特許第6731215号(P6731215)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6731215
(24)【登録日】2020年7月8日
(45)【発行日】2020年7月29日
(54)【発明の名称】電力量監視装置
(51)【国際特許分類】
   G06Q 50/06 20120101AFI20200716BHJP
   G01R 21/00 20060101ALI20200716BHJP
   H02J 3/00 20060101ALI20200716BHJP
   H02J 13/00 20060101ALI20200716BHJP
【FI】
   G06Q50/06
   G01R21/00 Q
   H02J3/00 130
   H02J13/00 301A
【請求項の数】5
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2014-221469(P2014-221469)
(22)【出願日】2014年10月30日
(65)【公開番号】特開2016-91101(P2016-91101A)
(43)【公開日】2016年5月23日
【審査請求日】2017年6月2日
【審判番号】不服2019-4173(P2019-4173/J1)
【審判請求日】2019年3月30日
(73)【特許権者】
【識別番号】000243803
【氏名又は名称】未来工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100121429
【弁理士】
【氏名又は名称】宇野 健一
(72)【発明者】
【氏名】小枝 浩文
【合議体】
【審判長】 佐藤 聡史
【審判官】 松田 直也
【審判官】 速水 雄太
(56)【参考文献】
【文献】 特開2006−349483(JP,A)
【文献】 特開2006−58018(JP,A)
【文献】 特開2001−228912(JP,A)
【文献】 奥村文隆,松下電器産業のSCM,LOGI−BIZ 7月号,日本,ライノス・パブリケーションズ,2001年 7月 1日,第1巻4号,68−74頁
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06Q 10/00 - 99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
消費した電力使用量を計測する計測部と、
前記計測部により計測された電力使用量を記憶する記憶部と、
前記記憶部に記憶された前年同月の日の値のうち上位複数の値の平均値から一日に使用できる電力量の目標値を設定する目標値設定手段と、
前記計測部により計測された電力量に基づいて一日の電力使用量を予測する予測手段と、
前記予測手段によって予測された電力使用量が前記目標値を超えると判断した際に、信号を出力する信号出力手段と
を備えたことを特徴とする電力量監視装置。
【請求項2】
前記目標値設定手段は、前記一日の目標値に加え、単位月に使用できる電力使用量の単位月目標値を設定することを特徴とする請求項1に記載の電力量監視装置。
【請求項3】
前記目標値設定手段は、前記一日の目標値に加え、単位時間に使用できる電力使用量の単位時間目標値を設定することを特徴とする請求項1または請求項2に記載の電力量監視装置。
【請求項4】
前記単位時間目標値は、前記記憶部に記憶された値から単位時間に使用した割合を算出し、その割合によって単位時間毎に設定されることを特徴とする請求項3に記載の電力量監視装置。
【請求項5】
前記予測手段は、前記記憶部に記憶された値から予測することを特徴とする請求項1乃至請求項4のいずれかに記載の電力量監視装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電力使用量を計測し、目標電力量の超過を監視する電力量監視装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
