特許第6731032号(P6731032)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6731032
(24)【登録日】2020年7月7日
(45)【発行日】2020年7月29日
(54)【発明の名称】電気設備筐体
(51)【国際特許分類】
   H02B 1/30 20060101AFI20200716BHJP
   H02B 1/28 20060101ALI20200716BHJP
【FI】
   H02B1/30 B
   H02B1/28 D
【請求項の数】3
【全頁数】13
(21)【出願番号】特願2018-224138(P2018-224138)
(22)【出願日】2018年11月29日
(65)【公開番号】特開2020-89193(P2020-89193A)
(43)【公開日】2020年6月4日
【審査請求日】2019年6月17日
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】714003416
【氏名又は名称】日鉄日新製鋼株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000523
【氏名又は名称】アクシス国際特許業務法人
(72)【発明者】
【氏名】山本 敬司
(72)【発明者】
【氏名】平工 大
(72)【発明者】
【氏名】太田 祐吾
【審査官】 内田 勝久
(56)【参考文献】
【文献】 実開昭61−084602(JP,U)
【文献】 特開平06−113411(JP,A)
【文献】 特開昭50−153243(JP,A)
【文献】 特開2015−218806(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02B 1/00 〜 1/38
H02B 1/46 〜 7/08
H05K 5/00 〜 5/06
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
箱形をなすように複数のパネルが接合された電気設備筐体であって、
第1パネルと、
前記第1パネルに接合された第2パネルと
を備え、
前記第1パネルは、第1パネル本体と、前記第1パネル本体の縁部から前記第1パネル本体の延在面と交わる方向に延出された第1壁部と、前記第1壁部に設けられたボルト孔とを有しており、
前記第2パネルは、第2パネル本体と、前記第2パネル本体の内面から突出された溶接スタッドボルトとを有しており、
前記第1壁部の前記ボルト孔に通された前記溶接スタッドボルトにナットが螺着されることで、前記第1パネルと前記第2パネルとが互いに接合されており
前記第1パネルは、前記第1パネル本体の縁部から前記第1パネル本体の延在面と交わる方向に延出されるとともに前記第1壁部との間に空隙を形成する第2壁部をさらに有しており、
前記第2パネルは、前記第2パネル本体の縁部から前記第2パネル本体の延在面と交わる方向に延出された第3壁部をさらに有しており、
前記第1及び第2壁部間の前記空隙に前記第3壁部が通されるとともに、前記第1及び第2壁部により前記第3壁部の板厚方向に係る移動が規制されている、
電気設備筐体。
【請求項2】
前記第1パネルは、床面パネルであり、
前記第2パネルは、側面パネルである、
請求項1記載の電気設備筐体。
【請求項3】
前記第1壁部は、前記床面パネルの側縁部から延出されており、
前記第2壁部は、前記床面パネルの前縁部又は後縁部から延出されており、
前記第3壁部は、前記側面パネルの前縁部又は後縁部から延出されている、
請求項2記載の電気設備筐体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、箱形をなすように複数のパネルが接合された電気設備筐体に関する。
【背景技術】
【0002】
