(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、図面を参照して本発明の実施形態について説明する。
図1は、本発明の一実施形態に係る電力制御システム1の構成例を示す図である。
【0015】
電力制御システム1は、電力変換装置10と、直流給電装置30とを備える。電力制御システム1は、直流給電装置30から直流電力を受け、交流電力に変換して負荷40へ供給する。負荷40は、例えば、3相交流電動機(M)である。
【0016】
直流給電装置30は、商用電源等の単相の交流電源2を電源として機能する。直流給電装置30は、例えば、整流装置31と、蓄電池32とを備える。
【0017】
整流装置31は、平時には、交流電源2が出力した交流電力を直流電力に変換して、電力変換装置10と蓄電池32とに供給する。蓄電池32は、整流装置31から供給される直流電力を蓄える。整流装置31は、交流電源2の停電時には、蓄電池32に蓄えられている直流電力を電力変換装置10に供給する。
【0018】
例えば、直流給電装置30が平時に出力する直流電圧は、電力変換装置10の入力電圧変動範囲内の所望の電圧を基準に調整されている。電力変換装置10の入力電圧変動範囲内の所望の電圧は、例えば基準電圧V0である。
【0019】
直流給電装置30が停電時に出力する直流電圧は、電力変換装置10の入力電圧変動範囲内の電圧になる。直流給電装置30が停電時に出力する直流電圧は、蓄電池32の充電率により変動する場合がある。直流給電装置30が停電時に出力する電圧は、上記の基準電圧V0よりも低く設定されている。
【0020】
上記の場合、直流給電装置30は、停電が発生すると、基準電圧V0を基準に調整された電圧から低減させた電圧を出力し、復電すると、基準電圧V0を基準に調整された電圧を再び出力する。直流給電装置30は、停電時と復電時に瞬断させることなく直流電力を給電可能であってよい。
【0021】
電力変換装置10は、例えば、コントローラ11と、電源部13と、入力部14(操作部)と、電圧検出部15(第1電圧検出部)と、電圧検出部16(第2電圧検出部)と、電流検出部17と、主回路20とを備える。電力変換装置10は、電源入力端子としての入力端子101(第1入力端子)と入力端子102(第2入力端子)とを備える。
【0022】
まず、主回路20の一例について説明する。
主回路20は、電力変換部本体21(変換部本体)と、平滑コンデンサ22と、ダイオード23と、スイッチ部25(調整部)と、電磁リレー26(リレースイッチ)とを備える。
【0023】
電力変換部本体21は、半導体スイッチを備えるインバータであり、図示されない電力変換制御部によって制御される。電力変換部本体21は、電力変換制御部の制御により、直流給電装置30から入力端子101と入力端子102とに供給される第1の直流電力の少なくとも一部を含む第2の直流電力を交流電力に変換する。例えば、第1の直流電力は、第2の直流電力として電力変換部本体21に供給されるほかに、後述する電源部13等に供給される。
【0024】
平滑コンデンサ22は、正極の第1端子と負極の第2端子とを備える。第1端子は、入力端子101に第1接続導体を介して接続される。第2端子は、入力端子102に第2接続導体を介して接続される。平滑コンデンサ22は、電力変換部本体21に供給される第2の直流電力の電圧を平滑化する。
【0025】
電磁リレー26は、図示されない電磁部と電磁部の通電状態に応じてオンまたはオフするスイッチを有し、コントローラ11が出力したRY操作信号に応じて、電磁部の通電状態を変化させ、スイッチを導通状態または遮断状態とする。この電磁リレー26のスイッチはメーク接点(ノーマリーオープン)である。
電磁リレー26は、第1接続導体に設けられている。電磁リレー26は、直流給電装置30から、電力変換部本体21と平滑コンデンサ22とに供給される第1の直流電力の供給を遮断する。
【0026】
スイッチ部25は、電磁リレー26に並列に接続され、第1接続導体に流れる電流(第2電流)を調整する。
【0027】
例えば、スイッチ部25は、トランジスタ等の半導体スイッチング素子で構成されるスイッチを含む。スイッチ部25は、コントローラ11から導通状態または遮断状態を指示するPWM制御信号が入力された場合、PWM制御信号のDUTY比に従いスイッチを導通状態または遮断状態に遷移させる。上記の通り、PWM制御信号のDUTY比に従いスイッチを導通状態または遮断状態に遷移させることにより、電流の平均値を調整することができ、経路のインピーダンスを調整することにより突入電流を抑制することができる。
