特許第6730241号(P6730241)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6730241
(24)【登録日】2020年7月6日
(45)【発行日】2020年7月29日
(54)【発明の名称】スキンケア方法
(51)【国際特許分類】
   A61K 8/34 20060101AFI20200716BHJP
   A61K 8/894 20060101ALI20200716BHJP
   A61Q 19/00 20060101ALI20200716BHJP
   A61K 8/86 20060101ALI20200716BHJP
【FI】
   A61K8/34
   A61K8/894
   A61Q19/00
   A61K8/86
【請求項の数】6
【全頁数】24
(21)【出願番号】特願2017-194700(P2017-194700)
(22)【出願日】2017年10月4日
(65)【公開番号】特開2019-64989(P2019-64989A)
(43)【公開日】2019年4月25日
【審査請求日】2019年3月6日
(73)【特許権者】
【識別番号】000000918
【氏名又は名称】花王株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000084
【氏名又は名称】特許業務法人アルガ特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】齋藤 美由紀
【審査官】 ▲高▼ 美葉子
(56)【参考文献】
【文献】 特開2001−139446(JP,A)
【文献】 特開平11−269033(JP,A)
【文献】 特開2017−178876(JP,A)
【文献】 特開昭60−197610(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61K 8/00− 8/99
A61Q 1/00−90/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
次の化粧料(A)及び(B)を使用するスキンケア方法であって、化粧料(A)を皮膚へ適用した後に化粧料(B)を皮膚へ適用するスキンケア方法。
化粧料(A):
(A−1)ジプロピレングリコール 5〜15質量%
(A−2)HLBが12以上で、一般式(1)
【化1】
〔式中、Rは炭素数1〜4のアルキル基を示し、mは1〜100、nは1〜10、pは5〜50の数をそれぞれ示す〕
で表わされるポリオキシエチレンメチルポリシロキサン 0.05〜0.8質量%、及び
(A−3)水を含有し、
成分(A−1)に対する成分(A−2)の含有比〔(A−2)/(A−1)〕が、0.001〜0.08であり、25℃における粘度が200〜10000mPa・sである化粧料。
化粧料(B):
(B−1)HLBが12〜16.5の非イオン性界面活性剤 0.1〜0.8質量%
(B−2)2又は3価のアルコール 1〜20質量%、及び
(B−3)水 60.29〜95質量%を含有し、
成分(B−1)に対する成分(B−2)の含有比〔(B−2)/(B−1)〕が、2〜80であり、25℃における粘度が0.0001〜100mPa・sである化粧料。
【請求項2】
化粧料(A)の25℃における粘度が、化粧料(B)の粘度よりも高い請求項1記載のスキンケア方法。
【請求項3】
化粧料(A)が、さらに、
(A−4)カルボキシビニルポリマー、アクリル酸・メタクリル酸アルキル共重合体、キサンタンガム及びカラギーナンから選ばれる水溶性高分子、
(A−5)HLBが13〜17のポリオキシエチレン硬化ヒマシ油及びポリオキシエチレン脂肪酸ソルビタンから選ばれる非イオン性界面活性剤、
(A−6)エタノール
を含有する請求項1又は2記載のスキンケア方法。
【請求項4】
化粧料(B)が、さらに、
(B−4)糖アルコール
を含有する請求項1〜3のいずれか1項記載のスキンケア方法。
【請求項5】
化粧料(B)において、油剤の含有量が3質量%以下である請求項1〜のいずれか1項記載のスキンケア方法。
【請求項6】
次の化粧料(A)及び(B)を含み、化粧料(A)を皮膚に適用した後に化粧料(B)を皮膚に適用するための化粧料キット。
化粧料(A):
(A−1)ジプロピレングリコール 5〜15質量%
(A−2)HLBが12以上で、一般式(1)
【化2】
〔式中、Rは炭素数1〜4のアルキル基を示し、mは1〜100、nは1〜10、pは5〜50の数をそれぞれ示す〕
で表わされるポリオキシエチレンメチルポリシロキサン 0.05〜0.8質量%、及び
(A−3)水を含有し、
成分(A−1)に対する成分(A−2)の含有比〔(A−2)/(A−1)〕が、0.001〜0.08であり、25℃における粘度が200〜10000mPa・sである化粧料。
化粧料(B):
(B−1)HLBが12〜16.5の非イオン性界面活性剤 0.1〜0.8質量%
(B−2)2又は3価のアルコール 1〜20質量%、及び
(B−3)水 60.29〜95質量%を含有し、
成分(B−1)に対する成分(B−2)の含有比〔(B−2)/(B−1)〕が、2〜80であり、25℃における粘度が0.0001〜100mPa・sである化粧料。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、スキンケア方法に関する。
【背景技術】
【0002】
皮膚は、表面にある表皮と、深層にある真皮及び皮下組織から構成され、表皮の最も外層には角層(角質層とも言う。)が存在している。角層は、わずか10〜15μmの厚さでしかないが、外部環境と体の中とを隔てるバリアとしての機能を果たし、皮膚内部からの水損失を防いでいる。一方、角層には微量な水分が含まれており、角層水分量が低下すると、皮膚表面の柔らかさや滑らかさが低下し、さらにシワやひび割れの原因になると考えられている。
【0003】
