【実施例】
【0051】
以下、実施例により本発明を更に説明するが、本発明はこれに限定されるものではない。
なお、実施例中の部は重量部を示す。
【0052】
<製造例1>
撹拌装置及び温度調節機能の付いたステンレス製のオートクレーブに、15−ペンタデカノラクトン240部(1モル)、「キョーワード500」[協和化学工業(株)製:Mg
6 Al
2 (OH)
16 CO
3 ・4H
2 O]24.2部(0.04モル)及び過塩素酸アルミニウム九水和物1部(0.002モル)を入れて密閉した後、減圧下で160℃にて3時間加熱し、脱水処理した。次いで180℃まで昇温し、180℃でゲージ圧が1〜5kgf/cm
2 の範囲に入るように調整しながらエチレンオキサイド(以下、EOと略記する)88部(2モル)をオートクレーブ内に導入した。EO全量を導入した後、圧力が0.13kgf/cm
2Gになるまで撹拌を継続した。その後、水酸化カリウム0.3部を追加して、更にEO176部(4モル)を180℃でゲージ圧が1〜5kgf/cm
2 となるように導入した。EO全量を導入した後、圧力が0.13kgf/cm
2Gになるまで撹拌を継続して15−ペンタデカノラクトンとEOとの反応を行った。EOの付加反応に要した合計時間は8時間であった。その後、EOの付加反応で得られた反応混合物から触媒をろ別して、環状ポリエーテルエステル組成物(A1)を得た。
得られた環状ポリエーテルエステル組成物(A1)についてMALDI−TOF MSによる分析を行った。
環状ポリエーテルエステル組成物(A1)は、mが1〜3であり、nが1〜30である一般式(1)で表される環状ポリエーテルエステル(A1−1)を合計して90重量%含む環状ポリエーテルエステルの混合物であり、環状ポリエーテルエステル(A1−1)のnの平均値(すなわちEOの平均付加モル数)は6であり、環状ポリエーテルエステル(A1−1)のうち、nが5〜10である環状ポリエーテルエステルの合計重量が、環状ポリエーテルエステル(A1−1)の合計重量に対して85重量%であり、環状ポリエーテルエステル(A1−1)のうち、mが1の環状ポリエーテルエステルは60重量%であった。
【0053】
<製造例2>
撹拌装置及び温度調節機能の付いたステンレス製のオートクレーブに、15−ペンタデカノラクトン240部(1モル)、「キョーワード500」24.2部(0.04モル)、及び過塩素酸アルミニウム九水和物1部(0.002モル)を入れて密閉した後、減圧下で160℃にて3時間加熱し、脱水処理した。次いで150℃に温調し、150℃でゲージ圧が1〜3kgf/cm
2Gとなるように調整しながらプロピレンオキサイド(以下、POと略記する)61部(1.05モル)をオートクレーブ内に導入した。PO全量を導入した後、圧力が0.13kgf/cm
2Gになるまで撹拌を継続して15−ペンタデカノラクトンとPOとの反応を行った。POの付加反応に要した時間は12時間であった。次いで180℃に温調し、180℃でゲージ圧が1〜3kgf/cm
2 となるように調整しながらEO220部(5モル)をオートクレーブ内に導入した。EO全量を導入した後、更に圧力が0.13kgf/cm
2Gになるまで撹拌を継続してEOの反応を行った。EOの付加反応に要した時間は7時間であった。EOの付加反応を終えて得られた反応混合物から触媒をろ別し、環状ポリエーテルエステル組成物(A2)を得た。
得られた環状ポリエーテルエステル組成物(A1)についてMALDI−TOF MSによる分析を行った。
