特許第6730306号(P6730306)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6730306支持プレート上に取付け可能な少なくとも1つの圧縮ロールステーションを備えるロータリープレス、及び圧縮ロールステーションを着脱する方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6730306
(24)【登録日】2020年7月6日
(45)【発行日】2020年7月29日
(54)【発明の名称】支持プレート上に取付け可能な少なくとも1つの圧縮ロールステーションを備えるロータリープレス、及び圧縮ロールステーションを着脱する方法
(51)【国際特許分類】
   B30B 11/08 20060101AFI20200716BHJP
【FI】
   B30B11/08 D
【請求項の数】13
【全頁数】17
(21)【出願番号】特願2017-550564(P2017-550564)
(86)(22)【出願日】2016年3月29日
(65)【公表番号】特表2018-512282(P2018-512282A)
(43)【公表日】2018年5月17日
(86)【国際出願番号】EP2016056784
(87)【国際公開番号】WO2016156306
(87)【国際公開日】20161006
【審査請求日】2019年1月28日
(31)【優先権主張番号】15161246.2
(32)【優先日】2015年3月27日
(33)【優先権主張国】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】594163246
【氏名又は名称】コルシュ アーゲー
(74)【代理人】
【識別番号】100088904
【弁理士】
【氏名又は名称】庄司 隆
(74)【代理人】
【識別番号】100124453
【弁理士】
【氏名又は名称】資延 由利子
(74)【代理人】
【識別番号】100135208
【弁理士】
【氏名又は名称】大杉 卓也
(74)【代理人】
【識別番号】100163544
【弁理士】
【氏名又は名称】平田 緑
(72)【発明者】
【氏名】マッテス,ミヒャエル
【審査官】 石田 宏之
(56)【参考文献】
【文献】 特開平10−216992(JP,A)
【文献】 特表2012−525979(JP,A)
【文献】 実公平01−025765(JP,Y2)
【文献】 特開平10−216994(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2009/0142438(US,A1)
【文献】 米国特許出願公開第2009/0263532(US,A1)
【文献】 特開2009−285673(JP,A)
【文献】 韓国登録特許第10−1246139(KR,B1)
【文献】 実開昭63−025296(JP,U)
【文献】 特開2003−062698(JP,A)
【文献】 中国特許出願公開第102458815(CN,A)
【文献】 特開平07−232298(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2009/0035413(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B30B 11/08
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
圧縮ロールステーション(1)はロータリープレスから分離することができ、そしてカラムの様に構成されている、圧縮ロールを受けるための、少なくとも1つの圧縮ロールステーション(1)を備える、特に錠剤を製造するロータリープレスであって、
該ロータリープレスのキャリアプレート(2)は、圧縮ロールステーション(1)の保持装置(21)を受ける凹部(22)を含み、そして、少なくとも1つの分離することのできる圧縮ロールステーション(1)は、該キャリアプレート(2)の凹部(22)において、該圧縮ロールステーション(1)を固定するように設定されている保持装置(21)を含み、
ここで保持装置(21)は少なくとも部分的に圧縮ロールステーション(1)内に存在することを特徴とする、ロータリープレス。
【請求項2】
前記保持装置(21)は、係止要素(10)を備え、該係止要素(10)は、その全体が、直径の変化する環状係止ユニット(37)を形成することを特徴とする、請求項1に記載のロータリープレス。
【請求項3】
前記係止ユニット(37)は、高さが調整可能であるように設計され、前記高さを調整する機能は、前記環状係止ユニット(37)の中央に配置されている作動ロッド(13)によって実現することができることを特徴とする、請求項2に記載のロータリープレス。
【請求項4】
前記作動ロッド(13)は、該作動ロッド(13)の下側領域(13b)においてテーパーの付いた直径を有することを特徴とする、請求項3に記載のロータリープレス。
【請求項5】
前記係止ユニット(37)の前記直径は、拡張位置において最大かつ解放位置において最小であり、前記直径は、前記作動ロッド(13)によって変化させることができることを特徴とする、請求項3又は4に記載のロータリープレス。
【請求項6】
前記係止ユニット(37)の前記係止要素(10)は、前記拡張位置において、前記キャリアプレート(2)の前記凹部(22)の内壁(31)に押し付けられることを特徴とする、請求項5に記載のロータリープレス。
【請求項7】
前記解放位置における前記係止ユニット(37)の前記直径は、前記キャリアプレート(2)の前記凹部(22)の前記直径よりも小さいことを特徴とする、請求項5又は6に記載のロータリープレス。
【請求項8】
前記保持装置(21)は、ローター交換位置において、完全に前記圧縮ロールステーション(1)内にあることを特徴とする、請求項1〜7のいずれか1項に記載のロータリープレス。
【請求項9】
前記圧縮ロールステーション(1)は、前記ローター交換位置において、前記ロータリープレスの前記キャリアプレート(2)上でずらす及び旋回させることができることを特徴とする、請求項8に記載のロータリープレス。
【請求項10】
前記作動ロッド(13)の動作は、油圧式、空気圧式及び/又は機械式に行うことができることを特徴とする、請求項3〜9のいずれか1項に記載のロータリープレス。
【請求項11】
前記作動ロッド(13)の機械式動作は、電気機械式に行うことができることを特徴とする、請求項10に記載のロータリープレス。
【請求項12】
ロータリープレスの圧縮ロールステーション(1)を締結する方法であって、
a)圧縮ロールステーション(1)をロータリープレスに準備するステップであって、前記圧縮ロールステーション(1)は、係止要素(10)からなる係止ユニット(37)を備えるとともに、保持装置(21)を備え、前記係止ユニット(37)は、高さが調整可能であるように設計され、前記保持装置(21)は、最初は前記圧縮ロールステーション(1)の前記内部にある、ステップと、