角層水分量を増加させるため、外界から角層へ水分を補給しても、角層のバリア機能の働きにより、角層内へ水分はほとんど浸透させることができない。そのため、角層表面をワセリンなどの閉塞物質で覆うことによって皮膚からの水分蒸散を抑制し、角層水分量を間接的に高める方法が利用されている(特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2009−256377号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1に記載されるような角層水分量を間接的に高める方法では、閉塞物質を相当量配合する必要があり、べたつき感や、皮膜感が強く感じられやすいという問題があった。そのため、過剰に閉塞物質を皮膚に適用せずに、角層へ直接水分を浸透させ、角層水分量を高める方法が求められていた。
本発明の課題は、多量の閉塞物質を配合することなく、良好な使用感で、角層へ水分を十分量供給できるスキンケア方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明者は、前記課題を解決すべく種々検討を行った結果、特定の水溶性溶媒及びポリオキシエチレン変性シリコーンを含有する化粧料(A)を皮膚に適用した後、特定の非イオン性界面活性剤及び多価アルコールを含有する化粧料(B)を適用することにより、良好な使用感で、角層への水分浸透を高めることができることを見出し、本発明を完成した。
【0007】
本発明は、次の化粧料(A)及び(B)を使用するスキンケア方法であって、化粧料(A)を皮膚へ適用した後に化粧料(B)を皮膚へ適用するスキンケア方法に関する。
化粧料(A):
(A−1)IOB値が1.5〜2の水溶性溶媒、
(A−2)HLBが12以上のポリオキシエチレン変性シリコーン及び
(A−3)水を含有し、
成分(A−1)に対する成分(A−2)の含有比〔(A−2)/(A−1)〕が、0.001〜0.08であり、25℃における粘度が200〜10000mPa・sである化粧料。
化粧料(B):
(B−1)HLBが12〜16.5の非イオン性界面活性剤、
(B−2)2、3又は4価のアルコール及び
(B−3)水を含有し、
成分(B−3)の化粧料(B)中の含有量が65〜98.95質量%であり、25℃における粘度が0.0001〜100mPa・sである化粧料。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、角層への水分浸透効果が高く、角層水分量を直接増加させることができ、しかも、べたつき感やきしみ感、刺激感がなく、肌がしっとりしてやわらかいなど、使用感も良好である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
〔化粧料(A)〕
本発明で用いる化粧料(A)は、(A−1)IOB値が1.5〜2の水溶性溶媒、(A−2)HLBが12以上のポリオキシエチレン変性シリコーン及び(A−3)水を含有し、成分(A−1)に対する成分(A−2)の含有比〔(A−2)/(A−1)〕が、0.003〜0.08のものである。
【0010】
成分(A−1)の水溶性溶媒は、きしみ感、刺激感を抑制し、角層水分量を増加させる観点から、IOB値が1.5〜2であり、1.6〜1.95が好ましく、1.7〜1.9がより好ましく、1.8〜1.85がさらに好ましい。
ここで、IOB値は、Inorganic/Organic Balance(無機性/有機性比)の略であって、無機性値の有機性値に対する比率を表す値であり、有機化合物の極性の度合いを示す指標となるものである。
具体的には、IOB値=無機性値/有機性値として表される。「無機性値」、「有機性値」のそれぞれについては、例えば、分子中の炭素原子1個について「有機性値」が20、同水酸基1個について「無機性値」が100といったように、各種原子又は官能基に応じた「無機性値」、「有機性値」が設定されており、有機化合物中の全ての原子及び官能基の「無機性値」、「有機性値」を積算することによって、当該有機化合物のIOB値を算出することができる(例えば、甲田善生著、「有機概念図−基礎と応用−」p11〜17、三共出版、1984年発行参照)。
【0011】
また、成分(A−1)は、同様の観点から、分子量が50〜180であるのが好ましく、100〜160がより好ましく、125〜145がさらに好ましい。
【0012】
かかる水溶性溶媒としては、例えば、1,2−ペンタンジオール(IOB2.00;分子量104)、エトキシジグリコール(IOB1.50;分子量134)、ジプロピレングリコール(IOB1.83;分子量134)、イソプロピルアルコール(IOB1.67;分子量60)、ヘキシレングリコール(IOB1.82;分子量118)等が挙げられる。これらのうち、きしみ、刺激感を抑え、角層水分量を増加させやすいという観点から、ジプロピレングリコールが好ましい。
【0013】
成分(A−1)は、1種又は2種以上を組合わせて用いることができ、化粧料(A)中の含有量は、べたつき感、きしみ感及び刺激感を抑制し、角層水分量を増加させる観点から、2質量%以上が好ましく、3質量%以上がより好ましく、5質量%以上がさらに好ましく、50質量%以下が好ましく、30質量%以下がより好ましく、15質量%以下がさらに好ましい。また、成分(A−1)の化粧料(A)中の含有量は、2〜50質量%が好ましく、3〜30質量%がより好ましく、5〜15質量%がさらに好ましい。
【0014】
成分(A−2)のポリオキシエチレン変性シリコーンは、べたつき感及びきしみ感を抑制し、角層水分量を増加させる観点から、HLBが12以上であり、12〜18が好ましく、13〜16.5がより好ましく、13.5〜15がさらに好ましい。
ここで、HLB(親水性−親油性のバランス〈Hydrophilic-Lypophilic Balance〉)は、界面活性剤の全分子量に占める親水基部分の分子量を示すものであり、非イオン性界面活性剤については、グリフィン(Griffin)の式により求められるものである。
2種以上の非イオン性界面活性剤から構成される混合界面活性剤のHLBは、次式のように、各非イオン性界面活性剤のHLB値をその配合比率に基づいて相加算平均したものである。
HLB=Σ(HLBx×Wx)/ΣWx
HLBxは、非イオン性界面活性剤XのHLB値を示す。
Wxは、HLBxの値を有する非イオン性界面活性剤Xの質量(g)を示す。
【0015】
ポリオキシエチレン変性シリコーンとしては、メチルシリコン鎖を主鎖とし、ポリオキシエチレン基からなる側鎖を持つ水溶性の化合物であり、例えば、下記一般式(1)
