特許第6730365号(P6730365)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6730365
(24)【登録日】2020年7月6日
(45)【発行日】2020年7月29日
(54)【発明の名称】軸送り装置
(51)【国際特許分類】
   G06F 3/0488 20130101AFI20200716BHJP
   G06F 3/0484 20130101ALI20200716BHJP
   G05B 19/409 20060101ALI20200716BHJP
   B23Q 5/22 20060101ALI20200716BHJP
【FI】
   G06F3/0488
   G06F3/0484 170
   G05B19/409 C
   B23Q5/22 530H
【請求項の数】11
【全頁数】16
(21)【出願番号】特願2018-78281(P2018-78281)
(22)【出願日】2018年4月16日
(65)【公開番号】特開2019-185587(P2019-185587A)
(43)【公開日】2019年10月24日
【審査請求日】2019年9月11日
(73)【特許権者】
【識別番号】390008235
【氏名又は名称】ファナック株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100106002
【弁理士】
【氏名又は名称】正林 真之
(74)【代理人】
【識別番号】100165157
【弁理士】
【氏名又は名称】芝 哲央
(74)【代理人】
【識別番号】100160794
【弁理士】
【氏名又は名称】星野 寛明
(72)【発明者】
【氏名】田上 恒大
【審査官】 佐伯 憲太郎
(56)【参考文献】
【文献】 特開平11−003109(JP,A)
【文献】 特開2014−081789(JP,A)
【文献】 特開2017−111516(JP,A)
【文献】 特開2018−013981(JP,A)
【文献】 特開平11−338600(JP,A)
【文献】 特開2017−084384(JP,A)
【文献】 特開2013−164769(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06F 3/048−3/0489
B23Q 5/22
G05B 19/409
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
産業用機械の軸を移動させるための軸送り装置であって、
タッチパネルを有する表示器と、
前記タッチパネルでの左右方向のスワイプ操作を検知する操作検知部と、
前記表示器に前記軸に係る座標値を表示させ、前記操作検知部により検出される前記スワイプ操作に基づいて表示された前記座標値を変更する表示制御部と、
表示された前記座標値に基づいて、前記軸を前記座標値の示す位置へ移動させる軸移動部と、
を備え、
前記表示制御部は、
前記操作検知部により、前記座標値として表示された数値のうち、いずれかの桁がタッチされた後に前記タッチパネルの右方向へのスワイプ操作が検知された場合、前記タッチが検知された桁を含まない下位の数値を切り捨てる、軸送り装置。
【請求項2】
産業用機械の軸を移動させるための軸送り装置であって、
タッチパネルを有する表示器と、
前記タッチパネルでの左右方向のスワイプ操作を検知する操作検知部と、
前記表示器に前記軸に係る座標値を表示させ、前記操作検知部により検出される前記スワイプ操作に基づいて表示された前記座標値を変更する表示制御部と、
表示された前記座標値に基づいて、前記軸を前記座標値の示す位置へ移動させる軸移動部と、
を備え、
前記表示制御部は、
前記操作検知部により、前記座標値として表示された数値のうち、最後尾の桁以下の右枠外がタッチされた後に前記タッチパネルの左方向へのスワイプ操作が検知された場合、前記左方向へのスワイプ操作の終了した箇所に位置する桁を含まない下位の数値を切り捨てる、軸送り装置。
【請求項3】
産業用機械の軸を移動させるための軸送り装置であって、
タッチパネルを有する表示器と、
前記タッチパネルでの左右方向のスワイプ操作を検知する操作検知部と、
前記表示器に前記軸に係る座標値を表示させ、前記操作検知部により検出される前記スワイプ操作に基づいて表示された前記座標値を変更する表示制御部と、
表示された前記座標値に基づいて、前記軸を前記座標値の示す位置へ移動させる軸移動部と、
を備え、
前記表示制御部は、
前記操作検知部により、前記座標値として表示された数値のうち、いずれかの桁がタッチされた後に前記タッチパネルの上方向へのスワイプ操作が検知された後、続けて右方向へのスワイプ操作が検知された場合、前記タッチが検知された桁の数値をインクリメント又はディクリメントしてから、前記タッチがされた桁を含まない下位の数値を切り捨てる、軸送り装置。
【請求項4】
産業用機械の軸を移動させるための軸送り装置であって、
タッチパネルを有する表示器と、
前記タッチパネルでの左右方向のスワイプ操作を検知する操作検知部と、
前記表示器に前記軸に係る座標値を表示させ、前記操作検知部により検出される前記スワイプ操作に基づいて表示された前記座標値を変更する表示制御部と、
表示された前記座標値に基づいて、前記軸を前記座標値の示す位置へ移動させる軸移動部と、
