特許第6730517号(P6730517)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6730517
(24)【登録日】2020年7月6日
(45)【発行日】2020年7月29日
(54)【発明の名称】拡張可能なインプラントの段階的な配置
(51)【国際特許分類】
   A61F 2/954 20130101AFI20200716BHJP
   A61M 25/09 20060101ALI20200716BHJP
   A61F 2/07 20130101ALI20200716BHJP
   A61M 25/10 20130101ALI20200716BHJP
   A61F 2/966 20130101ALI20200716BHJP
   A61F 2/97 20130101ALI20200716BHJP
【FI】
   A61F2/954
   A61M25/09
   A61F2/07
   A61M25/10 550
   A61F2/966
   A61F2/97
【請求項の数】11
【全頁数】17
(21)【出願番号】特願2019-514288(P2019-514288)
(86)(22)【出願日】2017年9月12日
(65)【公表番号】特表2019-528887(P2019-528887A)
(43)【公表日】2019年10月17日
(86)【国際出願番号】US2017051081
(87)【国際公開番号】WO2018052878
(87)【国際公開日】20180322
【審査請求日】2019年4月18日
(31)【優先権主張番号】62/394,858
(32)【優先日】2016年9月15日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】391028362
【氏名又は名称】ダブリュ.エル.ゴア アンド アソシエイツ,インコーポレイティド
【氏名又は名称原語表記】W.L. GORE & ASSOCIATES, INCORPORATED
(74)【代理人】
【識別番号】100099759
【弁理士】
【氏名又は名称】青木 篤
(74)【代理人】
【識別番号】100123582
【弁理士】
【氏名又は名称】三橋 真二
(74)【代理人】
【識別番号】100128495
【弁理士】
【氏名又は名称】出野 知
(74)【代理人】
【識別番号】100093665
【弁理士】
【氏名又は名称】蛯谷 厚志
(74)【代理人】
【識別番号】100173107
【弁理士】
【氏名又は名称】胡田 尚則
(74)【代理人】
【識別番号】100147212
【弁理士】
【氏名又は名称】小林 直樹
(72)【発明者】
【氏名】オースティン エー.バーン
(72)【発明者】
【氏名】パトリック エム.ノリス
【審査官】 北中 忠
(56)【参考文献】
【文献】 特表2014−501563(JP,A)
【文献】 特表2010−524630(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2012/0271410(US,A1)
【文献】 特表2015−524341(JP,A)
【文献】 特表2004−528066(JP,A)
【文献】 米国特許第9226839(US,B1)
【文献】 米国特許出願公開第2012/0101563(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61F 2/82−2/97
A61M 25/00−29/04、
35/00−36/08、
37/00、99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
内部人工器官送達システムであって、
側枝ポータルを含む拡張可能な内部人工器官と、
前記拡張可能な内部人工器官の近位部分を畳まれた形状に解放可能に拘束する第1の一次スリーブと、
前記第1の一次スリーブと並行している第2の一次スリーブであって、前記第2の一次スリーブは前記拡張可能な内部人工器官の遠位部分を前記畳まれた形状に解放可能に拘束する、第2の一次スリーブと、
前記第1の一次スリーブ内の二次スリーブであって、前記第1の一次スリーブの解放により、前記二次スリーブは前記拡張可能な内部人工器官の前記近位部分を部分的に拡張された形状に解放可能に拘束して、前記拡張可能な内部人工器官の前記部分的に拡張された近位部分を介して前記側枝ポータルへのアクセスを可能にする、二次スリーブと、を含む、内部人工器官送達システム。
【請求項2】
前記側枝ポータルは、前記第2の一次スリーブと前記二次スリーブとの間の空間を介して前記拡張可能な内部人工器官を出る、請求項1に記載の内部人工器官送達システム。
【請求項3】
前記拡張可能な内部人工器官の前記部分的に拡張された近位部分を介して前記側枝ポータルを通って送達するために構成されている側枝構成部分をさらに含む、請求項1または請求項2に記載の内部人工器官送達システム。
【請求項4】
前記拡張可能な内部人工器官の中心内腔を通って伸びる第1のガイドワイヤーと、
前記拡張可能な内部人工器官の前記近位部分および前記側枝ポータルを通って伸びる第2のガイドワイヤーと、
をさらに含み、
前記中心内腔は、前記拡張可能な内部人工器官の前記近位部分および前記拡張可能な内部人工器官の前記遠位部分の両方を通って伸びる、請求項1〜3のいずれか一項に記載の内部人工器官送達システム。
【請求項5】
前記第2の一次スリーブまたは前記二次スリーブのいずれかを解放することなく前記第1の一次スリーブを解放するように構成されている結合部材をさらに含む、請求項1〜4のいずれか一項に記載の内部人工器官送達システム。
【請求項6】
前記結合部材は、第1の結合部材であり、前記内部人工器官送達システムは、前記第2の一次スリーブおよび前記二次スリーブの両方を解放するように構成されている第2の結合部材をさらに含む、請求項5に記載の内部人工器官送達システム。
【請求項7】
前記内部人工器官は、バルーン拡張可能なステント構成部分を含む、請求項1〜6のいずれか一項に記載の内部人工器官送達システム。
【請求項8】
前記内部人工器官は、自己拡張ステント構成部分を含む、請求項1〜のいずれか一項に記載の内部人工器官送達システム。
