特許第6731440号(P6731440)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6731440
(24)【登録日】2020年7月8日
(45)【発行日】2020年7月29日
(54)【発明の名称】リハビリテーション用運動器具
(51)【国際特許分類】
   A61H 1/02 20060101AFI20200716BHJP
【FI】
   A61H1/02 N
   A61H1/02 K
【請求項の数】6
【全頁数】15
(21)【出願番号】特願2018-87961(P2018-87961)
(22)【出願日】2018年5月1日
(65)【公開番号】特開2019-193687(P2019-193687A)
(43)【公開日】2019年11月7日
【審査請求日】2020年1月24日
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】517425815
【氏名又は名称】首藤 貴
(74)【代理人】
【識別番号】100121773
【弁理士】
【氏名又は名称】相原 正
(72)【発明者】
【氏名】首藤 貴
【審査官】 菊地 牧子
(56)【参考文献】
【文献】 特開2001−218804(JP,A)
【文献】 中国実用新案第206642271(CN,U)
【文献】 中国実用新案第2555878(CN,Y)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61H 1/02
A63B 21/00
A63B 23/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
レールを有する基台と、前記レールに対して往復スライド自在に設置されるスライド部と、を備えるリハビリテーション用運動器具において、
前記スライド部の前記レールに対する第一方向への動きに対して第一段階の負荷を与える、前記スライド部が第一方向に移動する際に、第一方向と逆の第二方向端部がレール側に固定されると共に、第一方向端部が前記スライド部と一体に移動する第一負荷バネを有する第一段階負荷部材と、
前記スライド部が前記第一段階の負荷に抗して所定の位置まで移動した後、さらに第一方向へ移動する動きに対して、前記第一段階の負荷に加えて第二段階の負荷をさらに与える、当該移動の際に第一方向端部が前記レール側に固定されると共に、第二方向端部が前記スライド部と一体に移動する第二負荷バネを有し、前記第一段階負荷部材よりもストロークの短い第二段階負荷部材と、
を備えることを特徴とするリハビリテーション用運動器具。
【請求項2】
前記第一負荷バネは引きバネであり、前記第二負荷バネは押しバネであることを特徴とする請求項1記載のリハビリテーション用運動器具。
【請求項3】
前記第一段階負荷部材は、前記レールに対して往復スライド自在に設置される、前記第一負荷バネの第二方向端部に連結固定された第一バネ第二連結体を備え、
前記レールは、前記第一バネ第二連結体の第一方向への移動を制限する第一スライドストッパーを備え、
前記スライド部が第一方向に移動する際に、前記第一負荷バネの第一方向端部は前記スライド部と一体に移動すると共に、前記第一バネ第二連結体は前記第一スライドストッパーにより第一方向への移動が制限されて停止したままとなるよう構成されていることを特徴とする請求項1又は2記載のリハビリテーション用運動器具。
【請求項4】
前記第一段階負荷部材は、前記レールに対して往復スライド自在に設置される、前記第一負荷バネの第一方向端部に連結固定された第一バネ第一連結体と、第二方向端部に連結固定された第一バネ第二連結体と、を備え、
前記レールは、前記第一バネ第一連結体と前記第一バネ第二連結体との間に固定設置された、前記第一バネ第二連結体の第一方向への移動を制限すると共に、前記第一バネ第一連結体の第二方向への移動を制限する第二スライドストッパーを備え、
前記スライド部が第一方向に移動する際に、前記第一バネ第一連結体は前記スライド部と一体に第一方向に移動し、前記第一バネ第二連結体は前記第二スライドストッパーにより第一方向への移動が制限されて停止したままであると共に、
前記スライド部が第二方向に移動する際に、前記第一バネ第二連結体は前記スライド部と一体に第二方向へ移動し、前記第一バネ第一連結体は前記第二スライドストッパーにより第二方向への移動が制限されて停止したままとなるように構成され、