を備え、
前記表示制御部は、
前記操作検知部により、前記座標値として表示された数値のうち、いずれかの桁がタッチされた後に前記タッチパネルの下方向へのスワイプ操作が検知された後、続けて右方向へのスワイプ操作が検知された場合、前記タッチが検知された桁の数値をディクリメント又はインクリメントしてから、前記タッチがされた桁を含まない下位の数値を切り捨てる、軸送り装置。
【請求項5】
産業用機械の軸を移動させるための軸送り装置であって、
タッチパネルを有する表示器と、
前記タッチパネルでの左右方向のスワイプ操作を検知する操作検知部と、
前記表示器に前記軸に係る座標値を表示させ、前記操作検知部により検出される前記スワイプ操作に基づいて表示された前記座標値を変更する表示制御部と、
表示された前記座標値に基づいて、前記軸を前記座標値の示す位置へ移動させる軸移動部と、
を備え、
前記表示制御部は、
前記操作検知部により、前記座標値として表示された数値のうち、最後尾の桁以下の右枠外がタッチされた後に前記タッチパネルの左方向へのスワイプ操作が検知された後、続けて上方向へのスワイプ操作が検知された場合、左方向のスワイプが終了した桁を含まない下位の桁の数値を切り捨てした後、上方向にスワイプした桁の数値をインクリメント又はディクリメントする、軸送り装置。
【請求項6】
産業用機械の軸を移動させるための軸送り装置であって、
タッチパネルを有する表示器と、
前記タッチパネルでの左右方向のスワイプ操作を検知する操作検知部と、
前記表示器に前記軸に係る座標値を表示させ、前記操作検知部により検出される前記スワイプ操作に基づいて表示された前記座標値を変更する表示制御部と、
表示された前記座標値に基づいて、前記軸を前記座標値の示す位置へ移動させる軸移動部と、
を備え、
前記表示制御部は、
前記操作検知部により、前記座標値として表示された数値のうち、最後尾の桁以下の右枠外がタッチされた後に前記タッチパネルの左方向へのスワイプ操作が検知された後、続けて下方向へのスワイプ操作が検知された場合、左方向のスワイプが終了した桁を含まない下位の桁の数値を切り捨てした後、下方向にスワイプした桁の数値をディクリメント又はインクリメントする、軸送り装置。
【請求項7】
前記座標値は、絶対座標値、相対座標値、機械座標値のうちいずれかである、請求項1〜のいずれか1項に記載の軸送り装置。
【請求項8】
前記軸移動部は、
前記操作検知部により、前記タッチパネルへのタッチがなくなったことが検知されたことをトリガとして、前記軸を移動させる、請求項1〜のいずれか1項に記載の軸送り装置。
【請求項9】
前記軸移動部は、
前記操作検知部により、前記タッチパネルに表示される実行ボタンへのタッチが検知されたことをトリガとして、前記軸を移動させる、請求項1〜のいずれか1項に記載の軸送り装置。
【請求項10】
前記表示制御部は、
前記操作検知部により、前記座標値として表示された数値のうち、最後尾の桁以下の右枠外がタッチされた後に、先頭の桁以前の左枠外まで左方向へのスワイプ操作が検知された場合に、表示された座標値を前記産業用機械における座標系内の特定の基準点に対応する座標値に変更する、請求項1〜のいずれか1項に記載の軸送り装置。
【請求項11】
前記表示制御部は、
前記操作検知部により、前記座標値として表示された数値のうち、先頭の桁以前の左枠外がタッチされた後に、最後尾の桁以下の右枠外まで右方向のスワイプ操作が検知された場合に、表示された座標値を前記産業用機械における座標系内の特定の基準点に対応する座標値に変更する、請求項1〜10のいずれか1項に記載の軸送り装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、軸送り装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、工作機械やロボットを含む産業用機械の軸を移動させるため、軸送り装置が用いられている。軸送り装置において軸移動量を設定する際、例えば、手動ハンドル送り、ジョグ送り、インクレメンタル送り、手動ハンドル割込み、手動数値指令といった手段を用いて軸移動量を設定する。
【0003】
とりわけ、手動ハンドル送りにおいては、軸移動量を設定するため手動パルス発生器を用いるが、手動パルス発生器の移動量は、設定値の桁毎に複数のパターンが設定でき、低い桁から、例えば“x1”、“x10”、“x100”、“x1000”の倍率で個別に設定するのが一般的である。
【0004】
この点、特許文献1は、手動操作用の入力操作部が表示されるタッチパネルが設けられると共に、この入力操作部には複数のタッチスイッチ表示が配列され、複数のタッチスイッチ表示を連続的に指でなぞることにより、制御対象機械のサーボ機構に移動指令としてのパルス列が与えられる機械制御機器を開示している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2000−305614号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかし、特許文献1で開示される技術においては、タッチパネル上で複数のタッチスイッチ表示を連続的に指でなぞる際、指が滑ることにより、目標としたタッチスイッチを通り過ぎてタッチしてしまった場合に、制御対象機械のサーボ機構に正確な移動指令が与えられないという問題があった。