【0016】
【化1】
【0017】
〔式中、Rは炭素数1〜4のアルキル基を示し、mは1〜100、nは1〜10、pは5〜50の数をそれぞれ示す〕
で表わされるポリオキシエチレンメチルポリシロキサンが挙げられる。
【0018】
一般式(1)中、Rとしてはメチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、sec−ブチル基等が挙げられるが、このうち炭素数1〜3のアルキル基が好ましく、メチル基、エチル基がより好ましく、メチル基がさらに好ましい。mは1〜100の数を示すが、5〜50がより好ましく、5〜35がさらに好ましい。nは1〜10の数を示すが、2〜10がより好ましく、2〜8がさらに好ましい。pは5〜50の数を示すが、10〜50がより好ましく、20〜50がさらに好ましい。
成分(A−2)の市販品としては、KF−6011、KF−6043(以上、信越化学工業社製)等が挙げられる。
【0019】
成分(A−2)は、1種又は2種以上を組合わせて用いることができ、化粧料(A)中の含有量は、しっとり感を向上させ、きしみ感、べたつき感を抑制し、角層水分量を増加させる観点から、0.01質量%以上が好ましく、0.05質量%以上がより好ましく、0.1質量%以上がさらに好ましく、1質量%以下が好ましく、0.8質量%以下がより好ましく、0.5質量%以下がさらに好ましい。また、成分(A−2)の化粧料(A)中の含有量は、0.01〜1質量%が好ましく、0.05〜0.8質量%がより好ましく、0.1〜0.5質量%がさらに好ましい。
【0020】
化粧料(A)において、成分(A−1)に対する成分(A−2)の含有比〔(A−2)/(A−1)〕は、べたつき感、きしみ感及び刺激感を抑制し、角層水分量を増加させる観点から、0.001以上であり、0.003以上が好ましく、0.01以上がより好ましく、0.08以下であり、0.07以下が好ましく、0.04以下がより好ましい。また、化粧料(A)において、成分(A−1)に対する成分(A−2)の含有比〔(A−2)/(A−1)〕は、0.001〜0.08であり、0.003〜0.07が好ましく、0.01〜0.04がより好ましい。
【0021】
成分(A−3)の水の化粧料(A)中の含有量は、べたつきを抑え、角層水分量を増加させる観点から、33質量%以上が好ましく、46質量%以上がより好ましく、73質量%以上がさらに好ましく、99.7質量%以下が好ましく、98.9質量%以下がより好ましく、97.9質量%以下がさらに好ましい。また、成分(A−3)の化粧料(A)中の含有量は、33〜99.7質量%が好ましく、46〜98.9質量%がより好ましく、73〜97.9質量%がさらに好ましい。
【0022】
化粧料(A)には、経時安定性維持のため、さらに(A−4)水溶性高分子を含有することが好ましい。水溶性高分子としては、水溶性のカチオン性高分子、アニオン性高分子、非イオン性高分子、及び、両性高分子又は双極性高分子等が挙げられる。
【0023】
カチオン性高分子としては、具体的には、塩化O−[2−ヒドロキシ−3−(トリメチルアンモニオ)プロピル]基を有するヒドロキシエチルセルロース(ポリクオタニウム−10)、(ビニルピロリドン-ジメチルアミノメチルエチルメタクリレート共重合体ジエチル硫酸塩(ポリクオタニウム−11)、塩化メチルビニルイミダゾリウム・ビニルピロリドン共重合体などが挙げられる。
【0024】
アニオン性高分子としては、具体的には、カルボキシビニルポリマー、カルボキシメチルセルロース、カラゲーナン、キサンタンガム、ポリスチレンスルホネート、寒天、ガッチガム、カラヤガム、ペクチン、アルギネート塩、アクリル酸・メタクリル酸アルキル共重合体、(アクリル酸Na/アクリロイルジメチルタウリンNa)コポリマー、ポリ(アクリル酸)及び又はアクリル酸、又はメタクリル酸のアルカリ金属及びアンモニウム塩などのアクリル酸また又はメタクリル酸誘導体、ヒアルロン酸又はそのアルカリ金属塩が挙げられる。
【0025】
非イオン性高分子としては、具体的には、セルロースエーテル(ヒドロキシブチルメチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロール、エチルヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース等)、プロピレングリコールアルギネート、ポリアクリルアミド、ポリ(エチレンオキシド)、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、ヒドロキシプロピルグアーガム、ローカストビーンガム、アミロース、ヒドロキシエチルアミロース、澱粉及び澱粉誘導体及びこれらの混合物などが挙げられる。
【0026】
両性高分子又は双極性高分子として、具体的には、オクチルアクリルアミド/アクリレート/ブチルアミノエチルメタクリレートコポリマー、ポリクオタニウム−47、ポリクオタニウム−43などが挙げられる。
【0027】
これらの水溶性高分子は、1種又は2種以上を適宜組み合わせて使用することができる。べたつき、きしみ感を抑制し、経時安定性を向上させる観点から、カルボキシビニルポリマー、アクリル酸・メタクリル酸アルキル共重合体、キサンタンガム、カラギーナン、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ポリアクリルアミド、(アクリル酸Na/アクリロイルジメチルタウリンNa)コポリマー、ヒアルロン酸及び又はそのアルカリ金属塩が好ましい。
【0028】
成分(A−4)は、1種又は2種以上を組合わせて用いることができ、化粧料(A)中の含有量は、べたつき感を抑制し、角層水分量を増加させる観点から、0.01質量%以上が好ましく、0.05質量%以上がより好ましく、0.1質量%以上がさらに好ましく、3質量%以下が好ましく、2質量%以下がより好ましく、1.5質量%以下がさらに好ましい。また、成分(A−4)の化粧料(A)中の含有量は、0.01〜3質量%が好ましく、0.05〜2質量%がより好ましく、0.1〜1.5質量%がさらに好ましい。
【0029】
化粧料(A)には、経時安定性を向上させる観点から、さらに(A−5)成分(A−2)以外の非イオン性界面活性剤を含有することができる。
