特許第6731804号(P6731804)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6731804
(24)【登録日】2020年7月9日
(45)【発行日】2020年7月29日
(54)【発明の名称】平行軸歯車多段減速機
(51)【国際特許分類】
   F16H 1/22 20060101AFI20200716BHJP
【FI】
   F16H1/22
【請求項の数】4
【全頁数】12
(21)【出願番号】特願2016-137042(P2016-137042)
(22)【出願日】2016年7月11日
(65)【公開番号】特開2018-9598(P2018-9598A)
(43)【公開日】2018年1月18日
【審査請求日】2019年5月24日
(73)【特許権者】
【識別番号】000103792
【氏名又は名称】オリエンタルモーター株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100099623
【弁理士】
【氏名又は名称】奥山 尚一
(74)【代理人】
【識別番号】100096769
【弁理士】
【氏名又は名称】有原 幸一
(74)【代理人】
【識別番号】100107319
【弁理士】
【氏名又は名称】松島 鉄男
(74)【代理人】
【識別番号】100114591
【弁理士】
【氏名又は名称】河村 英文
(74)【代理人】
【識別番号】100125380
【弁理士】
【氏名又は名称】中村 綾子
(74)【代理人】
【識別番号】100142996
【弁理士】
【氏名又は名称】森本 聡二
(74)【代理人】
【識別番号】100166268
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 祐
(74)【代理人】
【識別番号】100170379
【弁理士】
【氏名又は名称】徳本 浩一
(72)【発明者】
【氏名】長谷川 洋史
【審査官】 川口 真一
(56)【参考文献】
【文献】 特開昭57−200747(JP,A)
【文献】 実開平01−180042(JP,U)
【文献】 特開平11−033970(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F16H 1/22
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数に分割されたケース部品を一体に組み合わせて構成され、前記各ケース部品には入力軸と出力軸の挿通孔が同軸線上に形成されている減速機ケースと、この減速機ケースに設けられた内部空間に内装され、外周面の少なくとも一部に突出部が形成されており、この突出部に1つ以上の挿通孔が形成されている中間フランジと、この中間フランジの前記挿通孔に軸部が挿通されて回転自在に支持された初段および最終段の出力段ピニオンギヤを含む出力段ピニオンギヤと、前記初段の出力段ピニオンギヤの軸部に支持されて前記入力軸に噛合されている初段ギヤと、前記出力軸に装着され、前記最終段の出力段ピニオンギヤに噛合されている出力段ギヤとを備えていることを特徴とする平行軸歯車多段減速機。
【請求項2】
前記減速機ケースの内部空間に前記中間フランジの外形に対応した形状の空間部が形成されており、前記中間フランジの外周にシール部材を介して前記空間部内に配置されていることを特徴とする請求項1に記載の平行軸歯車多段減速機。
【請求項3】
前記中間フランジの外周面に軸方向に向けて傾斜面が形成されており、この傾斜面と前記ケース部品の内部空間の合わせ面との間に前記シール部材が配置されていることを特徴とする請求項2に記載の平行軸歯車多段減速機。
【請求項4】
前記中間フランジの板面に、軸受を介して前記出力軸の一端を支持する凹部を形成し、かつ入力軸に噛合した出力段ピニオンギヤの軸部を挿通する挿通孔を形成したことを特徴とする請求項1ないし3のいずれか1項に記載の平行軸歯車多段減速機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、平行軸歯車多段減速機に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、平行軸減速機において、入力軸と出力軸を同心に配置している減速機が知られている。先行技術(特許文献1)は入力歯車と出力歯車との周囲にそれぞれ複数の中間歯車を噛合させ、その双方の中間歯車を互いに中間軸で連結させたものである。歯車の加工誤差があることを前提に、入力軸と複数の歯車が同時に噛み合うことを目的に発明されたものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平8−35542号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