環状ポリエーテルエステル組成物(A2)は、mが1〜3であり、nがそれぞれ1〜30である前記の一般式(1)で表される環状ポリエーテルエステル(A2−1)を合計して90重量%含む混合物であり、環状ポリエーテルエステル組成物(A2)に含まれる環状ポリエーテルエステル(A2)のnの平均値は6であり、そのうちPOの平均付加モル数は1であり、EOの平均付加モル数は5であり、環状ポリエーテルエステル(A2−1)のうち、nが5〜10である一般式(1)で表される環状ポリエーテルエステルの合計重量が、環状ポリエーテルエステル(A2−1)の合計重量に対して90重量%であり、環状ポリエーテルエステル(A2−1)のうち、mが1の環状ポリエーテルエステルは60重量%であった。
【0054】
<製造例3>
撹拌装置及び温度調節機能の付いたステンレス製のオートクレーブに、15−ペンタデカノラクトン240部(1モル)、及び「キョーワード500」〔協和化学工業(株)製:Mg
6 Al
2 (OH)
16 CO
3 ・4H
2 O〕24.2部(0.04モル)を入れて密閉した後、減圧下で160℃にて3時間加熱し、脱水処理した。次いで180℃に温調し、180℃でゲージ圧が1〜5kgf/cm
2 の範囲に入るように調整しながらEO264部(6モル)をオートクレーブ内に導入した。EO全量を投入した後、圧力が0.13kgf/cm
2Gになるまで撹拌を継続して15−ペンタデカノラクトンとEOとの反応を行った。EOの付加反応に要した時間は10時間であった。その後、EOの付加反応で得られた反応混合物から触媒をろ別して、環状ポリエーテルエステル組成物(A3)を得た。
得られた環状ポリエーテルエステル組成物(A3)についてMALDI−TOF MSによる分析を行った。
環状ポリエーテルエステル組成物(A3)は、mが1〜3であり、nがそれぞれ1〜30である前記の一般式(1)で表される環状ポリエーテルエステル(A3−1)を合計して85重量%含む混合物であり、環状ポリエーテルエステル(A3−1)のnの平均値(すなわちEOの平均付加モル数)は6であり、環状ポリエーテルエステル(A3−1)のうち、nが5〜10である環状ポリエーテルエステルの合計重量は環状ポリエーテルエステル(A3−1)の合計重量に対して28重量%であり、環状ポリエーテルエステル(A3−1)のうち、mが1の環状ポリエーテルエステルは60重量%であった。
【0055】
<製造例4>
撹拌装置及び温度調節機能の付いたステンレス製のオートクレーブに、15−ペンタデカノラクトン240部(1モル)、「キョーワード500」[協和化学工業(株)製:Mg
6 Al
2 (OH)
16 CO
3 ・4H
2 O]24.2部(0.04モル)及び過塩素酸アルミニウム九水和物1部(0.002モル)を入れて密閉した後、減圧下で160℃にて3時間加熱し、脱水処理した。次いで180℃まで昇温し、180℃でゲージ圧が1〜5kgf/cm
2 の範囲に入るように調整しながらエチレンオキサイド(以下、EOと略記する)88部(2モル)をオートクレーブ内に導入した。EO全量を導入した後、圧力が0.13kgf/cm
2Gになるまで撹拌を継続した。その後、水酸化カリウム0.3部を追加して、更にEO352部(8モル)を180℃でゲージ圧が1〜5kgf/cm
2 となるように導入した。EO全量を導入した後、圧力が0.13kgf/cm
2Gになるまで撹拌を継続して15−ペンタデカノラクトンとEOとの反応を行った。EOの付加反応に要した合計時間は8時間であった。その後、EOの付加反応で得られた反応混合物から触媒をろ別して、環状ポリエーテルエステル組成物(A4)を得た。
得られた環状ポリエーテルエステル組成物(A4)についてMALDI−TOF MSによる分析を行った。
