(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
さらに、前記第1の熱溶着部の外周側にあって前記易剥離部に対応する位置に蒸気排出部を形成して設けられ、前記蓋材に熱溶着される第2の熱溶着部を備えることを特徴とする請求項1に記載の電子レンジ用容器。
さらに、前記フランジ部の前記蒸気排出部の外側に対向する位置に、減圧時に前記容器本体の内部に付着しないように前記蓋材を係止する突起部を備えることを特徴とする請求項1から11のいずれか1項に記載の電子レンジ用容器。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、このような事情に鑑みてなされたものであり、その目的は、内容物の漏れをより防止できる構造において、蒸気の排出量を調整し、蒸気の排出時のピー音を抑制し、水滴の滞留を防止する電子レンジ用容器を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、以下の構成によって把握される。
(1)電子レンジ用容器であって、上部に開口を有する容器本体と、前記容器本体の前記開口から外側に延出するように形成されたフランジ部と、前記フランジ部の上面の全周に設けられ、前記開口を塞ぐフィルム状の蓋材に熱溶着される第1の熱溶着部と、を備え、前記第1の熱溶着部が、平面視において外側に向かって閉塞する易剥離部を有し、前記易剥離部がその外側先端部から剥離することを特徴とする。
【0008】
(2)上記(1)の構成において、さらに、前記第1の熱溶着部の外周側にあって前記易剥離部に対応する位置に蒸気排出部を形成して設けられ、前記蓋材に熱溶着される第2の熱溶着部を備える。
【0009】
(3)上記(1)の構成において、前記第1の熱溶着部がリブ状に形成されている。
【0010】
(4)上記(2)の構成において、前記第2の熱溶着部がリブ状に形成されている。
【0011】
(5)上記(1)から(4)いずれか1つの構成において、前記易剥離部が内側両付け根部よりも低い前記外側先端部を有する。
【0012】
(6)上記(1)から(5)いずれか1つの構成において、前記易剥離部が、平面視において外側に向かって閉塞するW字部によって形成されている。
【0013】
(7)上記(6)の構成において、前記易剥離部が内側両付け根部よりも低い内側中央先端部を有する。
【0014】
(8)上記(1)の構成において、前記第1の熱溶着部が帯状に形成されている。
【0015】
(9)上記(1)の構成において、前記第2の熱溶着部が帯状に形成されている。
【0016】
(10)上記(1)、(8)及び(9)のいずれか1つの構成において、前記易剥離部が内側両付け根部よりも高い前記外側先端部を有する。
【0017】
(11)上記(1)、(8)、(9)及び(10)のいずれか1つの構成において、前記易剥離部が、平面視において外側に向かって閉塞するW字部によって形成されている。
【0018】
(12)上記(11)の構成において、前記易剥離部が内側両付け根部よりも高い内側中央先端部を有する。
【0019】
(13)上記(1)から(12)いずれか1つの構成において、さらに、前記フランジ部の前記蒸気排出部の外側に対向する位置に、減圧時に前記容器本体の内部に付着しないように前記蓋材を係止する突起部を備える。
【発明の効果】
【0020】
本発明によれば、内容物の漏れをより防止できる構造において、蒸気の排出量を調整し、蒸気の排出時のピー音を抑制し、水滴の滞留を防止する電子レンジ用容器を提供することができる。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、添付図面を参照して、本発明を実施するための形態(以下、「実施形態」と称する)について詳細に説明する。実施形態の説明の全体を通して同じ要素には同じ番号を付している。
【0023】
(第1実施形態)
(電子レンジ用容器の全体構成)
まず、第1実施形態に係る電子レンジ用容器の全体構成を
図1に基づいて説明する。
図1に示すように、電子レンジ用容器10は、開口21を有するとともに開口21から内容物11が充填される容器本体20と、開口21を塞ぐフィルム状の蓋材50と、を主要素とする。容器本体20と蓋材50は、いずれも樹脂材料によって形成される。容器本体20に収容される内容物11は、各種の食品などであり、電子レンジを用いて加熱されるものであれば、種類は任意である。
