(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記選択部は、前記無線タグからの電波の電波強度に基づいて、前記複数のアンテナのうちから前記書き込み用アンテナを選択することを特徴とする請求項1に記載の無線タグ通信装置。
前記選択部は、前記複数のアンテナのうち前記無線タグからの電波の電波強度が最も大きくなるアンテナを前記書き込み用アンテナとして選択することを特徴とする請求項2に記載の無線タグ通信装置。
前記選択部は、前記複数のアンテナのうち前記無線タグからの電波の電波強度が一定値以上となるアンテナの1つを前記書き込み用アンテナとして選択することを特徴とする請求項2に記載の無線タグ通信装置。
【発明を実施するための形態】
【0021】
[第1実施形態]
以下、本発明に係る無線タグ通信装置を具現化した第1実施形態について、図面を参照して説明する。
図1に示す無線タグ通信装置20は、製品等の搬送対象の搬送中に当該搬送対象に付したRFタグ等の無線タグに対して読み書きする通信装置である。本実施形態では、搬送対象11は、例えば、工場内にて製造されて出荷される製品等であり、それぞれに無線タグとしてRFタグ12が付されており、各RFタグ12には搬送対象11を特定するためのタグIDやその搬送対象11に関連する情報等がそれぞれ記憶されている。各搬送対象11は、所定数まとめた状態で、床面を金属板等にて覆うようにして構成される搬送路1上を滑るようにしてコンテナ2内に搬送され、搬送対象11が一定数搬入されることで、コンテナ2ごと出荷される。なお、
図1では、RFタグ12a〜12cがそれぞれ付された3つの搬送対象11a〜11cが搬送路1上を搬送される状態を例示している。
【0022】
本実施形態では、
図1に示すように、無線タグ通信装置20は、3つのアンテナ(第1アンテナ21、第2アンテナ22、第3アンテナ23)を備えている。これら各アンテナ21〜23は、
図2に示すように、搬送路1に対して高さが異なるように、具体的には、第1アンテナ21、第2アンテナ22、第3アンテナ23の順で高さが低くなるように配置されている。無線タグ通信装置20は、各搬送対象11が搬送路1上をまとめて搬送される際、搬送対象11に付されるRFタグ12からの電波に基づいて、そのRFタグ12に対する書き込みに適したアンテナを各アンテナ21〜23のうちからRFタグ12ごとに選択し、そのRFタグ12について選択されたアンテナを利用して書き込みを行うように機能する。このRFタグ12ごとに選択されたアンテナを利用して書き込みを行う読み書き処理については後述する。
【0023】
図3に示すように、無線タグ通信装置20は、装置全体を制御する制御部30を備えており、この制御部30は、マイコンを主体として構成されるものであり、CPU、システムバス、入出力インタフェース等を有しており、メモリ31とともに情報処理装置を構成し得るもので情報処理機能を有している。また、制御部30には、操作部32、表示部33および通信インタフェース34などが接続されている。
【0024】
操作部32は、例えば、キーボードやマウスであって、制御部30に対して操作信号を入力する構成をなしており、制御部30は、これらからの操作信号を受けて操作信号の内容に応じた動作を行うようになっている。また、表示部33は、例えば、モニタであって、制御部30によって表示制御される構成をなしており、制御部30から表示処理等に関する指令を受けて動作するようになっている。通信インタフェース34は、各搬送対象に付されたRFタグに対する読み書き結果等に関して外部ホスト装置や後述するRFタグリーダライタ等の付属機器との間でデータ通信を行うためのインタフェースとして構成されており、制御部30と協働して通信処理を行う構成をなしている。
【0025】
また、無線タグ通信装置20は、当該制御部30から入力される送信データを符号化して所定の送信信号として出力する送信部41と、送信部41からの送信される信号の出力を調整する送信出力調整部42と、いずれかのアンテナを介して受信された受信信号を復号化した受信データを制御部30に入力する受信部43と、受信部43における受信時の感度を調整するための受信感度調整部44と、切替部45とを有する通信ユニットを備えている。切替部45は、制御部30から入力される切替信号に応じて、送信部41からの送信される送信信号を上記各アンテナ21〜23のいずれかを介して出力し、上記各アンテナ21〜23のいずれかを介して受信される受信信号を受信部43に出力するように構成されている。これら機能は、例えば、制御部30により所定のアプリケーションが実行されることで上記通信ユニットにより実現されるように構成されている。
