(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記着圧付与領域及び前記凹凸編地領域は、つかみ幅15mm、つかみ間隔15mm、及び引張荷重20Nの条件の引張試験によって測定された前記軸方向の伸長率が、前記凹凸編地領域>前記着圧付与領域の関係を満たす請求項1に記載の衣類。
脚の膝を含む部分に着用され、前記膝をサポートする膝サポート部、前記脚の前記膝に対して太腿側をサポートする太腿側サポート部、及び前記脚の前記膝に対して脛側をサポートする脛側サポート部を含む筒型のサポーター本体を備え、
前記膝サポート部の平均着圧Aと前記太腿側サポート部及び前記脛側サポート部の平均着圧Bとが、前記平均着圧A>前記平均着圧Bの関係を満たし、
前記太腿側サポート部及び前記脛側サポート部のうちの少なくとも一部の領域Rについて、つかみ幅15mm、つかみ間隔15mm、及び引張荷重20Nの条件の引張試験によって測定された軸方向の伸長率及び周方向の伸長率が、前記軸方向の伸長率>前記周方向の伸長率の関係を満たす膝用サポーター。
前記膝サポート部における膝蓋骨の中心に相当する位置Xを中心とする測定範囲X1、膝窩部の中心に相当する位置Yから軸方向に延ばした延長線上であって前記太腿側サポート部における軸方向の中心である位置Tを中心とする測定範囲T1、及び膝窩部の中心に相当する位置Yから軸方向に延ばした延長線上であって前記脛側サポート部における軸方向の中心である位置Sを中心とする測定範囲S1の各々について、つかみ幅15mm、つかみ間隔15mm、及び引張荷重20Nの条件の引張試験によって周方向の伸長率を測定したときに、
前記測定範囲X1の周方向の伸長率が、前記測定範囲T1の周方向の伸長率及び前記測定範囲S1の周方向の伸長率のいずれよりも低い請求項10〜請求項14のいずれか1項に記載の膝用サポーター。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、本発明の実施形態の第1〜第4態様について説明する。
本明細書中において、「〜」を用いて表される数値範囲は、「〜」の前後に記載される数値を下限値及び上限値として含む範囲を意味する。
また、本明細書中において、「筒型のサポーター本体の軸方向」は、筒型のサポーター本体の形状を筒形状に維持したときの筒形状の軸方向を指す。本明細書中では、「筒型のサポーター本体の軸方向」を、単に「軸方向」ということがある。本明細書中における「軸方向」は、膝用サポーターの技術分野において「縦方向」と呼ばれることがある方向であり、筒型のサポーター本体に対して脚が挿入される方向ということもできる。
また、本明細書中において、「筒型のサポーター本体の周方向」は、筒型のサポーター本体の形状の筒形状に維持したときの周方向を指す。本明細書中では、「筒型のサポーター本体の周方向」を、単に「周方向」ということがある。本明細書中における「周方向」は、膝用サポーターの技術分野において「横方向」と呼ばれることがある方向である。
また、本明細書中では、脚の膝蓋骨の側を、「正面」又は「前面」と称することがあり、脚の膝窩部(いわゆる膝裏)の側を、「背面」又は「後面」と称することがある。
また、本明細書中では、膝蓋骨から見て股関節側の方向を「上」と称し、膝蓋骨から見て踝側の方向を「下」と称することがある。
また、本明細書中では、平均着圧Aから平均着圧Bを差し引いた値(即ち、平均着圧A−平均着圧Bの値)を「着圧差〔平均着圧A−平均着圧B〕」ということがあり、平均着圧Aから平均着圧B1を差し引いた値(即ち、平均着圧A−平均着圧B1の値)を「着圧差〔平均着圧A−平均着圧B1〕」ということがあり、平均着圧Aから平均着圧B2を差し引いた値(即ち、平均着圧A−平均着圧B2の値)を「着圧差〔平均着圧A−平均着圧B2〕」ということがある。
【0021】
〔第1態様及び第2態様〕
本実施形態の第1態様に係る膝用サポーターは、脚の膝を含む部分に着用され、膝をサポートする膝サポート部、脚の膝に対して太腿側をサポートする太腿側サポート部、及び脚の膝に対して脛側をサポートする脛側サポート部を含む筒型のサポーター本体を備え、膝サポート部の平均着圧Aと太腿側サポート部及び脛側サポート部の平均着圧Bとが、平均着圧A>平均着圧Bの関係を満たし、太腿側サポート部及び脛側サポート部のうちの少なくとも一部の領域Rについて、つかみ幅15mm、つかみ間隔15mm、及び引張荷重20Nの条件の引張試験によって測定された軸方向の伸長率及び周方向の伸長率が、軸方向の伸長率>周方向の伸長率の関係を満たす。
【0022】
第1態様に係る膝用サポーターは、上記軸方向の伸長率が、150%以上であることが好ましい。
【0023】
本実施形態の第2態様に係る膝用サポーターは、脚の膝を含む部分に着用され、膝をサポートする膝サポート部、脚の膝に対して太腿側をサポートする太腿側サポート部、及び脚の膝に対して脛側をサポートする脛側サポート部を含む筒型のサポーター本体を備え、膝サポート部の平均着圧Aと太腿側サポート部及び脛側サポート部の平均着圧Bとが、平均着圧A>平均着圧Bの関係の関係を満たし、太腿側サポート部及び脛側サポート部のうちの少なくとも一部の領域Rについて、つかみ幅15mm、つかみ間隔15mm、及び引張荷重20Nの条件の引張試験によって測定された軸方向の伸長率が、150%以上である。
【0024】
本発明者等の検討により、膝用サポーターが、膝をサポートする膝サポート部、脚の膝に対して太腿側をサポートする太腿側サポート部、及び脚の膝に対して脛側をサポートする脛側サポート部を含む筒型のサポーター本体を備え、かつ、膝サポート部の平均着圧Aと太腿側サポート部及び脛側サポート部の平均着圧Bとが、平均着圧A>平均着圧Bの関係を満たす場合(即ち、膝サポート部の平均着圧Aが太腿側サポート部及び脛側サポート部の平均着圧Bよりも高い場合)に、着用者の体感として、脚に対するサポート感及びフィット感が特に向上することが明らかとなった。
この理由は明らかではないが、平均着圧A>平均着圧Bの関係を満たすことにより、この膝用サポーターを着用した着用者が、膝サポート部によってサポートされている膝において、実際の平均着圧Aよりも高い着圧でサポートされている感覚(即ち、錯覚)を持つためと考えられる。
【0025】
更に、本発明者等の検討により、平均着圧A>平均着圧Bの関係を満たす場合、サポート感及びフィット感は向上するものの、膝関節の曲げ伸ばし動作に対する膝用サポーターの追従性(以下、「動作追従性」ともいう)が損なわれる場合があることも判明した。
本発明者等は、更に検討した結果、平均着圧A>平均着圧Bの関係を満たす場合であっても、太腿側サポート部及び脛側サポート部のうちの少なくとも一部の領域Rについて、下記(1)及び(2)の少なくとも一方を満たすことにより、着用者の体感として、動作追従性が改善することを見出した。
(1)つかみ幅15mm、つかみ間隔15mm、及び引張荷重20Nの条件の引張試験によって測定された軸方向の伸長率及び周方向の伸長率が、軸方向の伸長率>周方向の伸長率の関係である。
(2)上記(1)に示した条件の引張試験によって測定された軸方向の伸長率が150%以上である。
【0026】
従って、第1態様及び第2態様に係る膝用サポーターは、脚の膝を含む部分に着用されたときに、サポート感及びフィット感に優れ、かつ、膝関節の曲げ伸ばし動作に対する追従性(動作追従性)にも優れる。
【0027】
本明細書中において、「平均着圧」とは、着圧(サポーター本体による締め付け圧)の平均値を意味する。
本明細書中における、平均着圧A、平均着圧B、平均着圧B1、及び平均着圧B2の具体的な測定方法については後述する。
【0028】
本実施形態の膝用サポーター(即ち、第1態様及び第2態様に係る膝用サポーター。以下同じ。)では、膝サポート部の平均着圧Aと太腿側サポート部及び脛側サポート部の平均着圧Bとが、平均着圧A>平均着圧Bの関係を満たしている。言い換えれば、本実施形態の膝用サポーターでは、着圧差〔平均着圧A−平均着圧B〕が0を超えている。
着圧差〔平均着圧A−平均着圧B〕としては、サポート感及びフィット感をより向上させる観点から、0.8kPa以上が好ましく、1.0kPa以上がより好ましく、1.2kPa以上が特に好ましい。
一方、着圧差〔平均着圧A−平均着圧B〕としては、過度の圧迫を抑制することにより快適性をより向上させる観点から、3.5kPa以下が好ましく、3.3kPa以下がより好ましく、3.0kPa以下が更に好ましく、2.8kPaが更に好ましく、2.5kPaが特に好ましい。
【0029】
また、本明細書中において、「伸長率」とは、特に断りが無い限り、つかみ幅15mm、つかみ間隔15mm、及び引張荷重20Nの条件の引張試験によって測定された伸長率を指す。
「伸長率」は、下記式1により算出される値を指す。
【0030】
伸長率(%) = (L
20/L
0)×100 … 式1
〔式1において、L
0は、初期(即ち非伸長時)のつかみ間隔を指し、具体的には、15mmである。L
20は、20Nの引張荷重が印加された状態(即ち伸長時)でのつかみ間隔を指す。〕
【0031】
伸長率を測定するための引張試験は、膝用サポーターの一部を、つかみ幅15mm及びつかみ間隔15mmで引張試験機に固定し、15mm/minの引張速度にて行う。
また、引張試験は、膝用サポーターの一部に対して実施することが困難な場合には、膝用サポーターから30mm角の試験片を切り出し、切り出された試験片に対して実施してもよい。また、引張試験は、膝用サポーターと同一構成(同一編成)30mm角の試験片を作製し、作製した試験片に対して実施してもよい。
試験回数は5回とし、5回の測定値から、最大値及び最小値を除いた3つの測定値から平均値を求め、この平均値を「伸長率」として採用する。
引張試験の装置は一般的な引張試験機を用いることができるが、例えば、(株)島津製作所製のオートグラフ「AGS−X 1kN」を用いることができる。
【0032】
第1態様に係る膝用サポーターの領域Rでは、上述のとおり、上記軸方向の伸長率>上記周方向の伸長率の関係が満たされる。言い換えれば、第1態様に係る膝用サポーターでは、上記周方向の伸長率に対する上記軸方向の伸長率の比率(以下、「比率〔軸方向の伸長率/周方向の伸長率〕」ともいう)が1を超えている。これにより、動作追従性が向上する。
比率〔軸方向の伸長率/周方向の伸長率〕としては、動作追従性をより向上させる観点から、1.2以上が好ましく、1.4以上がより好ましい。
一方、比率〔軸方向の伸長率/周方向の伸長率〕としては、サポート感及びフィット感の観点から、5.0以下が好ましく、3.8以下がより好ましく、3.2以下が特に好ましい。
【0033】
また、第1態様に係る膝用サポーターの領域Rは、上記軸方向の伸長率及び上記周方向の伸長率が、軸方向の伸長率>周方向の伸長率の関係を満たすが、動作追従性をより向上させる観点から、軸方向の伸長率>周方向の伸長率+100の関係を満たすことが好ましく、軸方向の伸長率>周方向の伸長率+200の関係を満たすことがより好ましく、軸方向の伸長率>周方向の伸長率+250の関係を満たすことが更に好ましい。
【0034】
第1態様及び第2態様に係る膝用サポーターの領域Rの上記軸方向の伸長率としては、200%以上がより好ましく、300%以上が更に好ましく、400%以上が更に好ましく、500%以上が更に好ましく、600%以上が更に好ましい。
【0035】
本明細書中において、単に「伸長率」というときは、軸方向(縦方向)の伸長率及び周方向(横方向)の伸長率の両方を意味する。
【0036】
以下、本実施形態の膝用サポーター(即ち、第1態様及び第2態様に係る膝用サポーター。以下同じ。)の更に好ましい形態について説明する。
【0037】
平均着圧Bは、0kPa以上であれば特に制限はないが、サポート感及び快適性をより向上させる観点から、0.1kPa以上であることが好ましい。
平均着圧Bとしては、0.5kPa以上がより好ましく、1.0kPa以上が更に好ましい。
【0038】
平均着圧Aは、平均着圧A>平均着圧Bの関係を満たす限り特に制限はない。平均着圧Aは、サポート感及び快適性をより向上させる観点から、1.5kPa以上であることが好ましく、2.0kPa以上であることがより好ましく、2.6kPa以上であることが更に好ましい。
【0039】
平均着圧Aの上限には特に制限はないが、過度の圧迫を抑制することにより快適性をより向上させる観点から、平均着圧Aは、10.0kPa以下であることが好ましく、8.0kPa以下であることがより好ましい。
【0040】
また、本実施形態では、脚に対するサポート感及びフィット感をより向上させる観点から、膝サポート部の平均着圧Aと太腿側サポート部の平均着圧B1とが、平均着圧A>平均着圧B1の関係を満たすことが好ましく、平均着圧A−平均着圧B1≧0.8kPaの関係を満たすことがより好ましく、平均着圧A−平均着圧B1≧1.0kPaの関係を満たすことが特に好ましい。
また、本実施形態では、脚に対するサポート感及びフィット感をより向上させる観点から、膝サポート部の平均着圧Aと脛側サポート部の平均着圧B2とが、平均着圧A>平均着圧B2の関係を満たすことが好ましく、平均着圧A−平均着圧B2≧0.8kPaの関係を満たすことがより好ましく、平均着圧A−平均着圧B2≧1.0kPaの関係を満たすことが特に好ましい。
【0041】
本実施形態では、脚に対するサポート感及びフィット感を特に向上させる観点から、
平均着圧Aと平均着圧B1とが、平均着圧A>平均着圧B1の関係を満たし、かつ、平均着圧Aと平均着圧B2とが、平均着圧A>平均着圧B2の関係を満たすことが好ましく、
平均着圧Aと平均着圧B1とが、平均着圧A−平均着圧B1≧0.8kPaの関係を満たし、かつ、平均着圧Aと平均着圧B2とが、平均着圧A−平均着圧B2≧0.8kPaの関係を満たすことがより好ましく、
平均着圧Aと平均着圧B1とが、平均着圧A−平均着圧B1≧1.0kPaの関係を満たし、かつ、平均着圧Aと平均着圧B2とが、平均着圧A−平均着圧B2≧1.0kPaの関係を満たすことが特に好ましい。
【0042】
平均着圧B1は、0kPa以上であれば特に制限はないが、サポート感及び快適性をより向上させる観点から、0.1kPa以上であることが好ましい。
平均着圧B1としては、0.5kPa以上がより好ましく、1.0kPa以上が更に好ましい。
【0043】
平均着圧B2は、0kPa以上であれば特に制限はないが、サポート感及び快適性をより向上させる観点から、0.1kPa以上であることが好ましい。
平均着圧B2としては、0.5kPa以上がより好ましく、1.0kPa以上が更に好ましい。
【0044】
本実施形態の膝用サポーターは、膝サポート部を、膝サポート部における膝蓋骨の中心に相当する位置Xと膝サポート部における膝窩部の中心に相当する位置Yとの距離が長くなる方向に5kgの力で伸ばした場合に、膝サポート部の伸び率が180%〜280%であることが好ましい。
膝サポート部の伸び率が180%以上であることにより、着用者の体感として、膝関節の曲げ伸ばしをやり易くなる。
膝サポート部の伸び率が280%以下であることにより、着用者の体感として、膝に対する高いサポート感が維持される。