【0007】
本発明は、タッチパネル上での軸移動量の設定の操作を可能とすると共に、軸移動量の数値を正確に設定できる軸送り装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
(1) 本発明の軸送り装置(例えば、後述の「軸送り装置1」)は、産業用機械の軸を移動させるための軸送り装置であって、タッチパネルを有する表示器(例えば、後述の「表示器11」)と、前記タッチパネルでの左右方向のスワイプ操作を検知する操作検知部(例えば、後述の「操作検知部121」)と、前記表示器に前記軸に係る座標値を表示させ、前記操作検知部により検出される前記スワイプ操作に基づいて表示された前記座標値を変更する表示制御部(例えば、後述の「表示制御部122」)と、表示された前記座標値に基づいて、前記軸を前記座標値の示す位置へ移動させる軸移動部(例えば、後述の「軸移動部123」)と、を備える。
【0009】
(2) (1)の軸送り装置において、前記表示制御部は、前記操作検知部により、前記座標値として表示された数値のうち、いずれかの桁がタッチされた後に前記タッチパネルの右方向へのスワイプ操作が検知された場合、前記タッチが検知された桁を含まない下位の数値を切り捨ててもよい。
【0010】
(3) (1)の軸送り装置において、前記表示制御部は、前記操作検知部により、前記座標値として表示された数値のうち、最後尾の桁以下の右枠外がタッチされた後に前記タッチパネルの左方向へのスワイプ操作が検知された場合、前記左方向へのスワイプ操作の終了した箇所に位置する桁を含まない下位の数値を切り捨ててもよい。
【0011】
(4) (1)〜(3)の軸送り装置において、前記表示制御部は、前記操作検知部により、前記座標値として表示された数値のうち、いずれかの桁がタッチされた後に前記タッチパネルの上方向へのスワイプ操作が検知された後、続けて右方向へのスワイプ操作が検知された場合、前記タッチが検知された桁の数値をインクリメント又はディクリメントしてから、前記タッチがされた桁を含まない下位の数値を切り捨ててもよい。
【0012】
(5) (1)〜(4)の軸送り装置において、前記表示制御部は、前記操作検知部により、前記座標値として表示された数値のうち、いずれかの桁がタッチされた後に前記タッチパネルの下方向へのスワイプ操作が検知された後、続けて右方向へのスワイプ操作が検知された場合、前記タッチが検知された桁の数値をディクリメント又はインクリメントしてから、前記タッチがされた桁を含まない下位の数値を切り捨ててもよい。
【0013】
(6) (1)〜(5)の軸送り装置において、前記表示制御部は、前記操作検知部により、前記座標値として表示された数値のうち、最後尾の桁以下の右枠外がタッチされた後に前記タッチパネルの左方向へのスワイプ操作が検知された後、続けて上方向へのスワイプ操作が検知された場合、左方向のスワイプが終了した桁を含まない下位の桁の数値を切り捨てした後、上方向にスワイプした桁の数値をインクリメント又はディクリメントしてもよい。
【0014】
(7) (1)〜(6)の軸送り装置において、前記表示制御部は、前記操作検知部により、前記座標値として表示された数値のうち、最後尾の桁以下の右枠外がタッチされた後に前記タッチパネルの左方向へのスワイプ操作が検知された後、続けて下方向へのスワイプ操作が検知された場合、左方向のスワイプが終了した桁を含まない下位の桁の数値を切り捨てした後、下方向にスワイプした桁の数値をディクリメント又はインクリメントしてもよい。
【0015】
(8) (1)〜(7)の軸送り装置において、前記座標値は、絶対座標値、相対座標値、機械座標値のうちいずれかであってよい。
【0016】
(9) (1)〜(8)の軸送り装置において、前記軸移動部は、前記操作検知部により、前記タッチパネルへのタッチがなくなったことが検知されたことをトリガとして、前記軸を移動させてもよい。
【0017】
(10) (1)〜(8)の軸送り装置において、前記軸移動部は、前記操作検知部により、前記タッチパネルに表示される実行ボタンへのタッチが検知されたことをトリガとして、前記軸を移動させてもよい。
【0018】
(11) (1)〜(10)の軸送り装置において、前記表示制御部は、前記操作検知部により、前記座標値として表示された数値のうち、最後尾の桁以下の右枠外がタッチされた後に、先頭の桁以前の左枠外まで左方向へのスワイプ操作が検知された場合に、表示された座標値を前記産業用機械における座標系内の特定の基準点に対応する座標値に変更してもよい。
【0019】
(12) (1)〜(11)の軸送り装置において、前記表示制御部は、前記操作検知部により、前記座標値として表示された数値のうち、先頭の桁以前の左枠外がタッチされた後に、最後尾の桁以下の右枠外まで右方向のスワイプ操作が検知された場合に、表示された座標値を前記産業用機械における座標系内の特定の基準点に対応する座標値に変更してもよい。
【0020】
(13) 本発明の軸送り装置は、産業用機械の軸を移動させるための軸送り装置であって、タッチパネルを有する表示器と、前記タッチパネルでの左右方向のスワイプ操作を検知する操作検知部と、前記表示器に前記産業用機械における、工具オフセット量、ワーク座標系の属性値、パラメータのうち1つ以上を含む設定値を表示させ、前記操作検知部により検出される前記スワイプ操作に応じて表示された前記設定値を変更する表示制御部と、表示された前記設定値に基づいて、前記産業用機械の設定を変更する設定変更部(例えば、後述の「設定変更部124」)と、を備える。