かかる非イオン性界面活性剤としては、角層水分量を増加させる観点から、好ましくは、HLBが10〜20であり、12〜18がより好ましく、13〜17がさらに好ましい。ここで、HLBは、前記成分(A−2)と同様である。
【0030】
成分(A−5)としては、べたつき、きしみ、刺激感を抑え、経時安定性を向上させる観点から、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油及びポリオキシエチレン脂肪酸ソルビタンから選択される1種又は2種以上を含むことが好ましい。
【0031】
成分(A−5)は、1種又は2種以上を組合わせて用いることができ、化粧料(A)中の含有量は、べたつき感、きしみ感及び刺激感を抑制する観点から、0.01質量%以上が好ましく、0.05質量%以上がより好ましく、0.1質量%以上がさらに好ましく、3質量%以下が好ましく、2質量%以下がより好ましく、1.5質量%以下がさらに好ましい。また、成分(A−5)の化粧料(A)中の含有量は、0.01〜3質量%が好ましく、0.05〜2質量%がより好ましく、0.1〜1.5質量%がさらに好ましい。
【0032】
化粧料(A)には、塗布時のべたつきを抑える観点から、さらに(A−6)炭素数1〜3の飽和1価アルコールを含有することができる。
具体的には、メチルアルコール、エチルアルコール、プロピルアルコール、イソプロピルアルコールなどが挙げられ、エチルアルコールが好ましい。
【0033】
成分(A−6)は、1種又は2種以上を組合わせて用いることができ、化粧料(A)中の含有量は、塗布時のさっぱり感を向上させ、べたつきを抑える観点から、1質量%以上が好ましく、2質量%以上がより好ましく、3質量%以上がさらに好ましく、10質量%以下が好ましく、8質量%以下がより好ましく、7質量%以下がさらに好ましい。また、成分(A−6)の化粧料(A)中の含有量は、1〜10質量%が好ましく、2〜8質量%がより好ましく、3〜7質量%がさらに好ましい。
【0034】
化粧料(A)には、しっとり感を向上させる観点から、さらに(A−7)油剤を含有することができる。かかる油剤としては、しっとり感を向上させ、角層水分量を増加させる観点から、液状油を含むことが好ましく、1気圧下、25℃の環境下において流動性を有する油剤であれば特に限定されない。また、前記の観点から、油剤中に液状油は、60質量%以上であることが好ましく、80質量%以上がより好ましく、90質量%以上がさらに好ましく、実質的に油剤全量が液状油であることがさらに好ましい。
具体的には、α−オレフィンオリゴマー、軽質流動イソパラフィン、軽質流動パラフィン、重質流動イソパラフィン、重質流動パラフィン、スクワラン等の炭化水素;トリオクタン酸グリセリル、アボカド油、オリーブ油、ゴマ油、コメヌカ油、サフラワー油、ダイズ油、トウモロコシ油、ナタネ油、ヒマシ油、綿実油、ミンク油等のトリグリセリド;オレイン酸、イソステアリン酸等の脂肪酸;セバシン酸ジイソプロピル、ミリスチン酸イソプロピル、ミリスチン酸ブチル、パルミチン酸イソプロピル、オレイン酸エチル、リノール酸エチル、リノール酸イソプロピル、カプリル酸セチル、ラウリン酸ヘキシル、ミリスチン酸デシル、オレイン酸デシル、オレイン酸オレイル、ラウリン酸イソステアリル、ミリスチン酸イソトリデシル、ミリスチン酸イソセチル、ミリスチン酸イソステアリル、ミリスチン酸オクチルドデシル、パルミチン酸オクチル、パルミチン酸イソセチル、パルミチン酸イソステアリル、ジオレイン酸プロピレングリコール、オレイン酸イソデシル、イソステアリン酸イソプロピル、2−エチルヘキサン酸セチル、2−エチルヘキサン酸ステアリル、ジカプリン酸プロピレングリコール、ジオレイン酸プロピレングリコール、トリ2−エチルヘキサン酸グリセリル、トリ(カプリル・カプリン酸)グリセリル、パラメトキシケイ皮酸2−エチルヘキシル等のエステル油;2−オクチルドデカノール、イソステアリルアルコール、オレイルアルコール等の分岐又は不飽和の高級アルコール;ジメチルポリシロキサン、メチルフェニルポリシロキサン、トリス(トリメチルシロキシ)メチルシラン等のシリコーン油などを挙げることができる。これらの油剤は1種又は2種以上を用いることができる。
【0035】
これらのうち、α−オレフィンオリゴマー、重質流動イソパラフィン、重質流動パラフィン、アボカド油、オリーブ油、ミリスチン酸オクチルドデシル、トリ2−エチルヘキサン酸グリセリル、メチルフェニルポリシロキサンが好ましい。
【0036】
成分(A−7)は、1種又は2種以上を組合わせて用いることができ、化粧料(A)中の含有量は、しっとり感を向上させるとともに、きしみ感及びべたつき感を抑制し、角層水分量を増加させる観点から、0.1質量%以上が好ましく、0.5質量%以上がより好ましく、1質量%以上がさらに好ましく、10質量%以下が好ましく、7質量%以下がより好ましく、3質量%以下がさらに好ましい。また、成分(A−7)の化粧料(A)中の含有量は、0.1〜10質量%が好ましく、0.5〜7質量%がより好ましく、1〜3質量%がさらに好ましい。
【0037】
化粧料(A)には、しっとり感を向上させる観点から、さらに(A−8)成分(A−1)以外の多価アルコールを含有することができるが、べたつき、きしみ感を抑制し、しっとり感、角層水分量を向上させる観点から、化粧料(A)中における成分(A−8)の含有量は、好ましくは3質量%以下、より好ましくは1質量%以下、さらに好ましくは0.5質量%以下、さらに好ましくは0.1質量%以下であり、実質的に含有しないことが好ましい。
【0038】
化粧料(A)の25℃における粘度は、べたつきを抑制し、角層水分量を増加させる観点から、200〜10000mPa・sであることが必要であり、300〜7000mPa・sが好ましく、350〜5000mPa・sがより好ましく、400〜1000mP・sがさらに好ましい。
なお、本発明において、粘度は、B型粘度計(ビスメトロン粘度計:型式VM−10A(芝浦セムテック社製)))、ローターNo.4、回転数12rpmで30秒測定し、10,000mPa・s未満の場合、ローターNo.3、回転数12rpmで30秒、2,500mPa・s未満の場合、ローターNo.2、回転数12rpmで30秒、500mPa・s未満の場合、ローターNo.1、回転数12rpmで30秒にて測定する。