入力軸と出力軸を同心に配置している平行軸減速機のシリーズにおいて、減速機の取付部寸法サイズを全ての減速比で同一にする必要があることに加え、コスト面の制約によりモーター入力軸の歯車仕様も同一にすることが求められる。
上記課題に対し、先行技術では中間フランジが円形になっていることで小型化ができない。また、減速機の防水性が必要であり、2つのギヤケースを連結するねじが中間フランジ内を貫通することにより、ねじ部のシールが必要になることも解決すべき課題となる。
【0005】
本発明は、低コストで、減速比のラインアップを容易に実現することができるとともに、小型化が図れ、かつ防水性能に優れた平行軸歯車多段減速機を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、上記課題を解決するため、複数に分割されたケース部品を一体に組み合わせて構成され、前記各ケース部品には入力軸と出力軸の挿通孔が同軸線上に形成されている減速機ケースと、この減速機ケースに設けられた内部空間に内装され、外周面の少なくとも一部に突出部が形成されており、この突出部に1つ以上の挿通孔が形成されている中間フランジと、この中間フランジの前記挿通孔に軸部が挿通されて回転自在に支持された初段および最終段の出力段ピニオンギヤを含む出力段ピニオンギヤと、前記初段の出力段ピニオンギヤの軸部に支持されて前記入力軸に噛合されている初段ギヤと、前記出力軸に装着され、前記最終段の出力段ピニオンギヤに噛合されている出力段ギヤとを備えていることにある。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、低コストで、減速比のシリーズ化のラインアップを容易に実現することができる入力軸と出力軸を同心に配置している平行軸歯車多段減速機を提供することができる。外周面の少なくとも一部に突出部が形成された中間フランジを用いることにより、ケース部品の大きさを変えずに減速ギヤを組み付けることができるので、コンパクトで、かつ、容易に組み付けることができる減速機を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】本発明の実施の形態による平行軸歯車多段減速機を示し、(a)は前方から見た斜視図、(b)は後方から見た斜視図である。
図2】(a)は図1(a)の正面図、(b)は図2(a)のA−A線断面図である。
図3図1(a)の分解斜視図である。
図4図3の中間フランジを示し、(a)は正面図、(b)は斜視図である。
図5】減速機ケースのケース部品の一方に形成される凹部形状を示す正面図である。
図6】減速機ケースのケース部品の他方に形成される凹部形状を示す正面図である。
図7】中間フランジを示す側面図である。
図8】中間フランジとシール部品を示す概念図である。
図9】本発明の第二の実施の形態による平行軸歯車多段減速機を示し、(a)は背面図、(b)は(a)のB−B線断面図である。
図10図9(a)の分解斜視図である。
図11】本発明の第三の実施の形態による平行軸歯車多段減速機を示し、(a)は正面図、(b)は(a)のC−C線断面図である。
図12】(a)は図11(b)の中間フランジを示す平面図、図12(b)は図12(a)の側面図である。
図13図11(b)の分解斜視図である。
図14】(a)は本発明の第四の実施の形態による平行軸歯車多段減速機の中間フランジを示す正面図、(b)は図14(a)の側面図である。
図15図14の平行軸歯車多段減速機の分解斜視図である。
図16】本発明の平行軸歯車多段減速機の変形例を示す斜視図である。
図17】本発明の平行軸歯車多段減速機の変形例を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
[第一の実施の形態]
以下、本発明の実施の形態を、図1から図8の図面を参照しながら詳細に説明する。