【発明の効果】
【0021】
本発明によれば、タッチパネル上での軸移動量の設定の操作を可能とすると共に、軸移動量の数値を正確に設定できる軸送り装置を提供することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
図1】本発明の実施形態に係る軸送り装置の全体構成を示す図である。
図2】本発明の実施形態に係る軸送り装置の表示器によって表示される、設定画面の例を示す図である。
図3】本発明の実施形態に係る軸送り装置によって位置決めされる工具とワークの関係の例を示す図である。
図4A】本発明の実施形態に係る軸送り装置の表示器における、表示された設定値の変更方法の例を示す図である。
図4B】本発明の実施形態に係る軸送り装置の表示器における、表示された設定値の変更方法の例を示す図である。
図5A】本発明の実施形態に係る軸送り装置の表示器における、表示された設定値の変更方法の例を示す図である。
図5B】本発明の実施形態に係る軸送り装置の表示器における、表示された設定値の変更方法の例を示す図である。
図6A】本発明の実施形態に係る軸送り装置の表示器における、表示された設定値の変更方法の例を示す図である。
図6B】本発明の実施形態に係る軸送り装置の表示器における、表示された設定値の変更方法の例を示す図である。
図6C】本発明の実施形態に係る軸送り装置の表示器における、表示された設定値の変更方法の例を示す図である。
図6D】本発明の実施形態に係る軸送り装置の表示器における、表示された設定値の変更方法の例を示す図である。
図7】本発明の実施形態に係る軸送り装置の表示器における、表示された設定値の変更方法の例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下、本発明の実施形態について、図1図7を参照しながら説明する。
〔1.発明の構成〕
図1は、軸送り装置1の全体構成を示す。軸送り装置1は、表示器11、制御部12、及び記憶部13を備える。
【0024】
軸送り装置1は、産業用ロボットや工作機械を含む産業用機械が有する軸を移動させるための装置である。ここで、工作機械としては、例えば、旋盤、フライス盤、放電加工機、研削盤、マシニングセンタ、レーザー加工機等が挙げられる。
軸送り装置1は、手動ハンドル送り、ジョグ送り、インクレメンタル送り、手動ハンドル割り込み等の手法により、産業用機械が有する軸を移動させる。
【0025】
表示器11は、軸送り装置1の制御対象となる産業用機械の軸の位置を示す、絶対座標値、相対座標値、機械座標値等の座標値を表示するための装置である。更に、表示器11は、手動ハンドル送り、ジョグ送り、手動ハンドル割り込みにおける移動量積算値や、工具オフセット、ワーク座標系の属性値、各種パラメータ等の設定値を表示してもよい。
表示器11はタッチパネルを有し、オペレータはこのタッチパネル上に指をタッチし、滑らせる(スワイプする)ことにより、表示器11に表示されている各座標値及び設定値を変更することが可能である。
【0026】
図2は、表示器11に表示される設定画面の例を示す。設定画面の左上には、軸の移動先位置の絶対座標値として、X軸の座標値、Y軸の座標値、Z軸の座標値が表示される。また、絶対座標値の表示欄の右隣りには、移動先位置の機械座標値として、X軸の座標値、Y軸の座標値、Z軸の座標値が表示される。
後述のように、オペレータは、これらの座標値として表示されている数値上で指をスワイプ操作することにより、座標値の表示を変更することが可能であり、軸送り装置1は、表示された座標値に基づいて、制御対象の軸を座標値の示す位置へ移動させる。
なお、図2に示す設定画面の例においては、左下にモーダル情報が表示される。
【0027】
制御部12は、軸送り装置1の全体を制御する部分であり、各種プログラムを、ROM、RAM、フラッシュメモリ又はハードディスク(HDD)等の記憶領域からバスを介して適宜読み出して実行することにより、本実施形態における各種機能を実現している。制御部12は、CPUであってよい。制御部12は、操作検知部121、表示制御部122、軸移動部123、設定変更部124を備える。
【0028】
また、制御部12は、上記の構成要素以外にも、軸送り装置1の全体を制御するための機能ブロック、通信を行うための機能ブロックといった一般的な機能ブロックを備える。ただし、これらの一般的な機能ブロックについては当業者によく知られているので図示及び説明を省略する。
制御部12は、ROMに格納されたシステムプログラムを、バスを介して読み出し、このシステムプログラムに従って軸送り装置1の全体を制御し、通信を行う。制御部12は、ROMに格納されたシステムプログラムを予めRAM上に展開しておき、RAMからシステムプログラムを読み込んで実行してもよい。
【0029】
操作検知部121は、表示器11が有するタッチパネル上でのオペレータの操作を検知する。より具体的には、操作検知部121は、マトリクス・スイッチ、抵抗膜方式、表面弾性波方式、赤外線方式、静電容量方式等の周知の方法により、タッチパネル上でのオペレータの指によるタッチの動き、とりわけ、表示器11に表示された座標値上での左右方向のスワイプ操作を検知する。なお、オペレータは、指の代わりに電子ペンを用いて、表示器11に表示された座標値上でスワイプ操作をしてもよい。
