(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0027】
図1から
図25を用いて、本実施の形態に係る蓄電装置について説明する。
図1から
図25に示す構成のうち、同一または実質的に同一の構成については、同一の符号を付して重複した説明を省略する。
(実施の形態1)
図1は、非接触充電システム1を模式的に示す模式図である。
図2は、非接触充電システム1を模式的に示す回路図である。非接触充電システム1は、コイルユニット4と、バッテリ7とを含む車両2と、電源10に接続されたコイルユニット3とを備える。
【0028】
コイルユニット4は、フロアパネルの下面に配置されている。コイルユニット4は、共振器5と、共振器5が受電した交流電力を直流電力に変換してバッテリ7に供給する整流器6とを含む。
【0029】
共振器5は、LC共振器であり、整流器6に接続された受電コイル8およびコンデンサ9を含む。共振器5のQ値は100以上である。
【0030】
コイルユニット3は、共振器14と、電源10に接続された変換器11とを含む。変換器11は、電源10から供給される交流電力の周波数および電圧を調整して、共振器14に供給する。共振器14は、LC共振器であり、送電コイル12およびコンデンサ13を含む。共振器14のQ値も100以上である。なお、共振器14の共振周波数と、共振器5の共振周波数とは、実質的に一致している。
【0031】
図3は、コイルユニット3の一部の構成を示す平面図であり、
図4は、コイルユニット3の一部の構成を示す斜視図である。
【0032】
コイルユニット3は、板状に形成されたフェライト板20と、フェライト板20に配置された送電コイル12とを含む。
【0033】
送電コイル12は、平面視すると、略長方形形状(多角形形状)となるように形成されている。送電コイル12は、上下方向に延びる巻回軸線O1の周囲を取り囲むようにコイル線を巻回することで形成されている。送電コイル12は、渦巻型コイルである。
【0034】
送電コイル12は、複数の曲げ部31,32,33,34と、短辺部35,36と、長辺部37,38とを含む。各曲げ部31,32,33,34は、湾曲状にコイル線を曲げることで形成されている。
【0035】
短辺部35は、曲げ部31,32に接続されており、短辺部36は曲げ部33,34に接続されている。長辺部37は、曲げ部32,33に接続されている。長辺部38は、曲げ部31,34に接続されている。各長辺部37,38の長さは、各短辺部35,36の長さよりも長い。
【0036】
フェライト板20は、厚さ方向THに配列する上面(第1主表面)40および下面(第2主表面)41とを含む。送電コイル12は、上面40に配置されている。
【0037】
フェライト板20は、角フェライト板21,22,23,24と、直線フェライト板(短辺フェライト板)25,26と、直線フェライト板27,28とを含む。
【0038】
各角フェライト板21,22,23,24は、各曲げ部31,32,33,34の下面側に配置されている。各角フェライト板21,22,23,24は、各曲げ部31,32,33,34の内周縁部から外周縁部に向かうように延びる。各角フェライト板21,22,23,24の内端部は、各曲げ部31,32,33,34の内周縁部よりも巻回軸線O1側に位置している。各角フェライト板21,22,23,24の外端部は、各曲げ部31,32,33,34の外周縁部よりも外側に位置している。
【0039】
角フェライト板21は、分割フェライト板1A1,1B1を含む。分割フェライト板1A1および分割フェライト板1B1は、送電コイル12の延びる方向に間隔をあけて配置されている。各分割フェライト板1A1および分割フェライト板1B1の間には、曲げ部31の内周縁部の中央から曲げ部31の外周縁部の中央に向けて延びる空隙部が形成されている。
【0040】
角フェライト板22は、送電コイル12が延びる方向に間隔をあけて配置された分割フェライト板1A2,1B2を含む。角フェライト板23は、送電コイル12が延びる方向に間隔をあけて配置された分割フェライト板1A3,1B3を含む。角フェライト板24は、送電コイル12が延びる方向に間隔をあけて配置された分割フェライト板1A4,1B4を含む。