事業所や店舗などでは、節電のため監視装置を設置するなどして電力使用量の管理が行なわれている。例えば、所定期間に使用する電力量の目標値が設定され、使用量がその目標値を超えそうであると予測された場合には注意を喚起したり警報とか使用制限をかけるなどして対応する措置が講じられている。ここで、監視装置において電力量の目標値の設定に関しては、例えば、特許文献1に記載の監視システムが開示されている。この監視システムでは、過去の電力使用量となる実績値から日単位、月単位の電力使用量の目標値を定めており、日単位の目標値の算定には平日、休日、特異日等の日種別に合わせた実績値を使用する、即ち、当日が使用量の多い平日であればこれと同一の種別日である平日の過去データから抽出したサンプルデータを実績値として使用し、当日が使用量の少ない休日であればこれと同一種別日である休日の過去データから抽出したサンプルデータを実績値として使用し、更にこれらの実績値の絞り込みと平均化を行なって日種別毎の目標値を設定している。そして、データベースに保存された電力使用量の現在値と過去の実績値から、日、月単位の電力使用量の予測値を求め、目標値に対して予測値が逸脱した場合にはアラーム発報を行なう。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特許第5287478号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、従来の、平日、休日、特異日の同一種別毎に目標値を定めている電力量監視装置は、平日なら過去のサンプルデータから平日のデータのみを抽出して平日の実績値を収集し、休日なら過去のサンプルデータから休日のデータのみを抽出して休日の実績値を収集しなければならず、同一日種別毎に区分けして実績値を収集しなければならない。また、休日であっても稼働日の調整により休日出勤したりイベント等が開催されたりすることによって平日並の多い電力量が使用されることがあり、逆に、平日であっても休日出勤の振り替えにより休日並の少ない電力量が使用されることがある。このため、営業された休日を平日とみなしてこれに変更修正したり、休業された平日を休日とみなしてこれに変更修正する必要がある。したがって、平日、休日等の日種別の実績値の算定が煩雑で目標値の設定には、多くの算定操作と手間を要した。
【0005】
一方で、中小規模の事業所や店舗などでは、節電意識は当然あるものの、大規模の事業所に比べて使用量はそれ程多くはないことから、過去のデータに基づいた目標値の設定においてはあまり手間をかけずに簡単かつ簡易に設定できるのが望まれることも多い。
【0006】
そこで、本発明は、曜日等に関係なく簡単かつ簡易に電力使用量の目標値を設定できる電力量監視装置の提供を課題とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
請求項1の電力量監視装置は、消費した電力使用量を計測する計測部と、前記計測部により計測された電力使用量を記憶する記憶部と、前記記憶部に記憶された前年同月の日の値のうち上位複数の値の平均値から一日に使用できる電力量の目標値を設定する目標値設定手段と、前記計測部により計測された電力量に基づいて一日の電力使用量を予測する予測手段と、前記予測手段によって予測された電力使用量が前記目標値を超えると判断した際に、信号を出力する信号出力手段とを備えたものである。
なお、ここにいう「目標値」とは、所定期間に使用できる上限値的な電力量を意味し、電力使用量の予測値がこの上限的な値を超えると判断されると、設備機器の使用を制限したりその制限を促す注意喚起や警告を発するなど何らかの節電対策が講じられることが必要となる電力使用量のことを意味する。
【0008】
請求項2の電力量監視装置は、目標値設定手段が、請求項1の一日の目標値に加え、単位月に使用できる電力使用量の単位月目標値を設定するものである。
請求項3の電力量監視装置は、目標値設定手段が、請求項1または請求項2の一日の目標値に加え、単位時間に使用できる電力使用量の単位時間目標値を設定するものである。
請求項4の電力量監視装置は、請求項3の単位時間目標値が、記憶部に記憶された値から単位時間に使用した割合を算出し、その割合によって単位時間毎に設定されるものである。
請求項5の電力量監視装置は、予測手段が、記憶部に記憶された値から予測するものである。
【発明の効果】
【0009】
請求項1の発明は、記憶部に記憶された前年同月の日の値のうち上位複数の値の平均値から目標値を設定しているため、曜日に関係なく休日等の電力使用量の少ない日を除いた値で目標値を設定することができる。このため、記憶部に記憶された実績値データから抽出される値について、平日のデータなのか休日のデータなのかを設定する必要がなく、簡単かつ簡易に電力量の目標値を設定することができる。
【0010】
請求項2の発明は、請求項1の目標値に加え、単位月に使用できる電力使用量の単位月目標値を設定するから、単位月目標値と比較することにより当月の電力使用状況を確認することで、月毎の電力使用量の低減に資することができる。