【0030】
表示制御部122は、表示器11に、産業用機械の軸移動に用いるための座標値であって、例えば、産業用機械の軸の位置を示す、絶対座標値、相対座標値、機械座標値等の座標値を表示させる。また、表示制御部122は、表示器11に、例えば、手動ハンドル送り、ジョグ送り、手動ハンドル割り込みにおける移動量積算値や、その他の設定値として、工具オフセット量、ワーク座標系の属性値、各種パラメータ等の設定値を表示させてもよい。
更に、表示制御部122は、操作検知部121によって検知された操作に応じて、表示している各座標値及び設定値を変更する。具体的な操作の例と、各操作によって表示されている座標値及び設定値がどのように変更されるかについては、後述する。
【0031】
軸移動部123は、表示制御部122によって表示器11に表示された座標値に基づいて、制御対象となる産業用機械の軸を、座標値の示す位置へ移動させる。より具体的には、軸移動部123は、表示器11に表示された座標値に基づいた移動指令を産業用機械に出力する。産業用機械に移動指令が入力されると、移動指令に基づいてサーボモータが駆動されることにより、産業用機械の軸は移動する。
【0032】
図3は、産業用機械における工具21の、ワーク22に対する移動位置の1つの例を示す。図3に示す例では、工具21の先端を含む水平面において、直交するX軸とY軸が設定され、XY平面に対して鉛直方向上方にZ軸が設定される。表示器11に表示される画面が、例えば図2に示す画面であった場合、軸移動部123によって、工具21の先端は、図3において、例えば現在位置から、絶対座標値が(X,Y,Z)=(1532.335,−1554.398,2531.402)のA点まで移動させられる。
【0033】
後述のように、オペレータは、表示器11のタッチパネル上に表示される座標値上でスワイプ操作をすることにより、表示されている座標値を変更した場合、軸移動部123は、変更した座標値に基づいて、産業用機械の軸を変更後の座標値の示す位置へ移動させる。また、オペレータは、表示器11のタッチパネル上に表示される、手動ハンドル送り、ジョグ送り、手動ハンドル割り込みにおける移動量積算値上でスワイプ操作をすることにより、表示されている移動量積算値を変更した場合、軸移動部123は、変更した移動量積算値に基づいて、産業用機械の軸を移動させる。
なお、上記のように、移動の際に軸移動部123から産業用機械に移動指令が出力されるが、オペレータがタッチパネル上でスワイプ操作する際、タッチパネルから指が離れたことをトリガとして、軸移動部123は移動指令を出力してもよい。あるいは、タッチパネル上に「実行」ボタンを表示させ、オペレータのスワイプ操作により座標値が変更された後、オペレータが「実行」ボタンにタッチしたことをトリガとして、軸移動部123は移動指令を出力してもよい。
【0034】
設定変更部124は、図示しないが、表示器11のタッチパネル上に表示される工具オフセット量、ワーク座標系の属性値、各種パラメータ等の設定値に基づいて、産業用機械の設定を変更する。これらの設定値の表示も、オペレータによるタッチパネル上でのスワイプ操作によって変更することが可能である。
【0035】
記憶部13は、表示器11に表示されている座標値や設定値を記憶する。
【0036】
〔2.数値の変更方法〕
以下、表示器11に表示されている座標値や設定値に対するスワイプ操作と、当該スワイプ操作によってどのように座標値や設定値が変更されるのかについて、図4A図6Dを参照しながら説明する。
【0037】
図4Aは、オペレータによって、座標値や設定値として表示された数値のうち、いずれかの桁がタッチされた後に、タッチパネルの上方向へのスワイプ操作がされた場合の、数値の変化の例を示す。オペレータによる上方向へのスワイプ操作に伴って、タッチされた桁の数値はインクリメントされる。なお、上方向へのスワイプ操作量が大きいほど、インクリメントされる数値の幅も大きくなる。
【0038】
図4Bは、オペレータによって、座標値や設定値として表示された数値のうち、いずれかの桁がタッチされた後に、タッチパネルの下方向へのスワイプ操作がされた場合の、数値の変化の例を示す。オペレータによる下方向へのスワイプ操作に伴って、タッチされた桁の数値はディクリメントされる。なお、下方向へのスワイプ操作量が大きいほど、ディクリメントされる数値の幅も大きくなる。
【0039】
図5Aは、オペレータによって、座標値や設定値として表示された数値のうち、いずれかの桁がタッチされた後に、タッチパネルの右方向へのスワイプ操作がされた場合の、数値の変化の例を示す。オペレータによる右方向へのスワイプ操作に伴って、タッチが検知された桁を含まない下位の数値は切り捨てられる。
更に、図5Bは、オペレータによって、座標値や設定値として表示された数値のうち、最後尾の桁以下の右枠外がタッチされた後にタッチパネルの左方向へのスワイプ操作がされた場合の、数値の変化の例を示す。オペレータによる左方向へのスワイプ操作に伴って、左方向へのスワイプ操作の終了した箇所に位置する桁を含まない下位の数値は切り捨てられる。
【0040】