前記第一段階負荷部材が前記スライド部の前記レールに対する第二方向への動きに対しても前記第一段階の負荷を与えることを特徴とする請求項1又は2記載のリハビリテーション用運動器具。
【請求項5】
前記スライド部は、前記レールに設置された状態で、前記第一バネ第一連結体と前記第一バネ第二連結体との間に位置する凸部を備えており、前記スライド部が第一方向に移動する際には前記凸部が前記第一バネ第一連結体に接触して第一方向に押すと共に、前記スライド部が第二方向に移動する際には前記凸部が前記第一バネ第二連結体に接触して第二方向に押すように構成されていることを特徴とする請求項4記載のリハビリテーション用運動器具。
【請求項6】
前記第二段階負荷部材は、前記レールに対して往復スライド自在に設置される、前記第二負荷バネの第二方向端部に連結固定された第二バネ第二連結体を備え、
前記所定の位置まで移動したスライド部が前記第二バネ第二連結体に接触してさらに第一方向に移動する際に、前記第二負荷バネの第二方向端部が前記レール側に固定されると共に、前記第二バネ第二連結が前記スライド部と一体に移動するように構成されていることを特徴とする請求項1乃至5何れか1項記載のリハビリテーション用運動器具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、リハビリテーション用の運動器具に関する。
【背景技術】
【0002】
高齢者が数週間にわたり治療のために臥床を余儀なくされると廃用症候群に陥り、立つことや歩行が不能になることがある。このような廃用症候群の予防のため、従来から低負荷運動を行うためのリハビリテーション用の運動器具が提供されている。
【0003】
例えば、下記特許文献1には、寝たままや座ったまま足に装着して使用することのできる機能回復歩行訓練装置が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2006−341052号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、筋肉収縮運動には、等張性運動、等尺性運動、等速性運動等があり、廃用症候群を効果的に予防するためには、筋肉収縮運動を考慮し、異なる筋肉収縮運動を組み合わせた負荷運動を行うことも効果的である。
【0006】
しかし、従来のリハビリテーション用運動器具は、弾性部材により単純な負荷を与えるものがほとんどである。
【0007】
本発明は、このような課題に鑑みてなされたものであり、筋肉収縮運動を考慮して等張性及び等尺性の抵抗運動負荷を効果的に行わせることのできるリハビリテーション用運動器具を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するための本発明に係るリハビリテーション用運動器具は、レールを有する基台と、前記レールに対して往復スライド自在に設置されるスライド部と、を備えるリハビリテーション用運動器具において、前記スライド部の前記レールに対する第一方向への動きに対して第一段階の負荷を与える、前記スライド部が第一方向に移動する際に、第一方向と逆の第二方向端部がレール側に固定されると共に、第一方向端部が前記スライド部と一体に移動する第一負荷バネを有する第一段階負荷部材と、前記スライド部が前記第一段階の負荷に抗して所定の位置まで移動した後、さらに第一方向へ移動する動きに対して、前記第一段階の負荷に加えて第二段階の負荷をさらに与える、当該移動の際に第一方向端部が前記レール側に固定されると共に、第二方向端部が前記スライド部と一体に移動する第二負荷バネを有し、前記第一段階負荷部材よりもストロークの短い第二段階負荷部材と、を備えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0009】
本発明に係るリハビリテーション用運動器具によれば、第一段階負荷部材と第二段階負荷部材により、ストロークの長さの異なる負荷を組み合わせて与えることができ、第一段階の等張性運動と第二段階の等尺性運動による筋肉収縮を効果的に行わせることができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1図1は、本発明の第一実施形態に係る運動器具の斜視図である。
図2図2は、本発明の第一実施形態に係る運動器具の斜視図である。
図3図3は、本発明の第一実施形態に係るスライド部及び第一段階負荷部材の構成を示す平面図である。
