特許第6731906号(P6731906)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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  • 特許6731906-半導体装置及び半導体素子保護用材料 図000006
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6731906
(24)【登録日】2020年7月9日
(45)【発行日】2020年7月29日
(54)【発明の名称】半導体装置及び半導体素子保護用材料
(51)【国際特許分類】
   H01L 23/00 20060101AFI20200716BHJP
   C08G 59/18 20060101ALI20200716BHJP
   C08L 83/04 20060101ALI20200716BHJP
   C08L 63/00 20060101ALI20200716BHJP
   C08K 3/00 20180101ALI20200716BHJP
   H01L 23/373 20060101ALI20200716BHJP
【FI】
   H01L23/00 C
   C08G59/18
   C08L83/04
   C08L63/00 Z
   C08K3/00
   H01L23/36 M
【請求項の数】18
【全頁数】35
(21)【出願番号】特願2017-249182(P2017-249182)
(22)【出願日】2017年12月26日
(62)【分割の表示】特願2016-553906(P2016-553906)の分割
【原出願日】2016年8月16日
(65)【公開番号】特開2018-56595(P2018-56595A)
(43)【公開日】2018年4月5日
【審査請求日】2019年5月14日
(31)【優先権主張番号】特願2015-160674(P2015-160674)
(32)【優先日】2015年8月17日
(33)【優先権主張国】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000002174
【氏名又は名称】積水化学工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001232
【氏名又は名称】特許業務法人 宮▲崎▼・目次特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】西村 貴史
(72)【発明者】
【氏名】前中 寛
(72)【発明者】
【氏名】中村 秀
(72)【発明者】
【氏名】青山 卓司
(72)【発明者】
【氏名】小林 祐輔
【審査官】 平野 崇
(56)【参考文献】
【文献】 特開2015−074712(JP,A)
【文献】 特開2006−210612(JP,A)
【文献】 特開2013−030637(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 23/00
C08G 59/18
C08K 3/00
C08L 63/00
C08L 83/04
H01L 23/373
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
半導体素子と、
前記半導体素子の第1の表面上に配置された硬化物とを備え、
前記硬化物が、半導体素子保護用材料の硬化物であり、
前記半導体素子保護用材料が、熱硬化性化合物と、硬化剤又は硬化触媒と、熱伝導率が10W/m・K以上である無機フィラーとを含み、
前記半導体素子保護用材料が、三量体から十量体までの環状シロキサン化合物を含まないか、又は三量体から十量体までの環状シロキサン化合物を500ppm以下で含み、
前記熱硬化性化合物が、可撓性エポキシ化合物又はシリコーン化合物を含み、
前記硬化物における前記無機フィラーの含有量が60重量%以上、92重量%以下であり、
前記硬化物の電気伝導度が50μS/cm以下である、半導体装置。
【請求項2】
前記熱硬化性化合物がシリコーン化合物を含む、請求項に記載の半導体装置。
【請求項3】
前記硬化剤がアリルフェノールノボラック化合物である、請求項1又は2に記載の半導体装置。
【請求項4】
前記熱硬化性化合物が、可撓性エポキシ化合物を含む、請求項1〜のいずれか1項に記載の半導体装置。
【請求項5】
前記熱硬化性化合物が、前記可撓性エポキシ化合物と、可撓性エポキシ化合物とは異なるエポキシ化合物とを含む、請求項に記載の半導体装置。
【請求項6】
前記半導体素子保護用材料に含まれる前記可撓性エポキシ化合物が、アルキレングリコール基が9以上繰り返された構造単位を有するポリアルキレングリコールジグリシジルエーテルである、請求項又はに記載の半導体装置。
【請求項7】
接続対象部材を備え、
前記接続対象部材上に、前記半導体素子が前記第1の表面とは反対の第2の表面側から実装されている、請求項1〜のいずれか1項に記載の半導体装置。
【請求項8】
第2の電極を表面に有する接続対象部材を備え、
前記半導体素子が、前記第1の表面側とは反対の第2の表面側に第1の電極を有し、前記半導体素子の第1の電極が、前記第2の電極を表面に有する前記接続対象部材における前記第2の電極と電気的に接続されている、請求項1〜のいずれか1項に記載の半導体装置。
【請求項9】
前記硬化物の前記半導体素子側とは反対の表面上に、保護フィルムが配置されているか、又は、前記硬化物の前記半導体素子側とは反対の表面が露出している、請求項1〜のいずれか1項に記載の半導体装置。
【請求項10】
半導体素子を保護するために、前記半導体素子の表面上に塗布して、前記半導体素子の表面上に硬化物を形成するために用いられる半導体素子保護用材料であり、
半導体素子と他の接続対象部材との間に配置されて、前記半導体素子と前記他の接続対象部材とを剥離しないように接着及び固定する硬化物を形成するものとは異なり、
熱硬化性化合物と、硬化剤又は硬化触媒と、熱伝導率が10W/m・K以上である無機フィラーとを含み、
三量体から十量体までの環状シロキサン化合物を含まないか、又は三量体から十量体までの環状シロキサン化合物を500ppm以下で含み、
前記熱硬化性化合物が、可撓性エポキシ化合物又はシリコーン化合物を含み、
前記無機フィラーの含有量が60重量%以上、92重量%以下であり、
150℃で2時間加熱して硬化物を得たときに、前記硬化物の電気伝導度が50μS/cm以下である、半導体素子保護用材料。
【請求項11】
接続対象部材上に実装された半導体素子を保護するために、前記半導体素子の前記接続対象部材側とは反対の表面上に塗布して、前記半導体素子の前記接続対象部材側とは反対の表面上に硬化物を形成するために用いられる半導体素子保護用材料であり、
熱硬化性化合物と、硬化剤又は硬化触媒と、熱伝導率が10W/m・K以上である無機フィラーとを含み、
三量体から十量体までの環状シロキサン化合物を含まないか、又は三量体から十量体までの環状シロキサン化合物を500ppm以下で含み、
前記熱硬化性化合物が、可撓性エポキシ化合物又はシリコーン化合物を含み、
前記無機フィラーの含有量が60重量%以上、92重量%以下であり、
150℃で2時間加熱して硬化物を得たときに、前記硬化物の電気伝導度が50μS/cm以下である、半導体素子保護用材料。
【請求項12】
前記熱硬化性化合物がシリコーン化合物を含む、請求項10又は11に記載の半導体素子保護用材料。
【請求項13】
前記硬化剤がアリルフェノールノボラック化合物である、請求項1012のいずれか1項に記載の半導体素子保護用材料。
【請求項14】
前記熱硬化性化合物が、可撓性エポキシ化合物を含む、請求項1013のいずれか1項に記載の半導体素子保護用材料。
【請求項15】
前記熱硬化性化合物が、前記可撓性エポキシ化合物と、可撓性エポキシ化合物とは異なるエポキシ化合物とを含む、請求項14に記載の半導体素子保護用材料。
【請求項16】
半導体素子保護用材料に含まれる前記可撓性エポキシ化合物が、アルキレングリコール基が9以上繰り返された構造単位を有するポリアルキレングリコールジグリシジルエーテルである、請求項14又は15に記載の半導体素子保護用材料。
【請求項17】
水を含まないか、又は水を1000ppm以下で含む、請求項1016のいずれか1項に記載の半導体素子保護用材料。
【請求項18】
半導体素子を保護するために、前記半導体素子の表面上に硬化物を形成し、かつ前記硬化物の前記半導体素子側とは反対の表面上に保護フィルムを配置して、半導体装置を得るために用いられるか、又は、半導体素子を保護するために、前記半導体素子の表面上に硬化物を形成し、かつ前記硬化物の前記半導体素子側とは反対の表面が露出している半導体装置を得るために用いられる、請求項1017のいずれか1項に記載の半導体素子保護用材料。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、半導体素子保護用材料を用いた半導体装置に関する。また、本発明は、半導体素子を保護するために、上記半導体素子の表面上に塗布して用いられる半導体素子保護用材料に関する。
【背景技術】
【0002】
半導体装置の高性能化が進行している。これに伴って、半導体装置から発せられる熱を放散させる必要が高まっている。また、半導体装置では、半導体素子の電極は、例えば、電極を表面に有する他の接続対象部材における電極と電気的に接続されている。
【0003】
半導体装置では、例えば、半導体素子と他の接続対象部材との間にエポキシ樹脂組成物を配置した後、該エポキシ樹脂組成物を硬化させることにより、半導体素子と他の接続対象部材とが接着及び固定されている。なお、半導体素子と他の接続対象部材との間に配置される上記エポキシ樹脂組成物の硬化物は、半導体素子の表面を保護するための材料とは異なる。
【0004】
また、半導体装置では、半導体素子を封止するために、エポキシ樹脂組成物が用いられることがある。
【0005】
上記のようなエポキシ樹脂組成物が、例えば、下記の特許文献1〜5に開示されている。
【0006】
下記の特許文献1には、エポキシ樹脂と、フェノール系硬化剤と、トリス(2,6−ジメトキシフェニル)ホスフィン又はトリス(2,4,6−トリメトキシフェニル)ホスフィンである硬化促進剤と、アルミナとを含むエポキシ樹脂組成物が開示されている。特許文献1の実施例では、粉体であるエポキシ樹脂組成物が記載されている。上記エポキシ樹脂組成物の用途に関して、特許文献1では、IC、LSI、トランジスタ、サイリスタ、ダイオード等の半導体装置の封止用、プリント回路板の製造などに好適に使用されることが記載されている。
【0007】
下記の特許文献2には、エポキシ樹脂と、フェノール樹脂硬化剤と、硬化促進剤と、無機充填剤とを含む封止用エポキシ樹脂組成物が開示されている。特許文献2の実施例では、粉体である封止用エポキシ樹脂組成物が記載されている。上記エポキシ樹脂組成物の用途に関して、特許文献2では、一般成形材料として使用することができることが記載され、更に半導体装置の封止材に用いられ、特に、薄型、多ピン、ロングワイヤ、狭パッドピッチ、または、有機基板もしくは有機フィルム等の実装基板上に半導体チップが配置された、半導体装置の封止材に好適に用いられることが記載されている。
【0008】
下記の特許文献3には、ビスフェノールF型液状エポキシ樹脂と、硬化剤と、無機質充填剤とを含むエポキシ樹脂組成物が開示されている。特許文献3の実施例では、固体であるエポキシ樹脂組成物(溶融粘度が75℃以上)が記載されている。上記エポキシ樹脂組成物の用途に関して、特許文献3には、一般成形材料として使用することもできるが、半導体装置、例えばTQFP、TSOP、QFPなどの多ピン薄型パッケージ、特にマトリックスフレームを使用した半導体装置の封止材として好適に用いられることが記載されている。
【0009】