【請求項9】
前記内部人工器官は、延伸ポリテトラフルオロエチレン(ePTFE)フィルムを含むグラフト構成部分を含む、請求項1〜8のいずれか一項に記載の内部人工器官送達システム。
【請求項10】
前記内部人工器官は、ステントグラフトである、請求項1〜9のいずれか一項に記載の内部人工器官送達システム。
【請求項11】
前記拡張可能な内部人工器官は、胸部大動脈瘤を治療するように構成されている、請求項1〜10のいずれか一項に記載の内部人工器官送達システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、概して、ステントグラフトを含むインプラント可能な医療用機器の送達および遠隔配置に関する。
【背景技術】
【0002】
血管の病気は、血管の曲がりくねった性質および複雑さにより医師とって治療するのが困難である場合がある。一例として、大動脈解離は、通常大動脈弁の根元においてまたはその近傍で始まり、および上行大動脈および大動脈弓へと続き、およびまた下行大動脈の上部に影響する場合がある。大動脈弓の3つの血管枝、すなわち、腕頭(無名)動脈および左総頸動脈および左鎖骨下動脈は、医師にとってアクセスしおよび究極的に効果的に治療するのが解剖学的に難しい場合がある。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0003】
本開示は、概して、側枝ポータル(side branch portal)、例えば胸部枝(thracic branch)内部人工器官を含む拡張可能な内部人工器官のための段階的な配置技術に関する。開示された段階的な配置技術は、拡張可能な内部人工器官を畳まれた(collapsed)形状に解放可能に拘束する並行している第1の一次スリーブおよび第2の一次スリーブを有する内部人工器官送達システムを含み、および二次スリーブは、第1の一次スリーブの解放に続いて拡張可能な内部人工器官の近位部分を部分的に拡張された形状に解放可能に拘束する第1の一次スリーブと連続しておりかつ第1の一次スリーブ内にある。二次スリーブは、拡張可能な内部人工器官の部分的に拡張された近位部分を介して側枝ポータルへのアクセスを可能にすることができる。開示された技術は、複雑なまたは曲がりくねった血管内で側枝ポータルを含む拡張可能な内部人工器官の送達および配置に特に有用であることができる。
【0004】
1つの変化形において、内部人工器官送達システムは、側枝ポータルと、拡張可能な内部人工器官の近位部分を畳まれた形状に解放可能に拘束する第1の一次スリーブと、第1の一次スリーブと並行している第2の一次スリーブであって拡張可能な内部人工器官の遠位部分を畳まれた形状に解放可能に拘束する第2の一次スリーブと、第1の一次スリーブ内の二次スリーブと、を含む。第1の一次スリーブの解放で、二次スリーブは、拡張可能な内部人工器官の近位部分を部分的に拡張された形状に解放可能に拘束し、拡張可能な内部人工器官の部分的に拡張された近位部分を介して側枝ポータルへのアクセスを可能にする。
【0005】
別の変化形において、患者の血管内に内部人工器官をインプラントする方法は、第1のガイドワイヤーを血管内に挿入することと、第2のガイドワイヤーを血管の側枝内に挿入することと、第1のガイドワイヤーおよび第2のガイドワイヤーにわたって側枝ポータルを含む拡張可能な内部人工器官を側枝に近い場所に進めることと、拡張可能な内部人工器官の遠位部分に充分な拘束を残しながら、拡張可能な内部人工器官の近位部分を部分的に拡張させることと、拡張可能な内部人工器官の遠位部分を充分に拘束しながら、第2のガイドワイヤーにわたって拡張可能な内部人工器官の部分的に拡張された近位部分を介して側枝中に側枝構成部分を進めることと、それらの意図する配置場所に拡張可能な内部人工器官および側枝構成部分を配置することと、側枝内で側枝構成部分とともに拡張可能な内部人工器官の近位部分および遠位部分の両方を充分に拡張させることとを含む。
【0006】
複数の態様が開示されているが、本発明のまた他の態様は、本発明の具体的な態様を示しおよび記載する、以下の詳細な記載から当業者に明らかになるであろう。したがって、図および詳細な記載は、本来的に具体的に説明するものであって、制限するものでないとみなされるべきである。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1図1は、拡張可能なインプラントのための送達システムの側面図を具体的に示し、送達システムは、主構成部分の段階的な配置を促進する一式の拘束スリーブを含む。
【0008】
図2図2Aおよび2Bは、主構成部分および側枝構成部分を含む拡張可能なインプラントのための送達システムの斜視図を具体的に示し、送達システムは、主構成部分の段階的な配置を促進する一式の拘束スリーブを含む。
【0009】
図3図3A−3Gは、患者の胸部大動脈において図2Aおよび2Bの送達システムを使用する主構成部分および側枝構成部分を含む拡張可能なインプラントの段階的な配置を具体的に示す。
【発明を実施するための形態】
【0010】
本開示の種々の例は、拡張可能な主構成部分および側枝ポータルを含む拡張可能な内部人工器官、例えば胸部枝内部人工器官のための段階的な配置技術を対象にする。開示された段階的な配置技術は、拡張可能な内部人工器官を畳まれた形状に解放可能に拘束する並行している第1の一次スリーブおよび第2の一次スリーブを有する内部人工器官送達システム、および第1の一次スリーブの解放に続いて拡張可能な内部人工器官の近位部分を部分的に拡張された形状に解放可能に拘束する第1の一次スリーブ内の二次スリーブを含む。二次スリーブは、拡張可能な主構成部分の部分的に拡張された近位部分を介して側枝ポータルにアクセスすることを可能にできる。拡張可能な内部人工器官中の主構成部分の部分的に配置された近位部分を通って側枝ポータルの配置を可能にすることは、拡張可能な主構成部分の完全な配置の前に側枝ポータルを側枝血管と位置合わせすることを可能にすることによって、拡張可能な主構成部分の正確な配置を可能にできる。
【0011】