図6A図6Dは、図4A及び図4Bに示される上下方向のスワイプ操作と、図5A及び図5Bに示される左右方向のスワイプ操作を組み合わせた複合的なスワイプ操作と、当該複合的なスワイプ操作による、座標値や設定値の表示の変更例を示す。
【0041】
図6Aは、オペレータによって、座標値や設定値として表示された数値のうち、いずれかの桁がタッチされた後に、タッチパネルの上方向へのスワイプ操作がされた後、続けて右方向へのスワイプがされた場合の、数値の変化の例を示す。
オペレータによる上方向へのスワイプ操作(操作1)に伴って、タッチされた桁の数値がインクリメントされる。なお、スワイプ操作の操作量が大きいほど、インクリメントされる数値の幅も大きくなる。
次に、上方向へのスワイプ操作に連続する右方向へのスワイプ操作(操作2)に伴って、タッチが検知された桁を含まない下位の数値は切り捨てられる。
図6Aの操作によって、例えば、タッチが検知された桁を含まない下位の数値を切り上げることが可能となる。
【0042】
図6Bは、オペレータによって、座標値や設定値として表示された数値のうち、いずれかの桁がタッチされた後に、タッチパネルの下方向へのスワイプ操作がされた後、続けて右方向へのスワイプがされた場合の、数値の変化の例を示す。
オペレータによる下方向へのスワイプ操作(操作1)に伴って、タッチされた桁の数値がディクリメントされる。なお、スワイプ操作の操作量が大きいほど、ディクリメントされる数値の幅も大きくなる。
次に、下方向へのスワイプ操作に連続する右方向へのスワイプ操作(操作2)に伴って、タッチが検知された桁を含まない下位の数値は切り捨てられる。
図6Aの操作と図6Bの操作とを使い分けることにより、例えば、タッチが検知された桁を含まない下位の数値を四捨五入することが可能となる。
【0043】
図6Cは、オペレータによって、座標値や設定値として表示された数値のうち、最後尾の桁以下の右枠外がタッチされた後にタッチパネルの左方向へのスワイプ操作がされた後、続けて上方向へのスワイプ操作がされた場合の、数値の変化の例を示す。
オペレータによる左方向へのスワイプ操作(操作1)に伴って、左方向のスワイプが終了した桁を含まない下位の桁の数値が切り捨てられる。
次に、左方向へのスワイプ操作に連続する上方向へのスワイプ操作(操作2)に伴って、左方向のスワイプが終了した桁の数値はインクリメントされる。なお、スワイプ操作の操作量が大きいほど、インクリメントされる数値の幅も大きくなる。
図6Cの操作によって、例えば、左方向のスワイプが終了した桁を含まない下位の数値を切り上げることが可能となる。
【0044】
図6Dは、オペレータによって、座標値や設定値として表示された数値のうち、最後尾の桁以下の右枠外がタッチされた後にタッチパネルの左方向へのスワイプ操作がされた後、続けて下方向へのスワイプ操作がされた場合の、数値の変化の例を示す。
オペレータによる左方向へのスワイプ操作(操作1)に伴って、左方向のスワイプが終了した桁を含まない下位の桁の数値が切り捨てられる。
次に、左方向へのスワイプ操作に連続する下方向へのスワイプ操作(操作2)に伴って、左方向のスワイプが終了した桁の数値はディクリメントされる。なお、スワイプ操作の操作量が大きいほど、ディクリメントされる数値の幅も大きくなる。
図6Cの操作と図6Dの操作とを使い分けることにより、例えば、左方向のスワイプが終了した桁を含まない下位の数値を四捨五入することが可能となる。
【0045】
上記図4A図6Dに示される数値の変更方法は、適宜組み合わせて実現することが可能である。
【0046】
〔3 実施形態が奏する効果〕
本実施形態に係る軸送り装置1においては、オペレータによって、表示器のタッチパネルにおいて主として左右方向のスワイプ操作がされることにより、タッチパネルに表示された座標値が変更され、この座標値に基づいて産業用機械の軸を座標値の示す位置へ移動する。
これにより、タッチパネル上での軸移動量の設定の操作が可能となると共に、軸移動量の数値を正確に設定できる。
【0047】
また、表示器に表示される座標値を変更する際は、オペレータが、主として左右方向のスワイプ操作を実行することにより、複数の桁の数値をまとめて、切り捨てる。
例えば、一般的な手動送りハンドルを使用して、産業用機械の軸を区切りのよい位置に移動したい場合、複数の桁を0に合わせるために、手動ハンドルの倍率変更と回転を複数回繰り返す必要があり、多くの手数が掛かる。
本発明の技術により、桁毎に数値を設定する必要のある通常の軸送り装置に比較して、少ない手数で簡便に座標値や設定値を変更することが可能となる。
【0048】
また、本実施形態に係る軸送り装置1においては、オペレータによって、表示器のタッチパネルにおいて主として左右方向のスワイプ操作がされることにより、タッチパネルに表示された設定値が変更され、この設定値に基づいて産業用機械の設定を変更する。
これにより、タッチパネル上での産業用機械の設定の操作が可能となると共に、各種設定値を正確に設定できる。
【0049】
〔4 変形例〕
〔4.1 変形例1〕
上記の実施形態においては、座標値として表示された数値のうち、いずれかの桁がタッチされた後に、タッチパネルにおける右方向へのスワイプ操作がされた場合、タッチが検知された桁を含まない下位の数値が切り捨てられる。また、最後尾の桁以下の右枠外がタッチされた後に、左方向へのスワイプ操作がされた場合、左方向へのスワイプ操作の終了した箇所に位置する桁を含まない下位の数値が切り捨てられるが、これには限定されない。
