特許第6731056号(P6731056)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6731056眼科用マーキング装置およびその使用方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6731056
(24)【登録日】2020年7月7日
(45)【発行日】2020年7月29日
(54)【発明の名称】眼科用マーキング装置およびその使用方法
(51)【国際特許分類】
   A61F 9/007 20060101AFI20200716BHJP
【FI】
   A61F9/007 200Z
【請求項の数】10
【全頁数】7
(21)【出願番号】特願2018-533825(P2018-533825)
(86)(22)【出願日】2017年1月17日
(65)【公表番号】特表2019-501711(P2019-501711A)
(43)【公表日】2019年1月24日
(86)【国際出願番号】US2017013759
(87)【国際公開番号】WO2017124088
(87)【国際公開日】20170720
【審査請求日】2018年8月22日
(31)【優先権主張番号】62/278,634
(32)【優先日】2016年1月14日
(33)【優先権主張国】US
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】516223311
【氏名又は名称】ビーバー−ヴィジテック インターナショナル (ユーエス) インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100120891
【弁理士】
【氏名又は名称】林 一好
(74)【代理人】
【識別番号】100165157
【弁理士】
【氏名又は名称】芝 哲央
(74)【代理人】
【識別番号】100205659
【弁理士】
【氏名又は名称】齋藤 拓也
(74)【代理人】
【識別番号】100126000
【弁理士】
【氏名又は名称】岩池 満
(74)【代理人】
【識別番号】100185269
【弁理士】
【氏名又は名称】小菅 一弘
(72)【発明者】
【氏名】オシャー ロバート エイチ.
(72)【発明者】
【氏名】ローソン ブリアナ
(72)【発明者】
【氏名】マーレー コリン アレクサンダー
【審査官】 木村 立人
(56)【参考文献】
【文献】 特表2005−530585(JP,A)
【文献】 特表2007−523692(JP,A)
【文献】 米国特許第3461874(US,A)
【文献】 米国特許第4108181(US,A)
【文献】 米国特許第4359052(US,A)
【文献】 米国特許第4563570(US,A)
【文献】 米国特許第4606342(US,A)
【文献】 米国特許第5688265(US,A)
【文献】 米国特許出願公開第2012/0316554(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61B 18/08 ― 18/10
A61F 9/007
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
患者の眼をマーキングする眼科用マーキング装置であって、前記装置は、
近位端および遠位端を有する閉鎖本体を含むハンドルと、
前記ハンドルの前記閉鎖本体の前記遠位端に着脱自在に取り付け可能である先端と、
少なくとも部分的に前記先端内にある導電性先端要素であって、前記先端要素の第1部分が前記先端から突き出て露出する、導電性先端要素と、
装置と関連する電力ストレージであって、前記電力ストレージは、前記閉鎖本体の前記遠位端を通じて前記導電性先端要素に電気的に接続可能である、電力ストレージと、
を備え、
前記先端要素および前記電力ストレージは、前記電力ストレージによって生じる前記先端要素を通る電気流れによって、熱が、前記先端要素の前記第1部分で121℃−232℃の範囲の温度で、前記先端要素で抵抗生成するように、構成され
前記閉鎖本体の前記遠位端は、前記先端への着脱自在な接続のための1つ以上の電気接点を有し、前記閉鎖本体の前記遠位端は、前記1つ以上の電気接点を除いて閉じられている、眼科用マーキング装置。
【請求項2】
請求項1に記載の眼科用マーキング装置であって、前記電力ストレージは、少なくとも0.75ボルトの電圧を有する電池である、眼科用マーキング装置。
【請求項3】
請求項1に記載の眼科用マーキング装置であって、前記電力ストレージは、0.75−6.0ボルトの電圧を有する、眼科用マーキング装置。
【請求項4】
請求項3に記載の眼科用マーキング装置であって、前記電力ストレージは、0.75−3.0ボルトの電圧を有する、眼科用マーキング装置。
【請求項5】
請求項4に記載の眼科用マーキング装置であって、前記電力ストレージは、1.5ボルトの電圧を有する、眼科用マーキング装置。
【請求項6】
請求項1に記載の眼科用マーキング装置であって、前記電力ストレージは、前記ハンドル内に含まれる電池である、眼科用マーキング装置。
【請求項7】
請求項1に記載の眼科用マーキング装置であって、前記先端要素は、第1および第2リードを含み、前記閉鎖本体の前記遠位端は、前記第1および第2リードを、それらの間の電気伝導を可能にするように、係合させるように構成された1つ以上の電気接点を有する、眼科用マーキング装置。
【請求項8】