ここで、膝サポート部の伸び率は、膝サポート部の置き寸(即ち、上述の伸ばす操作を行う前の膝サポート部の長さ)に対する膝サポート部の伸び寸(即ち、上述の伸ばす操作を行った後の膝サポート部の長さ)の割合(%)を意味する。
【0045】
ここで、
図7を参照し、膝サポート部の置き寸について説明し、
図8を参照し、膝サポート部の伸び寸について説明する。
図7は、膝用サポーターを、膝用サポーターの右側と左側とが重なるようにして平置きした様子を示す概念図である。
置き寸を測定する際には、まず、
図7に示すように、膝用サポーター100を、膝用サポーター100の右側と左側とが重なるようにし、かつ、位置X及び位置Yが両端部に配置されるようにして水平な机上に平置きする。次いでその膝用サポーター100の上に350mm×350mm×5mmのアクリル板(不図示;例えば三菱アクリライト製EX−001)を載せ、この状態で位置Xと位置Yとの距離を測定する。測定された位置Xと位置Yとの距離を、置き寸L101とする。
図8は、膝用サポーターを、位置Xと位置Yとの距離が離れる方向に伸ばした様子を示す概念図である。
伸び寸を測定する際には、まず、互いの距離が離れる方向に相対移動な、伸び寸測定用の一対のL字型アームを準備する。上記一対のL字型アーム(不図示)を膝用サポーター100の内部空間に挿入し、一方のL字型アームの突出し部を位置Xに配置させ、かつ、一方のL字型アームの突出し部を位置Yに配置させる。次いで、一方のL字型アームと他方のL字型アームとを互いの距離が離れる方向に相対移動させることにより、膝サポート部10を、位置Xと位置Yとの距離が離れる方向に5kgの力で内部から押し伸ばす。押し伸ばされた状態の位置Xと位置Yとの距離を測定し、伸び寸L102とする。
なお、
図7及び
図8に示す膝用サポーター100の詳細は後述する(
図1〜
図4参照)。
【0046】
膝サポート部の伸び率は、例えば、大竹工作所製の「新おもり式寸法測定器(ソックス用)」を用いて測定することができる。
【0047】
上記膝サポート部の伸び率の上限は、260%であることがより好ましく、240%であることが特に好ましい。
【0048】
上記膝サポート部の伸び率が180%〜280%である態様において、位置X、位置Y、及び位置Xと位置Yとの中間位置の合計3点について、それぞれ、つかみ幅15mm、つかみ間隔15mm、及び引張荷重20Nの条件の引張試験によって周方向の伸長率を測定した場合に、3つの測定値の全てが100%〜250%の範囲に含まれ、かつ、3つの測定値における最大値と最小値との差が0%〜80%であることが好ましい。
周方向の伸長率の測定方法については前述のとおりである。
これにより、膝関節の曲げ伸ばしのやり易さ、及び、膝に対する高いサポート感がより効果的に両立される。
【0049】
ここでいう「周方向の伸長率」は、膝サポート部中の部分的な伸長率であり、生地一枚分の伸長率である。
これに対し、上述した「膝サポート部の伸び率」は、膝サポート部全体の伸び率であり、しかも生地二枚分(右側及び左側)の伸び率である。
【0050】
また、膝用サポーターは、脚(即ち、下肢)の膝を含む部分に着用される。
膝用サポーターの軸方向長さは、着用時、膝用サポーターの上端が股関節より下となり膝用サポーターの下端が踝より上となる長さが好適である。
以下、サポート感向上、フィット感向上、及び動作追従性向上の効果をより効果的に発揮させる観点からみた、膝サポート部、大腿側サポート部、及び脛側サポート部の各々の長さの好ましい範囲について説明する。
【0051】
膝サポート部の軸方向長さ(例えば、後述する
図3及び
図4中の軸方向長さL10)は適宜設定され得るが、サポート感、フィット感、及び動作追従性の効果をより効果的に発揮させる観点から、60mm〜200mmが好ましい。
太腿側サポート部の軸方向長さ(例えば、後述する
図3及び
図4中の軸方向長さL12)は適宜設定され得るが、サポート感、フィット感、及び動作追従性の効果をより効果的に発揮させる観点から、30mm〜200mmが好ましい。
脛側サポート部の軸方向長さ(例えば、後述する
図3及び
図4中の軸方向長さL14)は適宜設定され得るが、サポート感、フィット感、及び動作追従性の効果をより効果的に発揮させる観点から、30mm〜200mmが好ましい。
なお、本明細書中における軸方向長さは、非伸長時の軸方向長さを意味する。
【0052】
本実施形態の膝用サポーターは、上述した領域Rを含む。
領域Rは、上述したとおり、太腿側サポート部及び脛側サポート部のうちの少なくとも一部の領域であって、下記(1)及び(2)の少なくとも一方を満たす領域である。
(1)つかみ幅15mm、つかみ間隔15mm、及び引張荷重20Nの条件の引張試験によって測定された軸方向の伸長率及び周方向の伸長率が、軸方向の伸長率>周方向の伸長率の関係である。
(2)上記(1)に示した条件の引張試験によって測定された軸方向の伸長率が150%以上である。
【0053】
領域Rは、太腿側サポート部及び脛側サポート部のうちの一部の領域であってもよいし、太腿側サポート部及び脛側サポート部の全領域(全体)であってもよい。
領域Rが太腿側サポート部及び脛側サポート部のうちの一部の領域である場合、領域Rは、太腿側サポート部の少なくとも一部の領域であってもよいし、脛側サポート部の少なくとも一部の領域であってもよいし、太腿側サポート部の少なくとも一部の領域と脛側サポート部の少なくとも一部の領域との組み合わせ(但し、太腿側サポート部及び脛側サポート部の全領域である場合を除く)であってもよい。
領域Rが太腿側サポート部及び脛側サポート部のうちの一部の領域である場合、領域Rは、太腿側サポート部及び脛側サポート部の各々が、伸長率が異なる複数の領域に分割されている場合の一部の領域であることが好ましい。ここでいう「分割」は、周方向の分割(即ち、2つ以上の短冊状の部分が生じる分割)であってもよいし、軸方向の分割(即ち、2つ以上の筒形状の部分が生じる分割)であってもよいが、周方向の分割であることが好ましい。
領域Rが太腿側サポート部及び脛側サポート部のうちの一部の領域である場合、領域Rは、膝窩部の中心に相当する位置Yから軸方向に延ばした延長線を含むことが好ましい。
【0054】
領域Rは、膝窩部の中心に相当する位置Yから軸方向に延ばした延長線を中心として幅100mmの範囲(例えば、後述する
図4中の範囲Y1及び範囲Y2)を少なくとも含むことが好ましい。これにより、動作追従性がより向上する。
【0055】
また、膝用サポーターは、膝サポート部における膝蓋骨の中心に相当する位置X(例えば、後述する
図3中の位置X)を中心とする測定範囲X1、膝窩部の中心に相当する位置Yから軸方向に延ばした延長線上であって太腿側サポート部における軸方向の中心である位置T(例えば、後述する
図4中の位置T)を中心とする測定範囲T1、及び膝窩部の中心に相当する位置Yから軸方向に延ばした延長線上であって脛側サポート部における軸方向の中心である位置S(例えば、後述する
図4中の位置S)を中心とする測定範囲S1の各々について、つかみ幅15mm、つかみ間隔15mm、及び引張荷重20Nの条件の引張試験によって周方向の伸長率を測定したときに、測定範囲X1の周方向の伸長率が、測定範囲T1の周方向の伸長率及び測定範囲S1の周方向の伸長率のいずれよりも低いことが好ましい。これにより、平均着圧A>平均着圧Bの関係をより満たしやすくなる。
【0056】
また、膝用サポーターは、測定範囲X1、測定範囲T1、及び測定範囲S1について、上記条件の引張試験によって軸方向の伸長率を測定したときに、測定範囲X1の軸方向の伸長率が、測定範囲T1の軸方向の伸長率及び測定範囲S1の軸方向の伸長率のいずれよりも低いことが好ましい。これにより、平均着圧A>平均着圧Bの関係をより満たしやすくなる。
【0057】
また、少なくとも、太腿側サポート部、膝サポート部、及び脛側サポート部は、丸編みによって連続的に製造されたものであることが好ましい。これにより、太腿側サポート部、膝サポート部、及び脛側サポート部が、別個に製造され、次いでこれらを縫い合わせた場合と比較して、縫い目によって形成された突起部による違和感を生じることなく、着用時のフィット感がより向上するという効果が奏される。更に、太腿側サポート部、膝サポート部、及び脛側サポート部が、丸編みによって連続的に製造されたものであると、伸長率を確保し易いという効果も奏される。
【0058】
また、筒型のサポーター本体の形状は、少なくとも2つの開口部を有する筒形状であればよく、その他には特に制限はない。
筒型のサポーター本体を平たく潰して略平面形状とした場合の平面視における形状は、軸方向について対称であっても非対称であってもよく、また、周方向について対称であっても非対称であってもよい。上記平面視における形状は、略長方形であってもよいし、一部が湾曲した形状であってもよい。
筒型のサポーター本体に含まれる太腿側サポート部、膝サポート部、及び脛側サポート部の境界ラインは、直線状であっても、湾曲していても、波線状であってもよい。
また、太腿側サポート部、膝サポート部、及び脛側サポート部の編み組織は、一体的に編まれていてもよいし、一体的に編まれていなくてもよい。
筒型のサポーター本体は、さらに、その編み組織の一部に孔やスリットを有していてもよい。
【0059】
また、少なくとも、太腿側サポート部、膝サポート部、及び脛側サポート部の全体の構造に着目すると、上述した着用時のフィット感及び伸長率の確保の観点から、上記全体の構造は、シームレス構造であることが好ましい。
ここで、シームレス構造とは、軸方向の縫い目(例えば、縫い合わせにより筒形状を形成するための縫い目)も周方向の縫い目(例えば、各部を縫い合わせるための縫い目)も無い一体型の構造を意味する。
シームレス構造の、太腿側サポート部、膝サポート部、及び脛側サポート部の全体は、例えば、太腿側サポート部、膝サポート部、及び脛側サポート部を、丸編みによって連続的に製造することにより形成できる。
【0060】
また、筒型のサポーター本体(好ましくは、太腿側サポート部及び脛側サポート部の少なくとも一方)は、後述の第4態様における凹凸組織領域を含んでいてもよい。筒型のサポーター本体が凹凸組織領域を含む場合の凹凸組織領域の好ましい態様については、第4態様を参照することができる。
【0061】
また、筒型のサポーター本体は、更に、太腿側サポート部から見て膝サポート部の反対側に配置された太腿側口ゴム部、及び、脛側サポート部から見て膝サポート部の反対側に配置された脛側口ゴム部を含むことが好ましい。これにより、サポーター本体の着用ずれ(例えば、ずれ落ち)やめくれがより効果的に抑制される。
筒型のサポーター本体が太腿側口ゴム部及び脛側口ゴム部を含む場合、太腿側口ゴム部及び脛側口ゴム部は、それぞれ、縫い合わせによって太腿側サポート部及び脛側サポート部と接続されていてもよいし、それぞれ、丸編みによって太腿側サポート部及び脛側サポート部とともに連続的に製造されていてもよい。
上述した着用時のフィット感及び伸長率の確保の観点から、太腿側口ゴム部及び脛側口ゴム部は、それぞれ、丸編みによって太腿側サポート部及び脛側サポート部とともに連続的に製造されていることが好ましい。
また、同様の観点から、太腿側口ゴム部、太腿側サポート部、膝サポート部、脛側サポート部、及び脛側口ゴム部の全体の構造は、シームレス構造であることが好ましい。
【0062】
また、少なくとも上記太腿側口ゴム部の裏面(即ち、脚との対向面。以下同じ。)の少なくとも一部には、膝用サポーターのずれ落ち抑制の観点から、樹脂層(例えばシリコーンゴム層)が設けられていることが好ましい。樹脂層は、例えば印刷によって形成できる。樹脂層は、脛側口ゴム部の裏面に設けられていてもよい。
【0063】
さらに、膝用サポーターは、サポーター本体以外のその他の部材を備えていてもよい。
その他の部材としては、例えば膝の脇に対応する位置に設けられ、適度に膝の動きを制御することによって膝を保護する棒状の支持部材(ステー);サポーター本体を脚に固定するため又はサポート感を向上するための固定ベルト;ポケット、タグ、等が挙げられる。これらは、サポーター本体とは分離して配置されていてもよく、又はサポーター部に縫い付けられるなどにより一体として配置されていてもよい。その他の部材のサポータ本体における配置は、特に限定されない。
これらの中でも、特に、太腿側口ゴム部の表面(脚との対向面に対して反対側の面)に固定ベルトを備えることにより、膝用サポーターのずれ落ちをより効果的に抑制できる。固定ベルトは、脚に対する締め付け力を調整する部材(例えば、面ファスナー、バックル、サイドリリースバックル、ワイヤアジャスタ、等)を備えることが好ましい。
また、その他の部材として、サポーター本体の編み組織の表面には樹脂を付してもよい。樹脂を付する方法としては、スプレー、転写(例えば、熱転写)、樹脂含浸、グラビア印刷、スクリーン捺染、ロータリー捺染、熱圧着、接着などが挙げられる。樹脂としては、弾性樹脂(例えば、ウレタン樹脂など)が好ましい。
膝用サポーターは、単独で着用してもよいし、湿布や包帯などを付けた上に、重ねて着用してもよい。
【0064】
<第1態様及び第2態様の具体例>
次に、図面を参照しながら、本実施形態(第1態様及び第2態様)の具体例について説明する。しかし、本実施形態は、以下の具体例に限定されることはない。
【0065】
なお、本明細書中では、各図面に共通の要素については、同一の符号を付し、重複した説明を省略することがある。
【0066】
図1は、具体例に係る膝用サポーターが脚の膝を含む部分に着用された状態を側方から見た概略図である。
図2は、具体例に係る膝用サポーターが脚の膝を含む部分に着用された状態を膝窩部側から見た概略図である。
図1及び
図2に示すように、本具体例に係る膝用サポーターは筒型のサポーター本体100からなり、脚101の膝101Aを含む部分に着用されて使用される。
【0067】
サポーター本体100は、膝サポート部10、太腿側サポート部12、及び脛側サポート部14を含んでいる。
サポーター本体100は、更に、太腿側サポート部12から見て膝サポート部10の反対側に配置された太腿側口ゴム部13、及び、脛側サポート部14から見て膝サポート部10の反対側に配置された脛側口ゴム部15を含んでいる。
膝サポート部10、太腿側サポート部12、脛側サポート部14、太腿側口ゴム部13、及び脛側口ゴム部15は、各々、筒型形状を有しており、これらが一体化して筒型形状のサポーター本体100が形成されている。
膝サポート部10は、膝101A及び膝裏101Dをサポートする部分であり、太腿側サポート部12は、脚101の膝101Aに対して太腿側の部分101Bをサポートする部分であり、脛側サポート部14は、脚101の膝101Aに対して脛側の部分101Cをサポートする部分である。
【0068】
太腿側口ゴム部13は、太腿側サポート部12から見て膝サポート部10の反対側(詳細には、サポーター本体100の太腿側の端部)に位置する部分であり、脛側口ゴム部15は、脛側サポート部14から見て膝サポート部10の反対側(詳細には、サポーター本体100の脛側の端部)に位置する部分である。