請求項3及び請求項4の発明は、請求項1または請求項2の目標値に加え、単位時間に使用できる電力使用量の単位時間目標値を設定するから、よりきめ細かく電力使用量を監視することができる。
請求項5の発明は、予測手段が記憶部に記憶された値から予測するものであり、過去の使用実績に基づいて予測するから、高い精度で予測することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】本発明の実施形態の電力量監視装置の機能的構成を示すブロック図である。
図2】前年同月の日毎の電力使用量を表わす表である。
図3】前年同月の日毎の電力使用量を表わすグラフである。
図4】一日の単位時間毎の電力使用量のパターンを示すグラフである。
図5】一日の単位時間毎の電力使用量の割合及び単位時間目標値を示す表である。
図6】一日の単位時間の電力使用量の累積値と予測値を示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明の実施形態の電力量監視装置を図に基づいて説明する。
図1に示すように、電力会社から企業への電力供給は、電力会社の送電線から電力量計2を介して行われており、企業に供給される電力は、空調機器、照明機器、製造機器等、種々の電気機器の電力負荷に使用される。そして、電力量計2には、電力量監視装置1が接続されている。
【0013】
電力量監視装置1は、コンピュータを用いて構成されており、所定のプログラムを実行することにより機能する機能的構成として、計測部11、記憶部12、目標値設定手段13、予測手段14、判断部15及び信号出力手段16等を備えている。
【0014】
前記計測部11は、電力量計2からの計量パルス信号によって消費した電力使用量を計測するものである。
記憶部12は、計測部11により計測された実際に使用された電力使用量を実績データとして記憶する。
【0015】
目標値設定手段13は、所定期間に使用できる電力量の目標値を設定する。ここで、目標値とは、所定の節電効果を達成するために使用量の目安となる電力量であり、予測される電力量に対して何らかの対策を講ずる必要があるか否かを判断するときの基準となるものである。
予測手段14は、計測部11により計測された電力量に基づいて所定期間の電力使用量を予測する。
【0016】
判断部15は、予測手段14によって予測された電力使用量が目標値を超えるか否かを判断する。
信号出力手段16は、判断部15で、予測された電力使用量が目標値を超えると判断したときに、注意喚起の各種信号を電力使用の管理者等に信号を出力する。
【0017】
〈目標値の設定〉
次に、電力量監視装置1の目標値設定手段13による電力使用量の目標値の設定について説明する。なお、ここでは、製造業の事業所における電力量の監視を例として説明する。
まず、単位日である一日毎の目標値の設定について説明する。ここで、一日の目標値を設定するのは、月単位や週単位で目標値を設定すると、期間としては長過ぎるし、反対に、単位時間毎に目標値を設定するのは、間隔が短か過ぎて実用的でないからである。但し、一日毎に目標値を設定することに加え、月単位や時間単位の目標値をも設定することは差し支えなく、むしろこれらは一日の目標値による監視を補完するものとなって好ましい。
【0018】
一日に使用できる電力使用量の目標値Tdは、記憶部12に記憶された前年同月における各日の値のうちの上位から設定する。ここで、上位の値は、具体的には、例えば、一ヶ月間における各日の実際の使用量のうちの上位1〜5番の値の平均値とか上位1〜15番の値の平均値とかの上位に位置する幾つかの値の平均値を採用することができる。また、上位に位置する幾つかの例えば3〜5番のうちのいずれかの値を採用することもできる。この実施例では、上位1〜10番の値の平均値を目標値として設定する場合を説明する。なお、上位の値としたのは、目標値は使用できる上限を定めるものであるから、一ヶ月のうち高めの値を採用することとしたためである。
【0019】
今、事業所において、本年4月における一日の電力使用量の目標値Tdは、記憶部12に記憶されている前年4月における一日毎の使用実績データに基づいて設定する。前年4月の一日毎の使用実績データは図2の表及び図3のグラフに示される値となっている。当事業所では、平日に設備を稼働しているから、図2及び図3では、当然ながら、平日では使用量は多く、休日である土、日曜日では使用量は少なくなっている。そこで、図2の表の4月1日〜30日の一ヶ月間における各日の使用量順位のうちから上位1〜10番の実績値を抽出し、その平均値を求める。上位1〜10番の合計電力使用量は、15,878kWhであるから、10日分で除して平均値を求めれば、1,588kWhとなる。即ち、この1,588kWhが一日に使用できる電力使用量の目標Tdとなる。