請求項7に記載の眼科用マーキング装置であって、前記1つ以上の電気接点は、前記第1および第2リードを挿入的に受け取るように構成されている、眼科用マーキング装置。
【請求項9】
請求項1に記載の眼科用マーキング装置であって、前記先端要素は、金属製であり、前記先端は、前記先端要素の周りの絶縁性の覆いを含む、眼科用マーキング装置。
【請求項10】
請求項1に記載の眼科用マーキング装置であって、前記電力ストレージを前記先端要素と選択的に電気的に接続するスイッチを、さらに備える、眼科用マーキング装置。
【発明の詳細な説明】
【背景技術】
【0001】
患者の眼をマーキングする方法および装置は、手術時に使用する患者の眼への識別可能な基準マークを付けるものについて特に、従来技術で知られている。例えば、本明細書の譲受人への米国特許出願第13/653,828号は、トーリックレンズのインプラントなどの外科的処置前または外科的処置中に患者の眼をマーキングする方法および装置を開示している。その中に開示されるように、バイポーラ電気焼灼器が使用され得る。典型的なバイポーラ電気焼灼器は、大抵約900°F以上の、高温を生成するように構成される。これらの装置は、通常、比較的高い電気入力の必要性のために、つながれる、または別の方法でリモート電源に接続される。
【0002】
焼灼器装置は、ビーバービジテックインターナショナル社(Beaver−Visitec International,Inc.)による“ACCU−TEMP”のブランド名で販売されている焼灼器装置などの、電気抵抗加熱を利用する従来技術で知られている。現在販売されている、これらの焼灼器装置は、849°F以上の温度に対応する、固定および可変温度の適用を考えて設計されている。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0003】
患者の眼をマーキングするために、電気抵抗加熱装置が本明細書で提供される。この装置は、トーリックレンズインプラント中など、患者の眼への固定基準マークが外科医に必要である、外科的処置に備えて、または外科的処置中に、患者の眼をマーキングするのに特によく適している。装置は、本体を含んでよく、先端要素が本体に固定され、先端要素の第1部分が本体から突き出て露出する。先端要素は、それを通る電気流れで熱を抵抗発生するように導電性である。電源は、本体と関連し、先端要素に電気的に結合する。電源および先端要素は、先端要素の第1部分が250°F−450°Fの範囲の温度を有し、電気流れが1−5秒間先端を通るように、構成される。有利には、本発明は、患者の眼をマーキングする従来技術の装置に代わる低コストの代替品を提供し、より高温の電気焼灼器によって生成するマーキングと比較して患者の眼により損傷が少ないマーキングを作ることを可能にする。
【0004】
発明のこれらのおよび他の特徴は、以下の詳細な説明および添付図面の検討を通じてより良く理解される。
【図面の簡単な説明】
【0005】
図1】本発明に従って形成された装置の斜視図である。
図2】本発明で使用可能なハンドルの正面図である。
図3】本発明で使用可能な先端の斜視図である。
図4】本発明で使用可能な先端要素を示す。
図5】本発明で使用可能な先端要素を示す。
図6】本発明の実施形態の電気回路図である。
図7】本発明で患者の眼に形成され得る基準マークを表現したものである。
【発明を実施するための形態】
【0006】
図1に関して、特に、外科的処置に備えて、または外科的処置中に、患者の眼に基準マークを付けるのに使用可能な装置10が示されている。装置10は、外科医にとって識別可能な基準マークを作り出すために患者の眼の組織を焼灼するのに特によく適している。基準マークは、通常、永久的な損傷を引き起こさず、治癒で消失する。
【0007】
装置10は、先端14が搭載されるハンドル12を含む。好ましくは、先端14は、ハンドル12の再使用を可能にするように着脱自在に取り付け可能である。先端14は、好ましくは、使用のために滅菌状態で提供される。先端14の着脱自在な取り付けにより、再使用でのハンドル12の滅菌が回避される。装置10を、先端14がハンドル12に永久的に固定されている、単体として提供することが、可能である。この配置での再使用を可能にするために、先端14の露出作業領域の滅菌は、滅菌されなければならない。
【0008】
ハンドル12は、遠位端18および近位端20を有する閉鎖本体16を含む。先端14がハンドル12に取り外し可能に取り付けることができ、ソケット22は、好ましくは遠位端18で、先端14を搭載して受け取るハンドル12が備わっている。ソケット22は、1つ以上の係合可能な電気接点26を取り囲むリング24を含んでよい。ソケット22は、ハンドル12から先端14に出入りする電力を送るように構成される。
【0009】
図3−5に関して、先端14は、導電性先端要素28を含み、導電性先端要素28は、絶縁性の覆い30内に少なくとも部分的に含まれる。特に図4に関して、先端要素28は、2つのリード32A,32Bを含み、2つのリード32A,32Bは、それらの間に延びるアーチ形導体34と一体となっている。先端要素28内での電気流れのショートを回避するために、リード32A,32Bは、離間して設けられる。加えて、導体34は、頂点36で接続される供給側34Aおよび戻り側34Bを含むと見なされてよい。導体34は、導電性材料で作られ、リード32A,32Bにわたる電位の適用が、導体34を通じた電気流れをもたらすようになっている。先端要素28は、好ましくは、金属材料、より好ましくは、AISI316またはAISI316Lなどのステンレス鋼、で作られた単一要素である。先端要素28は、形成されるブランク材から型打ちまたはエッチングされてよい。