従来用いられていたこの種の電気設備筐体としては、例えば下記の特許文献1等に示されている電気設備筐体を挙げることができる。すなわち、従来の電気設備筐体は、底面パネルと、この底面パネルに接合された側面パネルとを有している。底面パネルの周囲四辺は、上向きにL曲げ加工されている。底面パネルの左右側辺の折り曲げ部端面にはボルト通し穴が穿孔されている。側面パネルの底辺は、コ字形曲げ加工が施されている。側面パネルの底辺折り曲げ部の端面にはボルト通し穴が穿孔されている。底面パネルの側辺折り曲げ部(L曲げ加工)が側面パネルの底辺折り曲げ部(コ字形曲げ加工)の板面に重ね合わされた状態で、ボルト通し穴に通された固定ボルトにナットが螺合されることにより、底面パネル及び側面パネルが互いに接合されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2011−61980号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記のような従来の電気設備筐体では、側面パネルの底辺折り曲げ部(コ字形曲げ加工)を形成しているので、電気設備筐体の底部において側面パネルから離れた位置で折り曲げ部が延在してしまう。電気設備筐体内に機器配置する際に折り曲げ部が邪魔になることがあり、電気設備筐体内のスペース効率が低くなっている。また、仮にコ字形の折り曲げ部を省略すると、パネル本体に孔を開ける必要が生じるとともに、電気設備筐体の外側に締結部材(ボルト又はナット)が現れてしまう。この場合、パネル本体の孔から漏水が生じる虞があるとともに、パネル本体の孔及びボルト頭等が腐食する虞がある。
【0005】
本発明は、上記のような課題を解決するためになされたものであり、その目的は、電気設備筐体内のスペース効率を向上できるとともに、締結部材の腐食及び漏水の虞を回避することができる電気設備筐体を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明に係る電気設備筐体は、箱形をなすように複数のパネルが接合された電気設備筐体であって、第1パネルと、第1パネルに接合された第2パネルとを備え、第1パネルは、第1パネル本体と、第1パネル本体の縁部から第1パネル本体の延在面と交わる方向に延出された第1壁部と、第1壁部に設けられたボルト孔とを有しており、第2パネルは、第2パネル本体と、第2パネル本体の内面から突出された溶接スタッドボルトとを有しており、第1壁部のボルト孔に通された溶接スタッドボルトにナットが螺着されることで、第1パネルと第2パネルとが互いに接合されている。
【発明の効果】
【0007】
本発明の電気設備筐体によれば、第2パネル本体の内面から溶接スタッドボルトが突出されており、第1壁部のボルト孔に通された溶接スタッドボルトにナットが螺着されることで、第1パネルと第2パネルとが互いに接合されているので、電気設備筐体内のスペース効率を向上できるとともに、締結部材の腐食及び漏水の虞を回避することができる電気設備筐体を提供することである。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】本発明の実施の形態による電気設備筐体を示す斜視図である。
図2図1の電気設備筐体を示す分解斜視図である。
図3図2の床面パネル、左側面パネル及び背面パネルを拡大して示す斜視図である。
図4図3の床面パネル、左側面パネル及び背面パネルの接合について説明する説明図である。
図5図1の電気設備筐体の上部前方の断面図である。
図6図1の電気設備筐体の上部後方の断面図である。
図7図1の電気設備筐体の上部左方の断面図である。
図8図1の電気設備筐体の上部右方の断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明を実施するための形態について、図面を参照して説明する。本発明は各実施の形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で構成要素を変形して具体化できる。また、各実施形態に開示されている複数の構成要素の適宜な組み合わせにより、種々の発明を形成できる。例えば、実施の形態に示される全構成要素からいくつかの構成要素を削除してもよい。さらに、異なる実施形態の構成要素を適宜組み合わせてもよい。
【0010】
