(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
a)上部カップリングエレメントおよび底部カップリングエレメントを有する第1のシリンジ内の全血を遠心分離し、シリンジ内で全血を乏血小板血漿層、バフィー層、および、赤血球層に分画すること、
b)第1のシリンジの上部カップリングエレメントから、乏血小板血漿層の少なくとも一部を取り出すこと、
c)第2のシリンジまたは第2の容器の底部カップリングエレメントを第1のシリンジの上部カップリングエレメントに取り付けること、
d)i)乏血小板血漿層、およびバフィー層のいずれかを第2のシリンジまたは第2の容器に吸い上げること、もしくは
ii)乏血小板血漿層、バフィー層、および赤血球層の一部のいずれかを第2のシリンジまたは第2の容器に吸い上げること、および
e)第2のシリンジまたは第2の容器を遠心分離し、乏血小板血漿層、バフィー層、および赤血球層のいずれかが多血小板血漿層および赤血球層に分画されること、
を含む、血液分画の方法。
第2のシリンジまたは第2の容器から赤血球層を排出すること、および第2のシリンジまたは第2の容器に多血小板血漿を保持することをさらに含む、請求項1から9のいずれかに記載の方法。
【発明を実施するための形態】
【0009】
濃縮多血小板血漿(PRP)、骨髄単核細胞(BMMC)、脂肪組織の間質血管画分(SVF)、および他の富化または濃縮体液、ならびにこれらの体液を生成する方法、が本明細書で開示される。多血小板血漿については、全血を遠心分離することによって上層の透明な乏血小板血漿(PPP)画分、下層の赤色の赤血球画分、および上層と下層との間の白色画分に分画することができる。中間画分は、「バフィー層」であり、大部分の白血球、血小板、ならびに間葉細胞および/または造血幹細胞を含む。
図2C。
【0010】
実施形態は、全血分画の方法を提供する。対象からの全血は、瀉血針、中心静脈カテーテル(例えば、PICCライン)、または任意の他の全血収集手段によって得ることができる。他の体液は、任意の許容される方法を用いて得ることができる。一実施形態では、場合により全血を、例えば、クエン酸、クエン酸デキストロース(ACD)、クエン酸−リン酸−デキストロース(CPD)、またはエチレンジアミン四酢酸(EDTA)のような抗凝固剤と混合することができる。ヘパリンを、処理ステップの間、トロンビン活性を防止または阻害するために十分な量で添加することもできる。アプロチニン、ε−アミノカプロン酸、またはトラネキサム酸のようなタンパク質分解酵素阻害剤を、自己増殖因子のタンパク質分解を防止するために添加することができる。
【0011】
遠心分離条件(例えば、相対遠心力(RCF)、時間、その他)は、血液または他の体液分画の範囲および程度を決定する。一実施形態では、全血または他の体液を分画する方法は、全血を2回遠心分離することを含み、第1の遠心分離は強回転であり、第2の遠心分離は弱回転である。一実施形態では、全血または他の体液を分画する方法は、全血を2回遠心分離することを含み、第1の遠心分離は弱回転であり、第2の遠心分離は強回転である。一実施形態では、強回転は2000×gより大きく、または約1500×gから約2000×gである。一実施形態では、弱回転は約30×gから約200×gである。
【0012】
一実施形態では、全血を分画する方法は、全血を2回遠心分離することを含み、第1の遠心分離は、血液を乏血小板血漿層、バフィー層、および赤血球層の3画分に分離し、ならびに第2の遠心分離は血液を多血小板血漿層および赤血球層の2層に分離する。第1の遠心分離は、約5分から約20分の持続時間になり得る。第2の遠心分離は、約5分から約20分の持続時間になり得る。
【0013】
一実施形態では、全血を2000×g未満の相対遠心力で遠心分離することができるが、それでも血液を乏血小板血漿層、バフィー層、および赤血球層(例えば、強回転)に分画する。一実施形態では、全血試料を、約1500×g、約1550×g、約1600×g、約1650×g、約1675×g、約1700×g、約1725×g、約1750×g、約1775×g、約1800×g、約1825×g、約1850×g、約1875×g、約1900×g、約1925×g、約1950×g、または約1975×gで遠心分離することができる。例示的な実施形態では、全血試料を、約1500×gから2000×gまで、約1550×gから2000×gまで、約1600×gから2000×gまで、約1650×gから2000×gまで、約1675×gから2000×gまで、約1700×gから2000×gまで、約1725×gから2000×gまで、約1750×gから2000×gまで、約1775×gから2000×gまで、約1800×gから2000×gまで、約1825×gから2000×gまで、約1850×gから2000×gまで、約1875×gから2000×gまで、約1900×gから2000×gまで、約1925×gから2000×gまで、約1950×gから2000×gまで、または約1975×gから2000×gまでのRCFで遠心分離することができる。
【0014】