【0010】
図3に示される覆い30は、導体34の供給側34Aおよび戻り側34Bおよびリード32A,32Bが、離間したままであることを確実にするように、設けられてよい。加えて、覆い30は、ユーザーとの電気的接触を最小限に抑えるように絶縁性材料で作られることが、好ましい。好ましくは、覆い30は、ポリマー材料、より好ましくは、ポリカーボネートなどの、比較的高い温度に対応するポリマー材料、で作られる。
【0011】
覆い30は、リード32A,32Bの少なくとも一部が露出するように、および先端要素28の一部も露出するように、先端14で設けられることが、望ましい。
【0012】
図4に関して、突き出たフィンガー38は、例えば頂点36と一致する、導体34で設けられてよい。図3に示されるように、フィンガー38の少なくとも一部は、患者の眼との接触を可能にするように、覆い30からむき出しになってよい。好ましくは、フィンガー38の遠位端40は、鋭い縁および角を回避するように、丸みを帯びている。
【0013】
装置10は、自己完結型の、手持ち式装置として提供されることが、好ましい。自己完結型の、手持ち式装置は、つながれるまたは別の方法で機器の追加片または電源に接続される必要がない。好ましくは、電池または他の電力ストレージ42は、ハンドル12と関連し、特にその中でコンパートメント44に含まれる。カバー46は、近位端20などで、設けられてよく、必要に応じて電池42の交換およびアクセスを可能にする。電池42は、装置10および/またはハンドル12がその後配置され、電池42の寿命に基づく一定数の使用で交換可能である必要はない。電池42は、充電用にハンドル12に設けられたソケットで再充電可能であってよい。好ましくは、電池42は、少なくとも0.75ボルト、より好ましくは、0.75−6ボルトの範囲の公称電圧、より好ましくは、0.75−3ボルトの範囲の公称電圧、より好ましくは、1.5ボルトの公称電圧、を有する。加えて、スイッチ48は、常時開状態を有するハンドル12で設けられてよい。スイッチ48は、ばね付勢などによって、常時開状態に付勢されてよい。スイッチ48は、押圧またはスライドなどによって、スイッチ48が対応する回路を作動させる閉状態に、調節可能であってよい。
【0014】
図2に示されるように、接点26は、離間してリード32A,32Bを受け取るように形成されてよい。接点26は、十分な接触でリード32A,32Bを挿入的に受け取るように構成されてよく、それらの間の電気伝導およびハンドル12による先端14の保持を可能にする。先端14は、接点26からリード32A,32Bを引き抜くことによって取り外されてよい。
【0015】
図6に関して、装置10で使用可能な電気回路の概略が示されている。電池42は、ハンドル12に設けられ得る任意の公知の配線およびコネクタを使用してリード32A,32Bに電気的に接続される。スイッチ48は、その常時開状態で示されている。スイッチ48を入れることにより、電池42からの電気流れは、先端要素28に通される。
【0016】
先端要素28は、それを通る電気流れで熱を抵抗生成するように構成される。公称で1.5ボルトに対応する電池で、およびAISI316ステンレス鋼で作られた先端要素28で、少なくとも250°Fの温度を、スイッチ48が最低3秒間閉状態で、フィンガー38の遠位端40で見込むことができる。
【0017】
約1−5秒間スイッチを入れて、先端要素28の、特にフィンガー38での、250°F−450°Fの範囲の温度が、装置で望ましい。先端要素28の、材料を含む、構成、および電池42の電圧は、これらのパラメーターを提供するように変更されてよい。250°F−450°Fの動作範囲で、特にフィンガー38と患者の眼との少なくとも1秒間の接触で、十分な熱が、患者の眼への識別可能な基準マークを作るように適用され得るということが、見出されている。先端要素28が接触の前に250°F−450°Fの範囲で予熱されることができるように、患者の眼との接触に先立って外科医がスイッチ48を入れることが、好ましい。加熱されると、少なくとも1秒間の患者の眼との、先端要素28(例えばフィンガー38)による接触は、識別可能な基準マークの生成をもたらす。
【0018】
熱は、電気流れで抵抗生成する。通常、スイッチ48を長く入れるほど、高いフィンガー38での温度が、最大達成可能温度になる。450°Fを越える熱も、組織の焼灼を引き起こすが、必要とされないだろう。加えて、装置10の比較的簡易な電気回路では、高電圧を装置10に提供する必要はなく、従って製造コストを抑える。
【0019】
図7に関して、識別可能な基準マークが、特にトーリックレンズのインプラントなどの角膜に関連する処置に関して、患者の眼の縁にまたはその近くに形成されてよい。これらの基準マークは、北、南、東および西などの極座標として角膜の周りで間隔を置かれてよい。装置10を用いて、ユーザーは、標的部位でフィンガー38を押すことによって、および少なくとも1秒間250°F−450°Fの範囲の温度が患者の眼に適用されるようにすることによって、基準マークを生じさせることができる。


図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7