【0041】
分割フェライト板1A2,1B2の間と、分割フェライト板1A3,1B3の間と、分割フェライト板1A4,1B4の間にも、各曲げ部32,33,34の内周縁部の中央部から外周縁部の中央に向けて延びる空隙部が形成されている。
【0042】
直線フェライト板25は、短辺部35の下面側に配置されており、直線フェライト板26は短辺部36の下面側に配置されている。直線フェライト板25,26の内端は、短辺部35,36の内周縁部よりも巻回軸線O1側に位置している。直線フェライト板25,26の外端は、短辺部35,36の外周縁部よりも外側に位置している。
【0043】
直線フェライト板25は短辺部35が延びる方向に間隔をあけて配置された分割フェライト板1C1,1D1を含み、直線フェライト板26は短辺部36が延びる方向に間隔をあけて配置された分割フェライト板1C2,1D2を含む。
【0044】
分割フェライト板1C1,1D1の間には、短辺部35に対して略垂直な方向に延びる空隙部が形成されている。分割フェライト板1C2,1D2の間には短辺部36に対して略垂直に延びる空隙部が形成されている。
【0045】
直線フェライト板27は長辺部37の下面側に配置されており、直線フェライト板28は長辺部38の下面側に配置されている。直線フェライト板27,28の内端は長辺部37,38の内周縁部よりも巻回軸線O1側に位置している。直線フェライト板27,28の外端は、長辺部37,38の外周縁部よりも外側に位置している。
【0046】
直線フェライト板27は長辺部37が延びる方向に間隔をあけて配置された複数の分割フェライト板1E1,1F1,1G1,1H1,1I1を含む。直線フェライト板28は長辺部38が間隔をあけて配置された複数の分割フェライト板1E2,1F2,1G2,1H2,1I2を含む。
【0047】
各分割フェライト板1E1〜1I1の間には長辺部37に対して略垂直に延びる空隙部が形成されており、各分割フェライト板1E2〜1I2の間には長辺部38に対して垂直に延びる空隙部が形成されている。
【0048】
フェライト板20には、複数の切欠部29A1,29A2,29B1,29B2,29C1,29C2,29D1,29D2が形成されている。
【0049】
切欠部29A1は、角フェライト板21の分割フェライト板1B1と直線フェライト板25の分割フェライト板1C1との間に形成されている。切欠部29A2は、直線フェライト板25の分割フェライト板1D1と、角フェライト板22の分割フェライト板1A2との間に形成されている。このように、直線フェライト板25は、切欠部29A1と隣り合う分割フェライト板1C1と、切欠部29A2と隣り合う分割フェライト板1D1とを含む。
【0050】
切欠部29B1は、角フェライト板22の分割フェライト板1B2と、直線フェライト板27の分割フェライト板1E1との間に形成されている。同様に各切欠部も形成されている。なお、直線フェライト板26は、切欠部29C1と隣り合う分割フェライト板1D2と、切欠部29C2と隣り合う分割フェライト板1C2とを含む。
【0051】
各切欠部29A1〜29D2は、送電コイル12の内周縁部から外周縁部に向かうにつれて、幅が大きくなるように形成されている。
【0052】
送電コイル12およびフェライト板20を平面視すると、各切欠部29A1〜29D2と送電コイル12とは重なり合う。
【0053】
コイルユニット3の構成について詳細に説明したが、コイルユニット4もコイルユニット3と同様に構成されている。
【0054】
コイルユニット3からコイルユニット4に非接触で電力を送電する際には、送電コイル12に交流電流が流れる。
【0055】
送電コイル12に交流電流が流れると、送電コイル12の周囲を取り囲むように磁束が流れ、各角フェライト板21〜24および直線フェライト板25〜28を磁束が通る。
【0056】
角フェライト板21〜24の外端および内端間の距離は長いため、角フェライト板21〜24を通る磁束は上方に膨らみ易い。
【0057】
上方に膨らんだ磁束の少なくとも一部の磁束がコイルユニット4の受電コイル8と鎖交することで、受電コイル8が受電する。
【0058】