例示的な実施形態では、全血試料を、約1500×gから約1900×g、約1550×gから約1900×g、約1600×gから約1900×g、約1650×gから約1900×g、約1675×gから約1900×g、約1700×gから約1900×g、約1725×gから約1900×g、約1750×gから約1900×g、約1775×gから約1900×g、約1800×gから約1900×g、約1825×gから約1900×g、約1850×gから約1900×g、または約1875×gから約1900×g(例えば、強回転)のRCFで遠心分離することができる。
【0015】
例示的な実施形態では、全血試料を、約1500×gから約1800×g、約1550×gから約1800×g、約1600×gから約1800×g、約1650×gから約1800×g、約1675×gから約1800×g、約1700×gから約1800×g、約1725×gから約1800×g、約1750×gから約1800×g、約1775×gから約1800×g、約1650×gから約1750×g、約1675×gから約1750×g、約1700×gから約1750×g、約1675×gから約1725×g、または約1700×gから約1725×g(例えば、強回転)のRCFで遠心分離することができる。
【0016】
一実施形態では、強回転を受けた血液試料のような血液試料を、200×g未満のRCFで遠心分離することができ、血液を血漿層および赤血球層に分画する(例えば、弱回転)。例示的な実施形態では、血漿層は多血小板血漿層である。一実施形態では、血液試料を、約30×g、約35×g、約40×g、約45×g、約50×g、約55×g、約60×g、約70×g、約75×g、約80×g、約90×g、約100×g、約110×g、約120×g、約125×g、約150×g、約175×g、または約200×gで遠心分離することができる。
【0017】
例示的な実施形態では、血液を、約30×gから約200×g、約30×gから約175×g、約30×gから約150×g、約30×gから約125×g、約30×gから約120×g、約30×gから約110×g、約30×gから約100×g、約30×gから約90×g、約30×gから約80×g、約30×gから約75×g、約30×gから約70×g、約30×gから約60×g、約30×gから約50×g、約30×gから約45×g、約40×gから約200×g、約40×gから約175×g、約40×gから約150×g、約40×gから約125×g、約40×gから約120×g、約40×gから約110×g、約40×gから約100×g、約40×gから約90×g、約40×gから約80×g、約40×gから約75×g、約40×gから約70×g、約40×gから約60×g、約40×gから約50×g、または約40×gから約45×gのRCFで遠心分離することができる(例えば、弱回転)。
【0018】
一実施形態では、第1の遠心分離(例えば、強回転)は、約3、約4、約5、約6、約7、約8、約9、約10、約11、約12、約13、約14、約15、約20、約25、または約30分であり得る。一実施形態では、第2の遠心分離(例えば、弱回転)は、約3、約4、約5、約6、約7、約8、約9、約10、約11、約12、約13、約14、約15、約20、約25、または約30分であり得る。
【0019】
例示的な実施形態では、乏血小板血漿層(PPP)の少なくとも一部を、第1の遠心分離(例えば、強回転)の後、および第2の遠心分離(例えば、弱回転)の前に取り出すことができる。一実施形態では、乏血小板血漿層(PPP)の少なくとも半分、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも98%、少なくとも99%、または100%が取り出される。取り出されたPPPは、最終PRP調製の希釈のような他の目的のために保存される、または自己血餅の創出のために用いられることができる。
【0020】
PRPの少なくとも一部を取り出した後、残りの血液成分を第2の容器(例えば、遠心分離チューブまたはシリンジ、例えば、Arthrex ACP(登録商標)ダブルシリンジシステム)に移すことができる。一実施形態では、本明細書で開示されたPRPはシリンジに送達され、即時に適用する準備が整っている。
【0021】
本明細書に記載のPRPを生産する方法の実施形態において、PRPは全血と比較して、上昇した血小板レベルを含む。一実施形態では、本明細書の方法によって生産されたPRPは、約8×10
6から約1×10
7血小板/μLを含む。一実施形態では、本明細書の方法によって生産されたPRPは、約8.5×10
6から約1×10
7血小板/μLを含む。例示的な実施形態では、本明細書の方法によって生産されたPRPは、約9×10
6から約1×10
7血小板/μLを含む。一実施形態では、本明細書の方法によって生産されたPRPは、約9.5×10
6から約1×10
7血小板/μLを含む。一実施形態では、本明細書の方法によって生産されたPRPは、約8×10
6、約8.5×10
6、約9×10
6、約9.5×10
6、約9.75×10
6、約9.8×10
6、約9.9×10
6、または約1×10
7血小板/μLを含む。
【0022】
本明細書に記載のPRPを生産する方法の実施形態において、PRPは全血と比較して、低下した赤血球(RBC)レベルを含む。一実施形態では、本明細書の方法によって生産されたPRPは、約2×10