例えば、表示制御部122は、操作検知部121によってタッチが検知された桁を含む下位の数値や、左方向へのスワイプ操作の終了した箇所に位置する桁を含む下位の数値を切り捨てるようにしてもよい。
この場合、表示制御部122によって、右方向へのスワイプ操作がされた場合におけるタッチが検知された桁を含まない下位の数値や、左方向へのスワイプ操作がされた場合における左方向へのスワイプ操作の終了した箇所に位置する桁を含まない下位の数値を切り捨てるのか、あるいは、それらの桁を含む下位の数値を切り捨てるのかを設定できる設定手段を、軸送り装置1に備えることが好ましい。
なお、この場合、表示制御部122によって、右方向へのスワイプ操作がされた場合におけるタッチが検知された桁を含まない下位の数値や、左方向へのスワイプ操作がされた場合における左方向へのスワイプ操作の終了した箇所に位置する桁を含まない下位の数値を切り捨てる方式をデフォルトとすることが好ましい。
【0050】
〔4.2 変形例2〕
上記の実施形態においては、オペレータによって、最後尾の桁以下の右枠外がタッチされた後に、左方向のスワイプがされることによって、左方向へのスワイプ操作の終了した箇所に位置する桁を含まない下位の数値が切り捨てられるが、これには限定されない。
例えば、オペレータが、座標値として表示された数値のうち、いずれかの桁がタッチされた後に、タッチパネルにおける右方向へのスワイプ操作をしたのみで、表示制御部122は、切り捨ての代わりに、切り上げや、四捨五入を実行するようにしてもよい。同様に、オペレータが、座標値として表示された数値のうち、最後尾の桁以下の右枠外がタッチされた後に、左方向へのスワイプ操作をしたのみで、表示制御部122は、切り捨ての代わりに、切り上げや、四捨五入をするようにしてもよい。この場合、オペレータが左右方向のスワイプ操作をした際、表示制御部122によって、切り捨て、切り上げ、又は四捨五入のいずれが実行されるのかを設定できる設定手段を、軸送り装置1に備えることが好ましい。なお、この場合、表示制御部122によって、左右方向のスワイプ操作をした際、表示制御部122によって、切り捨てる方式をデフォルトとすることが好ましい。
また、上記の実施形態と同様に、これらの変更方法は適宜組み合わせて実行することが可能である。
【0051】
〔4.3 変形例3〕
上記の実施形態においては、オペレータによって、タッチパネルの上方向へのスワイプ操作がされた場合、タッチされた桁の数値がインクリメントされ、タッチパネルの下方向へのスワイプ操作がされた場合、タッチされた桁の数値がディクリメントされるとしたが、これには限定されない。
例えば、オペレータによって、タッチパネルの上方向へのスワイプ操作がされた場合、タッチされた桁の数値がディクリメントされ、タッチパネルの下方向へのスワイプ操作がされた場合、タッチされた桁の数値がインクリメントされてもよい。
【0052】
また、上記の実施形態においては、オペレータによって、座標値や設定値として表示された数値のうち、いずれかの桁がタッチされた後に、タッチパネルの上方向へのスワイプ操作がされた後、続けて右方向へのスワイプがされた場合、タッチされた桁の数値がインクリメントされた後、タッチが検知された桁を含まない下位の数値が切り捨てられるとしたが、これには限定されない。
例えば、オペレータによって、座標値や設定値として表示された数値のうち、いずれかの桁がタッチされた後に、タッチパネルの上方向へのスワイプ操作がされた後、続けて右方向へのスワイプがされた場合、タッチされた桁の数値がディクリメントされた後、タッチが検知された桁を含まない下位の数値が切り捨てられてもよい。
【0053】
また、上記の実施形態においては、オペレータによって、座標値や設定値として表示された数値のうち、いずれかの桁がタッチされた後に、タッチパネルの下方向へのスワイプ操作がされた後、続けて右方向へのスワイプがされた場合、タッチされた桁の数値がディクリメントされた後、タッチが検知された桁を含まない下位の数値が切り捨てられるとしたが、これには限定されない。
例えば、オペレータによって、座標値や設定値として表示された数値のうち、いずれかの桁がタッチされた後に、タッチパネルの下方向へのスワイプ操作がされた後、続けて右方向へのスワイプがされた場合、タッチされた桁の数値がインクリメントされた後、タッチが検知された桁を含まない下位の数値が切り捨てられてもよい。
【0054】
また、上記の実施形態においては、オペレータによって、座標値や設定値として表示された数値のうち、最後尾の桁以下の右枠外がタッチされた後にタッチパネルの左方向へのスワイプ操作がされた後、続けて上方向へのスワイプ操作がされた場合、左方向のスワイプが終了した桁を含まない下位の桁の数値が切り捨てられた後、左方向のスワイプが終了した桁の数値はインクリメントされるとしたが、これには限定されない。
例えば、オペレータによって、座標値や設定値として表示された数値のうち、最後尾の桁以下の右枠外がタッチされた後にタッチパネルの左方向へのスワイプ操作がされた後、続けて上方向へのスワイプ操作がされた場合、左方向のスワイプが終了した桁を含まない下位の桁の数値が切り捨てられた後、左方向のスワイプが終了した桁の数値はディクリメントされてもよい。