直線フェライト板25〜28の外端および内端間の距離は短いため、直線フェライト板25〜28を通る磁束は上方に膨らみ難い。直線フェライト板25〜28を通る磁束は、受電コイル8と鎖交し難く、送電コイル12の周囲を取り囲むように流れやすい。これにより、送電コイル12の自己インダクタンスが向上しやすく、送電コイル12の巻き数を少なく抑えたとしても、送電コイル12の自己インダクタンスを確保することができる。
【0059】
空気の透磁率はフェライト板20の透磁率よりも低いため、各切欠部29A1〜29D2を通る経路の磁気抵抗は、フェライト板20を通る経路の磁気抵抗よりも高い。
【0060】
このため、送電コイル12のうち切欠部29A1と重なり合う部分で生じた磁束の多くは、切欠部29A1を通らずに、分割フェライト板1B1または分割フェライト板1C1を通る。分割フェライト板1B1を通る磁束が増えると、受電コイル8と鎖交する磁束も増える。これにより、フェライト量を抑えたフェライト板20を採用したとしても、結合係数が低くなることを抑制することができる。
【0061】
送電コイル12のうち切欠部29A1と重なり合う部分で生じた磁束の多くは、分割フェライト板1B1および分割フェライト板1C1を通るため、分割フェライト板1B1に磁束が集中することを抑制することができる。
【0062】
分割フェライト板1B1に過大な磁束が流れることが抑制されているため、分割フェライト板1B1の温度が上昇することを抑制することができる。同様に、送電コイル12のうち切欠部29A2と重なり合う部分で生じた磁束の多くは、分割フェライト板1D1または分割フェライト板1A2に入射し、分割フェライト板1A2に過大な磁束が入射することが抑制されている。
【0063】
このように、角フェライト板21および角フェライト板22の間に直線フェライト板25を配置することで、角フェライト板21および角フェライト板22に過大な磁束が流れることが抑制されている。分割フェライト板1C1は切欠部29A1と隣り合う位置に設けられており、分割フェライト板1D1は切欠部29A2と隣り合う位置に設けられている。このため、分割フェライト板1C1には、送電コイル12のうち切欠部29A2と重なり合う部分で生じた磁束が入射することが抑制される。同様に、分割フェライト板1D1には、送電コイル12のうち切欠部29A1と重なり合う部分で生じた磁束が入射することが抑制されている。
【0064】
このため、分割フェライト板1C1および分割フェライト板1D1に過大な磁束が入射することを抑制することができ、分割フェライト板1C1,1D1の温度が高くなることを抑制することができる。
【0065】
切欠部29C1および切欠部29C2の間に、2つの分割フェライト板1C2および分割フェライト板1D2が配置されている。このため、各分割フェライト板1C2,1D2に過大な磁束が流れることを抑制することができ、各分割フェライト板1C2,1D2の温度が高くなることを抑制することができる。
【0066】
角フェライト板22および角フェライト板23の間に2つの切欠部29B1,29B2が形成されており、切欠部29B1,29B2の間には複数の分割フェライト板1E1〜1I1が配置されている。送電コイル12のうち切欠部29B1,29B2と重なり合う部分で生じた磁束の多くは、分割フェライト板1B2,1E1,1I1,1A3に分配される。
【0067】
同様に、角フェライト板21および角フェライト板24の間に2つの切欠部29D1,29D2が形成されており、切欠部29D1,29D2の間には複数の分割フェライト板1E2〜1I2が配置されている。送電コイル12のうち切欠部29D1,29D2と重なり合う部分で生じた磁束の多くは、分割フェライト板1B4,1I2,1E2,1A1に分配される。
【0068】
この結果、一部の分割フェライト板に過大な磁束が入射することが抑制されており、一部の分割フェライト板が高温となることが抑制されている。
【0069】
図5は、電力伝送時において、各分割フェライト板に生じる鉄損を示すグラフである。
図5に示すように、各分割フェライト板に生じる鉄損の均一化が図られていることが分かる。
【0070】
図6は、電力伝送時において、各分割フェライト板の温度上昇値(℃)を示すグラフである。この
図6に示すように、各分割フェライト板の温度の均熱化が図られており、特定の分割フェライト板が高温になることが抑制されていることが分かる。