図4図4は、本発明の第一実施形態に係る基台及び第二段階負荷部材の構成を示す平面図である。
図5図5は、本発明の第一実施形態に係る運動器具の動作を説明するための図である。
図6図6は、本発明の第一実施形態に係る運動器具の使用状態を示す図である。
図7図7は、本発明の第二実施形態に係る運動器具の斜視図である。
図8図8は、本発明の第二実施形態に係るスライド部の斜視図である。
図9図9は、本発明の第二実施形態に係る基台、第一段階負荷部材及び第二段階負荷部材の構成を示す平面図である。
図10図10は、本発明の第二実施形態に係る運動器具の動作を説明するための図である。
図11図11は、本発明の第二実施形態に係る運動器具の使用状態を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、図面を参照しながら、本発明の第一の実施形態について説明する。第一実施形態では、一方向低負荷運動を行うためのリハビリテーション用運動器具について説明する。
【0012】
図1及び図2は、第一実施形態に係るリハビリテーション用の運動器具の斜視図であり、図1は、折り畳み式踏み板を立てた状態、図2は、折り畳み式踏み板を畳んだ状態を示している。図3は、第一実施形態に係るスライド部及び第一段階負荷部材の構成を示す平面図である。
【0013】
図4は、第一実施形態に係る基台及び第二段階負荷部材の構成を示す平面図である。図5は、第一実施形態に係る運動器具の動作を説明するための図である。なお、図4では、図中上方のレールにはスライド部を示し、下方のレールはスライド部及び第一段階負荷部材を省略して示している。また、図5では、図中上方のレールにはスライド部を示し、下方のレールはスライド部を省略して示し、上方のレールと下方のレールで同じスライド状態を示している。
【0014】
第一実施形態に係る運動器具1は、基台10と、スライド部20と、第一段階負荷部材30と、第二段階負荷部材40とを備えている。スライド部20は、基台10に対して往復スライド自在に設置されている。
【0015】
第一段階負荷部材30は、基台10に対してスライド部20が第一方向(図4及び図5において右側方向)に向けて移動する際に常時第一段階負荷を与え、第二段階負荷部材40は、スライド部20が第一方向の所定の位置までスライドした後、さらに第一方向に移動する際に、第一段階負荷に加えて第二段階負荷をさらに与える。
【0016】
なお、通常、運動器具1は、使用者が足を伸展する際にスライド部20は第一方向に移動し、使用者が足を屈曲する際にスライド部20は第一方向と逆の第二方向(図4及び図5において左側方向)に移動する。
【0017】
基台10は、その長手方向に平行に延在する2つのレール11と、レール11内に設置されたスライドストッパー15とを備えている。スライドストッパー15は、レール11内の幅方向両端に一対で設置されている棒状部材であり、後述する第二バネ第二連結体47や第一バネ第二連結体37がスライドストッパー15の端部に接触することで、第二連結体37,47のスライドが制限され停止する。
【0018】
スライド部20は、2つのレール11上にそれぞれ設置されており、各スライド部20は、レール11にスライド自在に保持されるスライド板21と、スライド板21の上面に設置された、使用者が足を置くための折り畳み式踏み板25とを備えている。
【0019】
折り畳み式踏み板25は、使用時には、図1に示すように起こした状態に固定して使用し、収納時や持ち運び時には、図2に示すように、折り畳むことができる。
【0020】
第一段階負荷部材30は、2本の第一負荷バネ31と、第一負荷バネ31の一方の端部(第一方向端部)に連結固定された第一バネ第一連結体33と、第一負荷バネ31の他方の端部(第二方向端部)に連結固定された第一バネ第二連結体37とを備えている。第一負荷バネ31は、引きバネであり、第一バネ第一連結体33と第一バネ第二連結体37とを引き寄せる弾性力を発揮する。
【0021】
第一バネ第一連結体33は、長方形状板であり、スライド板21の第一方向端部下面に固定されている。第一バネ第二連結体37は、第一バネ第一連結体33よりもスライド方向に長い長方形状板であり、第一バネ第一連結体33の第二方向に隣接してスライド板21の下面に接触して位置している。
【0022】
第一バネ第二連結体37は、スライド部20には固定されておらず、スライド部20に対して相対的に移動自在である。第一バネ第一連結体33及び第一バネ第二連結体37は、レール11に対して往復スライド自在に設置されている。