【0026】
ここで、無線タグ通信装置20の読取対象となるRFタグ12の電気的構成について、
図4を参照して説明する。
図4に示すように、RFタグ12は、アンテナ51,電源回路52,復調回路53,制御回路54,メモリ55,変調回路56などによって構成されている。電源回路52は、アンテナ51を介して受信した無線タグ通信装置20等からの送信信号(キャリア信号)を整流、平滑して動作用電源を生成するものであり、その動作用電源を、制御回路54をはじめとする各構成要素に供給している。
【0027】
また、復調回路53は、送信信号(キャリア信号)に重畳されているデータを復調して制御回路54に出力している。メモリ55は、ROM,EEPROM等の各種半導体メモリによって構成されており、タグIDを格納するUII(Unique Item Identifier)やユーザが自由にデータを読み書き可能なユーザエリア等が構築されている。制御回路54は、メモリ55に記憶される所定のプログラムの実行に応じて、メモリ55の所定の領域に対して読み書きを行い、要求に応じた情報をメモリ55から読み出した場合には、それを送信データとして変調回路56に出力するように機能する。変調回路56は、応答信号(キャリア信号)を上記送信データで負荷変調してアンテナ51から反射波として送信するように構成されている。
【0028】
次に、搬送路1上を各搬送対象11が搬送される際に各RFタグ12への書き込み精度の向上を図るために、制御部30にて行われる処理について説明する。
搬送対象11に付されたRFタグ12に対して読み書きを行う場合、読み取りができたアンテナでも書き込みができない場合がある。書き込み処理は、読み取り処理よりも必要な電力が多くなりRFタグ12にて電力をためるために時間がかかる等により、同じRFタグ12に対して書き込み可能な電波距離(無線通信距離)が読み取り可能な電波距離よりも短くなるためである。
【0029】
このような電波距離だけの問題だけではなく、他の要因によっても読み取りができたアンテナでも書き込みができない場合がある。具体的には、例えば、
図9(A)に例示するように、各搬送対象11a〜11cが各アンテナ21〜23に近づくように所定の位置まで移動したときに、一番下の第3アンテナ23を利用して一番上のRFタグ12aを読み取れた場合を想定する。この読み取りの後に同じ第3アンテナ23を利用して一番上のRFタグ12aに所定の情報を書き込もうとした場合、各搬送対象11a〜11cが
図9(B)に例示する位置まで搬送されているために、第3アンテナ23を利用した一番上のRFタグ12aへの書き込みが失敗してしまう場合がある。
【0030】
また、例えば、
図10(A)に例示するように、アンテナ24,25が搬送方向両側に配置される搬送路を、RFタグ12d,12eがそれぞれ付された搬送対象11d,11eが搬送される際に、アンテナ24を利用して反対側のRFタグ12eが読み取れた場合を想定する。この読み取りの後に同じアンテナ24を利用して反対側のRFタグ12eに所定の情報を書き込もうとした場合、各搬送対象11d,11eが
図10(B)に例示する位置まで搬送されているために、アンテナ24を利用した反対側のRFタグ12eへの書き込みが失敗してしまう場合がある。特に、金属製の搬送路1等、搬送路周辺の金属体等による電波の反射の影響などのために、これらのような問題が顕著になる場合がある。
【0031】
一方で、
図9(B)の場合では、RFタグ12aとほぼ同じ高さに位置する第1アンテナ21を第3アンテナ23に代えて利用することで、そのRFタグ12aへの書き込み精度(書き込み成功率)を向上させることができる。また、
図10(B)の場合では、RFタグ12eと同じ側に位置するアンテナ25をアンテナ24に代えて利用することで、そのRFタグ12eへの書き込み精度を向上させることができる。すなわち、読み取り処理に適したアンテナと書き込み処理に適したアンテナとは常に一致せず、RFタグ12の読み取りに成功したアンテナに代えて他のアンテナを利用することで、そのRFタグ12に対する書き込み精度が向上する場合がある。
【0032】
そこで、本実施形態では、制御部30にて行われる電波強度計測処理において、RFタグ12からの電波、具体的には、RFタグ12からの電波の電波強度(RSSI:受信信号強度)をアンテナごとに計測する。例えば、
図1に例示するように、各アンテナ21〜23のいずれかを利用してRFタグ12a〜12cに対して読み書きを行う場合、RFタグ12aに対する各アンテナ21〜23での電波強度がそれぞれ計測され、RFタグ12bに対する各アンテナ21〜23での電波強度がそれぞれ計測され、RFタグ12cに対する各アンテナ21〜23での電波強度がそれぞれ計測される。