5RBC/μL未満、約1.5×10
5RBC/μL未満、約1×10
5RBC/μL未満、または約0.5×10
5RBC/μL未満を含む。
【0023】
一実施形態では、本明細書の方法によって生産されたPRPは、約0.1×10
5から約2×10
5RBC/μL、約0.1×10
5から約1.5×10
5RBC/μL、約0.1×10
5から約1×10
5RBC/μL、約0.1×10
5から約0.75×10
5RBC/μL、約0.1×10
5から約0.6×10
5RBC/μL、約0.1×10
5から約0.5×10
5RBC/μL、約0.25×10
5から約1.5×10
5RBC/μL、約0.25×10
5から約1×10
5RBC/μL、約0.25×10
5から約0.75×10
5RBC/μL、約0.25×10
5から約0.6×10
5RBC/μL、約0.25×10
5から約0.5×10
5RBC/μL、約0.5×10
5から約1.5×10
5RBC/μL、約0.5×10
5から約1×10
5RBC/μL、約0.5×10
5から約0.75×10
5RBC/μL、または約0.5×10
5から約0.6×10
5RBC/μLを含む。
【0024】
本明細書に記載のPRPを生産する方法の実施形態において、PRPは全血と比較して、低下した白血球(WBC)レベルを含む。一実施形態では、本明細書の方法によって生産されたPRPは、約4×10
3WBC/μL未満、約3.5×10
3WBC/μL未満、約3×10
3WBC/μL未満、約2.5×10
3WBC/μL未満、約2×10
3WBC/μL未満、約1.5×10
3WBC/μL未満、約1×10
3WBC/μL未満、または約0.5×10
3WBC/μL未満を含む。
【0025】
一実施形態では、本明細書の方法によって生産されたPRPは、約500から約4000WBC/μL、約500から約3500WBC/μL、約500から約3000WBC/μL、約500から約2500WBC/μL、約500から約2000WBC/μL、約500から約1500WBC/μL、約500から約1000WBC/μL、約500から約750WBC/μL、または約500から約550WBC/μL、約750から約3500WBC/μL、約1000から約3500WBC/μL、約750から約3000WBC/μL、約1000から約3000WBC/μL、約750から約2500WBC/μL、または約1000から約2500WBC/μLを含む。
【0026】
本明細書に記載のPRPを生産する方法の実施形態において、PRPは全血と比較して、低下した好中球(N)レベルを含む。一実施形態では、本明細書の方法によって生産されたPRPは、約300N/μL、約250N/μL、約230N/μL、約225N/μL、約200N/μL、約175N/μL、約150N/μL、約125N/μL、約120N/μL、約110N/μL、約100N/μL、約75N/μL、約50N/μL、約25N/μL、約20N/μL、約15N/μL、または約10N/μL未満を含む。
【0027】
一実施形態では、本明細書の方法によって生産されたPRPは、約10から約300N/μL、約10から約250N/μL、約10から約230N/μL、約10から約225N/μL、約10から約200N/μL、約10から約175N/μL、約10から約150N/μL、約10から約125N/μL、約10から約120N/μL、約10から約100N/μL、約10から約75N/μL、約10から約50N/μL、または約10から約25N/μLを含む。
【0028】
装置
一実施形態では、PRP調製のための装置は、例えば、第1のシリンジに血液を直接吸い上げるための点滴セットの直接接続のために、底部カップリングエレメント110を有する第1のシリンジ100を含むことができる。
図2A。カップリングエレメントは、オステーパー接続金具とその対になるメス部品との間を漏れのない接続にするために、ルアーロックコネクタまたは任意の他のタイプの小型の液体接続金具であり得る。第1のシリンジは、上部カップリングエレメント120を含むこともできる。上部カップリングエレメントは、例えば、スワバブル(swabbable)針なし注射ルアーコネクタ150またはプランジャー140に接続可能である。第1のシリンジは、体液に適したチャンバー130を有するバレル190を含むことができる。体液を、上部カップリングエレメント120に接続したプランジャー140(または他の適した手段)を用いて第1のシリンジのチャンバー130に吸い上げることができる。
【0029】
体液、例えば全血を、患者、または以前に収集した体液試料を含む容器のいずれかから直接、第1のシリンジに吸い上げることができる。任意の量の体液、例えば、約10、20、50、75、100、125、150、200、300mLまたはそれ以上を用いることができる。プランジャー140は上部カップリングエレメント120から除去可能であり、スワバブル針なしインジェクタルアー150(または他のルアーロックポートまたはインジェクタポート)は上部カップリングエレメントに設置される(
図2B)。第1のシリンジは遠心分離機に設置され、例えば、強回転条件下で回転される。体液の3つの層、PPP層160、バフィー層170、および赤血球または赤血球層180が遠心分離後に存在することができる(