【0039】
〔化粧料(B)〕
本発明で用いる化粧料(B)は、(B−1)HLBが12〜16.5の非イオン性界面活性剤、(B−2)2、3又は4価のアルコール及び(B−3)水を含有し、成分(B−3)の化粧料(B)中の含有量が65〜98.95質量%のものである。
【0040】
成分(B−1)の非イオン性界面活性剤は、べたつき、きしみ及び刺激感を抑制し、角層水分量を増加させる観点から、HLB12〜16.5であり、13〜16が好ましく、13.5〜16がより好ましい。
ここで、HLBは、前記成分(A−2)と同様であり、2種以上用いる場合には、相加平均により求める混合HLBが、12〜16.5である。
【0041】
成分(B−1)としては、べたつき、きしみ及び刺激感を抑制し、角層水分量を増加させる観点から、成分(A−2)以外の非イオン性界面活性剤が好ましく、EO付加モル数が15〜120のPOE付加型非イオン性界面活性剤及び/又はショ糖脂肪酸エステルがより好ましい。
EO付加モル数が15〜120のPOE付加型非イオン性界面活性剤としては、例えば、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレングリセリン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンアルキルエーテル等が挙げられる。これらのEO付加モル数は、20〜80が好ましい。また、脂肪酸部分及びアルキル部分の炭素数は8〜24が好ましい。
より具体的には、POE(20)硬化ヒマシ油、POE(30)硬化ヒマシ油、POE(40)硬化ヒマシ油、POE(60)硬化ヒマシ油、POE(80)硬化ヒマシ油、POE(100)硬化ヒマシ油、POE(20)ヤシ油脂肪酸ソルビタン、ポリソルベート20、ポリソルベート40、ポリソルベート60、ポリソルベート80、ステアリン酸PEG−15グリセリル、オレイン酸PEG−15グリセリル等を使用することができる。これらのうち、刺激感、べたつきを抑える観点から、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油が好ましく、POE(60)硬化ヒマシ油がより好ましい。
【0042】
また、ショ糖脂肪酸エステルは、ショ糖(スクロース)の水酸基に脂肪酸がエステル結合してなる非イオン性界面活性剤であり、脂肪酸の炭素数が10以上のものが好ましく、炭素数が10〜24がより好ましく、12〜20がさらに好ましい。
より具体的には、ショ糖ジオレイン酸エステル、ショ糖ジステアリン酸エステル、ショ糖ジパルミチン酸エステル、ショ糖ジミリスチン酸エステル、ショ糖ジラウリン酸エステル、ショ糖モノオレイン酸エステル、ショ糖モノステアリン酸エステル、ショ糖モノパルミチン酸エステル、ショ糖モノミリスチン酸エステル、ショ糖モノラウリン酸エステル等が挙げられ、これらを含有するヤシ油脂肪酸ショ糖エステル、パーム核脂肪酸ショ糖エステルも挙げられる。これらのうち、刺激感、べたつきを抑える観点から、ショ糖モノオレイン酸エステル、ショ糖モノステアリン酸エステル、ショ糖モノパルミチン酸エステル、ショ糖モノミリスチン酸エステル、ショ糖モノラウリン酸エステル、ヤシ油脂肪酸ショ糖エステルがより好ましい。
【0043】
成分(B−1)としては、POE(60)硬化ヒマシ油、POE(20)ヤシ油脂肪酸ソルビタン、ショ糖モノラウリン酸エステルが好ましく、POE(60)硬化ヒマシ油がより好ましい。
【0044】
成分(B−1)は、1種又は2種以上を組合わせて用いることができ、化粧料(B)中の含有量は、べたつき感、きしみ感及び刺激感を抑制し、角層水分量を増加させる観点から、0.05質量%以上が好ましく、0.1質量%以上がより好ましく、0.2質量%以上がさらに好ましく、1質量%以下が好ましく、0.8質量%以下がより好ましく、0.6質量%以下がさらに好ましい。また、成分(B−1)の化粧料(B)中の含有量は、0.05〜1質量%が好ましく、0.1〜0.8質量%がより好ましく、0.15〜0.5質量%がさらに好ましい。
【0045】
成分(B−2)の2、3又は4価のアルコールとしては、2、3又は4価の、炭素数2〜6のアルキルアルコールが好ましく、2、3又は4価の、炭素数2、3又は4のアルキルアルコールがより好ましい。
具体的には、プロピレングリコール、グリセリン、ポリエチレングリコール、1,3‐ブチレングリコール、1,2−ペンタンジオール、ジエチレングリコール、エチレングリコール、トリエチレングルコール、ポリプロピレングリコール、ポリグリセリン、ジプロピレングリコール、トリプロピレングリコール、ヘキシレングリコール等が挙げられる。これらのうち、しっとり感、角層水分量を増加させる観点から、2又は3価アルコールが好ましく、2価アルコールがより好ましく、ジプロピレングリコールを含むことがさらに好ましい。特に成分(B−2)中にIOB値が1.5〜2の2、3又は4価アルコールを含むことが好ましく、成分(B−2)中にIOB値が1.5〜2の2、3又は4価アルコールを30質量%以上含むことが好ましく、50質量%以上含むことがより好ましく、80質量%以上含むことがさらに好ましい。
【0046】
成分(B−2)は、1種又は2種以上を組合わせて用いることができ、化粧料(B)中の含有量は、べたつき、きしみ及び刺激感を抑制し、角層水分量を増加させる観点から、1質量%以上が好ましく、2質量%以上がより好ましく、3質量%以上がさらに好ましく、20質量%以下が好ましく、15質量%以下がより好ましく、10質量%以下がさらに好ましい。また、成分(B−2)の化粧料(B)中の含有量は、1〜20質量%が好ましく、2〜15質量%がより好ましく、3〜10質量%がさらに好ましい。
【0047】
化粧料(B)において、成分(B−1)に対する成分(B−2)の含有比〔(B−2)/(B−1)〕は、きしみ、べたつき及び刺激感を抑制し、角層水分量を増加させる観点から、2以上が好ましく、5以上がより好ましく、7以上がさらに好ましく、10以上がさらに好ましく、また、80以下が好ましく、50以下がより好ましく、40以下がさらに好ましく、30以下がよりさらに好ましい。また、化粧料(B)において、成分(B−1)に対する成分(B−2)の含有比〔(B−2)/(B−1)〕は、2〜80が好ましく、3〜50がより好ましく、7〜40がさらに好ましく、10〜30がよりさらに好ましい。