【0033】
そして、上記電波強度計測処理と並行して制御部30にて行われる読み書き処理では、上記電波強度計測処理にて得られる各電波強度を利用して、そのRFタグ12との通信状態が良いアンテナを複数のアンテナのうちから書き込み用アンテナとして選択し、この書き込み用アンテナを利用して、RFタグ12に所定の情報が書き込まれる。例えば、RFタグ12aに書き込む場合、各アンテナ21〜23のうち第1アンテナ21がRFタグ12aに対して電波強度が最も大きくなるアンテナであれば、第1アンテナ21が書き込み用アンテナとして選択されて、この第1アンテナ21を利用してRFタグ12aに所定の情報が書き込まれる。
【0034】
以下、制御部30にて行われる読み書き処理について、
図5のフローチャートを参照して説明する。なお、以下の説明では、
図1に例示するように、3つの搬送対象11a〜11cが搬送される搬送状態について詳述する。
【0035】
各搬送対象11a〜11cが搬送路1上を搬送される際に、制御部30にて読み書き処理が開始されると、まず、ステップS101に示すタグID取得処理がなされ、各アンテナ21〜23のいずれか1つを利用して、各搬送対象11a〜11cにそれぞれ付されるRFタグ12a〜12cに記録されるタグIDが一括して読み取られる。なお、予め決められたアンテナを利用してタグIDを一括取得するだけでなく、各アンテナ21〜23それぞれにて一括取得したタグIDを集計した結果に応じて取得するようにしてもよい。
【0036】
以降の処理では、RFタグ12a〜12cのタグIDを一括して読み取っていることから、RFタグ12a、RFタグ12b、RFタグ12cの順に個別に読み書きがなされることとなる。まず、RFタグ12aに対して、ステップS103に示す読み取り処理にて、記録されている所定の情報を読み取るための処理がなされる。この読み取りが成功するまでステップS105の判定処理にてNoと判定されて、上記ステップS103からの処理が繰り返され、読み取りが成功すると(S105でYes)、ステップS107に示すアンテナ選択処理がなされる。この処理では、上記電波強度計測処理の結果を利用して、RFタグ12aに対する各アンテナ21〜23での電波強度を取得し、電波強度が最も大きくなるアンテナが書き込み用アンテナとして選択される。なお、ステップS107の処理を行う制御部30は、「選択部」の一例に相当し得る。
【0037】
続いて、ステップS109に示す書き込み処理にて、書き込み用アンテナを利用した書き込みを行うための処理がなされる。上記ステップS107にてアンテナ21がRFタグ12aに対して電波強度が最も大きくなることから書き込み用アンテナとして選択される場合には、このアンテナ21を利用してRFタグ12aに対して書き込みがなされる。この書き込み処理が成功すると(S111でYes)、上記S101にて取得した全てのタグIDについて読み書き処理が終了していないので、ステップS113にてNoと判定されて、次のRFタグ12bについて、上記ステップS103以降の処理がなされる。なお、ステップS109の処理を行う制御部30は、「書込部」の一例に相当し得る。
【0038】
一方、書き込み処理が失敗すると(S111でNo)、上記ステップS107からの処理がなされる。これにより、書き込みが失敗した場合には、再度、上記電波強度計測処理の結果を利用して書き込み用アンテナが選択されるため、RFタグ12が搬送対象11とともに移動することで電波強度が変化する場合でも、その書き込みタイミングに適した書き込み用アンテナを選択することができる。
【0039】
そして、RFタグ12a〜12cに対する読み書きが成功すると、ステップS113にてYesと判定されて、本読み書き処理が終了する。
【0040】
以上説明したように、本実施形態に係る無線タグ通信装置20では、RFタグ(無線タグ)12からの電波に基づいて、複数のアンテナのうちRFタグ12に書き込む際に利用するアンテナが書き込み用アンテナとして選択される。そして、選択された書き込み用アンテナを利用して、RFタグ12に所定の情報が書き込まれる。
【0041】
これにより、様々な搬送対象11が搬送される場合でも、その搬送対象11に付されたRFタグ12との通信状態が良いアンテナを複数のアンテナのうちから書き込み用アンテナとして選択することができる。したがって、搬送中のRFタグ12に対する書き込み精度の向上を図ることができる。
【0042】