下記の特許文献4には、エポキシ樹脂と、フェノール樹脂硬化剤と、高熱伝導性充填剤と、無機質充填剤とを含む半導体封止用エポキシ樹脂組成物が開示されている。特許文献4の実施例では、粉体である半導体封止用エポキシ樹脂組成物が記載されている。上記半導体封止用エポキシ樹脂組成物の用途に関して、特許文献4では、半導体素子等の電子部品の封止材料として使用されることが記載されている。
【0010】
また、下記の特許文献5には、ビスフェノールA型エポキシ樹脂と、骨格内に可撓性を有するエポキシ樹脂とを含む第1剤と、酸無水物化合物と硬化促進剤とを含む第2剤とを有する2液タイプのエポキシ樹脂組成物が開示されている。特許文献5では、2液タイプのエポキシ樹脂組成物の用途に関しては、ケース内充填材として有用であることが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0011】
【特許文献1】特開平5−86169号公報
【特許文献2】特開2007−217469号公報
【特許文献3】特開平10−176100号公報
【特許文献4】特開2005−200533号公報
【特許文献5】特開2014−40538号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
特許文献1〜4では、具体的には、粉体又は固体であるエポキシ樹脂組成物が開示されている。このような粉体又は固体であるエポキシ樹脂組成物は、塗布性が低く、所定の領域に精度よく配置することが困難である。
【0013】
また、従来のエポキシ樹脂組成物の硬化物では、放熱性が低いことがある。さらに、従来のエポキシ樹脂組成物の硬化物では、ボイドが生じることがある。ボイドが生じると、硬化物の剥離が生じることがある。
【0014】
また、特許文献1〜4では、エポキシ樹脂組成物の具体的な用途として、主に、封止用途が記載されている。特許文献5では、エポキシ樹脂組成物の具体的な用途として、主に、ケース内充填材用途が記載されている。一方で、半導体装置においては、半導体素子を封止しなくても、半導体素子を充分に保護することが望ましい。また、特許文献1〜5に記載のエポキシ樹脂組成物は、一般に、半導体素子を保護するために、該半導体素子の表面上に塗布して用いられていない。
【0015】
また、近年、装置の薄さや意匠性の観点からICドライバを減少させることが求められている。ICドライバを少なくすると、半導体素子にかかる負担が増大し、更にかなりの熱を帯びやすくなる。従来の硬化物では、放熱性が低いため、放熱性の高い硬化物が求められている。
【0016】
本発明の目的は、硬化物の放熱性に優れ、硬化物のボイドが少なく、硬化物の絶縁信頼性に優れており、半導体素子を良好に保護することができる半導体装置を提供することである。
【0017】
また、本発明は、半導体装置において、半導体素子を保護するために、該半導体素子の表面上に塗布して、上記半導体素子の表面上に硬化物を形成するために用いられる半導体素子保護用材料を提供することを目的とする。
【0018】
さらに、本発明の目的は、上記の用途において、放熱性に優れ、ボイドが少なく、絶縁信頼性に優れている硬化物を得ることができ、半導体素子を良好に保護することができる半導体素子保護用材料を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0019】
本発明の広い局面では、半導体素子と、前記半導体素子の第1の表面上に配置された硬化物とを備え、前記硬化物が、半導体素子保護用材料の硬化物であり、前記半導体素子保護用材料が、熱硬化性化合物と、硬化剤又は硬化触媒と、熱伝導率が10W/m・K以上である無機フィラーとを含み、前記半導体素子保護用材料が、三量体から十量体までの環状シロキサン化合物を含まないか、又は三量体から十量体までの環状シロキサン化合物を500ppm以下で含み、前記硬化物における前記無機フィラーの含有量が60重量%以上、92重量%以下であり、前記硬化物の電気伝導度が50μS/cm以下である、半導体装置が提供される。
【0020】
本発明の広い局面では、半導体素子を保護するために、前記半導体素子の表面上に塗布して、前記半導体素子の表面上に硬化物を形成するために用いられる半導体素子保護用材料であり、半導体素子と他の接続対象部材との間に配置されて、前記半導体素子と前記他の接続対象部材とを剥離しないように接着及び固定する硬化物を形成するものとは異なり、熱硬化性化合物と、硬化剤又は硬化触媒と、熱伝導率が10W/m・K以上である無機フィラーとを含み、三量体から十量体までの環状シロキサン化合物を含まないか、又は三量体から十量体までの環状シロキサン化合物を500ppm以下で含み、前記無機フィラーの含有量が60重量%以上、92重量%以下であり、150℃で2時間加熱して硬化物を得たときに、前記硬化物の電気伝導度が50μS/cm以下である、半導体素子保護用材料が提供される。
【0021】
本発明の広い局面では、接続対象部材上に実装された半導体素子を保護するために、前記半導体素子の前記接続対象部材側とは反対の表面上に塗布して、前記半導体素子の前記接続対象部材側とは反対の表面上に硬化物を形成するために用いられる半導体素子保護用材料であり、熱硬化性化合物と、硬化剤又は硬化触媒と、熱伝導率が10W/m・K以上である無機フィラーとを含み、三量体から十量体までの環状シロキサン化合物を含まないか、又は三量体から十量体までの環状シロキサン化合物を500ppm以下で含み、前記無機フィラーの含有量が60重量%以上、92重量%以下であり、150℃で2時間加熱して硬化物を得たときに、前記硬化物の電気伝導度が50μS/cm以下である、半導体素子保護用材料が提供される。
【0022】
本発明に係る半導体装置及び半導体素子保護用材料のある特定の局面では、前記熱硬化性化合物が、エポキシ化合物又はシリコーン化合物を含む。
【0023】
本発明に係る半導体装置及び半導体素子保護用材料のある特定の局面では、前記熱硬化性化合物がシリコーン化合物を含む。
【0024】
本発明に係る半導体装置及び半導体素子保護用材料のある特定の局面では、前記硬化剤がアリルフェノールノボラック化合物である。
【0025】
本発明に係る半導体装置及び半導体素子保護用材料のある特定の局面では、前記熱硬化性化合物が、可撓性エポキシ化合物を含む。
【0026】
本発明に係る半導体装置及び半導体素子保護用材料のある特定の局面では、前記熱硬化性化合物が、前記可撓性エポキシ化合物と、可撓性エポキシ化合物とは異なるエポキシ化合物とを含む。
【0027】
本発明に係る半導体装置及び半導体素子保護用材料のある特定の局面では、前記半導体素子保護用材料に含まれる前記可撓性エポキシ化合物が、アルキレングリコール基が9以上繰り返された構造単位を有するポリアルキレングリコールジグリシジルエーテルである。
【0028】
本発明に係る半導体素子保護用材料のある特定の局面では、前記半導体素子保護用材料は、水を含まないか、又は水を1000ppm以下で含む。
【0029】
本発明に係る半導体装置のある特定の局面では、前記半導体装置は、接続対象部材を備え、前記接続対象部材上に、前記半導体素子が前記第1の表面とは反対の第2の表面側から実装されている。
【0030】
本発明に係る半導体装置のある特定の局面では、前記半導体装置は、第2の電極を表面に有する接続対象部材を備え、前記半導体素子が、前記第1の表面側とは反対の第2の表面側に第1の電極を有し、前記半導体素子の第1の電極が、第2の電極を表面に有する接続対象部材における前記第2の電極と電気的に接続されている。
【0031】
本発明に係る半導体装置のある特定の局面では、前記硬化物の前記半導体素子側とは反対の表面上に、保護フィルムが配置されているか、又は、前記硬化物の前記半導体素子側とは反対の表面が露出している。
【0032】
本発明に係る半導体素子保護用材料は、半導体素子を保護するために、前記半導体素子の表面上に硬化物を形成し、かつ前記硬化物の前記半導体素子側とは反対の表面上に保護フィルムを配置して、半導体装置を得るために用いられるか、又は、半導体素子を保護するために、前記半導体素子の表面上に硬化物を形成し、かつ前記硬化物の前記半導体素子側とは反対の表面が露出している半導体装置を得るために用いられる。
【発明の効果】
【0033】
本発明に係る半導体素子装置は、半導体素子と、上記半導体素子の第1の表面上に配置された硬化物とを備え、上記硬化物が、半導体素子保護用材料の硬化物であり、上記半導体素子保護用材料が、熱硬化性化合物と、硬化剤又は硬化触媒と、熱伝導率が10W/m・K以上である無機フィラーとを含み、上記半導体素子保護用材料が、三量体から十量体までの環状シロキサン化合物を含まないか、又は三量体から十量体までの環状シロキサン化合物を500ppm以下で含み、上記硬化物における上記無機フィラーの含有量が60重量%以上、92重量%以下であり、上記硬化物の電気伝導度が50μS/cm以下であるので、硬化物の放熱性に優れ、硬化物のボイドが少なく、硬化物の絶縁信頼性に優れており、半導体素子を良好に保護することができる。
【0034】
本発明に係る半導体素子保護用材料は、熱硬化性化合物と、硬化剤又は硬化触媒と、熱伝導率が10W/m・K以上である無機フィラーとを含み、三量体から十量体までの環状シロキサン化合物を含まないか、又は三量体から十量体までの環状シロキサン化合物を500ppm以下で含み、水を含まないか、又は水を1000ppm以下で含み、上記無機フィラーの含有量が60重量%以上、92重量%以下であり、150℃で2時間加熱して硬化物を得たときに、上記硬化物の電気伝導度が50μS/cm以下であるので、放熱性に優れており、ボイドが少なく、絶縁信頼性に優れている硬化物を得ることができる。従って、本発明に係る半導体素子保護用材料を、半導体素子を保護するために、上記半導体素子の表面上に塗布し、硬化させることにより、上記半導体素子を良好に保護することができる。また、本発明に係る半導体素子保護用材料を、接続対象部材上に実装された半導体素子を保護するために、上記半導体素子の上記接続対象部材側とは反対の表面上に塗布して、硬化させることにより、上記半導体素子を良好に保護することができる。
【図面の簡単な説明】
【0035】
図1図1は、本発明の第1の実施形態に係る半導体素子保護用材料を用いた半導体装置を示す部分切欠正面断面図である。
図2図2は、本発明の第2の実施形態に係る半導体素子保護用材料を用いた半導体装置を示す部分切欠正面断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0036】
以下、本発明を詳細に説明する。
【0037】
本発明に係る半導体装置は、半導体素子と、硬化物とを備える。本発明に係る半導体装置では、上記硬化物は、上記半導体素子の第1の表面上に配置されている。本発明に係る半導体装置では、上記硬化物は、半導体素子保護用材料の硬化物である。
【0038】
本発明に係る半導体素子保護用材料は、ある特定の局面では、半導体素子を保護するために、上記半導体素子の表面上に塗布して、上記半導体素子の表面上に硬化物を形成するために用いられる。本発明に係る半導体素子保護用材料は、半導体素子と他の接続対象部材との間に配置されて、上記半導体素子と上記他の接続対象部材とを剥離しないように接着及び固定する硬化物を形成するもの(材料)とは異なる。
【0039】
また、本発明に係る半導体素子保護用材料は、ある特定の局面では、接続対象部材上に実装された半導体素子を保護するために、上記半導体素子の上記接続対象部材側とは反対の表面上に塗布して、上記半導体素子の表面上に硬化物を形成するために用いられる。
【0040】