【0071】
次に、比較例1,2に係るコイルユニット3aと比較して、本実施の形態1に係るコイルユニット3の作用・効果について説明する。
【0072】
図7は、比較例1に係るコイルユニット3aの一部を示す平面図であり、
図8は、コイルユニット3aの一部を示す斜視図である。
【0073】
コイルユニット3aは、送電コイル12aと、フェライト板20aとを含む。フェライト板20aは、角フェライト板21a,22a,23a,24aと、直線フェライト板27a,28aとを含む。各角フェライト板21a,22a,23a,24aは、曲げ部31,32,33,34の下面側に配置されている。各直線フェライト板27a,28aは長辺部37,38の下面側に配置されている。
【0074】
各角フェライト板21a,22a,23a,24aが送電コイル12aの外周縁部から露出する面積は、各角フェライト板21,22,23,24が送電コイル12の外周縁部から露出する面積よりも広い。
【0075】
角フェライト板21aは、分割フェライト板1A1a,1B1a,1C1aを含み、角フェライト板22aは、分割フェライト板1A2a,1B2a,1C2aを含む。角フェライト板23aは、分割フェライト板1A3a,1B3a,1C3aを含み、角フェライト板24aは、分割フェライト板1A4a,1B4a,1C4aを含む。
【0076】
各分割フェライト板1A1a,1A2a,1A3a,1A4aが送電コイル12aの内周縁部から露出する面積は、実施の形態1に係るコイルユニット3の各分割フェライト板1A1,1B1,1A2,1B2,1A3,1B3,1A4,1B4が送電コイル12の内周縁部から露出する面積よりも広い。
【0077】
直線フェライト板27aは分割フェライト板1D1a,1E1a,1F1aを含み、直線フェライト板28aは分割フェライト板1D2a,1E2a,1F2aを含む。
【0078】
コイルユニット3aには、複数の切欠部29a、29b1,29b2,29c、29d1,29d2が形成されている。
【0079】
切欠部29aは、角フェライト板21aと角フェライト板22aとの間に形成されている。切欠部29b1は角フェライト板22aおよび直線フェライト板27aの間に形成されており、切欠部29b2は直線フェライト板27aおよび角フェライト板23aの間に形成されている。切欠部29cは、角フェライト板23aおよび角フェライト板24aの間に形成されており、切欠部29d1は、角フェライト板24aおよび直線フェライト板28aの間に形成されている。切欠部29d2は、直線フェライト板28aおよび角フェライト板21aの間に形成されている。
【0080】
フェライト板20,20aを平面視した際において、切欠部の各頂点部分を結んで形成される略三角形形状の領域を切欠部の面積とすると、切欠部29aの面積は、実施の形態1に係るコイルユニット3の切欠部29A1,29A2の面積の合計面積よりも広い。各切欠部29b1,29b2,29d1,29d2の面積は、各切欠部29B1,29B2,29D1,29D2の面積よりも広い。切欠部29cの面積は、切欠部29C1,29C2の面積の合計面積よりも広い。
【0081】
上記のように構成された比較例1に係るコイルユニット3aを用いて電力伝送すると、送電コイル12aの周囲に磁束が形成される。
【0082】
コイルユニット3aにおいては、分割フェライト板1A1a,1A2a,1A3a,1A4aが送電コイル12aの内周縁部から露出する面積は広いため、分割フェライト板1A1a,1A2a,1A3a,1A4aには多くの磁束が入射する。
【0083】
分割フェライト板1B1aおよび分割フェライト板1C2aには、送電コイル12aのうち切欠部29aと重なり合う部分で生じた磁束の多くが入射する。
【0084】
切欠部29aの面積は切欠部29A1,29A2の合計面積よりも広いため、分割フェライト板1B1a,1C2aに入射する磁束量は、実施の形態1の分割フェライト板1B1,1A2に入射する磁束量よりも多くなり易い。
【0085】
同様に、分割フェライト板1B2a,1D1a,1F1a,1C3a,1B3a,1B4a,1C4a,1F2a,1D2a,1C1aに入射する磁束量は、分割フェライト板1B2,1E1,1I1,1A3,1B3,1D2,1C2,1A4,1B4,1I2,1E2,1A1に入射する磁束量よりも多くなり易い。
