(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
胴体の左右に、複数個の上昇下降用プロペラを機体の前方後方に配置すると共に、前方のプロペラの中心位置と後方のプロペラの中心位置が平面上重ならないように配置し、水平飛行時に揚力を得る複数の翼を機体の前方後方に設け、前記胴体と前記水平飛行揚力翼が、前記上昇下降用プロペラの後流を邪魔しないように上昇下降用プロペラを配置し、上昇用下降用プロペラを前記水平飛行揚力翼で支える構造とした事、を特徴とする航空機であって、少なくとも一部の前記上昇下降用プロペラを前記複数の翼の間に配置することで、前記前方及び後方の複数の翼を前記上昇下降用プロペラのプロペラガードとして兼用した、航空機。
【背景技術】
【0002】
通常の飛行機は、飛行機が離陸できるような速度になるまで滑走路を滑走す
る。また、逆に着陸する場合にも、着陸してから停止するまでの間滑走するので滑走路が必要となる。一般の距離は1.5km〜3km程度のものが必要である。そこで、VTOL(垂直離着陸機)が必要となる。
この種の飛行機としては、ヘリコプタ,オスプレイ,ドローンなどが知られている。ヘリコプタは、
図1に示す如く1個のプロペラをホバリング、上昇、下降、水平飛行のそれぞれに対して用いるものである。
図1において、1は機体、3はテイルロータ、32はプロペラ回転用モータである。
【0003】
ヘリコプタは水平速度が遅いので、水平速度が速いオスプレイ(
図2)が開発
された。オスプレイは、1953年本発明者が発明したものであり、これをベルエアクラフト社のCEOロウレンス・ベル氏に教授し、ベルエアクラフト社が近年になりようやく実用化したものである。
主翼の両端にティルト制御が可能なプロペラを持ち、このプロペラのティルト角
を制御することで、ホバリング機能や、水平飛行が可能となっている。上昇と直進動作を行うために、プロペラのティルト角を0度から90度まで変化させる。しかしロータを水平、垂直にする変換時に多くの事故が発生する。
図2において、1は機体、34はオスプレイ上昇・下降・前進用プロペラ、4は水平尾翼、5はオスプレイエンジン用回転軸、33はオスプレイプロペラ用エンジンであるが近年ようやくポピュラーになった。
図3は公知のドローンであり、これも1940年に本発明者が発明したものであるが、近年ようやくポピュラーになった。
図3において、6はドローンプロペラ、7はドローン上昇・下降用モータ、8はドローンプロペラガイド、9は受信装置・カメラ等である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
本発明はこのような課題に鑑みてなされた新発明航空機であり、上昇下降用プロペラと前進用プロペラと回転または回転しない水平飛行用翼を設け垂直離着陸やホバリングできることは勿論のこと、水平飛行速度が速く、エネルギロスが少なく長距離を飛べて全天候型で悪天候でも安定な飛行を行うことができる新垂直離着陸型飛行機(新VTOL)を提供することを目的としている。
本発明は従来のドローンとも、ヘリコプタとも、オスプレイとも、オートジャイロとも異なる発想である事に注目すべきである。
【0009】
図4は本発明発明航空機第1実施例の平面図である。図において、13は水平尾翼、14は垂直尾翼、10は前進用プロペラである。12は水平飛行用主翼で上昇用プロペラガード8と主翼桁15により支えられている。6は上昇・下降用ホバリング用プロペラである。
これら主翼12と主翼桁15は、プロペラガード8の左右に一対設けられている。
14はプロペラガード8の後部に設けられた水平尾翼、13はプロペラガード8に支えられた舵取り用垂直尾翼である。7はホバリング用プロペラ6を回転させるモータである。9は撮影用カメラと電子回路、電池等である。