側枝ポータルを含む拡張可能な内部人工器官のための例示的な段階的な配置技術は、図3A〜3Gについて記載されている。図1〜2Bは、拘束スリーブ、例えば図3A〜3Gについてさらに詳細に記載されたものを有する送達システムの斜視図を具体的に示す。
【0012】
図1は、主構成部分および側枝構成部分を含む拡張可能なインプラントのための送達システム100の側面図を具体的に示し、送達システム100は主構成部分の段階的な配置を促進する一式の拘束スリーブ104、105を含み、この例において、主構成部分は拡張可能なインプラント106である。拡張可能なインプラント106は、血管の治療部位に送達するために適した任意の腔内機器を含むことができる。そうした機器は、例えば、ステント、グラフト、およびステントグラフトを含むことができる。したがって、拡張可能なインプラント106は、ステントの上および/または下に配置した1つまたは2つ以上の関連したグラフト部材(member)を有する1つまたは2つ以上のステント構成部分を含むことができ、このグラフト部材は、送達直径から、より大きい中間の直径の範囲を通って、および最大の、予め決められた機能性直径に向かって拡張できる。
【0013】
例えば、拡張可能なインプラント106は、1つまたは2つ以上のニチノールでできたステント構成部分およびePTFE、例えばePTFEフィルムでできたグラフト部材を含むことができる。しかし、および下に記載するように、ステント構成部分およびグラフト部材の任意の適した組み合わせは本開示の範囲内である。
【0014】
拡張可能なインプラント106のステント構成部分は、種々の形状、例えば、リング、カットチューブ、巻かれたワイヤー(もしくはリボン)またはチューブ状形態に巻かれた平面パターンのシートなどを有することができる。ステント構成部分は、金属材料、ポリマー材料または天然材料で形成されることができ、および従来の医療グレードの材料、例えばナイロン、ポリアクリルアミド、ポリカーボネート、ポリエチレン、ポリホルムアルデヒド、ポリメチルメタクリレート、ポリプロピレン、ポリテトラフルオロエチレン、ポリトリフルオロクロロエチレン、ポリビニルクロライド、ポリウレタン、エラストマーの有機ケイ素ポリマー;金属、例えばステンレススチール、コバルト−クロム合金およびニチノールおよび生物学的に誘導された材料、例えばウシの動脈/静脈、心膜およびコラーゲンを含むことができる。ステント構成部分は、生体吸収性材料、例えばポリ(アミノ酸)、ポリ(無水物)、ポリ(カプロラクトン)、ポリ(乳酸/グリコール酸)ポリマー、ポリ(ヒドロキシブチレート)およびポリ(オルトエステル)をまた含むことができる。カテーテルによって送達されることができる任意の拡張可能なステント構成部分の形状は、本開示と一致している。
【0015】
拡張可能なインプラント106のグラフト部材のための可能性のある材料は、例えば、延伸ポリテトラフルオロエチレン(ePTFE)、ポリエステル、ポリウレタン、フルオロポリマー、例えばペルフルオロエラストマーおよびその同類のもの、ポリテトラフルオロエチレン、シリコーン、ウレタン、超高分子量ポリエチレン、アラミド繊維、およびそれらの組み合わせを含む。グラフト部材材料のためのほかの例は、高強度ポリマー繊維、例えば超高分子量ポリエチレン繊維(例えば、Spectra(商標)、Dyneema Purity(商標)など)またはアラミド繊維(例えば、Technora(商標)など)を含むことができる。グラフト部材は、生物活性剤を含むことができる。1つの例では、ePTFEグラフトは、その血液と接触する表面に沿って炭素成分を含む。カテーテルによって送達されることができる任意のグラフト部材は、本開示に従う使用のために考慮される。
【0016】
種々の例において、拡張可能なインプラント106のステント構成部分および/またはグラフト部材は、治療上の被膜を含むことができる。これらの例において、ステント構成部分および/またはグラフト部材の内部および/または外部は、例えば、CD34抗原で被覆されることができる。さらにとりわけ、例えば、ヘパリン、シロリムス、パクリタキセル、エベロリムス、ABT−578、ミコフェノール酸、タクロリムス、エストラジオール、酸素フリーラジカル捕集剤、バイオリムスA9、抗CD34抗体、PDGF受容体ブロッカー、MMP−1受容体ブロッカー、VEGF、G−CSF、HMG−CoAレダクターゼ阻害剤、iNOSおよびeNOSの刺激物質、ACE阻害剤、ARB、ドキシサイクリン、およびサリドマイドを含む任意の数の薬物または治療薬は、グラフト部材を被覆するのに使用されることができる。
【0017】
種々の例において、拡張可能なインプラント106は、患者の血管の治療部位に送達するのに適した放射状に畳まれた形状を含むことができる。拡張可能なインプラント106は、放射状に畳まれた形状に拘束され、および送達機器、例えばカテーテルシャフト102の上へ解放可能に組み込まれることができる。畳まれた形状における拡張可能なインプラント106の直径は、拡張可能なインプラント106が血管を通って治療部位に送達されるのに充分小さい。種々の例において、畳まれた形状の直径は、送達システム100の交差プロファイルを最小化するのに、および患者への組織損傷を減少するかまたは防ぐのに充分小さい。畳まれた形状において、拡張可能なインプラント106は、血管を通ってカテーテルシャフト102によって導かれることができる。
【0018】
種々の例において、拡張可能なインプラント106は、患者の血管の治療部位中に機器をインプラントするために適した放射状に拡張された形状を含むことができる。拡張された形状において、拡張可能なインプラント106の直径は、修復される血管とほぼ同じであることができる。他の例において、拡張された形状における拡張可能なインプラント106の直径は、血管内で牽引適合(traction fit)を提供する治療される血管より大きいことができる。
【0019】