b)a)に記載の前記圧縮ロールステーション(1)を、前記ロータリープレスのキャリアプレート(2)の凹部(22)と接触させるステップと、
c)前記保持装置(21)を、前記ロータリープレスの前記キャリアプレート(2)の前記凹部(22)に挿入するステップと、
d)下側領域(13b)においてテーパーの付いた直径を有する作動ロッド(13)の下方移動によって、前記圧縮ロールステーション(1)を、前記ロータリープレスの前記キャリアプレート(2)の前記凹部(22)に締結するステップと、
を含む、方法。
【請求項13】
ロータリープレスの圧縮ロールステーション(1)を解放する方法であって、
a)ロータリープレスのキャリアプレート(2)の凹部(22)に締結された圧縮ロールステーション(1)を準備するステップであって、前記締結は、係止要素(10)からなるとともに、作動ロッド(13)によって直径を調整することができる、高さ調整可能な係止ユニット(37)によって行われる、ステップと、
b)前記作動ロッド(13)の上方移動によって前記圧縮ロールステーション(1)を解放するステップであって、その結果、前記係止要素(10)の前記拡張位置が解除される、ステップと、
c)前記作動ロッド(13)の更なる上方移動によって、前記保持装置(21)が、完全に圧縮ロールステーション(1)内にあるローター交換位置になるように、前記係止ユニット(37)を上方に動かすステップと、
を含む、方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、支持プレート上に取付け可能な少なくとも1つの圧縮ロールステーションを備えるロータリープレス、及び圧縮ロールステーションを着脱する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
ロータリープレスは、複数対の杵(stamp)を保持する回転駆動されるローターを備え、各杵の対は、互いに相対的に調整することができる上杵及び下杵によって形成されることが既知である。ローターは、臼(matrix)ディスクを備え、この臼ディスクにおいて、円形リング上に規則的な間隔で臼穴が設けられ、上杵及び下杵が直接的に協働するか、又は、上杵及び下杵は、臼と称されるケーシング形状のインサートピースを備える。加工される材料、すなわち、例えば、錠剤へと圧縮される材料は、充填装置によって上記臼又は臼穴に充填される。1対の杵がローターの回転によって、こうして充填された臼又は臼穴の領域へと移動すると、2つの杵が、制御カムによって互いに向かって動かされるとともに、圧縮ロールステーションの領域に移動し、この領域において、杵が互いに押し付けられる。その結果、臼又は臼穴内の材料が圧縮され、例えば錠剤になる。プレスプロセスが完了した後、双方のプレス杵が上方に移動し、臼穴又は臼から錠剤が放出される。
【0003】
特に、いわゆる単層錠を製造するのに用いる、示されている方法手順に従うと、加圧ロールによってプレス工具にプレス力が伝達される。ここでは、特に、上杵及び下杵をプレス工具と称する。例えば、従来技術において、上記加圧ロールが互いに別個に、例えば、上方においてヘッドピースに、下方においてロータリープレスのベースの支持プレートに締結されるロータリープレスが既知である。2つの加圧ロールのこの別個の配置には、プレス手順中に生じるプレス力が、上側機械ハウジング及び下側機械ハウジングに直接伝達されるという不都合点がある。回転プレスの機械ハウジングは、例えば、下側圧縮ロールのキャリアプレートが位置する機械ベースと、上側圧縮ロールが取り付けられるヘッドピースとからなる。ヘッドピース及び機械ベースは、例えば、2つ〜4つのコーナーストラットによって互いに接続される。ヘッドピースと、コーナーストラットと、回転プレスのベースにおける支持プレートとは、加圧ロールの別個の配置では、圧力に耐えるために、非常に大型に、高い材料コストを伴って製造しなければならない。この結果、回転プレスの重量が重くなり、潜在的購入者にとっての取得コストが高くなる。
【0004】
さらに、上側圧縮ロール及び下側圧縮ロールが別個に位置決めされたロータリープレスの機械ハウジングは、本体の著しい音響振動を可聴域で空気中に放射することがわかっている。ロータリープレスのローターが比較的高速の場合、100 dBAより大きい音圧レベルがもたらされ得る。これらの不都合点は、上側圧縮ロール及び下側圧縮ロールからなる圧縮ロール対を受けるのに特に好適である圧縮ロールステーションを提供することによって克服される。従来技術の圧縮ロールステーションは、例えば、特許文献1、特許文献2及び特許文献3から既知である。
【0005】
特許文献1は、ロータリープレスの圧縮ロールユニットを開示している。ここでは、圧縮ロールユニットは、フレームを備え、フレームは、ロータリープレス上で停止させることができるとともに、2つの軸受ブロックを収容することができ、軸受ブロックは、さらに、圧縮ロールを受ける。フレームは、ガイドカラムから形成され、軸受ブロックは、ガイドカラムによってガイドされるとともに、互いに対して調整することができる上側圧縮ロール受け及び下側圧縮ロール受けに配置される。
【0006】
特許文献2は、円筒形断面を有する大型構成のガイドカラムからなる圧縮ロールユニットを備える圧縮ロールプレスを開示している。特許文献2に係る圧縮ロールプレスは、ローターを受ける大型で曲げ耐性及び捻り耐性のある特別なベースプレートと、駆動装置と、圧縮ロールユニットとを備える。ベースプレートは、ロータリープレスのベースフレームの弾性支持体によって受ける。
【0007】
特許文献1及び特許文献2に係るロータリープレスでは、円錐台形状の締結フランジが、ガイドカラムの下端部の内側に締結される。締結フランジには引張アンカー(traction anchor:タイロッド)が螺合され、引張アンカーは、ロータリー式打錠機の大型のベースプレートに設けられた長穴内で動かすことができる円錐台形状の締結フランジの下端部におけるネック取付け部を貫通する。上述の締結手段は、ベースプレートの構成要素である。引張アンカーは、ベースプレートの下で楔によって貫通される。この楔は、スピンドルによって取り外すことができる。これらの構成要素は、ベースプレートの構成物である。
【0008】
特許文献3には、保持装置によって取外し可能に支持装置に締結される、特に、少なくとも支持プレートに締結される圧縮ロールユニットを備えるロータリープレスが開示されている。支持装置は、同じタイプの複数の保持装置を含む。詳細には、特許文献3は、保持装置が支持プレートにおいて構成されていることを開示している。
【0009】