【0055】
また、上記の実施形態においては、オペレータによって、座標値や設定値として表示された数値のうち、最後尾の桁以下の右枠外がタッチされた後にタッチパネルの左方向へのスワイプ操作がされた後、続けて下方向へのスワイプ操作がされた場合、左方向のスワイプが終了した桁を含まない下位の桁の数値が切り捨てられた後、左方向のスワイプが終了した桁の数値はディクリメントされるとしたが、これには限定されない。
例えば、オペレータによって、座標値や設定値として表示された数値のうち、最後尾の桁以下の右枠外がタッチされた後にタッチパネルの左方向へのスワイプ操作がされた後、続けて下方向へのスワイプ操作がされた場合、左方向のスワイプが終了した桁を含まない下位の桁の数値が切り捨てられた後、左方向のスワイプが終了した桁の数値はインクリメントされてもよい。
【0056】
〔4.4 変形例4〕
上記の実施形態においては、オペレータによって、座標値や設定値として表示された数値のうち、最後尾の桁以下の右枠外がタッチされた後にタッチパネルの左方向へのスワイプ操作がされた場合、左方向へのスワイプ操作の終了した箇所に位置する桁を含まない下位の数値は切り捨てられるが、これには限定されない。
例えば、オペレータによって、座標値や設定値として表示された数値のうち、最後尾の桁以下の右枠外がタッチされた後にタッチパネルの左方向へのスワイプ操作がされた場合、座標値や設定値として表示された数値を変更しない構成としてもよい。これは、例えば、オペレータが誤ってタッチパネルにタッチした後、タッチした指が、座標値や設定値として表示された数値までスライドしてしまった場合に、誤操作に基づいて数値が変更されることを防ぐものである。
【0057】
〔4.5 変形例5〕
上記の実施形態においては、記憶部13が、表示器11に表示されている座標値や設定値を記憶するが、表示制御部122は、記憶部13によって記憶された座標値や設定値を用いて、表示器11に表示されている座標値や設定値を元に戻してもよい。
例えば、オペレータが、表示器11に表示されている座標値や設定値に対してスワイプ操作をしたことにより、座標値や設定値を変更した後、表示器11に表示されている「操作取り消し」ボタン(不図示)をクリックした場合、表示制御部122は、記憶部13に記憶されている座標値や設定値を用いて、表示器11に表示されている変更後の座標値や設定値を、変更前の座標値や設定値に戻すことが可能となる。
【0058】
〔4.6 変形例6〕
上記の実施形態においては、オペレータがタッチパネル上でスワイプ操作する際、タッチパネルから指が離れたこと、又は、オペレータが「実行」ボタンにタッチしたことをトリガとして、軸移動部123は移動指令を出力するが、この場合、移動指令の出力前に、表示器11に表示される座標値や設定値のチェック機能を実行することが好ましい。
例えば、制御部12は警報部(不図示)を備え、表示器11に表示された座標値が、予め設定された軸の可動範囲外にある場合、タッチパネルからオペレータの指が離れたこと、又はオペレータが「実行」ボタンにタッチしたことをトリガとして、軸移動部123が移動指令を出力するのではなく、警報部が表示器11に対してエラーメッセージを表示することが好ましい。この場合、オペレータがエラーメッセージを確認後、表示器11に表示された座標値を軸の可動範囲内に変更し、再度タッチパネルからオペレータの指が離れたこと、又はオペレータが「実行」ボタンにタッチしたことをトリガとして、軸移動部123は初めて移動指令を出力する。
【0059】
〔4.7 変形例7〕
あるいは、制御部12はシミュレーション部(不図示)を備え、タッチパネルに表示された「シミュレーション」ボタン(不図示)にオペレータがタッチしたことをトリガとして、シミュレーション部が表示器11に対して、軸移動のシミュレーション結果を表示することが好ましい。この場合、オペレータはシミュレーション結果を確認し、問題がないようであれば「実行」ボタンにタッチする。オペレータが「実行」ボタンにタッチしたことをトリガとして、軸移動部123は初めて移動指令を出力する。
【0060】
〔4.8 変形例8〕
操作検知部121により、表示器11に表示された数値のうち、図7に示すように、最後尾の桁以下の右枠外がタッチされた後に、先頭の桁以前の左枠外まで左方向のスワイプ操作が検知された場合(操作A)、又は、先頭の桁以前の左枠外がタッチされた後に、最後尾の桁以下の右枠外まで右方向のスワイプ操作が検知された場合(操作B)に、表示器11に表示された座標値を、産業用機械における座標系内の特定の基準点に対応する座標値に変更してもよい。
【0061】
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は前述した実施形態に限るものではない。また、本実施形態に記載された効果は、本発明から生じる最も好適な効果を列挙したに過ぎず、本発明による効果は、本実施形態に記載されたものに限定されるものではない。
【符号の説明】
【0062】
1 軸送り装置
11 表示器
12 制御部
13 記憶部
121 操作検知部
122 表示制御部
123 軸移動部
124 設定変更部
図1
図2
図3
図4A
図4B
図5A
図5B
図6A
図6B
図6C
図6D
図7