【0023】
第一バネ第二連結体37の下面側には、スライド方向に延びる2本のバネ用溝38が形成されており、第一負荷バネ31がバネ用溝内38に収容されている。第一負荷バネ31の両端がスライド板21の下面で接触する第一バネ第一連結体33と第一バネ第二連結体37にそれぞれ固定された状態では、第一負荷バネ31は、自由長さよりも長く伸ばされており、第一バネ第一連結体33と第一バネ第二連結体37とを引き寄せている。
【0024】
第一バネ第一連結体33は、スライド時にレール11の両側端に設置されたスライドストッパー15に衝突しないように狭い幅で構成されている。一方、第一バネ第二連結体37は、第一方向側の端部に、第一バネ第一連結体33よりも幅広く、スライド時にスライドストッパー15に衝突する幅広部37aを備えている。
【0025】
よって、スライド部20がレール11上を第一方向にスライドする際、第一バネ第一連結体33と、第一バネ第二連結体37の幅広部37a以外の部分(幅狭部37c)は、スライドストッパー15と衝突することなく移動可能であるが、幅広部37aは、その両側端部(衝突部37b)がスライドストッパー15の第二方向側の端部に衝突し、第一方向への移動が制限される。
【0026】
図5(a)に示すように、スライド部20がレール11にセットされ、外部の力が作用していない初期状態では、スライド板21の第二方向端部がレール11の第二方向のレール端部に接触している。
【0027】
この初期状態では、第一バネ第二連結体37は、スライドストッパー15に接触する場所に位置して第一方向への移動が制限され、スライド板21の第一方向の端部裏面に固定された第一バネ第一連結体33は、第一バネ第二連結体37から所定の距離離れた所に位置している。
【0028】
すなわち、第一負荷バネ31の弾性力により引き寄せられている、第一バネ第一連結体33の第二方向への移動はスライド部20の第二方向端部がレール端部に接触することで制限され、第一バネ第二連結体37の第一方向への移動は衝突部37bがスライドストッパー15に接触することで制限されている。
【0029】
図5(a)に示す初期状態から、スライド部20を第一方向にスライドさせるためには、第一負荷バネ31の弾性力よりも大きな力をスライド部20に加える必要がある。スライド部20が第一方向へ移動すると、第一バネ第一連結体33はスライド部20と一体に第一方向へ移動するが、第一バネ第二連結体37はストッパー15により第一方向への移動が制限されており、初期状態の初期位置に留まったままである。
【0030】
よって、スライド部20が第一方向へ移動すると、その移動距離分だけ第一バネ第一連結体33と第一バネ第二連結体37との間隔が離れる、すなわち、第一負荷バネ31がその移動距離分だけさらに伸びる。第一方向へ移動したスライド部20には、第一負荷バネ31の自然長から伸びた長さに比例して、スライド部20を元の位置に戻す方向(第二方向)の弾性力が作用する。
【0031】
第二段階負荷部材40は、2本の第二負荷バネ41と、第二負荷バネ41の一方の端部(第一方向端部)に連結固定された第二バネ第一連結体43と、第二負荷バネ41の他方の端部(第二方向端部)に連結固定された第二バネ第二連結体47とを備えている。第二負荷バネ41は、第一負荷バネ31よりもストロークの短い押しバネ(圧縮バネ)であり、第二バネ第一連結体43と第二バネ第二連結体47とを遠ざける弾性力を発揮する。
【0032】
第二バネ第一連結体43及び第二バネ第二連結体47は、直方体木片である。第二バネ第一連結体43は、基台10のレール11の第一方向の端部に固定設置されている。第二バネ第二連結体47は、レール11に対して往復スライド自在に設置されている。
【0033】
初期状態では、第二負荷バネ41が自然長よりも短くなった状態で、第二バネ第二連結体47の第二方向の端部が第二負荷バネ41の弾性力によりストッパー15に押し付けられ、第二バネ第二連結体47の第二方向への移動が制限されている。
【0034】
第二バネ第二連結体47が第一方向に移動すると、第二バネ第一連結体43と第二バネ第二連結体47とが近付く、すなわち、第二負荷バネ41がその移動距離分だけ縮む。よって、第一方向に移動した第二バネ第二連結体47と第二バネ第一連結体43との間には、第二負荷バネ41の自然長から縮んだ長さに比例して、第二バネ第二連結体47を元の位置に戻す方向(第二方向)の弾性力が作用する。
【0035】