本発明に係る半導体装置に用いられる半導体素子保護用材料、及び、本発明に係る半導体素子保護用材料は、(A)熱硬化性化合物と、(B)硬化剤又は硬化触媒((B1)硬化剤又は(B2)硬化触媒)と、(C)熱伝導率が10W/m・K以上である無機フィラーとを含む。本発明に係る半導体装置に用いられる半導体素子保護用材料、及び、本発明に係る半導体素子保護用材料は、例えば、半導体素子の表面上に塗布されるために、23℃で液状であることが好ましく、23℃で固体ではないことが好ましい。なお、液状には、粘稠なペーストも含まれる。
【0041】
本発明に係る半導体装置に用いられる半導体素子保護用材料、及び、本発明に係る半導体素子保護用材料は、(X)三量体から十量体までの環状シロキサン化合物を含まないか、又は(X)三量体から十量体までの環状シロキサン化合物を500ppm以下で含む。本発明に係る半導体装置に用いられる半導体素子保護用材料、及び、本発明に係る半導体素子保護用材料における低分子量の(X)シロキサン化合物の含有量は少ない。本発明に係る半導体装置の硬化物100重量%中、(C)熱伝導率が10W/m・K以上である無機フィラーの含有量が60重量%以上、92重量%以下である。本発明に係る半導体装置に用いられる半導体素子保護用材料100重量%中、C)熱伝導率が10W/m・K以上である無機フィラーの含有量は好ましくは60重量%以上、好ましくは92重量%以下である。本発明に係る半導体素子保護用材料100重量%中、(C)熱伝導率が10W/m・K以上である無機フィラーの含有量が60重量%以上、92重量%以下である。
【0042】
本発明に係る半導体装置の硬化物、及び、本発明に係る半導体素子保護用材料の硬化物の電気伝導度は50μS/cm以下である。
【0043】
上記半導体素子保護用材料は、半導体素子の表面上に塗布することができる。例えば、半導体素子の放熱性を高めたい部位の表面上に選択的に、精度よく、上記半導体素子保護用材料を塗布することができる。
【0044】
本発明に係る半導体装置は、上述した構成を備えているので、硬化物の放熱性に優れている。このため、半導体素子の表面から硬化物を経由して、熱を充分に放散させることができる。このため、半導体装置の熱劣化を効果的に抑制することができる。
【0045】
また、本発明に係る半導体素子保護用材料は、上述した構成を備えているので、硬化物の放熱性に優れている。このため、半導体素子の表面上に硬化物を配置することによって、半導体素子の表面から硬化物を経由して、熱を充分に放散させることができる。このため、半導体装置の熱劣化を効果的に抑制することができる。
【0046】
さらに、本発明に係る半導体装置、及び、本発明に係る半導体素子保護用材料では、硬化物にボイドを生じ難くすることができ、半導体素子の表面から硬化物を剥離し難くすることができる。
【0047】
さらに、本発明に係る半導体装置では、硬化物の絶縁信頼性に優れている。従って、上記半導体素子を良好に保護することができる。
【0048】
また、本発明に係る半導体素子保護用材料では、絶縁信頼性に優れている硬化物を得ることができる。従って、本発明に係る半導体素子保護用材料を、半導体素子を保護するために、上記半導体素子の表面上に塗布し、硬化させることにより、上記半導体素子を良好に保護することができる。また、本発明に係る半導体素子保護用材料を、接続対象部材上に実装された半導体素子を保護するために、上記半導体素子の上記接続対象部材側とは反対の表面上に塗布して、硬化させることにより、上記半導体素子を良好に保護することができる。
【0049】
絶縁信頼性を高める観点から、(X)三量体から十量体までの環状シロキサン化合物の含有量は多くても、500ppmである。絶縁信頼性をより一層高める観点からは、(X)三量体から十量体までの環状シロキサン化合物の含有量は好ましくは250ppm以下である。(X)三量体から十量体までの環状シロキサン化合物の含有量は少ないほどよい。
【0050】
三量体から十量体までの環状シロキサン化合物とは、ヘキサメチルシクロトリシロキサン、オクタメチルシクロテトラシロキサン、デカメチルシクロペンタシロキサン、ドデカメチルシクロヘキサシロキサン、テトラデカメチルシクロヘプタシロキサン、ヘキサデカメチルシクロオクタシロキサン、オクタデカメチルシクロノナシロキサン、エイコサメチルシクロデカシロキサンを意味する。
【0051】
ボイドをより一層効果的に抑える観点から、本発明に係る半導体素子保護用材料は、(Y)水を含まないか、又は(Y)水を1000ppm以下で含むことが好ましい。ボイドを更に一層抑える観点からは、(Y)水の含有量は好ましくは800ppm以下である。(Y)水の含有量は少ないほどよい。
【0052】
上記水の含有量は、カールフィッシャー水分計(京都電子工業社製「MKV−710B」)を用いて測定される。
【0053】
絶縁信頼性を高める観点から、本発明に係る半導体装置の上記硬化物の電気伝導度は50μS/cm以下である。絶縁信頼性を高める観点から、本発明に係る半導体素子保護用材料を150℃で2時間加熱して硬化物を得たときに、上記硬化物の電気伝導度は50μS/cm以下である。絶縁信頼性をより一層高める観点からは、上記硬化物の電気伝導度は好ましくは30μS/cm以下である。上記硬化物の電気伝導度の下限は特に限定されない。
【0054】
上記電気伝導度は、以下のようにして測定される。本発明に係る半導体装置では、上記半導体装置の硬化物を用意する。本発明に係る半導体装置保護用材料では、上記半導体素子保護用材料を150℃で2時間で硬化させて硬化物を得る。これらの硬化物を5mm角程度に粉砕し、粉砕物2.5gにイオン交換水25mLを加え、PCT(121℃±2℃/湿度100%/2atmの槽)で20Hr置く。その後、室温(25℃)まで冷却して得た抽出液を試験液として得る。この試験液の電気伝導度を伝導度計(東亜電波工業社製の電気伝導率計「CM−30G」、「CM−42X」等)を用いて測定する。
【0055】
塗布性をより一層高める観点からは、上記半導体素子保護用材料の25℃及び10rpmでの粘度は、好ましくは40Pa・s以上、より好ましくは50Pa・s以上であり、好ましくは140Pa・s以下、より好ましくは130Pa・s以下である。
【0056】
上記粘度は、B型粘度計(東機産業社製「TVB−10型」)を用いて測定される。
【0057】
硬化性をより一層高める観点からは、上記半導体素子保護用材料は、(B1)硬化剤と、(D)硬化促進剤とを含むことが好ましい。
【0058】
また、半導体素子保護用材料の半導体素子の表面に対する濡れ性を高め、硬化物の柔軟性をより一層高め、更に硬化物の耐湿性をより一層高める観点からは、上記半導体素子保護用材料は、(E)カップリング剤を含むことが好ましい。
【0059】
硬化物の絶縁信頼性を効果的に高める観点からは、上記半導体素子保護用材料は、(F)イオン捕捉剤を含むことが好ましい。
【0060】
以下、上記半導体素子保護用材料に用いることができる各成分の詳細を説明する。
【0061】
((A)熱硬化性化合物)
(A)熱硬化性化合物としては、オキセタン化合物、エポキシ化合物、エピスルフィド化合物、(メタ)アクリル化合物、フェノール化合物、アミノ化合物、不飽和ポリエステル化合物、ポリウレタン化合物、シリコーン化合物及びポリイミド化合物等が挙げられる。(A)熱硬化性化合物は、1種のみが用いられてもよく、2種以上が併用されてもよい。
【0062】
本発明の効果を効果的に発揮し、耐熱性をより一層高くし、かつクラックをより一層生じ難くする観点からは、(A)熱硬化性化合物は、(A1)エポキシ化合物又は(A2)シリコーン化合物を含むことが好ましい。(A)熱硬化性化合物は、(A1)エポキシ化合物を含んでいてもよく、(A2)シリコーン化合物を含んでいてもよい。高温下に晒された後の接続対象部材の反りをより一層抑える観点からは、(A2)シリコーン化合物の分子量は、300以上であることが好ましい。高温下に晒された後の接続対象部材の反りをより一層抑える観点からは、(A)熱硬化性化合物が、(A2)シリコーン化合物を含むこと好ましい。
【0063】
上記半導体素子保護用材料100重量%中、(A)熱硬化性化合物の含有量は好ましくは1重量%以上、より好ましくは2重量%以上であり、好ましくは20重量%以下、より好ましくは15重量%以下、更に好ましくは10重量%以下、特に好ましくは8重量%以下である。(A)熱硬化性化合物の含有量が上記下限以上及び上記上限以下であると、半導体素子保護用材料の塗布性、硬化物の柔軟性及び耐湿性がより一層良好になり、硬化物の半導体素子に対する接着性がより一層良好になり、保護フィルムに対する貼り付きをより一層抑えることができる。
【0064】
上記半導体素子保護用材料100重量%中、(A1)エポキシ化合物と(A2)シリコーン化合物との合計の含有量は、好ましくは1重量%以上、より好ましくは2重量%以上であり、好ましくは20重量%以下、より好ましくは15重量%以下である。(A1)エポキシ化合物と(A2)シリコーン化合物との合計の含有量が上記下限以上及び上記上限以下であると、半導体素子保護用材料の塗布性、硬化物の柔軟性及び耐湿性がより一層良好になり、硬化物の半導体素子に対する接着性がより一層良好になり、保護フィルムに対する貼り付きをより一層抑えることができる。
【0065】
(A1)エポキシ化合物:
上記半導体素子保護用材料100重量%中、(A1)エポキシ化合物の含有量は、好ましくは1重量%以上、より好ましくは2重量%以上であり、好ましくは10重量%以下、より好ましくは8重量%以下である。(A1)エポキシ化合物の含有量が上記下限以上及び上記上限以下であると、半導体素子保護用材料の塗布性、硬化物の柔軟性及び耐湿性がより一層良好になり、硬化物の半導体素子に対する接着性がより一層良好になり、保護フィルムに対する貼り付きをより一層抑えることができる。
【0066】
(A1)エポキシ化合物としては、(A11)可撓性エポキシ化合物及び(A12)可撓性エポキシ化合物とは異なるエポキシ化合物が挙げられる。本発明の効果を効果的に発揮する観点からは、(A)熱硬化性化合物は、(A11)可撓性エポキシ化合物と、(A12)可撓性エポキシ化合物とは異なるエポキシ化合物とを含むことが好ましい。
【0067】
(A12)可撓性エポキシ化合物とは異なるエポキシ化合物は、可撓性を有さない。(A11)可撓性エポキシ化合物とともに(A12)エポキシ化合物を用いることによって、半導体素子保護用材料の硬化物の耐湿性が高くなり、保護フィルムに対する貼り付き性を低下させることができる。(A12)エポキシ化合物は、1種のみが用いられてもよく、2種以上が併用されてもよい。
【0068】
(A)熱硬化性化合物は、(A11)可撓性エポキシ化合物を含むことが好ましい。(A11)可撓性エポキシ化合物を用いることによって、硬化物の柔軟性を高めることができる。(A11)可撓性エポキシ化合物を用いることによって、半導体素子に対する変形応力などによって、半導体素子の損傷が生じ難くなり、更に半導体素子の表面から硬化物を剥離し難くすることができる。(A11)可撓性エポキシ化合物は、1種のみが用いられてもよく、2種以上が併用されてもよい。
【0069】
(A11)可撓性エポキシ化合物としては、ポリアルキレングリコールジグリシジルエーテル、ポリブタジエンジグリシジルエーテル、サルファイド変性エポキシ樹脂、及びポリアルキレンオキサイド変性ビスフェノールA型エポキシ樹脂等が挙げられる。硬化物の柔軟性をより一層高める観点からは、ポリアルキレングリコールジグリシジルエーテルが好ましい。
【0070】
硬化物の柔軟性をより一層高めて接着力を向上させる観点からは、上記ポリアルキレングリコールジグリシジルエーテルは、アルキレングリコール基が9以上繰り返された構造単位を有することが好ましい。アルキレン基の繰り返し数の上限は特に限定されない。アルキレン基の繰り返し数は、30以下であってもよい。上記アルキレン基の炭素数は、好ましくは2以上であり、好ましくは5以下である。
【0071】