種々の例において、拡張可能なインプラント106は、自己拡張可能機器、例えば自己拡張可能ステントグラフトを含むことができる。拘束されなくなると、自己拡張可能機器は放射状に畳まれた形状から放射状に拡張された形状へ拡張する。他の例において、拡張可能なインプラント106は、二次的機器、例えば、バルーンなどの助けで拡張される機器を含むことができる。これらの例のいずれかにおいて、拡張可能なインプラント106は、拡張可能な主構成部分および側枝、例えば図2Aおよび2Bについて記載されたような拡張可能な主構成部分206を含む拡張可能な内部人工器官の拡張可能な主構成部分を表すことができる。このように、拡張可能なインプラント106の記載はまた、拡張可能な主構成部分206に適用でき、および拡張可能な主構成部分206の記載はまた、拡張可能なインプラント106に適用できる。
【0020】
送達システム100内において、スリーブ104、105はそれぞれ、材料の単一のシートからスリーブ104、105のチューブ状形状を形成するためのシートの端中の開口を通る単一の結合部材織物を含む。具体的に、結合部材124は、スリーブ104のシート中の開口を通る織物であり、および結合部材125は、スリーブ105のシート中の開口を通る織物である。このように、スリーブ104が腔内送達のために適した減少した直径または外側の周囲の寸法に向かって拡張可能なインプラント106の近位部分を維持するように、結合部材124はスリーブ104の端を固定する。同様に、スリーブ105が腔内送達のために適した減少した直径または外側の周囲の寸法に向かって拡張可能なインプラント106の遠位部分を維持するように、結合部材125はスリーブ105の端を固定する。
【0021】
スリーブ104、105の解放は、拡張可能なインプラント106が配置された形状または部分的に配置された形状に拡張することを可能にする。具体的に、スリーブ104から結合部材124を離すことは、スリーブ104を解放して、拡張可能なインプラント106の近位部分がより大きい直径または外側の周囲の寸法に向かって拡張することを可能にする。同様に、スリーブ105から結合部材125を離すことは、スリーブ105を解放して、拡張可能なインプラント106の遠位部分をより大きい直径または外側の周囲の寸法に向かって拡張することを可能にする。したがって、拡張可能なインプラント106の近位部分および遠位部分は、スリーブ104、105の並行している形状によって促進されるように、段階的な配置において別々に解放されることができる。
【0022】
解放後に、拡張可能なインプラント106が機能性直径へ向かって拡張することを可能しおよび所望の治療上の成果を達成するために、スリーブ104、105は除去されることができる。代わりに、スリーブ104、105は、拡張可能なインプラント106に連結されたままであることができ、またはそうでなければ、拡張可能なインプラント106と干渉しないでいながらインプラントされることができる。
【0023】
自己拡張可能な形状またはバルーンで拡張可能な形状のいずれかのために、スリーブ104、105は、患者の血管の治療部分への拡張可能なインプラント106の腔内送達のための畳まれた形状にある拡張可能なインプラント106を拘束する。開示の目的のために、用語「拘束する」は、(i)自己拡張または機器に助けられてのいずれかで、拡張可能なインプラントの直径の拡張を制限すること、または(ii)そうでなければ(例えば、貯蔵または生体適合性の理由および/または拡張可能なインプラントおよび/または血管に保護を提供するために)拡張可能なインプラントを拘束するのではなく、覆うかまたは取り囲むことを意味できる。送達システム100において、例えば、スリーブ104、105は、減少した直径または畳まれた形状に向かって拡張可能なインプラント106を取り囲みおよび拘束する。
【0024】
本明細書中において既に述べたように、段階的な配置を促進するために、医療システムは、(少なくとも部分的に重複していない)並行しているスリーブおよび(1つまたは2つ以上の一次スリーブと重複した二次スリーブを含む)連続したスリーブを含む、複数のスリーブを含む。並行しているスリーブはそれぞれ、拡張可能なインプラントの異なる部分を同時に拘束し、一方連続したスリーブはそれぞれ、拡張可能なインプラントの重複した部分を拘束するように構成されている。概して、連続したスリーブは、異なるサイズの拡張可能なインプラントの重複した部分を拘束し、連続したスリーブの外側スリーブが拡張可能なインプラントの重複した部分を連続したスリーブの内側スリーブ(単数または複数)の形状より小さいサイズに拘束するように構成されるであろう。このように、連続したスリーブの内側スリーブは、拡張可能なインプラントの重複した部分を拘束するなんらかの外側スリーブの解放後の拡張可能なインプラントの重複した部分のみを拘束できる。
【0025】
拡張可能なインプラント106が血管内の所望の位置にある場合、結合部材124、125はそれぞれ、患者の体の外側からのスリーブ104、105からそれぞれ離れ、これはスリーブ104、105が開くことおよび拡張可能なインプラント106が拡張することを可能にする。種々の例において、拡張可能なインプラント106は、自己拡張でき、または拡張可能なインプラント106は、拡張機器、例えばバルーンによって拡張されることができる。
【0026】
いくつかの例において、結合部材124、125は、それらのそれぞれの近位部分に充分な張力を適用することによって、離れることができる。例えば、1つまたは2つ以上の変形可能な(translatable)要素は、体の外側の結合部材124、125に取り付けられることができる。変形可能な要素をずらすこと、例えばダイヤルまたは回転式部材の回転またはハンドルもしくはノブの変形(translation)は、結合部材124、125をずらしおよび離すのに充分な張力を提供することができる。さらにある例では、結合部材124、125は、機械的なメカニズム(示されていない)、例えば患者の体の外側から操作される最新のまたは他のメカニズムによってスリーブ104、105から離れることができる。
【0027】
種々の例において、スリーブ104、105の並行している形状は、拡張可能なインプラント106の近位部分および遠位部分の別個の拡張を可能にすることによって、拡張可能なインプラント106の段階的な配置を促進する。図2Aおよび2Bおよび送達システム200について記載したように、そうした制御は、拡張可能なインプラント106の拡張された近位部分を通って側枝血管の中へ側枝構成部分の送達を促進できる。
【0028】