図1は本発明の実施の形態による電気設備筐体を示す斜視図であり、図2図1の電気設備筐体を示す分解斜視図である。本実施の形態の電気設備筐体は、受変電設備等の電気設備を内部に収納する筐体である。受変電設備には、配電盤、分電盤及び制御盤が含まれる。
【0011】
図1及び図2に示すように、本実施の形態の電気設備筐体は、チャネルベース1、筐体本体2、複数の補強柱3及び屋根体4を有している。なお、図1では補強柱3の図示を省略している。
【0012】
チャネルベース1は、電気設備筐体の底部を構成するものであり、例えば土台上面又は床面等の電気設備筐体の設置面上に配置される。図2に特に表れているように、本実施の形態のチャネルベース1は、矩形をなすように複数の形鋼(溝形鋼)が接合されたものである。各形鋼のウェブ部分には、通気口として機能する複数の開口が設けられている。
【0013】
筐体本体2は、チャネルベース1の上に載置された箱形の構造体である。本実施の形態の筐体本体2は、箱形をなすように床面パネル20、左側面パネル21、右側面パネル22、背面パネル23、扉パネル24及び天井パネル25(複数のパネル)が互いに接合されることにより構成されている。床面パネル20、左側面パネル21、右側面パネル22、背面パネル23、扉パネル24及び天井パネル25は、素材金属板に対して曲げ加工等の成形加工が施されることにより形成されている。素材金属板としては、例えば塗装鋼板及びめっき鋼板を用いることができる。めっき鋼板としては、Zn系めっき鋼板、Al系めっき鋼板及びZn−Al−Mg合金めっき鋼板を用いることができる。鋼板には、普通鋼の板材及びステンレス鋼の板材が含まれる。
【0014】
床面パネル20は、筐体本体2の床面(底面)を構成している。本実施の形態の床面パネル20は、筐体本体2の奥行方向2bに係る寸法が幅方向2aに係る寸法がよりも長い長方形状の外形を有している。但し、床面パネル20の外形は、任意であり、例えば正方形状等の他の形状であってもよい。
【0015】
左側面パネル21は筐体本体2の左側面を構成し、右側面パネル22は筐体本体2の右側面を構成している。すなわち、左側面パネル21は、床面パネル20の左縁部と接合されており、その床面パネル20の左縁部から上方に向けて延在されている。同様に、右側面パネル22は、床面パネル20の右縁部と接合されており、その床面パネル20の右縁部から上方に向けて延在されている。左側面パネル21と右側面パネル22とは互いに対向して配置されている。
【0016】
本実施の形態の左側面パネル21及び右側面パネル22は、筐体本体2の奥行方向2bに係る寸法よりも筐体本体2の高さ方向2cに係る寸法が長い長方形状のパネルとされている。但し、左側面パネル21及び右側面パネル22の外形は、任意であり、例えば正四角形状であってもよい。
【0017】
本実施の形態の電気設備筐体は、他の電気設備筐体と隣接して配置される用途に適合されている。具体的には、本実施の形態の電気設備筐体は、右隣に他の電気設備筐体が配置されるように適合されている。本実施の形態の右側面パネル22は中央部に開口を有しており、この開口を通して電気設備筐体の内部空間と他の電気設備筐体の内部空間とを連通させることができる。両隣に他の電気設備筐体が配置される場合、左側面パネル21及び右側面パネル22の両方に開口を設けてよい。また、他の電気設備筐体との内部空間の連通が不要であれば、左側面パネル21及び右側面パネル22に開口が設けられていなくてもよい。
【0018】
背面パネル23は、筐体本体2の背面を構成している。本実施の形態の背面パネル23は、床面パネル20の後縁部に接合されており、その床面パネル20の後縁部から上方に向けて延在されている。背面パネル23の外形は、上述の左側面パネル21及び右側面パネル22と同様である。
【0019】
扉パネル24は、筐体本体2の正面において開閉可能に設けられたパネルである。本実施の形態の扉パネル24は、左側面パネル21の前縁部に軸支されている。扉パネル24の外形は、上述の左側面パネル21、右側面パネル22及び背面パネル23と同様である。
【0020】
天井パネル25は、筐体本体2の天井面を構成している。本実施の形態の天井パネル25は、左側面パネル21、右側面パネル22及び背面パネル23の上縁部に接合されている。