【0028】
上記のスイッチ部25と電磁リレー26は、電気的に並列に接続されている。スイッチ部25の一端と電磁リレー26の一端は、ともに電力変換装置10の入力端子101に接続されている。スイッチ部25の他端と電磁リレー26の他端は、ともに、ダイオード23のアノードに接続されている。ダイオード23のカソードは、電力変換部本体21の入力端子の正極側と、平滑コンデンサ22の第1端子とに接続されている。このダイオード23は、逆流防止用に設けられている。
【0029】
上記のように接続されている電磁リレー26は、スイッチ部25をバイパスするバイパス回路を構成する。すなわち、電磁リレー26を含むバイパス回路は、電磁リレー26を導通状態とした場合に、スイッチ部25をバイパスさせる。
【0030】
電源部13は、交流電源2から直流給電装置30及び入力端子101を介して入力された直流電力を変圧し、電力変換装置10内の各部に例えば複数種類の電圧の直流電力を供給する。電源部13が供給する直流電力は、後述するコントローラ11等の制御用電力として利用される。なお、電源部13は、上記に制限されることはなく、直流給電装置30及び入力端子101を介して入力された直流電力とは異なる直流電力を安定化して出力してもよい。
【0031】
入力部14は、例えばユーザの操作によって可変することができる半固定可変抵抗器を備え、半固定可変抵抗器に設定された抵抗値に応じた電圧値を有する信号をコントローラ11に対して出力する。この半固定可変抵抗器は、ユーザの操作によって設定された電圧値を出力するものであり、負荷40に流れる電流を流すものではない。あるいは、入力部14は、複数の設定スイッチを有するディップスイッチを備え、各設定スイッチのオンまたはオフの設定状態を示す信号をコントローラ11に対して出力する。ユーザの操作によって設定された電圧値と各設定スイッチのオンまたはオフの設定状態を示す信号は、例えば、電圧閾値、電流閾値、及び電圧範囲の少なくとも何れかに対応するものである。電圧閾値、電流閾値、及び電圧範囲については、後述する。
【0032】
コントローラ11は、例えばマイクロコンピュータ(マイコン)であり、内部にCPU(中央処理装置)、記憶装置、入出力装置、A/D(アナログ/デジタル)変換器、D/A(デジタル/アナログ)変換器、タイマー、カウンタ、クロック、通信装置等のハードウェアを有する。また、コントローラ11は、複数のデジタル信号の入出力ポート(入出力端子)や、アナログ信号の入出力端子を有する。コントローラ11は、内部のハードウェアを利用し、記憶装置に記憶されている所定のファームウェア等のプログラムをCPUが実行することで、制御部、調整部及び記憶部の各機能を構成する。
【0033】
第1電圧検出部15は、直流給電装置30から第1の直流電力が供給される入力端子101と入力端子102間の直流電圧(第1電圧V1と呼ぶ。)を計測する。第1電圧検出部15は、複数の抵抗を含み、直流電圧を分圧して出力してもよい。
【0034】
第2電圧検出部16は、平滑コンデンサ22の第1端子と第2端子間の直流電圧(第2電圧V2と呼ぶ。)を計測する。第2電圧V2は、電力変換部本体21の電源入力電圧に相当する。第2電圧検出部16は、複数の抵抗を含み、直流電圧を分圧して出力してもよい。
【0035】
電流検出部17は、平滑コンデンサ22に接続される第1接続導体または第2接続導体に設けられ、平滑コンデンサ22に流れた第1電流を計測する。
【0036】
コントローラ11は、例えば、第1電圧検出部15によって計測された第1電圧V1と、第2電圧検出部16によって計測された第2電圧V2と、電流検出部17によって計測された第1電流との各計測値を、上記のアナログ信号として収集する。
コントローラ11は、第1電圧V1と、第2電圧V2と、第1電流とに基づいて、スイッチ部25と電磁リレー26を制御する。
【0037】
(コントローラ11による突入電流抑制制御)
図を参照して、コントローラ11による突入電流抑制制御について説明する。
図2は、