太腿側口ゴム部13及び脛側口ゴム部15は、着用時のサポーター本体100のずれ落ち及びめくれを防止する機能を有している。
【0069】
サポーター本体100において、各部の境界線は、外見上、必ずしも明確である必要はない。各部の境界線が外見上明確でない場合であっても、各部の境界線は、各部の伸長率の差によって区別することができる。
【0070】
また、サポーター本体100中、太腿側口ゴム部13、太腿側サポート部12、膝サポート部10、脛側サポート部14、及び脛側口ゴム部15は、丸編みによって連続的に製造されており、これらの全体の構造がシームレス構造となっている。これにより、着用時のフィット感に特に優れたものとなっている。
但し、サポーター本体100は、太腿側口ゴム部13を太腿側サポート部12に縫い合わせ、かつ、脛側口ゴム部15を脛側サポート部14に縫い合わせることにより、製造されてもよい。
また、本実施形態はこの一例に限られず、各部を単独の部材として別々に製造しておき、次いで各部を縫い合わせることによってサポーター本体を製造しても構わない。
【0071】
サポーター本体100では、膝サポート部10の平均着圧Aと太腿側サポート部12及び脛側サポート部14の平均着圧Bとが、着圧差〔平均着圧A−平均着圧B〕>0kPaの関係を満たしている。
更に、サポーター本体100では、膝サポート部10の平均着圧Aと太腿側サポート部12の平均着圧B1とが、着圧差〔平均着圧A−平均着圧B1〕>0kPaの関係を満たしている。
更に、サポーター本体100では、膝サポート部10の平均着圧Aと脛側サポート部14の平均着圧B2とが、着圧差〔平均着圧A−平均着圧B2〕>0kPaの関係を満たしている。
着圧差〔平均着圧A−平均着圧B〕、着圧差〔平均着圧A−平均着圧B1〕、着圧差〔平均着圧A−平均着圧B2〕、平均着圧A、平均着圧B、平均着圧B1、及び平均着圧B2のそれぞれの好ましい範囲は前述のとおりである。
【0072】
サポーター本体100では、膝サポート部10の周方向の伸長率が、太腿側サポート部12の周方向の伸長率及び脛側サポート部14の周方向の伸長率のいずれよりも小さくなっている。
また、サポーター本体100では、膝サポート部10の軸方向の伸長率が、太腿側サポート部12の軸方向の伸長率及び脛側サポート部14の軸方向の伸長率のいずれよりも小さくなっている。
【0073】
−平均着圧A、平均着圧B、平均着圧B1、及び平均着圧B2の測定方法−
本明細書中における、平均着圧A、平均着圧B、平均着圧B1、及び平均着圧B2は、以下のようにして測定する。
まず、後述するマネキンM1の脚の10か所(位置P1〜P10)に、着圧測定用のセンサーを取り付ける。
図5及び
図6は、マネキンM1に対するセンサー取り付け位置を示す写真である。
図5は、マネキンM1の脚(左脚)を正面(膝の側)から撮影した写真であり、
図6は、脚の斜め後ろ側から撮影した写真である。
【0074】
位置P1〜P10は、詳細には、以下の位置である。
位置P1 … 位置P2を基準とし太腿側70mmの位置(即ち、位置P3を基準とし太腿側100mmの位置)
位置P2 … 位置P3を基準とし太腿側30mmの位置
位置P3 … 膝(膝蓋骨)の中心
位置P4 … 位置P3を基準とし脛側30mmの位置
位置P5 … 位置P4を基準とし脛側70mmの位置(即ち、位置P3を基準とし脛側100mmの位置)
位置P6、P10 … それぞれ、位置P2から位置P4までの範囲内における脚の横側
位置P7 … 位置P1に対する脚の裏側
位置P8 … 位置P2から位置P4までの範囲内における膝窩部側
位置P9 … 位置P5に対する脚の裏側
【0075】
マネキンM1としては、
位置P1の周囲長が405mmであり、
位置P2の周囲長が370mmであり、
位置P3の周囲長が360mmであり、
位置P4の周囲長が346mmであり、
位置P5の周囲長が367mmであるFRP(Fiber Reinforced Plastics)製のマネキン(例えば、(株)七彩製、製品名「MD−20
A」)を用いる。
【0076】
マネキンM1の脚の膝を含む部分に本実施形態の膝用サポーターを、膝サポート部が位置P2、P3、P4、P6、P8、及びP10を覆い、太腿側サポート部が位置P1及びP7を覆い、脛側サポート部が位置P5及びP9を覆うように着用する。
次に、位置P1〜P10の着圧を、各位置に取り付けられた着圧測定用のセンサーによって測定する。
位置P1、P5、P7、及びP9の各測定値の平均値を求め、得られた平均値を平均着圧Bとする。
位置P1及びP7の各測定値の平均値を求め、得られた平均値を平均着圧B1とする。
位置P5及びP9の各測定値の平均値を求め、得られた平均値を平均着圧B2とする。
位置P2、P3、P4、P6、P8、及びP10の各測定値の平均値を求め、得られた平均値を平均着圧Aとする。
【0077】
また、太腿側サポート部12及び脛側サポート部14では、軸方向の伸長率>周方向の伸長率、及び、軸方向の伸長率150%以上の両方が満たされている。
但し、本実施形態はこの一例に限られず、太腿側サポート部及び脛側サポート部のうちの少なくとも一部の領域において、軸方向の伸長率>周方向の伸長率、及び、軸方向の伸長率150%以上の少なくとも一方が満たされていればよい。
【0078】
サポーター本体100の材質としては、ポリエステル、ポリプロピレン、ポリウレタン、ポリオレフィン、ポリオレフィン系エラストマー、ポリアミド、レーヨン、アクリル、キュプラ、アセテート、プロミックス、アラミド、シリコーンなどの化繊;綿、羊毛、絹、麻、レーヨンなどの天然繊維;天然ゴム;ポリ塩化ビニル;等が挙げられる。
中でも、ポリエステル、ポリウレタン、ポリアミド、ポリオレフィン、ポリオレフィン系エラストマー、シリコーン、又は天然ゴムが好ましく、長期耐久性の観点から、ポリエステル、ポリウレタン、ポリアミド、ポリオレフィン、又はポリオレフィン系エラストマーがより好ましい。
【0079】
サポーター本体100の紡糸としては、モノフィラメント;マルチフィラメント;ウレタン又はゴムを被覆したSCY(Single Covering Yarn);ウレタン又はゴムを被覆したDCY(Double Covering Yarn);等が挙げられる。
【0080】
サポーター本体100の編み組織としては、スパイラルタック編み組織、メッシュ編み組織、立体編み組織、トリコット編み組織、平編み組織、ゴム編み組織、レース編み組織、インレイ編み組織、カットボス編み組織、鹿の子編み組織、リブ編み組織、両面編み組織、フロート編み組織、ノンラン編み組織、及び、これらの編み組織を形成する編成方法を2種以上組み合わせて形成される編み組織、等が挙げられる。
平均着圧が高い膝サポート部10の編み組織としては、スパイラルタック編み組織、メッシュ編み組織、トリコット編み組織、平編み組織、ゴム編み組織、インレイ編み組織、カットボス編み組織、鹿の子編み組織、リブ編み組織、両面編み組織、又は、これらの編み組織を形成する編成方法を2種以上組み合わせて形成される編み組織が好ましい。
平均着圧が低い太腿側サポート部12及び脛側サポート部14の編み組織としては、スパイラルタック編み組織、メッシュ編み組織、立体編み組織、ハニカムウェーブ編み組織、平編み組織、ゴム編み組織、ノンラン編み組織、レース編み組織、又は、これらの編み組織を形成する編成方法を2種以上組み合わせて形成される編み組織が好ましい。
【0081】
太腿側口ゴム部13及び脛側口ゴム部15の編み組織としては、ゴム編み組織又はノンラン編み組織が好ましい。
【0082】
サポーター本体100の編み組織の表面には、樹脂が付されていてもよい。
樹脂を付する方法としては、スプレー、転写(例えば、熱転写)、樹脂含浸、グラビア印刷、スクリーン捺染、ロータリー捺染、熱圧着や、接着などが挙げられる。樹脂としては、弾性樹脂が好ましい。
【0083】
また、サポーター本体100は、編み組織以外のその他の組織を含んでいてもよい。
その他の組織としては、ネオプレンゴムを含む組織、ネオプレンゴム積層体を含む組織等が挙げられる。
【0084】
サポーター本体100の、材質、紡糸、及び編み組織については、例えば、特開2011−130784号公報、特開2007−9362号公報、特開2010−13765号公報、特開2000−116697号公報、特開2007−54126号公報等に記載の公知の材質、紡糸、及び編み組織を参照してもよい。
【0085】
次に、サポーター本体100の大きさの一例及びサポーター本体100の伸長率の好ましい態様を、
図3及び
図4を参照しながら説明する。
図3は、具体例に係る膝用サポーター(サポーター本体)が脚に着用されていない状態を示す正面図であり、
図4は、具体例に係る膝用サポーター(サポーター本体)が脚に着用されていない状態を示す背面図である。
より詳細には、
図3は、具体例に係るサポーター本体の前面側と後面側とを重ねることにより、サポーター本体の形状を略平面形状とした時の正面図(前面側、即ち膝蓋骨側を示す図)であり、
図4は、この時の背面図(後面側、即ち膝窩部側を示す図)である。
【0086】
膝サポート部10の軸方向長さL10は、前述のとおり60mm〜200mmが好ましく、80mm〜180mmがより好ましい。
太腿側サポート部12の軸方向長さL12は、前述のとおり30mm〜200mmが好ましく、30mm〜150mmがより好ましい。
脛側サポート部14の軸方向長さL14は、前述のとおり30mm〜200mmが好ましく、30mm〜150mmがより好ましい。
太腿側口ゴム部13の軸方向長さL13は、10mm〜80mmが好ましく、20mm〜70mmがより好ましい。
脛側口ゴム部15の軸方向長さL15は、10mm〜80mmが好ましく、10mm〜60mmがより好ましい。
【0087】
サポーター本体100(全体)の軸方向長さは、140mm〜760mmが好ましく、180mm〜620mmがより好ましい。
【0088】
膝サポート部10の平均周長は、100mm〜300mmが好ましく、150mm〜280mmがより好ましい。
太腿側サポート部12の平均周長は、100mm〜400mmが好ましく、150mm〜350mmがより好ましい。
脛側サポート部14の平均周長は、100mm〜350mmが好ましく、100mm〜300mmがより好ましい。
太腿側口ゴム部13の平均周長は、180mm〜350mmが好ましく、200mm〜320mmがより好ましい。
脛側口ゴム部15の平均周長は、100mm〜350mmが好ましく、120mm〜300mmがより好ましい。
ここで、軸方向長さおよび平均周長は、下記式で表される値である。
軸方向長さ = (軸方向の最大長さ+軸方向の最小長さ)/2
平均周長 = (最大周長+最小周長)/2
【0089】
また、太腿側サポート部12及び脛側サポート部14において、軸方向の伸長率>周方向の伸長率の関係、及び、軸方向の伸長率150%以上の少なくとも一方を満たす領域Rは、膝サポート部10の膝窩部の中心に相当する位置Y(
図4中の位置Y)から軸方向に延ばした延長線30を中心として、幅100mmの範囲(
図4中の範囲Y1及び範囲Y2)を少なくとも含むことが好ましい。特に好ましくは、太腿側サポート部12及び脛側サポート部14の全体が、軸方向の伸長率>周方向の伸長率の関係、及び、軸方向の伸長率150%以上の少なくとも一方を満たすことである。
【0090】
また、サポーター本体100は、膝サポート部10における膝蓋骨の中心に相当する位置Xを中心とする測定範囲X1(測定範囲X1は不図示)、膝窩部の中心に相当する位置Yから軸方向に延ばした延長線30上であって太腿側サポート部12における軸方向の中心である位置Tを中心とする測定範囲T1(測定範囲T1は不図示)、及び膝窩部の中心に相当する位置Yから軸方向に延ばした延長線30上であって脛側サポート部における軸方向の中心である位置Sを中心とする測定範囲S1(測定範囲S1は不図示)の各々について、つかみ幅15mm、つかみ間隔15mm、及び引張荷重20Nの条件の引張試験によって周方向の伸長率を測定したときに、測定範囲X1の周方向の伸長率が、測定範囲T1の周方向の伸長率及び測定範囲S1の周方向の伸長率のいずれよりも低いことが好ましい。これにより、平均着圧A>平均着圧Bの関係をより満たしやすくなる。
【0091】
また、サポーター本体100は、測定位置X1、測定位置T1、及び測定位置S1について、上記条件の引張試験によって軸方向の伸長率を測定したときに、測定範囲X1の軸方向の伸長率が、測定範囲T1の軸方向の伸長率及び測定範囲S1の軸方向の伸長率のいずれよりも低いことが好ましい。これにより、平均着圧A>平均着圧Bの関係をより満たしやすくなる。
【0092】
また、サポーター本体100(好ましくは、太腿側サポート部12及び脛側サポート部14の少なくとも一方)は、後述の第4態様における凹凸組織領域を含んでいてもよい。サポーター本体100が凹凸組織領域を含む場合の凹凸組織領域の好ましい態様については、第4態様を参照することができる。
【0093】
〔第3態様〕
本実施形態の第3態様の膝用サポーターは、脚の膝を含む部分に着用され、膝をサポートする膝サポート部、脚の膝に対して太腿側をサポートする太腿側サポート部、及び脚の膝に対して脛側をサポートする脛側サポート部を含む筒型のサポーター本体を備え、膝サポート部の平均着圧Aと太腿側サポート部及び脛側サポート部の平均着圧Bとが、平均着圧A>平均着圧Bの関係を満たし、
膝サポート部を、膝サポート部における膝蓋骨の中心に相当する位置Xと膝サポート部における膝窩部の中心に相当する位置Yとの距離が長くなる方向に5kgの力で伸ばした場合に、膝サポート部の伸び率が180%〜280%である。
膝サポート部の伸び率が180%以上であることにより、着用者の体感として、膝関節の曲げ伸ばしをやり易くなる。
膝サポート部の伸び率が280%以下であることにより、着用者の体感として、膝に対する高いサポート感が維持される。
【0094】
第3態様の膝用サポーターは、膝サポート部の伸び率が180%〜280%に限定されていること、上述した「軸方向の伸長率>周方向の伸長率の関係」を満たすことには限定されないこと、及び上述した「軸方向の伸長率が150%以上である」ことには限定されないことを除けば、第1態様又は第2態様の膝用サポーターと同様の膝用サポーターである。
第3態様の膝用サポーターの好ましい形態も、第1態様又は第2態様の膝用サポーターの好ましい形態と同様である。
上記膝サポート部の伸び率の測定方法及び好ましい範囲についても、第1態様及び第2態様の項で説明したとおりである。
【0095】
第3態様の膝用サポーターにおいて、位置X、位置Y、及び位置Xと位置Yとの中間位置の合計3点について、それぞれ、つかみ幅15mm、つかみ間隔15mm、及び引張荷重20Nの条件の引張試験によって周方向の伸長率を測定した場合に、3つの測定値の全てが100%〜250%の範囲に含まれ、かつ、3つの測定値における最大値と最小値との差が0%〜80%であることが好ましい。周方向の伸長率の測定方法については、第1態様及び第2態様の項で説明したとおりである。
これにより、膝関節の曲げ伸ばしのやり易さ、及び、膝に対する高いサポート感がより効果的に両立される。
【0096】
〔第4態様〕