【0021】
補強柱3は、筐体本体2を補強するために床面パネル20と天井パネル25との間に設けられた長手状部材である。本実施の形態の補強柱3は、床面パネル20及び天井パネル25の四隅に配置されるとともに、これら床面パネル20及び天井パネル25に接合されている。また、本実施の形態の補強柱3は、他のパネル(左側面パネル21、右側面パネル22、背面パネル23及び扉パネル24)に対しては非接合とされている。換言すると、補強柱3は、他のパネル間を接合していない。
【0022】
屋根体4は、筐体本体2の天井パネル25を覆い隠すように電気設備筐体の上部に設けられており、雨水等の水分が筐体本体2内に浸入することを防止するための構造体である。なお、電気設備筐体が屋内に設置される場合、屋根体4が省略されていてもよい。
【0023】
図2に特に表れているように、屋根体4には、屋根パネル40、第1及び第2屋根フレーム41,42及び第1及び第2屋根ジョイント43,44が設けられている。
【0024】
屋根パネル40は、天井パネル25の上方に配置された部材である。屋根パネル40の上面は、天井パネル25の延在面に対して傾斜して延在されている。具体的には、屋根パネル40の上面は、天井パネル25が水平に延在されているときに後ろ下がりに傾斜するように設けられている。屋根パネル40の上面に付着した雨水等の水分は、屋根パネル40の傾斜により電気設備筐体の後方に流れ落ちる。
【0025】
第1及び第2屋根フレーム41,42は、筐体本体2の奥行方向2bに延びる長手状の部材であり、筐体本体2の幅方向2aに係る左右両側において天井パネル25と屋根パネル40との間に配置されている。第1及び第2屋根フレーム41,42の高さは、天井パネル25に対する屋根パネル40の傾斜を形成するように、電気設備筐体の前側から後側に向かうにつれて低くなっている。
【0026】
第1及び第2屋根ジョイント43,44は、筐体本体2の奥行方向2bに延びる長手状の部材であり、筐体本体2の幅方向2aに係る左右両側において屋根パネル40の上部に配置されている。
【0027】
次に、図3は、図2の床面パネル20、左側面パネル21及び背面パネル23を拡大して示す斜視図である。図3に表れているように、床面パネル20は、床面パネル本体200、底左壁部201、底右壁部202、底後壁部203及び底前壁部204を有している。
【0028】
床面パネル本体200は、正四角形状の平板状部分である。
【0029】
底左壁部201、底右壁部202、底後壁部203及び底前壁部204は、床面パネル20の素材金属板の周縁部がL字曲げされることで形成されたものであり、床面パネル本体200の前後左右の縁部(左縁部、右縁部、後縁部及び前縁部)から床面パネル本体200の延在面と交わる方向に延出されている。具体的には、本実施の形態の底左壁部201、底右壁部202、底後壁部203及び底前壁部204は、床面パネル本体200に対して直交して延在されている。
【0030】
底左壁部201及び底右壁部202は、筐体本体2の奥行方向2bに延在されている。底後壁部203及び底前壁部204は、筐体本体2の幅方向2aに延在されている。底左壁部201と底後壁部203及び底前壁部204との間には、底左空隙205が形成されている。同様に、底右壁部202と底後壁部203及び底前壁部204との間には、底右空隙206が形成されている。
【0031】
底左壁部201、底右壁部202及び底後壁部203には、複数のボルト孔207が設けられている。ボルト孔207は、底左壁部201、底右壁部202又は底後壁部203の延在方向に互いに離間して配置されている。
【0032】
左側面パネル21は、左側面パネル本体210、左側面下壁部211、左側面後壁部212、左側面前壁部213及び複数の溶接スタッドボルト214を有している。
【0033】
左側面パネル本体210は、長方形状の平板状部分である。
【0034】