図1ないし図3は平行軸歯車多段減速機を示しており、1は減速機ケースで、円形のケース部品2とケース部品3で構成されている。ケース部品2とケース部品3は、互いに対向する合わせ面にそれぞれ軸方向の凹部2a,3aが形成されており、これら凹部2a,3aを合わせることで減速機ケース1の内部空間4が形成されている。
【0010】
前記ケース部品2とケース部品3の同一軸線上には、挿通孔2b、3bが形成されており、ケース部品2の挿通孔2bから出力軸5が出ており、ケース部品3の挿通孔3bにはモータからの入力軸6が挿入されている。ケース部品2とケース部品3は、それぞれ周縁に沿って一定間隔で複数(図示例では3か所)のねじ孔2c,3cが形成されており、これらねじ孔2c,3cに挿通されたねじ7によって一体に組み付けられている。
【0011】
前記減速機ケース1の内部空間4は、円形の周面の一部が径方向に突出した歪形状、いわゆる洋ナシ形状をしたものである。前記減速機ケース1の内部空間4は、凹部2a,3aを合わせることで形成されており、凹部2aに対して、凹部3aの方が若干径が大きく形成されている。前記減速機ケース1の内部空間4には、凹部2aと凹部3aに跨るように中間フランジ8が内装されている。
【0012】
前記中間フランジ8は、凹部2aと凹部3aによって形成される減速機ケース1の内部空間4に配置されている。この中間フランジ8は、図4ないし図8に示すように、薄い平板の外形が前記減速機ケース1の内部空間4に合致する円形の周面の一部が径方向に突出した歪形状、いわゆる洋ナシ形状をしたものである。前記中間フランジ8は、中心に円形の凹部8aが形成されており、この凹部8aに軸受9Bを介して前記出力軸5の後端が回転自在に支持されている。前記出力軸5はケース部品2の挿通孔2bに形成された2段の凹部2bに嵌入された軸受9Aを介して中間位置を回転自在に支持されている。ケース部品2の挿通孔2bのもう一つの凹部2bにはシール部材10が配置されて前記出力軸5がシールされている。前記中間フランジ8は、ケース部品2の凹部2aに配置されている軸方向の一端部が外径を若干小さく形成されており、この小径部8Aに対して凹部3aに配置された大径部8B側は、径が徐々に大きくなるように形成されて、小径部8Aと大径部8Bとの間にテーパ部(斜面部)8Cが設けられている。このテーパ部8Cと、前記ケース部品3の凹部3aの内周面3dと、前記ケース部品2の凹部2aの軸方向端面2dとの間には、Oリング11が中間フランジ8の周囲に内装されている(図8参照)。
【0013】
前記中間フランジ8の周面の一部が径方向に突出した突出部8Dには、所定径の孔8bが軸方向に形成されている。この孔8bは前記中間フランジ8の中心に形成された、前記凹部8aから一定距離、偏移した位置に形成されている。この中間フランジ8の孔8bの軸線上には中間軸12が挿通支持されており、この中間軸12には初段ギヤとなるモータ入力軸6のピニオンギヤ6aに噛合した初段ギヤ13が装着されている。この中間軸12は両端部を軸受14A,14Bを介して前記ケース部品2とケース部品3に支持されている。前記ケース部品3の凹部3aの突出部3dには、前記初段ギヤ13が配置される凹部3eが形成されており、この凹部3e内に配置された前記初段ギヤ13がモータ入力軸6のピニオンギヤ6aに噛合して組み付けられている(図2(b)参照)。前記軸受14Bは、前記ケース部品3の凹部3eの軸線上に形成された凹部3f内に組み付けられている(図3参照)。同様に前記軸受14Aは前記中間軸12の軸線上のケース部品2に形成された凹部2f内に配置されている(図2(b)参照)。
【0014】
前記中間軸12に設けられた出力段ピニオンギヤ15は前記出力軸5に支持された出力段ギヤ16に噛合して組み付けられており、出力段ギヤ16の回転によって前記出力軸5から回転動力を出力するものである(図2(b)参照)。
【0015】
前記中間フランジ8は、中間フランジ8の中心に形成された前記凹部8aの周囲に一定間隔で形成された軸方向の孔8cに、ねじ17を挿通して前記ケース部品3の凹部3a内に螺着して組み付けられている(図2(b)参照)。また、前記ケース部品2とケース部品3には周縁に沿って取付孔2g、3gが形成されており、他の取付け箇所に図示しないネジを介して取り付けることができる。
【0016】
次に上記平行軸歯車多段減速機の作用を説明する。