以上、下肢リハビリテーション用の運動器具1の構成について説明したが、運動器具1において、スライド部20、連結体33,37,43,47、スライドストッパー15の衝突する部分には、適宜、スポンジや布等の衝撃吸収材5が設置されている。
【0036】
続いて、運動器具1の使用方法について説明する。図6は、第一実施形態に係る運動器具の使用状態を示す側面図である。使用者は、運動器具1を水平な場所に傾斜させて設置し、スライド部20の折り畳み式踏み板25を起こす。続いて、使用者は、運動器具1の第2方向側に座り、両足をそれぞれ折り畳み式踏み板25に載せる。これにより、運動の準備が完了する。
【0037】
この初期状態(図5(a)参照)では、スライド部20は、レール11の第二方向端部に位置しており、使用者が足でスライド部20を押すことで、スライド部20が第一方向に移動するが、このとき、使用者の足には、第一負荷バネ31の弾性力である第一段階の負荷がかかる。
【0038】
使用者は、この第一段階負荷に抗して折り畳み式踏み板25を足で押すことで、筋肉運動を行うことができる。使用者が足の力を抜いたときには、第一負荷バネ31の弾性力により、スライド部20は第二方向にスライドし、スライド部20が第二方向のレール端部に当接する初期位置へと戻る。
【0039】
使用者が第一負荷バネ31の弾性力に抗してスライド部20を第一方向に移動させ続けると、スライド部20(第一バネ第一連結体33)の第一方向端部が第二段階負荷部材40の第二バネ第二連結体47の端部に接触する(図5(b)参照)。
【0040】
この接触後、さらにスライド部20を第一方向に移動させる場合には、スライド部20には、第二負荷バネ41による第二方向の弾性力がさらに作用し、使用者には、第一負荷バネ31による第一段階の負荷に第二負荷バネ41による第二段階の負荷を加えた大きな負荷がかかる。使用者は、第一段階の負荷と第二段階の負荷とを合わせた大きな負荷に逆らわなければ、スライド部20を第一方向へ押すことができない。
【0041】
スライド部20の第二バネ第二連結体47との接触後、スライド部20を奥まで押し込むと、第二負荷バネ41が縮む範囲内で、スライド部20を押し込むことができる(図5(c)参照)。その後、使用者が足の力を抜けば、負荷バネ31,41の弾性力により、スライド部20が初期位置まで戻る。
【0042】
続いて、使用者は再度スライド部20を負荷バネ31,41に抗して押し込むことができ、これを繰り返すことで、筋肉運動を継続して行うことができる。
【0043】
ここで、第一負荷バネ31自体の長さと第二負荷バネ41自体の長さを比べると、第一負荷バネ31のほうが2倍程度と長く、引きバネである第一負荷バネ31を用いる第一段階負荷部材30のストロークの長さは、押しバネである第二負荷バネ41を用いる第二段階負荷部材40のストロークの長さよりも格段に長い。
【0044】
そして、スライド部20が初期位置から第二バネ第二連結体47に接触するまでの第一段階負荷部材30のみの負荷がかかる負荷運動のストローク長さは、スライド部20が第二バネ第二連結体47に接触して、第一段階負荷部材30及び第二段階負荷部材40の負荷がかかる負荷運動のストローク長さの10倍程度である。
【0045】
すなわち、運動器具1を使用すれば、第一段階負荷のみによるストロークの長い負荷運動と、第一段階負荷と第二段階負荷とを合わせたストロークの短い負荷運動とを組み合わせ、二段階の負荷運動を行うことができる。
【0046】
第一段階負荷のみによる運動は、ストロークの長い運動であり、等張性運動に相当し、第一段階負荷と第二段階負荷とを組み合わせた運動は、負荷が比較的大きくストロークの短い運動であり、等尺性運動に相当すると見なすことができる。このように、運動器具1を使うことで、等張性運動と等尺性運動の双方を行うことができ、効果的にリハビリテーションを行うことが可能となる。
【0047】
もちろん、第一実施形態は、本発明の主旨を逸脱しない範囲内で適宜変更可能であり、スライド部20に一体に固定された第一バネ第一連結体33を省略し、第一負荷バネ31の第一方向端部をスライド部20に直接固定するようにしても良い。また、第一負荷バネ31の第二方向端部や第二負荷バネ41の第一方向端部をレール11に直接固定するようにしても良い。
【0048】
続いて、本発明の第二の実施形態について説明する。上記第一実施形態では、一方向のスライド時にのみ負荷を与えるリハビリテーション用運動器具について説明したが、第二実施形態では、両方向のスライド時に負荷を与える、二方向低負荷運動を行うためのリハビリテーション用運動器具について説明する。