【0048】
成分(B−3)の水の化粧料(B)中の含有量は、優れた水分浸透促進効果を得る観点から、65質量%以上、98.95質量%以下である。また、前記の観点から、70質量%以上が好ましく、95質量%以下が好ましく、85質量%以下がより好ましく、80質量%以下がさらに好ましい。また、成分(B−3)の化粧料(B)中の含有量は、65〜98.95質量%であり、70〜95質量%が好ましく、70〜85質量%がより好ましく、70〜80質量%がさらに好ましい。
【0049】
化粧料(B)には、しっとり感を向上させる観点から、さらに(B−4)糖アルコールを含有することが好ましい。
糖アルコールとしては、例えば、グルコース、マルトース、キシリトール、ラクチトール、パラニチット、ソルビトール、マルチトール、マンニトール、エリスリトール、トレハロース、グルコシルトレハロース、ポリオキシアルキレンアルキルグルコシド等が挙げられる。これらのうち、角層水分量を増加させる観点から、ソルビトールが好ましい。
【0050】
ここで、ポリオキシアルキレンアルキルグルコシドにおけるアルキルグルコシドのアルキル基としてはメチル基、エチル基等の炭素数1〜4のアルキル基が挙げられる。このうちポリオキシアルキレンメチルグルコシドが洗浄後の肌にしっとり感、やわらかい肌感触を付与する点から好ましい。ポリオキシアルキレンメチルグルコシドは、下記式(2)で表される。
【0051】
【化2】
【0052】
(式中、Aは炭素数2〜4の直鎖又は分岐鎖のアルキレン基を示し、a、b、c及びdは、平均付加モル数であり2〜20の数を示す。)
【0053】
ポリオキアルキレンアルキルグルコシドは、市販されているものを利用することができ、例えばマクビオブライドMG−20E(日油社製)、マクビオブライドMG−10E(日油社製)、グルカムE−10 LFG(日本ルーブリゾール社製)が挙げられる。市販のポリオキアルキレンアルキルグルコシドに含まれるポリオキシエチレン鎖(PEO鎖)の数は、上記(1)に示す構造のa+b+c+dで表すことができる。例えばマクビオブライドMG−20EはPEO鎖は20であり、マクビオブライドMG−10E、グルカムE−10 LFGは10である。
【0054】
成分(B−4)は、1種又は2種以上を組合わせて用いることができ、化粧料(B)中の含有量は、しっとり感、角層水分量を増加させる観点から、5質量%以上が好ましく、10質量%以上がより好ましく、12質量%以上がさらに好ましく、20質量%以下が好ましく、18質量%以下がより好ましく、16質量%以下がさらに好ましい。また、成分(B−4)の化粧料(B)中の含有量は、5〜20質量%が好ましく、10〜18質量%がより好ましく、12〜16質量%がさらに好ましい。
【0055】
化粧料(B)には、使用時のたれ落ちを抑制する観点から、さらに(B−5)水溶性高分子を含有することが好ましい。
水溶性高分子としては、化粧料(A)の成分(A−4)と同様のものを用いることができる。
【0056】
成分(B−5)は、1種又は2種以上を組合わせて用いることができ、化粧料(B)中の含有量は、使用時のたれ落ちを抑制し、刺激感、きしみ感を抑制する観点から、0.001質量%以上が好ましく、0.005質量%以上がより好ましく、0.01質量%以上がさらに好ましく、0.5質量%以下が好ましく、0.3質量%以下がより好ましく、0.1質量%以下がさらに好ましい。また、成分(B−5)の化粧料(B)中の含有量は、0.001〜0.5質量%が好ましく、0.005〜0.3質量%がより好ましく、0.01〜0.1質量%がさらに好ましい。
【0057】
化粧料(B)には、塗布時のべたつきを抑える観点から、さらに(B−6)炭素数1〜3の飽和1価アルコールを含有することができる。
具体的には、メチルアルコール、エチルアルコール、プロピルアルコール、イソプロピルアルコールなどが挙げられ、エチルアルコールが好ましい。
【0058】
成分(B−6)は、1種又は2種以上を組合わせて用いることができ、化粧料(B)中の含有量は、塗布時のさっぱり感を向上させ、べたつきを抑える観点から、1質量%以上が好ましく、2質量%以上がより好ましく、3質量%以上がさらに好ましく、10質量%以下が好ましく、8質量%以下がより好ましく、7質量%以下がさらに好ましい。また、成分(B−6)の化粧料(B)中の含有量は、1〜10質量%が好ましく、2〜8質量%がより好ましく、3〜7質量%がさらに好ましい。
【0059】
化粧料(B)には、しっとり感を向上させる観点から、さらに(B−7)油剤を含有することができる。かかる油剤としては、角層水分量を増加させる観点から、液状油が好ましく、1気圧下、25℃の環境下において流動性を有する油剤であれば特に限定されない。また、前記の観点から、油剤中に液状油は、60質量%以上であることが好ましく、80質量%以上がより好ましく、90質量%以上がさらに好ましく、実質的に油剤全量が液状油であることがさらに好ましい。具体的には、前記成分(A−7)と同様のものを使用することができる。
【0060】
成分(B−7)は、1種又は2種以上を組合わせて用いることができ、化粧料(B)中の含有量は、べたつき感を抑制し、角層水分量を増加させる観点から、3質量%以下が好ましく、1質量%以下がより好ましく、0.5質量%以下がさらに好ましい。
【0061】
化粧料(B)の25℃における粘度は、刺激感、きしみ感を抑制する観点から、0.0001〜100mPa・sであり、0.001〜50mPa・sが好ましく、0.05〜20mPa・sがより好ましく、0.1〜10mPa・sがさらに好ましい。
なお、粘度は、化粧料(A)と同様にして測定される。
本発明において、べたつき、刺激感を抑え、角層水分量を増加させる観点から、化粧料(A)の25℃における粘度が、化粧料(B)の粘度より高いのが好ましい。
【0062】
〔その他の任意成分〕
化粧料(A)、(B)は、前記成分のほか、目的に応じて本発明の効果を損なわない範囲内で、通常の化粧料に用いられる成分、例えば、成分(A−2)、(A−5)、(B−1)以外の界面活性剤、植物エキス、ビタミン類、酸化防止剤、防菌防腐剤、消炎剤、血行促進剤、昆虫忌避剤、塩類、キレート剤、中和剤、pH調整剤、香料等を含有することができる。なお、これら各剤は、各剤としての用途に限られず、目的に応じて他の用途にも用いられる。