モータの始動によってモータ入力軸6が回転すると、モータ入力軸6のピニオンギヤ6aに噛合した初段ギヤ13が回転する。初段ギヤ13の回転と同時に中間軸12が回転し、出力段ピニオンギヤ15が回転する。出力段ピニオンギヤ15の回転は、出力段ピニオンギヤ15と噛合した出力段ギヤ16に伝わり、出力軸5を回転させる。こうして、出力軸5から減速された回転動力が出力される。
【0017】
前記中間フランジ8は、中間フランジ8の周面の一部が径方向に突出した突出部8Dを形成しており、この突出部8Dに所定径の孔8bが軸方向に形成されているので、円形の周面の一部が径方向に突出した歪形状をした減速機ケース1の内部空間4に、中間フランジ8を配置することにより、中間フランジ8の回り止めを図ることができる。また、中間フランジ8は、軸方向に小径部8Aと大径部8Bを有しており、小径部8Aがケース部品2の凹部2aに配置されており、大径部8Bがケース部品3の凹部3aに配置されているので、ケース部品2とケース部品3を確実に接続することができる。さらに、小径部8Aと大径部8Bとの間にテーパ部(斜面部)8Cが設けられており、このテーパ部8Cと、前記ケース部品3の凹部3aの内周面3dと、前記ケース部品2の凹部2aの軸方向端面2dとの間には、Oリング11が中間フランジ8の周囲に内装されているので、ケース部品2とケース部品3の継ぎ目からオイル等が漏れたり、外部から水等が浸入する恐れがない。
【0018】
[第二の実施の形態]
図9および図10は本発明の他の実施の形態であり、高減速比タイプの平行軸歯車多段減速機である。図9および図10において、図1ないし図8と同一部分は同符号を付して同一部分の説明は省略して説明する。
この実施の形態では、中間軸12に第1の中間軸12Aと、第2の中間軸12Bを用いたものである。
【0019】
前記第1の中間軸12Aには、モータ入力軸6のピニオンギヤ6aに噛合した初段ギヤ13が設けられている。前記第1の中間軸12Aは、軸受20A,20Bを介して中間フランジ8とケース部品3に支持されており、この第1の中間軸12Aには、2段ピニオンギヤ21が設けられている。前記第2の中間軸12Bには、2段ピニオンギヤ21に噛合する2段ギヤ22が設けられており、この第2の中間軸12Bは、軸受23A,23Bを介してケース部品2とケース部品3に支持されている。この第2の中間軸12Bには、3段ピニオンギヤ24が設けられており、この3段ピニオンギヤ24が出力段ギヤ16に噛合して出力軸5に減速した回転を伝達するものである。
【0020】
上記第二の実施の形態によると、モータ入力軸6が回転すると、モータ入力軸6のピニオンギヤ6aに噛合した初段ギヤ13が回転する。初段ギヤ13の回転と同時に第1の中間軸12Aが回転し、2段ピニオンギヤ21が回転する。2段ピニオンギヤ21の回転は、2段ピニオンギヤ21に噛合する2段ギヤ22が回転する。2段ギヤ22の回転と同時に第2の中間軸12Bが回転する。第2の中間軸12Bの回転によって3段ピニオンギヤ24から出力段ギヤ16に回転が伝達され、出力段ギヤ16を設けた出力軸5から減速された回転動力が出力される。
【0021】
こうして、上記第二の実施の形態によれば、凹部2aと凹部3aによって形成される減速機ケース1の内部空間4に中間フランジ8が配置されている。そして、減速機ケース1の内部空間4に、中間フランジ8とともに、初段ギヤ13および2段ピニオンギヤ21を設けた第1の中間軸12Aと、2段ギヤ22および3段ピニオンギヤ24を設けた第2の中間軸12Bが設けられているので、減速機ケース1を拡大することなく、高減速比の減速機を提供することができる。
【0022】
[第三の実施の形態]
図11ないし図13は本発明の第三の実施の形態であり、伝達トルクを向上させた平行軸歯車多段減速機である。図11ないし図13において、図1ないし図8と同一部分は同符号を付して同一部分の説明は省略して説明する。同一部分であるが若干の形状が変更になっている部品は30台の符号を付して説明する。
【0023】
この場合、中間フランジ38の形状を略ひし形に形成し、同一の中間軸12,12を二本にしたものである。中間フランジ38の形状を略ひし形に形成したことで、減速機ケース1の内部空間4を形成するケース部品2の凹部32aとケース部品3の凹部33aも中間フランジ38を配置する形状に形成されている。
【0024】