特許文献4は、ロータリープレスの種々のステーション及び複数の支持体を受けて収容する複数のプラットフォームを備えるフレームを開示している。支持体は、対になってフレームに取り付けられ、フレームは、ベースプラットフォームに締結される。支持体は、カラムのようには構成されず、圧縮ロールレセプタクルを直接含まないが、フレームのようにロータリープレスの内部構造全体を取り囲む。ベースプラットフォームは、特許文献1、特許文献2及び特許文献3の大型のベースプレートよりも小型に構成される。支持体は、保持装置である下側支持体によってベースプラットフォームに取り付けられる。下側支持体には、緩衝要素が設けられている。緩衝要素は、ベースプラットフォームと支持体との間にあるように配置される。詳細には、特許文献4では、薄いベースプラットフォームにおいて下側支持体と協働する凹部は開示されていない。
【0010】
特許文献5は、モジュール式に構成されたロータリー式打錠機を開示している。個々のモジュールは、ロータリー式打錠機内において交換及び/又は取外しすることができる。ロータリー式打錠機は、例えば、2つの充填ステーション、2つの計量ステーション及び2つの圧縮ステーションを備える。充填ステーションの充填シューは、圧縮される材料を完全に混合するための撹拌ウイングを備え、仕上がったプレスされた錠剤は、臼のプレス領域からエジェクターによって取り出される。
【0011】
従来技術から既知の圧縮ロールステーションは、例えば、ロータリープレスの回転可能なローターの部分円の外側に配置されているキャリアカラムを備える。キャリアカラムは、内部に、上側圧縮ロール及び下側圧縮ロールのためのガイド手段及び調整手段と、経路測定システム及び圧力測定システムとを含む。圧縮ロールは、ちょうどローターの部分円における加圧ロールステーションの動作位置に配置され、上側圧縮ロールは、上杵ヘッドに作用し、下側圧縮ロールは、下杵ヘッドに作用するようになっている。圧縮工具を備えるローターが回転すると、圧縮工具は、ロータリー駆動装置によって静止圧縮ロールステーションの上側圧縮ロール及び下側圧縮ロールを通して印加されるトルクによって引き寄せられる。その結果、プレス力が、圧縮ロールから杵ヘッドによって、臼内で圧縮される材料に伝達される。このようにして、固まっていない材料をプレスすることによって、固形錠剤が製造されることが好ましい。
【0012】
現在のロータリープレスは、単層錠を製造するベース構成をもとに、適切な追加のモジュールを追加することによって、二層錠、三層錠又は更にはコア被覆錠(jacket core tablets:有核錠)でもプレスすることができるようにベースプレスの改造を行うことができることが特徴である。これらの追加のモジュールは、例えば、圧縮ステーション又は事前プレスステーションとすることができる。
【0013】
さらに、臼又は臼穴内に位置する材料を圧縮することによる実際の錠剤製造の前に、プレスされる材料の空気抜きが、いわゆる事前プレスステーションにおいて行われる場合、単層錠の品質を向上させることができることがわかっている。ロータリープレスの使用者にとって、ロータリープレスの様々な動作状態における柔軟な使用を確実にするために、個々の圧縮ステーションをロータリープレス内の様々な位置に配置することができ、個々の圧縮ステーションの位置をより迅速かつ簡単に再配置及び変更することを可能にすることが望ましいことがわかっている。
【0014】
従来技術において既知の従来のロータリープレスにおいて、ロータリープレスのキャリアプレートが複数の凹部を備え、それらの凹部のそれぞれには締付け装置が設けられ、この締付け装置により、凹部によって与えられる位置に圧縮ステーションを締結することができることが通例である(例えば、特許文献1、特許文献2又は特許文献3を参照)。さらに、キャリアプレートの凹部内にあるそのような締付け装置は、ロータリープレスにおける高価な部品であることが既知である。従来技術において以前から知られている締結システムにおいて、圧縮ステーションが実際に占める位置よりも、通例、多くの締付け装置がキャリアプレートに存在することが望ましくない。したがって、締付け装置は、通例、全てが同時に用いられることがないことが不都合である。これにより、いわゆる多機能ロータリープレスは、使用される(visited)締付け位置に比べて締付け装置の数が多いことにより、不必要により高価になる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0015】
【特許文献1】独国特許第19705092号
【特許文献2】独国特許第19705094号
【特許文献3】独国特許出願公開第102009020196号
【特許文献4】欧州特許出願公開第2065176号
【特許文献5】欧州特許出願公開第2110231号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0016】
この従来技術をもとに、本発明の課題は、従来技術の欠点及び不都合点を有せず、特に、ロータリープレスのキャリアプレート上の様々な位置において動作することが容易な圧縮ロールステーションの経済的で低保守の締結を可能にする、ロータリープレス並びにロータリープレスの圧縮ロールステーションを締結及び解放する方法を提供することからなる。
【課題を解決するための手段】
【0017】
上記課題は、本発明に従って、少なくとも1つの圧縮ロールステーションを備える、特に錠剤を製造するロータリープレスであって、少なくとも1つの圧縮ロールステーションは、保持装置を備え、ロータリープレスのキャリアプレートは、圧縮ロールステーションの保持装置を受ける少なくとも1つの凹部を有する、ロータリープレスによって解決される。特に、使用される圧縮ステーションと同じ数だけの保持装置を、ロータリープレスの動作に利用可能にする必要があるように、保持装置を備える圧縮ロールステーションを提供することができることは全く驚くべきことであった。これは、保持装置が圧縮ロールステーションの構成要素であり、圧縮ロールステーションに統合されている点で有利に達成される。
【0018】
本発明に関して、「圧縮ロールカラム」又は「圧縮ロールステーション」という概念は、ロータリー式打錠機の領域のうち、特に、通常は粉末状の材料を圧縮して固形ペレット、例えば錠剤にすることが行われる作用領域における、種々のタイプのステーションの1つを示している。圧縮ロールステーションは、カラムのように構成されるか又はガイド形状部を有することが好ましい。使用されるカラム又はガイド形状部は、2つの圧縮ロールを受けることができることが好ましい。ペレットを製造するためのプレス力は、圧縮ロールによって、プレス工具、ひいては圧縮される材料に伝達されることが好ましい。ここでは、特に、上杵及び下杵をプレス工具と称する。
【0019】