【0049】
図7は、第二実施形態に係る運動器具の斜視図である。図8は、第二実施形態に係るスライド部の裏面側の斜視図である。図9は、第二実施形態に係る基台、第一段階負荷部材及び第二段階負荷部材の構成を示す平面図である。図10は、第二実施形態に係る運動器具の動作を説明するための図である。
【0050】
なお、図9では、図中上方のレールにはスライド部を示し、下方のレールはスライド部を省略して示している。また、図10では、図中上方のレールにはスライド部を示し、下方のレールはスライド部を省略して示し、上方のレールと下方のレールで同じスライド状態を示している。また、図10では、連結体接触凸部を破線で示している。
【0051】
第二実施形態に係る運動器具2は、基台60と、スライド部70と、第一段階負荷部材80と、第二段階負荷部材90とを備えている。スライド部70は、基台60に対して往復スライド自在に設置されている。
【0052】
第一段階負荷部材80は、初期位置であるスライド方向中央付近に位置するスライド部70が、基台60に対して、第一方向(図9及び図10において右側方向)に向けてスライド外側に移動する際に常時第一段階負荷を与えると共に、スライド部70が第一方向と逆の第二方向(図9及び図10において左側方向)に向けてスライド外側に移動する際にも常時同じ第一段階負荷を与える。
【0053】
第二段階負荷部材90は、スライド部70が第一方向に所定の距離スライドした後に第一段階負荷に加えてさらに第二段階負荷を与えると共に、スライド部70が第二方向に所定の距離スライドした後にも第一段階負荷に加えてさらに第二段階負荷を与える。
【0054】
基台60は、その長手方向に平行に延在する2つのレール61と、レール61内に設置された4つのスライドストッパー65,66,67,68とを備えている。スライドストッパー65,66,67は、レール61内の幅方向の両側に一対で設置されている棒状部材であり、後述する第一バネ第一連結体83、第一バネ第二連結体87、第二バネ第二連結体97がスライドストッパー65,66,67の端部に接触することで、連結体83,87,97のスライドが制限され停止する。
【0055】
スライド部70は、2つのレール61上にそれぞれ設置されており、各スライド部70は、レール61にスライド自在に保持される板状のスライド板71と、スライド板71の上面に設置された、使用者が手で握るための取っ手73と、スライド板71の下面中央に設置された直方体形状の突起部であり、後述する第一段階負荷部材80の第一バネ連結体83,87に接触して移動させるため連結体接触凸部75とを備えている。
【0056】
第一段階負荷部材80は、2本の第一負荷バネ81と、第一負荷バネ81の一方の端部(第一方向端部)に連結固定された第一バネ第一連結体83と、第一負荷バネ81の他方の端部(第二方向端部)に連結固定された第一バネ第二連結体87とを備えている。第一負荷バネ81は、引きバネであり、第一バネ第一連結体83と第一バネ第二連結体87とを引き寄せる弾性力を発揮する。
【0057】
第一バネ第一連結体83及び第一バネ第二連結体87は、長方形状板であり、レール61内にスライド自在に設置されている。第一バネ第一連結体83と第一バネ第二連結体87の間には、レール61内に、所定の長さのスライドストッパー65が設置されている。スライドストッパー65の長さは、第一負荷バネ81が自然長のときの第一バネ第一連結体83と第一バネ第二連結体87との間隔よりも長い。
【0058】
よって、外部からの力が作用していない、図10(a)に示す第一段階負荷部材80の初期状態では、自然長より伸びた第一負荷バネ81の弾性力により、第一バネ第一連結体83と第一バネ第二連結体87とが引き寄せられ、第一バネ第一連結体83がスライドストッパー65の第一方向側の端部に接触し、第一バネ第二連結体87がスライドストッパー65の第二方向側の端部に接触して、挟み込んだ状態となっている。
【0059】
また、第一バネ第一連結体83と第一バネ第二連結体87との間には、スライド部70の連結体接触凸部75が位置しており、連結体接触凸部75のスライド方向長さは、スライドストッパー65より若干短い。
【0060】