本実施形態の第4態様の衣類は、筒型の関節用サポーター部を備える衣類であって、
筒型の関節用サポーター部が、身体の関節部位に対して着圧を付与するための着圧付与領域を含む筒型の関節用サポーター部の軸方向の中央領域と、中央領域に対して軸方向の一端側に位置する一端側領域と、中央領域に対して軸方向の他端側に位置する他端側領域と、を含み、
着圧付与領域の着圧が、一端側領域及び他端側領域の平均着圧よりも高く、
筒型の関節用サポーター部における着圧付与領域以外の領域が、凹凸組織からなる凹凸組織領域を含む。
【0097】
第4態様において、身体の関節部位とは、関節を屈曲した時に関節の外側に位置する部位であって、腱及び靭帯の少なくとも一方の一部又は全体を覆う部位を指す。
【0098】
第4態様の筒型の関節用サポーター部(以下、「サポーター部」ともいう)を備える衣類によれば、サポーター部の着圧付与領域は、関節部位に着用する。そして、この衣類を着用した着用者の体感として、着圧付与領域が接している関節部位において、優れたサポート感及びフィット感が得られる。
この理由は明らかではないが、上記着圧付与領域の着圧が、一端側領域及び他端側領域の平均着圧よりも高いことにより、着圧付与領域によってサポートされている関節部位において、錯覚により、着圧付与領域の実際の着圧よりも高い着圧でサポートされている感覚が得られるためと考えられる。また、着圧付与領域と一端側領域及び他端側領域との着圧に着圧差を設けることで、サポーター部(の一部)を関節の一部位に密着させることができ、フィット感を向上させることができる。
【0099】
また、一般的には、サポーター部の着圧が高ければ高い程、肌ストレスが強くなる傾向がある。ここで、肌ストレスとは、肌が受ける、内的なストレス及び外的なストレスのことをいう。
サポーター部の全体に着圧を付与する場合、付与する着圧が外的刺激となり、着用者はサポーター部着用領域の全体に肌ストレスを感じる。そのため、特に、サポーターを長時間着用するような場合に、肌ストレスの軽減が求められている。しかし、着圧付与領域をサポーター部の一部のみに配置することにより、平均着圧の低い領域(例えば、一端側領域及び他端側領域)の肌ストレスが軽減される。
また、第4態様の衣類におけるサポーター部は、着圧付与領域以外の領域に、凹凸組織からなる凹凸組織領域を含めることができる。これにより、肌ストレスが軽減される。肌ストレス軽減の効果は、凹凸組織の柔らかさ(例えば厚さ方向の柔らかさ)に起因する効果であると考えられる。特に、関節部位の周囲(着圧付与領域以外の領域が適用される部分)は、関節部位と比較して柔らかい皮膚組織からなり、肌ストレスに弱い。この関節部位の周囲の少なくとも一部に凹凸組織領域を適用することが肌ストレスの軽減に効果的である。
【0100】
以上のように、第4態様の衣類によれば、従来は両立させることが困難であった、サポート感及びフィット感の向上と、肌ストレスの軽減と、が両立される。
【0101】
第4態様において、着圧付与領域は、中央領域の全体であってもよいし、一部であってもよい。
着圧付与領域が中央領域の一部である場合、着圧付与領域のサイズは、サポート感を高めたい領域に応じて適宜調整できる。
着圧付与領域は、中央領域中において、関節を屈曲した時に関節の外側に位置する腱及び靭帯の少なくとも一方の一部又は全体を覆う領域(関節部位)を含む領域であることが好ましい。
着圧付与領域の周方向長さは、中央領域の全周長さ(詳しくは、着圧付与領域を含む部分の全周長さ)の1/3以上の長さであることが好ましい。
また、着圧付与領域の軸方向長さは、中央領域の軸方向長さの1/3以上の長さであることが好ましい。
着圧付与領域の形状は、少なくとも関節部位を覆うことができれば、特に限定されることはなく、関節部位の形状に応じて適宜設計できる。その形状としては、例えば、略円形状、略楕円形状、略長方形状などが挙げられる。また、着圧付与領域の境界ラインの形状も、特に限定されることはなく、直線状であっても、湾曲していても、波線状であってもよい。さらに、境界ラインの周囲に縁取り構造があってもよい。
【0102】
第4態様において、着圧付与領域が中央領域の一部である場合、着圧付与領域は、中央領域中における着圧付与領域以外の領域と比較して、軸方向の伸長率が高いことが好ましい。
【0103】
第4態様において、凹凸組織領域とは、凹凸形状を有する組織である凹凸組織を含む領域である。
凹凸組織領域に含まれる凹凸組織としては、編物組織(以下、「編物」ともいう)、織物組織(以下、「織物」ともいう)、樹脂シート(例えば、フィルムなど)などが挙げられる。これらの中でも、凹凸組織としては、編物や織物を用いることが好ましく、編物を用いることがより好ましい。また、凹凸組織領域には、単一の凹凸組織を用いてもよく、複数の凹凸組織を組合せて用いてもよい。
これらの中でも、凹凸組織を含む凹凸組織領域としては、凹凸編地を含む凹凸編地領域、凹凸織物を含む凹凸織物領域、又は、凹凸編地と凹凸織物とを含む凹凸組織領域が好ましく、凹凸編地を含む凹凸編地領域がより好ましい。
凹凸組織を含む凹凸組織領域の好ましい態様(例えば、サイズ、サポーター部における配置、各種物性値、など)については、後述する凹凸編地を含む凹凸編地領域の好ましい態様と同様であり、適宜好ましい態様を組合せて用いることができる。
【0104】
凹凸編地領域とは、凹凸形状を有する編み組織である凹凸編地を含む領域である。凹凸編地領域は、着圧付与領域以外の領域の全体に配置されてもよいし、一部に配置されてもよい。また、凹凸編地領域に含まれる凹凸編地としては、単一の凹凸編地であってもよく、2種以上の凹凸編地であってもよい。
凹凸編地領域が着圧付与領域以外の領域の一部に配置される場合、凹凸編地領域のサイズは、凹凸編地が肌に触れていることを感じることが出来る程度のサイズであることが好ましい。
具体的には、凹凸編地領域の面積としては、着用時の伸張した状態での凹凸編地領域の面積が、4cm
2以上であることが好ましく、6cm
2以上であることがより好ましい。
また、凹凸編地領域の周方向長さは、サポーター部の全周長さ(詳しくは、凹凸編地領域を横切る全周の長さ)の1/6以上の長さであることが好ましく、1/3以上の長さであることがより好ましい。
ここで、凹凸編地領域の周方向長さとは、凹凸編地領域が周方向に分割して配置される場合には、周方向に重複なく寄せ集めた場合の総周方向長さをいう。
凹凸編地領域は、着圧付与領域以外の領域中に複数配置されていてもよい。着圧付与領域以外の領域中に複数の凹凸編地領域を配置する場合、その配置は特に限定されない。
凹凸編地領域の形状及び隣接する領域との境界ラインの形状は、特に限定されない。これらは、デザイン性の観点から、適宜設計できる。
【0105】
第4態様において、サポーター部は、着圧付与領域及び凹凸組織領域(例えば、凹凸編地領域)を含む。サポーター部は、着圧付与領域及び凹凸組織領域以外の領域(その他の領域)を含んでいてもよい。
着圧付与領域と凹凸組織領域に加え、その他の領域を含む場合、その他の領域は、織物、樹脂シート、着圧付与領域及び凹凸組織領域とは異なる編み組織、等によって構成することができる。中でも、肌ストレス軽減の観点からは、編み組織又は織物が好ましく、弾性糸を用いた編み組織がより好ましい。ただし、その他の領域の組織は、一端側領域及び他端側領域における平均着圧が着圧付与領域の着圧よりも低くなるように適宜選定する。
【0106】
第4態様の衣類は、関節用サポーター部のみからなる衣類(即ち、サポーター)であってもよいし、衣類の一部分として関節用サポーター部を備える衣類であってもよい。
ここで、衣類の一部分として関節用サポーター部を備える衣類としては、スパッツ、タイツ(例えば、スポーツタイツ、コンプレッションタイツ、医療用タイツ)、ガードル、パンティーストッキング、レギンス、トレンカ、レッグウォーマー等のボトム(例えば、スポーツ用又はインナー用等のボトム);肌着、シャツ、コンプレッションシャツ等のトップ;ソックス;手袋;指サック;包帯;等が挙げられる。
【0107】
関節部位における関節としては、膝関節、肘関節、中手指節関節、指節間関節、近位指節間関節、遠位指節間関節、橈骨手根関節、距腿関節、距骨下関節、首関節、肩関節、股関節、等が挙げられる。
【0108】
サポーター部の中央領域が着用される関節としては、疼痛緩和の観点からは、膝関節、肘関節、又は橈骨手根関節が好ましく、膝関節がより好ましい。関節膝関節、肘関節、及び橈骨手根関節は、3つ以上の骨から構成されるという共通点を有する。
着圧付与領域によって着圧を付与することより関節部位を圧迫すると、関節における骨の配置が適正化され、関節の周囲に位置する関節部位以外の部位を動きやすく制御することができる。これにより、疼痛緩和の効果を生じる。
関節膝関節、肘関節、及び橈骨手根関節は、他の関節に較べてより広い可動範囲を有する関節である。これら関節膝関節、肘関節、及び橈骨手根関節は、筋肉の衰えにより骨の配置が崩れやすいので、これらの関節にサポーターを着用し、サポート感を付与することが特に有用である。
特に、膝関節は、歩行時に人体の体重を支えるため、大きな負荷がかかりやすく、骨の配置が崩れやすい。このため、第4態様の効果は、サポーター部の中央領域を膝関節に着用した場合において、特に効果的に奏される。
【0109】
また、第4態様の衣類において、着圧付与領域及び凹凸編地領域は、つかみ幅15mm、つかみ間隔15mm、及び引張荷重20Nの条件の引張試験によって測定された軸方向の伸長率が、凹凸編地領域>着圧付与領域の関係を満たすことが好ましい。これにより、動作追従性がより向上する。
この動作追従性向上の効果は、着圧付与領域に着圧を付与することでサポーター部を関節部位に密着させてサポーター部の着用ずれを防ぐこと、及び、凹凸編地領域が着圧付与領域よりも伸び縮みし易いことに起因する効果であると考えられる。
一般的に、関節の曲げ伸ばし動作時には、筋肉の動きに応じて関節の上下に位置する皮膚の形状が変化し、その形状変化により、サポーター部によれ又はたるみが生じる。着用者は、サポーター部のよれ又はたるみに起因する着用感の悪さから、肌ストレスを感じる。
しかし、第4態様の衣類は、サポーター部が着圧付与領域を含むことで、サポーター部を関節部位に安定的に着用させてサポーター部の着用ずれを防ぐことができる。
更に、第4態様の衣類では、着圧付与領域以外の領域に含まれる凹凸編地領域の軸方向の伸縮性を、着圧付与領域の軸方向の伸縮性よりも高くすることにより、皮膚の形状の変化に伴うサポーター部の変形歪を小さくすることができる。その結果、サポーター部のよれやたるみを改善し、肌ストレスを軽減できる。特に、関節を曲げ伸ばすなどの大きな動きをする場合に、優れた効果を奏する。
【0110】
なお、第4態様における伸長率は、第1態様における伸長率と同様にして測定する。
【0111】
凹凸編地領域における凹凸編地は、フロート編み組織を含むことが好ましい。凹凸編地におけるフロート編み組織は、フロート編み組織以外の編み組織より伸び縮みし易い。フロート編み組織を含む凹凸編地が柔らかい理由は、着用時に凹凸編地領域が伸びた場合においても凹凸編地におけるフロート編み組織に伸びしろ(即ち、凹凸)が残るためと考えられる。この伸びしろが肌に触れた時に、柔らかい感触を与える。また、凹凸編地の製造し易さの観点からもフロート編み組織を配することにより凹凸編地を形成することが好ましい。凹凸編地のベースとなる編み組織としては、第1態様における編み組織を用いることができ、それらの編み組織にフロート編み組織を含める態様が好ましい態様である。
また、凹凸編地領域における凹凸編地は、弾性糸によって編成されることが好ましく、上記凹凸編地は、弾性糸を用いたフロート編み組織を含む凹凸編地であることがより好ましい。弾性糸を用いることで凹凸編地をより柔らかくすることができる。
弾性糸としては、ポリウレタン、ポリオレフィン系エラストマー、天然ゴム、シリコーンなどが挙げられる。この中でも、より弾性に優れる観点から、ポリウレタン、ポリオレフィン系エラストマー、天然ゴムが好ましい。ここで、弾性糸の好ましい材質としては、第1態様における好ましい材質と同義である。また、弾性糸として、第1態様における紡糸を用いることもできる。
サポーター部を丸編みによって一体的に製造する際の製造適性にも優れる観点からは、軸方向にフロート編み組織を配することが好ましい。
【0112】
また、凹凸編地領域は、長尺形状の凹部を有することが好ましい。
ここでいう長尺形状は、言うまでも無く、平面視における凹部の形状である。
凹凸編地領域のうち、特に凹部の底部分は、伸びやすい性質を有する。このため、長尺形状の凹部を有する凹凸編地領域は、この凹部の幅方向に伸びやすい性質を有する。従って、凹凸編地領域が長尺形状の凹部を有することにより、凹凸編地領域全体が伸び易くなるので、動作追従性がより向上する。
凹凸編地領域は、長尺形状の凹部を複数有することが好ましい。
【0113】
凹凸編地領域は、長尺形状の凹部を複数有し、これら複数の凹部の各々は、長さ方向が、筒型のサポーター部の周方向に対して略平行であることが好ましい。
この場合、長尺形状の凹部の幅方向がサポーター部の軸方向に対応する。このため、凹凸編地領域がサポーター部の軸方向に伸び易くなるので、動作追従性がより向上する。
また、凹凸編地領域が、上記長さ方向を有する長尺形状の凹部を複数有することは、サポーター部を丸編みによって製造する際の製造適性にも優れる点でも有利である。詳細には、サポーター部を丸編みによって製造する際、フロート編みによって周方向の編目を1目以上飛ばして編むことにより、上記長尺形状の凹部(即ち、その長さ方向が、サポーター部の周方向に対して略平行である長尺形状の凹部)を容易に製造できる。
【0114】
凹凸編地領域は、筒型のサポーター部の軸方向及び周方向のうちの一方向に伸長率200%にて伸長させたときに、上記一方向の弾性率が、0.1N/mm
2未満であることが好ましい。
上記一方向の弾性率が0.1N/mm
2未満であると、凹凸編地領域の柔らかさにより優れ、その結果、肌ストレスがより軽減される。
ここで、弾性率とは、変形のしにくさを表す指標で、弾性変形における応力とひずみとの間の比例定数である。弾性率の数値は、後述する測定方法により得ることができる。弾性率の値が小さいと、着用時に凹凸編地領域が伸びた場合において、凹凸編地が伸びる前の形状に戻ろうとする応力が小さいことを意味し、肌への負荷が小さいといえる。
サポーター部を丸編みによって製造する際の製造適性にも優れる観点からは、軸方向の弾性率が0.1N/mm
2未満であることが好ましい。
【0115】
凹凸編地領域は、筒型のサポーター部の軸方向及び周方向のうちの一方向に伸長率200%にて伸長させたときに、一方向の弾性率が、0.1N/mm
2未満であり、筒型のサポーター部の軸方向及び周方向のうちの他方向に伸長率200%にて伸長させたときに、他方向の弾性率が、0.1N/mm
2〜0.5N/mm
2であることが好ましい。
上記一方向の弾性率の値を0.1N/mm
2未満にすることで肌ストレスを軽減できる。そして、上記他方向の弾性率が0.1N/mm