本発明航空機は上昇プロペラを邪魔しないで、主翼12、尾翼13、前進プロペラ10を設け、水平飛行速度を高速化できることと、プロペラガード8を利用し、前進プロペラ10、回転モータ11、主翼12、尾翼13、14を構造的に支え共用する本発明第1実施例である。
【0010】
図5は本発明第2実施例で無尾翼ドローンの平面図である。翼桁15、主翼20、昇降舵16、翼端垂直方向腕17、後方にプッシュプロペラ18、駆動モータ19を設けた本発明第2実施例の平面図である。本発明の趣旨は、
図4で説明した通りである。
【0011】
図6は本発明先尾翼型実施例で、プロペラガード13で支えられた先尾翼桁22とプロペラガード8で支えられた先尾翼21とプロペラ用モータ11とプルプロペラ10、プロペラカード8で支えられた主翼桁35と主翼31とプロペラガード8で支えられたプッシュ式プロペラ18の駆動モータ19、主翼翼端の垂直尾翼30からなる。
【0012】
図7は本発明第4の実施例でプロペラガード13を設けないで、2つの主翼36、37をプロペラガードを兼用した発明で、前翼36と後翼37を同じ大きさの串型にした串型航空機である。即ち、両翼の間に上昇下降するプロペラ6とモータ7を設け、主翼36、37がプロペラ6の回転をガードする発明である。38は翼外に設けた上昇下降プロペラモータ7の支持桁である。勿論、プロペラの数は増減しても本発明に含まれるものである。
【0013】
図8は本発明第5の実施例で、上下用プロペラ4つの回転軌跡39を全部内接させ、プロペラガードを設けずに4枚の主翼24と先尾翼28と尾翼29をプロペラガードに兼用させたものである。40は4つのプロペラモータ7を結合する桁である。
【0014】
図9は本発明の第6の実施例であって、4角型フレーム41にプロペラモータ7、主翼42を取り付けたもので、
図8と同様であるが、主翼4枚をソーラーパネル42にした実施例であり、太陽エネルギで永久に飛ぶ事もでき、地上にマイクロ波でエネルギを送れる。
【0015】
図10は本発明第7の実施例で、主翼43、44の外側に上下用プロペラ6とモータ7を設け、主翼構造をシンプル化した実施例である。
図4、
図5、
図6、
図7、
図8、
図9、
図10に示すように構成された飛行機航空機の動作を説明すれば、以下の通りである。
この場合、先ず操縦者がリモコンでスイッチ1(図示せず)をオンにすると、無線によりドローンの上昇用モータ7、上昇用プロペラ6が回転を開始し、
機体は所定の高度まで上昇する。次に、操縦者がリモコンスイッチ2(図示せず)をオンにすると、モータ11、19の回転力により前進用プロペラ7とプッシュプロペラ18を回転させる。
機体は前進を開始し、浮力は
図4の主翼12と尾翼13で、
図5の20、
図6の21と31、
図7の36と37、
図8の24、28、
図9の42、
図10の43、44で分担しその間上昇用プロペラ6やモータ9は空転させる。そして、公知のドローンより高速で、目的地に到達するので物販や遠隔地の撮影に公知ドローンより優れている。
次に、着陸時の動作について説明する。着陸時には、操縦者が上下用プロペラ6全部の回転を上げ、前進用プロペラ10の回転を停止する。この状態で上下用プロペラ6の回転を制御しながら着地する。
本発明によれば、着地時にプロペラのティルト角制御(
図1の制御参照)やドローンの複数枚の水平プロペラの回転数の制御変更の回路や指令が不要となり、構造簡単となり、コストダウンと操作が簡単になり、着陸動作を安全確実に行うことができる。のみならず、水平用は固定翼を使用するので、高速飛行ができる。また翼をプロペラガードで兼用出来るので、構造簡単で軽量化出来る。
【0016】
図
12は双発の本願発明の実施例第9の平面図である。水平飛行は2発のプロペラ10を具備しており、高速走行が可能であり且つ長距離移動することができる。垂直上昇下降用には4個のプロペラ6が設けられている。21はエンジン11間に設けられた桁、53はエンジン11と機構部54間を接続する桁、55は機構部54間を接続する桁である。この発明も図
12に示すように、大勢の人を乗せる航空機として用いることができる