圧縮ロールステーションは、ロータリープレスのキャリアプレート上に配置されていることが好ましい。キャリアプレートの構成要素である保持装置によってキャリアプレート上に締結される圧縮ロールステーションは、従来技術から既知である。本発明によって、圧縮ロールステーションの良好な安定性及び特に信頼性のある動作を確実にする圧縮ロールカラムであって、本発明の圧縮ロールステーションにおいて、キャリアプレートに締結するための保持装置が圧縮ロールステーションの構成要素であり、キャリアプレート内にはない、圧縮ロールカラムが提供されることは全く驚くべきことであった。
【0020】
本発明に係る保持装置は、圧縮ロールステーションをロータリープレスのキャリアプレートの凹部内に固定する締付け装置であることが好ましい。保持装置の少なくとも個々の構成要素又は保持装置全体は、圧縮ロールステーション内の仮想中心軸に沿った垂直方向に動かすことができることが好ましい。結果として、本発明に関して、保持装置又はその構成要素の高低移動又は上下移動が行われることが好ましい。結果として、保持装置が、例えば、完全又は部分的に圧縮ロールステーション内に存在することができることが可能になることが有利である。保持装置が完全に圧縮ロールステーション内にある場合、圧縮ロールカラムは、下方が同一平面上に閉鎖され、それにより、いずれの構成要素も外方に突出しないことが好ましい。これにより、ロータリープレスのキャリアプレート上で、圧縮ロールステーションをずらす又は動かすことが可能になることが有利である。
【0021】
さらに、保持装置が、製造位置において、キャリアプレートの凹部内に少なくとも部分的に配置されていることが好ましい。本発明に関して、製造位置とは、好ましくは、例えば錠剤を製造するためにロータリープレスが動作する際に、圧縮ロールステーションがとる位置である。保持装置は、ローター交換位置において、完全に圧縮ロールステーション内にあることが好ましい。圧縮ロールステーションのこのような位置は、ロータリープレスのローター交換が行われる場合に圧縮ロールがとるローター交換位置として示される。このためには、圧縮ロールステーションをキャリアプレート上で動かす及び/又はずらすことができる必要がある。これは、本発明の保持装置が完全に圧縮ロールステーション内にあり、それにより、有利には、保持装置のいずれの構成要素も圧縮ロールステーションから突出しない点において有利に達成される。
【0022】
本発明は、圧縮ロールステーションをロータリープレスのキャリアプレートに締結するための保持装置が圧縮ロールステーションの構成要素であるロータリープレスを提供することにより、従来技術において通例であったものとは異なる。なぜなら、当業界では、これまで、保持装置がキャリアプレートの構成要素である必要があることをもとにしていたためである。キャリアプレートに面する下側領域に自由な空間を多く有する圧縮ロールステーションを提供することができ、保持装置を、好ましくは圧縮ロールステーションの下側領域内に完全に収容することができることは全く驚くべきことであった。
【0023】
さらに、キャリアプレートの凹部が、圧縮ロールステーションの保持装置の直径に対応する直径を有する開口及び/又はボアによって形成されることが好ましい。特に、上記凹部は、圧縮ロールステーションの保持装置を受けるのに好適である。圧縮ロールステーションのための従来技術において既知の締結機構において、締結手段、例えば締付け装置は、通例(as a rule)、ロータリープレスのキャリアプレート内の凹部内にある。このことは、ロータリープレスのキャリアプレートに設けられているこれらの締付け装置が、自身の媒体供給ラインを構成及び/又は要求するには高価であるため、特に不都合である。
【0024】
圧縮ロールステーション内に設けられている場合の締付け装置の媒体供給は、驚くべきことに圧縮ロールステーションの既に存在する接続によって行うことができることがわかった。
【0025】
本発明の別の好ましい実施形態において、保持装置は、係止要素を備え、この係止要素は、その全体が、直径の変化する環状係止ユニットを形成する。係止要素は、好ましくは2つ〜20の係止ユニットを備えることが好ましい。この数の選択は、任意選択したものではなく、以前の試験結果により、好ましくは2つ〜20の係止要素を備える係止ユニットが、驚くべきことに製造が特に簡単であり、予期していなかったキャリアプレート上での圧縮ロールステーションの締結の安定性に寄与することが示されたことに応じたものである。
【0026】
係止要素は、周囲ばねを含むことが好ましい。締付け状態では、周囲ばねにより、係止ユニットの係止要素に内向きの力が及ぼされることが好ましい。「内方」という方向は、本発明に関して、好ましくは、係止要素が圧縮ロールステーションの中心軸の方向に押されることを意味する。この中心軸は、例えば図4に示されている。したがって、係止要素は、保持装置の内部の周りに延在するとともに圧縮ピンを囲む溝に押し込まれ、この圧縮ピンによって、作動ロッドの動きが係止要素に伝達されることが有利である。このように、作動ロッドの動きが係止要素に伝達されることと、周囲ばねの力が係止要素に及ぼされることとにより、係止ユニットの直径を変化させることができる結果になることが有利である。本発明に係る係止ユニットの直径を変化させられることは、驚くべきことに、圧縮ロールステーションの保持装置がキャリアプレートの凹部と特に安定して協働することを可能にし、その結果、革新的なタイプの締結がもたらされるだけでなく、従来の締結機構に比べて驚くほど高い負荷に耐える締結ももたらされる。
【0027】
個々の係止要素は、直径の変化する作動ロッドの上下移動を係止要素に伝達する圧力ピンによって外方に動くことができ、それにより、係止ユニットの直径が、例えば拡大することが特に好ましい。さらに、係止ユニットの個々の係止要素が、拡張状態において、ロータリープレスのキャリアプレートの凹部内にある突出部と協働することが好ましい。これらの突出部は、係止要素の拡張状態において圧縮ロールステーションの確実な締結を可能にするように設計されることが好ましい。本発明に関して、これらの突出部は、クランプカラー又はクランプフランジと称されることが好ましい。上述の概念は、同義語的に用いられる。
【0028】
キャリアプレートの凹部は、圧縮ロールステーションに面する上側領域において、そのような突出部を含むことが好ましい。この突出部は、凹部の直径が低減された領域をなすことが好ましい。この領域は、本発明に関して、好ましくは、狭小位置と称することもできる。驚くべきことに、非締付け状態において狭小位置の直径よりも小さい直径を有する、直径の変化する係止ユニットを提供することができる。その結果、保持装置は、キャリアプレートの凹部内に簡単な複雑でない方法で挿入することができる。さらに、保持装置を凹部に挿入した後、係止要素の直径は、作動ロッドが係止要素と協働することで増大することができ、保持装置をもはや、例えば、キャリアプレートの凹部を上方に引き抜くことによって取り外すことができないようになることは驚くべきことであった。