図2C)。
【0030】
場合により、PPP層の量(例えば、約1、2、5、10、20、30、40、50mLまたはそれ以上)を、所望の体積のPPP(例えば、約50、40、30、20、10、5、2、1mL、それ以下)を残して、スワバブル針なしインジェクタルアー150または上部カップリングエレメント120を介して取り出すことができる。場合により取り出されたPPPを、例えばPRP最終注射の希釈、または自己血餅の作製のために用いることができる。あるいは、PPPのすべてを第1のシリンジ内に保持することができる。第2のシリンジ200または他の第2の容器を、上部カップリングエレメント120またはスワバブル針なしインジェクタルアー150に接続することができる。第2のシリンジは、Arthrex ACP(登録商標)ダブルシリンジであり得る。ダブルシリンジは、例えば、第1の直径の第1の本体を有する遠位(外側)シリンジ、および第1の直径より小さい第2の直径の第2の本体を有する近位(内側)シリンジを含み、遠位(外側)シリンジは近位(内側)シリンジと直接液体をやりとりし、近位(内側)シリンジは遠位(外側)シリンジ内に設置される。第2のシリンジまたは他の第2の容器は、底部カップリングエレメント210およびプランジャー240を持つことができる。第2のシリンジまたは第2の容器のバレル220は、体液を入れることができるチャンバー230を含むことができる。第2のシリンジまたは第2の容器のバレルは、第1のシリンジより小さい直径を持つことができ、したがって第2のシリンジは、第1のシリンジのバレル内に適合することができる。
図3Aを参照。
【0031】
第1のシリンジ内に存在する体液のすべてまたは一部(例えば、PPP、バフィー層、赤血球層)は、第1のシリンジの上部カップリングエレメント120から、第2のシリンジ200または他の第2の容器に吸い上げることができる。
図3A。一例では、PPP層、バフィー層および場合により赤血球層の一部(例えば、約1、2、5、10、15、または30mL未満)は、第2のシリンジまたは他の第2の容器に吸い上げることができる。第2のシリンジまたは第2の容器を第1のシリンジから取り出し、遠心分離機に設置することができる。第2のシリンジまたは第2の容器は、例えば、弱回転条件下で遠心分離することができる。2層、PRP層235および赤血球層240が第2の遠心分離後に存在することができる。
図3B。例えば、第2のシリンジまたは第2の容器の底部カップリングエレメント210から赤血球層を排出することによって、PRP層を単離することができる。PPPを、次いで第2のシリンジまたは第2の容器の底部カップリングエレメント210に接続した注射セットから患者への直接注射のために用いることができ、または後で使用するために第2のシリンジまたは第2の容器内に保存することができ、または第2のシリンジまたは第2の容器のチャンバーから取り出して、後で使用するために別の容器に保存することができる。
【0032】
第2の容器が、Arthrex ACP(登録商標)ダブルシリンジのようなダブルシリンジである場合、第2の遠心分離後、内側シリンジのプランジャーをPRPの簡易単離のために用いることができる。第2の遠心分離後、内側シリンジ(ダブルシリンジの)は、PRPを単離するために引き出される。したがって、第2の、ダブルシリンジの内側シリンジを用いて、RBC層をかき乱すことなくPRPを引き出すことができる。第2のシリンジの内側シリンジを、次いで取り出すことができ、底部カップリングエレメントに針を取り付けることができ、および第2の、ダブルシリンジの内側シリンジを用いて、患者または容器にPRPを直接注入することができる。
【0033】
装置のその他の使用
本明細書に記載の装置および方法は、例えば、骨髄または脂肪組織を含む他の体液と共に用いることができる。
【0034】
実施形態は、骨髄分画の方法を提供する。一実施形態では、骨髄単核細胞(BMMC)を単離することができる。BMMCは、単球、リンパ球ならびに造血および/または間葉系幹細胞ならびに前駆細胞を含む単核細胞の混合集団である。骨髄、骨髄穿刺液、または骨髄濃縮物(すなわち骨髄試料)を、上部カップリングエレメント120に接続されたプランジャー140を用いて第1のシリンジのチャンバー130に吸い上げることができる。骨髄試料を、患者または以前に収集した骨髄試料を含む容器のいずれかから直接、第1のシリンジに吸い上げることができる。第1のシリンジのチャンバー内で、骨髄試料が上層にあり、密度勾配溶媒が下層にあるように、密度勾配溶媒(例えばρが約1.070から約1.080のパーコールまたはフィコール)を、場合により第1のシリンジに吸い込むことができる。あるいは、密度勾配溶媒を、底部カップリングエレメント110から第1のシリンジに吸い上げることができ、次いで第1のシリンジの上部カップリングエレメント120から、骨髄試料を添加することができる。プランジャー140(使用する場合)は上部カップリングエレメントから除去可能であり、スワバブル針なしインジェクタルアー150(または他のルアーロックポートまたはインジェクタポート)は上部カップリングエレメント120に設置することができる。