成分(A−2)、(A−5)、(B−1)以外の界面活性剤として、アニオン性界面活性剤、カチオン性界面活性剤、両性界面活性剤等が挙げられるが、刺激感、べたつき、きしみ感を抑制し、しっとり感、角層水分量を向上させる観点から、それぞれの化粧料(A)、化粧料(B)中に1質量%以下であることが好ましく、0.5質量%以下であることがより好ましく、0.1質量%以下であることがさらに好ましく、実質的に含有しないことがさらに好ましい。
【0063】
〔製造方法〕
化粧料(A)及び化粧料(B)は、所定の成分を適宜混合することによって製造することができ、混合する順序によらず、全成分を均一に混合・分散することにより製造することができる。
【0064】
例えば、化粧料(A)の製造方法は、成分(A−1)〜(A−3)、必要により成分(A−4)、(A−5)及びその他の任意成分を混合攪拌する工程を含むことができる。混合攪拌する工程においては、必要に応じて加熱して混合攪拌する工程を含んでいてもよい。当該加熱温度は、各成分を十分に溶解させる観点から、好ましくは50℃以上、より好ましくは55℃以上であり、また、好ましくは90℃以下、より好ましくは85℃以下である。
【0065】
また、化粧料(B)の製造方法は、成分(B−1)〜(B−3)、必要により成分(B−4)及びその他の任意成分を混合攪拌する工程を含むことができる。混合攪拌する工程においては、必要に応じて加熱して混合攪拌する工程を含んでいてもよい。当該加熱温度は、各成分を十分に溶解させる観点から、好ましくは50℃以上、より好ましくは55℃以上であり、また、好ましくは90℃以下、より好ましくは85℃以下である。
【0066】
〔スキンケア方法〕
本発明のスキンケア方法においては、化粧料(A)を皮膚へ適用した後に、続けて化粧料(B)を皮膚へ適用する。本発明のスキンケア方法としては、以下の工程1〜4を有することが好ましい。
工程1:化粧料(A)を皮膚に塗布する工程。
工程2:化粧料(A)を皮膚になじませる工程。
工程3:化粧料(B)を、化粧料(A)を塗布してなじませた部位の皮膚に塗布する工程。
工程4:化粧料(B)を皮膚になじませる工程。
【0067】
また、化粧料の皮膚への浸透を高める観点から、上記スキンケア方法を行う前に、皮膚を洗浄することが好ましく、このため、本発明のスキンケア方法は、以下の工程0〜4を有することがより好ましい。
工程0:皮膚を洗浄する工程。
工程1:化粧料(A)を皮膚に塗布する工程。
工程2:化粧料(A)を皮膚になじませる工程。
工程3:化粧料(B)を、化粧料(A)を塗布してなじませた部位に皮膚に塗布する工程。
工程4:化粧料(B)を皮膚になじませる工程。
【0068】
工程0における皮膚の洗浄には通常の皮膚洗浄剤を用いることができる。本発明の化粧料(A)は、皮膚洗浄後の濡れた皮膚に塗布してもよいが、化粧料(A)が塗布時に垂れ落ちせず、肌なじみが良好になる観点から、工程0における皮膚の洗浄後にタオルドライ等、皮膚上の水分を拭き取る工程を含むことが好ましい。
【0069】
工程1の化粧料(A)を皮膚に塗布する工程においては、適量を手に取り、スキンケアの対称となる部位の皮膚に塗布すればよい。
【0070】
化粧料を皮膚になじませる工程(工程2、4)においては、化粧料を手全体で被塗布部に塗り広げ、化粧料が被塗布部になじんで手の滑りが重くなるまで、じっくりていねいになじませることが好ましい。また、乾燥しやすい部分、肌弾力の失われがちな部分には、皮膚に塗布する工程と皮膚になじませる工程を繰り返し、複数回化粧料を適応することが好ましい。具体的には、工程1と工程2を複数回繰り返し、その後、工程3と工程4を複数回繰り返す方法が挙げられる。
【0071】
工程3の化粧料(B)を皮膚に塗布する工程では、工程1及び2において化粧料(A)を塗布し、なじませた部位に化粧料(B)を塗布する。工程3では、化粧料(A)が皮膚になじんだ後(手の滑りが重くなった後)、肌へのなじみをより向上させる観点から、更に15秒以上、好ましくは25秒以上、また60秒以下、好ましくは45秒以下の間、そのまま静置して肌を落ち着かせてから、化粧料(B)を皮膚に塗布することが好ましい。
【0072】
工程4の化粧料(B)を皮膚になじませる工程の後は、皮膚への化粧料のなじみが良く、化粧料の浸透性が向上した状態となっていることから、必要により、乳液、美容液、クリーム及びパックから選択される1種又は2種以上を皮膚へ適応し、スキンケア処理を継続することが好ましい。
【0073】
〔化粧料キット〕
本発明の化粧料キットは、化粧料(A)及び(B)を含み、化粧料(A)を皮膚に適用した後に化粧料(B)を皮膚に適用するための化粧キットである。
【0074】
化粧料キットとしては、化粧料(A)及び(B)以外に、更に他の化粧料を含んでいてもよく、当該他の化粧料は、洗浄料、乳液、美容液、クリーム、パック等の形態であってもよい。
【0075】
〔使用量〕
本発明において、化粧料の使用量は特に制限されず、適用部位により、適宜変更することができる。角層への水分浸透効果を高め、角層水分量を効果的に増加させる観点から、1回の使用において、化粧料(A)は皮膚上に0.5〜2μL/cm2の量で塗布することが好ましく、0.8〜1.5μL/cm2の量で塗布することがより好ましい。化粧料(B)は皮膚上に4〜10μL/cm2の量で塗布することが好ましく、5〜9μL/cm2の量で塗布することがより好ましい。特に、顔に使用する場合、化粧料(A)を皮膚上に1〜1.3μL/cm2の量、化粧料(B)は皮膚上に6〜8μL/cm2の量で塗布することが好ましい。
【実施例】
【0076】
実施例1〜16、比較例1〜21
表1、2に示す処方の化粧料(A)(化粧料(A)−1〜10、比較化粧料(A)−1〜11)、表3に示す化粧料(B)(化粧料(B)−1〜7、比較化粧料(B)−1〜5)、表4に示す処方の比較化粧料1、2を調製し、表5、6に示す使用順で皮膚に使用した。また、以下の試験方法及び基準に従って各種評価を行った。この結果を表5、6に合わせて示す。
【0077】
(製造方法)
全成分を25℃で混合し、攪拌しながら均一に溶解させ、各化粧料を得た。