【0029】
詳細には、キャリアプレートの凹部の内壁における個々の係止要素の安定した締付けは、係止要素の直径の好ましい拡大によって確実になり、その結果、複数の空間方向に作用する、キャリアプレートの凹部内での圧縮ロールステーションの特に安定した固定が達成される。
【0030】
本発明の別の好ましい実施形態において、係止ユニットは、高さが調整可能であるように設計され、高さを調整する機能は、環状係止ユニットの中央又は中心に配置されている作動ロッドによって実現することができる。本発明に関して、「高さが調製可能」というのは、係止ユニットが特に垂直方向に可動に設計され、上下に動くことができることを意味する。「下方」という空間方向は、本発明に関して、好ましくは、圧縮ロールステーションがロータリープレスのキャリアプレート上に通例どおりに配置されている場合、圧縮ロールステーションの視点から、ロータリープレスのキャリアプレートの方向における係止ユニットの動きを指す。このような動きは、好ましくは、本発明に関して、係止ユニット又は作動ロッドの「下方移動」と称される。保持装置の下方移動によって、係止ユニットがキャリアプレートの凹部内に移動することが特に好ましい。
【0031】
「上方」という空間方向は、本発明に関して、圧縮ロールステーションの内部空間への保持装置の上方移動、すなわち、好ましくは圧縮ロールステーションに属する圧縮ロールの方向における移動を指すことが好ましい。これは、保持装置がキャリアプレートの凹部にある場合に特に当てはまる。係止ユニットの動き、すなわち、高さを調整する機能は、作動ロッドによって達成されることが好ましい。空間方向に関する上述の記載は、圧縮ロールステーションを基準にすることが好ましい。キャリアプレートの視点からの「上方」という空間方向は、圧縮ロールステーション及び/又はロータリープレスの方向における動きによって特徴付けられることが好ましい。したがって、キャリアプレートの上側は、ロータリープレス及び圧縮ロールステーションに面することが好ましい。
【0032】
作動ロッドは、圧縮ロールステーションの中央又は中心に配置されることが好ましい。「中央」というのは、本発明に関して、作動シャフトが、圧縮ロールステーションの中心軸に対して実質的に軸対称に配置されていることを意味する。「実質的に」という概念は、圧縮ロールステーションが通常矩形又は円形のベース表面を有することが当業者には既知であるため、当業者にとって曖昧ではない。対称軸は、そのような基本形状の中央に規定することができる。
【0033】
本発明の別の好ましい実施形態において、作動ロッドは、作動ロッドの底端部に向かってテーパーの付いた直径を有する。作動ロッドは、上側領域及び下側領域を有し、上側領域は、特に、圧縮ロールステーションの内径に対応する円形のベース表面を有することが好ましい。好ましくは作動ロッドを受ける役割を果たし、好ましくは作動ロッドの直径に対応する直径を有する圧縮ロールステーションの内側領域は、好ましくは油圧シリンダーによって形成されることが好ましい。この油圧シリンダーは、内側ピストン及び外側ピストンからなる2部分ピストンを備えることが好ましい。作動ロッドの動きは、少なくともこの油圧接続部によって実現されることが好ましい。
【0034】
さらに、作動ロッドが、まずテーパー領域からなる下側領域からなり、作動ロッドの下端部において一定半径の領域に合一することが好ましい。下側領域のこの一定半径は、上側領域における作動ロッドの直径よりも小さい。作動ロッドの設計及び形状は、詳細には、本発明を示す図面から得られる。
【0035】
本発明の別の実施形態において、係止ユニットの直径は、第1の位置において最大かつ第2の位置において最小であり、係止ユニットの直径は、作動ロッドによって変化させることができる。図2に見て取ることができるように、係止ユニットの係止要素は、作動ロッドによって外方に押される。これは、作動ロッドの最大直径を有する領域である作動ロッドの領域が、係止要素に接触する場合に起こることが好ましい。作動ロッドは、圧力ピンと協働し、圧力ピンは、係止ユニットの係止要素を外方に押すことが好ましい。例えば、キャリアプレートの凹部内において、特に、突出部又はクランプカラーの下の凹部の下側領域においてこれが起こると、クランプ及び/又は締付けの意味での効果的な締結が確実になる。この位置は、好ましくは、本発明に関して、係止ユニットの第1の位置又は拡張位置と称される。
【0036】
いわゆる「係止解除」状態は、好ましくは、空気圧ピストンの上方移動によって、作動ロッドも垂直方向上方に押され、その結果、係止要素の係止解除が達成されることを特徴とすることが好ましい。係止要素が、係止解除状態において、キャリアプレートの凹部の突出部へと係合する場合も好ましい。係止解除状態は、例えば図3に示されている。
【0037】
係止要素は、好ましくは作動ロッドを徐々に上昇させることによって解放されることが好ましい。例えば、第1の位置では、係止要素が、例えばキャリアプレートの凹部の内壁に及ぼす圧力が低減されることが意図される。この位置では、圧縮ロールステーションは、自軸周りに回転することができることが有利である。圧縮ロールステーションが凹部からずれる又は外れることは、例えば、係止ユニットがキャリアプレートの凹部内のクランプカラーの下に位置し続けることで効果的に防止することができる。結果として、キャリアプレート上での圧縮ロールステーションの位置の望ましくないずれ又は望ましくない変化が、驚くべきことに完全に排除される。
【0038】
本発明に関して、第2の位置は、作動ロッドの上方移動の後、作動ロッドの上側領域と比べて直径が低減した領域である作動ロッドの領域が、係止要素と作動ロッドとの間に配置されている圧力ピンの高さ位置にあるときに呈することが好ましい。この第2の位置では、作動ロッドと係止要素の圧力ピンとの間に直接的な接触はもたらされず、それにより、係止要素は、凹部の内壁に押し付けられなくなることが好ましい。この位置では、係止要素は解放され、周囲ばねのばね力によって、最小直径を有する位置に押し込まれることが特に好ましい。この位置は、好ましくは、本発明に関して、係止ユニットの第2の位置又は「解放」位置と称される。試験により、この位置における圧縮ロールステーションは、本発明の保持装置を、驚くほど簡単な方法で、望ましくない機械的接触を伴わずに、キャリアプレートの凹部から移動させることができることが示された。このことは、解放状態の係止ユニットが、突出部によって形成される狭小位置の直径に特に対応する最小直径を有することから、有利に可能である。最小直径を有する係止ユニットのこの状態は、好ましくは解放状態と称され、図4に示されている。