【0024】
また、電子レンジ用容器10は、フランジ部22と、このフランジ部22の上面に形成され、蓋材50に熱溶着される第2の熱溶着部23A及びその外周側の第1の熱溶着部23Bと、を備える。さらに、電子レンジ用容器10は、蓋材50を係止する突起部24をフランジ部22に備える。第2の熱溶着部23Aには蒸気排出部25が、第1の熱溶着部23Bには蒸気排出部25に対応する位置に易剥離部27(W字部)が設けられている。以下、電子レンジ用容器10の各部の構成について、
図1から
図3に基づいて説明する。
【0025】
図2に示すように、容器本体20は、底20aをもつ収容部20bを有する。収容部20b、底20a及び開口21は、平面視で四隅に丸みを有するほぼ四角形(この例では、ほぼ正方形)を呈する。
【0026】
フランジ部22は、開口21から外側に延出するように形成される。また、フランジ部22は、第2の熱溶着部23A及び第1の熱溶着部23Bが設けられる内側の部分(以下、「内側部分22a」と称する)よりも外側の部分であって収容部20bの四隅のそれぞれに対応した位置に、角部22bを有する。各角部22bは、段差22cを介して内側部分22aに連なり、内側部分22aよりも一段低い位置に形成される。
【0027】
なお、容器本体20の成形の際の反りを予め見越し、フランジ部22の延出端に向かって、内側部分22aを水平面に対し下方に傾斜させてもよい。このようなフランジ部22の傾斜は、フランジ部22の全周においてほぼ同様に形成することができる。
【0028】
図1に戻る。
図1に示すように、蓋材50は、フランジ部22の外周とほぼ同じ大きさの外周を有する。蓋材50は、内容物11を収容部20bに充填した後に、第2の熱溶着部23A及び第1の熱溶着部23Bに熱溶着(シール)されることによって、開口21を閉塞し収容部20bを密閉する。
【0029】
図2に示すように、第2の熱溶着部23Aは、フランジ部22の内側部分22aの上面の全周のうち、蒸気を排出するために切り欠かれた蒸気排出部25を除いて、リブ状に形成され、蓋材50に熱溶着される。この例では、蒸気排出部25は、フランジ部22の一つの角部22bの内側近傍に設けられる。
【0030】
第1の熱溶着部23Bは、第2の熱溶着部23Aの内周側に凹部26を形成するようにリブ状に形成され、蓋材50に熱溶着される。第1の熱溶着部23Bは、フランジ部22の内側部分22aの上面の全周にわたって形成されている。第1の熱溶着部23Bは、フランジ部22の内側部分22aの上面において容器本体20の開口21を囲むように、ほぼ四角形(この例では、ほぼ正方形)に形成されている。そして、この第1の熱溶着部23Bは、蒸気排出部25に対応する位置に外側へ向かうW字部27(易剥離部)を有する(
図3参照)。
【0031】
ここで、第1の熱溶着部23Bは、第2の熱溶着部23Aよりも低い位置に形成してもよい。これにより、シールバー(図示省略)で蓋材50を第2の熱溶着部23A及び第1の熱溶着部23Bに対して上方から押圧したとき、第1の熱溶着部23Bに対するシールバーの押圧力が第2の熱溶着部23Aに対するシールバーの押圧力よりも小さくなるため、第1の熱溶着部23Bにおける蓋材50との溶着強度が、第2の熱溶着部23Aにおける蓋材50との溶着強度よりも低くなる。これにより、電子レンジ用容器10を電子レンジで加熱し、収容部20b内の蒸気圧が上昇し所定の圧力に達したとき、蓋材50は、第2の熱溶着部23Aのシール面よりも先に、第1の熱溶着部23Bのシール面のいずれかの場所において剥離する。すなわち、第2の熱溶着部23A及び第1の熱溶着部23Bにおいては、収容部20b内の蒸気圧が所定の圧力に達したとき、第2の熱溶着部23Aと蓋材50のシール性は維持する一方、第1の熱溶着部23Bと蓋材50のシール性は喪失させる。
【0032】
なお、第1の熱溶着部23Bの幅を第2の熱溶着部23Aの幅よりも小さくすることによっても、第1の熱溶着部23Bにおける溶着強度を、第2の熱溶着部23Aにおける溶着強度よりも低くすることが可能である。
【0033】