左側面下壁部211、左側面後壁部212及び左側面前壁部213は、左側面パネル21の素材金属板の周縁部がL字曲げされることで形成されたものであり、左側面パネル本体210の前後下の縁部(下縁部、後縁部及び前縁部)から左側面パネル本体210の延在面と交わる方向に延出されている。具体的には、本実施の形態の左側面下壁部211、左側面後壁部212及び左側面前壁部213は、左側面パネル本体210に対して直交して延在されている。
【0035】
筐体本体2の奥行方向2bに係る左側面後壁部212及び左側面前壁部213の外面間距離(左側面後壁部213の後端面と左側面前壁部213の前端面との間の距離)は、筐体本体2の奥行方向2bに係る底後壁部203及び底前壁部204の内面間距離(底後壁部203の前端面と底前壁部204の後端面との間の距離)よりも短くされている。
また、筐体本体2の奥行方向2bに係る左側面後壁部212及び左側面前壁部213の内面間距離(左側面後壁部212の前端面と左側面前壁部213の後端面との間の距離)は、筐体本体2の奥行方向2bに係る底左壁部201の延在幅(底左壁部201の前端面と後端面との間の距離)よりも大きくされている。
さらに、底左空隙205の幅は、左側面後壁部212及び左側面前壁部213の板厚以上とされている。底左空隙205の幅は、左側面後壁部212及び左側面前壁部213の板厚に近いほど好ましい。底左空隙205の幅は、左側面後壁部212及び左側面前壁部213の板厚の130%以下であることが好ましく、120%以下であることがより好ましく、110%以下であることがさらに好ましい。
【0036】
左側面後壁部212には、筐体本体2の高さ方向2cに互いに離間して複数のボルト孔215が設けられている。
【0037】
溶接スタッドボルト214は、筐体本体2の奥行方向2bに互いに離間して左側面パネル本体210の内面から突出されている。本実施の形態の溶接スタッドボルト214は、外周面にねじが切られたボルト軸によって構成されており、そのボルト軸の基端が左側面パネル本体210の内面に溶接されたものである。溶接スタッドボルト214は、通常のボルトと同様にボルト頭を有していてもよい。この場合、ボルト頭を左側面パネル本体210の内面に溶接することができる。
【0038】
各溶接スタッドボルト214を底左壁部201のボルト孔207にそれぞれ通すことができるように、筐体本体2の奥行方向2bに係る溶接スタッドボルト214の間隔は筐体本体2の奥行方向2bに係るボルト孔207に合わされている。また、筐体本体2の高さ方向2cに係る溶接スタッドボルト214の位置は、左側面下壁部211の上面を床面パネル本体200の下面に接触させたときに各溶接スタッドボルト214を底左壁部201のボルト孔207にそれぞれ通すことができる位置とされている。
【0039】
背面パネル23は、背面パネル本体230、背面下コ字曲げ部231、背面左コ字曲げ部232及び背面右コ字曲げ部233を有している。
【0040】
背面パネル本体230は、長方形状の平板状部分である。
【0041】
背面下コ字曲げ部231、背面左コ字曲げ部232及び背面右コ字曲げ部233は、背面パネル23の素材金属板の周縁部がコ字曲げされることで形成されたものである。背面下コ字曲げ部231、背面左コ字曲げ部232及び背面右コ字曲げ部233は、背面パネル本体230の下縁部、左縁部及び右縁部から背面パネル本体230の延在面と交わる方向に延出された第1延出壁と、この第1延出壁の先端から第1延出壁の延在面と交わる方向に延出された第2延出壁を有している。第1延出壁が背面パネル本体230に対して直交され、第2延出壁が背面パネル本体230と並行に延在されることが好ましい。
【0042】
背面下コ字曲げ部231、背面左コ字曲げ部232及び背面右コ字曲げ部233の第2延出壁には、複数のボルト孔234が設けられている。ボルト孔234は、第2延出壁の延在方向に互いに離間して配置されている。より具体的に説明すると、背面下コ字曲げ部231のボルト孔234は、背面パネル本体230の下縁を床面パネル本体200の後縁と一致させた際に、底後壁部203のボルト孔207と向かい合う位置に配置されている。同様に、背面左コ字曲げ部232のボルト孔234は、背面パネル本体230の左縁を左側面パネル本体210の後縁と一致させた際に、左側面後壁部212のボルト孔215と向かい合う位置に配置されている。