特に、アンテナ選択処理では、複数のアンテナのうちRFタグ12からの電波の電波強度(RSSI)が最も大きくなるアンテナが書き込み用アンテナとして選択される。このように電波強度が最も大きくなるアンテナを書き込み用アンテナとして選択することで、そのRFタグ12との通信状態に関して数値的に最も良いと判断され得るアンテナを書き込み用アンテナとして選択できるので、搬送中のRFタグ12に対する書き込み精度をより一層向上させることができる。
【0043】
なお、アンテナ選択処理では、複数のアンテナのうちRFタグ12からの電波の電波強度が最も大きくなるアンテナが書き込み用アンテナとして選択されることに限らず、RFタグ12からの電波の電波強度に基づいて、例えば、RFタグ12からの電波の電波強度が一定値以上となるアンテナの1つが書き込み用アンテナとして選択されてもよい。
【0044】
このようにRFタグ12からの電波の電波強度を考慮することで、そのRFタグ12との通信状態を数値的に把握した上でより良いアンテナを書き込み用アンテナとして選択できるので、搬送中のRFタグ12に対する書き込み精度をさらに向上させることができる。特に、電波強度が一定値以上となるアンテナを書き込み用アンテナとして選択することで、全てのアンテナについての電波強度の計測を不要とし、迅速に書き込み用アンテナを選択することができる。例えば、上記電波強度計測処理において、各アンテナ21〜23の順で電波強度を計測する際に最初のアンテナの電波強度が一定値以上となれば、残りのアンテナの電波強度の計測が不要となり、処理負荷の軽減を図りつつ、迅速に書き込み用アンテナを選択することができる。
【0045】
さらに、各アンテナ21〜23は、搬送対象11の搬送路1に対して高さが異なるように配置されるため、搬送対象11a〜11cのように各搬送対象11が積層された状態で搬送路1上を搬送される場合には、RFタグ12との通信状態がアンテナごとに変わりやすくなるので、各搬送対象11のRFタグ12に対して書き込みに適したアンテナを選択しやすくすることができる。なお、複数のアンテナは、各アンテナ21〜23のように搬送路1に対してそれぞれの高さが異なるように配置されることに限らず、少なくとも一部が搬送路1に対してそれぞれ高さが異なるように配置されてもよい。
【0046】
なお、本実施形態の変形例として、無線タグ通信装置20は、複数のアンテナに代えて、複数のアンテナを有するRFタグリーダライタを備えるように構成されてもよい。すなわち、RFタグリーダライタの各アンテナを搬送路1に対して高さが異なるように配置して、RFタグ12からの電波に基づいて、そのRFタグ12との通信状態が良いアンテナを書き込み用アンテナとして選択することで、この書き込み用アンテナを利用したRFタグリーダライタにより、RFタグ12に所定の情報を書き込むことができる。
【0047】
この場合、RFタグリーダライタは、通信範囲にあるRFタグ12のタグIDとそのRFタグ12からの電波の電波強度とを、RFタグ12ごとに制御部30に対して通信インタフェース34等を介して所定のタイミングにて出力する。そして、制御部30は、所定のアプリケーションを実行することで行われる読み書き処理において、RFタグリーダライタから得られるそれぞれの電波強度を利用して書き込み用アンテナを選択し、この書き込み用アンテナを利用して所定の情報を書き込むための指示をRFタグリーダライタに対して行う。
【0048】
以下、RFタグリーダライタの3つのアンテナ26(第1アンテナ26a,第2アンテナ26b,第3アンテナ26c)が搬送路1近傍にて搬送路1からの高さを変えるように配置される場合を例に、
図6を参照して説明する。
図6に示すように、制御部(アプリ)30が読み書き処理を開始すると(F1)、RFタグリーダライタは、予め決められたアンテナを示す情報か、対象のRFタグ12について電波強度が最も大きくなるアンテナを示す情報を制御部30に対して送信する(F2)。
図6のように、例えば、アンテナ26aが予め決められたアンテナであるかその時点で電波強度が最も大きくなるアンテナであれば、アンテナ26aを示す情報が制御部30に対して送信される。このため、制御部30は、アンテナ26aを利用した読み取りを行うための指示をRFタグリーダライタに対して行う(F3)。
【0049】
RFタグリーダライタは、電波強度が最も大きくなるアンテナがアンテナ26aからアンテナ26bに変わるとその情報を制御部30に対して送信する(F4)。また、RFタグリーダライタは、アンテナ26aを利用した読み取りが失敗した場合、その旨を制御部30に対して送信する(F5)。
【0050】