この初期状態の初期位置から、第一方向又は第二方向にスライド部70をスライドさせるためには、第一負荷バネ81の弾性力よりも大きな力をスライド部70に加える必要がある。スライド部70が第一方向へと移動すると、第一バネ第一連結体83は連結体接触凸部75に押されてスライド部70と共に第一方向へ移動するが、スライドストッパー65に接触して第一方向への移動が制限されている第一バネ第二連結体87は初期位置に留まったままである。
【0061】
したがって、スライド部70がスライド外側である第一方向へ移動すると、その移動距離だけ第一負荷バネ81が伸びるため、第一方向へ移動したスライド部70には、第一負荷バネ81の自然長から伸びた長さに比例して、スライド部70を元の位置に戻すスライド内側方向(第二方向)の弾性力が作用する。
【0062】
一方、スライド部70がスライド外側である第二方向へ移動すると、同様にその移動距離だけ第一負荷バネ81が伸びるため、第二方向へ移動したスライド部70には、第一負荷バネ81の自然長から伸びた長さに比例して、スライド部70を元の位置に戻すスライド内側方向(第一方向)の弾性力が作用する。
【0063】
このように、スライド部70は、中央の初期位置から第一方向及び第二方向のスライド外側双方向に移動可能であり、移動の際には、両方向共に、第一負荷バネ81の弾性力による第一段階負荷がかかる。
【0064】
第二段階負荷部材90は、レール61の両レール端部にそれぞれ設置されており、各第二段階負荷部材90は、2本の第二負荷バネ91と、第二負荷バネ91の一方の端部(スライド外側端部)に連結固定された第二バネ第一連結体93と、第二負荷バネ91の他方の端部(スライド内側端部)に連結固定された第二バネ第二連結体97とを備えている。第二負荷バネ91は、第一負荷バネ81よりもストロークの短い押しバネ(圧縮バネ)であり、第二バネ第一連結体93と第二バネ第二連結体97とを遠ざける弾性力を発揮する。
【0065】
第二バネ第一連結体93は、直方体木片であり、レール61の両レール端部に固定設置されている。第二バネ第二連結体97は、長方形状板であり、レール61内にスライド自在に設置されている。
【0066】
初期状態では、第二負荷バネ91が自然長よりも短くなった状態で、第二バネ第二連結体97のスライド内側端部がスライドストッパー66又はスライドストッパー67のスライド外側端部に接触しており、第二バネ第二連結体97のスライド内側方向への移動が制限されている。
【0067】
この状態で、第二バネ第二連結体97がスライド外側方向へ移動すると、第二バネ第二連結体97と第二バネ第一連結体93が近付き、第二負荷バネ91が縮む。よって、スライド外側に移動した第二バネ第二連結体97と第二バネ第一連結体93との間には、第二負荷バネ91の自然長から縮んだ長さに比例して、第二バネ第二連結体97を元の位置に戻す方向(スライド内側方向)の弾性力が作用する。
【0068】
また、スライドストッパー68は、レール61の両レール端部に固定設置されており、レール端部付近において第二バネ第二連結体97のスライド外側方向への移動を制限する。
【0069】
第二バネ第二連結体97が、第二負荷バネ91の弾性力に抗してスライド外側方向に移動し、第二バネ第二連結体97のスライド外側端部がスライドストッパー68に接触すると、第二バネ第二連結体97のスライドが制限され停止する。
【0070】
以上、上肢リハビリテーション用の運動器具2の構成について説明したが、運動器具2において、スライド部70、連結体83,87,93,97、スライドストッパー65,66,67,68の衝突する部分には、適宜、スポンジや布等の衝撃吸収材6が設置されている。
【0071】
続いて、運動器具2の使用方法について説明する。図11は、第二実施形態に係る運動器具の使用状態を示す側面図である。使用者は、運動器具2を水平な場所に設置し、スライド部70の取っ手73を握れる場所に位置する。
【0072】
図10(a)に示す初期状態では、スライド部70は、レール61の中央の初期位置に位置しており、使用者が手でスライド部70をスライド外側方向(第一方向又は第二方向)に押すことで、スライド部70が移動する。このとき、使用者の手には、第一負荷バネ81の弾性力である第一段階負荷がかかる。
【0073】
使用者は、この第一段階負荷に抗してスライド部70を押すことで、筋肉運動を行うことができる。使用者が途中で手の力を抜いたときには、第一負荷バネ81の弾性力により、スライド部70はスライド内側方向に移動し、第一バネ連結体83,87のスライド内側方向の端部がスライドストッパー65に接触する初期位置へと戻る。