【0039】
本発明の別の実施形態において、係止ユニットの係止要素は、第1の位置において、キャリアプレートの凹部の内壁に押し付けられる。凹部の内壁は、真っ直ぐな壁によって形成されることが好ましい。係止要素の第1の位置又は拡張位置において、圧縮ロールステーションの締結は、係止要素が凹部の内壁に及ぼす拡張圧力によって行われることが好ましい。しかし、凹部の内壁には、例えば突出部が設けられることも好ましいとすることができる。この突出部の領域における凹部の内径は、凹部の残りの領域におけるよりも小さく、この突出部は、好ましくは、本発明に関して、クランプカラー又はクランプフランジとも称される。凹部内に突出部を設けることにより、凹部内に圧縮ロールステーションを効果的に締結することが可能になることは全く驚くべきことであった。
【0040】
本発明の別の好ましい実施形態において、第2の位置における係止ユニットの直径は、キャリアプレートの凹部の直径よりも小さい。係止要素は、周囲ばねが及ぼすばね力に基づいて、拡張位置(第1の位置)から離脱することが好ましい。結果として、係止ユニットの直径は、有利に低減され、係止要素は、凹部の内壁とは接触しなくなる。
【0041】
本発明の別の好ましい実施形態において、保持装置は、完全に圧縮ロールステーション内にある。この位置は、本発明に関して、「ローター交換位置」として表現されることが好ましい。保持装置は、圧縮ロールステーションの下側閉鎖部を越えて突出しないことが好ましく、その結果、圧縮ロールステーションをずらす及び旋回させることができることが確実になることが有利である。係止ユニットを備える保持装置は、小型に設計することができるため、圧縮ロールステーションによって完全に収容することができ、下側領域において圧縮ロールステーションと同一平面上で閉鎖することは全く驚くべきことであった。これは、保持装置の構成要素が、保持装置を受ける圧縮ロールステーションと協働及び嵌合することによって有利に達成され、それにより、保持装置を、圧縮ロールステーション内の利用可能な限られたスペースに導入することができるようになる。
【0042】
本発明の別の好ましい実施形態において、作動ロッドの動作は、油圧式、空気圧式、機械式及び/又は電気機械式に行われる。油圧による動きは、例えば、油圧シリンダーによって伝達することができ、油圧シリンダーは、本発明に関して、液体によって動作する作動シリンダーであることが好ましい。油圧シリンダーにおいて、油圧貯蔵部又は油圧ポンプから供給される油圧液体によるエネルギーは、直線的に作用する容易に制御可能な力へと変換されることが好ましい。
【0043】
空気圧シリンダーは、本発明に関して、好ましくは、作動ロッドを空気圧により動かすのに用いられる圧縮空気によって動作する作動シリンダーであることが好ましい。電気シリンダーは、本発明に関して、プッシュチューブを直線的に出入りさせることができる電気モーターによって動作される調整ユニットであることが好ましい。電気シリンダーの駆動は、好ましくは伝達機構に連結された電気モーターによって行われることが好ましい。プッシュチューブの出入りは、モーターの右回転又は左回転によって行われることが好ましい。電気シリンダーには、プッシュチューブをガイド及び安定化させる直立チューブを設けることができることも好ましい。電気シリンダーは、引力及び/又は圧力に適していることが好ましい。
【0044】
上述のタイプのシリンダーを用いる場合、驚くほどコンパクトな方法で構成要素を組み合わせることができることが有利である。さらに、上述のシリンダーは、驚くほど省スペースな様式で、圧縮ロールステーションの全体構成に統合することができる。
【0045】
本発明に関して、保持装置の可動構成要素の動きは、第1の油圧接続部及び第2の油圧接続部並びに空気圧接続部によって実現されることが好ましい。空気圧接続部は、ロータリープレスのキャリアプレートに配置されることが好ましい。係止ユニットの直径は、作動ロッドが空気圧接続部によって上方移動し、係止要素が拡張位置にもはや保持されない場合、有利に低減されることが好ましい。さらに、保持装置は、シリンダー底部及びシリンダーカバーを備える油圧シリンダーを備えることが好ましい。油圧シリンダーのシリンダー底部は、保持装置の上側閉鎖部を形成し、この閉鎖部は、圧縮ロールステーションに面し、シリンダーカバーは、キャリアプレートに面する側において圧縮ロールステーションの下方を閉鎖する。
【0046】
さらに、保持装置は、内側ピストン及び外側ピストンからなる2部分ピストンを備え、内側ピストンは、係止要素を備え、係止要素は、直径の変化する円形係止ユニット全体を形成することが好ましい。保持装置の内側ピストンと外側ピストンと作動ロッドとは、可動に構成され、保持装置の可動構成要素の動きは、第1の油圧接続部及び第2の油圧接続部並びに空気圧接続部によって生じることが更に好ましい。シリンダー底部は、作動ロッドのためのガイドを備えることが更に好ましい。
【0047】
さらに、好ましい一実施形態において、保持装置は、内側ピストンと外側ピストンとの間に配置され、及ぼされるばね圧力によって、係止ユニットの直径の低減を驚くべき方法で可能である少なくとも1つの圧力ばねを備えることが意図される。結果として、圧縮ロールステーション内に保持装置を完全に受けることが有利に可能になる。保持装置は、板ばねを備え、その結果、係止要素とキャリアプレートの凹部の内壁との確実でない(non-positive:形状係合でない、摩擦係合による)接続が達成されることが更に好ましい。
【0048】
別の態様において、本発明は、ロータリープレスの圧縮ロールステーションを締結する方法であって、
a)圧縮ロールステーションをロータリープレスに準備するステップであって、圧縮ロールステーションは、係止要素からなる係止ユニットを備えるとともに、直径の変化する保持装置を備え、係止ユニットは、高さが調整可能であるように設計され、保持装置は、最初は圧縮ロールステーションの内部にある、ステップと、
b)a)に記載の圧縮ロールステーションを、ロータリープレスのキャリアプレートの凹部と接触させるステップと、
c)保持装置を、ロータリープレスのキャリアプレートの凹部に挿入するステップと、
d)下側領域においてテーパーの付いた直径を有する作動ロッドの下方移動によって、圧縮ロールステーションを、ロータリープレスのキャリアプレートの凹部に締結するステップと、
を含む、方法に関する。
【0049】
この方法の終了後、係止ユニットの係止要素は、拡張位置にあり、係止要素は、凹部の内壁に押し付けられる。
【0050】
別の態様において、本発明は、ロータリープレスの圧縮ロールステーションを解放する方法であって、