【0043】
次に、図4図3の床面パネル20、左側面パネル21及び背面パネル23の接合について説明する説明図である。床面パネル20、左側面パネル21及び背面パネル23は、図4に示すように接合される。なお、床面パネル20をチャネルベース1(図1及び図2参照)上に載置した後にその床面パネル20に左側面パネル21を接合し、その後に、床面パネル20及び左側面パネル21に背面パネル23を接合することができる。
【0044】
左側面パネル21は、左側面下壁部211の上面を床面パネル本体200の下面に接触させるとともに、左側面後壁部212を底左壁部201と底後壁部203との間の底左空隙205に通すように配置されている。このとき、底左壁部201及び底後壁部203により左側面後壁部212の板厚方向に係る移動が規制される。また、溶接スタッドボルト214が底左壁部201のボルト孔207に通される。底左壁部201の外面は左側面パネル本体210の内面に接触される。この状態で、溶接スタッドボルト214にナット216が螺着されることで、床面パネル20と左側面パネル21とが互いに接合される。なお、図示はしないが、左側面前壁部213は、底左壁部201と底前壁部204との間の底左空隙205に通され、底左壁部201及び底前壁部204により左側面前壁部213の板厚方向に係る移動が規制される。
【0045】
背面パネル23は、背面下コ字曲げ部231のボルト孔234が底後壁部203のボルト孔207と向かい合い、かつ背面左コ字曲げ部232のボルト孔234が左側面後壁部212のボルト孔215と向かい合うように配置される。これらボルト孔207,215,234に締結部材235が通されることで、床面パネル20及び左側面パネル21に背面パネル23が接合される。
【0046】
本実施の形態では、床面パネル20及び左側面パネル21と背面パネル23との接合に用いる締結部材235としてワンサイドボルトが用いられている。ワンサイドボルトは、ボルト体と、ボルト体の外周に設けられたスリーブ体と、スリーブ体の基端に設けられたフランジ部とを有し、スリーブ体の先端をボルト孔207,215,234に挿入した後に、ボルト体を引き戻すことによりスリーブ体を塑性変形させることで変形部を形成し、この変形部とフランジ部とにより床面パネル20、左側面パネル21及び背面パネル23の各壁部を挟持するように構成されている。但し、締結部材235として、例えばボルト・ナット又はリベット等の他の締結部材を用いてもよい。
【0047】
なお、右側面パネル22の基本的構成は、上述の左側面パネル21の構成と同様である。すなわち、床面パネル20及び背面パネル23との右側面パネル22の接合方法は、上述の左側面パネル21の接合方法と同様である。右側面パネル22は、床面パネル20をチャネルベース1上に載置した後であって、床面パネル20及び左側面パネル21に背面パネル23を接合する前に、床面パネル20に接合することができる。
【0048】
次に、図5は、図1の電気設備筐体の上部前方の断面図である。図5に示すように、天井パネル25には、天井パネル本体250、天井下垂部251、前方延出部252、傘部253が設けられている。
【0049】
天井パネル本体250は、筐体本体2の天井面を構成する矩形状の平板部分である。天井パネル本体250には、筐体本体2の内外を連通する通気口250aが設けられている。
【0050】
天井下垂部251は、天井パネル本体250の前端から下方に延在された板状部分である。天井下垂部251は、扉パネル24の上方において筐体本体2の前面を構成している。天井下垂部251は、扉パネル24の上方において筐体本体2の内外を隔てている。
【0051】
前方延出部252は、天井パネル本体250の前端から延出された部分である。本実施の形態の前方延出部252は、天井パネル本体250の前端に接合されたL字板252aと、L字板252aの先端下部に接合された平板体252bとを有している。平板体252bには、通気口252cが設けられている。通気口252cは、天井下垂部251の前方、すなわち筐体本体2の外側に配置されている。