環状ポリエーテルエステル組成物(A4)は、mが1〜3であり、nが1〜30である一般式(1)で表される環状ポリエーテルエステル(A4−1)を合計して90重量%含む環状ポリエーテルエステルの混合物であり、環状ポリエーテルエステル(A4−1)のnの平均値(すなわちEOの平均付加モル数)は10であり、環状ポリエーテルエステル(A4−1)のうち、nが8〜13である環状ポリエーテルエステルの合計重量が、環状ポリエーテルエステル(A4−1)の合計重量に対して85重量%であった。
【0056】
<製造例5>
撹拌装置及び温度調節機能の付いたステンレス製のオートクレーブに、15−ペンタデカノラクトン240部(1モル)、「キョーワード500」[協和化学工業(株)製:Mg
6 Al
2 (OH)
16 CO
3 ・4H
2 O]24.2部(0.04モル)及び過塩素酸アルミニウム九水和物1部(0.002モル)を入れて密閉した後、減圧下で160℃にて3時間加熱し、脱水処理した。次いで180℃まで昇温し、180℃でゲージ圧が1〜5kgf/cm
2 の範囲に入るように調整しながらエチレンオキサイド(以下、EOと略記する)88部(2モル)をオートクレーブ内に導入した。EO全量を導入した後、圧力が0.13kgf/cm
2Gになるまで撹拌を継続した。その後、水酸化カリウム0.3部を追加して、さらにEO1232部(28モル)を180℃でゲージ圧が1〜5kgf/cm
2 となるように導入した。EO全量を導入した後、圧力が0.13kgf/cm
2Gになるまで撹拌を継続して15−ペンタデカノラクトンとEOとの反応を行った。EOの付加反応に要した合計時間は8時間であった。その後、EOの付加反応で得られた反応混合物から触媒をろ別して、環状ポリエーテルエステル組成物(A5)を得た。
得られた環状ポリエーテルエステル組成物(A5)についてMALDI−TOF MSによる分析を行った。
環状ポリエーテルエステル組成物(A5)は、mが1〜3であり、nが1〜30である一般式(1)で表される環状ポリエーテルエステル(A5−1)を合計して90重量%含む環状ポリエーテルエステルの混合物であり、環状ポリエーテルエステル(A5−1)のnの平均値(すなわちEOの平均付加モル数)は30であり、環状ポリエーテルエステル(A5−1)のうち、nが28〜33である環状ポリエーテルエステルの合計重量が、環状ポリエーテルエステル(A5−1)の合計重量に対して85重量%であった。
【0057】
<実施例1>
製造例1で得た環状ポリエーテルエステル組成物(A1)23.7部とMn2000の両末端アミノ基変性ポリエチレングリコール(SUNBRIGHT DE−020PA、日油株式会社株式会社製、SUNBRITEは日油株式会社の登録商標)200部をガラス製容器に入れ、室温で1時間攪拌した。得られた組成物を水及びn−ヘキサンで洗浄し、90℃で4時間真空乾燥して組成物(a1)を得た。
特開2009−013253号公報の実施例1と同様に、3,5−ジメチル安息香酸(Aldrich社製)を、塩化チオニル中で触媒量のジメチルホルムアミドと共に沸点還流して、3,5−ジメチル安息香酸クロリドを合成し、前記の組成物(a1)を223.7部含むジメチルホルムアミド分散液に前記の3,5−ジメチル安息香酸クロリド34部と、トリエチルアミン34部とを添加し、0℃で2時間反応させた。得られた反応溶液をジエチルエーテルに注ぎ再沈澱させ、沈殿物を回収し、水およびメタノールで洗浄した後、乾燥させて本発明のロタキサン(R1)を得た。
得られたロタキサンの
1H−NMRを測定し、環状ポリエーテルエステルをポリエチレングリコール鎖が貫通しており、ポリエチレングリコールの両末端に3,5−ジメチル安息香酸が結合していることを確認した。
【0058】