【0086】
図9は、比較例1に係るコイルユニット3aの各分割フェライト板で生じる鉄損(W)を示すグラフであり、
図10は、比較例1に係るコイルユニット3aの各分割フェライト板の温度上昇値(℃)を示すグラフである。
【0087】
図9および
図10に示すグラフと、
図5および
図6に示すグラフとを比較すると、分割フェライト板1A1a,1A2a,1A3a,1A4aで生じる鉄損は、コイルユニット3の各分割フェライト板で生じる鉄損よりも大きく、分割フェライト板1A1a,1A2a,1A3a,1A4aの温度上昇値は、コイルユニット3の各分割フェライト板の温度上昇値よりも大きいことが分かる。
【0088】
また、分割フェライト板1B1a,1C2a,1B2a,1D1a,1F1a,1C3a,1B3a,1B4a,1C4a,1F2a,1D2a,1C1aで生じる鉄損は、分割フェライト板1B1,1A2,1B2,1E1,1I1,1A3,1B3,1D2,1C2,1A4,1B4,1I2,1E2,1A1で生じる鉄損と同等以上であり、分割フェライト板11B1a,1C2a,1B2a,1D1a,1F1a,1C3a,1B3a,1B4a,1C4a,1F2a,1D2a,1C1aにおける温度上昇値は、分割フェライト板1B1,1A2,1B2,1E1,1I1,1A3,1B3,1D2,1C2,1A4,1B4,1I2,1E2,1A1における温度上昇値と同様以上であることが分かる。
【0089】
図11は、実施の形態1(実施例)に係るコイルユニット3と、比較例1に係るコイルユニット3aとにおいて、コア温度上昇最大値(℃)を比較するグラフである。なお、コア温度上昇最大値とは、各コイルユニット3,3aの各分割フェライト板の温度上昇値の最大値を示す。
【0090】
この
図11のグラフに示すように、実施の形態1(実施例)に係るコイルユニット3のコア温度上昇最大値は、比較例1に係るコイルユニット3aのコア温度上昇最大値よりも小さいことが分かる。
【0091】
図12は、実施の形態1(実施例)に係るコイルユニット3を用いたときの結合係数と、比較例1に係るコイルユニット3aを用いたときの結合係数とを比較したグラフである。具体的には、コイルユニット3からコイルユニット4に電力伝送したときの結合係数と、コイルユニット3aからコイルユニット4に電力伝送したときの結合係数とを示す。
【0092】
この
図12のグラフに示すように、コイルユニット3を用いたときの結合係数は、コイルユニット3aを用いたときの結合係数と殆ど差がないことが分かる。
【0093】
このように、本実施の形態1に係るコイルユニット3によれば、結合係数を維持しつつも、電力伝送時にフェライト板20に生じる発熱量を低く抑えることができる。
【0094】
次に、比較例2に係るコイルユニット3bと、本実施の形態に係るコイルユニット3とを比較する。
【0095】
図13は、比較例2に係るコイルユニット3bの一部を示す平面図であり、
図14は、コイルユニット3bの一部を示す斜視図である。
【0096】
図13および
図14に示すように、コイルユニット3bは、フェライト板20bと、フェライト板20bの上面上に配置された送電コイル12bとを含む。送電コイル12bは、本実施の形態1に係るコイルユニット3と同様に形成されている。
【0097】
コイルユニット3bは、角フェライト板21b,22b,23b,24bと、直線フェライト板27b,28bと、直線フェライト板25b,26bとを含む。
【0098】
角フェライト板21b,22b,23b,24bは、曲げ部31,32,33,34の下面側に配置されている。直線フェライト板27b,28bは、長辺部37,38の下面側に配置されている。直線フェライト板25b,26bは、短辺部35,36の下面側に配置されている。
【0099】
各角フェライト板21bは、分割フェライト板1A1b,1B1bを含み、角フェライト板22bは分割フェライト板1A2b,1B2bを含む。角フェライト板23bは、分割フェライト板1A3b,1B3bを含み、角フェライト板24bは、分割フェライト板1A4b,1B4bを含む。
【0100】