【0074】
また、第一段階負荷に抗してスライド部70をさらにスライド外側方向に移動させ続けると、スライド板71のスライド外側端部が第二バネ第二連結体97のスライド内側端部に接触する(図10(b))。
【0075】
この接触後、さらにスライド部70をスライド外側方向に移動させる場合には、スライド部70には、第二負荷バネ91によるスライド内側方向への弾性力がさらに作用し、使用者は、第一負荷バネ81による第一段階の負荷に第二負荷バネ91による第二段階の負荷を加えた大きな負荷がかかる。使用者は、第一段階の負荷と第二段階の負荷とを合わせた大きな負荷に逆らわなければ、スライド部70をスライド外側方向へ押すことができない。
【0076】
スライド部70の第二バネ第二連結体97との接触後、スライド部70をさらに奥まで押し込むと、第二バネ第二連結体97がスライドストッパー68に接触するまでスライド外側方向に移動させることができる(図10(c)参照)。その後、使用者が手の力を抜けば、負荷バネ81,91との弾性力により、スライド部70が初期位置まで戻る。
【0077】
使用者は、スライド部70を第一方向及び第二方向の何れにも負荷バネ81,91の弾性力に抗しながら押し込むことができ、例えば、交互に第一方向又は第二方向に押し込むことで、腕の筋肉運動を行うことができる。図10(d)は、スライド部70を第二方向にスライドさせ、スライド板71のスライド外側端部が第二バネ第二連結体97のスライド内側端部に接触した状態を示している。
【0078】
ここで、第一負荷バネ81の長さと第二負荷バネ91の長さを比較すると、第一負荷バネ81のほうが2倍程度と長く、引きバネである第一負荷バネ81を用いる第一段階負荷部材80のストロークの長さは、押しバネである第二負荷バネ91を用いる第二段階負荷部材90のストロークの長さよりも格段に長い。
【0079】
そして、スライド部70が初期位置から第二バネ第二連結体97に接触するまでの第一段階負荷部材80のみの負荷がかかる負荷運動のストローク長さは、スライド部70が第二バネ第二連結体97に接触して第一段階負荷部材80及び第二段階負荷部材90の負荷がかかる負荷運動のストローク長さの2倍程度である。
【0080】
このように、運動器具2を使用すれば、第一段階負荷のみによるストロークの長い負荷運動と、第一段階負荷と第二段階負荷とを合わせたストロークの短い負荷運動とを組み合わせ、二段階の負荷運動を行うことができる。
【0081】
上述したように、第一段階負荷のみによる運動は、等張性運動に相当し、第一段階負荷と第二段階負荷とを組み合わせた運動は、等尺性運動に相当し、第二実施形態においても、運動器具2を使うことで、等張性運動と等尺性運動の双方を行うことができ、効果的にリハビリテーションを行うことができる。
【0082】
もちろん、第二実施形態は、本発明の主旨を逸脱しない範囲内で適宜変更可能であり、第二負荷バネ91のスライド外側端部をレール61に直接固定するようにしても良い。
【0083】
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明の実施の形態は、上記第一及び第二実施形態に限定されるものではなく、本発明の主旨を逸脱しない範囲内で種々の変形が可能である。例えば、運動器具を構成する各部材の形状やサイズ、素材等は適宜変更可能である。
【符号の説明】
【0084】
1 運動器具
10 基台
11 レール
15 スライドストッパー
20 スライド部
21 スライド板
25 折り畳み式踏み板
30 第一段階負荷部材
31 第一負荷バネ
33 第一バネ第一連結体
37 第一バネ第二連結体
37a 幅広部
37b 衝突部
37c 幅狭部
38 バネ用溝
40 第二段階負荷部材
41 第二負荷バネ
43 第二バネ第一連結体
47 第二バネ第二連結体
2 運動器具
60 基台
61 レール
65 スライドストッパー
66 スライドストッパー
67 スライドストッパー
68 スライドストッパー
70 スライド部
71 スライド板
73 取っ手
75 連結体接触凸部
80 第一段階負荷部材
81 第一負荷バネ
83 第一バネ第一連結体
87 第一バネ第二連結体
90 第二段階負荷部材
91 第二負荷バネ
93 第二バネ第一連結体
97 第二バネ第二連結体
5,6 衝撃吸収材
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11