前記中間フランジ38は、中間フランジ38の周面の一部が径方向に突出した突出部38Dを左右の両側に対称に形成しており、この突出部38Dにそれぞれ所定径の孔38bが軸方向に形成されている。
円形の周面の左右の一部が径方向に突出した歪形状をした減速機ケース1の内部空間4に、中間フランジ38を配置することにより、中間フランジ38の回り止めを図ることができる。
また、中間フランジ38は、図12(a)(b)に示すように、軸方向に小径部38Aと大径部38Bを有しており、小径部38Aがケース部品2の凹部32aに配置されている。大径部38Bがケース部品3の凹部33aに配置されているので、ケース部品2とケース部品3を確実に接続することができる。さらに、小径部38Aと大径部38Bとの間にテーパ部(斜面部)38Cが設けられており、このテーパ部38Cと、前記ケース部品3の凹部33aの内周面33dと、前記ケース部品2の凹部32aの軸方向端面32dとの間には、Oリング11が中間フランジ38の周囲に内装されているので、ケース部品2とケース部品3の継ぎ目からオイル等が漏れたり、外部から水等が浸入する恐れがない(図11(b)参照)。
【0025】
前記中間軸12,12には、それぞれモータ入力軸6のピニオンギヤ6aに噛合した初段ギヤ13,13が装着されており、前記中間軸12,12は、中間フランジ38に設けられた突出部38Dに形成された孔38bを通してケース部品2の凹部32aとケース部品3の凹部33aにそれぞれ軸受14A,14Bを介して支持されている。前記中間軸12,12には、出力段ピニオンギヤ15,15が設けられており、この出力段ピニオンギヤ15,15が出力段ギヤ16に同時に噛合して出力軸5から回転動力が出力されるものである。この実施形態によれば、モータ入力軸6のピニオンギヤ6aが二つの初段ギヤ13,13に同時に噛合して中間軸12,12に回転動力を伝え、二つの中間軸12,12に設けられた出力段ピニオンギヤ15,15が出力段ギヤ16に同時に噛合して出力軸5に回転動力を伝えることにより、二つのギヤで荷重を分配できるため平行軸歯車多段減速機の許容トルクを向上させることができる。
【0026】
[第四の実施の形態]
図14(a)(b)および図15は本発明の第四の実施の形態であり、伝達トルクをさらに向上させた平行軸歯車多段減速機である。図14(a)(b)おおよび図15において、図1ないし図8と、あるいは図11ないし図13と同一部分は同符号を付して同一部分の説明は省略して説明する。同一部分であるが若干の形状が変更になっている部品は40台の符号を付して説明する。
【0027】
この場合、中間フランジ48の形状を略三角形に形成し、同一の中間軸12,12,12を三本にしたものである。中間フランジ48の形状を略三角形に形成したことで、減速機ケース1の内部空間4を形成するケース部品2の凹部(図示せず)とケース部品3の凹部43aも略三角形の中間フランジ48を配置する略三角形の凹部形状に形成されている。
前記中間軸12,12,12には、それぞれモータ入力軸6のピニオンギヤ6aに噛合した初段ギヤ13,13,13が装着されており、かつ前記中間軸12,12,12の軸部には、それぞれ出力段ピニオンギヤ15,15,15が設けられている。前記中間軸12,12,12は、中間フランジ48に設けられた3か所の突出部48Dに形成された3か所の孔48bをそれぞれ通してケース部品2の凹部(図示せず)とケース部品3の凹部43aにそれぞれ軸受14A,14Bを介して支持されている(図15参照)。
【0028】
また、中間フランジ48は、軸方向に小径部48Aと大径部48Bを有しており、小径部48Aがケース部品2の凹部に配置されている。大径部48Bがケース部品3の凹部43aに配置されているので、ケース部品2とケース部品3を確実に接続することができる。さらに、小径部48Aと大径部48Bとの間にテーパ部(斜面部)48Cが設けられている。このテーパ部48Cが設けられた中間フランジ48の周囲には図11(b)で説明したようにOリング11が内装されているので、ケース部品2とケース部品3の継ぎ目からオイル等が漏れたり、外部から水等が浸入する恐れがない。
【0029】
この実施の形態によれば、モータ入力軸6のピニオンギヤ6aが三つの初段ギヤ13,13,13に同時に噛合して中間軸12,12,12に回転動力を伝え、三つの中間軸12,12,12に設けられた出力段ピニオンギヤ15,15,15が出力段ギヤ16に同時に噛合して出力軸5に回転動力を伝えることにより、三つのギヤで荷重を分配できるため平行軸歯車多段減速機の許容トルクをさらに向上させることができる。