直線フェライト板27bは、分割フェライト板1E1b,1F1b,1G1b,1H1bを含み、直線フェライト板28bは、分割フェライト板1E2b,1F2b,1G2b,1H2bを含む。各分割フェライト板は、送電コイル12bが延びる方向に間隔をあけて配置されている。
【0101】
直線フェライト板25bは、1枚の分割フェライト板1C1bによって形成されている。直線フェライト板26bは、1枚の分割フェライト板1C2bによって形成されている。
【0102】
フェライト板20bには、複数の切欠部29f1,29f2,29g1,29g2,29h1,29h2,29i1,29i2が形成されている。
【0103】
切欠部29f1は分割フェライト板1B1b,1C1bの間に形成されており、切欠部29f2は分割フェライト板1C1b,1A2bの間に形成されている。
【0104】
切欠部29g1は分割フェライト板1B2b,1E1bの間に形成されている。切欠部29g2は、分割フェライト板1H1b,1A3bの間に形成されている。切欠部29h1,29h2,29i1,29i2も同様に、分割フェライト板の間に形成されている。
【0105】
図3および
図13において、比較例2のコイルユニット3bの切欠部29f1の面積は、本実施の形態1のコイルユニット3の切欠部29A1の面積よりも広い。
【0106】
同様に、各切欠部29f2,29g1,29g2,29h1,29h2,29i1,29i2の面積は、各切欠部29A1,29A2,29B1,29B2,29C1,29C2,29D1,29D2の面積よりも広い。
【0107】
比較例2の各分割フェライト板1A1b,1B1b,1A2b,1B2b,1A3b,1B3b,1A4b,1B4bが送電コイル12bから露出する面積は、実施の形態1の各分割フェライト板1A1,1B1,1A2,1B2,1A3,1B3,1A4,1B4が送電コイル12から露出する面積よりも広い。
【0108】
上記のように構成されたコイルユニット3bにおいて、送電コイル12bに交流電流が流れると、送電コイル12bの周囲に磁束が形成される。
【0109】
各分割フェライト板1A1b,1B1b,1A2b,1B2b,1A3b,1B3b,1A4b,1B4bが送電コイル12bから露出する面積は広いため、多くの磁束が各分割フェライト板1A1b,1B1b,1A2b,1B2b,1A3b,1B3b,1A4b,1B4bに入射する。
【0110】
分割フェライト板1B1b,1C1bには、送電コイル12bのうち切欠部29f1と重なり合う部分で生じた磁束の少なくとも一部が分配される。切欠部29f1の面積は広いので、分割フェライト板1B1bに多くの磁束が分配される。
【0111】
その結果、分割フェライト板1B1bには多くの磁束が流れる。同様に、各分割フェライト板1A1b,1A2b,1B2b,1A3b,1B3b,1A4b,1B4bにも多くの磁束が入射する。
【0112】
切欠部29f1および切欠部29f2の間には、1枚の分割フェライト板1C1bが配置されている。分割フェライト板1C1bには、送電コイル12bのうち切欠部29f1,29f2と重なり合う部分で生じた磁束の少なくとも一部が入り込む。そのため、分割フェライト板1C1bには比較的多くの磁束が入射する。切欠部29h1,29h2の間には1枚の分割フェライト板1C2bが配置されているため、この分割フェライト板1C2bにも比較的多くの磁束が入射する。
【0113】
図15は、比較例2に係るコイルユニット3bを用いて電力伝送したときにコイルユニット3bの各分割フェライト板に生じる鉄損を示すグラフである。
図15に示すように、各分割フェライト板1A1b,1B1b,1A2b,1B2b,1A3b,1B3b,1A4b,1B4bで生じる鉄損は大きく、各分割フェライト板1C1b,1C2bで生じる鉄損も比較的大きいことが分かる。
【0114】
図15および
図5において、比較例に係る各分割フェライト板1A1b,1B1b,1A2b,1B2b,1A3b,1B3b,1A4b,1B4bで生じる鉄損は、実施の形態1の各分割フェライト板1A1,1B1,1A2,1B2,1A3,1B3,1A4,1B4で生じる鉄損よりも大きい。
【0115】
比較例2の各分割フェライト板1C1b,1C2bで生じる鉄損も実施の形態1の各分割フェライト板1C1,1D1,1C2,1D2で生じる鉄損よりも大きい。