図2A。第1のシリンジを遠心分離機に設置し、例えば、PRPの単離のために上記に記載されたいずれかの強回転遠心分離条件下で、例えば約2000×g、約10分間、回転させることができる。3または4層の体液が、上部から底部に乏血小板血漿層、バフィー層、密度勾配溶媒層(使用する場合)、および赤血球/顆粒球層の順序で存在することができる。
【0035】
場合により、乏血小板血漿層の量は、所望の体積の乏血小板血漿層を残して、スワバブル針なしインジェクタルアーまたは上部カップリングエレメントを介して取り出すことができる。あるいは、乏血小板血漿層のすべてを第1のシリンジ内に保持することができる。第2のシリンジ、例えば、ダブルシリンジ、または他の第2の容器を、上部カップリングエレメントまたはスワバブル針なしインジェクタルアーに接続することができる。第2のシリンジ(例えばダブルシリンジ)または第2の容器は、底部カップリングエレメントを持つことができる。第2のシリンジまたは第2の容器のバレルは、体液を入れることができるチャンバーを含むことができる。第2のシリンジまたは第2の容器のバレルは、第1のシリンジより小さい直径を持つことができ、したがって第2のシリンジまたは第2の容器は、第1のシリンジのバレル内に適合することができる。
【0036】
第1のシリンジ内に存在する体液のすべてまたは一部(例えば、乏血小板血漿層、バフィー層、密度勾配溶媒層(使用する場合)、および赤血球/顆粒球層)は、上部カップリングエレメントから、第2のシリンジまたは第2の容器に吸い上げることができる。一例では、任意の残りの乏血小板血漿層およびバフィー層は、第2のシリンジまたは他の容器に吸い上げることができる。第2のシリンジまたは第2の容器を除去し、遠心分離機に設置することができる。第2のシリンジまたは第2の容器は、PRP単離のために上記の弱回転条件のいずれかで遠心分離することができる。他の条件は、例えば3、5、7、10、15分またはそれ以上、約225、250、275、300、325、350、375、400、425×gまたはそれ以上の遠心分離を含むことができる。上部骨髄単核細胞層および底部赤血球/顆粒球層の2層が遠心分離後に存在することができる。骨髄単核細胞層が第2のシリンジに保持されるように、例えば、第2のシリンジまたは第2の容器の底部カップリングエレメント210から赤血球/顆粒球層を排出することによって、骨髄単核細胞層を単離することができる。骨髄単核細胞層を、次いで第2のシリンジまたは第2の容器の底部カップリングエレメント210に接続した注射セットから患者への直接注射のために用いることができ、または後で使用するために第2のシリンジまたは第2の容器内に保存することができ、または第2のシリンジまたは第2の容器のチャンバーから除去して、後で使用するために別の容器に保存することができる。
【0037】
第2の容器が、Arthrex ACP(登録商標)ダブルシリンジのようなダブルシリンジである場合、第2の遠心分離後、内側シリンジを骨髄単核細胞層の簡易単離のために用いることができる。第2の遠心分離後、内側シリンジの(ダブルシリンジの)プランジャーは、骨髄単核細胞層を単離するために引き上げる。したがって、第2の、ダブルシリンジの内側シリンジを用いて、赤血球/顆粒球層をかき乱すことなく骨髄単核細胞層を引き出すことができ、シングルシリンジは、赤血球/顆粒球層を押し出し、シリンジ内に骨髄単核細胞層を保つ。第2のシリンジの内側シリンジを、次いで除去することができ、底部カップリングエレメントに針を取り付けることができ、および第2の、ダブルシリンジの内側シリンジを用いて、患者または容器に骨髄単核細胞層を直接注入することができる。
【0038】
骨髄単核細胞層は、次いで患者への注射に使用することができる、または後で使用するために保存することができる。全血を用いた場合、骨髄単核細胞層は、上記の多血小板血漿層と類似しているが、さらに幹細胞を含む。
【0039】
実施形態は、脂肪組織分画の方法を提供する。一実施形態では、精製された間質血管画分または層(SVF)を脂肪組織から単離することができる。脂肪組織を、上部カップリングエレメントに接続されたプランジャー140を有する第1のシリンジのチャンバー130に吸い上げることができる。脂肪組織を、患者または以前に収集した脂肪組織を含む容器のいずれかから直接、第1のシリンジに吸い上げることができる。脂肪組織は、第1のシリンジに吸い上げられるより前に乳化することができ、または第1のシリンジ内で機械的に乳化することができる。プランジャー(使用する場合)は上部カップリングエレメントから除去可能であり、スワバブル針なしインジェクタルアー(または他のルアーロックポートまたはインジェクタポート)は上部カップリングエレメントに設置することができる。
図2A。第1のシリンジを遠心分離機に設置し、例えば、PRPの単離のための上記いずれかの強回転遠心分離条件下で、回転させることができる。他の遠心分離条件は、例えば、約400、500、600、666、700、800×gまたはそれ以上で、約3、4、5、7、10分またはそれ以上を含む。3層の体液が、上部から底部に脂肪酸/脂質/油層(「脂質層」)、圧縮された脂肪層、および過剰な体液層(例えば、漿液、赤血球、および局所麻酔薬を含む)の順序で存在することができる。
【0040】