【0020】
次に、上記では、一日の目標値を設定しているが、これに加えて、別途に月毎に単位月目標値を併せて設定することもできる。単位月目標値は、例えば、記憶部12に記憶された過去の実績データのうちから前年同月の使用量を設定することができる。また、過去の実績データのうちから直近数年の同月の使用量を抽出し、それらの平均値などを単位月目標値と設定することもできる。単位月目標値を設定することは、この単位月目標値と比較することにより当月の電力使用状況を確認することで、月毎の電力使用量の低減に資するものとなる。
【0021】
次に、一日の目標値に加えて、1時間当たりの使用量の目標値である単位時間目標値Thを併せて設定することもできる。単位時間目標値Thは、記憶部12に記憶された値から単位時間に使用される割合を算出し、その割合によって単位時間毎に設定する。単位時間の使用量の割合Rは、例えば、記憶部12の過去の実績データから一日における時刻毎の使用パターンから把握することができる。事業所において、一日における各時刻の電力の使用は通常ほぼ一定のパターンに従って行なわれるからである。したがって、一日の総使用量に対する各時刻の使用量の割合Rは、記憶部12の記憶データから通常の平均的なパターンを抽出し、該パターンにおける数値データから、(各時刻の使用量)/(一日の総使用量)を計算することによって求めることができる。
【0022】
図4の棒グラフは、一日における各時刻の電力の通常の使用パターンを表わしており、棒グラフの図形から、(各時刻の使用量)/(一日の総使用量)の計算によって求めた、一日の総使用量に対する各時刻の使用量の割合Rを図5の表に示す。この後、当月の一日の目標値Tdに前記各時刻の使用量の割合Rを乗ずることにより、その一日における各時刻の単位時間目標値Thが求められる。これにより設定された単位時間目標値Thを図5の表に示す。
【0023】
更に、本実施形態においては、一日の目標値Tdに加えて、別途に単位月目標値と単位時間目標値Thとを併せて設定することもできる。
【0024】
〈電力使用量の予測〉
次に、予測手段14による電力使用量の予測について説明する。
まず、一日の電力使用量の予測値Pdは、予測手段14により、記憶部12に記憶された値から求められ、過去の使用実績データ、図4に示されるような平均的な使用パターン図、図5の各時刻の使用割合R等の数値やデータに基づいて求められる。具体的な一日の予測値Pdの求め方としては幾つか考えられ、一例を次に示す。今、一日のうちの時刻tまでに実際に使用した電力使用量の累積値がQt(kWh)であり、時刻tまでの各時刻の電力使用量の割合Rの累積値がRt(%)、一日の電力使用量の予測値がPd(kWh)であるとし、時刻t以降に予測される電力使用量は、各時刻の使用量の割合に比例して使用されるとみなして求めるとすると、
(時刻tまでの各時刻の電力使用量の割合の累積値Rt(%)):(一日合計の電力使用量の割合つまり100%)=(時刻tまでに実際に使用した電力量の累積値Qt):(一日合計の電力使用量の予測値Pd)の関係式が成り立つ。この式より、
(一日合計の電力使用量の予測値Pd)=(時刻tまでに実際に使用した電力量の累積値Qt)×{100%/(時刻tまでの各時刻の電力使用量の割合の累積値Rt)}となる。
【0025】
図6はこれらにより求められた予測値Pdが表わされており、図6において、0時から任意の時刻tまでに実際に使用された電力量の累積値Qtが実線の曲線で表わされ、その後に予測される使用量が二点鎖線の曲線で表わされている。予測される当日一日の総電力使用量は24時における累積値Pdとなる。
【0026】
次に、単位時間の予測値Phは、電力使用量の累積値が経過時間(分)に比例して直線的に増加していくとみなして求めるとすると、
(経過時間t’分):(1時間つまり60分)=(経過時間t’分までに実際に使用した電力量の累積値Qt’):(1時間後の電力使用量の予測値Ph)の関係式が成り立つ。この式より、
(1時間後の電力使用量の予測値Ph)=(経過時間t’分までに実際に使用した電力量の累積値Qt’)×(60分/t’分)となる。
【0027】