図1に示す電力変換装置10の突入電流抑制制御に関する状態遷移図である。図に示されている状態は、初期化状態S0と、電流抑制制御状態S1と、定常稼働状態S2と、電源電圧低減状態S3とが含まれる。
【0038】
初期化状態S0は、電源の供給が開始されて電力変換装置10を始動させるための初期化処理などを実施する段階に対応する。
【0039】
電流抑制制御状態S1は、初期化処理を終えた後に電流を抑制するように制御する状態に対応する。電流抑制制御状態S1は、初期化状態S0から遷移して、定常稼働状態S2に遷移するまでの状態である。初期化状態S0から電流抑制制御状態S1への遷移は、コントローラ11の初期化完了に応じて行われる。
【0040】
定常稼働状態S2は、電流を抑制する制限を解除した状態に対応する。定常稼働状態S2は、電流抑制制御状態S1から遷移して、電源電圧低減状態S3に遷移するまでの状態である。電流抑制制御状態S1から定常稼働状態S2への遷移は、平滑コンデンサ22の充電量が所望の条件を満たしたことに応じて行われる。
【0041】
電源電圧低減状態S3は、電源電圧が低下した状態に対応する。電源電圧低減状態S3は、定常稼働状態S2から遷移して、電流抑制制御状態S1に遷移するまでの状態である。定常稼働状態S2から電源電圧低減状態S3への遷移は、前述の基準電圧V0を基準に定められた閾値電圧よりも電源電圧が低下したことに応じて行われる。
【0042】
一般に、平滑コンデンサ22が十分に充電されていない状態で、電力変換装置10に電力が供給されると、平滑コンデンサ22の充電電流が流れて電力変換装置10に突入電流が生じることがある。電流を抑制するように制御されていないと、過大な突入電流が流れることになる。
【0043】
そこで、コントローラ11は、電流抑制制御状態S1において、例えば下記する制御によって、電力変換装置10の突入電流を制限する。
【0044】
コントローラ11は、電磁リレー26に代えてスイッチ部25に、上記の充電電流を流して、充電電流を制限する。その際に、コントローラ11は、スイッチ部25を導通状態にするDUTY比を調整することで、平滑コンデンサ22の充電電流を制限する。このように、スイッチ部25に電流を流すことにより、電磁リレー26に電流を流す場合に比べて、そのピーク値を低減させることが可能になる。
【0045】
より具体的に上記の制御について説明する。例えば、コントローラ11は、前述の第1電圧V1と第2電圧と第1電流とに基づいて、少なくともスイッチ部25に流す第2電流を制御する。スイッチ部25に流れる第2電流には、平滑コンデンサ22に流れる電流(第1電流に相当。)が含まれる。これにより、電力変換装置10の突入電流の大きさを調整することが可能になる。
【0046】
コントローラ11は、スイッチ部25に流す第2電流を下記する方法で調整するとよい。
【0047】
例えば、コントローラ11は、平滑コンデンサ22を充電する際に流れる第1電流の時間変化率が予め定められた電流閾値を超えないようにスイッチ部25に流す第2電流を調整するとよい。上記の場合、例えば、コントローラ11は、第1電流の大きさに基づいてスイッチ部25の半導体スイッチをオン状態にするDUTY比を調整することで、第1電流の時間変化率が、設定された電流閾値を超えないように制御する。このように、コントローラ11は、PWM制御によって、スイッチ部25の半導体スイッチに流す第2電流を調整するとよい。
【0048】
なお、電力変換装置10が起動される時点の(電圧検出部15の第1電圧V1)と(電圧検出部16の第2電圧V2)との電位差ΔVが大きいほど、突入電流が大きくなる。ここで、(電圧検出部15の第1電圧V1)と(電圧検出部16の第2電圧V2)との電位差ΔVを、(第1電圧V1−第2電圧V2)と規定する。
【0049】
電位差ΔVが、予め設定された電圧閾値を超える場合には、コントローラ11は、スイッチ部25の半導体スイッチをPWM制御によるDUTY比を調整することによって、電位差ΔVが予め設定された電圧閾値を超えないように制御してもよい。電圧閾値は、予め定められた電圧範囲の上限値であってもよい。なお、上記の電圧範囲(電圧閾値)を上回る場合には、コントローラ11は、電磁リレー26と、スイッチ部25の半導体スイッチの両方を遮断してもよい。
【0050】