脂質層は、スワバブル針なしインジェクタルアーまたは上部カップリングエレメントを介して取り出すことができる。過剰な体液層は、圧縮された脂肪層が第1のシリンジに残るように、底部カップリングエレメント110から排出することができる。約75、80、85、90、95、97、98、99または100%の脂質層および過剰な体液層が取り出される。第2のシリンジ(例えばダブルシリンジ)または第2の容器は、上部カップリングエレメントまたはスワバブル針なしインジェクタルアーに接続することができる。第2のシリンジまたは第2の容器は、底部カップリングエレメントを持つことができる。第2のシリンジまたは第2の容器のバレルは、体液を入れることができるチャンバーを含むことができる。第2のシリンジまたは第2の容器のバレルは、第1のシリンジより小さい直径を持つことができ、したがって第2のシリンジは、第1のシリンジのバレル内に適合することができる。
【0041】
第1のシリンジ内に存在する体液のすべてまたは一部は、上部カップリングエレメントから第2のシリンジまたは第2の容器に吸い上げることができる。一例では、圧縮された脂肪層は、第2のシリンジまたは第2の容器に吸い上げることができ、第2のシリンジまたは第2の容器は、第1のシリンジから除去することができ、第2のシリンジまたは第2の容器は、遠心分離機に設置される。第2のシリンジまたは第2の容器は、PRPの単離のための上記弱回転条件下で遠心分離することができる。他の条件は、例えば、約200、250、300、350、375、400、450×gまたはそれ以上、約3、4、5、7、10分またはそれ以上を含む。上部脂肪細胞層および底部間質血管層または画分の2層が遠心分離後に存在することができる。脂肪組織の間質血管画分は、前脂肪細胞、間葉系幹細胞(MSC)、内皮前駆細胞、T細胞、B細胞、肥満細胞、および脂肪組織マクロファージの豊富な供給源である。例えば第2のシリンジまたは第2の容器の底部ルアーロックコネクタから排出することによって、SVFを単離することができる。単離されたSVFを、次いで患者への注射のために用いることができ、または後で使用するために保存することができる。
【0042】
多血小板血漿、骨髄単核細胞、間質血管画分およびそれらの使用
一実施形態では、本明細書で開示された方法によって調製された、PRP組成物、BMMC組成物、SVF組成物、または他の体液は、1つまたはそれ以上のビタミンE、ビタミンA、または他のレチノイドのようなビタミンを含むことができる。ビタミンまたは他のレチノイドは、PRP、BMMC、またはSVF中に約40、30、20、10、5mg/L、またはそれ未満で存在することができる。ビタミンは、創傷治癒および抗酸化作用特性を提供することができる。あるいは、またはさらに、非ビタミン抗酸化物質を、PRP、BMMC、またはSVF中に約50、40、30、20、10、5mcg/dL、またはそれ未満で含むことができる。そのような抗酸化物質の非限定的な代表的な例は、β−カロテンを含む。
【0043】
実施形態は、軟部組織障害の治療で使用するための、自己多血小板血漿(PRP)を含む組成物を提供し、PRPは約8×10
6から約1×10
7血小板/μLを含む。一実施形態では、PRPは本明細書に記載の方法によって得られ、および本明細書の方法によって生産されたPRPに関する任意の特徴は、その医学的用途に適用可能である。一実施形態では、自己多血小板血漿(PRP)を含む組成物は、注射による靱帯、腱、骨、軟骨、または関節腔への投与のためであり得る。
【0044】
実施形態は、軟部組織損傷または障害の治療で使用するための、本明細書に記載の方法によって得られた血液骨髄単核細胞(BMMC)を含む組成物を提供する。
【0045】
実施形態は、軟部組織損傷または障害の治療で使用するための、本明細書に記載の方法によって得られた間質血管画分(SVF)を含む組成物を提供する。
【0046】
一実施形態では、本明細書に記載の方法によって得られた、約0.1、0.5、1、5、10、15、20、25mL、またはそれ以上のPRPを対象に投与することができる。対象は、哺乳動物であり得る。哺乳動物は、ヒト、イヌ、ネコ、ウマ、またはウシであり得る。
【0047】
一実施形態では、本明細書に記載の方法によって得られたPRP、BMMC、またはSVFは、手術を受けていない対象に投与できる。PRP、BMMC、またはSVFは、例えば注射によって、手術を受けていない対象の軟骨、靱帯、腱、軟部組織、筋肉、または関節腔に直接投与できる。例えば、慢性腱障害(例えば、アキレス腱症、外側/内側上顆炎、足裏筋膜炎、膝蓋骨腱障害)を有する対象に、注射によって腱にPRP、BMMC、またはSVFを投与できる。例示的な実施形態では、軟骨損傷および初期または進行性変形性関節症を有する対象に、PRP、BMMC、またはSVFを投与できる。
【0048】