制御部30は、アンテナ26aを利用した読み取りが失敗しており、現時点で電波強度が最も大きくなるアンテナがアンテナ26bであることから、アンテナ26bを利用した読み取りを行うための指示をRFタグリーダライタに対して行う(F6)。
【0051】
RFタグリーダライタは、アンテナ26bを利用した読み取りが成功した場合、その旨を制御部30に対して送信する(F7)。また、RFタグリーダライタは、電波強度が最も大きくなるアンテナがアンテナ26bからアンテナ26cに変わるとその情報を制御部30に対して送信する(F8)。
【0052】
制御部30は、アンテナ26bを利用した読み取りが成功しており、現時点で電波強度が最も大きくなるアンテナがアンテナ26cであることから、アンテナ26cを利用した書き込みを行うための指示をRFタグリーダライタに対して行う(F9)。
【0053】
RFタグリーダライタは、アンテナ26cを利用した書き込みが成功した場合、その旨を制御部30に対して送信する(F10)。このような処理がRFタグ12ごとに繰り返される。
【0054】
このように構成されるRFタグリーダライタを採用する場合でも、その搬送対象11に付されたRFタグ12との通信状態が良いアンテナをRFタグリーダライタの各アンテナのうちから書き込み用アンテナとして選択でき、搬送中のRFタグ12に対する書き込み精度の向上を図ることができる。
【0055】
[第2実施形態]
次に、本発明の第2実施形態に係る無線タグ管理装置について、
図7を用いて説明する。
本第2実施形態では、書き込み用アンテナを利用したRFタグへの書き込みが失敗する状態が継続すると、新たに書き込み用アンテナを選択する点が主に上記第1実施形態と異なる。このため、第1実施形態と実質的に同様の構成部分には同一符号を付して説明を省略する。
【0056】
RFタグ12との通信状態が良いアンテナとして選択された書き込み用アンテナでも、搬送路1や周囲の金属体などの周囲環境によっては電波の打ち消し合いの発生(ヌル点等の発生)等のためにRFタグ12への書き込みが失敗する状態が継続する可能性がある。
【0057】
そこで、本実施形態における読み書き処理では、書き込み用アンテナを利用したRFタグ12への書き込みが失敗する状態が継続すると、複数のアンテナのうち書き込みが失敗した書き込み用アンテナを除く他のアンテナの1つを新たに書き込み用アンテナとして選択する。
【0058】
以下、本実施形態において、制御部30にて行われる読み書き処理について、
図7のフローチャートを参照して説明する。
上記第1実施形態と同様に、対象のRFタグ12について読み取りが成功すると(
図7のS105でYes)、ステップS107aに示すアンテナ選択処理がなされる。この処理では、後述する選択制限アンテナを除き、上記電波強度計測処理の結果を利用して、電波強度が最も大きくなるアンテナが書き込み用アンテナとして選択される。なお、選択制限アンテナが設定されていない場合には、全てのアンテナのうちの電波強度が最も大きくなるアンテナが書き込み用アンテナとして選択される。
【0059】
このように選択された書き込み用アンテナを用いて書き込み処理がなされ(S109)、この処理が失敗すると(S111でNo)、ステップS115に示す判定処理にて、書き込み失敗が継続しているか否かについて判定される。ここで、同じ書き込み用アンテナを利用して書き込みが失敗している時間が所定時間継続していなければ、ステップS115にてNoと判定されて、上記ステップS107aからの処理がなされる。
【0060】
そして、電波の打ち消し合いの発生等のためにRFタグ12への書き込みが失敗する状態が所定時間継続すると(S115でYes)、ステップS117に示す選択制御処理がなされる。この処理では、書き込み失敗が継続していたアンテナが選択制限アンテナとして設定される。これにより、上記ステップS107aにてこの選択制限アンテナが書き込み用アンテナとして選択されなくなり、この選択制限アンテナを除き、上記電波強度計測処理の結果を利用して、電波強度が最も大きくなるアンテナが書き込み用アンテナとして選択される。
【0061】
以上説明したように、本実施形態に係る無線タグ通信装置20では、書き込み用アンテナを利用したRFタグ12への書き込みが失敗する状態が継続すると、複数のアンテナのうち書き込みが失敗した書き込み用アンテナ(選択制限アンテナ)を除く他のアンテナの1つが新たに書き込み用アンテナとして選択される。
【0062】
このように、書き込み失敗状態が継続する場合には、選択制限アンテナと異なる他のアンテナを書き込み用アンテナとして選択することで、電波の打ち消し合いの発生等に起因する書き込み失敗を抑制することができる。