凹部26は、第2の熱溶着部23A及び第1の熱溶着部23Bの間に溝状に形成されており、収容部20b内の蒸気圧が所定の圧力に達し、第1の熱溶着部23Bがいずれかの場所で蓋材50と剥離したとき、その剥離した箇所からの蒸気を蒸気排出部25へ誘導する機能を有する。
【0034】
W字部27は、平面視において、フランジ部22の1つの角部22bに向かって(外側に向かって)閉塞するようにW字部に形成される(
図2参照)。本実施形態では、後述するように、電子レンジ用容器10を電子レンジで加熱すると、収容部20b内に生じる蒸気圧の上昇により、W字部27の外側両先端部27a,27aから蒸気が抜ける。また、使用者が、蓋材50の端部(この例では、
図1に示される蓋材50の角部50a)を摘み、引き上げるようにして蓋材50をW字部27から剥離する際にも、力がW字部27の外側両先端部27a,27a側に集中するため、小さな力でも蓋材50を容易に剥離することができる。
【0035】
なお、蒸気圧の上昇による剥離あるいは使用者による剥離において、蓋材50が容易に剥離されることを考慮すると、容器本体20の少なくとも第1の熱溶着部23Bと、蓋材50の少なくとも裏面とは、剥離に必要な力が小さくて済むような材質の組み合わせであることが望ましい。剥離し易い材質の組み合わせとしては、例えば、容器本体20の少なくとも第1の熱溶着部23Bには、ポリエチレン(PE)にポリプロピレン(PP)を混ぜ合わせた材料を用い、蓋材50の少なくとも裏面には、ポリエチレン(PE)を用いるなど、溶着可能ではあるが互いに異なる材質の組み合わせを用いることができる。
【0036】
図3に戻る。
図3に示すように、突起部24は、角部22b上であって蒸気排出部25の外側に対向する位置に設けられる。突起部24は、蒸気排出部25の近傍に配置され、上方に向かって先細る円錐状の基部24aと、この基部24aの上部に形成される球面部24bとを有する。球面部24bには、蓋材50の角部50a(
図1参照)が熱溶着される。突起部24は、収容部20bの減圧時に蓋材50の角部50aを係止する作用をなす。突起部24を蒸気排出部25の近傍に設けることにより、蓋材50が収容部20bの減圧時に内容物11に付着することを、より一層防止することができる。なお、突起部24の構成は、この例に格別に限定されるものではく、収容部20bの減圧時に蓋材50の角部50aを係止可能な構成であれば任意である。
【0037】
(W字部(易剥離部))
W字部27(易剥離部)について、
図4及び
図5を参照して、さらに詳しく説明する。
図4はW字部27を拡大して示しており、W字部27は、次のように分解して把握される。すなわち、W字部27は、外側両先端部27a,27aと、内側中央先端部27bと、内側両付け根部27c,27cと、外側両先端部27a,27aと内側中央先端部27bを結ぶ中央両辺部27d,27dと、外側両先端部27a,27aと内側両付け根部27c,27cを結ぶ付け根両辺部27e,27eとから構成されている。
【0038】
W字部27は、全体として、側面視において外側に向かって下方へ傾斜することにより、前述したように、収容部20b内に生じる蒸気圧の上昇による剥離の場合においても、また、使用者の手による剥離の場合においても、外側両先端部27a,27aから剥離するように構成されている。これをさらに細部にみると、次のとおりである。
【0039】
W字部27において、
図5に示すように、外側両先端部27a,27aは、内側中央先端部27bよりも低くなるように設定されている。そして、それらを結ぶ中央両辺部27d,27dは、水平面に対し傾斜角度θ1をもって外側に向かって下方へ傾斜している。このように構成することにより、蓋材50を容器本体20のフランジ部22に熱溶着した際、外側両先端部27a,27aが内側中央先端部27bよりも軽度に熱溶着されることとなるため、剥離し易くなる。
【0040】
ここで、内側中央先端部27bは、内側両付け根部27c,27cと同じ高さでも又はそれよりも低くてもよい。