一実施形態では、本明細書に記載の方法によって得られたPRP、BMMC、またはSVFを、手術の間、対象に投与できる。PRP、BMMC、またはSVFは、手術の間、靱帯(例えば、前十字靱帯、内側側副靱帯、その他)、軟骨(例えば、半月板、関節唇、その他)、または腱(例えば、アキレス腱)のような軟部組織障害または損傷を修復するために投与できる。PRP、BMMC、またはSVFは、手術の間、骨の修復(例えば、膝蓋骨、脛骨、大腿骨、上腕骨、その他)を促すために投与することもできる。PRP、BMMC、またはSVFを使って、虚血、虚血性発作、心臓損傷または障害、筋肉損傷または障害、変形性関節症、関節リウマチ、および他の疾患を治療することもできる。PRP、BMMC、またはSVFは、軟部組織または関節腔(例えば、肩、膝、足首、手首、股関節、その他)に直接投与できる。
【0049】
一実施形態では、本明細書に記載の方法によって得られた、PRP、BMMC、またはSVFは、ニューロパシー(例えば、末梢性ニューロパシー)を有する対象に投与できる。
【0050】
本明細書に記載の方法では、対象に投与されたPRP、BMMC、またはSVFは、自己PRP、BMMC、またはSVFであり得る。一実施形態では、対象に投与されたPRP、BMMC、またはSVFは、同種PRP、BMMC、またはSVFであり得る。
【0051】
一実施形態では、本明細書に記載の方法によって得られたPRP、BMMC、またはSVFは、1つまたはそれ以上の特定の増殖因子と組み合わせて投与できる。増殖因子は、これらに限定されないが、血小板由来増殖因子(PDGF)、線維芽細胞増殖因子(FGF)、TGF−β(トランスフォーミング増殖因子−β)、上皮増殖因子(EGF)、および血管内皮細胞増殖因子(VEGF)が挙げられる。増殖因子は、PRP、BMMC、もしくはSVFに添加できる、または別々に、同時にもしくは連続的に約0.001、0.01、0.1、1.0、10、100ng/mLまたはそれ以上で投与できる。
【0052】
一実施形態では、本明細書に記載の方法によって得られたPRP、BMMC、またはSVFは、骨髄濃縮物(BMC)、骨髄穿刺液(BMA)、または吸引脂肪組織と組み合わせて投与できる。約1、2、5、10、15、20、25mLもしくはそれ以上のBMC、BMA、または吸引脂肪組織は、PRP、BMMC、もしくはSVFに添加できる、または別々に、同時にもしくは連続的に投与できる。
【0053】
例示的な実施形態では、本明細書に記載の方法によって得られたPRP、BMMC、またはSVFは、幹細胞と組み合わせて投与できる。例えば、PRP、BMMC、またはSVFは、間葉系幹細胞または骨髄幹細胞と共に投与できる。約0.1、0.5、1、2、5、10、15、20、25mLもしくはそれ以上の間葉系幹細胞または骨髄幹細胞は、PRP、BMMC、もしくはSVFに添加できる、または別々に、同時にもしくは連続的に投与できる。
【0054】
一実施形態では、本明細書の方法によって得られたPRP、BMMC、またはSVFは、第2のシリンジまたは第2の容器から患者に、第2のシリンジまたは第2の容器に取り付けられた注射キットを介して直接投与できる。例えば、ダブルシリンジが第2のシリンジとして使用される場合、内側シリンジを除去し、注射キットに接続することができ、PRP、BMMC、またはSVFを患者に直接投与することができる。
【0055】
前の段落のPRP、BMMC、またはSVFに関して提示されたさまざまな考察、および投与に関連する特徴はすべて、文脈が別途必要とする場合を除いて、本明細書で定義されるこれらの細胞集団の対応する医学的使用に適用可能である。
【0056】
キット
一実施形態では、本明細書に記載の方法は、適切な全血の分画および層の収集を達成するための使い捨て血液分離キットおよび器具を含む。方法、装置、および装置の構成要素は、全血および血液成分の画分への分離(例えば、少なくともPPPの一部が取り出された第2の遠心分離)、およびその後の選択された画分の収集を監視および制御することを含む。
【0057】
定義
「バフィー層」または「バフィーコート」という用語は、血液の密度勾配遠心分離後または強回転遠心分離条件下の、血漿層と赤血球層との間の白血球、血小板、ならびに間葉細胞および/または造血細胞の中間白色層を表す。
【0058】
「乏血小板血漿(PPP)」という用語は、血液の密度勾配遠心分離後、または血液の強回転遠心分離条件下の血漿の上層を表す。PPP層は、遠心分離が白血球および血小板がバフィー層に分画されるほど十分な力である場合に生じる。
【0059】
「赤血球(erythrocyte)」および「赤血球(red blood cell)(RBC)」という用語は代替可能であり、成熟赤血球を表す。
【0060】
「好中球(N)」という用語は、成熟した顆粒白血球の一つのタイプを表す。他の顆粒球は、好塩基球および好酸球を含む。
【0061】
「強回転」という用語は、赤血球層の真上および乏血小板血漿層の下の層で赤血球を沈殿物におよび血小板を沈殿物にする遠心分離条件を表す。一般的に、強回転は、約1500×gから約2000×gの相対遠心力(RCF)を有すると定義される。「弱回転」という用語は、赤血球を沈殿物にし、一方血小板は懸濁液のままである遠心分離条件を表す。一般的に、弱回転は、約20×gから約200×gのRCFを有すると定義される。
【0062】
本明細書において使用する場合、単数形の「a」、「an」、および「the」は、状況が明らかに別の方法で指示しなければ、複数の指示対象を含む。数値と関連した「約」という用語は、数値のプラスまたはマイナス5%以下、数値が変動可能であることを意味する。
【0063】