<実施例2>
製造例1で得た環状ポリエーテルエステル組成物(A1)11.85部とMn2000の両末端アミノ基変性ポリエチレングリコール(SUNBRIGHT DE−020PA、日油株式会社株式会社製、SUNBRITEは日油株式会社の登録商標)200部をガラス製容器に入れ、室温で1時間攪拌した。得られた組成物を水及びn−ヘキサンで洗浄し、90℃で4時間真空乾燥して組成物(a2)を得た。
特開2009−013253号公報の実施例1と同様に、3,5−ジメチル安息香酸(Aldrich社製)を、塩化チオニル中で触媒量のジメチルホルムアミドと共に沸点還流して、3,5−ジメチル安息香酸クロリドを合成し、前記の組成物(a2)を211.85部含むジメチルホルムアミド分散液に前記の3,5−ジメチル安息香酸クロリド34部と、トリエチルアミン34部とを添加し、0℃で2時間反応させた。得られた反応溶液をジエチルエーテルに注ぎ再沈澱させ、沈殿物を回収し、水およびメタノールで洗浄した後、乾燥させて本発明のロタキサン(R2)を得た。
得られたロタキサンの
1H−NMRを測定し、環状ポリエーテルエステルをポリエチレングリコール鎖が貫通しており、ポリエチレングリコールの両末端に3,5−ジメチル安息香酸が結合していることを確認した。
【0059】
<実施例3>
製造例1で得た環状ポリエーテルエステル組成物(A1)2.37部とMn2000の両末端アミノ基変性ポリエチレングリコール(SUNBRIGHT DE−020PA、日油株式会社株式会社製、SUNBRITEは日油株式会社の登録商標)200部をガラス製容器に入れ、室温で1時間攪拌した。得られた組成物を水及びn−ヘキサンで洗浄し、90℃で4時間真空乾燥して組成物(a3)を得た。
特開2009−013253号公報の実施例1と同様に、3,5−ジメチル安息香酸(Aldrich社製)を、塩化チオニル中で触媒量のジメチルホルムアミドと共に沸点還流して、3,5−ジメチル安息香酸クロリドを合成し、前記の組成物(a3)を202.37部含むジメチルホルムアミド分散液に前記の3,5−ジメチル安息香酸クロリド34部と、トリエチルアミン34部とを添加し、0℃で2時間反応させた。得られた反応溶液をジエチルエーテルに注ぎ再沈澱させ、沈殿物を回収し、水およびメタノールで洗浄した後、乾燥させて本発明のロタキサン(R3)を得た。
得られたロタキサンの
1H−NMRを測定し、環状ポリエーテルエステルをポリエチレングリコール鎖が貫通しており、ポリエチレングリコールの両末端に3,5−ジメチル安息香酸が結合していることを確認した。
【0060】
<実施例4>
製造例2で得た環状ポリエーテルエステル組成物(A2)11.85部とMn2000の両末端アミノ基変性ポリエチレングリコール(SUNBRIGHT DE−020PA、日油株式会社株式会社製、SUNBRITEは日油株式会社の登録商標)200部をガラス製容器に入れ、室温で1時間攪拌した。得られた組成物を水及びn−ヘキサンで洗浄し、90℃で4時間真空乾燥して組成物(a4)を得た。
特開2009−013253号公報の実施例1と同様に、3,5−ジメチル安息香酸(Aldrich社製)を、塩化チオニル中で触媒量のジメチルホルムアミドと共に沸点還流して、3,5−ジメチル安息香酸クロリドを合成し、前記の組成物(a4)を211.85部含むジメチルホルムアミド分散液に前記の3,5−ジメチル安息香酸クロリド34部と、トリエチルアミン34部とを添加し、0℃で2時間反応させた。得られた反応溶液をジエチルエーテルに注ぎ再沈澱させ、沈殿物を回収し、水およびメタノールで洗浄した後、乾燥させて本発明のロタキサン(R4)を得た。
得られたロタキサンの