【0063】
特に、書き込み用アンテナを利用したRFタグ12への書き込みが失敗する状態が継続すると、複数のアンテナのうち書き込みが失敗した書き込み用アンテナ(選択制限アンテナ)を除きRFタグ12からの電波の電波強度が最も大きくなるアンテナが新たに書き込み用アンテナとして選択される。
【0064】
このように、書き込み失敗状態が継続する場合には、書き込みが失敗した選択制限アンテナを除いたRFタグ12からの電波の電波強度が最も大きくなるアンテナを書き込み用アンテナとして選択することで、書き込みが成功する可能性が高いアンテナに切り替えることができ、電波の打ち消し合いの発生等に起因する書き込み失敗を確実に抑制することができる。
【0065】
なお、上記ステップS107aのアンテナ選択処理では、複数のアンテナのうちから書き込みが失敗した選択制限アンテナを除き予め設定される優先順位に基づいて新たに書き込み用アンテナが選択されてもよい。この優先順位としては、例えば、金属製の搬送路1等の影響を抑制するために、搬送路1からの高さが高くなるアンテナほど優先順位を高く設定することができる。
【0066】
このように、書き込み失敗状態が継続する場合には、失敗したアンテナを除き予め設定される優先順位に基づいて新たに書き込み用アンテナを選択することで、その周囲環境等に応じて上記優先順位を設定することにより、電波の打ち消し合いの発生等に起因する書き込み失敗を周囲環境等を考慮して抑制することができる。
【0067】
また、上記ステップS107aのアンテナ選択処理では、複数のアンテナのうちから書き込みが失敗した選択制限アンテナを除き所定の順番でサイクリックに切り替えられるように新たに書き込み用アンテナが選択されてもよい。
【0068】
なお、本実施形態においても上記第1実施形態の変形例と同様に、無線タグ通信装置20は、複数のアンテナに代えて、複数のアンテナを有するRFタグリーダライタを備えるように構成されてもよい。このように構成されるRFタグリーダライタを採用する場合でも、書き込み失敗状態が継続する場合には、選択制限アンテナと異なる他のアンテナを書き込み用アンテナとして選択することで、電波の打ち消し合いの発生等に起因する書き込み失敗を抑制することができる。
【0069】
[他の実施形態]
なお、本発明は上記各実施形態に限定されるものではなく、例えば、以下のように具体化してもよい。
(1)各搬送対象は、
図1に例示するように1つに積層されて搬送されることに限らず、2以上に分けた状態で積層されて搬送されてもよい。例えば、
図8に例示するように、2つに分けた状態で積層されて搬送することができる。この場合、
図8に示すように、搬送路1を介して対向するように一方の側にアンテナ21〜23を配置するとともに他方の側にアンテナ27〜29を配置し、一方の側を搬送される搬送対象11a〜11cに付されるRFタグ12a〜12cについてアンテナ21〜23から電波強度に基づいて選択されたアンテナを用いて書き込みを行い、他方の側を搬送される搬送対象11f〜11hに付されるRFタグ12についてアンテナ27〜29から電波強度に基づいて選択されたアンテナを用いて書き込みを行うことができる。なお、上述した変形例に係るRFタグリーダライタのアンテナをこのように配置しても同様の効果を奏する。
【0070】
(2)搬送路1近傍に設置される複数のアンテナ(RFタグリーダライタのアンテナ)は、上述したように3つ積層するように設置されることに限らず、搬送対象に応じて、2つ設置されてもよいし、4つ以上設置されてもよい。例えば、15個の搬送対象が積層されて搬送される場合には、少なくとも5つのアンテナを積層するように設置してもよいし、少なくとも積層される搬送対象と同数のアンテナを積層するように設置してもよい。このような構成でも、複数のアンテナうちの少なくとも一部が積層されるように設置することができる。また、複数のアンテナうちの少なくとも一部を、搬送路1に沿って等間隔となるように配置してもよい。この等間隔配置では、各アンテナの高さを異ならせてもよいし一致させてもよい。
【0071】
(3)各搬送対象は、床面を金属板等にて覆うようにして構成される搬送路1上をコンテナ2まで搬送されることに限らず、例えば、通常の床面等を搬送路としてリフト車等を用いてコンテナ2まで搬送されてもよい。また、各搬送対象は、工場内にて製造されて出荷される製品等に限らず、例えば、工場内に入荷する複数の部品や工程間搬送される部品等であってもよい。このような搬送形態でも、その搬送経路近傍に複数のアンテナ(RFタグリーダライタのアンテナ)を上述のように配置して読み書き処理等を行うことで、上記効果を奏する。