図2Aおよび2Bは、拡張可能なインプラント201(図3G)のための送達システム200の斜視図を具体的に示す。拡張可能なインプラント201は、拡張可能な主構成部分206および側枝構成部分237を含む。送達システム200は、カテーテルシャフト202の上へ解放可能に組み込まれた拡張可能な主構成部分206を含む。送達システム200は、拡張可能な主構成部分206の段階的な配置を促進する一式の拘束スリーブ204、208、209をまた含む。
【0029】
拡張可能な主構成部分206は側枝構成部分237と組み合わされて拡張可能なインプラント201を形成しながら、拡張可能な主構成部分206がなんらかの他の構成部分なしで血管中に独立して配置されることができる点で、拡張可能な主構成部分206それ自体はまた拡張可能なインプラントを表す。このように、拡張可能な主構成部分206は、図1について記載されたような拡張可能なインプラント106の1つの例を表す。同一または異なる例において、拡張可能な主構成部分206は、拡張可能な内部人工器官、例えばステント、グラフト、またはステントグラフトを表す。例えば、拡張可能な主構成部分206は、1つまたは2つ以上のニチノールでできたステント構成部分およびePTFEでできたグラフト部材を含むことができる。しかし、ステント構成部分(単数または複数)およびグラフト部材(単数または複数)の任意の適した組み合わせは、拡張可能なインプラント106について記載したステント構成部分(単数または複数)およびグラフト部材(単数または複数)の記載を含むがこれに限られない本開示の範囲内にある。
【0030】
図2Aに示すように、拡張可能な主構成部分206は、拡張可能な主構成部分206の外周を取り囲む一式のスリーブによって拘束される。具体的に、送達システム200は、一次スリーブ208、209および二次スリーブ204を含む。一次スリーブ208、209は、拡張可能な主構成部分206の外周を取り囲み、および直径が未拘束の直径またはそうでなければ、血管内で送達のために配置されたインプラントより小さい、畳まれた形状に向かってそれを拘束する。一次スリーブ208、209は相互に並行している。具体的に、一次スリーブ208は拡張可能な主構成部分206の近位部分を解放可能に拘束し、および一次スリーブ209は拡張可能な主構成部分206の遠位部分を解放可能に拘束する。二次スリーブ204は、一次スリーブ208と連続しておりその中にある。図2Bに示すように、一次スリーブ208の解放により、二次スリーブ204は、拡張可能な主構成部分206の近位部分を部分的に拡張された形状に解放可能に拘束し、拡張可能な主構成部分206の部分的に拡張された近位部分を介して側枝ポータル207へのアクセスを可能にする。
【0031】
スリーブ204、208、209内の畳まれた形状において、拡張可能な主構成部分206は、血管へ導入され、および血管の治療部位へ送達システムによって導かれることができる。いったん血管の治療部位に配置されると、スリーブ204、208、209は図3A〜3Gに関して記載された段階的な配置技術によって解放されることができ、および拡張可能な主構成部分206は拡張された形状に拡張されることができる。
【0032】
例えば、図2Aに示すように、スリーブ208が腔内送達のために適した減少した直径または外側の周囲の寸法に向かって拡張可能な主構成部分206の近位部分を維持するように、結合部材234はスリーブ208の端を固定する。同様に、スリーブ209が腔内送達のために適した減少した直径または外側の周囲の寸法に向かって主構成部分206の遠位部分を維持するように、結合部材235はスリーブ209の端を固定する。
【0033】
種々の例において、スリーブ204、208、209は、拡張可能な主構成部分206の周りを包むかまたは周りに折り畳まれている1つまたは2つ以上の材料のシートでできている。それぞれのスリーブでは、シートの1つの端から他の端に開口が伸びるように、スリーブを形成するために使用される(複数の)材料のシートは、一連の開口を含む。結合部材224、234、235は、材料のシート中の連続した開口を通って織られているかまたは縫われて、それぞれの2つの端を共に固定しおよび管を形成する。種々の例において、結合部材224、234、235は、織物繊維を含むことができる。他の例において、結合部材224、234、235は、モノフィラメント繊維を含むことができる。スリーブをチューブ状形に維持することができる任意のタイプの糸(string)、ひも(cord)、スレッド、繊維、またはワイヤーは本開示の範囲である。本明細書中で具体的に説明される例は、1つまたは2つ以上のチューブ状スリーブを含むものとして記載されているが、下地をなす拡張可能なインプラントに相当するかまたはそうでなければ、所与の用途のための適当な形である任意の非チューブ状形のスリーブはまた、本開示の範囲内である。
【0034】
図2Bに示すように、二次スリーブ204が畳まれた形状より大きいおよび血管内のターゲット場所に隣接した拡張可能な主構成部分206の正確な配置に適した配置形状より小さい中間形状に向かって拡張可能な主構成部分206の近位部分を維持するように、スリーブ208および結合部材235の解放に続いて、結合部材224は二次スリーブ204の端を固定する。中間形状において、拡張可能な主構成部分206の近位部分は拡張された形状より小さくおよび畳まれた形状より大きい直径に拘束される。例えば、中間形状における拡張可能な主構成部分206の近位部分の直径は、拡張された形状における拡張可能な主構成部分206の近位部分の直径の約70%であることができる。しかし、拡張された形状の直径より小さくおよび畳まれた形状より大きい中間形状の任意の直径は本開示によって考慮される。
【0035】
図2Bを参照して、一次スリーブ208が拡張された後で、二次スリーブ204は、拡張可能な主構成部分206を中間形状に向かって拘束する。中間形状において、拡張可能な主構成部分206は、血管の治療部位内の所望の場所に、(例えば、曲げおよび軸転によって)配向されおよび調整されることができる。特定実施形態において、そうした正確な配置は、中間形状に向かう拡張可能な主構成部分206の近位部分の部分的な拡張に続いて曝される、側枝ポータル207を通って側枝構成部分を送達することを含むことができる。