a)ロータリープレスのキャリアプレートの凹部に締結された圧縮ロールステーションを準備するステップであって、締結は、係止要素からなるとともに、作動ロッドによって直径を調整することができる、高さ調整可能な係止ユニットによって行われる、ステップと、
b)作動ロッドの上方移動によって圧縮ロールステーションを解放するステップであって、その結果、係止要素の拡張位置が解除される、ステップと、
c)作動ロッドの更なる上方移動によって、保持装置が、完全に圧縮ロールステーション内にあるローター交換位置になるように、係止ユニットを上方に動かすステップと、
を含む、方法に関する。
【0051】
本発明は、好ましい例示的な実施形態及び以下の図面を用いて詳細に記載される。詳細には、図1図6は、保持装置を備える圧縮ロールステーションを伴うロータリープレスを示し、作動ロッドの動き及び係止ユニットの動作は、圧縮ロールステーションの下側領域における2部分油圧シリンダーによって及びキャリアプレートの凹部にある空気圧シリンダーによって生じる。
【図面の簡単な説明】
【0052】
図1】本発明に係る保持装置を備える圧縮ロールステーションの好ましい一実施形態の側面図である。
図2】本発明に係る保持装置の好ましい一実施形態の拡大側面図である。
図3】係止要素の拡張位置を解除する第1のステップを示す、本発明に係る保持装置の好ましい一実施形態の側面図である。
図4】解除状態における、本発明に係る保持装置の好ましい一実施形態の図である。
図5】ローター交換位置における、本発明に係る保持装置の好ましい一実施形態の図である。
図6】静止位置における、キャリアプレート内の空気圧シリンダーの好ましい一実施形態の側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0053】
図1は、上側加圧ロール25及び下側加圧ロール26を備えるロータリープレスの構成要素としての圧縮ロールステーション1の側面図を示している。上側加圧ロール25及び下側加圧ロール26により、例えば錠剤を製造するために、プレス力がプレス工具に伝達される。さらに、図1は、圧縮ロールステーション1が上に配置される、ロータリープレスのキャリアプレート2を示している。圧縮ロールステーション1のキャリアプレート2への締結は、保持装置21によって行われる。保持装置21の構造及び機能は、他の図において示されている。さらに、図1は、ロータリープレスの圧縮ロールステーション1の内部の中央位置における中心軸35を示している。
【0054】
図2は、ロータリープレスのキャリアプレート2の上に配置されている、本発明に係る保持装置21の拡大側面図を示している。詳細には、図2は、係止要素10の第1の位置を示している。第1の位置は、好ましくは拡張位置とも称される。係止要素10は、ロータリープレスのキャリアプレート2内のピストンボア22内にクランプの様式で存在する。このピストンボア22は、本発明に関して、好ましくは凹部とも称される。係止要素10は、まとめて係止ユニット37を形成する。2部分油圧シリンダー3の内側ピストン8は、皿ばね束7によって上方に押され、その結果、係止要素10は、キャリアプレート2の凹部22内にあるクランプカラー24又は突出部の下側ショルダー部に押し付けられる。皿ばね束7の力は、作動ロッド13によって圧力ピン12に伝達され、圧力ピン12は、係止ユニット37の係止要素10と協働することが好ましい。作動ロッド13は、上側領域13a及び下側領域13bを有し、上側領域13aの直径は、圧縮ロールステーション1の内側領域の直径に対応する。特に、上側領域13aの直径は、作動ロッド13の下側領域13bの直径よりも大きい。作動ロッド13の下側領域13bは、上側領域13aを始点とするテーパー領域と、一定の直径を有する最下領域とによって形成される。図2では、圧力ピン12は、作動ロッド13の上側領域13aと接触している。圧力ピン12は、結果として外方に押され、係止ユニット37の係止要素10がキャリアプレート2の凹部22の内壁31に押し付けられる。図2に示されている本発明の例示的な実施形態では、作動ロッド13の動きは、ピストンボア22の底部領域にある空気圧ピストン16によって生じる。空気圧ピストン16は、空気圧接続部19を有し、空気圧シリンダー14及び圧縮空気チャンバー23によって包囲されている。空気圧接続部19が開いているとき、この圧縮空気チャンバー23には、圧縮空気を充填することができる。空気圧ピストン16は、締結手段によってキャリアプレート2の底部に取り付けられ、さらに、圧縮空気チャンバー23を密封して閉鎖するシールスリーブ15を備える。
【0055】
図2が示すように、作動ロッド13の下側領域13bと空気圧ピストン16の上側領域との間は接触している。この構成では、キャリアプレート2の凹部22内において、保持装置21の下側閉鎖部32と空気圧ピストン16の上側領域との間に自由空間30が存在することも明白に見て取ることができる。図2に示されている空気圧ピストン16の位置では、空気圧接続部19に圧縮空気は負荷されない。
【0056】
係止要素10には、係止要素10にばね力を及ぼす環状周囲ばね11が設けられる。このばね力は、特に内方に、すなわち、例えば、圧縮ロールステーション1内の中央に配置された作動ロッド13の方向に向けられている。ばね力は、係止要素10を内方に動かす結果となり、その結果、圧力ピン12が作動ロッド13によって外方に押されない場合、係止ユニット37の直径は低減する。図2は、特に、拡張位置における最大直径を有する係止ユニット37を示している。詳細には、この最大直径は、クランプカラー24の内径よりも大きい。クランプカラー24は、突出部又はクランプフランジとも称され、キャリアプレート2の凹部22の上側領域を形成する。
【0057】
保持装置21の上側閉鎖部は、シリンダー底部5によって形成される。保持装置21の上側領域は、可動に設計されておらず、圧縮ロールステーション1の下側領域にある。保持装置21の上側領域は、異なる油圧ピストン8、9と協働する油圧接続部17、18を備える。これらの2つの油圧ピストン8、9は、2部分油圧シリンダー3の内側ピストン8及び外側ピストン9を形成する。圧力ばね6は、油圧ピストン8、9間の遷移領域に配置されている。油圧ピストン8、9は、油圧接続部17及び18によって動かすことができる。油圧シリンダー3は、圧縮ロールステーション1の下側閉鎖部としてシリンダーカバー4を備え、保持装置の上側閉鎖部としてシリンダー底部5を備える。シール20は、油圧シリンダー3内の様々な動作領域を互いに対して閉鎖する。
【0058】