図5では、内側中央先端部27bが内側両付け根部27c,27cよりも高さh1分だけ低くなった例を示している。これは、中央両辺部27d,27dが付け根両辺部27e,27eよりも短く設定されていることから、内側中央先端部27bが内側両付け根部27c,27cよりも結果として低くなっている。このように中央両辺部27d,27dと付け根両辺部27e,27eの相対的な長短を設定することにより、内側両付け根部27c,27c、内側中央先端部27b、外側両先端部27a,27aにおける熱溶着の強度を調整することが可能となる。なお、付け根両辺部27e,27eは水平面に対し傾斜角度θ1をもってやはり外側に向かって下方へ傾斜しているため、中央両辺部27d,27dと付け根両辺部27e,27eとの熱溶着の強度は変わらない。
【0041】
蓋材50を構成するフィルムと、中央両辺部27d,27d又は付け根両辺部27e,27eとのシール性について、傾斜角度θ1を変化させながら実験を重ねたところ、次のような結果が得られた。
【表1】
【0042】
この結果を踏まえ、傾斜角度θ1を5.50度以下とすることにより、前述したように、W字部27の外側両先端部27a,27aにおいて、他の部分よりも高い剥離性を得ることができる。
【0043】
(作用)
続いて、電子レンジ用容器10の作用を
図6及び
図7に基づいて説明する。
図6に示すように、電子レンジ用容器10を電子レンジで加熱すると、収容部20b内に生じる蒸気圧の上昇により、蓋材50が膨らむ。蓋材50が膨らむと、
図6において矢印(1)で示すように、剥離した箇所すなわち外側両先端部27a,27aからの蒸気は、蒸気排出部25から外部に排出される。
【0044】
そして、使用者は、
図7において矢印(2)で示すように、蒸気排出部25に対応する蓋材50の角部50aを摘まんで持ち上げ、引き上げるようにして蓋材50を突起部24及びW字部27から剥離する。この際、W字部27が外側に向かって閉塞するように形成されているので、使用者は、より小さな力で蓋材50の剥離を開始でき、蓋材50を容器本体20から容易に取り除くことができる。
【0045】
(第1実施形態の効果)
以上、説明した第1実施形態の効果について述べる。第1実施形態によれば、W字部27(易剥離部)の外側両先端部27a,27aが蒸気圧によってまず剥離されて同箇所から蒸気が排出される。これにより、W字部27が内側から外側への剥離の広がりが抑制されることによって蒸気の排出量が調整され、内容物の蒸らし効果が維持される。また、蓋材の端部までの距離が短いことにより、蒸気の排出時にピー音の発生が抑制される。さらには、蒸気が排出された後の減圧時にW字の中央のV字で囲まれた部分に水滴が滞留しないことによって蒸気が排出され、容器本体20が内部に充満した蒸気により変形することを防ぐという効果を奏することができる。
【0046】
(第2実施形態)
続いて、本発明の第2実施形態を
図8に基づいて説明する。第2実施形態は、第1実施形態におけるW字部27(易剥離部)おいて、内側中央先端部27bが内側両付け根部27c,27cよりもさらに低くなるように、高さh2分だけ低くしたものである。すなわち、外側両先端部27a,27aと内側中央先端部27bを結ぶ中央両辺部27d,27dを、外側両先端部27a,27aと内側両付け根部27c,27cを結ぶ付け根両辺部27e,27eよりも緩やかな傾斜角度θ2としたものである。このように構成することにより、蓋材50を容器本体20のフランジ部22に熱溶着した際、外側両先端部27a,27aを挟む中央両辺部27d,27dと付け根両辺部27e,27eにおいて熱溶着の強度をさらに異ならせることができることから、外側両先端部27a,27aに対する蒸気圧の応力がより一層集中し、剥離し易くなる。
【0047】
傾斜角度θ1及びθ2については、表1で示した結果を踏まえ、傾斜角度θ1及びθ2ともに、5.50度以下とし、その範囲において、傾斜角度θ2が傾斜角度θ1よりも小さくなるようにすることにより、前述したように、W字部27の外側両先端部27a,27aにおいて、他の部分よりも高い剥離性を得ることができる。
【0048】
(第3実施形態)
続いて、本発明の第3実施形態に係る容器本体を
図9に基づいて説明する。第3実施形態は、収容部20bの平面形状を角丸のほぼ長円形の形状としたものである。
図9に示すように、容器本体70は、平面形状がほぼ長方形の収容部20b及び開口21を有する。開口21から延出されるフランジ部22には、リブ状の第2の熱溶着部23A及びリブ状の第1の熱溶着部23Bが設けられる。そして、第1の熱溶着部23Bは、平面視において、蒸気排出部25に対応する位置に外側に向かって閉塞するようにW字部に形成されるW字部71を有する。W字部71は、外側に向く2つの外側両先端部71a,71aと、内側に向く1つの内側中央先端部71bと、第1の熱溶着部23Bへとつながる内側両付け根部71c,71cをもつ。