1H−NMRを測定し、環状ポリエーテルエステルをポリエチレングリコール鎖が貫通しており、ポリエチレングリコールの両末端に3,5−ジメチル安息香酸が結合していることを確認した。
【0061】
<実施例5>
製造例3で得た環状ポリエーテルエステル組成物(A3)11.85部とMn2000の両末端アミノ基変性ポリエチレングリコール(SUNBRIGHT DE−020PA、日油株式会社株式会社製)200部をガラス製容器に入れ、室温で1時間攪拌した。得られた組成物を水及びn−ヘキサンで洗浄し、90℃で4時間真空乾燥して組成物(a5)を得た。
特開2009−013253号公報の実施例1と同様に、3,5−ジメチル安息香酸(Aldrich社製)を、塩化チオニル中で触媒量のジメチルホルムアミドと共に沸点還流して、3,5−ジメチル安息香酸クロリドを合成し、前記の組成物(a5)を211.85部含むジメチルホルムアミド分散液に前記の3,5−ジメチル安息香酸クロリド34部と、トリエチルアミン34部とを添加し、0℃で2時間反応させた。得られた反応溶液をジエチルエーテルに注ぎ再沈澱させ、沈殿物を回収し、水およびメタノールで洗浄した後、乾燥させて本発明のロタキサン(R5)を得た。
得られたロタキサンの
1H−NMRを測定し、環状ポリエーテルエステルをポリエチレングリコール鎖が貫通しており、ポリエチレングリコールの両末端に3,5−ジメチル安息香酸が結合していることを確認した。
【0062】
<実施例6>
製造例4で得た環状ポリエーテルエステル組成物(A4)11.85部とMn2000の両末端アミノ基変性ポリエチレングリコール(SUNBRIGHT DE−020PA、日油株式会社株式会社製)200部をガラス製容器に入れ、室温で1時間攪拌した。得られた組成物を水及びn−ヘキサンで洗浄し、90℃で4時間真空乾燥して組成物(a6)を得た。
特開2009−013253号公報の実施例1と同様に、3,5−ジメチル安息香酸(Aldrich社製)を、塩化チオニル中で触媒量のジメチルホルムアミドと共に沸点還流して、3,5−ジメチル安息香酸クロリドを合成し、前記の組成物(a6)を211.85部含むジメチルホルムアミド分散液に前記の3,5−ジメチル安息香酸クロリド34部と、トリエチルアミン34部とを添加し、0℃で2時間反応させた。得られた反応溶液をジエチルエーテルに注ぎ再沈澱させ、沈殿物を回収し、水およびメタノールで洗浄した後、乾燥させて本発明のロタキサン(R6)を得た。
得られたロタキサンの
1H−NMRを測定し、環状ポリエーテルエステルをポリエチレングリコール鎖が貫通しており、ポリエチレングリコールの両末端に3,5−ジメチル安息香酸が結合していることを確認した。
【0063】
<実施例7>
製造例5で得た環状ポリエーテルエステル組成物(A5)11.85部とMn2000の両末端アミノ基変性ポリエチレングリコール(SUNBRIGHT DE−020PA、日油株式会社株式会社製)200部をガラス製容器に入れ、室温で1時間攪拌した。得られた組成物を水及びn−ヘキサンで洗浄し、90℃で4時間真空乾燥して組成物(a7)を得た。
特開2009−013253号公報の実施例1と同様に、3,5−ジメチル安息香酸(Aldrich社製)を、塩化チオニル中で触媒量のジメチルホルムアミドと共に沸点還流して、3,5−ジメチル安息香酸クロリドを合成し、前記の組成物(a7)を211.85部含むジメチルホルムアミド分散液に前記の3,5−ジメチル安息香酸クロリド34部と、トリエチルアミン34部とを添加し、0℃で2時間反応させた。得られた反応溶液をジエチルエーテルに注ぎ再沈澱させ、沈殿物を回収し、水およびメタノールで洗浄した後、乾燥させて本発明のロタキサン(R7)を得た。