【0030】
上記のように、本発明の平行軸歯車多段減速機によれば、ケース部品2とケース部品3の大きさを変えずに中間フランジ8,38,48等を変更することで、減速比の異なる出力、あるいは異なるトルクの減速機を得ることができることから、経済的で、かつ広い範囲に適用することができる減速機を提供することができる。本発明によれば、減速機ケースを分割し、モーターと接続する側の減速機ケースを共通化させ、分割した側の減速機ケース形状はバリエーションを持たせることができるので、幅広い減速比を低コストで実現することができる。
さらに、入力軸と出力軸を同心に配置することができるため、減速機の出力軸を減速機ケースの中心にすることができるので、機器へ取り付けやすい減速機を提供することができる。
【0031】
以上のように、本発明によれば、複数に分割されたケース部品2,3を一体に組み合わせて構成され、前記各ケース部品2,3には入力軸6と出力軸5の挿通孔2b,3bが同軸線上に形成されている減速機ケース1と、この減速機ケース1に設けられた内部空間4に内装され、外周面の少なくとも一部に突出部8Dが形成されており、この突出部8Dに1つ以上の挿通孔8bが形成されている中間フランジ8と、この中間フランジ8の前記挿通孔8bに軸部が挿通されて回転自在に支持された1つ以上の出力段ピニオンギヤ15と、前記初段の出力段ピニオンギヤ15の軸部に支持されて前記入力軸6に噛合されている初段ギヤ13と、前記出力軸5に装着され、前記最終段の出力段ピニオンギヤ15に噛合されている出力段ギヤ16とを備えているので、低コストで、減速比のラインナップを容易に実現することができる入力軸と出力軸を同心に配置している平行軸歯車多段減速機を提供することができる。外周面の少なくとも一部に突出部8Dが形成された中間フランジ8を用いることにより、ケース部品2,3の大きさを変えずに減速ギヤを組み付けることができるので、コンパクトで、かつ、容易に組み付けることができる減速機を得ることができる。出力段ピニオンギヤ15の数、および歯数を変更することで、減速比の異なる出力、あるいは異なるトルクの減速機を得ることができる。
前記減速機ケース1の内部空間4に前記中間フランジ8の外形に対応した形状の空間部が形成されており、前記中間フランジ8の外周にOリング等のシール部材11を介して前記空間部内に配置されているので、ケース部品2とケース部品3の継ぎ目からオイル等が漏れたり、外部から水等が浸入する恐れがない。
前記中間フランジ8の外周面に軸方向に向けてテーパ部8C等の傾斜面が形成されており、この傾斜面と前記ケース部品2,3の内部空間の合わせ面との間に前記シール部材11が配置されているので、ケース部品2とケース部品3の継ぎ目からオイル等が漏れたり、外部から水等が浸入する恐れがない。
前記中間フランジ8の板面に、軸受を介して前記出力軸5の一端を支持する支持孔を形成し、かつ出力段ピニオンギヤ15の軸部を挿通する挿通孔8bを形成したので、出力段ピニオンギヤ15の軸部を挿通する孔を別に設ける必要がないので、小型化を図ることができる。
【産業上の利用可能性】
【0032】
なお、本発明は、上記実施の形態のみに限定されるものではなく、例えば、図16および図17に示すように、ケース部品2とケース部品3を分割することにより、減速比共通部(ケース部品2)はそのままで、ケース部品3を減速比の異なるケース部品3に変更することにより、より減速比の異なる減速機を得ることができる。よって、低コストで種類の異なる減速機を得ることができる。など、本発明の技術的範囲を変更することなく、適宜変更して実施しうることは言うまでもない。
【符号の説明】
【0033】
1 減速機ケース
2 ケース部品
3 ケース部品
2a,3a 凹部
4 内部空間
5 出力軸
6 入力軸
8 中間フランジ
8b 挿通孔
8A 小径部
8B 大径部
8C テーパ部
11 Oリング(シール部材)
12 中間軸
13 初段ギヤ
14A,14B 軸受
15 出力段ピニオンギヤ
16 出力段ギヤ
図1
図2
図3
図4
図5
図6
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図16
図17