上記ポリアルキレングリコールジグリシジルエーテルとしては、ポリエチレングリコールジグリシジルエーテル、ポリプロピレングリコールジグリシジルエーテル及びポリテトラメチレングリコールジグリシジルエーテル等が挙げられる。
【0072】
上記半導体素子保護用材料100重量%中、(A11)可撓性エポキシ化合物の含有量は好ましくは3重量%以上、より好ましくは5重量%以上であり、好ましくは10重量%以下、より好ましくは8重量%以下である。(A11)可撓性エポキシ化合物の含有量が上記下限以上であると、硬化物の柔軟性がより一層高くなる。(A11)可撓性エポキシ化合物の含有量が上記上限以下であると、半導体素子保護用材料の塗布性がより一層高くなる。
【0073】
上記半導体素子保護用材料100重量%中、(A11)可撓性エポキシ化合物と(A12)エポキシ化合物との合計の含有量は好ましくは5重量%以上、より好ましくは8重量%以上であり、好ましくは15重量%以下、より好ましくは12重量%以下である。(A11)可撓性エポキシ化合物と(A12)エポキシ化合物との合計の含有量が上記下限以上及び上記上限以下であると、半導体素子保護用材料の塗布性、硬化物の柔軟性及び耐湿性がより一層良好になり、硬化物の半導体素子に対する接着性がより一層良好になり、保護フィルムに対する貼り付きをより一層抑えることができる。
【0074】
(A12)エポキシ化合物としては、ビスフェノール骨格を有するエポキシ化合物、ジシクロペンタジエン骨格を有するエポキシ化合物、ナフタレン骨格を有するエポキシ化合物、アダマンタン骨格を有するエポキシ化合物、フルオレン骨格を有するエポキシ化合物、ビフェニル骨格を有するエポキシ化合物、バイ(グリシジルオキシフェニル)メタン骨格を有するエポキシ化合物、キサンテン骨格を有するエポキシ化合物、アントラセン骨格を有するエポキシ化合物、及びピレン骨格を有するエポキシ化合物等が挙げられる。これらの水素添加物又は変性物を用いてもよい。(A12)エポキシ化合物は、ポリアルキレングリコールジグリシジルエーテルではないことが好ましい。
【0075】
本発明の効果がより一層優れることから、(A12)エポキシ化合物は、ビスフェノール骨格を有するエポキシ化合物(ビスフェノール型エポキシ化合物)であることが好ましい。
【0076】
上記ビスフェノール骨格を有するエポキシ化合物としては、例えば、ビスフェノールA型、ビスフェノールF型又はビスフェノールS型のビスフェノール骨格を有するエポキシモノマー等が挙げられる。
【0077】
上記ジシクロペンタジエン骨格を有するエポキシ化合物としては、ジシクロペンタジエンジオキシド、及びジシクロペンタジエン骨格を有するフェノールノボラックエポキシモノマー等が挙げられる。
【0078】
上記ナフタレン骨格を有するエポキシ化合物としては、1−グリシジルナフタレン、2−グリシジルナフタレン、1,2−ジグリシジルナフタレン、1,5−ジグリシジルナフタレン、1,6−ジグリシジルナフタレン、1,7−ジグリシジルナフタレン、2,7−ジグリシジルナフタレン、トリグリシジルナフタレン、及び1,2,5,6−テトラグリシジルナフタレン等が挙げられる。
【0079】
上記アダマンタン骨格を有するエポキシ化合物としては、1,3−ビス(4−グリシジルオキシフェニル)アダマンタン、及び2,2−ビス(4−グリシジルオキシフェニル)アダマンタン等が挙げられる。
【0080】
上記フルオレン骨格を有するエポキシ化合物としては、9,9−ビス(4−グリシジルオキシフェニル)フルオレン、9,9−ビス(4−グリシジルオキシ−3−メチルフェニル)フルオレン、9,9−ビス(4−グリシジルオキシ−3−クロロフェニル)フルオレン、9,9−ビス(4−グリシジルオキシ−3−ブロモフェニル)フルオレン、9,9−ビス(4−グリシジルオキシ−3−フルオロフェニル)フルオレン、9,9−ビス(4−グリシジルオキシ−3−メトキシフェニル)フルオレン、9,9−ビス(4−グリシジルオキシ−3,5−ジメチルフェニル)フルオレン、9,9−ビス(4−グリシジルオキシ−3,5−ジクロロフェニル)フルオレン、及び9,9−ビス(4−グリシジルオキシ−3,5−ジブロモフェニル)フルオレン等が挙げられる。
【0081】
上記ビフェニル骨格を有するエポキシ化合物としては、4,4’−ジグリシジルビフェニル、及び4,4’−ジグリシジル−3,3’,5,5’−テトラメチルビフェニル等が挙げられる。
【0082】
上記バイ(グリシジルオキシフェニル)メタン骨格を有するエポキシ化合物としては、1,1’−バイ(2,7−グリシジルオキシナフチル)メタン、1,8’−バイ(2,7−グリシジルオキシナフチル)メタン、1,1’−バイ(3,7−グリシジルオキシナフチル)メタン、1,8’−バイ(3,7−グリシジルオキシナフチル)メタン、1,1’−バイ(3,5−グリシジルオキシナフチル)メタン、1,8’−バイ(3,5−グリシジルオキシナフチル)メタン、1,2’−バイ(2,7−グリシジルオキシナフチル)メタン、1,2’−バイ(3,7−グリシジルオキシナフチル)メタン、及び1,2’−バイ(3,5−グリシジルオキシナフチル)メタン等が挙げられる。
【0083】
上記キサンテン骨格を有するエポキシ化合物としては、1,3,4,5,6,8−ヘキサメチル−2,7−ビス−オキシラニルメトキシ−9−フェニル−9H−キサンテン等が挙げられる。
【0084】
(A11)可撓性エポキシ化合物100重量部に対して、(A12)エポキシ化合物の含有量は好ましくは10重量部以上、より好ましくは20重量部以上であり、好ましくは100重量部以下、より好ましくは90重量部以下である。(A12)エポキシ化合物の含有量が上記下限以上であると、半導体素子保護用材料の塗布性がより一層高くなり、硬化物の半導体素子に対する接着性がより一層高くなる。(A12)エポキシ化合物の含有量が上記上限以下であると、硬化物の柔軟性がより一層高くなる。
【0085】
(A2)シリコーン化合物は、例えば、珪素原子に結合したアルケニル基を有するシリコーン化合物と、珪素原子に結合した水素原子を有するシリコーン化合物とを含む。珪素原子に結合したアルケニル基を有するシリコーン化合物は、珪素原子に結合した水素原子を有さなくてもよい。
【0086】
上記珪素原子に結合したアルケニル基を有するシリコーン化合物は、下記式(1A)で表されるシリコーン化合物、下記式(2A)で表されるシリコーン化合物、又は下記式(3A)で表されるシリコーン化合物であることが好ましい。
【0087】
(R1R2R3SiO1/2(R4R5SiO2/2 …(1A)
【0088】
上記式(1A)中、a及びbは、0.01≦a≦0.2、0.8≦b≦0.99を満たし、R1〜R5の1mol%以上、20mol%以下はアルケニル基を表し、R1〜R5の80mol%以上、99mol%以下はメチル基及びフェニル基を表し、アルケニル基、メチル基及びフェニル基以外のR1〜R5は、炭素数2〜6のアルキル基を表す。
【0089】
(R1R2R3SiO1/2(SiO4/2 …(2A)
【0090】
上記式(2A)中、a及びbは、0.7≦a≦0.9、0.1≦b≦0.3を満たし、R1〜R3の1mol%以上、33mol%以下はアルケニル基を表し、R1〜R3の67mol%以上、99mol%以下はメチル基及びフェニル基を表し、アルケニル基、メチル基及びフェニル基以外のR1〜R3は、炭素数2〜6のアルキル基を表す。R1〜R3の1mol%以上、20mol%以下はアルケニル基を表していてもよく、R1〜R3の80mol%以上、99mol%以下はメチル基及びフェニル基を表していてもよい。
【0091】
(R1R2R3SiO1/2(R4R5SiO2/2(R6SiO3/2 …(3A)
【0092】
上記式(3A)中、a、b及びcは、0.05≦a≦0.3、0≦b≦0.8、0.15≦c≦0.85を満たし、R1〜R6の2mol%以上、20mol%以下はアルケニル基を表し、R1〜R6の80mol%以上、95mol%以下はメチル基及びフェニル基を表し、アルケニル基、メチル基及びフェニル基以外のR1〜R6は、炭素数2〜6のアルキル基を表す。
【0093】
上記珪素原子に結合した水素原子を有するシリコーン化合物は、下記式(1B)で表されるシリコーン化合物であることが好ましい。
【0094】
(R1R2R3SiO1/2(R4R5SiO2/2 …(1B)
【0095】
上記式(1B)中、a及びbは、0.1≦a≦0.67、0.33≦b≦0.9を満たし、R1〜R5の1mol%以上、25mol以下%は水素原子を表し、R1〜R5の75mol%以上、99mol%以下はメチル基及びフェニル基を表し、水素原子、メチル基及びフェニル基以外のR1〜R5は、炭素数2〜6のアルキル基を表す。
【0096】
(A2)シリコーン化合物は、上記式(1A)で表されるシリコーン化合物を含むことが好ましい。(A2)シリコーン化合物は、上記式(1A)で表されるシリコーン化合物と、上記式(2A)で表されるシリコーン化合物とを含むか、又は、上記式(1A)で表されるシリコーン化合物と、上記式(3A)で表されるシリコーン化合物とを含むことが好ましい。
【0097】
硬化物の接着性を効果的に高め、硬化物の剥離を効果的に高める観点からは、(A)熱硬化性化合物が、(A1)シリコーン化合物として、上記式(2A)又は(3A)で表されるシリコーン化合物と、上記式(1B)で表されるシリコーン化合物とを含むこと好ましい。絶縁信頼性を高める観点からは、(A)熱硬化性化合物が、(A1)シリコーン化合物として、上記式(3A)で表されるシリコーン化合物と、上記式(1B)で表されるシリコーン化合物とを含むこと好ましい。接続対象部材の反りをより一層抑える観点からは、(A)熱硬化性化合物が、(A1)シリコーン化合物として、上記式(1A)で表されるシリコーン化合物と、上記式(1B)で表されるシリコーン化合物とを含むこと好ましい。
【0098】
上記半導体素子保護用材料100重量%中、(A2)シリコーン化合物の含有量は、好ましくは5重量%以上、より好ましくは8重量%以上であり、好ましくは20重量%以下、より好ましくは15重量%以下である。(A2)シリコーン化合物の含有量が上記下限以上及び上記上限以下であると、半導体素子保護用材料の塗布性、硬化物の柔軟性及び耐湿性がより一層良好になり、硬化物の半導体素子に対する接着性がより一層良好になり、保護フィルムに対する貼り付きをより一層抑えることができる。
【0099】
上記珪素原子に結合した水素原子を有するシリコーン化合物100重量部に対して、上記珪素原子に結合したアルケニル基を有するシリコーン化合物の含有量は好ましくは10重量部以上であり、好ましくは400重量部以下である。この含有量の関係を満足すると、半導体素子保護用材料の塗布性、硬化物の柔軟性及び耐湿性がより一層良好になり、硬化物の半導体素子に対する接着性がより一層良好になり、保護フィルムに対する貼り付きをより一層抑えることができる。
【0100】
((B)硬化剤又は硬化触媒)
(B)硬化剤又は硬化触媒として、(B1)硬化剤を用いてもよく、(B2)硬化触媒を用いてもよい。(A1)エポキシ化合物を用いる場合には、(B1)硬化剤が好ましい。(A2)シリコーン化合物を用いる場合には、(B2)硬化触媒が好ましい。
【0101】
(B1)硬化剤は、23℃で液状であってもよく、固形であってもよい。半導体素子保護用材料の塗布性をより一層高める観点からは、(B1)硬化剤は、23℃で液状である硬化剤であることが好ましい。また、23℃で液状である硬化剤の使用により、半導体素子保護用材料の半導体素子の表面に対する濡れ性が高くなる。(B1)硬化剤は、1種のみが用いられてもよく、2種以上が併用されてもよい。(B2)硬化触媒は、1種のみが用いられてもよく、2種以上が併用されてもよい。
【0102】
(B1)硬化剤としては、アミン化合物(アミン硬化剤)、イミダゾール化合物(イミダゾール硬化剤)、フェノール化合物(フェノール硬化剤)及び酸無水物(酸無水物硬化剤)等が挙げられる。(B1)硬化剤はイミダゾール化合物でなくてもよい。
