。また、後述のように後方拡径部3b
32及び縮径溝3b
41がいずれも設けられていない構成としてもよい。
【0030】
押圧フランジ3b
1は、
図1(b)及び
図4に示すように嵌合軸3b
4の後端(
図4における上端)に設けられている。使用者が押圧フランジ3b
1を前方に向かって押し込むと、
図4等に示すように押圧フランジ3b
1の前面が筒部3a
9の後端に当接して押圧力を第1シャフト部材3aに伝達する。なお、後方拡径部3b
32、拡径溝3a
92、凸部3a
93及び縮径溝3b
41は必須の構成ではなく、筒部挿入孔3a
10、及び嵌合軸3b
4の側面が円筒側面形状を有していてもよい。
図4に示すように、第2シャフト部材3bの先端角部には、全周にわたってテーパ面3f
2が設けられている。テーパ面3f
2は、後述のように、内容物Cを1回目に噴出する際に
図4に示すように係止突起3a
3の内周面を内側から押圧して、係止突起3a
3の外周端がフランジ部2dの内周端を乗り越えないようにする役割を果たす。なお、テーパ面3f
2は必ずしも設ける必要はなく、第2シャフト部材3bの先端が係止突起3a
3の径方向内側への変位を規制していればよい。
【0031】
次に、本実施形態の使用方法を説明する。
【0032】
利用者は先ず、
図3に示すように、前方のリブ3a
12がフランジ部2dの内周端に当接している状態で先端部2cを対象物に向けて配置した後、第2シャフト部材3bの押圧フランジ3b
1を前方に向かって押し込む。これによって、
図4に示すように、押圧フランジ3b
1が第1シャフト部材3aの筒部3a
9に当接して筒部3a
9を前方に向けて押圧するので、前方のリブ3a
12がフランジ部2dの内周端を乗り越えることができる。第2シャフト部材3bの嵌合軸3b
4は第1シャフト部材3aの筒部3a
9に挿入されているため、第2シャフト部材3bが押圧時に第1シャフト部材3aに対してぐらついたり傾いたりすることがなく、安定した押圧動作が可能となる。これによって、第1シャフト部材3aも第2シャフト部材3bと共に前方へと押し込まれる。このとき、第1シャフト部材3aの摺動突起3a
2は、先端に向かって先細りするテーパ部3f
oを有しているため、第1シャフト部材3aは後端開口部A
2からシリンジ2内に進入することができる。なお、押圧フランジ3b
1が筒部3a
9を押圧するため、押圧操作による荷重を確実にプランジャ3の移動力として伝達することができ、安定したプランジャ3の移動が可能となる。
【0033】
第2シャフト部材3bのテーパ面3f
2が、弾性片3a
1の係止突起3a
3の径方向内側への変位を規制するため、弾性片3a
1の自由端の動きは、シリンジ2との間で拘束される。すなわち、
図5に示すように、弾性片3a
1の自由端は、摺動突起3a
2がシリンジ2の内周面2fに押圧されて径方向内側に撓み変形する一方、係止突起3a
3はテーパ面3f
2によって径方向外側に押圧されて初期位置のまま保持される。なお、係止突起3a
3を径方向外側へ変位させるように第2シャフト部材3bの外径等を適宜変更しても良い。前記撓み変形を生じつつ、摺動突起3a
2は、シリンジ2の内周面2fを摺動することによってプランジャ3の押し込みを許容することができる。これにより、
図5に示すように、弾性片3a
1に設けた係止突起3a
3がフランジ部2dの後端に接触するまで、先端貫通孔A
1から内容物C一定量噴出することができる。
【0034】
弾性片3a
1に設けた係止突起3a
3がフランジ部2dの後端に接触すると、プランジャ3を押し込むことができなくなるので、空間Rに一定量の内容物Cを残した状態で1回目の噴出は終了する。なお、1回目に噴出される内容物Cの容量は、使用目的に応じて適宜選択できるが、例えば、
図1における空間Rの容量の半分とすることができる。
【0035】
続いて、第2シャフト部材3bの押圧を緩和すると、
図6に示すように、上記の撓み変形の復元力によって、弾性片3a
1の自由端にある係止突起3a
3が摺動突起3a
2を起点に復元する。このとき、第2シャフト部材3bは弾性片3a
1の復元力によって後方へと押し戻される。また、弾性片3a
1の固定端側は、後方に向かうに従い内周側に変位するように変形したままであるから、弾性片3a
1の自由端側は、
図6に示すように、固定端側と整列するように径方向内側へと復元する。このため、係止突起3a
3も弾性片3a
1の自由端側に追従するように径方向内側に変位するので、当該係止突起3a
3の係止状態が
図6に示すように解除される。なお、前方拡径部3b
31は、第2シャフト部材3bの抜け止め防止の役割を有しており、前方拡径部3b
31が開口3a