得られたロタキサンの
1H−NMRを測定し、環状ポリエーテルエステルをポリエチレングリコール鎖が貫通しており、ポリエチレングリコールの両末端に3,5−ジメチル安息香酸が結合していることを確認した。
【0064】
<実施例8>
製造例1で得た環状ポリエーテルエステル組成物(A1)11.12部とMn2000の両末端水酸基ポリエチレングリコール(PEG 2000、三洋化成工業株式会社製)200部をガラス製容器に入れ、室温で1時間攪拌した後、1,3−ビス(イソシアネートメチル)シクロヘキサン(タケネート600、三井化学株式会社製)22部を90℃で24時間攪拌した。得られた組成物を水及びn−ヘキサンで洗浄し、90℃で4時間真空乾燥し、組成物(a8)を得た。
特開2009−013253号公報の実施例1と同様に、3,5−ジメチル安息香酸(Aldrich社製)を、塩化チオニル中で触媒量のジメチルホルムアミドと共に沸点還流して、3,5−ジメチル安息香酸クロリドを合成し、前記の組成物(a8)を部含むジメチルホルムアミド分散液に前記の3,5−ジメチル安息香酸クロリド0.5部と、トリエチルアミン0.5部とを添加し、0℃で2時間反応させた。得られた反応溶液をジエチルエーテルに注ぎ再沈澱させ、沈殿物を回収し、水およびメタノールで洗浄した後、乾燥させて本発明のロタキサン(R8)を得た。
得られたロタキサンの
1H−NMRを測定し、環状ポリエーテルエステルをポリエチレングリコール鎖が貫通しており、ポリエチレングリコールの両末端に3,5−ジメチル安息香酸が結合していることを確認した。
【0065】
<実施例9>
製造例2で得た環状ポリエーテルエステル組成物(A2)11.12部とMn2000の両末端水酸基ポリエチレングリコール(PEG 2000、三洋化成工業株式会社製)200部をガラス製容器に入れ、室温で1時間攪拌した後、1,3−ビス(イソシアネートメチル)シクロヘキサン(タケネート600、三井化学株式会社製)22部を90℃で24時間攪拌した。得られた組成物を水及びn−ヘキサンで洗浄し、90℃で4時間真空乾燥し、組成物(a9)を得た。
特開2009−013253号公報の実施例1と同様に、3,5−ジメチル安息香酸(Aldrich社製)を、塩化チオニル中で触媒量のジメチルホルムアミドと共に沸点還流して、3,5−ジメチル安息香酸クロリドを合成し、前記の組成物(a9)を部含むジメチルホルムアミド分散液に前記の3,5−ジメチル安息香酸クロリド0.5部と、トリエチルアミン0.5部とを添加し、0℃で2時間反応させた。得られた反応溶液をジエチルエーテルに注ぎ再沈澱させ、沈殿物を回収し、水およびメタノールで洗浄した後、乾燥させて本発明のロタキサン(R9)を得た。
得られたロタキサンの
1H−NMRを測定し、環状ポリエーテルエステルをポリエチレングリコール鎖が貫通しており、ポリエチレングリコールの両末端に3,5−ジメチル安息香酸が結合していることを確認した。
【0066】
<実施例10>
製造例3で得た環状ポリエーテルエステル組成物(A3)11.12部とMn2000の両末端水酸基ポリエチレングリコール(PEG 2000、三洋化成工業株式会社製)200部をガラス製容器に入れ、室温で1時間攪拌した後、1,3−ビス(イソシアネートメチル)シクロヘキサン(タケネート600、三井化学株式会社製)22部を90℃で24時間攪拌した。得られた組成物を水及びn−ヘキサンで洗浄し、90℃で4時間真空乾燥し、組成物(a10)を得た。