【0036】
種々の例において、拡張可能な主構成部分206は、側枝ポータル207を覆う穴あき可能な(fenestratable)部分を含むことができる。そうした形状において、拡張可能な主構成部分206は、拡張可能な主構成部分206が患者の血管内に部分的にまたは完全にインプラントされた後で、腔内ツールによって穴を開けることができる壊れやすい材料を含むことができる。いったん穴を開けると、穴あき可能部分を、例えば、拡張可能な主構成部分206に分枝ステントグラフトを設置するのに使用できる。側枝に開けられた穴(fenestrations)は、分枝された機器、例えば分枝ステントグラフトが、拡張可能な主構成部分206と接続されおよび連通することを可能にする。そうした開けられた穴および分枝ステントグラフトは、拡張可能な主構成部分206および追加の分枝ステントグラフトが患者の解剖学的構造、例えば腸骨動脈および関連した血管の枝にならうことを促進できる。
【0037】
図3A〜3Gは、患者の胸部大動脈300中で図2Aおよび2Bの送達システムを使用した拡張可能なインプラント201の位置づけおよび配置を含むインプラントのための技術を具体的に示す。図3A〜3Gの技術は、患者の胸部大動脈300の胸部大動脈瘤を治療するのに使用できる。しかし、開示された例は、胸部大動脈300内へのインプラントに限られず、および1つまたは2つ以上の側枝を含む他の血管に容易に適用できる。図3A〜3Gの特定例において、胸部大動脈300は、上行大動脈302、大動脈弓304および下行大動脈306を含む。腕頭動脈310、左総頸動脈312、および左鎖骨下動脈314を含む側枝血管は、胸部大動脈300から伸びる。
【0038】
図3Aに示すように、ガイドワイヤー320、322は、血管中に挿入される。具体的に、ガイドワイヤー320は、胸部大動脈300中に挿入され、一方ガイドワイヤー322は、胸部大動脈300を介して側枝に挿入される。図3Aの例において、ガイドワイヤー322は、胸部大動脈300を介して左鎖骨下動脈314に挿入されるが、他の例において、ガイドワイヤー322は、異なる側枝、例えば腕頭動脈310または左総頸動脈312中に挿入されることができる。
【0039】
図3Bに示すように、主構成部分206は、ガイドワイヤー320、322にわたって、血管の側枝に近い場所、この例において、左鎖骨下動脈314へ進められる。ガイドワイヤー320は、主構成部分206の遠位末端を出る前に主構成部分206の中心内腔を通って送られ、一方ガイドワイヤー322は、側枝ポータル207を通る前に主構成部分206の中心内腔を通って送られる。主構成部分206の中心内腔を通るガイドワイヤー322の経路により、いったん側枝ポータル207の開口が側枝、左鎖骨下動脈314に隣接すると、主構成部分206の前進は抵抗に会う。
【0040】
図3Cに示すように、主構成部分206の前進に続き、側枝ポータル207を含む拡張可能な内部人工器官は、ガイドワイヤー320、322にわたって、側枝に近い場所、左鎖骨下動脈314、主構成部分206の近位部分へと、部分的に拡張される。例えば、結合部材234は、活性化されて、一次スリーブ208を解放して、主構成部分206の近位部分が、二次スリーブ204を満たす中間形状に拡張することを可能にする。中間形状において、拡張可能な主構成部分206の近位部分は、拡張された形状より小さいおよび畳まれた形状より大きい直径に拘束される。主構成部分206の近位部分の部分的な拡張の間、主構成部分206の遠位部分は、一次スリーブ209によって充分に拘束されたままである。主構成部分206の近位部分の部分的な拡張に続き、側枝ポータル207は、一次スリーブ209と二次スリーブ204との間の空間を介して拡張可能な主構成部分206を出る。
【0041】
図3Dに示すように、拡張可能な主構成部分206の近位部分の部分的な拡張に続き、側枝構成部分237は、ガイドワイヤー322にわたって、カテーテルシャフト202を通って、拡張可能な主構成部分206の中心内腔の近位部分の中に進み、側枝ポータル207を介して拡張可能な主構成部分206の中心内腔を出る。側枝構成部分237のこの前進の間に、主構成部分206の近位部分は、一次スリーブ204により拘束された中間形状のままであり、および主構成部分206の遠位部分は、一次スリーブ209によって充分に拘束されたままである。
【0042】
図3Eに示すように、拡張可能な主構成部分206および側枝構成部分237は、それらの意図された配置場所に配置される。例えば、拡張可能な主構成部分206および側枝構成部分237は、側枝構成部分237が側枝、左鎖骨下動脈314と位置合わせされるように胸部大動脈300内の拡張可能な主構成部分206を配置することによって、それらの意図された配置場所に配置されることができる。
【0043】
図3Fに示すように、拡張可能な主構成部分206および側枝構成部分237がそれらの意図された配置場所に配置された後で、拡張可能な主構成部分206は、遠位の一次スリーブ209および近位二次スリーブ204の解放によって充分に拡張される。例えば、結合部材235は、活性化されて一次スリーブ209を解放することができ、主構成部分206の遠位部分が充分に畳まれた形状から充分に拡張することを可能にし、および結合部材224は、活性化されて二次スリーブ204を解放することができ、主構成部分206の近位部分を、中間形状から充分に拡張することを可能にする。側枝構成部分237は、既に側枝、左鎖骨下動脈314内に位置しているので、主構成部分206の充分な拡張は、左鎖骨下動脈314と適切に配置された側枝ポータル207とともに起こる。ガイドワイヤー320は、拡張可能な主構成部分206の充分な拡張の後で、任意選択的に回収されることができる。
【0044】