8の後端に当接すると、第2シャフト部材3bはそれ以上後方に移動することができない。
【0036】
特に、本実施形態では、
図4に示すように、第2シャフト部材3bの先端にテーパ面3f
2が設けられているため、第2シャフト部材3bの押圧を緩和した際に、上記の復元力によって第2シャフト部材3bが後方へと押し戻される。そのため、
図6に示すように第2シャフト部材3bの前端面3f
3が係止突起3a
3の当接面3a
7の後方まで後退すると、係止突起3a
3はテーパ面3f
2を越えて径方向内側に移動することができる。なお、本実施形態では、押圧を緩和したときに弾性片3a
1の復元力によって第2シャフト部材3bが後方へ押し戻されるように構成したが、この態様に限定されず、第2シャフト部材3bを利用者が引っ張ることによって後方に引き戻されるように構成するなどしてもよい。また、摺動突起3a
2と係止突起3a
3とを薄肉部3a
6によって連結することにより、第2シャフト部材3bの押圧を緩和したときに係止突起3a
3がより大きく内周側に変位することができる。更に、
図4等に示すように、弾性片3a
1の自由端における当接面3a
7が径方向外側に向けてやや前方に傾斜するテーパ面として形成されている。これにより、係止突起3a
3が径方向内側に変形する際に当接面3a
7の外周端が前端面3f
3に衝突して係止突起3a
3の径方向内側への変形を妨げることがない。
【0037】
このように、本実施形態では、第2シャフト部材3bの押圧を緩和した際に係止突起3a
3の径方向内側への変位が大きく取れるように構成されている。これによって、1回目の内容物Cの噴出を停止させるための係止突起3a
3とフランジ部2dの後端との重なり代を大きくとることができる。従って、1回目の内容物Cの噴出を確実に停止させることができる。
【0038】
第2シャフト部材3bの押圧を緩和した後、
図3の後方のリブ3a
12がフランジ部2dの内周端に当接している状態で再び第2シャフト部材3bを押圧すれば、2回目の噴出が可能になる。すなわち、本実施形態では、
図6に示すように、第2シャフト部材3bの押圧を緩和した後に再度押圧フランジ3b
1を押圧すれば、第2シャフト部材3bの前端面3f
3が第1シャフト部材3aの当接面3a
7を前方に向けて押圧するので、後方のリブ3a
12がフランジ部2dの内周端を乗り越えることができる。なお、2回目の噴出時には、
図6に示すように、押圧フランジ3b
1は筒部3a
9に接触していない。また、
図6に示すように、摺動突起3a
2を起点にした弾性片3a
1の復元により係止突起3a
3が径方向内側に変位して、第2シャフト部材3bの前端面3f
3が、当接面3a
7に接触する。このため、係止突起3a
3がフランジ部2dの後端に当接しないため、再び第2シャフト部材3bの押圧によって第1シャフト部材3aを押し込むことができる。
【0039】
特に、本実施形態では、当接面3a
7が、初期状態で径方向外側に向けて前方に傾くように構成し、弾性片3a
1の自由端側が摺動突起3a
2を起点に復元したときに、第2シャフト部材3bの前端面3f
3と当接面3a
7とが平行に近い状態で接触できるように設定しているので、第1シャフト部材3aの押し込みを円滑に行うことができる。
【0040】
従って、第2シャフト部材3bの押圧を緩和して第2シャフト部材3bが押し戻された後、次の対象物に向けて、第2シャフト部材3bを再度押し込めば、先端貫通孔A
1から空間R内に残った内容物Cを噴出することができる。
【0041】
なお、1回目の内容物Cの噴出の際にリブ3a
12がフランジ部2dの内周端を通過するのに必要な押圧力と、2回目の内容物Cの噴出の際にリブ3a
12がフランジ部2dの内周端を通過するのに必要な押圧力とが概ね等しくなるように、前方及び後方のリブ3a
12の高さが調整されていることが望ましい。
【0042】
本実施形態では、先端部2cが胴部2aよりも小径となるように構成したが、この態様には限定されず、先端部2cの代わりに別体のノズルを装着するように構成してもよい。
【0043】
また、本実施形態では、フランジ部2dがシリンジ後端部2d
0に装着されるように構成したが、この態様には限定されず、シリンジ後端部2d
0をそのままフランジ部として用いるようにしてもよい。
【0044】
上述のように、本実施形態では、内容物Cを小分けして噴出することができる。加えて、本実施形態では、第2シャフト部材3bの押圧を緩和した後に再度押圧すると2回目の噴出が可能になるため、2回目の噴出を行うときに持ち替える必要がない。このため、利用者は、内容物Cの小分けを片手操作で行うことができる。特に、本実施形態では、プランジャ3が、先端にピストン4を有する第1シャフト部材3aと、第1シャフト部材3aの筒部3a