【0017】
以上はドローンであるが、図
11は本発明実施例の第8で人が乗る実機でその側面図を示し、前進エンジン46、同プロペラ47、重心位置の胴体1に上昇下降兼用エンジン25とロータ48を設ける。垂直尾翼の51、水平尾翼50、操縦席26である。前進用プロペラ47とエンジン46の代わりに後部にジェットエンジン又はロケットエンジン27を設けた場合も本発明に含まれる。また、上昇下降用ロータ48とそのエンジン
32を翼端8に設けた場合も勿論本発明に含まれる。念のため
に、オートジャイロというものがあるが、これは上昇下降エンジンが無く、本発明とは全く別物である。
【0018】
図13、14、15、16、17、18は本発明の実施例第10である。
この実施例は第9実施例までと根本的に異なるものである。
具体的には第9実施例までは翼を固定し、且つ前進用プロペラを別個に設けたものであるが、第10実施例は翼を回転し、前進用プロペラを設けないものである。
第9実施例迄は上昇下降用のプロペラの後流が乱れないようにプロペラ後流部分に翼を配置していない。そして翼を固定している。また、前進用プロペラと上昇下降用プロペラと別に設けている。本第10実施例は第9実施例までと全く異なったコンセプトの実施例で本発明を更に効率化した実施例である。
具体的には構造を合理化するため、上昇下降用プロペラを翼に設け、翼によりプロペラの後流を乱さずプロペラ効率を上げるため翼をプロペラと直角に配置し、プロペラの軸方向が変わればそれに従って翼方向も回転するようにする事によりプロペラ後流が翼の面方向と同一になり、翼によりプロペラ後流が常に乱されないようにする。
また前進用プロペラを設けず、上昇下降用プロペラと兼用させるため、前記の如く翼を約90度回転させ、プロペラの方向を約90度回転させ、前進用プロペラとする。
これはオスプレイと同じではないかと誤解されるが、オスプレイと根本的に異なる発明である。オスプレイは翼を固定し、翼の先端に方向を回転するエンジンとプロペラを設け、プロペラ方向が回転しても翼は回転しないものであるのに対し、本発明は、エンジン付プロペラは翼に固定してあり、且つ翼は固定せずプロペラ方向か回転する翼と共に回転するものである。
この様にオスプレイと異なる。その上オスプレイの場合、プロペラの後流が翼に当たりプロペラ効率が低下するのに対し、本発明はプロペラと翼は常に直角でプロペラが傾くと同じ角度で翼が傾くのでプロペラ後流が翼に当たらないのでプロペラ後流が格段に向上する発明である。
又、オスプレイはエンジンとプロペラが翼端で回転するので、振動や強度など構造的にトラブルが発生するが、本発明はエンジンとプロペラが翼にしっかり固定しているので構造的にトラブルが発生しない。また、オスプレイは翼の先端に回転するエンジンとプロペラを設けているので、翼桁を丈夫にする必要があるので重量が増加し、空力性能が低下する。
これに対し本発明は、オスプレイ方式よりも翼桁は軽くなるので空力性能が向上する。オスプレイは翼端にエンジンとプロペラがあるので長いスパンによる共振が発生し、振動が大きく垂心持が悪く、遂には振動による墜落事故が発生している。
これに対し本発明はエンジンプロペラが翼の先端に無く、構造が強い中央部にあるので共振も起こらず安全で垂心地もよい。
【0019】
これを
図13以下で説明する。
図13は第10実施例の一例の平面図である。胴体53に翼57を回転するモータ55、翼58を回転するモータ56、モータ55、56を駆動するバッテリ54、垂直尾翼14、前主翼57、後主翼58を設け、前主翼57にはプロペラ用モータ7、プロペラ6を搭載し、後主翼58にはプロペラ6’駆動用モータ7‘、プロペラ6’を搭載する。
図14はこれを正面から見た図である。
図15はこれを側面から見た図である。
59は降着装置兼荷物保持部であり、本航空機のCG 68にカメラや荷物60が載る様になっており、荷物の種々の重量に関係なく、常に水平に飛行出来る様に工夫されている。