2以上であると、フィット感がより向上する。また、上記他方向の弾性率が0.1N/mm
2以上であると、サポーター部の着用ずれを抑制できる。さらに、上記他方向の弾性率が0.5N/mm
2以下であると、肌ストレスをより軽減できる。
軸方向及び周方向の弾性率が異なる編地は、フロート編みの編目の飛ばし目の数を適宜調整することで製造することができる。
【0116】
本明細書中において、軸方向の弾性率は、測定対象領域(例えば凹凸編地領域)の中心位置(即ち、周方向の中心であってかつ軸方向の中心である位置)を測定中心とする、測定幅(即ち、周方向長さ)15mmの範囲について測定された値を意味する。
本明細書中において、軸方向の弾性率は、つかみ幅15mm、つかみ間隔15mm、及び引張荷重20Nの条件の引張試験によって測定する。ここで、引張荷重の方向は、サポーター部の軸方向である。
【0117】
上記軸方向の弾性率の測定においては、凹凸編地領域の一部を、つかみ幅15mm及びつかみ間隔15mmで引張試験機に固定し、15mm/minの引張速度にて引張って伸長させ、200%伸長した時点での弾性率を読み取って測定値とする。
また、引張試験は、凹凸編地領域の一部に対して実施することが困難な場合には、凹凸編地領域から30mm角の試験片を切り出し、切り出された試験片に対して実施してもよい。また、引張試験は、凹凸編地領域と同一編成の凹凸編地による30mm角の試験片を作製し、作製した試験片に対して実施してもよい。
試験回数は5回とし、5回の測定値から、最大値及び最小値を除いた3つの測定値から平均値を求め、この平均値を「軸方向に200%伸長させたときの軸方向の弾性率」として採用する。
引張試験の装置は一般的な引張試験機を用いることができるが、例えば、(株)島津製作所製のオートグラフ「AGS−X 1kN」を用いることができる。
【0118】
また、本明細書中において、周方向の弾性率は、引張荷重の方向をサポーター部の周方向とすること以外は、軸方向の弾性率と同様にして測定された値を意味する。
【0119】
関節の曲げ伸ばし動作は、関節周りの皮膚を伸長させる。そこで、関節周りの皮膚の伸長方向に伸縮性の高い編地を使用することにより、動作追従性がより向上する。
例えば、関節周りの皮膚の伸長の程度が、周方向よりも軸方向に大きい場合には、凹凸編地領域は、軸方向の伸長率>周方向の伸長率の関係を満たすことが好ましい。
一方で、関節周りの皮膚の伸長の程度が、軸方向よりも周方向に大きい場合には、凹凸編地領域は、周方向の伸長率>軸方向の伸長率の関係を満たすことが好ましい。
ここで、軸方向の伸長率及び周方向の伸長率は、それぞれ、つかみ幅15mm、つかみ間隔15mm、及び引張荷重20Nの条件の引張試験によって測定された伸長率である。
【0120】
第4態様における凹凸編地領域の比率〔軸方向の伸長率/周方向の伸長率〕の好ましい範囲は、第1態様における領域Rの比率〔軸方向の伸長率/周方向の伸長率〕の好ましい範囲と同様である。
第4態様における凹凸編地領域の軸方向の伸長率の好ましい範囲は、第1態様における領域Rの軸方向の伸長率の好ましい範囲と同様である。
【0121】
第4態様の衣類において、肌ストレスをより軽減する観点から、一端側領域及び他端側領域の少なくとも一方が、凹凸編地領域を含むことが好ましく、一端側領域及び他端側領域が(即ち、両方が)、凹凸編地領域を含むことがより好ましく、一端側領域及び他端側領域が、同じ半周側に凹凸編地領域を含むことが特に好ましい。
更に好ましくは、筒型のサポーター部において、一端側領域の後面側及び他端側領域の後面側の少なくとも一方が、凹凸編地領域を含むことであり、更に好ましくは、一端側領域の後面側及び他端側領域の後面側の各々が、凹凸編地領域を含むことである。
【0122】
ここで、前面側とは、筒型のサポーター部における前記着圧付与領域の中心XXを中心とする半周側(関節用サポーターにおける関節を曲げ伸ばした時の外側;膝用サポーターである場合には膝蓋骨側)を指し、後面側とは、筒型のサポーター部における残りの半周側(関節用サポーターにおける関節を曲げ伸ばした時の内側;膝用サポーターである場合には膝蓋骨側)を指す。以下、同様とする。
【0123】
第4態様の衣類において、一端側領域及び他端側領域の少なくとも一方(好ましくは両方)が、凹凸編地領域と、凹凸編地領域よりも軸方向の弾性率が高い領域(以下、「領域M」ともいう)と、を含み、凹凸編地領域と、領域Mと、が周方向に配置されている形態が好ましい。
これにより、一端側領域及び他端側領域の少なくとも一方(好ましくは両方)において、凹凸編地領域により肌ストレス軽減と、領域Mによる着用時の安定感向上(詳細には、ある程度の着圧向上)と、が両立される。
凹凸編地領域、及び、領域Mは、肌ストレス軽減の観点から、いずれも弾性糸によって編成されている編地であることがより好ましい。
また、筒型のサポーター部において、凹凸編地領域が後面側にあり、領域Mが前面側にある態様が好ましい態様である。一端側領域の後面側及び他端側領域の後面側の少なくとも一方の領域では、各々の前面側(関節部位は含まない)よりも、関節の曲げ伸ばしによる皮膚の伸び縮みの程度が大きい。そのため、より伸長性の高い編地である凹凸編地を含む凹凸編地領域を後面側に適用することが着用ずれの改善に効果的である。そして、各々の前面側に領域Mを配置することで、より効果的に着用時の安定感を向上できる。
【0124】
一端側領域及び他端側領域の少なくとも一方が凹凸編地領域及び領域Mを含む上記の形態においても、前述の凹凸編地領域の面積、周方向長さ、配置、形状についての好ましい態様を適用できる。
領域Mの周方向長さは、着用時の安定感を付与する観点から、サポーター部の全周長さ(詳しくは、領域Mを横切る全周の長さ)の1/3以上の長さであることがより好ましい。
ここで、領域Mの周方向長さとは、領域Mが周方向に分割して配置される場合には、周方向に重複なく寄せ集めた場合の総周方向長さをいう。
また、領域Mの軸方向長さは、一端側領域及び他端側領域の軸方向長さの1/3の領域以上であることが好ましい。
ここで、領域Mの軸方向長さとは、領域Mが軸方向に分割して配置される場合には、軸方向に重複なく寄せ集めた場合の総軸方向長さをいう。
領域Mは、一端側領域及び他端側領域の少なくとも一方の中に複数配置されていてもよい。上記少なくとも一方の中に複数の領域Mを配置する場合、その配置は特に限定されない。領域Mの形状、及び、隣接する領域との境界ラインの形状は、特に限定されない。
【0125】
一端側領域及び他端側領域の少なくとも一方が凹凸編地領域及び領域Mを含む上記の形態において、サポーター部は、着圧付与領域、凹凸編地領域、及び領域Mを含む。上記形態において、サポーター部は、着圧付与領域、凹凸編地領域、及び領域M以外の領域(その他の領域)を含んでいてもよい。
着圧付与領域、凹凸編地領域、及び領域Mに加え、その他の領域を含む場合、その他の領域は、織物;樹脂シート;着圧付与領域、凹凸編地領域、及び領域Mとは異なる編み組織;等によって構成することができる。
中でも、肌ストレス軽減の観点からは、編み組織又は織物が好ましく、弾性糸を用いた編み組織がより好ましい。ただし、その他の領域の組織は、一端側領域及び他端側領域における平均着圧が着圧付与領域の着圧よりも低くなるように適宜選定する。
【0126】
また、第4態様では、肌ストレスをより低減させる観点から、以下に列挙する態様も好ましい。
関節周りの皮膚の伸長の程度が、周方向よりも軸方向に大きい場合であって、一端側領域の後面側が凹凸編地領域を含む場合には、軸方向の伸長率が、一端側領域の後面側の凹凸編地領域>一端側領域の前面側の関係を満たすことが好ましい。
また、関節周りの皮膚の伸長の程度が、周方向よりも軸方向に大きい場合であって、他端側領域の後面側が凹凸編地領域を含む場合には、軸方向の伸長率が、他端側領域の後面側の凹凸編地領域>他端側領域の前面側の関係を満たすことが好ましい。
関節周りの皮膚の伸長の程度が、周方向よりも軸方向に大きい場合であって、一端側領域の後面側及び他端側領域の後面側が凹凸編地領域を含む場合には、軸方向の伸長率が、一端側領域の後面側の凹凸編地領域>一端側領域の前面側の関係、及び、他端側領域の後面側の凹凸編地領域>他端側領域の前面側の関係を満たすことが好ましい。
関節周りの皮膚の伸長の程度が、軸方向よりも周方向に大きい場合であって、一端側領域の後面側が凹凸編地領域を含む場合には、周方向の伸長率が、一端側領域の後面側の凹凸編地領域>一端側領域の前面側の関係を満たすことが好ましい。
また、関節周りの皮膚の伸長の程度が、軸方向よりも周方向に大きい場合であって、他端側領域の後面側が凹凸編地領域を含む場合には、周方向の伸長率が、他端側領域の後面側の凹凸編地領域>他端側領域の前面側の関係を満たすことが好ましい。
関節周りの皮膚の伸長の程度が、軸方向よりも周方向に大きい場合であって、一端側領域の後面側及び他端側領域の後面側が凹凸編地領域を含む場合には、周方向の伸長率が、一端側領域の後面側の凹凸編地領域>一端側領域の前面側の関係、及び、他端側領域の後面側の凹凸編地領域>他端側領域の前面側の関係を満たすことが好ましい。
好ましい態様は、関節の種類に応じて、適宜適用することができる。
ここで、軸方向の伸長率及び周方向の伸長率は、それぞれ、つかみ幅15mm、つかみ間隔15mm、及び引張荷重20Nの条件の引張試験によって測定された伸長率である。
【0127】
第4態様の衣類におけるサポート部の好ましい形態は、第1態様における膝用サポーターの好ましい形態と同様である。
第4態様における、一端側領域、中央領域、及び他端側領域は、それぞれ、第1態様における、太腿側サポート部、膝サポート部、及び脛側サポート部に対応する。
また、第4態様における前面側は、第1態様における膝蓋骨側に対応し、第4態様における後面側は、第1態様における膝窩部側に対応する。
【0128】
例えば、第4態様における中央領域が膝関節に着用される場合(即ち、第4態様におけるサポーター部が膝用サポーターである場合)、サポート感及びフィット感をより向上させる観点から、中央領域の平均着圧XAと一端側領域及び他端側領域の平均着圧XBとが、平均着圧XA>平均着圧XBの関係を満たすことが好ましく、平均着圧XA−平均着圧XB≧0.8kPaの関係を満たすことがより好ましく、平均着圧XA−平均着圧XB≧1.0kPaの関係を満たすことが特に好ましい。
【0129】
また、第4態様において、サポート感及びフィット感をより向上させる観点から、中央領域の平均着圧XAと一端側領域の平均着圧XB1とが、平均着圧XA>平均着圧XB1の関係を満たすことが好ましく、平均着圧XA−平均着圧XB1≧0.8kPaの関係を満たすことがより好ましく、平均着圧XA−平均着圧XB1≧1.0kPaの関係を満たすことが特に好ましい。
また、第4態様において、サポート感及びフィット感をより向上させる観点から、中央領域の平均着圧XAと他端側領域の平均着圧XB2とが、平均着圧XA>平均着圧XB2の関係を満たすことが好ましく、平均着圧XA−平均着圧XB2≧0.8kPaの関係を満たすことがより好ましく、平均着圧XA−平均着圧XB2≧1.0kPaの関係を満たすことが特に好ましい。
【0130】
平均着圧XA、平均着圧XB、平均着圧XB1、及び平均着圧XB2の好ましい範囲は、それぞれ、第1態様における、平均着圧A、平均着圧B、平均着圧B1、及び平均着圧B2の好ましい範囲と同様である。
【0131】
また、第4態様において、動作追従性をより向上させる観点から、凹凸編地領域の軸方向の伸長率は、150%以上であることが好ましい。
【0132】
また、中央領域を、着圧付与領域の中心XXと中央領域の後面側の中心XYとの距離が長くなる方向に5kgの力で伸ばした場合に、中央領域の伸び率が180%〜280%であることが好ましい
中央領域の伸び率が180%以上であることにより、着用者の体感として、関節の曲げ伸ばしをやり易くなる。
中央領域の伸び率が280%以下であることにより、着用者の体感として、高いサポート感が維持される。
伸び率については、第1態様において説明したとおりである。また、第4態様における中央領域の伸び率のより好ましい範囲は、第1態様における膝サポート部の伸び率の好ましい範囲と同様である。
【0133】
また、着圧付与領域の中心XX、中央領域の後面側の中心XY、及び、中心XXと中心XYとの中間位置の合計3点について、それぞれ、つかみ幅15mm、つかみ間隔15mm、及び引張荷重20Nの条件の引張試験によって周方向の伸長率を測定した場合に、3つの測定値の全てが100%〜250%の範囲に含まれ、3つの測定値における最大値と最小値との差が0%〜80%である
これにより、関節の曲げ伸ばしのやり易さ、及び、サポート感がより効果的に両立される。
【0134】
また、着圧付与領域の中心XXを中心とする測定範囲XX1、中央領域の後面側の中心XYから軸方向に延ばした延長線上であって一端側領域における軸方向の中心である位置XTを中心とする測定範囲XT1、及び中央領域の後面側の中心XYから軸方向に延ばした延長線上であって他端側領域における軸方向の中心である位置XSを中心とする測定範囲XS1の各々について、つかみ幅15mm、つかみ間隔15mm、及び引張荷重20Nの条件の引張試験によって周方向の伸長率を測定したときに、測定範囲XX1の周方向の伸長率が、測定範囲XT1の周方向の伸長率及び測定範囲XS1の周方向の伸長率のいずれよりも低いことが好ましい。これにより、平均着圧XA>平均着圧XBの関係を満たしやすくなり、その結果、サポート感及びフィット感がより向上する。
【0135】
また、測定範囲XX1、測定範囲XT1、及び測定範囲XS1の各々について、上記引張試験によって軸方向の伸長率を測定したときに、測定範囲XX1の軸方向の伸長率が、測定範囲XT1の軸方向の伸長率及び測定範囲XS1の軸方向の伸長率のいずれよりも低いことが好ましい。これにより、平均着圧XA>平均着圧XBの関係を満たしやすくなり、その結果、サポート感及びフィット感がより向上する。
【0136】
また、筒型のサポーター部の形状は、少なくとも2つの開口部を有する筒形状であればよく、その他には特に制限はない。
筒型のサポーター部を平たく潰して略平面形状とした場合の平面視における形状は、軸方向について対称であっても非対称であってもよく、また、周方向について対称であっても非対称であってもよい。上記平面視における形状は、略長方形であってもよいし、一部が湾曲した形状であってもよい。筒型のサポーター部の形状は、適用する関節の形状に応じて適宜選択できる。
筒型のサポーター部に含まれる各領域の境界ラインは、直線状であっても、湾曲していても、波線状であってもよい。また、各領域の編み組織は、一体的に編まれていてもよいし、一体的に編まれていなくてもよい。
筒型のサポーター部は、さらに、その編み組織の一部に孔やスリットを有していてもよい。
【0137】
筒型のサポーター部の全体の構造は、シームレス構造であることが好ましい。シームレス構造については、第1態様において説明したとおりである。
シームレス構造の筒型のサポーター部は、このサポーター部を、丸編みによって連続的に製造することにより形成できる。
【0138】