【0049】
このW字部71においても、第1実施形態及び第2実施形態と同様に、側面視において、フランジ部22の1つの角部22bに向かって(外側に向かって)下方へ傾斜している。すなわち、外側両先端部71a,71aは内側中央先端部71bよりも低く、内側両付け根部71c,71cは内側中央先端部71bよりも高く設定されている。それらの対応関係は、第1実施形態及び第2実施形態における外側両先端部27a,27a、内側中央先端部27b、内側両付け根部27c,27cの対応関係と同様である(
図5及び
図8参照)。この傾斜により、W字部71のうち外側両先端部71a,71aにおける溶着強度を他の部分よりもさらに小さく設定することができる。
【0050】
使用者は、蓋材50を摘み、引き上げるようにして蓋材50をW字部71から剥離する際、力をW字部71の2つの外側両先端部71a,71aのいずれか少なくとも一方側に集中させることにより、小さな力でも蓋材50を容易に剥離することができる。また、蒸気圧の上昇により蓋材50が自動開封する際、W字部71の外側両先端部71a,71aに応力が集中するため、より剥離が生じ易くなる。これにより、第1実施形態及び第2実施形態と同様に、W字部71が内側から外側への剥離の広がりが抑制されることによって蒸気の排出量が調整され、内容物の蒸らし効果が維持される。また、蓋材の端部までの距離が短いことにより、蒸気の排出時にピー音の発生が抑制される。さらには、蒸気が排出された後の減圧時にW字の中央のV字で囲まれた部分に水滴が滞留しないことによって蒸気が排出され、容器本体20が内部に充満した蒸気により変形することを防ぐという効果を奏することができる。
【0051】
なお、第3実施形態においても、第1実施形態及び第2実施形態と同様に、第1の熱溶着部23Bを第2の熱溶着部23Aよりも低い位置に形成したり、第1の熱溶着部23Bの幅を第2の熱溶着部23Aの幅よりも小さく形成したりすることもできる。これにより、第1の熱溶着部23Bの溶着強度を、第2の熱溶着部23Aの溶着強度よりも一層低く設定することができる。
【0052】
(第4実施形態)
次に、本発明の第4実施形態に係る容器本体80を
図10及び
図11に基づいて説明する。第4実施形態は、第2実施形態における第2の熱溶着部81A及び第1の熱溶着部81Bを、リブ状から帯状にしたものである。
図10に示すように、容器本体80は、平面形状がほぼ長方形の収容部20b及び開口21を有する。開口21から延出されるフランジ部22には、帯状の第2の熱溶着部81Aと帯状の第1の熱溶着部81B(いずれの溶着部も
図10においてドット模様で示される平坦な部分)が形成される。すなわち、第2の熱溶着部81A及び第1の熱溶着部81Bは、リブ状ではなく、第2の熱溶着部81A及び第1の熱溶着部81Bの間に蒸気が通り抜けできる空間(非熱溶着部82)ができる範囲で平坦な形状に形成されている。また、第1の熱溶着部81Bは、平面視において、蒸気排出部25に対応する位置に外側に向かって閉塞し、かつ、平坦な形状のW字部71を有する。
【0053】
第1の熱溶着部81Bは、シールヘッド90(熱板)を容器本体80のフランジ部22に押し当てることによって帯状に形成される。シールヘッド90は、W字部71(易剥離部)に対応する位置において、W字部71以外の箇所よりも薄い厚み(シールヘッド90の上部の基線から下方にみて低い高さ)を有するように構成されている。具体的には、W字部71は、
図11に示すように、例えば第2実施形態のW字部71の態様に対応するように構成された熱溶着用のシールヘッド90を用いて形成される。もちろん、第1実施形態のW字部27の態様に対応するものであってもよい。
図11では、シールヘッド90に、W字部71に対応するW字構造71’を表す部位の符号を付して説明している。すなわち、シールヘッド90は、外側両先端部71a’,71a’と、内側中央先端部71b’と、内側両付け根部71c’,71c’と、外側両先端部71a’,71a’と内側中央先端部71b’を結ぶ中央両辺部71d’,71d’と、外側両先端部71a’,71a’と内側両付け根部71c’,71c’を結ぶ付け根両辺部71e’,71e’とから構成されている。このシールヘッド90を蓋材50を介してフランジ部22の平坦な上面に押し当てることにより、蓋材50と溶着したW字部71がフランジ部22の上面に形成される。