ここで重要な事は、プロペラ6の推力線に対し翼57が迎え角α 62を持つ様にプロペラ6用モータ7が前翼57に取り付けられている事である。
同様に後翼58も迎え角βがある様にプロペラ6’用モータ7’が取付けられている。
αとβは当然異なる角度である。
【0020】
図16は前主翼57と後主翼58及びこれらに搭載されているプロペラ6、同用モータ7、プロペラ6’、同用モータ7’をモータ55の回転軸67とモータ56の回転軸70により90度回転した上面図である。
図17はこれを正面から見た図である。
図18は
図16を側面から見た図である。
【0021】
この状態で本発明航空機はモータ7によりプロペラ6を回し、モータ7’によりプロペラ6’を回し垂直離陸上昇する。
この際のプロペラ6、6’の後流を翼57、58が遮え切る事がない様工夫されている。
次にモータ55と56を徐々に回転し、回転軸69と70を中心にプロペラ6と6‘、翼57と58を回転し、図
18の位置にする。
これにより翼57と58により機体を浮遊させプロペラ6と6’の推力で高速に水平飛行する。必要あらばカメラ60で撮影する。
目的地に到着するとモータ55と56を上記と逆回転して回転軸60、76を中心に翼57、58、プロペラ6、6’を徐々に上向きにし、垂直降下する。この際もプロペラ後流に翼が邪魔をしないのでプロペラ効率が上がる。
図19は
図13から18の2つモータ55、56を使わずに一つのモータ55のみで翼57、58を回転する本発明実施例で、これにより航空機の軽量化が出来る。
モータはステッピングモータが望ましい。
モータ55の回転力66はレバー61、ピポット62、連結桁63によりピポット64、レバー65を経て回転力67となり、軸70を回転する。
【0022】
図20は
図19と異なる本発明実施例でベベルギア68の非逆転性を利用して翼57、58を回転するものである。
図21、
図22は本発明の他の実施例で
図16、17、18の実施例では前プロペラ6の後流で、後プロペラ6`の効率が悪くなる。そこでこれを改善したのが本発明の他の実施例
図21、
図22である。この実施例では前プロペラ6の後流が後プロペラ6`の回転範囲外にしてあるので後プロペラ6`の効率も下がらない。
図21は上昇又は下降時で、
図22は水平飛行時である。
図23、
図24も本発明の他の実施例でシングルテイルトメインロータ69、トルク是正テイルロータ70、固定主翼57、固定尾翼58からなる。
【0023】
本発明はドローンのみならず実機でも適用される。又、その場合、プロペラはエンジンで回転させる。又、プロペラでなく、ジェットエンジンやロケットを使用した場合でも本発明に含まれる。
【産業上の利用可能性】
【0024】
本発明は、公知のドローンや公知のオスプレイ等ティルトロータ方式やヘリコプタ等、他の垂直離着陸機に比べ安全かつ水平速度が速い新型飛行機であり、現在のドローンでは通販等の長距離物品輸送やロジスティクスには速度が遅く長距離飛べず、エネルギを多く消費するので高速輸送に適さないが、本発明をドローンに適用した場合、物品を高速に輸送でき、長距離撮影が可能となり、また、本発明を人を載せる機体に適用した場合は、遠くの場所で急速な山岳救助、海難救助等に活躍するので、産業上大きな利用可能性がある。
また本発明の飛行機はヘリコプタに比較してピッチコントロール不要なので舵を簡単ローコストである上、水平速度が速く航続距離も長くまたオスプレイのティルトによる事故も皆無となるので安全であり、使用範囲が拡がる。また、その機体の大きさを大きくすれば、大勢の人を乗せることができ、また飛行場のない島にも就航することができ、島民の交通の不便さを補うことができ、防衛上、産業上の利用可能性が極めて大きい。
また本発明を成層圏付近に飛ばし、翼で受けた太陽エネルギをマイクロ波にして地上に送り、地上で電気エネルギとして使用すれば、無資源の我が国に貴重なエネルギを供給でき、また偵察衛星の代わりになる。防衛上、産業上の利用可能性が極めて大きい。