上記の第1電圧V1が予め定められた電圧範囲にある場合には、コントローラ11は、電磁リレー26を導通させて、スイッチ部25の半導体スイッチを遮断する。上記の第1電圧V1が上記の電圧範囲を下回る場合には、コントローラ11は、電磁リレー26を遮断して、スイッチ部25の半導体スイッチを導通させる。
【0051】
これにより、コントローラ11は、スイッチ部25の半導体スイッチによる電圧制御を高い応答性と低い損失を実現することができ、急な直流入力電圧の増加が生じた場合に、遅延なくスイッチ部25の半導体スイッチによって突入電流を抑制することができる。
【0052】
図3を参照して、突入電流抑制制御の手順について説明する。
図3は、
図1に示す電力変換装置10の突入電流抑制制御を説明するためのタイミングチャートである。
この図の上段側から下段に向かう順に、スイッチ部25の状態と、電磁リレー26の状態と、電圧検出部16によって検出された第2電圧V2と、電流検出部によって検出された電流が示されている。
【0053】
時刻t1以前の状態は、電力変換装置10に対する入力電圧がない状態にある、例えば、電力変換装置10の稼働を停止させていた状態などに相当する。スイッチ部25と電磁リレー26は、ともに遮断状態(OFF)にある。
【0054】
このような停止状態から、時刻t1に、電力変換装置10の入力端子101に所定の電圧(例えば、基準電圧V0。)を印加して、電力変換装置10を始動させる。
【0055】
電源部13は、電力変換装置10の入力端子101と入力端子102の間に印加された電圧を降圧して制御用電力を出力する。これにより、コントローラ11が活性化される。コントローラ11は、活性化された後、電流検出部17によって検出された電流値を取得して、取得した電流値に基づいてスイッチ部25の半導体スイッチの制御を開始する(時刻t2)。これにより、スイッチ部25を介して、平滑コンデンサ22の充電が開始される。平滑コンデンサ22の充電が開始されても、充電電流が所望の条件を満たすように制御されており、過度な突入電流が生じることなく平滑コンデンサ22の充電が行われる。
【0056】
平滑コンデンサ22の充電量が増加して、平滑コンデンサ22の端子電圧が、直流給電装置30から供給される直流電力の電圧に達する(時刻t3)。平滑コンデンサ22の端子電圧が上記の直流給電装置30から供給される直流電力の電圧に達すると、コントローラ11は、スイッチ部25の半導体スイッチを導通状態に維持するように制御していても、第1電圧V1の上昇は止まり電圧の変化がなくなる。また、この段階になると、平滑コンデンサ22の充電電流が低下する。
【0057】
コントローラ11は、平滑コンデンサ22に流れる電流が、所定値以下になると電磁リレー26を導通状態に制御して、スイッチ部25の半導体スイッチを遮断状態に制御する(時刻t4)。これにより、コントローラ11は、電力変換装置10の始動処理を終えて、電力変換部本体21による電力変換を実施する定常電圧運転モードの制御に移行する。
【0058】
上記の状態が維持されたまま時刻t5になり、交流電源2の停電が発生したと仮定する。これにより、直流給電装置30から供給される直流電力の電圧が、蓄電池の電圧VBまで低下する。コントローラ11は、直流給電装置30から供給される直流電力の電圧の低下を検出して、その検出結果により電磁リレー26を遮断状態に制御して、スイッチ部25の半導体スイッチを導通状態に制御する。
【0059】
時刻t6になると、直流給電装置30から供給される直流電力の電圧は、蓄電池32の電圧VBになり低下が止まる。時刻t6以降もコントローラ11による電磁リレー26とスイッチ部25の制御に変わりはない。
【0060】
上記のように直流給電装置30から蓄電池32の電圧に依存した電圧が供給された状態に維持されているなかで、時刻t11に交流電源2が復電したと仮定する。これにより、直流給電装置30から供給される直流電力の電圧が上昇し、その変化率が大きくなる。
【0061】
コントローラ11は、交流電源2の復電を、直流給電装置30から供給される直流電力の電圧(第1電圧V1)の上昇と、平滑コンデンサ22に流れる電流の増加の何れかにより検出する。
【0062】
コントローラ11は、スイッチ部25を介して、充電電流が所望の条件を満たすように制御して平滑コンデンサ22の充電を開始する。平滑コンデンサ22の充電が開始されても、過度な突入電流が生じることなく平滑コンデンサ22の充電が行われる(時刻t12)。
【0063】