【0078】
(評価方法)
(1)角層水分変化量:
評価パネラー5名(成人女性)を室温21℃湿度50%の環境下において以下の測定を行った。まず、下腕部を皮膚洗浄料(トワニー ピュアナチュラル クリームソープ、カネボウ化粧品社製)を一定量(2g)用いて十分に洗浄し、20分間馴化させた後、ラマン分光法in vivo 共焦点ラマン分光装置 Model 3510 (River Diagnostics社製)によって皮膚の深さごとの水分量を測定する。
その後、化粧料(A)を下腕部に1μL/1cm2の量で均一に塗布する。5分間後、コットン(カネボウデイリーコットン、4.5×6.5cm、カネボウ化粧品社製)に化粧料(B)を35μL/1cm2の量を含ませ、下腕部に静置する。さらに10分後、下腕部からコットンを除去する。
コットン除去後、20分間馴化させた後、ラマン分光によって、最初の測定部位と同じ測定部位の水分量の深さ分布をラマン分光法によって同様に測定した。
測定部位の角層の深さは、8,10,12,14μmであり、水分量はそれぞれの深さの測定値の平均としている。
角層水分変化量(%)は次式により、算出した。
(2回目測定時(コットン除去後)の角層水分量)−(初回測定時(洗浄後)の角層水分量)
【0079】
(2)べたつき感のなさ、きしみ感のなさ、しっとり感、刺激感:
<試験方法>
表5、6に示す化粧料の組合せを、以下の手順で評価パネラー10名(女性)に使用してもらった。
10名の評価パネラーの上腕部を、あらかじめ皮膚洗浄料(トワニー ピュアナチュラルクリームソープ、カネボウ化粧品社製)を一定量(2g)用いて洗浄した。洗浄後、各化粧料を表5、6に記載の順番で、まず「(1)」の化粧料を一定量(5mL)上腕部に塗布し、手全体で被塗布部に塗り広げ、化粧料が被塗布部になじみ、指の滑りが重くなるまで、じっくりていねいになじませる。その後、30秒おいて「(2)」の化粧料を同じ部位に一定量(5mL)塗布し、「(1)」の化粧料と同様に肌になじませた。
【0080】
<官能評価>
評価パネラー10名に対し、2番目に塗布する化粧料(比較例21は比較化粧料2)の塗布後のべたつき感のなさ、きしみ感のなさ、しっとり感の良さの各項目について、それぞれ5段階評価(評価基準1)を行い、その平均値(少数点2位四捨五入)を記載した。また、刺激感の有無については3段階評価(評価基準2)を行い、その平均値(少数点2位四捨五入)を記載した。
つまり、塗布後のべたつき感のなさ、きしみ感のなさ、しっとり感の良さについてはスコアが高い方が好ましく、刺激感の有無については低い方が好ましい。
【0081】
(評価基準1)
5点:非常に良い。
4点:やや良い。
3点:どちらとも言えない。
2点:やや悪い。
1点:非常に悪い。
【0082】
(評価基準2)
2点:刺激を感じる。
1点:やや刺激を感じる。
0点:刺激を感じない。
【0083】
(3)粘度:
各化粧料を25℃の恒温槽に保管後、B型粘度計(ビスメトロン粘度計:型式VS−A1(芝浦システム製)))を用いて、以下の測定条件にて粘度を測定した。
粘度10,000mPa・s以上:ローターNo.4、回転数12rpmで30秒。
粘度10,000mPa・s未満:ローターNo.3、回転数12rpmで30秒。
粘度 2,500mPa・s未満:ローターNo.2、回転数12rpmで30秒。
粘度 500mPa・s未満:ローターNo.1、回転数12rpmで30秒。
【0084】
【表1】
【0085】
【表2】
【0086】
【表3】
【0087】
【表4】
【0088】
【表5】
【0089】
【表6】
【0090】
以下、本発明の処方例を記す。いずれも化粧料(A)、化粧料(B)の順に皮膚に塗布及びなじませることにより、実施例と同等の効果を奏するものである。
【0091】
化粧料(A) 処方例1(プレスキンケア美容液):
(成分) 含有量(質量%)
(A−1)ジプロピレングリコール 10.0
(A−2)ポリオキシエチレンメチルポリシロキサン 0.5
(A−3)精製水 残量
(A−4)カラギーナン 1.0
(A−5)ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油(60E.O.) 0.2
(A−6)エタノール 5.0
エデト酸二ナトリウム 0.05
リン酸カリウム 0.06
リン酸二ナトリウム 0.02
フェノキシエタノール 0.3
オランダカラシエキス 0.1
エチルグルコシド 0.1
ビワ葉エキス 0.5
【0092】
化粧料(A) 処方例2(プレスキンケア美容液):
(成分) 含有量(質量%)
(A−1)ジプロピレングリコール 7.0
(A−2)ポリオキシエチレンメチルポリシロキサン 0.25
(A−3)精製水 残量
(A−4)カルボキシビニルポリマー 0.25
(A−5)ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油(60E.O.) 1.0
(A−6)エタノール 7.0
(A−7)メチルフェニルポリシロキサン 2.0
エデト酸二ナトリウム 0.03
フェノキシエタノール 0.3
キサンタンガム 0.05
グリチルリチン酸ジカリウム 0.1
サンショウエキス 0.1
センブリエキス 0.1
ヒメノボタンエキス 0.1
チンピエキス 0.2
酵母エキス 0.1
ジオウエキス 0.05
ツボクサエキス 0.2
【0093】
化粧料(B) 処方例1(ローション):
(成分) 含有量(質量%)
(B−1)ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油(60E.O.) 0.3
(B−2)グリセリン 8.0
(B−3)水 残量
(B−4)マルチトール液 1.0
(B−5)ヒドロキシプロピルメチルセルロース 0.0002
(B−6)エタノール 5.0
エデト酸二ナトリウム 0.02
リン酸カリウム 0.06
リン酸二ナトリウム 0.04
フェノキシエタノール 0.2
サンショウエキス 0.1
ジオウエキス 0.12
ローヤルゼリーエキス 0.05
ゲットウ葉エキス 0.1
スウェルチノーゲン 0.1
カルボシキメチル−β−グルカンナトリウム 0.1
ビルベリー葉エキス 0.2
ヒメノボタンエキス 0.1