図3は、本発明の保持装置21の側面図、特に、ロータリープレスのキャリアプレート2の凹部22内における圧縮ロールステーション1の締結を確実にするのに用いる係止要素10の拡張位置を解除する第1のステップを示している。拡張位置を解除するために、圧縮空気接続部19には圧縮空気が負荷され、その結果、空気圧ピストン16は、上方に、すなわち、圧縮ロールステーション1の方向に動く。空気圧ピストン16のこの上方移動の結果、作動ロッド13は、保持装置21の内側ピストン8に押し込まれる。空気圧シリンダーの頂部33は、ここでは保持装置21の底部32と接触する。空気圧シリンダー16の上方移動と、これによりもたらされる油圧シリンダー3の内側ピストン8内への作動ロッド13の変位の結果、保持装置の上側領域の自由空間26が低減する。作動ロッド13の上方移動の結果、作動ロッド13の下側領域13bは、ここで、圧力ピン12の高さ位置にくる。この下側領域13bは、作動ロッド13の上側領域13aよりも小さい直径を有し、その結果、ここでは、圧力ピン12と作動ロッド13との間は接触しなくなる。したがって、圧力ピン12は、ここでは動きが自由であるが、周囲ばね11はまだ、係止要素10を内方に押すことによって係止ユニット37の直径を低減することはできない。なぜなら、係止要素10がまだ皿ばね束7によってクランプカラー24にしっかりと押し付けられているためである。皿ばね束7は、ここでは、係止ユニット37を圧縮ロールステーション1の底部に対して引っ張り、また、係止要素10をクランプカラー24に対して引っ張る。
【0059】
図4は、いわゆる解除状態における、本発明の保持装置21の好ましい一実施形態の側面図を示している。係止要素10を解除するために、チャンバー25には、外側ピストン9を作動するように、油圧接続部18を介して油圧が負荷される。この油圧の結果、皿ばね束7は、外側ピストン9によって下方に押される。皿ばね束7のこの圧迫状態は、「ブロック状態(on block:隙間のない状態)」と称される。皿ばね束7の圧縮により、外側ピストン9の上方には自由空間34が生じる。内側ピストン8は、油圧接続部18によってチャンバー25に油圧を負荷するのと並行して油圧が与えられるため、外側ピストン9の動きに追従し、その結果、空気圧ピストン16は、空気圧が油圧よりも小さくなることから、同時に同量だけ押し下がる。内側ピストン8が僅かに下方に動く結果として、係止ユニット37の係止要素10はクランプカラー24から解放される。したがって、係止要素10は、締められた環状周囲ばね11によって溝27へと内方に引っ張ることができる。圧縮ロールカラム1の保持装置21は、ここではもはや締め付けられておらず、すなわち、もはや拡張位置にはなく、解除位置にある。圧縮ロールステーション1は、この解除位置では、例えば、自軸35周りに回転することができるが、保持装置21の部品が依然としてロータリープレスのキャリアプレート2の凹部22内にあるため、手動で側方にずらすことはできない。凹部及び/又はピストンボア22内に位置する保持装置21のこれらの構成要素により、圧縮ロールステーション1を手動でずらす力に逆らう。
【0060】
図5は、保持装置21のローター交換位置における、本発明に係る保持装置21の好ましい一実施形態の側面図を示している。これは、保持装置21の全ての構成要素が、ここでは圧縮ロールステーション1内に位置し、その結果、圧縮ロールステーション1をキャリアプレート2から分離することが可能になることを特徴とする。このために、まず、油圧接続部18の油圧を止める。同時に、空気圧接続部19の空気圧を上げる。この場合、空気圧ピストン16が上方に動き、その結果、油圧シリンダー3の内側ピストン8が、圧力ばね6の補助によって、油圧シリンダー3に完全に押し込まれる。ピストンボア22内における空気圧ピストン16の最高位置には、シール20であるOリングを伴うオフセット部が存在する。このオフセット部は、クランプカラー24内の最高位置に移動し、それにより、キャリアプレート2の頂部の開口を確実に閉鎖する。保持装置21は、この静止位置ではエネルギーを使用しない。キャリアプレート2における空気圧ピストン16には、ピストン16が下降せずに、Oリングのシール機能を保ったままであるように、僅かな空気圧が負荷されるままにすることができる。
【0061】
図6は、静止位置におけるキャリアプレート2の空気圧シリンダー16を示している。空気圧接続部19には、空気圧ピストン16が下降せず、それにより、Oリング36のシール機能を保ったままになるように、僅かな過圧が負荷される。圧縮ロールステーション1の締結は、実際的に、上述したものとは逆順で行われる。圧縮ロールステーション1が、キャリアプレート2の凹部22上のクランプ位置の上に正確に配置された後、油圧接続部18は、圧力負荷される。結果として、内側ピストン8は、圧力ばね6の圧力に抗して下降し、空気圧ピストン16は、内側ピストン8が外側ピストン9上の停止部に着座するまで平行に押し下げられる。その後、ばね束7が圧縮されるように油圧が上げられる。その場合、自由空間34が生じ、内側ピストン8は、キャリアプレート2のボア22にいくらかより深く入ることができる。次いで、更なる油圧接続部17に油圧が負荷され、その結果、作動ロッド13は、シリンダー底部5の停止部に至るまで下方に動く。作動ロッド13の上側領域13aと下側領域13bとの間の遷移領域において作動ロッド13がテーパー状であるため、作動ロッド13は、下方移動の間、係止動作37が最大直径に達し、係止要素10が凹部22の内壁31に当接するまで、圧力ピン12及び圧力ピン12に接続している係止要素10を外方に押す。ここで、油圧接続部17、18の油圧が止められる。その結果、皿ばね束7は弛緩し、内側ピストン8によってクランプカラー24のショルダー部に対して係止要素10を引っ張る。これにより、キャリアプレート2の凹部22内への圧縮ロールステーション1の安定した締結が達成される。
【符号の説明】
【0062】
1 圧縮ロールステーション
2 キャリアプレート
3 油圧シリンダー
4 シリンダー蓋
5 シリンダー底部
6 圧力ばね
7 皿ばね束
8 内側ピストン
9 外側ピストン
10 係止要素
11 環状周囲ばね
12 圧力ピン
13 作動ロッド
13a 作動ロッドの上側領域
13b 作動ロッドの下側領域
14 空気圧シリンダー
15 シールスリーブ
16 空気圧ピストン
17 油圧接続部P1
18 油圧接続部P2
19 空気圧接続部P3
20 シール
21 保持装置
22 ピストンボアすなわち凹部
23 圧縮空気チャンバー
24 クランプカラー
25 外側ピストン9の油圧チャンバー
26 外側ピストン9又は作動ロッド13の油圧チャンバー
27 溝
28 上側圧縮ロール
29 下側圧縮ロール
30 保持装置21及び空気圧ピストン16の間の凹部22内の自由空間
31 凹部22の内壁
32 保持装置21の下側閉鎖部
33 空気圧ピストン16の頂部
34 皿ばね束7の圧縮により生じる自由空間
35 保持装置21の中心軸
36 Oリング
37 係止ユニット
図1
図2
図3
図4
図5
図6