図3Gに示すように、拡張可能な主構成部分206が充分に拡張された後で、側枝構成部分237は、側枝、左鎖骨下動脈314内で充分に拡張されて、主構成部分206および側枝構成部分237を含む拡張可能なインプラント201を形成する。例えば、側枝構成部分237は、自己拡張性またはバルーン拡張性であることができる。いずれの例においても、側枝構成部分237は、左鎖骨下動脈314内で拡張を促進するように除去されることができる着脱可能なスリーブを含むことができる。他の例において、スリーブは拡張に続き側枝構成部分237の上に保持されることができ、または側枝構成部分237は、他の技術、例えば縫合によって拘束されおよび解放されることができる。ガイドワイヤー322は、側枝構成部分237の充分な拡張の後で任意選択的に回収されることができる。カテーテル202はまた回収されることができる。
【0045】
任意選択的に、追加の側枝構成部分(示されていない)は、他の側枝、例えば腕頭動脈(brachiocephalic trunk artery)310または左総頸動脈312内に配置されることができる。例えば、主構成部分206は、主構成部分206の拡張に続いて他の側枝と概して位置合わせした(複数の)穴あき可能部分を含むことができる。そうした側枝構成部分は、インプラントされて、カテーテル202を介してまたはそうでなければ、任意の適した技術により、拡張可能な主構成部分206に接続されおよび連通することができる。そうした開けられた穴および追加の分枝ステントグラフトは、拡張可能な主構成部分206、側枝構成部分237および追加の分枝ステントグラフトが、腕頭動脈310、左総頸動脈312、および左鎖骨下動脈314を含む患者の解剖学的構造にならうことを促進できる。
【0046】
本開示のいくつかの代表的な例は以下の項目(Clause)により特徴づけられることができる。
【0047】
項目1:側枝ポータルを含む拡張可能な内部人工器官と、拡張可能な内部人工器官の近位部分を畳まれた形状に解放可能に拘束する第1の一次スリーブと、第1の一次スリーブと並行している第2の一次スリーブと、拡張可能な内部人工器官の遠位部分を畳まれた形状に解放可能に拘束する第2の一次スリーブと、第1の一次スリーブ内の二次スリーブと、を含む、内部人工器官送達システム。二次スリーブは、第1の一次スリーブの解放で、拡張可能な内部人工器官の近位部分を拡張可能な内部人工器官の部分的に拡張された近位部分を介して側枝ポータルへのアクセスを可能にする部分的に拡張された形状に解放可能に拘束する。
【0048】
項目2:側枝ポータルは、第2の一次スリーブと二次スリーブとの間の空間を介して拡張可能な内部人工器官を出る、項目1の内部人工器官送達システム。
【0049】
項目3:拡張可能な内部人工器官の部分的に拡張された近位部分を介して側枝ポータルを通る送達のために構成されている側枝構成部分をさらに含む、項目1の内部人工器官送達システム。
【0050】
項目4:拡張可能な内部人工器官の中心内腔を通って伸びる第1のガイドワイヤーと、拡張可能な内部人工器官の近位部分と拡張可能な内部人工器官の遠位部分との両方を通って伸びる中心内腔と、および拡張可能な内部人工器官の近位部分および側枝ポータルを通って伸びる第2のガイドワイヤーと、をさらに含む、項目1の内部人工器官送達システム。
【0051】
項目5:第2のガイドワイヤーにわたっておよび拡張可能な内部人工器官の部分的に拡張された近位部分を介して側枝ポータルを通る送達のために構成されている側枝構成部分をさらに含む、項目4の内部人工器官送達システム。
【0052】
項目6:第2の一次スリーブまたは二次スリーブのいずれかを解放することなく第1の一次スリーブを解放するように構成されている結合部材をさらに含む、項目1の内部人工器官送達システム。
【0053】
項目7:結合部材は第1の結合部材であり、内部人工器官送達システムは第2の一次スリーブまたは二次スリーブの両方を解放するように構成されている第2の結合部材をさらに含む、項目6の内部人工器官送達システム。
【0054】
項目8:内部人工器官は、バルーン拡張可能なステント構成部分を含む、項目1の内部人工器官送達システム。
【0055】
項目9:内部人工器官は、自己拡張性ステント構成部分を含む、項目1の内部人工器官送達システム。
【0056】
項目10:内部人工器官は、延伸ポリテトラフルオロエチレン(ePTFE)フィルムを含むグラフト構成部分を含む、項目1の内部人工器官送達システム。
【0057】
項目11:内部人工器官は、ステントグラフトである、項目1の内部人工器官送達システム。
【0058】
項目12:拡張可能な内部人工器官は、胸部大動脈瘤を治療するように構成されている、項目1の内部人工器官送達システム。
【0059】
項目13:患者の血管内に内部人工器官をインプラントする方法であって、第1のガイドワイヤーを血管内に挿入することと、第2のガイドワイヤーを血管の側枝内に挿入することと、第1のガイドワイヤーおよび第2のガイドワイヤーにわたって側枝ポータルを含む拡張可能な内部人工器官を側枝に近い場所に進めることと、拡張可能な内部人工器官の遠位部分に充分な拘束を残しながら、拡張可能な内部人工器官の近位部分を部分的に拡張させることと、拡張可能な内部人工器官の遠位部分を充分に拘束しながら、第2のガイドワイヤーにわたって拡張可能な内部人工器官の部分的に拡張された近位部分を介して側枝中に側枝構成部分を進めることと、それらの意図する配置場所に拡張可能な内部人工器官および側枝構成部分を配置することと、側枝内で側枝構成部分とともに拡張可能な内部人工器官の近位部分および遠位部分の両方を充分に拡張させることと、を含む、方法。
【0060】
項目14:側枝内で側枝構成部分を拡張させることをさらに含む、項目13の方法。
【0061】
項目15:それらの意図する配置場所に拡張可能な内部人工器官および側枝構成部分を配置することは、側枝構成部分が側枝と居合わせされるように、血管内に拡張可能な内部人工器官を配置することを含む、項目13の方法。
【0062】
項目16:拡張可能な内部人工器官の遠位部分に充分な拘束を残しながら、拡張可能な内部人工器官の近位部分を部分的に拡張させることは、拡張可能な内部人工器官の遠位部分にわたって第2の一次スリーブを残しながら、拡張可能な内部人工器官の近位部分から第1の一次スリーブを解放することと、また近位部分にわたって二次スリーブを残すことと、を含む、項目13の方法。
【0063】
項目17:側枝ポータルは、第2の一次スリーブと二次スリーブとの間の空間を介して拡張可能な内部人工器官を出る、項目16の方法。
【0064】