【0052】
傘部253は、通気口252cに覆いかぶさるように天井パネル本体250の前方から延出された断面コ字状の板材である。傘部253には、通気口252cの上方に配置された傘本体253aと、傘本体253aの先端から下方に延出された傘下垂部253bとを有している。傘本体253aは、後方に比べて前方において屋根パネル40との間の隙間が狭くなるように屋根パネル40の屋根パネル本体400の延在面に対して傾斜して延在されている。傘下垂部253bは、前方延出部252の通気口252cよりも前方に配置されている。
【0053】
屋根パネル40には、屋根パネル本体400、屋根前下垂部401、前舌片402及び前溝部403が設けられている。
【0054】
屋根パネル本体400は、電気設備筐体の上部に延在する矩形状の平板部分である。屋根パネル本体400の前端は、前方延出部252の平板体252bの前端よりも前方に位置している。
【0055】
屋根前下垂部401は、屋根パネル本体400の前端から下方に向けて延出された平板状部分である。屋根前下垂部401の下端は、前方延出部252の平板体252bよりも下方に位置している。
【0056】
前舌片402は、前溝部403を介して屋根前下垂部401の下端と一体に設けられた板状部分であり、前方延出部252の平板体252bの上面に重ねられている。
【0057】
前溝部403は、屋根前下垂部401と前舌片402との間に設けられた断面凹状の部分である。前溝部403の底部403aは、前方延出部252の平板体252bよりも下方に位置している。
【0058】
電気設備筐体の上部前方において屋根体4の内部に浸入した雨水等の水分は、前溝部403内に集められる。また、例えば第1及び第2屋根フレーム41,42を伝う等して前溝部403よりも後方に浸入した水分は、前方延出部252の通気口252cから排出される。また、前溝部403よりも後方に浸入した水分が後方に向かうことが傘部253によって阻害される。一方、筐体本体2の内部で加熱された空気は、天井パネル本体250の通気口250a及び前方延出部252の通気口252cを通して筐体本体2の外部へと排出される。
【0059】
次に、図6は、図1の電気設備筐体の上部後方の断面図である。図6に示すように、背面パネル23には、水返部236が設けられている。水返部236は、背面上壁236aと折返壁236bとが設けられている。背面上壁236aは、天井パネル本体250の上面に重なるように背面パネル本体230の上端から前方に向けて延出されている。折返壁236bは、背面上壁236aの先端から上方に向けて折り返された壁部である。水返部236は、電気設備筐体の上部後方において屋根体4の内部に浸入した雨水等の水分が天井パネル本体250の通気口252c(図5参照)に向かうことを阻害する。
【0060】
屋根パネル40には、屋根後下垂部404、後舌片405及び後溝部406が設けられている。
【0061】
屋根後下垂部404は、屋根パネル本体400の後端から下方に向けて延出された平板状部分である。屋根パネル本体400の後端及び屋根後下垂部404は、背面パネル本体230よりも後方に配置されている。屋根後下垂部404の下端は、背面パネル23の背面上壁236aよりも下方に位置している。
【0062】
後舌片405は、後溝部406を介して屋根後下垂部404の下端と一体に設けられた板状部分であり、背面パネル23の背面上壁236aの上面に重ねられている。
【0063】
後溝部406は、屋根後下垂部404と後舌片405との間に設けられた断面凹状の部分である。後溝部406の底部406aは、背面パネル23の背面上壁236aよりも下方に位置している。電気設備筐体の上部後方において屋根体4の内部に浸入した雨水等の水分は、後溝部406内に集められる。
【0064】
次に、図7は、図1の電気設備筐体の上部左方の断面図である。図7に示すように、左側面パネル21には、左側面上壁部217が設けられている。左側面上壁部217は、左側面パネル本体210の上端から外方(左方)に向けて延出された壁部である。天井パネル25は、左側面上壁部217に接合されている。第1屋根フレーム41は、左側面上壁部217の上方に配置されている。