【0116】
図16は、比較例2に係るコイルユニット3bを用いて電力伝送したときにコイルユニット3bの各分割フェライト板における温度上昇値(℃)を示すグラフである。
【0117】
比較例の各分割フェライト板1A1b,1B1b,1A2b,1B2b,1A3b,1B3b,1A4b,1B4bの温度上昇値は大きい。
図16および
図6において、比較例2の各分割フェライト板1A1b,1B1b,1A2b,1B2b,1A3b,1B3b,1A4b,1B4bの温度上昇値は、実施の形態1の各分割フェライト板1A1,1B1,1A2,1B2,1A3,1B3,1A4,1B4の温度上昇値よりも大きい。
【0118】
同様に、分割フェライト板1C1b,1C2bの温度上昇値は、実施の形態1の分割フェライト板1C1,1D1,1C2,1D2の温度上昇値よりも大きい。
【0119】
図17は、実施の形態1(実施例)に係るコイルユニット3と、比較例2に係るコイルユニット3bとにおいて、コア温度上昇最大値(℃)を比較するグラフである。
【0120】
本実施の形態1(実施例)に係るコイルユニット3のコア温度上昇最大値は、比較例2に係るコイルユニット3bのコア温度上昇最大値よりも低いことが分かる。
【0121】
図18は、実施の形態1(実施例)に係るコイルユニット3を用いたときの結合係数と、比較例2に係るコイルユニット3bを用いたときの結合係数とを比較したグラフである。本実施の形態1に係るコイルユニット3の結合係数は、比較例2に係るコイルユニット3の結合係数と殆ど差がないことが分かる。
【0122】
このように、本実施の形態1に係るコイルユニット3によれば、結合係数を維持しつつも、フェライト板20の温度が高くなることを抑制することができることが分かる。
(実施の形態2)
図19は、実施の形態2に係るコイルユニット3Bの一部を示す平面図であり、
図20は、実施の形態2に係るコイルユニット3Bの一部を示す斜視図である。コイルユニット3Bは、送電コイル12Bと、フェライト板20Bとを含む。
【0123】
フェライト板20Bは、角フェライト板21B,22B,23B,24Bと、直線フェライト板27B,28Bとを含む。
【0124】
角フェライト板21Bは、分割フェライト板1A1Bと、分割フェライト板1A1の両側に配置された1B1B,1C1Bとを含む。角フェライト板22Bは、分割フェライト板1A2Bと、分割フェライト板1A2Bの両側に配置された分割フェライト板1B2B,1C2Bを含む。角フェライト板23Bは、分割フェライト板1A3Bと、分割フェライト板1A3Bの両側に配置された分割フェライト板1B3B,1C3Bとを含む。角フェライト板24Bは、分割フェライト板1A4Bと、分割フェライト板1A4Bの両側に配置された1B4B,1C4Bとを含む。
【0125】
直線フェライト板27Bは分割フェライト板1D1B,1E1B,1F1Bを含む。直線フェライト板28Bは分割フェライト板1D2B,1E2B,1F2Bを含む。
【0126】
分割フェライト板1A1B,1A2B,1A3B,1A4Bが送電コイル12Bから露出する面積は、他の分割フェライト板1B1B,1C1B,1B2B,1C2B,1B3B,1C3B,1B4B,1C4Bが送電コイル12Bから露出する面積よりも広い。
【0127】
コイルユニット3Bには、複数の切欠部29F,29G1,29G2,29H,29I1,29I2が形成されている。
【0128】
切欠部29Fは、分割フェライト板1B1Bと、分割フェライト板1C2Bとの間に形成されている。切欠部29G1は、分割フェライト板1B2Bと、分割フェライト板1D1Bとの間に形成されている。切欠部29G2は、分割フェライト板1F1Bと、分割フェライト板1C3Bとの間に形成されている。同様に、切欠部29H,29I1,29I2が分割フェライト板の間に形成されている。
【0129】
図21は、
図20のXXI−XXI線における断面図である。分割フェライト板1A2Bの厚さdAは、分割フェライト板1B2B,1C2Bの厚さdB,dCよりも厚い。分割フェライト板1A1B,1A3B,1A4Bは、分割フェライト板1A2Bと同様に形成されている。
【0130】