また、筒型のサポーター部は、更に、一端側領域から見て中央領域の反対側に配置された一端側口ゴム部、及び、他端側領域から見て中央領域の反対側に配置された他端側口ゴム部を含むことが好ましい。これにより、サポーター部の着用ずれやめくれがより効果的に抑制される。
筒型のサポーター部が一端側口ゴム部及び他端側口ゴム部を含む場合、一端側口ゴム部及び他端側口ゴム部は、それぞれ、縫い合わせによって一端側領域及び他端側領域と接続されていてもよいし、それぞれ、丸編みによって一端側領域及び他端側領域とともに連続的に製造されていてもよい。
上述した着用時のフィット感及び伸長率の確保の観点から、一端側口ゴム部及び他端側口ゴム部は、それぞれ、丸編みによって一端側領域及び他端側領域とともに連続的に製造されていることが好ましい一態様である。
また、同様の観点から、一端側口ゴム部、一端側領域、中央領域、他端側領域、及び他端側口ゴム部の全体の構造は、シームレス構造であることが好ましい一態様である。
また、一端側口ゴム部及び他端側口ゴム部の少なくとも一方が、身体に巻き付けて筒型となる構造であってもよい。また、一端側口ゴム部及び他端側口ゴム部の少なくとも一方は、例えば、固定ベルトなど(例えば、面ファスナーなど)を付属していてもよい。
【0139】
また、少なくとも一端側口ゴム部の裏面(即ち、身体との対向面。以下同じ。)の少なくとも一部には、サポーター部の着用ずれ抑制の観点から、樹脂層(例えばシリコーンゴム層)が設けられていることが好ましい。樹脂層は、例えば印刷によって形成できる。樹脂層は、他端側口ゴム部の裏面に設けられていてもよい。
【0140】
さらに、第4態様の衣類は、サポーター部以外のその他の部材を備えていてもよい。
その他の部材としては、例えば棒状の支持部材(ステー);サポーター部の一部を身体の一部に固定するため又はサポート感を向上するための固定ベルト;ポケット、タグ、等が挙げられる。これらは、第4態様のサポーター部とは分離して配置されていてもよく、又はサポーター部に縫い付けられるなどにより一体として配置されていてもよい。その他の部材は、サポーター部のいずれに配置されてもよい。
また、その他の部材として、サポーター部の編み組織の表面には樹脂を付してもよい。樹脂を付する方法としては、スプレー、転写(例えば、熱転写)、樹脂含浸、グラビア印刷、スクリーン捺染、ロータリー捺染、熱圧着、接着などが挙げられる。樹脂としては、弾性樹脂が好ましい。
これらの中でも、一端側口ゴム部の表面(身体との対向面に対して反対側の面)に固定ベルトを備えることにより、サポーター部の着用ずれをより効果的に改善できる。固定ベルトは、身体の一部に対する締め付け力を調整する部材(例えば、面ファスナー、バックル、サイドリリースバックル、ワイヤアジャスタ、等)を備えることが好ましい。
第4態様の衣類は、単独で着用してもよいし、湿布や包帯などを付けた上に、重ねて着用してもよい。
【0141】
<第4態様の具体例>
以下、
図9〜
図12を参照し、第4態様の衣類の具体例であるサポーターについて説明するが、第4態様の衣類はこの具体例に限定されることはない。
【0142】
図9及び
図10は、それぞれ、第4態様の衣類の具体例である関節用サポーター(直線的な形状を有する関節用サポーター)を概念的に示す正面図(前面図)及び背面図(後面図)である。
より詳細には、
図9は、第4態様の衣類の具体例である関節用サポーターの前面側と後面側とを重ねることにより、関節用サポーターの形状を略平面形状とした時の正面図(前面側を示す図)であり、
図10は、この時の背面図(後面側を示す図)である。
【0143】
図9及び
図10に示すように、第4態様の衣類の具体例である関節用サポーター200(筒型の関節用サポーター部)は、
関節用サポーター200の軸方向の中央領域110と、
中央領域110に対して軸方向の一端側に位置する一端側領域112と、
中央領域110に対して軸方向の他端側に位置する他端側領域114と、
一端側領域112から見て中央領域110の反対側に配置された一端側口ゴム部113と、
他端側領域114から見て中央領域110の反対側に配置された他端側口ゴム部115と、
によって構成されている。
【0144】
中央領域110は、中央領域の前面側110A及び中央領域の後面側110Bによって構成されている。この具体例では、中央領域の前面側110Aの全体が、関節部位に着圧を付与するための着圧付与領域となっている。
但し、第4態様はこの一例に限定されず、中央領域の前面側110Aの一部のみが着圧付与領域となっていてもよい。
第4態様における関節用サポーター部を、その前面側と後面側とを重ねることにより略平面形状とした場合の平面視における全体形状は、
図9〜10に示す関節用サポーター200と同様に略長方形であってもよく、関節の形状に併せて湾曲した形状であってもよい。また、第4態様の効果を奏する限り、編地は一体的に編まれてなくてもよく、編地の一部に孔やスリットを有していてもよい。
また、第4態様における関節用サポーター部は、湿布や包帯などを付けた上に着用してもよい。
第4態様における着圧付与領域の周方向長さは、少なくとも関節部位を覆う長さであればよく、好ましくは、中央領域の全周長さの1/3以上の長さである。
また、第4態様における着圧付与領域の軸方向長さは、少なくとも関節部位を覆う長さであればよく、好ましくは、中央領域の軸方向長さの1/3以上の長さである。
【0145】
着圧付与領域の着圧は、一端側領域112及び他端側領域114の平均着圧よりも高くなっている。これにより、関節用サポーター200は、サポート感及びフィット感に優れる。
【0146】
着圧付与領域(この例では中央領域の前面側110A)は、好ましくは、低伸長性のメッシュ編み組織を主体とする編み組織にて編成する。
中央領域中、着圧付与領域以外の領域も、着圧付与領域と同様の編み組織にて編成されていてもよいが、着圧付与領域以外の領域の構成については特に制限はない。
中央領域中、着圧付与領域以外の領域は、織物、樹脂シート、着圧付与領域とは異なる編み組織、等によって構成することができる。中でも、編み組織や織物が好ましく、弾性糸を用いた編み組織とすることがより好ましい。
【0147】
なお、本具体例において、「前面側」及び「後面側」の区別は、筒型のサポーター部における周方向の位置を説明するための便宜上の区別である。従って、筒型のサポーター部は、必ずしも、物理的に前面側と後面側とに分割されている必要はない。
【0148】
一端側領域112は、一端側領域の前面側112A及び一端側領域の後面側112Bによって構成されている。
他端側領域114は、他端側領域の前面側114A及び他端側領域の後面側114Bによって構成されている。
【0149】
図10に示すように、一端側領域の後面側112Bは、その周方向両端部を除き、凹凸編地からなる凹凸編地領域112Cによって構成されている。
他端側領域の後面側114Bも同様に、その周方向両端部を除き、凹凸編地からなる凹凸編地領域114Cによって構成されている。
【0150】
一端側領域112及び他端側領域114の全体は、弾性糸によって編成されている。
凹凸編地領域112Cの凹凸編地及び凹凸編地領域114Cの凹凸編地は、弾性糸を用いたフロート編みを含むメッシュ編みによって編成されている。
【0151】
一端側領域112において、凹凸編地領域112C以外の領域(一端側領域の後面側112Bの一部及び一端側領域の前面側112A)は、凹凸編地領域112Cよりも軸方向の弾性率が高い領域となっている。
他端側領域114において、凹凸編地領域114C以外の領域(他端側領域の後面側114Bの一部及び他端側領域の前面側114A)は、凹凸編地領域114Cよりも軸方向の弾性率が高い領域となっている。
一端側領域112及び他端側領域114は、いずれも、凹凸編地領域と凹凸編地領域よりも軸方向の弾性率が高い領域とが周方向に配置されている態様の一例である。
これらの構成により、一端側領域112及び他端側領域114において、凹凸編地領域により肌ストレス軽減と、凹凸編地領域よりも軸方向の弾性率が高い領域による着用時の安定感向上と、が両立されている。
【0152】
一端側領域112において、凹凸編地領域112Cよりも軸方向の弾性率が高い領域は、凹凸編地領域112Cよりも軸方向の伸長率が低い領域となっている。
他端側領域114において、凹凸編地領域114Cよりも軸方向の弾性率が高く、かつ、凹凸編地領域114Cよりも軸方向の伸長率が低いとなっている。
【0153】
図11は、
図10中の一点鎖線で囲った部分の拡大図(即ち、凹凸編地の拡大図)であり、
図12は、
図11のA−A線端面図である。
図11及び
図12に示すように、凹凸編地領域112Cは、複数の凹部202及び複数の凹部210を含む凹凸構造を有している。言うまでも無く、凹凸編地領域112Cのうち、複数の凹部202及び複数の凹部210以外の部分が、複数の凹部202及び複数の凹部210の底に対して、相対的に凸部を構成している。なお、
図11及び
図12では、一部の凹部にのみ、符号202又は210を付している。
【0154】
凹部202は、平面視において長尺形状を有している。凹部202の長尺形状の長手方向は、関節用サポーター200の周方向に対して略平行となっている。
長尺形状の凹部202は、凹凸編地領域112Cの伸び易さ(特に、軸方向の伸び易さ)に寄与している。
凹部210は、平面視において円形状を有している。凹部210の深さは、凹部202の深さよりも浅くなっている。凹部210の直径は、凹部202の幅よりも小さくなっている。凹凸編地領域112Cでは、凹部202だけでなく凹部210も有することにより、凹凸編地領域112Cの伸び易さと強度とが高いレベルで両立されている。
【0155】
凹凸編地領域114Cの凹凸形状も、凹凸編地領域112Cの凹凸形状と同様である。
【0156】
第4態様における凹凸編地領域の凹凸形状は、この具体例には限定されない。
例えば、凹凸編地領域112Cは、2種の凹部(凹部202及び凹部210)を複数ずつ有しているが、第4態様における凹凸編地領域は、1種の凹部のみを複数有していてもよい。
【0157】
凹凸編地領域112C及び凹凸編地領域114Cは、それぞれ、軸方向の弾性率が、0.1N/mm
2未満となっている。
凹凸編地領域112C及び凹凸編地領域114Cは、それぞれ、周方向の弾性率が、0.1N/mm
2〜0.5N/mm
2となっている。
従って、関節用サポーター200によれば、肌ストレスが軽減しつつ、着用ずれを抑制できる。
【0158】
また、凹凸編地領域112C及び凹凸編地領域114Cでは、それぞれ、軸方向の伸長率>周方向の伸長率を満たしている。
また、着圧付与領域(この例では中央領域の前面側110A)及び凹凸編地領域112Cは、軸方向の伸長率が、凹凸編地領域112C>着圧付与領域の関係を満たしている。
また、着圧付与領域(この例では中央領域の前面側110A)及び凹凸編地領域114Cは、軸方向の伸長率が、凹凸編地領域114C>着圧付与領域の関係を満たしている。
これらの構成により、関節用サポーター200では、優れた動作追従性が実現されている。
【0159】
また、関節用サポーター200において、一端側口ゴム部113及び他端側口ゴム部115は、着用時の関節用サポーター200の着用ずれ及びめくれを防止する機能を有している。
【0160】
また、関節用サポーター200において、一端側口ゴム部113、一端側領域112、中央領域110、他端側領域114、及び他端側口ゴム部115は、丸編みによって連続的に製造されており、これらの全体の構造がシームレス構造となっている。これにより、着用時のフィット感に特に優れたものとなっている。
但し、第4態様の衣類はこの一例に限られず、丸編みと丸編み以外の組織とを縫い合わせて併用して編成されていてもよい。
【0161】
関節用サポーター200では、中央領域110の平均着圧XAと一端側領域112及び他端側領域114の平均着圧XBとが、着圧差〔平均着圧XA−平均着圧XB〕>0kPaの関係を満たしている。
更に、関節用サポーター200では、中央領域110の平均着圧XAと一端側領域112の平均着圧XB1とが、着圧差〔平均着圧XA−平均着圧XB1〕>0kPaの関係を満たしている。
更に、関節用サポーター200では、中央領域110の平均着圧XAと他端側領域114の平均着圧XB2とが、着圧差〔平均着圧XA−平均着圧XB2〕>0kPaの関係を満たしている。
着圧差〔平均着圧XA−平均着圧XB〕、着圧差〔平均着圧XA−平均着圧XB1〕、着圧差〔平均着圧XA−平均着圧XB2〕、平均着圧XA、平均着圧XB、平均着圧XB1、及び平均着圧XB2のそれぞれの好ましい範囲は前述のとおりである。
【0162】
関節用サポーター200では、中央領域110の周方向の伸長率が、一端側領域112の周方向の伸長率及び他端側領域114の周方向の伸長率のいずれよりも小さくなっている。
また、関節用サポーター200では、中央領域110の軸方向の伸長率が、一端側領域112の軸方向の伸長率及び他端側領域114の軸方向の伸長率のいずれよりも小さくなっている。
【0163】
また、関節用サポーター200において、一端側領域112及び他端側領域114では、軸方向の伸長率>周方向の伸長率、及び、軸方向の伸長率150%以上の両方が満たされている。
但し、第4態様はこの一例に限られず、一端側領域及び他端側領域のうちの少なくとも一部の領域において、軸方向の伸長率>周方向の伸長率、及び、軸方向の伸長率150%以上の少なくとも一方が満たされていればよい。
【0164】
関節用サポーター200の材質、紡糸、及び編み組織については、それぞれ、前述したサポーター本体100(第1態様の具体例)の材質、紡糸、及び編み組織を参照することができる。
【0165】
関節用サポーター200のサイズについては、関節用サポーター200が着用される関節の種類に応じ、適宜設定される。
例えば、関節用サポーター200を、膝関節に着用される膝用サポーターとして用いる場合、関節用サポーター200のサイズの好ましい範囲は、前述したサポーター本体100のサイズの好ましい範囲と同様である。
【0166】
また、関節用サポーター200は、中央領域の前面側110A(着圧付与領域)の中心XXを中心とする測定範囲XX1(測定範囲XX1は不図示)、中央領域の後面側110Bの中心XYから軸方向に延ばした延長線上であって一端側領域112における軸方向の中心である位置XTを中心とする測定範囲XT1(測定範囲XT1は不図示)、及び中央領域の後面側110Bの中心XYから軸方向に延ばした延長線上であって他端側領域の後面側114Bの中心XSを中心とする測定範囲XS1(測定範囲XS1は不図示)の各々について、つかみ幅15mm、つかみ間隔15mm、及び引張荷重20Nの条件の引張試験によって周方向の伸長率を測定したときに、測定範囲XX1の周方向の伸長率が、測定範囲XT1の周方向の伸長率及び測定範囲XS1の周方向の伸長率のいずれよりも低くなっている。
【0167】
また、関節用サポーター200は、測定位置XX1、測定位置XT1、及び測定位置XS1について、上記条件の引張試験によって軸方向の伸長率を測定したときに、測定範囲XX1の軸方向の伸長率が、測定範囲XT1の軸方向の伸長率及び測定範囲XS1の軸方向の伸長率のいずれよりも低くなっている。