【0065】
屋根パネル40には、左コ字曲げ部407が設けられている。左コ字曲げ部407は、屋根パネル本体400の素材金属板の左縁部がコ字曲げされることで形成されたものである。左コ字曲げ部407は、左側面パネル本体210よりも外方(左方)に配置されている。
【0066】
第1屋根ジョイント43は、屋根パネル40の左コ字曲げ部407を上方から覆い隠すとともに、第1屋根フレーム41及び左側面上壁部217を側方から覆い隠している。第1屋根ジョイント43の下端は、左側面パネル本体210から離れた位置に配置されている。第1屋根ジョイント43の側面を伝う水分は、左側面パネル本体210に伝わらずに電気設備筐体の側方に落ちる。
【0067】
次に、図8は、図1の電気設備筐体の上部右方の断面図である。図8に示すように、右側面パネル22には、右側面パネル本体220及び右側面上壁部221が設けられている。右側面上壁部221は、右側面パネル本体220の上端から内方(左方)に向けて延出された壁部である。天井パネル25は、右側面上壁部221に接合されている。第2屋根フレーム42は、右側面上壁部221の上方に配置されている。
【0068】
屋根パネル40には、右コ字曲げ部408が設けられている。右コ字曲げ部408は、屋根パネル本体400の素材金属板の右縁部がコ字曲げされることで形成されたものである。右コ字曲げ部408は、右側面パネル本体220以内に配置されており、右側面パネル本体220から外方(右方)に突出されていない。
【0069】
第2屋根ジョイント44は、屋根パネル40の右コ字曲げ部408を上方から覆い隠している。第2屋根ジョイント44は、右側面パネル本体220及び右コ字曲げ部408よりも外方(右方)に突出されており、電気設備筐体の右側に配置される他の電気設備筐体の上部も覆うように構成されている。
【0070】
このような電気設備筐体では、左側面パネル本体210(第2パネル)の内面から溶接スタッドボルト214が突出されており、底左壁部201(第1壁部)のボルト孔207に通された溶接スタッドボルト214にナット216が螺着されることで、床面パネル20(第1パネル)と左側面パネル21(第2パネル)とが互いに接合されているので、電気設備筐体内のスペース効率を向上できるとともに、締結部材の腐食及び漏水の虞を回避することができる電気設備筐体を提供することである。すなわち、底左壁部201の外面を左側面パネル本体210の内面に接触させた状態で床面パネル20と左側面パネル21とを互いに接合でき、電気設備筐体の底部において側面パネルから離れた位置で折り曲げ部が延在することを回避できる。また、左側面パネル本体210に開口を設けずに済むとともに、電気設備筐体の外部に溶接スタッドボルト214及びナット216が外部に現れることを回避することができる。
【0071】
また、底左壁部201と底後壁部203との間(第1及び第2壁部間)の底左空隙205に左側面後壁部212(第3壁部)が通されるとともに、底左壁部201及び底後壁部203(第1及び第2壁部)により左側面後壁部212(第3壁部)の板厚方向に係る移動が規制されるので、床面パネル20に対する左側面パネル21の位置合わせをより簡単かつ確実に行うことができ、電気設備筐体の外形寸法精度を向上できる。
【0072】
なお、実施の形態では、左側面パネル21及び右側面パネル22の内面に溶接スタッドボルトを設けるように説明したが、床面パネル、背面パネル及び天井パネル等の他のパネルに溶接スタッドボルトを設けてもよい。
【符号の説明】
【0073】
20 床面パネル(第1パネル)
200 床面パネル本体(第1パネル本体)
201 底左壁部(第1壁部)
203 底後壁部(第2壁部)
205 底左空隙(空隙)
207 ボルト孔
21 左側面パネル(第2パネル)
210 左側面パネル本体(第2パネル本体)
212 左側面後壁部(第3壁部)
214 溶接スタッドボルト
216 ナット
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8