次に、電力量監視装置1による監視について説明する。
最初に、一日の監視について説明する。本年4月のある一日において、まず、任意の時刻t例えば11時に、それまでに実際に使用した電力使用量の累積値Qtを算出するとともに、予測手段14によって、前述した式から、その後の使用による当日の総電力使用量の予測値Pdを求める。続いて、判断部15で、当日の総電力使用量の予測値Pdと、前述した方法により設定された一日の目標値Tdとを比較する。比較により、総電力使用量の予測値Pdが一日の目標値Tdを超えるか否かを判断し、超えると判断したら、当日の時刻t以降に使用される電力量の使用について注意喚起や警告、或いは設備機器の使用制限などの対応や措置に関する信号を信号出力手段16により電力量管理者等に対して出力する。
【0028】
なお、判断部15により当日の総電力使用量の予測値Pdが一日の目標値Tdを超えると判断されたときの図6の時刻t以降の対応においては、一日の目標値Tdから、時刻tまでに実際に使用した電力量の累積値Qtを引いた残りの時刻t以降に使用可能な電力使用量分(Td−Qt)について、単位時間目標値設定時の割合Rに基づいて時刻t以降の単位時間毎の目標値Thを修正変更し、これを新たに各単位時間の規制値として時刻t以降の単位時間毎の使用量を管理するようにしてもよい。
【0029】
次に、単位時間の監視について説明する。まず、ある単位時間中の経過時間t’(分)に、それまでに実際に使用した電力量の累積値Qt’を算出するとともに、その後の使用による1時間後の電力使用量の予測値Phを求める。続いて、判断部15で、1時間後の電力使用量の予測値Phと、1時間後の単位時間目標値Tdとを比較する。比較により、電力使用量の予測値Phが1時間後の単位時間目標値Tdを超えるか否かを判断し、超えると判断したら、時刻t’(分)から60分後までに使用される電力量の使用について注意喚起や警告、或いは設備機器の使用制限などの対応や措置に関する信号を信号出力手段16により電力量管理者等に対して出力する。この単位時間の監視をも行なえば、よりきめ細かく電力使用量の管理を行なうことができる。
【0030】
次に、本実施形態の電力量監視装置1の作用を説明する。
電力量監視装置1は、記憶部12に記憶された前年同月の各日の値のうち上位の値から目標値を設定しているため、曜日に関係なく、また、休日出勤や代休等を考慮することなく、休日等の電力使用量の少ない日を除いた値で目標値を設定することができる。このため、記憶部12に記憶された昨年同月の実績データから抽出される値が平日のデータなのか休日のデータなのかを確認して稼働日の修正変更等を行なう必要もなく、専ら前年同月の各日の値のうち上位の値から算定するだけでよいから、簡単にかつ簡易な手段で一日の電力使用量の目標値等を設定することができる。
【0031】
ところで、上記実施形態においては、一日の電力使用量の目標値を設定するに際し、前年同月の日のうちの上位の値として、上位に位置する幾つかの値の平均値や、上位3〜5番などの値のうちのいずれかを採用しているが、前記上位の値の設定は、これらに限られるものではない。なお、上位の値として、最上位の値を採用することもできるが、使用できる電力量が大きくなり過ぎて使用し過ぎるおそれがある。このため、前述の上位に位置する幾つかの値の平均値などを採用するのが妥当と考えられる。
【0032】
更に、一日に使用できる電力使用量の目標値は、前年同月の日の値のうちから設定されるものに限られず、過去の直近数年における同月の日の平均値のうち上位の値から設定することもできる。
【0033】
そして、一日に使用できる電力量目標値Td、単位月目標値、単位時間に使用できる電力量の目標値Thに加えて、週単位に使用できる電力量の単位週目標値を併せて設定してもよい。
【0034】
加えて、一日の予測値Pd及び単位時間の予測値Phは、記録部12の記録から予測するものに限られるものではない。
【符号の説明】
【0035】
1 電力量監視装置
11 計測部
12 記憶部
13 目標値設定手段
14 予測手段
15 判断部
16 信号出力手段
Td 一日に使用できる電力量の目標値
Th 単位時間に使用できる電力量の目標値
Pd 一日の電力使用量の予測値
Ph 単位時間の電力使用量の予測値
R 単位時間に使用される電力量の割合
Rt 時刻tまでの各時刻の電力使用量の割合の累積値
Qt 時刻t(時)までに実際に使用した電力量の累積値
Qt’時刻t(分)までに実際に使用した電力量の累積値
図1
図2
図3
図4
図5
図6