【0103】
硬化物中でのボイドの発生をより一層抑え、硬化物の耐熱性をより一層高める観点からは、(B1)硬化剤は、フェノール化合物であることが好ましい。
【0104】
半導体素子保護用材料の塗布性をより一層高め、硬化物中でのボイドの発生をより一層抑え、硬化物の耐熱性をより一層高める観点からは、(B1)硬化剤は、アリル基を有することが好ましく、上記フェノール化合物がアリル基を有することが好ましい。
【0105】
上記フェノール化合物としては、フェノールノボラック、o−クレゾールノボラック、p−クレゾールノボラック、t−ブチルフェノールノボラック、ジシクロペンタジエンクレゾール、ポリパラビニルフェノール、ビスフェノールA型ノボラック、キシリレン変性ノボラック、デカリン変性ノボラック、ポリ(ジ−o−ヒドロキシフェニル)メタン、ポリ(ジ−m−ヒドロキシフェニル)メタン、及びポリ(ジ−p−ヒドロキシフェニル)メタン等が挙げられる。
【0106】
(B1)硬化剤を用いる場合に、(A)熱硬化性化合物100重量部に対して、(B1)硬化剤の含有量は、好ましくは50重量部以上、より好ましくは75重量部以上、更に好ましくは100重量部以上であり、好ましくは250重量部以下、より好ましくは225重量部以下、更に好ましくは200重量部以下である。(B1)硬化剤の含有量が上記下限以上であると、半導体素子保護用材料を良好に硬化させることができる。(B1)硬化剤の含有量が上記上限以下であると、硬化物内における硬化に寄与しなかった(B1)硬化剤の残存量が少なくなる。
【0107】
(B2)硬化触媒としては、ヒドロシリル化反応用触媒及び縮合触媒などの金属触媒等が挙げられる。
【0108】
上記硬化触媒としては、例えば、錫系触媒、白金系触媒、ロジウム系触媒及びパラジウム系触媒等が挙げられる。透明性を高くすることができるため、白金系触媒が好ましい。
【0109】
上記ヒドロシリル化反応用触媒は、シリコーン化合物中の珪素原子に結合した水素原子と、シリコーン化合物中のアルケニル基とをヒドロシリル化反応させる触媒である。上記ヒドロシリル化反応用触媒は、1種のみが用いられてもよく、2種以上が併用されてもよい。
【0110】
上記白金系触媒としては、白金粉末、塩化白金酸、白金−アルケニルシロキサン錯体、白金−オレフィン錯体及び白金−カルボニル錯体が挙げられる。特に、白金−アルケニルシロキサン錯体又は白金−オレフィン錯体が好ましい。
【0111】
上記白金−アルケニルシロキサン錯体におけるアルケニルシロキサンとしては、例えば、1,3−ジビニル−1,1,3,3−テトラメチルジシロキサン、及び1,3,5,7−テトラメチル−1,3,5,7−テトラビニルシクロテトラシロキサン等が挙げられる。上記白金−オレフィン錯体におけるオレフィンとしては、例えば、アリルエーテル及び1,6−ヘプタジエン等が挙げられる。
【0112】
上記白金−アルケニルシロキサン錯体及び白金−オレフィン錯体の安定性を向上させることができるため、上記白金−アルケニルシロキサン錯体又は白金−オレフィン錯体に、アルケニルシロキサン、オルガノシロキサンオリゴマー、アリルエーテル又はオレフィンを添加することが好ましい。上記アルケニルシロキサンは、好ましくは1,3−ジビニル−1,1,3,3−テトラメチルジシロキサンである。上記オルガノシロキサンオリゴマーは、好ましくはジメチルシロキサンオリゴマーである。上記オレフィンは、好ましくは1,6−ヘプタジエンである。
【0113】
(B2)硬化触媒を用いる場合に、(A)熱硬化性化合物100重量部に対して、(B2)硬化触媒の含有量は、好ましくは0.001重量部以上、より好ましくは0.01重量部以上、更に好ましくは0.05重量部以上であり、好ましくは2重量部以下、より好ましくは1重量部以下、更に好ましくは0.5重量部以下である。(B2)硬化触媒の含有量が上記下限以上であると、半導体素子保護用材料を良好に硬化させることができる。(B2)硬化触媒の含有量が上記上限以下であると、硬化物内における硬化に寄与しなかった(B2)硬化触媒の残存量が少なくなる。
【0114】
((C)熱伝導率が10W/m・K以上である無機フィラー)
(C)熱伝導率が10W/m・K以上である無機フィラーを用いることによって、半導体素子保護用材料の塗布性を高く維持しつつ、かつ硬化物の柔軟性を高く維持しつつ、硬化物の放熱性を高めることができる。(C)無機フィラーは、1種のみが用いられてもよく、2種以上が併用されてもよい。
【0115】
硬化物の放熱性をより一層高める観点からは、(C)無機フィラーの熱伝導率は、好ましくは10W/m・K以上、より好ましくは15W/m・K以上、更に好ましくは20W/m・K以上である。(C)無機フィラーの熱伝導率の上限は特に限定されない。熱伝導率が300W/m・K程度である無機フィラーは広く知られており、また熱伝導率が200W/m・K程度である無機フィラーは容易に入手できる。
【0116】
硬化物の放熱性を効果的に高める観点からは、(C)無機フィラーは、アルミナ、窒化アルミニウム又は炭化ケイ素であることが好ましい。これらの好ましい無機フィラーを用いる場合に、これらの無機フィラーは、1種のみが用いられてもよく、2種以上が併用されてもよい。(C)無機フィラーとして、上記以外の無機フィラーを適宜用いてもよい。
【0117】
半導体素子保護用材料の塗布性を効果的に高く維持しつつ、かつ硬化物の柔軟性を効果的に高く維持しつつ、硬化物の放熱性を効果的に高める観点からは、(C)無機フィラーは、熱伝導率が10W/m・K以上であり、かつ球状である無機フィラーであることが好ましい。球状とは、アスペクト比(長径/短径)が1以上、2以下であることをいう。
【0118】
(C)無機フィラーの平均粒子径は、好ましくは0.1μm以上であり、好ましくは150μm以下である。(C)無機フィラーの平均粒子径が上記下限以上であると、(C)無機フィラーを高密度で容易に充填できる。(C)無機フィラーの平均粒子径が上記上限以下であると、半導体素子保護用材料の塗布性がより一層高くなる。
【0119】
上記「平均粒子径」とは、レーザー回折式粒度分布測定装置により測定した体積平均での粒度分布測定結果から求められる平均粒子径である。
【0120】
上記硬化物100重量%中、及び、上記半導体素子保護用材料100重量%中、(C)無機フィラーの含有量は好ましくは60重量%以上、92重量%以下である。上記半導体素子保護用材料100重量%中、(C)無機フィラーの含有量はより好ましくは70重量%以上、更に好ましくは80重量%以上、特に好ましくは82重量%以上であり、より好ましくは90重量%以下である。(C)無機フィラーの含有量が上記下限以上であると、硬化物の放熱性がより一層高くなる。(C)無機フィラーの含有量が上記上限以下であると、半導体素子保護用材料の塗布性がより一層高くなり、硬化物の性状がより一層良好になる。
【0121】
((D)硬化促進剤)
(D)硬化促進剤の使用によって、硬化速度を速くし、半導体素子保護用材料を効率的に硬化させることができる。(D)硬化促進剤は1種のみが用いられてもよく、2種以上が併用されてもよい。
【0122】
(D)硬化促進剤としては、イミダゾール化合物、リン化合物、アミン化合物、及び有機金属化合物等が挙げられる。なかでも、本発明の効果がより一層優れることから、イミダゾール化合物が好ましい。
【0123】
上記イミダゾール化合物としては、2−ウンデシルイミダゾール、2−ヘプタデシルイミダゾール、2−メチルイミダゾール、2−エチル−4−メチルイミダゾール、2−フェニルイミダゾール、2−フェニル−4−メチルイミダゾール、1−ベンジル−2−メチルイミダゾール、1−ベンジル−2−フェニルイミダゾール、1,2−ジメチルイミダゾール、1−シアノエチル−2−メチルイミダゾール、1−シアノエチル−2−エチル−4−メチルイミダゾール、1−シアノエチル−2−ウンデシルイミダゾール、1−シアノエチル−2−フェニルイミダゾール、1−シアノエチル−2−ウンデシルイミダゾリウムトリメリテイト、1−シアノエチル−2−フェニルイミダゾリウムトリメリテイト、2,4−ジアミノ−6−[2’−メチルイミダゾリル−(1’)]−エチル−s−トリアジン、2,4−ジアミノ−6−[2’−ウンデシルイミダゾリル−(1’)]−エチル−s−トリアジン、2,4−ジアミノ−6−[2’−エチル−4’−メチルイミダゾリル−(1’)]−エチル−s−トリアジン、2,4−ジアミノ−6−[2’−メチルイミダゾリル−(1’)]−エチル−s−トリアジンイソシアヌル酸付加物、2−フェニルイミダゾールイソシアヌル酸付加物、2−メチルイミダゾールイソシアヌル酸付加物、2−フェニル−4,5−ジヒドロキシメチルイミダゾール及び2−フェニル−4−メチル−5−ジヒドロキシメチルイミダゾール、等が挙げられる。また、公知のイミダゾール系潜在性硬化剤を用いることができる。具体例としては、PN23、PN40、PN−H(商品名、いずれも味の素ファインテクノ社製)が挙げられる。また、マイクロカプセル化イミダゾールとも呼ばれる、アミン化合物のエポキシアダクトの水酸基に付加反応させた硬化促進剤が挙げられ、例えばノバキュアHX−3088、ノバキュアHX−3941、HX−3742、HX−3722(商品名、いずれも旭化成イーマテリアルズ社製)等が挙げられる。さらに、包摂イミダゾールを用いることもできる。具体例としては、TIC−188(商品名、日本曹達社製)が挙げられる。
【0124】
上記リン化合物としては、トリフェニルホスフィン等が挙げられる。
【0125】
上記アミン化合物としては、2,4,6−トリス(ジメチルアミノメチル)フェノール、ジエチルアミン、トリエチルアミン、ジエチレンテトラミン、トリエチレンテトラミン及び4,4−ジメチルアミノピリジン等が挙げられる。
【0126】
上記有機金属化合物としては、ナフテン酸亜鉛、ナフテン酸コバルト、オクチル酸スズ、オクチル酸コバルト、ビスアセチルアセトナートコバルト(II)及びトリスアセチルアセトナートコバルト(III)等が挙げられる。
【0127】
(A)熱硬化性化合物との合計100重量部に対して、(D)硬化促進剤の含有量は、好ましくは0.1重量部以上、より好ましくは0.5重量部以上であり、好ましくは10重量部以下、より好ましくは8重量部以下である。(D)硬化促進剤の含有量が上記下限以上であると、半導体素子保護用材料を良好に硬化させることができる。(D)硬化促進剤の含有量が上記上限以下であると、硬化物内における硬化に寄与しなかった(D)硬化促進剤の残存量が少なくなる。
【0128】
((E)カップリング剤)
上記半導体素子保護用材料は、(E)カップリング剤を含むことが好ましい。(E)カップリング剤の使用により、半導体素子保護用材料の硬化物の耐湿性がより一層高くなる。(E)カップリング剤は、1種のみが用いられてもよく、2種以上が併用されてもよい。
【0129】
上記硬化物100重量%中、及び、上記半導体素子保護用材料100重量%中、(E)カップリング剤の含有量は好ましくは0.1重量%以上、より好ましくは0.2重量%以上であり、好ましくは2重量%以下、より好ましくは1重量%以下である。(E)カップリング剤の含有量が上記下限以上であると、半導体素子保護用材料の硬化物の耐湿性がより一層高くなる。(E)カップリング剤の含有量が上記上限以下であると、半導体素子保護用材料の塗布性がより一層高くなる。
【0130】
上記(E)カップリング剤は、100℃での重量減少が10重量%以下であるシランカップリング剤、100℃での重量減少が10重量%以下であるチタネートカップリング剤、又は100℃での重量減少が10重量%以下であるアルミネートカップリング剤を含むことが好ましい。これらの好ましいカップリング剤を用いる場合に、これらのカップリング剤は、1種のみが用いられてもよく、2種以上が併用されてもよい。
【0131】
100℃における重量減少が10重量%以下であると、硬化中に(E)カップリング剤の揮発が抑制され、半導体素子に対する濡れ性がより一層高くなり、硬化物の放熱性がより一層高くなる。