【0168】
また、関節用サポーター200では、中央領域110を、着圧付与領域の中心XXと中央領域の後面側110Bの中心XYとの距離が長くなる方向に5kgの力で伸ばした場合に、中央領域110の伸び率が180%〜280%となっている。
また、関節用サポーター200では、着圧付与領域の中心XX、中央領域の後面側110Bの中心XY、及び、中心XXと中心XYとの中間位置の合計3点について、それぞれ、周方向の伸長率を測定した場合に、3つの測定値の全てが100%〜250%の範囲に含まれ、3つの測定値における最大値と最小値との差が0%〜80%となっている。
【0169】
以上、第4態様の衣類の具体例である関節用サポーター200について説明したが、第4態様の衣類はこの具体例に限定されることはない。
【0170】
図13は、第4態様の衣類の別の具体例である関節用サポーター202を概念的に示す背面図である。
図13に示すように、関節用サポーター202において、一端側領域の後面側112Bは、凹凸編地領域112Dを含み、凹凸編地領域112Dの周方向長さが、一端側領域112の全周長さの約1/6の長さ(即ち、一端側領域の後面側112Bの周方向長さの約1/3の長さ)となっている。
また、関節用サポーター202において、一端側領域の後面側114Bには、凹凸編地領域が含まれない。
これらの点を除き、関節用サポーター202の構成は、関節用サポーター200の構成と同様である。
図13(関節用サポーター202)に示したように、凹凸編地領域は、必ずしも、一端側領域の後面側及び他端側領域の後面側の両方に含まれている必要はなく、着圧付与領域以外の領域の一部に含まれていればよい。肌ストレス低減の観点からみた好ましい態様は、凹凸編地領域が一端側領域の後面側及び他端側領域の後面側の少なくとも一方に含まれる態様であり、更に好ましい態様は、凹凸編地領域の周方向長さが、全周長さの1/6以上の長さである態様(例えば、関節用サポーター200及び関節用サポーター202)である。
【0171】
図14は、第4態様の衣類の更に別の具体例である関節用サポーター204を概念的に示す背面図である。
図14に示すように、関節用サポーター204は、一端側口ゴム部113を身体の一部に固定するための固定ベルト120を備えている。この固定ベルト120の一端部は、一端側口ゴム部113の背面側の表面(身体との対向面に対して反対側の面)の一部に接続されている。固定ベルト120は、面ファスナー(不図示)を備えており、これにより、固定ベルト120の少なくとも他端部を、一端側口ゴム部113の背面側の表面の一部に着脱可能に固定できるようになっている。
関節用サポーター204を使用する際は、例えば、まず、関節用サポーター204を、関節部位を含む身体の一部に着用し、次いで一端側口ゴム部113の上から固定ベルト120を巻き付け、次いで固定ベルト120の少なくとも他端側を、一端側口ゴム部113の背面側の表面の一部に着脱可能に固定する。これにより、関節用サポーター204の着用ずれをより効果的に抑制できる。
【0172】
なお、関節用サポーター204では、一端側口ゴム部113の背面側の表面の一部に、固定ベルト120の一端部が接続されているが、固定ベルトの一端部は、一端側口ゴム部113の前面側に固定されていてもよい。
また、関節用サポーター204の固定ベルトは面ファスナーを備えた例であるが、面ファスナー以外にも、バックル、サイドリリースバックル、ワイヤアジャスタ等を用いることもできる。
【0173】
また、第4態様の衣類の具体例としては、サポーター部として上記関節用サポーター200を組み込んだ衣類(スパッツ、タイツ(例えば、スポーツタイツ、コンプレッションタイツ、医療用タイツ)、ガードル、パンティーストッキング、レギンス、トレンカ、レッグウォーマー等のボトム(例えば、スポーツ用又はインナー用等のボトム);肌着、シャツ、コンプレッションシャツ等のトップ;ソックス;手袋;指サック;包帯;など)も挙げられる。
【0174】
以下、試験例により、本実施形態をより具体的に説明するが、本実施形態は以下の試験例に限定されるものではない。
【0175】
<試験例1>
試験例1は、第1態様及び第2態様の具体例である。
試験例1として、上述したサポーター本体100と同様の構成を有する膝用サポーターであるサンプル1を用い、着圧差〔平均着圧A−平均着圧B〕、着圧差〔平均着圧A−平均着圧B1〕、着圧差〔平均着圧A−平均着圧B2〕、及び各部の伸長率と、サポート感、フィット感、及び動作追従性と、の関係に関する試験を行った。
比較として、市販の膝用サポーターである、比較サンプルa〜dの各々についても、同様の試験を行った。
以下、詳細を示す。
【0176】
(サンプル1の試験)
−サンプル1の詳細−
前述のとおり、サンプル1において、太腿側口ゴム部13、太腿側サポート部12、膝サポート部10、脛側サポート部14、及び脛側口ゴム部15は、丸編みによって連続的に製造した。この際、膝サポート部10の編み組織は、低伸長性のメッシュ編み組織を主体とし、太腿側サポート部12及び脛側サポート部14の編み組織は、いずれも中伸長性のメッシュ編み組織を主体とした。太腿側口ゴム部13及び脛側口ゴム部15の編み組織は、いずれもノンラン編み組織とした。
サンプル1における、膝サポート部10、太腿側サポート部12、脛側サポート部14、太腿側口ゴム部13、及び脛側口ゴム部15の材質は、いずれもナイロン及びポリウレタンである。
【0177】
サンプル1の非伸長時のサイズは以下のとおりである。
・膝サポート部10 … 軸方向長さ130mm、平均周長220mm
・太腿側サポート部12 … 軸方向長さ50mm、平均周長208mm
・脛側サポート部14 … 軸方向長さ45mm、平均周長195mm
・太腿側口ゴム部13 … 軸方向長さ30mm、平均周長280mm
・脛側口ゴム部15 … 軸方向長さ20mm、平均周長240mm
【0178】
−平均着圧A、平均着圧B、着圧差〔平均着圧A−平均着圧B〕、着圧差〔平均着圧A−平均着圧B1〕、及び着圧差〔平均着圧A−平均着圧B2〕の測定−
サンプル1について、前述した「平均着圧A、平均着圧B、平均着圧B1、及び平均着圧B2の測定方法」に従い、平均着圧A、平均着圧B、平均着圧B1、及び平均着圧B2を測定した。
マネキンM1としては、20代男性標準寸法マネキン((株)七彩製、製品名「MD−20
A」)を用いた。マネキンMD−20
Aのサイズは、マネキンM1のサイズとして既に示したとおりである。
着圧測定装置としては、着圧測定用のセンサーを備えた(株)エイエムアイ・テクノ製の接触圧測定器「AMI3037−10」を用いた。
【0179】
マネキンM1の位置P1〜P10に対するセンサーの貼り付けは、それぞれ、既定の取り扱い方法(「衣服圧・体圧などの接触圧測定器/接触圧・血流測定システム 株式会社エイエムアイ・テクノ」、[online]、株式会社エイエムアイ・テクノ、[平成27年3月20日検索]、インターネット<http://www.ami-tec.co.jp/>)に準拠して行った。
具体的には、「AMI3037−10」専用のカバーテープ「SB−PTB」を用いて上記位置P1〜P10にセンサーを貼り付けた。次いで、センサー厚みが0.5mmとなるように装置付属のシリンジを用いて空気を挿入した。
なお、センサーは、「AMI3037−10」においては、「エアパック」と称されている。
【0180】
位置P1〜P10が取り付けられたマネキンM1の脚に、サンプル1をまっすぐに引き上げて着用した。この時、サンプル1の膝サポート部10における膝蓋骨の中心に相当する位置XがマネキンM1の位置P3に重なるようにし、かつ、位置P1〜P10のセンサー全てがサンプル1で隠れるようにした。この着用状態を、初期位置とした。
【0181】
次に、初期位置のサンプル1に対し、サンプル1の膝側部分を基準としてサンプル1の太腿側部分が上から見て(即ち、脚の付け根側から脛側に向かって見て。以下同じ。)右回りに捻られる内反歪みを付与した。この時、付与する内反歪みの量は、サンプル1が全てのセンサーを覆う状態を維持でき、かつ、サンプル1から手を離した状態でサンプル1が動かない状態を維持できる最大の量とした。サンプル1に対して上記内反歪みが付与された着用状態を、50秒〜60秒維持した。
次に、サンプル1を初期位置に戻し、50秒〜60秒維持した。
次に、初期位置のサンプル1に対し、サンプル1の膝側部分を基準としてサンプル1の太腿側部分が上から見て左回りに捻られる外反歪みを付与した。この時、付与する外反歪みの量は、サンプル1が全てのセンサーを覆う状態を維持でき、かつ、サンプル1から手を離した状態でサンプル1が動かない状態を維持できる最大の量とした。サンプル1に対して上記外反歪みが付与された着用状態を、50秒〜60秒維持した。
次に、サンプル1を初期位置に戻し、50秒〜60秒維持した。
次に、サンプル1を上下方向に伸長することにより伸長歪みを付与した。付与する伸長歪みの量は、サンプル1から手を離した状態でサンプル1が動かない状態を維持できる最大の量とした。サンプル1に対して上記伸長歪みが付与された着用状態を、50秒〜60秒維持した。
次に、サンプル1を初期位置に戻し、50秒〜60秒維持した。
【0182】
次に、位置P1〜P10の着圧を、「AMI3037−10」によって測定した。
位置P1、P5、P7、及びP9の各測定値の平均値を求め、得られた平均値を平均着圧Bとした。
位置P1及びP7の各測定値の平均値を求め、得られた平均値を平均着圧B1とした。
位置P5及びP9の各測定値の平均値を求め、得られた平均値を平均着圧B2とした。
位置P2、P3、P4、P6、P8、及びP10の各測定値の平均値を求め、得られた平均値を平均着圧Aとした。
更に、平均着圧Aから平均着圧Bを差し引くことで、着圧差〔平均着圧A−平均着圧B〕を求めた。
更に、平均着圧Aから平均着圧B1を差し引くことで、着圧差〔平均着圧A−平均着圧B1〕を求めた。
更に、平均着圧Aから平均着圧B2を差し引くことで、着圧差〔平均着圧A−平均着圧B2〕を求めた。
平均着圧A、着圧差〔平均着圧A−平均着圧B〕、着圧差〔平均着圧A−平均着圧B1〕、及び着圧差〔平均着圧A−平均着圧B2〕を、下記表1に示す。
【0183】
−伸長率(%)の測定−
サンプル1における、膝サポート部10における膝蓋骨の中心に相当する位置Xを中心とする測定範囲X1、膝窩部の中心に相当する位置Yから軸方向に延ばした延長線30上であって太腿側サポート部12における軸方向の中心である位置Tを中心とする測定範囲T1、及び膝窩部の中心に相当する位置Yから軸方向に延ばした延長線30上であって脛側サポート部における軸方向の中心である位置Sを中心とする測定範囲S1の各々について、軸方向の伸長率(%)及び周方向の伸長率(%)を測定した。
伸長率(%)の測定方法の詳細は前述のとおりである。
測定結果を下記表1に示す。
【0184】
−サポート感、フィット感、及び動作追従性の評価−
成人男性4名及び成人女性1名の計5名の被験者を対象として、サポート感、フィット感、及び動作追従性に関する官能評価を行った。
詳細には、各被験者にサンプル1を2日間程度着用させ、着用後、各被験者に対し、サポート感、フィット感、及び、膝の曲げ伸ばし動作に対する追従性(動作追従性)に関するヒヤリングを行った。
ヒヤリング結果に基づき、以下の採点方法に従って採点を行った。
【0185】
−−サポート感の採点方法−−
5点 … サポート感を顕著に感じた。
4点 … サポート感を比較的感じた。
3点 … サポート感があるともないとも言えない。
2点 … サポート感をあまり感じなかった。
1点 … サポート感を全く感じなかった。
【0186】
−−フィット感−−
5点 … フィット感を顕著に感じた。
4点 … フィット感を比較的感じた。
3点 … フィット感があるともないとも言えない。
2点 … フィット感をあまり感じなかった。
1点 … フィット感を全く感じなかった。
【0187】
−−動作追従性−−
5点 … 動作追従性が良好であった。
4点 … 動作追従性が比較的あった。
3点 … 動作追従性があるともないとも言えない。
2点 … 動作追従性をあまり感じなかった。
1点 … 動作追従性を全く感じなかった。
【0188】
次に、サポート感、フィット感、及び動作追従性のそれぞれについて、被験者5名の合計点を算出し、それぞれ、サポート感合計点、フィット感合計点、及び動作追従性合計点とした。
更に、サポート感合計点、フィット感合計点、及び動作追従性合計点の総和を、総合点とした。
結果を下記表1に示す。
【0189】
(比較サンプルa〜dの試験)
市販品の膝用サポーターである比較サンプルa〜d(詳細は後述する)のそれぞれについて、サンプル1の試験と同様にして、試験を実施した。
比較サンプルa〜dにおける各測定は、サンプル1における測定位置と同じ位置にて実施した。但し、言うまでもないが、膝蓋骨の中心に相当する位置にニーホールがある比較サンプルについては、位置P3の着圧は、平均着圧Aの算出には用いなかった。
結果を表1に示す。
【0191】
表1において、「N.D.」は、評価結果無し(No Data)を意味する。
表1において、比較サンプルa〜dは以下のとおりである。
比較サンプルa … アルケア(株)製の「OAシームレス・プロ」(M−Lサイズ)
比較サンプルb … スリーエムカンパニー社製の「FUTURO(登録商標) ひざ用サポーター」(Mサイズ)
比較サンプルc … TOMMIE COPPER社製の「トミーカッパー ひざサポーター」(Mサイズ)
比較サンプルd … ピップ(株)製の「プロ・フィッツ(登録商標) ひざ用」(Mサイズ)
【0192】
表1に示すように、着圧差〔平均着圧A−平均着圧B〕が0kPa超であり(即ち、平均着圧A>平均着圧Bの関係を満たし)、太腿側サポート部及び脛側サポート部がいずれも軸方向の伸長率>周方向の伸長率を満たし、太腿側サポート部及び脛側サポート部の各々の軸方向の伸長率が150%以上であるサンプル1では、サポート感、フィット感、及び動作追従性の全てに優れていた。
これに対し、着圧差〔平均着圧A−平均着圧B〕が0kPa以下である比較サンプルdでは、サポート感及びフィット感が低かった。
また、太腿側サポート部が軸方向の伸長率>周方向の伸長率を満たさず、太腿側サポート部の軸方向の伸長率が150%未満である比較サンプルa〜cでは、動作追従性が低かった。
【0193】
<試験例2>
試験例2は、第1態様及び第2態様の具体例である。
本明細書中では、着圧測定の客観性を確保するために、着圧測定に用いるマネキンを、20代男性標準寸法マネキンであるマネキンM1に特定した。
試験例2では、マネキンM1を用いた着圧測定の客観性を確認するために、マネキンM1に対し、サイズが異なる3種の膝用サポーター(下記サンプル1〜3)を着用し、それぞれの場合の着圧を測定した。
着圧測定は、試験例1における着圧測定と同様にして行った。
【0194】
・サンプル1 … 試験例1で用いたサンプル1。想定サイズはMサイズ。伸び寸法205mm。
・サンプル2 … 伸び寸法を185mmに変更したこと以外はサンプル1と同様にして作製されたサンプル。想定サイズはXSサイズ。