特開2009−013253号公報の実施例1と同様に、3,5−ジメチル安息香酸(Aldrich社製)を、塩化チオニル中で触媒量のジメチルホルムアミドと共に沸点還流して、3,5−ジメチル安息香酸クロリドを合成し、前記の組成物(a10)を部含むジメチルホルムアミド分散液に前記の3,5−ジメチル安息香酸クロリド0.5部と、トリエチルアミン0.5部とを添加し、0℃で2時間反応させた。得られた反応溶液をジエチルエーテルに注ぎ再沈澱させ、沈殿物を回収し、水およびメタノールで洗浄した後、乾燥させて本発明のロタキサン(R10)を得た。
得られたロタキサンの
1H−NMRを測定し、環状ポリエーテルエステルをポリエチレングリコール鎖が貫通しており、ポリエチレングリコールの両末端に3,5−ジメチル安息香酸が結合していることを確認した。
【0067】
<実施例11>
製造例4で得た環状ポリエーテルエステル組成物(A4)11.12部とMn2000の両末端水酸基ポリエチレングリコール(PEG 2000、三洋化成工業株式会社製)200部をガラス製容器に入れ、室温で1時間攪拌した後、1,3−ビス(イソシアネートメチル)シクロヘキサン(タケネート600、三井化学株式会社製)22部を90℃で24時間攪拌した。得られた組成物を水及びn−ヘキサンで洗浄し、90℃で4時間真空乾燥し、組成物(a11)を得た。
特開2009−013253号公報の実施例1と同様に、3,5−ジメチル安息香酸(Aldrich社製)を、塩化チオニル中で触媒量のジメチルホルムアミドと共に沸点還流して、3,5−ジメチル安息香酸クロリドを合成し、前記の組成物(a11)を部含むジメチルホルムアミド分散液に前記の3,5−ジメチル安息香酸クロリド0.5部と、トリエチルアミン0.5部とを添加し、0℃で2時間反応させた。得られた反応溶液をジエチルエーテルに注ぎ再沈澱させ、沈殿物を回収し、水およびメタノールで洗浄した後、乾燥させて本発明のロタキサン(R11)を得た。
得られたロタキサンの
1H−NMRを測定し、環状ポリエーテルエステルをポリエチレングリコール鎖が貫通しており、ポリエチレングリコールの両末端に3,5−ジメチル安息香酸が結合していることを確認した。
【0068】
<実施例12>
製造例5で得た環状ポリエーテルエステル組成物(A5)11.12部とMn2000の両末端水酸基ポリエチレングリコール(PEG 2000、三洋化成工業株式会社製)200部をガラス製容器に入れ、室温で1時間攪拌した後、1,3−ビス(イソシアネートメチル)シクロヘキサン(タケネート600、三井化学株式会社製)22部を90℃で24時間攪拌した。得られた組成物を水及びn−ヘキサンで洗浄し、90℃で4時間真空乾燥し、組成物(a12)を得た。
特開2009−013253号公報の実施例1と同様に、3,5−ジメチル安息香酸(Aldrich社製)を、塩化チオニル中で触媒量のジメチルホルムアミドと共に沸点還流して、3,5−ジメチル安息香酸クロリドを合成し、前記の組成物(a12)を部含むジメチルホルムアミド分散液に前記の3,5−ジメチル安息香酸クロリド0.5部と、トリエチルアミン0.5部とを添加し、0℃で2時間反応させた。得られた反応溶液をジエチルエーテルに注ぎ再沈澱させ、沈殿物を回収し、水およびメタノールで洗浄した後、乾燥させて本発明のロタキサン(R12)を得た。
得られたロタキサンの
1H−NMRを測定し、環状ポリエーテルエステルをポリエチレングリコール鎖が貫通しており、ポリエチレングリコールの両末端に3,5−ジメチル安息香酸が結合していることを確認した
【0069】
<実施例13>
製造例1で得た環状ポリエーテルエステル組成物(A1)12.53部とMn25,000ポリアクリル酸(和光純薬工業株式会社製)250部、水1000部をガラス製容器に入れ、60℃で1時間混合し、次いでエチレンジアミン(和光純薬工業株式会社製)0.6部を60℃で1時間混合し、100℃で水を除去し、さらに110℃で1時間加熱した。得られた組成物を水及びn−ヘキサンで洗浄し、90℃で4時間真空乾燥し、本発明のロタキサン(R13)を得た。