【0132】
なお、100℃における重量減少は、赤外水分計(ケツト科学研究所社製「FD−720」)を用い、50℃/分の昇温速度で100℃まで昇温し、10分後の重量減少を測定することにより求めることができる。
【0133】
((F)イオン捕捉剤)
硬化物の絶縁信頼性を効果的に高める観点からは、上記半導体素子保護用材料は、(F)イオン捕捉剤を含むことが好ましい。(F)イオン捕捉剤は1種のみが用いられてもよく、2種以上が併用されてもよい。
【0134】
(F)イオン捕捉剤は特に限定されない。該(F)イオン捕捉剤として、従来公知のイオン捕捉剤が使用可能である。
【0135】
(F)イオン捕捉剤の具体例としては、銅がイオン化して溶け出すのを防止するため銅害防止剤として知られる化合物が挙げられ、例えば、トリアジンチオール化合物、ビスフェノール系還元剤等を用いることができる。ビスフェノール系還元剤としては、2,2’−メチレン−ビス−(4−メチル−6−第3ブチルフェノール)、及び4,4’−チオ−ビス−(3−メチル−6−第3ブチルフェノール)等が挙げられる。また、(F)イオン捕捉剤の具体例としては、無機陰イオン交換体、無機陽イオン交換体及び無機両イオン交換体等も挙げられ、具体的には、一般式BiO(OH)(NO[ここで、Xは0.9〜1.1、Yは0.6〜0.8、Zは0.2〜0.4の正数である]で表される酸化ビスマス系イオン捕捉剤、酸化アンチモン系イオン捕捉剤、リン酸チタン系イオン捕捉剤、リン酸ジルコニウム系イオン捕捉剤、並びに、一般式MgAl(OH)2X+3Y−2Z(CO・mHO[ここで、X、Y、Zは2X+3Y−2Z≧0を満たす正数、mは正数である]で表されるハイドロタルサイト系イオン捕捉剤等が挙げられる。これらのイオン捕捉剤の市販品としては、例えば、IXE−100(東亞合成社製、リン酸ジルコニウム系イオン捕捉剤)、IXE−300(東亞合成社製、酸化アンチモン系イオン捕捉剤)、IXE−400(東亞合成社製、リン酸チタン系イオン捕捉剤)、IXE−500(東亞合成社製、酸化ビスマス系イオン捕捉剤)、IXE−600(東亞合成社製、酸化アンチモン・酸化ビスマス系イオン捕捉剤)、DHT−4A(ハイドロタルサイト系イオン捕捉剤、協和化学工業社製)、及びキョーワードKW−2000(ハイドロタルサイト系イオン捕捉剤、協和化学工業社製)等が挙げられる。硬化物の電気信頼性をより一層低くする観点からは、(F)イオン捕捉剤は、無機陽イオン交換体又は無機両イオン交換体であることが好ましい。
【0136】
マイグレーションをより一層抑制し、絶縁信頼性をより一層高める観点からは、上記陽イオン交換体は、Zr系陽イオン交換体又はSb系陽イオン交換体であることが好ましく、Zr系陽イオン交換体であることがより好ましく、また上記陽イオン交換体は、ジルコニウム原子を含むことが好ましい。
【0137】
マイグレーションをより一層抑制し、絶縁信頼性をより一層高める観点からは、上記陰イオン交換体は、Bi系陰イオン交換体、Mg−Al系陰イオン交換体又はZr系陰イオン交換体であることが好ましく、Mg−Al系陰イオン交換体であることがより好ましく、また上記陰イオン交換体は、マグネシウム原子とアルミニウム原子とを含むことが好ましい。
【0138】
マイグレーションをより一層抑制し、絶縁信頼性をより一層高める観点からは、上記陽イオン交換体の中性交換容量は、好ましくは1meq/g以上、より好ましくは2meq/g以上であり、好ましくは10meq/g以下、より好ましくは4meq/g以下である。
【0139】
マイグレーションをより一層抑制し、絶縁信頼性をより一層高める観点からは、上記陰イオン交換体の中性交換容量は、好ましくは0.1meq/g以上、より好ましくは1meq/g以上であり、好ましくは10meq/g以下、より好ましくは5meq/g以下である。
【0140】
マイグレーションをより一層抑制し、絶縁信頼性をより一層高める観点からは、上記陽イオン交換体のメディアン径は、好ましくは0.1μm以上、より好ましくは0.5μm以上であり、好ましくは10μm以下、より好ましくは3μm以下である。
【0141】
マイグレーションをより一層抑制し、絶縁信頼性をより一層高める観点からは、上記陰イオン交換体のメディアン径は、好ましくは0.1μm以上、より好ましくは0.5μm以上であり、好ましくは10μm以下、より好ましくは3μm以下である。
【0142】
マイグレーションをより一層抑制し、絶縁信頼性をより一層高める観点からは、上記硬化物100重量%中、及び、上記半導体素子保護用材料100重量%中、(F)イオン捕捉剤の含有量は、好ましくは0.1量%以上、より好ましくは0.3重量%以上であり、好ましくは3重量%以下、より好ましくは2重量%以下である。
【0143】
(他の成分)
上記半導体素子保護用材料は、必要に応じて、カルナバワックス等の天然ワックス、ポリエチレンワックス等の合成ワックス、ステアリン酸やステアリン酸亜鉛等の高級脂肪酸及びその金属塩類若しくはパラフィン等の離型剤;カーボンブラック、ベンガラ等の着色剤;臭素化エポキシ樹脂、三酸化アンチモン、水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム、硼酸亜鉛、モリブデン酸亜鉛、フォスファゼン等の難燃剤;酸化ビスマス水和物等の無機イオン交換体;シリコーンオイル、シリコーンゴム等の低応力化成分;酸化防止剤等の各種添加剤を含んでいてもよい。
【0144】
上記半導体素子保護用材料は、分散剤を含むことが好ましい。分散剤の具体例としては、ポリカルボン酸塩、アルキルアンモニウム塩、アルキロールアンモニウム塩、リン酸エステル塩、アクリル系ブロック共重合物、及びポリマー塩等が挙げられる。
【0145】
上記硬化物100重量%中、及び、上記半導体素子保護用材料100重量%中、分散剤の含有量は、好ましくは0.1重量%以上、より好ましくは0.2重量%以上であり、好ましくは2重量%以下、より好ましくは1重量%以下である。
【0146】
(半導体素子保護用材料の他の詳細及び半導体装置)
上記半導体素子保護用材料は、半導体素子を保護するために、上記半導体素子の表面上に塗布して用いられる。上記半導体素子保護用材料は、半導体素子と他の接続対象部材との間に配置されて、上記半導体素子と上記他の接続対象部材とを剥離しないように接着及び固定する硬化物を形成するものとは異なる。上記半導体素子保護用材料は、半導体素子の表面を被覆する被覆材料であることが好ましい。上記半導体素子保護用材料は、半導体素子の側面上に塗布されないことが好ましい。上記半導体素子保護用材料は、上記半導体素子を封止するための材料とは異なることが好ましく、上記半導体素子を封止するための封止剤ではないことが好ましい。上記半導体素子保護用材料は、アンダーフィル材ではないことが好ましい。上記半導体素子が、第2の表面側に第1の電極を有し、上記半導体素子保護用材料は、上記半導体素子の上記第2の表面側とは反対の第1の表面上に塗布されて用いられることが好ましい。上記半導体素子保護用材料は、半導体装置において、半導体素子を保護するために、上記半導体素子の表面上に硬化物を形成するために好適に用いられる。上記半導体素子保護用材料は、半導体素子を保護するために、上記半導体素子の表面上に硬化物を形成するために好適に用いられ、かつ上記硬化物の上記半導体素子側とは反対の表面上に保護フィルムを配置して、半導体装置を得るために好適に用いられる。上記半導体装置において、上記硬化物の電気伝導度は50μS/cm以下であることが好ましい。
【0147】
上記半導体素子保護用材料を塗布する方法としては、ディスペンサーによる塗布方法、スクリーン印刷による塗布方法、及びインクジェット装置による塗布方法等が挙げられる。上記半導体素子保護用材料は、ディスペンサー、スクリーン印刷、真空スクリーン印刷又はインクジェット装置による塗布方法により塗布されて用いられることが好ましい。塗布が容易であり、かつ硬化物中にボイドをより一層生じ難くする観点からは、上記半導体素子保護用材料は、ディスペンサーにより塗布されて用いられることが好ましい。
【0148】
本発明に係る半導体装置は、半導体素子と、上記半導体素子の第1の表面上に配置された硬化物とを備える。本発明に係る半導体装置では、上記硬化物が、上述した半導体素子保護用材料を硬化させることにより形成されている。
【0149】
上記半導体素子保護用材料は、半導体素子を保護するために、上記半導体素子の表面上に硬化物を形成し、かつ上記硬化物の上記半導体素子側とは反対の表面上に保護フィルムを配置して、半導体装置を得るために用いられるか、又は、半導体素子を保護するために、上記半導体素子の表面上に硬化物を形成し、かつ上記硬化物の上記半導体素子側とは反対の表面が露出している半導体装置を得るために用いられることが好ましい。本発明の効果がより一層有効に発揮されることから、上記半導体素子保護用材料は、ドライバICチップの保護用材料であることが好ましい。
【0150】
図1は、本発明の第1の実施形態に係る半導体素子保護用材料を用いた半導体装置を示す部分切欠正面断面図である。
【0151】
図1に示す半導体装置1は、半導体素子2と、半導体素子2の第1の表面2a上に配置された硬化物3とを備える。硬化物3は、上述した半導体素子保護用材料を硬化させることにより形成されている。硬化物3は、半導体素子2の第1の表面2a上の一部の領域に配置されている。
【0152】
半導体素子2は、第1の表面2a側とは反対の第2の表面2b側に、第1の電極2Aを有する。半導体装置1は、接続対象部材4をさらに備える。接続対象部材4は、表面4aに第2の電極4Aを有する。半導体素子2と接続対象部材4とは、他の硬化物5(接続部)を介して接着及び固定されている。半導体素子2は、接続対象部材4上に実装されている。半導体素子2の第1の電極2Aと、接続対象部材4の第2の電極4Aとが対向しており、導電性粒子6により電気的に接続されている。第1の電極2Aと第2の電極4Aとが接触することで、電気的に接続されていてもよい。硬化物3は、半導体素子2の第1の電極2Aが配置されている側と反対の第1の表面2a上に配置されている。硬化物3は、半導体素子2の接続対象部材4側と反対の第1の表面2a上に配置されている。
【0153】
硬化物3の半導体素子2側とは反対の表面上に、保護フィルム7が配置されている。それによって、硬化物3によって放熱性及び半導体素子の保護性を高めるだけでなく、保護フィルム7によっても、半導体素子の保護性をより一層高めることができる。硬化物3は、上述した組成を有して得られているため、硬化物3の保護フィルム7に対する貼り付きを抑えることができる。
【0154】
上記接続対象部材としては、ガラス基板、ガラスエポキシ基板及びフレキシブルプリント基板等が挙げられる。上記フレキシブルプリント基板としては、ポリイミド基板等の樹脂基板等が挙げられる。本発明の効果がより一層有効に発揮されることから、上記接続対象部材は、基板であることが好ましく、フレキシブルプリント基板であることが好ましく、樹脂基板であることが好ましく、ポリイミド基板であることがより好ましい。
【0155】
半導体素子の表面上において、半導体素子保護用材料の硬化物の厚みは、好ましくは400μm以上、より好ましくは500μm以上であり、好ましくは2000μm以下、より好ましくは1900μm以下である。半導体素子保護用材料の硬化物の厚みは、半導体素子の厚みよりも薄くてもよい。
【0156】
図2は、本発明の第2の実施形態に係る半導体素子保護用材料を用いた半導体装置を示す部分切欠正面断面図である。
【0157】
図2に示す半導体装置1Xは、半導体素子2と、半導体素子2の第1の表面2a上に配置された硬化物3Xとを備える。硬化物3Xは、上述した半導体素子保護用材料を硬化させることにより形成されている。硬化物3Xは、半導体素子2の第1の表面2a上の全体の領域に配置されている。硬化物3Xの半導体素子2側とは反対の表面上に、保護フィルムは配置されていない。硬化物3Xの半導体素子2側とは反対の表面は露出している。