・サンプル3 … 伸び寸法を225mmに変更したこと以外はサンプル1と同様にして作製されたサンプル。想定サイズはXLサイズ。
【0195】
ここで、伸び寸法とは、以下のようにして測定される膝用サポーター(サポーター本体)の横方向長さ(即ち、軸方向と直交する方向の長さ)を指す。
まず、筒型のサポーター本体の前面側と後面側とを重ねることにより、サポーター本体の形状を略平面形状とする(
図7参照)。略平面形状としたサポーター本体の横方向の一端全体と他端全体とをそれぞれつかみ、横方向に5Nの引張力を加えてサポーター本体を横方向に伸長させる(
図8参照)。伸長したサポーター本体の横方向長さを測定し、この横方向長さを伸び寸法とする。
【0196】
着圧測定の結果、着圧差〔平均着圧A−平均着圧B〕は、サンプル2(XSサイズ想定)で2.3kPa、サンプル1(Mサイズ想定)で1.5kPa、サンプル3(XLサイズ想定)で1.2kPaであった。
以上のように、サイズの違いによる着圧の違いは、さほど大きくないことが確認された。具体的には、3種の膝用サポーター(下記サンプル1〜3)のいずれにおいても、平均着圧A>平均着圧Bの関係(更には、平均着圧A−平均着圧B≧0.8kPaの関係、更には、平均着圧A−平均着圧B≧1.0kPaの関係)が満たされていた。
従って、特定のサイズのマネキンM1を用い、様々なサイズの膝用サポーターの着圧を客観的に測定できることが確認された。
【0197】
<試験例3>
試験例3は、第3態様の具体例である。
試験例1で用いたサンプル1について、前述した測定方法により、膝サポート部の伸び率を測定した。膝サポート部の伸び率の測定は、大竹工作所製の「新おもり式寸法測定器(ソックス用)」を用いて行った。結果を表2に示す。
また、サンプル1における、位置X、位置Y、及び位置Xと位置Yとの中間位置の各々について、前述した測定方法により、周方向の伸長率を測定した。結果を表2に示す。
【0198】
−膝関節の曲げ伸ばしのし易さの評価−
成人男性4名及び成人女性1名の計5名の被験者を対象として、膝関節の曲げ伸ばしのし易さに関する官能評価を行った。
詳細には、各被験者にサポート1を2日間程度着用させ、着用後、各被験者に対し、膝関節の曲げ伸ばしのし易さに関するヒヤリングを行った。
ヒヤリング結果に基づき、以下の採点方法に従って採点を行った。
結果を表2に示す。表2中、「N.D.」は、測定データ無し(No Data)を意味する。
なお、表2では、試験例1における着圧差、サポート感、及びフィット感も再度示した。
【0199】
−−膝関節の曲げ伸ばしのし易さの採点方法−−
5点 … 膝関節の曲げ伸ばしのし易さを顕著に感じた。
4点 … 膝関節の曲げ伸ばしのし易さを比較的感じた。
3点 … 膝関節の曲げ伸ばしのし易さがあるともないとも言えない。
2点 … 膝関節の曲げ伸ばしのし易さをあまり感じなかった。
1点 … 膝関節の曲げ伸ばしのし易さを全く感じなかった。
【0201】
表2に示すように、着圧差〔平均着圧A−平均着圧B〕が0kPa超であり(即ち、平均着圧A>平均着圧Bの関係を満たし)、膝サポート部の伸び率が180%〜280%であるサンプル1は、膝サポート部の伸び率が180%未満である比較サンブルa〜cと比較して、膝関節の曲げ伸ばしのし易さに優れていた。
比較サンプルdは、膝サポート部の伸び率が180%〜280%ではあるものの、着圧差〔平均着圧A−平均着圧B〕が0kPa以下であるために、サポート感及びフィット感に劣っていた。
【0202】
<試験例4>
試験例4は、第4態様の具体例である。
試験例4として、上述した関節用サポーター200と同様の構成を有する関節用サポーターであるサンプル4を作製した。
サンプル4において、一端側口ゴム部113、一端側領域112、中央領域110、他端側領域114、及び他端側口ゴム部115は、丸編みによって連続的に製造した。
この際、中央領域110の編み組織は、フロート編みおよびタック編みを含む低伸長性のメッシュ編み組織を主体とし、一端側領域112及び他端側領域114の編み組織は、いずれも中伸長性のメッシュ編み組織を主体とした。
一端側領域112において、一端側領域の後面側112Bのほぼ全面が凹凸編地領域112Cとなるようにし、一端側領域の前面側112Aは、凹凸編地領域112Cよりも軸方向の弾性率が高くなるようにした。同様に、他端側領域114において、他端側領域の後面側114Bのほぼ全面が凹凸編地領域114Cとなるようにし、他端側領域の前面側114Aは、凹凸編地領域114Cよりも軸方向の弾性率が高くなるようにした。ここで、関節を屈曲させた時の外側に位置するほぼ半周分を前面側とし、残りのほぼ半周分を後面側とした。また、サンプル4においては、凹凸編地領域112C及び凹凸編地領域114Cの面積はほぼ同一とした。
一端側口ゴム部113及び他端側口ゴム部115の編み組織は、いずれもノンラン編み組織とした。また、凹凸編地領域112C及び凹凸編地領域114Cにおける凹部は、いずれもフロート編みによって周方向の編目を1目以上飛ばし、タック編みを組み合わせて編むことにより形成した編み組織である。また、中央領域の前面側110A(即ち、着圧付与領域)及び中央領域の後面側110Bは、フロート編みおよびタック編みの編成を変化させることによって編み分けた。
中央領域の前面側110A(即ち、着圧付与領域)の軸方向の伸長率は184%であり、中央領域の後面側110Bの軸方向の伸長率は111%であった。
【0203】
サンプル4の非伸長時のサイズは、試験例1のサンプル1の非伸長時のサイズと同様とした。
なお、サンプル4における、一端側口ゴム部113、一端側領域112、中央領域110、他端側領域114、及び他端側口ゴム部115は、それぞれ、サンプル1における、太腿側口ゴム部13、太腿側サポート部12、膝サポート部10、脛側サポート部14、及び脛側口ゴム部15に対応する。
【0204】
(着圧の測定)
マネキンM1を、以下の丸太棒に変更し、測定位置を以下のように変更したこと以外は試験例1と同様にして、サンプル4の着圧を測定した。
詳細には、丸太棒の下記センサー取り付け位置(位置XP1〜XP5)に、それぞれセンサーを取り付けた。センサーを取り付けた丸太棒にサンプル4を着用させた。この時、丸太棒の位置XP1〜XP5のセンサーに対し、それぞれ、サンプル4の以下の位置が重なるようにした(下記の「丸太棒におけるセンサー取り付け位置とサンプル4における位置との対応関係」参照)。
【0205】
−丸太棒−
形状及びサイズ … 円周の長さが374mmである円柱形状
材質 … 杉
加工 … 削り出し、研磨、ニス加工、及び研磨を順次実施
【0206】
−丸太棒におけるセンサー取り付け位置(5箇所)−
丸太棒における位置XP1 … 基準位置
丸太棒における位置XP2 … 位置XP1の上方100mmの位置
丸太棒における位置XP3 … 位置XP2の真裏
丸太棒における位置XP4 … 位置XP1の下方100mmの位置
丸太棒における位置XP5 … 位置XP4の真裏
【0207】
−丸太棒におけるセンサー取り付け位置とサンプル4における位置との対応関係−
丸太棒における位置XP1 … サンプル4における着圧付与領域(中央領域の前面側110A)の中心XX
丸太棒における位置XP2 … サンプル4における一端側領域の前面側112Aの中心
丸太棒における位置XP3 … サンプル4における一端側領域の後面側112B(凹凸編地領域112C)の中心XT
丸太棒における位置XP4 … サンプル4における他端側領域の前面側114Aの中心
丸太棒における位置XP5 … サンプル4における他端側領域の後面側114Bの中心XS(凹凸編地領域114C)
【0208】
位置XP1における着圧の測定値を、着圧付与領域の着圧(kPa)とした。
位置XP2における着圧の測定値及び位置XP4における着圧の測定値の平均値を、一端側領域の前面側及び他端側領域の前面側の平均着圧(kPa)とした。
位置XP3における着圧の測定値及び位置XP5における着圧の測定値の平均値を、一端側領域の後面側及び他端側領域の後面側の平均着圧(kPa)とした。
【0209】
次に、下記式により、着用時の着圧付与領域の周方向伸長率(%)を測定した。
着用時の着圧付与領域の周方向伸長率(%) = (丸太棒に着用させた時の着圧付与領域の周方向長さ/丸太棒に着用させる前の着圧付与領域の周方向長さ)×100
【0210】
表3に、着用時の着圧付与領域の周方向伸長率(%)、着圧付与領域の着圧(kPa)、一端側領域及び他端側領域の平均着圧(kPa)、一端側領域の前面側及び他端側領域の前面側の平均着圧(kPa)、及び一端側領域の後面側及び他端側領域の後面側の平均値(kPa)をそれぞれ示す。
【0212】
表3に示すように、サンプル4において、着圧付与領域の着圧が、一端側領域及び他端側領域の平均着圧よりも高いことが確認された。従って、サンプル4は、関節に着用させた場合に、サポート感及びフィット感に優れる。
また、サンプル4は、凹凸編地領域を含むことから、肌ストレス軽減の効果に優れる。
【0213】
なお、周方向に2種類の編み組織が略半周分で組み合わされているサンプル4とは異なり、周方向に2種類の編み組織が略半周分で組み合わされていない編地の場合には、その平均着圧の測定方法は、面積平均により求めることができる。
具体的には、各編み組織の面積中心における着圧の測定をする(P11、P12、P13)。また各編み組織の面積は、前述の置き寸の測定方法に基づいて測定する(A1、A2、A3)。これらの値を用いて、以下の式にて平均着圧(kPa)を求めることができる。
平均着圧=(P11*A1+P12*A2+P13*A3)/(A1+A2+A3)
【0214】
また、着圧測定のセンサーよりも軸方向周方向に小さな組織が含まれる場合には、センサーよりも大きな筒型の組織サンプルを作り、着圧測定を行うことで着圧の正確な値を測定できる。
【0215】
(凹凸編地領域の軸方向弾性率の測定)
サンプル4の凹凸編地領域を、下記表4に示す軸方向伸長率にて伸長させた時の軸方向弾性率をそれぞれ測定した。
凹凸編地領域の軸方向弾性率は、凹凸編地領域112C(一端側)の軸方向弾性率と凹凸編地領域114C(他端側)の軸方向弾性率との平均値とした。
結果を表4に示す。
【0217】
表4に示すように、凹凸編地領域の軸方向弾性率は、軸方向伸長率80〜200%の範囲に渡り、0.1N/mm
2未満であった。
これにより、着用時に凹凸編地領域が200%まで伸びても、まだ伸び代(即ち、凹凸)が残り、これにより、肌ストレス軽減の効果が好適に維持されることが示唆された。この軸方向伸長率が限界伸長率に至るまで、同様の効果が得られると考えられる。
【0218】
上述した凹凸編地領域の軸方向弾性率の測定において、サポーター部に単一の凹凸編地を含む凹凸編地領域が用いられる場合には、この凹凸編地領域における軸方向弾性率を、凹凸編地領域の軸方向弾性率とする。
また、サポーター部に編成の異なる凹凸編地を含む2種以上の凹凸編地領域が用いられる場合には、各領域における軸方向弾性率を求め、それらの面積平均値を、凹凸編地領域の軸方向弾性率とする。
また、一端側と凹凸編地領域の軸方向弾性率と他端側の凹凸編地領域の軸方向弾性率との平均値を算出する際、各領域の面積が異なる場合には、それらの面積を考慮して算出する。
【0219】
(凹凸編地領域の周方向弾性率の測定)
サンプル4の凹凸編地領域を、周方向伸長率200%にて伸長させた時の周方向弾性率を測定した。
凹凸編地領域の周方向弾性率は、凹凸編地領域112C(一端側)の周方向弾性率と凹凸編地領域114C(他端側)の周方向弾性率との平均値とした。
その結果、周方向伸長率200%にて伸長させた時の周方向弾性率は、0.35N/mm
2であり、0.1N/mm
2〜0.5N/mm
2の範囲内であることが確認された。また、上記周方向弾性率が上記範囲内に含まれる編地はいずれもフィット感に優れる傾向があることを確認した。
これにより、サンプル4は、フィット感向上、着用ずれ抑制、及び肌ストレス軽減の各効果に優れることが示唆された。
【0220】
上述した凹凸編地領域の周方向弾性率の測定において、サポーター部に単一の凹凸編地を含む凹凸編地領域が用いられる場合には、この凹凸編地領域における周方向弾性率を、凹凸編地領域の周方向弾性率とする。
また、サポーター部に編成の異なる凹凸編地を含む2種以上の凹凸編地領域が用いられる場合には、各領域における周方向弾性率を求め、それらの面積平均値を、凹凸編地領域の周方向弾性率とする。
また、一端側と凹凸編地領域の周方向弾性率と他端側の凹凸編地領域の周方向弾性率との平均値を算出する際、各領域の面積が異なる場合には、それらの面積を考慮して算出する。
【0221】
(着用ずれに関する官能試験(着用試験))
成人男性4名及び成人女性2名の計6名の被験者を対象として、凹凸編地領域の配置に関する官能試験を行った。
まず、被験者にサンプル4を、後ろ向きに2日間程度着用させた。ここで、後ろ向きとは、凹凸編地領域112C(一端側)が太腿の前側に対向し、凹凸編地領域114C(他端側)が脛の前側に対向する向きを指す。
次に、被験者にサンプル4を、前向きに2日間程度着用させた。ここで、前向きとは、凹凸編地領域112C(一端側)が太腿の後ろ側に対向し、凹凸編地領域114C(他端側)が脛の後ろ側(即ち、脹脛側)に対向する向きを指す。
その後、被験者に対し、後ろ向きで着用した場合及び前向きで着用した場合のサンプル4の着用ずれに関するヒヤリングを行った。
なお、被験者にサンプル4を前向き又は後ろ向きに着用させた場合のいずれにおいても、サンプル4において、着圧付与領域の着圧は、一端側領域及び他端側領域の平均着圧よりも高い。
ヒヤリング結果に基づき、以下の採点方法に従って採点を行った。
【0222】
−−着用ずれの採点方法−−
5点 … 前向きに着用した場合は、後ろ向きに着用した場合と比較して、着用ずれが改善した。
4点 … 前向きに着用した場合は、後ろ向きに着用した場合と比較して、着用ずれがどちらかというと改善した。
3点 … 前向きに着用した場合は、後ろ向きに着用した場合と比較して、着用ずれが改善したとも改善していないとも言えない。
2点 … 前向きに着用した場合は、後ろ向きに着用した場合と比較して、着用ずれがどちらかというと悪化した。
1点 … 前向きに着用した場合は、後ろ向きに着用した場合と比較して、着用ずれが悪化した。
【0223】
被験者6人についての試験結果は、5点が2人、4点が2人、3点が1人、2点が1人、1点が0人であった。
これにより、前向きに着用した場合(即ち、凹凸編地領域が、太腿及び脛の後ろ側に対向する場合)は、後ろ向きに着用した場合(即ち、凹凸編地領域が、太腿及び脛の前側に対向する場合)と比較して、着用ずれが改善される傾向があることがわかった。
【0224】
日本国特許出願2015−087593及び日本国特許出願2016−020145の開示はその全体が参照により本明細書に取り込まれる。
本明細書に記載された全ての文献、特許出願、及び技術規格は、個々の文献、特許出願、及び技術規格が参照により取り込まれることが具体的かつ個々に記された場合と同程度に、本明細書中に参照により取り込まれる。