【0054】
シールヘッド90をフランジ部22に押し当てることにより、W字部71は、内側両付け根部71c,71cよりも熱溶着の強度が弱い外側両先端部71a,71aを有するように形成される。また、内側両付け根部71c,71cよりも熱溶着の強度が弱い内側中央先端部71bを有するように形成される。すなわち、第4実施形態のW字部71は、シールヘッド90のW字構造71’を上下に反転した態様で形成される。
【0055】
すなわち、外側両先端部71a,71aと内側中央先端部71bを結ぶ中央両辺部71d,71dは、水平面に対し傾斜角度θ2をもって外側に向かって上方へ傾斜している。このように構成することにより、蓋材50を容器本体20のフランジ部22に熱溶着した際、外側両先端部71a,71aが内側中央先端部71bよりも軽度に熱溶着されることとなるため、剥離し易くなる。
【0056】
そして、外側両先端部71a,71aをさらに剥離し易くするため、外側両先端部71a,71aと内側両付け根部71c,71cを結ぶ付け根両辺部71e,71eは、水平面に対し傾斜角度θ1をもってやはり外側に向かって上方へ傾斜している。その傾斜角度θ1は、中央両辺部71d,71dの傾斜角度θ2よりも大きな傾斜角度に構成されている。このように構成することにより、蓋材50を容器本体20のフランジ部22に熱溶着した際、外側両先端部71a,71aを挟む中央両辺部71d,71dと付け根両辺部71e,71eにおいて熱溶着の強度が異なることから、外側両先端部71a,71aに対する蒸気圧の応力がより一層集中し、剥離し易くなる。
【0057】
これにより、第1実施形態及び第2実施形態と同様に、W字部71が内側から外側への剥離の広がりが抑制されることによって蒸気の排出量が調整され、内容物の蒸らし効果が維持される。また、蓋材の端部までの距離が短いことにより、蒸気の排出時にピー音の発生が抑制される。さらには、蒸気が排出された後の減圧時にW字の中央のV字で囲まれた部分に水滴が滞留しないことによって蒸気が排出され、容器本体20が内部に充満した蒸気により変形することを防ぐという効果を奏することができる。
【0058】
(変形例)
第1実施形態から第4実施形態では、易剥離部を平面視において外側に向かって閉塞するW字部27又はW字部71で構成したが、本発明の適用にあたっては、その形状は外側両先端部27a,27a又は外側両先端部71a,71aのように外側に向かって尖頭状になっているW字部(外側先端部が1つであるV字部を含む)に限定されない。このほかにも、例えば、易剥離部を外側に向かって閉塞するU字部で構成し、外側先端部を円弧状のものに形成しても各実施形態と同様の効果を得ることができる。
【0059】
(結語)
以上、実施形態を用いて本発明を説明したが、本発明の技術的範囲は上記実施形態に記載の範囲には限定されないことは言うまでもない。上記実施形態に、多様な変更または改良を加えることが可能であることが当業者に明らかである。また、その様な変更または改良を加えた形態も本発明の技術的範囲に含まれ得ることが、特許請求の範囲の記載から明らかである。
【符号の説明】
【0060】
10…電子レンジ用容器
11…内容物
20…容器本体(第1実施形態、第2実施形態)
21…開口
22…フランジ部
23A…第2の熱溶着部(第1実施形態、第2実施形態)
23B…第1の熱溶着部(第1実施形態、第2実施形態)
24…突起部
25…蒸気排出部
26…凹部
27…W字部(易剥離部)(第1実施形態、第2実施形態)
27a…外側両先端部
27b…内側中央先端部
27c…内側両付け根部
50…蓋材
70…容器本体(第3実施形態)
71…W字部(易剥離部)(第3実施形態、第4実施形態)
71a…外側両先端部(第3実施形態、第4実施形態)
71b…内側中央先端部(第3実施形態、第4実施形態)
71c…内側両付け根部(第3実施形態、第4実施形態)
80…容器本体(第4実施形態)
81A…第2の熱溶着部(第4実施形態)
81B…第1の熱溶着部(第4実施形態)
82…非熱溶着部
90…シールヘッド(熱板)