すべての特許、特許出願、および本明細書のいずれかに引用された他の科学的または技術的な文献は、その内容全体を参照により本明細書に組み込むものとする。本明細書に例示的に記載された本発明は、本明細書に具体的に開示されていない任意の要素、制限の不存在下で適切に実施することができる。したがって、例えば、本明細書の各例において、「含む」、「から本質的になる」、および「からなる」の用語のいずれかは、それらの通常の意味を保持しながら、他の2つの用語のいずれかと置き換えてもよい。使用された用語および表現は、限定ではなく説明の用語として使用され、示され説明された特徴またはその一部の任意の均等物を排除するような用語および表現を使用する意図はないが、さまざまな変更は請求項に係る本発明の範囲内で可能であることが認識されている。したがって、本発明は、実施形態によって具体的に開示されているが、本明細書に開示された概念の任意の特徴、変更および変形は、当業者によって採用されてもよく、そのような変更および変形は説明および添付の請求項によって定義される本発明の範囲内である。
【0064】
さらに、本発明の特徴または態様がマーカッシュグループまたは代替の他のグループに関して記載されている場合、当業者は、本発明がマーカッシュグループまたは他のグループの任意の個々のメンバーまたはサブグループのメンバーに関しても記載されることを認識するであろう。
【0065】
本明細書で使用する「実施形態」という用語は、本発明を特定の特徴の組み合わせに限定することを意図するものではない。上記の任意の実施形態および任意の実施形態において存在することが「できる」、または存在して「もよい」と言及される任意の特徴は、本明細書に記載される任意の他のまたはさらなる実施形態または特徴と任意の実行可能な組み合わせで組み合わせ可能であることが意図される。
【0066】
以下は、例示目的のためにのみ提供されており、上記の広い意味で記載された本発明の範囲を限定するものではない。
【実施例1】
【0067】
濃縮多血小板血漿の調製
より高い血小板比率の濃縮多血小板血漿(すなわち、自己調整血漿(autologous conditioned plasma))を生産する方法が開発された。
【0068】
方法
全血をシリンジに吸い上げた(各々3人の異なるドナー)。プランジャーをシリンジから除去し、全血をシリンジ内で、1705×g、10分間、室温で遠心分離した(Hettich(登録商標)1390バケット、Hettich Lab Technology、Beverly、MA))。上部帯黄色透明画分(乏血小板血漿)、白色境界画分(「バフィー層」)、およびシリンジ底部の赤色画分の3つの画分が識別できた。約20mLの乏血小板血漿画分を取り出した。残りの血漿およびバフィー層をArthrex ACP(登録商標)ダブルシリンジシステム(Arthrex Inc.、Naples、FL)に移した。ダブルシリンジを、スワバブル針なしLuer−Lok(登録商標)接続を介してより大きなシリンジに接続した。ダブルシリンジをHettich(登録商標)1390バケットに設置し、41.65×g、5分間、室温で遠心分離した。遠心分離の後に、上方帯黄色透明画分(多血小板血漿)および底部赤色赤血球画分の2つの画分が識別できた。上方画分をArthrex ACP(登録商標)ダブルシリンジの内側シリンジを用いて単離した。細胞内含量の測定のために処理されたPRPの総体積は6mLであった。
【0069】
結果
全血(WB)および最終PRP画分を細胞含量について分析した。
【0070】
【表1】
【0071】
全血と比較したPRP中の成分(白血球(WBC)、赤血球(RBC)、血小板(PLT)、および好中球(N))の量の比率として、成分を表2において比較する。
【0072】
【表2】
本明細書に記載の方法は、高血小板比率の増加したならびに白血球、赤血球、および好中球比率の低下したPRPを生産した。
【実施例2】
【0073】
濃縮PRPの比較
実施例1で生成された濃縮PRPと比較するために、異なる方法によって濃縮PRPを生成した。
【0074】
方法
Arthrex ACP(登録商標)ダブルシリンジシステムおよびAngel(登録商標)PRPシステム(Arthrex Inc.、Naples、FL)によって、製造業社の取扱説明書にしたがって、濃縮PRPを調製した。2%、7%、および15%のヘマトクリット設定のみ異なる、3つの別々のAngel(登録商標)PRPを調製した。
【0075】
結果
さまざまな異なる方法によって調製されたPRPの成分を表3に比較する(PRP対全血)(
図1も参照)。実施例1と類似して、細胞内量の測定のために処理された各々のAngel(登録商標)PRP試料は6mLであった。しかし、細胞含量の測定のために処理されたArthrex ACP(登録商標)ダブルシリンジシステム試料は4.6mLであった。同一体積での比較を提供するために、データを4.6mLから6.0mLまで外挿した。
【0076】
【表3】
実施例1の方法は、15%ヘマトクリットのAngel(登録商標)PRP試料を除いて他の方法より、より高い血小板比率を有するPRPを生産した。しかし、赤血球、好中球および白血球比率は、15%ヘマトクリットのAngel(登録商標)PRP試料よりはるかに低かった。