各分割フェライト板1A1B,1A2B,1A3B,1A4Bに入射した磁束は、各分割フェライト板1A1B,1A2B,1A3B,1A4Bの外端および内端を通る方向に流れる。分割フェライト板1A1B,1A2B,1A3B,1A4Bの厚さは厚いため、磁束が流れる磁束流路面積は広い。磁束流路面積が広いため、分割フェライト板1A1B,1A2B,1A3B,1A4Bの磁気抵抗は他の分割フェライト板よりも低い。
【0131】
上記のように構成されたコイルユニット3Bは、比較例1に係るコイルユニット3aにおいて、各分割フェライト板1A1a,1A2a,1A3a,1A4aの厚さを厚くした構成と実質的に同じである。
【0132】
上記のように構成されたコイルユニット3Bにおいて、電力伝送時に、送電コイル12Bに交流電流が流れ、送電コイル12Bの周囲に磁束が形成される。
【0133】
分割フェライト板1A1Bが送電コイル12Bから露出する面積は広いため、分割フェライト板1A1Bには多くの磁束が入射する。
【0134】
角フェライト板21Bおよび角フェライト板22Bの間には、分割フェライト板が配置されておらず、切欠部29Fの面積は広い。このため、送電コイル12Bのうち切欠部29Fと重なり合う部分で生じた磁束が分割フェライト板1B1Bに入射する磁束量も多くなる。同様に、分割フェライト板1A2B,1A3B,1A4Bに入射する磁束量は多くなる。
【0135】
図22は、実施の形態2に係るコイルユニット3Bを用いて電力伝送したときにコイルユニット3Bの各分割フェライト板に生じる鉄損を示すグラフである。
図23は、実施の形態2に係るコイルユニット3Bを用いて電力伝送したときにコイルユニット3Bの各分割フェライト板における温度上昇値(℃)を示すグラフである。
【0136】
図22および
図23に示すグラフにおいて、各分割フェライト板1A1B,1A2B,1A3B,1A4Bにおいて生じる鉄損は、他の分割フェライト板で生じる鉄損よりも比較的大きい。また、各分割フェライト板1A1B,1A2B,1A3B,1A4Bの温度上昇値は、他の分割フェライト板の温度上昇値よりも高い。
【0137】
その一方で、
図22および
図9に示すグラフを比較すると、実施の形態2に係るコイルユニット3Bの各分割フェライト板1A1B,1A2B,1A3B,1A4Bで生じる鉄損は、比較例1に係るコイルユニット3aの各分割フェライト板1A1a,1A2a,1A3a,1A4aで生じる鉄損よりも低いことが分かる。
【0138】
図23および
図10に示すグラフを比較すると、実施の形態2に係るコイルユニット3Bの各分割フェライト板1A1B,1A2B,1A3B,1A4Bの温度上昇値は、比較例1に係るコイルユニット3aの各分割フェライト板1A1a,1A2a,1A3a,1A4aの温度上昇値よりも低いことが分かる。
【0139】
このように、角フェライト板21B,22B,23B,24Bの各分割フェライト板1A1B,1A2B,1A3B,1A4Bの厚さを厚くすることで、鉄損の低減および温度上昇の抑制を図ることができる。
【0140】
図24は、実施の形態2(実施例)に係るコイルユニット3Bと、比較例1に係るコイルユニット3aとにおいて、コア温度上昇最大値(℃)を比較するグラフである。
図25は、実施の形態2(実施例)に係るコイルユニット3Bを用いたときの結合係数と、比較例1に係るコイルユニット3aを用いたときの結合係数とを比較したグラフである。
【0141】
図24および
図25において、実施の形態2に係るコイルユニット3Bのコア温度上昇最大値は、比較例1のコイルユニット3aのコア温度上昇最大値よりも小さく、コイルユニット3Bの結合係数は、比較例1のコイルユニット3aの結合係数と殆ど差がなく、実質的に同じであることが分かる。
【0142】
このように、実施の形態2に係るコイルユニット3Bによれば、結合係数を維持しつつも、電力伝送時に高温となることを抑制することができることが分かる。
【0143】
今回開示された実施の形態は全ての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本開示の範囲は上記した説明ではなく特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内での全ての変更が含まれることが意図される。