平滑コンデンサ22の充電量が増加して、平滑コンデンサ22の端子電圧が、直流給電装置30から供給される直流電力の電圧に達する(時刻t13)。平滑コンデンサ22の端子電圧が上記の直流給電装置30から供給される直流電力の電圧に達すると、コントローラ11は、スイッチ部25の半導体スイッチを導通状態に維持するように制御しても、第1電圧V1の上昇は止まり電圧の変化がなくなる。また、この段階になると、平滑コンデンサ22の充電電流がなくなる。
【0064】
コントローラ11は、平滑コンデンサ22に流れる電流が、所定値以下になると電磁リレー26を導通状態に制御して、スイッチ部25の半導体スイッチを遮断状態に制御する(時刻t14)。これにより、コントローラ11は、電力変換装置10の始動処理を終えて、電力変換部本体21による電力変換を実施する定常電圧運転モードの制御に移行する。
【0065】
復電後の制御は、前述の時刻t4以降と同じである。
【0066】
上記の実施形態によれば、電力変換装置10は、少なくともコントローラ11と、電圧検出部15と、電圧検出部16と、電流検出部17と、電力変換部本体21と、平滑コンデンサ22と、電磁リレー26と、スイッチ部25と、を備える。
スイッチ部25は、電磁リレー26に並列に接続され、第1接続導体に流れる第2電流を調整する。コントローラ11は、第1電圧V1と第2電圧V2と第1電流とに基づいて、電磁リレーに流れるピーク電流を低減させるように、少なくともスイッチ26に流す第2電流を制御する。これにより、電力変換装置10は、電源電圧の変動による過度な電流を抑制することができる。
【0067】
なお、コントローラ11は、平滑コンデンサ22を充電する際の第1電流の時間変化率が予め定められた電流閾値を超えないようにスイッチ部25に流す第2電流を調整してもよい。これにより、スイッチ部25に流す第2電流値が制限されることにより、突入電流の大きさを抑制することができる。
【0068】
なお、コントローラ11は、PWM制御によってスイッチ部25の半導体スイッチに流す第2電流を調整することで、突入電流の大きさを抑制することができる。
【0069】
なお、コントローラ11は、第1電圧V1と第2電圧V2との電位差が、予め定められた電圧閾値を超えないようにスイッチ部25の半導体スイッチのスイッチングを制御してもよい。これにより、第1電圧V1と第2電圧V2との電位差に基づいて電流を制御することができる。
【0070】
なお、コントローラ11は、第1電圧V1が予め定められた電圧範囲にある場合には、電磁リレー26を導通させて、スイッチ部25の半導体スイッチを遮断して、電圧範囲を下回る場合には、電磁リレー26を遮断して、スイッチ部25の半導体スイッチを導通させてもよい。これにより、第1電圧V1が予め定められた電圧範囲よりも低下した場合に、突入電流が発生することを見越してスイッチ部25の半導体スイッチによる制御を速やかに実施することができる。
【0071】
なお、比較例の電力変換装置を用いた場合には、直流給電装置30など給電システムから供給される直流電力の電圧変動により、過渡的な突入電流が流れることがある。このような場合、比較例の電力変換装置の入力側に設けられていたヒューズが溶断したり、電源回路に設けられているスイッチの接点が故障したりする恐れがあった。
【0072】
上記の比較例の電力変換装置に代えて、本実施形態の電力変換装置10を適用することで、給電システムの電圧変動にかかわらず、突入電流が抑制されるので、装置運転の信頼性を向上させることができる。
【解決手段】電力変換装置は、電源から直流電力が供給される入力端子間の第1電圧を計測する第1電圧検出部と、直流電力を交流電力に変換する変換部本体に供給される前記直流電力を平滑化する平滑コンデンサと、平滑コンデンサの第1端子と第2端子間の第2電圧を計測する第2電圧検出部と、平滑コンデンサに流れた第1電流を計測する電流検出部と、前記第1接続導体に設けられ、前記電源から前記変換部本体と前記平滑コンデンサとに供給される第1の直流電力を遮断するリレースイッチと、前記リレースイッチに並列に接続され、前記第1接続導体に流れる第2電流を調整する調整部と、前記第1電圧と前記第2電圧と前記第1電流とに基づいて、前記リレースイッチに流れるピーク電流を低減させるように、少なくとも前記調整部に流す第2電流を制御する制御部とを備える。