【0158】
上記半導体装置では、上記硬化物の上記半導体素子側とは反対の表面上に、保護フィルムが配置されているか、又は、上記硬化物の上記半導体素子側とは反対の表面が露出していることが好ましい。
【0159】
なお、図1,2に示す構造は、半導体装置の一例にすぎず、半導体素子保護用材料の硬化物の配置構造等には適宜変形され得る。
【0160】
半導体素子保護用材料の硬化物の熱伝導率は特に限定されないが、1.1W/m・Kを超えることが好ましく、1.5W/m・K以上であることがより好ましく、1.8W/m・K以上であることが更に好ましい。
【0161】
以下、本発明の具体的な実施例及び比較例を挙げることにより、本発明を明らかにする。なお、本発明は以下の実施例に限定されない。
【0162】
以下の材料を用いた。
【0163】
(A1)エポキシ化合物
EX−821(n=4)((A11)可撓性エポキシ化合物、ナガセケムテックス社製、ポリエチレングリコールジグリシジルエーテル、エポキシ当量:185)
EX−830(n=9)((A11)可撓性エポキシ化合物、ナガセケムテックス社製、ポリエチレングリコールジグリシジルエーテル、エポキシ当量:268)
EX−931(n=11)((A11)可撓性エポキシ化合物、ナガセケムテックス社製、ポリプロピレングリコールジグリシジルエーテル、エポキシ当量:471)
EX−861(n=22)((A11)可撓性エポキシ化合物、ナガセケムテックス社製、ポリエチレングリコールジグリシジルエーテル、エポキシ当量:551)
PB3600(ダイセル社製、ポリプダジエン変性エポキシ樹脂、エポキシ当量:200)
jER828((A12)エポキシ化合物、三菱化学社製、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、エポキシ当量:188)
jER834((A12)エポキシ化合物、三菱化学社製、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、軟化点:30℃、エポキシ当量:255)
【0164】
(A2)シリコーン化合物
[シリコーン化合物であるポリマーAの合成]
温度計、滴下装置及び攪拌機を備えた1000mLのセパラブルフラスコに、ジメチルジメトキシシラン164.1g、メチルフェニルジメトキシシラン20.1g及び1,3−ジビニル−1,1,3,3−テトラメチルジシロキサン4.7gを入れ、50℃で攪拌した。その中に、水酸化カリウム2.2gを水35.1gに溶かした溶液をゆっくりと滴下し、滴下後に50℃で6時間攪拌し、反応させて、反応液を得た。次に、減圧して揮発成分を除去し、反応液に酢酸2.4gを加え、減圧下で加熱した。その後、酢酸カリウムをろ過により除去して、ポリマーAを得た。
【0165】
得られたポリマーAの数平均分子量は15000であった。29Si−NMRより化学構造を同定した結果、ポリマーAは、下記の平均組成式を有していた。
【0166】
(MeSiO2/20.85(PhMeSiO2/20.10(ViMeSiO1/20.05
【0167】
上記式中、Meはメチル基、Viはビニル基、Phはフェニル基を示す。得られたポリマーAのフェニル基及びメチル基の含有比率は97.6モル%、ビニル基の含有比率は2.4モル%であった。
【0168】
なお、各ポリマーの分子量は、10mgにテトラヒドロフラン1mLを加え、溶解するまで攪拌し、GPC測定により測定した。GPC測定では、Waters社製の測定装置(カラム:昭和電工社製 Shodex GPC LF−804(長さ300mm)×2本、測定温度:40℃、流速:1mL/min、溶媒:テトラヒドロフラン、標準物質:ポリスチレン)を用いた。
【0169】
[シリコーン化合物であるポリマーB〜Dの合成]
合成に用いる有機珪素化合物の種類及び配合量をかえたこと以外はポリマーAの合成と同様にして、ポリマーB〜Dを得た。
【0170】
ポリマーB:
(SiO4/20.20(ViMeSiO1/20.40(MeSiO1/20.40
数平均分子量 2000
フェニル基及びメチル基の含有比率は83.3モル%、ビニル基の含有比率は16.7モル%
【0171】
ポリマーC:
(MeSiO3/20.20(PhMeSiO2/20.70(ViMeSiO1/20.10
数平均分子量 4000
フェニル基及びメチル基の含有比率は94.7モル%、ビニル基の含有比率は5.3モル%
【0172】
ポリマーD:
(PhSiO3/20.80(ViMeSiO1/20.20
数平均分子量 1700
フェニル基及びメチル基の含有比率は85.7モル%、ビニル基の含有比率は14.3モル%
【0173】
[シリコーン化合物であるポリマーEの合成]
温度計、滴下装置及び攪拌機を備えた1000mLのセパラブルフラスコに、ジフェニルジメトキシシラン80.6g、及び1,1,3,3−テトラメチルジシロキサン45gを入れ、50℃で攪拌した。その中に、酢酸100gと水27gの溶液をゆっくりと滴下し、滴下後に50℃で6時間攪拌し、反応させて、反応液を得た。次に、減圧して揮発成分を除去してポリマーを得た。得られたポリマーにヘキサン150gと酢酸エチル150gとを添加し、イオン交換水300gで10回洗浄を行い、減圧して揮発成分を除去してポリマーEを得た。
【0174】
得られたポリマーEの数平均分子量は850であった。29Si−NMRより化学構造を同定した結果、ポリマーEは、下記の平均組成式を有していた。
【0175】
(PhSiO2/20.67(HMeSiO1/20.33
【0176】
上記式中、Meはメチル基、Phはフェニル基を示す。得られたポリマーEのフェニル基及びメチル基の含有比率は74.9モル%、珪素原子に結合した水素原子の含有比率は25.1%であった。
【0177】
[シリコーン化合物であるポリマーFの合成]
ポリマーEの合成において、イオン交換水での洗浄を1回に変更したこと以外は同様にして、ポリマーFを得た。
【0178】
[シリコーン化合物であるポリマーGの合成]
温度計、滴下装置及び攪拌機を備えた1000mLのセパラブルフラスコに、ジメチルジメトキシシラン80.6g、及び1,1,3,3−テトラメチルジシロキサン45gを入れ、50℃で攪拌した。その中に、酢酸100gと水27gの溶液をゆっくりと滴下し、滴下後に50℃で6時間攪拌し、反応させて、反応液を得た。次に、得られた反応液にヘキサン150gと酢酸エチル150gとを添加し、イオン交換水300gで10回洗浄を行い、分液にて溶剤成分を除去してポリマーGを得た。
【0179】
得られたポリマーGの数平均分子量は350であった。29Si−NMRより化学構造を同定した結果、ポリマーGは、下記の平均組成式を有していた。
【0180】
(MeSiO2/20.50(HMeSiO1/20.50
【0181】
上記式中、Meはメチル基を示す。得られたポリマーGのフェニル基及びメチル基の含有比率は80モル%、珪素原子に結合した水素原子の含有比率は20%であった。
【0182】
(B)硬化剤又は硬化触媒
フジキュアー7000(富士化成社製、23℃で液状、アミン化合物)
MEH−8005(明和化成社製、23℃で液状、アリルフェノールノボラック化合物)
TD−2131(DIC社製、23℃で固体状、フェノールノボラック化合物)
白金の1,3−ジビニル−1,1,3,3−テトラメチルジシロキサン錯体
【0183】
(D)硬化促進剤
SA−102(サンアプロ社製、DBUオクチル酸塩)
【0184】
(C)熱伝導率が10W/m・K以上である無機フィラー
FAN−f05(古河電子社製、窒化アルミニウム、熱伝導率:100W/m・K、球状、平均粒子径:6μm)
FAN−f50(古河電子社製、窒化アルミニウム、熱伝導率:100W/m・K、球状、平均粒子径:30μm)
CB−P05(昭和電工社製、酸化アルミニウム、熱伝導率:20W/m・K、球状、平均粒子径:4μm)
CB−P40(昭和電工社製、酸化アルミニウム、熱伝導率:20W/m・K、球状、平均粒子径:44μm)
SSC−A15(信濃電気精錬社製、炭化ケイ素、熱伝導率:100W/m・K、球状、平均粒子径:19μm)
SSC−A30(信濃電気精錬社製、炭化ケイ素、熱伝導率:100W/m・K、球状、平均粒子径:34μm)
【0185】
(C’)その他の無機フィラー
HS−306(マイクロン社製、酸化ケイ素、熱伝導率:2W/m・K、球状、平均粒子径:2.5μm)
HS−304(マイクロン社製、酸化ケイ素、熱伝導率:2W/m・K、球状、平均粒子径:25μm)
【0186】
(E)カップリング剤
KBM−403(信越化学工業社製、3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、100℃における重量減少:10重量%を超える)
A−LINK599(momentive社製、3−オクタノイルチオ−1−プロピルトリエトキシシラン、100℃における重量減少:10重量%以下)
TOG(IPAカット)(日本曹達社製、チタニウム−i−プロポキシオクチレングリコレート、100℃における重量減少:10重量%以下)
AL−M(味の素ファインテクノ社製、アセトアルコキシアルミニウムジイソプロピレート、100℃における重量減少:10重量%以下)
【0187】
(他の成分)
BYK−9076(BYK社製、分散剤)
【0188】
(F)イオン捕捉剤
IXE−300(東亞合成社製、酸化アンチモン系イオン捕捉剤)
IXE−600(東亞合成社製、酸化アンチモン・酸化ビスマス系イオン捕捉剤)
DHT−4A(協和化学工業社製、ハイドロタルサイト系イオン捕捉剤)
【0189】
(実施例1)
EX−821(n=4)を6.5重量部、jER828を2.5重量部、フジキュアー7000を5重量部、SA−102を0.5重量部、CB−P05を42.5重量部、CB−P40を42.5重量部、及びBYK−9076を0.5重量部混合し、脱泡を行い、半導体素子保護用材料を得た。
【0190】
(実施例2〜14、参考例15,16、実施例17〜21及び比較例1〜3
配合成分の種類及び配合量を下記の表1〜4に示すように変更したこと以外は実施例1と同様にして、半導体素子保護用材料を得た。
【0191】
(評価)
(1)25℃における粘度の測定
B型粘度計(東機産業社製「TVB−10型」)を用いて半導体素子保護用材料の25℃における10rpmでの粘度(Pa・s)を測定した。
【0192】
(2)(X)三量体から十量体までの環状シロキサン化合物の含有量
得られた半導体素子保護用材料において、ガスクロマトグラフ質量分析装置(GC−MS)(島津製作所社製「QP2010SE」)を用いて、(X)三量体から十量体までの環状シロキサン化合物の含有量を評価した。
【0193】
(3)(Y)水の含有量
得られた半導体素子保護用材料において、JIS K7215に準拠して、カールフィッシャー水分計(京都電子工業社製「MKV−710B」)を用いて(Y)水の含有量を評価した。
【0194】
(4)電気伝導度
半導体素子保護用材料を150℃で2時間硬化させて硬化物を得た。得られた硬化物を5mm角程度に粉砕し、粉砕物2.5gにイオン交換水25mLを加え、PCT(121℃±2℃/湿度100%/2atmの槽)で20Hr置いた。その後、室温まで冷却して得た抽出液を試験液として得た。この試験液の電気伝導度を伝導度計(東亜電波工業社製の電気伝導率計「CM−42X」)を用いて測定した。
【0195】
(5)熱伝導率
得られた半導体素子保護用材料を150℃で2時間加熱し、硬化させ、100mm×100mm×厚さ50μmの硬化物を得た。この硬化物を評価サンプルとした。
【0196】