9に嵌合する有底筒状形状の嵌合軸3b
4を有する第2シャフト部材3bから構成されている。そして、第2シャフト部材3bの外周面に設けた前方拡径部3b
31が筒部3a
9に設けた開口3a
8に係合するように構成した。これによって、第2シャフト部材3bは、押圧及び押圧の緩和により筒部3a
9に設けた筒部挿入孔3a
10内を軸線O方向に滑らかに移動し、しかも前方拡径部3b
31の係合によって第1シャフト部材3aから抜け出してしまうことがない。すなわち、押圧時に第2シャフト部材3bが第1シャフト部材3aに対してぐらついたり傾いたり脱落したりすることがない。従って、押圧時におけるシリンジ型噴出器1の操作性が向上する。
【0045】
また、本実施形態では、摺動突起3a
2と係止突起3a
3とは、半径方向の厚みが薄く形成された薄肉部3a
6により連結されるように構成した。更に、本実施形態では、第2シャフト部材3bの嵌合軸3b
4が有底筒状形状を有し、その前端面3f
3が水平面で構成される一方、係止突起3a
3の後端の当接面3a
7が径方向外側に向けてやや前方に傾斜するテーパ面として形成されている。このため、径方向内側に変位した弾性片3a
1の自由端が第2シャフト部材3bに半径方向から接触することがない。これによって、押圧を緩和したときの復元力による係止突起3a
3の径方向内側への変位を大きくとることができるので、1回目の内容物Cの噴出を停止させるための係止突起3a
3とフランジ部2dの後端との重なり代を大きくとることができる。従って、1回目の内容物Cの噴出を確実に停止させることができる。
【0046】
また、本実施形態では、弾性片3a
1は、根元から摺動突起3a
2にかけてテーパ部3f
0を設けて半径方向の厚みが漸増するように形成した。これによって、第2シャフト部材3bの押圧開始後、摺動突起3a
2がシリンジ2の内周面2fを摺動するようになるまで、第1シャフト部材3aの押し込みを円滑に行うことができる。
【0047】
また、本実施形態では、第2シャフト部材3bの先端にテーパ面3f
2を設けるようにしたので、内容物Cを1回目に噴出する際に係止突起3a
3の内周面をテーパ面3f
2により径方向の内側から押圧して、係止突起3a
3の外周端がフランジ部2dの内周端を乗り越えないように確実に係止させることができる。
【0048】
また、本実施形態では、第1シャフト部材3aの外周面に、押圧の開始位置においてフランジ部2dの内周端に係合するリブ3a
12を設けるように構成した。これによって、利用者は、内容物Cの噴出が開始されるプランジャ3位置を押圧抵抗により把握することができるので、意図しない場所で誤ってプランジャ3を押し込んで内容物Cを噴出させてしまうことがない。
【0049】
また、本実施形態では、第1シャフト部材3aの筒部挿入孔3a
10に筒状の第2シャフト部材3bを挿入する構成であるため、プランジャ3の組み立てが容易となる。また、筒部3a
9に拡径溝3a
92を設けて、筒部挿入孔3a
10に第2シャフト部材3bを挿入する際に、後方拡径部3b
32が第1シャフト部材3aの拡径溝3a
92に嵌合するように構成することにより、第2シャフト部材3bを第1シャフト部材3aに挿入する際に、周方向の位置合わせを併せて行うことができるので、組み立て性がさらに向上する。
【0050】
また、本実施形態では、嵌合軸3b
4の外周面において後方拡径部3b
32と周方向に隣接して縮径溝3b
41を配置し、縮径溝3b
41に対して筒部3a
9に設けた凸部3a
93が嵌合するように構成した。これにより、凸部3a
93と縮径溝3b
41によっても第1シャフト部材3aと第2シャフト部材3bとの周方向の位置合わせを行うことができる。また、
図2(a)に示すように、嵌合軸3b
4は、後方拡径部3b
32において拡径される一方、それと直交する縮径溝3b
41において縮径されているため、周方向における径の差分が大きくなるため位置合わせが更に容易となり、組み立て性がより一段と向上する。
【0051】
上述したところは、本発明の様々な実施形態であるが、本発明に従えば、様々な変更が可能となる。例えば、弾性片3a
1は、少なくとも1箇所に設けることができるが、プランジャ3を確実に停止させて正確な小分けを実現する場合には、本形態のように複数設けることが好ましい。特に、本実施形態のように、対向位置に一対となるように配置すれば、軸線O周りのバランスが安定するため、良好な操作が実現できる。上述の実施形態では、内容物Cを通常の液体として噴出させるものとして説明したが、本発明に従えば、泡として噴出させ、又は霧状態で噴出させるなど、内容物Cを様々な形態で噴出させることができる。