項目18:側枝中で側枝構成部分を有する拡張可能な内部人工器官の近位部分および遠位部分の両方を充分拡張させることは、拡張可能な内部人工器官の遠位部分から第2の一次スリーブを解放することと、拡張可能な内部人工器官の近位部分から二次スリーブを解放することと、を含む、項目16の方法。
【0065】
項目19:拡張可能な内部人工器官は、ステントグラフトである、項目13の方法。
【0066】
項目20:血管は、胸部大動脈瘤を含む、項目13の方法。
【0067】
本開示の精神内、特に開示の原理内の組み合わせを含む一部の構造、材料、要素、構成部分、形、サイズおよび配置に関して、開示された例に、付属の請求項に表された用語の広い、一般的な意味によって示される全範囲まで、種々の改質を行うことができる。例えば、種々の例示的形状が提供されているが、内部人工器官拘束スリーブが段階的な配置を提供するための多数の追加の形状は本開示の精神の範囲内で容易に行うことができる。これらの種々の改質および形状が付属の請求項の精神および範囲を離れない範囲で、それらはそこに包含されることを意図する。
(態様)
(態様1)
内部人工器官送達システムであって、
側枝ポータルを含む拡張可能な内部人工器官と、
前記拡張可能な内部人工器官の近位部分を畳まれた形状に解放可能に拘束する第1の一次スリーブと、
前記第1の一次スリーブと並行している第2の一次スリーブであって、前記第2の一次スリーブは前記拡張可能な内部人工器官の遠位部分を前記畳まれた形状に解放可能に拘束する、第2の一次スリーブと、
前記第1の一次スリーブ内の二次スリーブであって、前記第1の一次スリーブの解放により、前記二次スリーブは前記拡張可能な内部人工器官の前記近位部分を部分的に拡張された形状に解放可能に拘束して、前記拡張可能な内部人工器官の前記部分的に拡張された近位部分を介して前記側枝ポータルへのアクセスを可能にする、二次スリーブと、を含む、内部人工器官送達システム。
(態様2)
前記側枝ポータルは、前記第2の一次スリーブと前記二次スリーブとの間の空間を介して前記拡張可能な内部人工器官を出る、態様1に記載の内部人工器官送達システム。
(態様3)
前記拡張可能な内部人工器官の前記部分的に拡張された近位部分を介して前記側枝ポータルを通って送達するために構成されている側枝構成部分をさらに含む、態様1または態様2に記載の内部人工器官送達システム。
(態様4)
前記拡張可能な内部人工器官の中心内腔を通って伸びる第1のガイドワイヤーと、
前記拡張可能な内部人工器官の前記近位部分および前記側枝ポータルを通って伸びる第2のガイドワイヤーと、
をさらに含み、
前記中心内腔は、前記拡張可能な内部人工器官の前記近位部分および前記拡張可能な内部人工器官の前記遠位部分の両方を通って伸びる、態様1〜3のいずれか一項に記載の内部人工器官送達システム。
(態様5)
前記第2の一次スリーブまたは前記二次スリーブのいずれかを解放することなく前記第1の一次スリーブを解放するように構成されている結合部材をさらに含む、態様1〜4のいずれか一項に記載の内部人工器官送達システム。
(態様6)
前記結合部材は、第1の結合部材であり、前記内部人工器官送達システムは、前記第2の一次スリーブまたは前記二次スリーブの両方を解放するように構成されている第2の結合部材をさらに含む、態様5に記載の内部人工器官送達システム。
(態様7)
前記内部人工器官は、バルーン拡張可能なステント構成部分を含む、態様1〜6のいずれか一項に記載の内部人工器官送達システム。
(態様8)
前記内部人工器官は、自己拡張ステント構成部分を含む、態様1〜7のいずれか一項に記載の内部人工器官送達システム。
(態様9)
前記内部人工器官は、延伸ポリテトラフルオロエチレン(ePTFE)フィルムを含むグラフト構成部分を含む、態様1〜8のいずれか一項に記載の内部人工器官送達システム。
(態様10)
前記内部人工器官は、ステントグラフトである、態様1〜9のいずれか一項に記載の内部人工器官送達システム。
(態様11)
前記拡張可能な内部人工器官は、胸部大動脈瘤を治療するように構成されている、態様1〜10のいずれか一項に記載の内部人工器官送達システム。
(態様12)
患者の血管内に内部人工器官をインプラントする方法であって、
前記血管の中へ第1のガイドワイヤーを挿入することと、
前記血管の側枝の中へ第2のガイドワイヤーを挿入することと、
前記第1のガイドワイヤーおよび第2のガイドワイヤーにわたって前記側枝の近傍の場所に側枝ポータルを含む拡張可能な内部人工器官を進めることと、
充分に拘束された前記拡張可能な内部人工器官の遠位部分を残しながら、前記拡張可能な内部人工器官の近位部分を部分的に拡張させることと、
前記拡張可能な内部人工器官の前記遠位部分を充分に拘束しながら、前記拡張可能な内部人工器官の前記部分的に拡張された近位部分を介して前記側枝の中へ前記第2のガイドワイヤーにわたって側枝構成部分を進めることと、
それらの意図された配置場所に前記拡張可能な内部人工器官および前記側枝構成部分を配置することと、
前記側枝中の前記側枝構成部分と伴に、前記拡張可能な内部人工器官の前記近位部分および前記遠位部分の両方を充分に拡張させることと、
を含む、方法。
(態様13)
前記拡張可能な内部人工器官の遠位部分を充分に拘束させながら前記拡張可能な内部人工器官の近位部分を部分的に拡張させることは、前記拡張可能な内部人工器官の前記遠位部分にわたって第2の一次スリーブあり、およびまた前記近位部分にわたって二次スリーブがありながら、前記拡張可能な内部人工器官の前記近位部分から第1の一次スリーブを解放することを含む、態様12に記載の方法。
(態様14)
前記側枝ポータルは、前記第2の一次スリーブと前記二次スリーブとの間の空間を介して前記拡張可能な内部人工器官を出る、態様13に記載の方法。
(態様15)
前記側枝中に前記側枝構成部分を有する前記拡張可能な内部人工器官の前記近位部分および前記遠位部分を充分に拡張させることは、前記拡張可能な内部人工器官の前記遠位部分から前記第2の一次スリーブを解放することと、前記拡張可能な内部人工器官の前記近位部分から前記二次スリーブを解放することと含む、態様13または態様14に記載の方法。
図1
図2A
図2B
図3A
図3B
図3C
図3D
図3E
図3F
図3G