得られたロタキサンの
1H−NMRを測定し、環状ポリエーテルエステルをポリアクリレート鎖が貫通していることを確認した。
【0070】
<比較例1>
特開2006−233007号公報の合成例1と同様に両末端にアルケニル基を有する分子量10,000のポリプロピレングリコール12gをガラス製容器に入れ、水30mLを加えた。ここへβ−シクロデキストリン(A’1)16gを添加し、室温で6時間攪拌した。得られた沈殿物を水及びn−ヘキサンで洗浄し、90℃で4時間真空乾燥して、環状化合物(A’1)を得た。環状化合物(A’1)10部とMn2000の両末端アミノ基変性ポリエチレングリコール(SUNBRIGHT DE−020PA、日油株式会社株式会社製、SUNBRITEは日油株式会社の登録商標)200部をガラス製容器に入れ、室温で1時間攪拌した。得られた組成物を水及びn−ヘキサンで洗浄し、90℃で4時間真空乾燥して組成物(a’1)を得た。
特開2009−013253号公報の実施例1と同様に、3,5−ジメチル安息香酸(Aldrich社製)を、塩化チオニル中で触媒量のジメチルホルムアミドと共に沸点還流して、3,5−ジメチル安息香酸クロリドを合成し、前記の組成物(a1)を11部含むジメチルホルムアミド分散液に前記の3,5−ジメチル安息香酸クロリド34部と、トリエチルアミン77mgとを添加し、0℃で2時間反応させた。得られた反応溶液をジエチルエーテルに注ぎ再沈澱させ、沈殿物を回収し、水およびメタノールで洗浄した後、乾燥させて本発明のロタキサン(R’1)を得た。
得られたロタキサンの
1H−NMRを測定し、環状ポリエーテルエステルをポリエチレングリコール鎖が貫通しており、ポリエチレングリコールの両末端に3,5−ジメチル安息香酸が結合していることを確認した。
【0071】
<環状組成物の導入効率>
実施例1〜13及び比較例1で得られたロタキサン(R1)〜(R13)、及び(R’1)のそれぞれについて
1H−NMRを測定し、ロタキサン(R1)〜(R12)、及び(R’1)のそれぞれについて、高分子化合物が貫通したロタキサン構造をとる環状化合物の数を測定し、ロタキサン(R1)〜(R13)、及び(R’1)を得るために実施例1〜13及び比較例1のそれぞれで投入した環状化合物のうち、高分子化合物が貫通したロタキサン構造をとる環状化合物の比率(環状組成物の導入効率)を計算して表1に記載した。この値が大きい程、環状化合物がロタキサンとなりやすいことを意味する。
さらに、高分子化合物が貫通した環状化合物の数と高分子化合物のMnとから、軸成分である高分子化合物のMnが1000とした場合にロタキサン中に含まれる環状化合物の含有数(高分子化合物のMn1000あたりの環成分数)を計算し、表1に記載した。この値が大きいほど、ロタキサンとなりやすい環成分と軸成分の組み合わせであることを意味する。
【0072】
<自己修復性試験>
実施例1〜13及び比較例1で得られたロタキサン(R1)〜(R13)及び(R’1)をそれぞれ水に溶解又は膨潤させ、それぞれ平面硝子板上に塗工、100℃で1時間乾燥することで100μmの厚さを有するフィルムを製造した。
各フィルムの表面を500gの荷重で真鍮製ブラシ(毛材行数3行、線径0.15mm)で擦った後、スクラッチの回復にかかる時間を測定し、結果を表1に記載した。
【0073】
【表1】
【0074】
実施例1〜13で得たロタキサンは、比較例1に比べて環状化合物が効率よく高分子を貫通しており、自己修復性にも優れていた。