得られた評価サンプルの熱伝導率を、京都電子工業社製熱伝導率計「迅速熱伝導率計QTM−500」を用いて測定した。なお、熱伝導率が1.1W/m・K以下である場合に、熱伝導率を「×」と判定した。
【0197】
(6)塗布性
得られた半導体素子保護用材料をディスペンサー装置(武蔵エンジニアリング社製「SHOTMASTER−300」)から、ポリイミドフィルムに直径5mm、高さ2mmになるように直接吐出した後、半導体素子保護用材料を150℃で2時間加熱して硬化させた。硬化後の半導体素子保護用材料の形状から塗布性を下記の基準で判定した。
【0198】
[塗布性の判定基準]
○:直径5.3mm以上、高さ1.8mm未満(流動性あり)
△:直径5mmを超え、5.3mm未満、高さ1.8mmを超え、2mm未満(流動性少しあり)
×:直径5mm、高さ2mmのまま(流動性なし)
【0199】
(7)ボイドの有無
ポリイミドフィルムにアンダーフィル剤(ナミックス社製、U8437−2)を幅3mm、長さ18mmになるように塗布し、幅3mm、長さ18mm、厚み0.3mmのSiチップを載せて、150℃で1時間硬化させた試験片を準備した。準備した試験片に、得られた半導体素子保護用材料をディスペンサー装置(武蔵エンジニアリング社製「SHOTMASTER−300」)から、Siチップを全て覆うように、幅5mm、長さ21mm、厚み0.9mmになるように直接吐出した後、半導体素子保護用材料を150℃で2時間加熱して硬化させた。硬化後の半導体素子保護用材料におけるボイドの有無を顕微鏡で観察し評価した。
【0200】
[ボイドの有無の判定基準]
○:ボイドなし
△:直径100μm未満の目視不能なボイドがある
△△:直径100μm以上、150μm未満の目視可能なボイドがある
×:直径150μm以上の目視可能なボイドがある
【0201】
(8)耐湿性
得られた半導体素子保護用材料を150℃で2時間加熱し、硬化させ、100mm×100mm×厚さ50μmの硬化物を得た。この硬化物を評価サンプルとした。
【0202】
得られた評価サンプルをDSM−8104(日置電機社製、ディジタル超絶縁/微少電流計)、平板試料用電極 SME−8310(日置電機社製)を用いて体積抵抗率を測定した。
【0203】
次に、プレッシャークッカー試験を高度加速寿命試験装置EHS−211(エスペック社製)で行った。121℃、湿度100%RH及び2atmの条件で24時間放置し、次に23℃及び湿度50%RHの環境で24時間放置した後、体積抵抗率を測定した。プレッシャークッカー試験前後の体積抵抗率の低下率を計算し、耐湿性を下記の基準で判定した。
【0204】
[耐湿性の判定基準]
○:試験前後の体積抵抗率の低下率が10%以下
△:試験前後の体積抵抗率の低下率が10%を超え、20%以下
×:試験前後の体積抵抗率の低下率が20%を超える
【0205】
(9)接着力(ダイシェア強度)
ポリイミド基板上に、接着面積が3mm×3mmになるように半導体素子保護用材料を塗布し、3mm角のSiチップを載せて、テストサンプルを得た。
【0206】
得られたテストサンプルを150℃で2時間加熱し、半導体素子保護用材料を硬化させた。次に、ダイシェアテスター(アークテック社製「DAGE 4000」)を用いて、300μm/秒の速度で、25℃でのダイシェア強度を評価した。
【0207】
[ダイシェア強度の判定基準]
○:ダイシェア強度が10N以上
△:ダイシェア強度が6N以上、10N未満
△△:ダイシェア強度が5N以上、6N未満
×:ダイシェア強度が5N未満
【0208】
(10)タック性(保護フィルムの貼り付き性)
得られた半導体素子保護用材料を150℃で2時間加熱し、硬化させ、100mm×100mm×厚さ50μmの硬化物を得た。この硬化物を評価サンプルとした。
【0209】
得られた評価サンプルを23℃及び湿度50%RHの雰囲気下で24時間放置した。24時間放置後直ちに、評価サンプルの表面の粘着性を、タックテスターTA−500(UBM社製)を用いタックを測定した。
【0210】
[タック性の判定基準]
○:応力が50gf/cm未満
△:応力が50gf/cm以上、100gf/cm未満
×:応力が100gf/cm以上
【0211】
(11)フィルム反り
得られた半導体素子保護用材料をディスペンサー装置(武蔵エンジニアリング社製「SHOTMASTER―300」)から、ポリイミドフィルムに縦20mm、横100mm、高さ10mmになるように直接吐出した後、半導体素子保護用材料を150℃で2時間加熱して硬化させた。硬化後にポリイミドフィルムの反りを目視で確認し、フィルム反りを下記の基準で判定した。
【0212】
[フィルム反りの判定基準]
○:ポリイミドフィルムの反りなし
△:ポリイミドフィルムの反りがわずかに発生(使用上問題なし)
×:ポリイミドフィルムの反り発生(使用上問題あり)
【0213】
(12)耐熱性
得られた半導体素子保護用材料を150℃で2時間加熱し、硬化させ、100mm×100mm×厚さ50μmの硬化物を得た。この硬化物を評価サンプルとした。
【0214】
得られた評価サンプルをDSM−8104(日置電機社製、ディジタル超絶縁/微少電流計)、平板試料用電極 SME−8310(日置電機社製)を用いて体積抵抗率の測定を測定した。
【0215】
次に、180℃で100時間放置し、次に23℃及び湿度50%RHの環境で24時間放置した後、体積抵抗率を測定した。耐熱試験前後の体積抵抗率の低下率を計算し、耐熱性を下記の基準で判定した。
【0216】
[耐熱性の判定基準]
○○:試験前後の体積抵抗率の低下率が5%以下
○:試験前後の体積抵抗率の低下率が5%を超え、10%以下
△:試験前後の体積抵抗率の低下率が10%を超え、20%以下
×:試験前後の体積抵抗率の低下率が20%を超える
【0217】
(13)絶縁信頼性
基板(ポリイミドフィルム)上に形成された櫛歯型電極(材質:銅の上にスズめっき、パターンピッチ:50μm、L/S=25μm/25μm)の上に、熱硬化ソルダーレジスト(日本ポリテック社製「NPR−3300」)を10μmの膜厚で塗布して150℃で1時間加熱硬化させて、テストパターンを準備した。上記テストパターンに半導体素子保護用材料を塗布し、150℃で2時間加熱硬化させて、試験片を得た。加熱後の試験片を85℃及び湿度85%の槽(エスペック社製「SH641」)へ入れ、マイグレーションテスター(IMV社製「MIG−8600B」)を用いて電極間に40Vの直流電圧を印加して、電極間の抵抗を測定した。絶縁信頼性を以下の基準で判定した。○、△又は△△の判定基準の場合に、絶縁信頼性は合格と判断され、実使用に支障が無い絶縁性保持性があり、絶縁信頼性に優れている。
【0218】
[絶縁信頼性の判定基準]
○:抵抗が1×10Ω以上で100時間以上持続し、絶縁性が非常に良好
△:抵抗が1×10Ω以上、1×10Ω未満で100時間以上持続し、絶縁性が良好
△△:100時間未満で抵抗が1×10Ω未満に低下するが、1×10Ω以上の抵抗を50時間以上、100時間未満持続し、絶縁性がやや良好
×:50時間未満で抵抗が1×10Ω未満に低下し、絶縁不良とみなされる
【0219】
(14)耐熱試験後のフィルム反り
上記(11)フィルム反りの評価後に、半導体素子保護用材料の硬化物とポリイミドフィルムとの積層体を、180℃で100時間放置した。放置後に、ポリイミドフィルムの反りを目視で確認し、耐熱試験後のフィルム反りを下記の基準で判定した。
【0220】
[耐熱試験後のフィルム反りの判定基準]
○:耐熱試験前のフィルムの反り量に対して、耐熱試験後のフィルムの反り量が1.1倍未満
△:耐熱試験前のフィルムの反り量に対して、耐熱試験後のフィルムの反り量が1.1倍以上、1.2倍未満
×:耐熱試験前のフィルムの反り量に対して、耐熱試験後のフィルムの反り量が1.2倍以上
【0221】
配合成分の詳細、組成及び結果を下記の表1〜4に示す。
【0222】
【表1】
【0223】
【表2】
【0224】
【表3】
【0225】
【表4】
【0226】
(実施例23)
半導体素子保護用材料の調製において、IXE−300(東亞合成社製、酸化アンチモン系イオン捕捉剤)0.5重量部を更に添加したこと以外は実施例1と同様にして、半導体素子保護用材料を得た。
【0227】
(実施例24)
半導体素子保護用材料の調製において、IXE−600(東亞合成社製、酸化アンチモン・酸化ビスマス系イオン捕捉剤)0.5重量部を更に添加したこと以外は実施例1と同様にして、半導体素子保護用材料を得た。
【0228】
(実施例25)
半導体素子保護用材料の調製において、DHT−4A(協和化学工業社製、ハイドロタルサイト系イオン捕捉剤)0.5重量部を更に添加したこと以外は実施例1と同様にして、半導体素子保護用材料を得た。
【0229】
(実施例26)
半導体素子保護用材料の調製において、IXE−300(東亞合成社製、酸化アンチモン系イオン捕捉剤)0.5重量部を更に添加したこと以外は実施例18と同様にして、半導体素子保護用材料を得た。
【0230】
(実施例27)
半導体素子保護用材料の調製において、IXE−600(東亞合成社製、酸化アンチモン・酸化ビスマス系イオン捕捉剤)0.5重量部を更に添加したこと以外は実施18と同様にして、半導体素子保護用材料を得た。
【0231】
(実施例28)
半導体素子保護用材料の調製において、DHT−4A(協和化学工業社製、ハイドロタルサイト系イオン捕捉剤)0.5重量部を更に添加したこと以外は実施例18と同様にして、半導体素子保護用材料を得た。
【0232】
(実施例29)
半導体素子保護用材料の調製において、IXE−600(東亞合成社製、酸化アンチモン・酸化ビスマス系イオン捕捉剤)0.5重量部を更に添加したこと以外は実施例19と同様にして、半導体素子保護用材料を得た。
【0233】
(実施例30)
半導体素子保護用材料の調製において、IXE−600(東亞合成社製、酸化アンチモン・酸化ビスマス系イオン捕捉剤)0.5重量部を更に添加したこと以外は実施例20と同様にして、半導体素子保護用材料を得た。
【0234】
(実施例31)
半導体素子保護用材料の調製において、IXE−600(東亞合成社製、酸化アンチモン・酸化ビスマス系イオン捕捉剤)0.5重量部を更に添加したこと以外は実施例21と同様にして、半導体素子保護用材料を得た。
【0235】
(評価)
実施例23〜31について、上記(13)絶縁信頼性の評価を実施した。
【0236】
この結果、実施例23〜31の絶縁信頼性の結果はいずれも、「○」であった。
【0237】
また、実施例1及び実施例23〜25の絶縁信頼性の結果は「○」であるが、100時間後の電圧の印加時の抵抗は、実施例23〜25の方が実施例1よりも高く、実施例23〜25の方が実施例1よりも絶縁信頼性に優れていた。また、実施例20及び実施例30の絶縁信頼性の結果は「○」であるが、100時間後の電圧の印加時の抵抗は、実施例30の方が実施例20よりも高く、実施例30の方が実施例20よりも絶縁信頼性に優れていた。また、実施例21及び実施例31の絶縁信頼性の結果は「○」であるが、100時間後の電圧の印加時の抵抗は、実施例31の方が実施例21よりも高く、実施例31の方が実施例21よりも絶縁信頼性に優れていた。
【0238】
なお、実施例23〜31については、実施例1〜14、参考例15,16、実施例17〜21及び比較例1〜3で行った他の評価項目についても、良好な結果が得られた。また、(A2)シリコーン化合物を用いた実施例19〜21の耐熱試験後のフィルム反りの結果における反り量の増加割合は、(A1)エポキシ化合物を用いた実施例1〜14、参考例15,16、及び実施例17の耐熱試験後のフィルム反りの結果における反り量の増加割合よりも小さかった。
【符号の説明】
【0239】
1,1X…半導体装置
2…半導体素子
2a…第1の表面
2b…第2の表面
2A…第1の電極
3,3X…硬化物
4…接続対象部材
4a…表面
4A…第2の電極
5…他の硬化物
6…導電性粒子
7…保護フィルム
図1
図2