(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6731995
(24)【登録日】2020年7月9日
(45)【発行日】2020年7月29日
(54)【発明の名称】通信コンポーネント
(51)【国際特許分類】
H01P 1/213 20060101AFI20200716BHJP
H01P 1/20 20060101ALI20200716BHJP
H01P 1/205 20060101ALI20200716BHJP
H01P 7/04 20060101ALI20200716BHJP
H01P 7/10 20060101ALI20200716BHJP
【FI】
H01P1/213 N
H01P1/20 A
H01P1/205 B
H01P7/04
H01P7/10
【請求項の数】1
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2018-227824(P2018-227824)
(22)【出願日】2018年12月5日
(65)【公開番号】特開2020-88833(P2020-88833A)
(43)【公開日】2020年6月4日
【審査請求日】2018年12月5日
(31)【優先権主張番号】10-2018-0147896
(32)【優先日】2018年11月26日
(33)【優先権主張国】KR
(73)【特許権者】
【識別番号】518432137
【氏名又は名称】イナートロン インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】Innertron, Inc.
(74)【代理人】
【識別番号】100121382
【弁理士】
【氏名又は名称】山下 託嗣
(72)【発明者】
【氏名】ホ,クワンミョン
(72)【発明者】
【氏名】シン,ジョンイル
(72)【発明者】
【氏名】ジョン,テワン
【審査官】
佐藤 当秀
(56)【参考文献】
【文献】
米国特許第04091344(US,A)
【文献】
特開平11−041008(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01P 1/20
H01P 7/04
H01P 7/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
電波信号の入力を受ける複数の入力ポートと、
前記入力ポートが設置され、前記入力ポートに入力された電波の電波移動経路が形成されるハウジングと、
前記ハウジングに設置され、電波信号を出力する出力ポートと、
前記出力ポートと電気的に接続され、複数の前記電波移動経路の端部まで前記ハウジングの内部に延長され、前記電波移動経路を通過する複数の電波を一つに合成する出力バーとを含み、
前記電波移動経路に沿って共振器が列をなして複数個配置され、
前記入力ポートを通じて、1.5GHzのLTE用電波信号(以下、「第1電波」という。)、1.7GHz〜2.1GHzのLTE用電波信号(以下、「第2電波」という。)、3.4GHz〜3.6GHzの5G用電波信号(以下、「第3電波」という。)、3.8GHz〜4.2GHzの5G用電波信号(以下、「第4電波」という。)、4.5GHz〜4.9GHzの5G用電波信号(以下、「第5電波」という。)が入力され、
前記電波移動経路は、前記第1電波が移動する第1電波移動経路、前記第2電波が移動する第2電波移動経路、前記第3電波が移動する第3電波移動経路、前記第4電波が移動する第4電波移動経路、前記第5電波が移動する第5電波移動経路を含み、
前記共振器は、前記第1電波移動経路の末端に設置される第1末端共振器、前記第2電波移動経路の末端に設置される第2末端共振器、前記第3電波移動経路の末端に設置される第3末端共振器、前記第4電波移動経路の末端に設置される第4末端共振器、前記第5電波移動経路の末端に設置される第5末端共振器を含み、
前記出力バーは、直線の形状に延びるバーの形状を有し、前記出力バーの側面は前記第1末端共振器、前記第2末端共振器、前記第3末端共振器、前記第4末端共振器、前記第5末端共振器と隣接するように配置され、前記出力ポート側から前記ハウジングの内部に延びる内側延長部と前記内側延長部と一定の角度を有する直六面体の横延長部とを含み、前記横延長部は前記内側延長部と比べて長さは短く高さは高く、
前記第1電波乃至第5電波のうちパーセント帯域幅(Normal Band Width)が4〜5%と相対的に狭い第1電波が通過する前記第1末端共振器と第3電波が通過する前記第3末端共振器は、前記出力バーとショートタイプで接続され、
パーセント帯域幅(Normal Band Width)が8〜20%と相対的に広い第2電波が通過する前記第2末端共振器、 第4電波が通過する前記第4末端共振器、 第5電波が通過する前記第5末端共振器は、前記出力バーとオープンタイプで接続され、
前記出力バーとショートタイプで接続される前記第1末端共振器と第3末端共振器は、オープンタイプで接続される前記第2末端共振器、第4末端共振器、 第5末端共振器より前記出力バーから相対的に遠い位置に設置され、
前記出力バーとオープンタイプで接続される前記第2末端共振器、前記第4末端共振器、前記第5末端共振器は、前記出力バーの側面に対向する直六面体状を有し、
このうちパーセント帯域幅が最も広い第2電波が通過する前記第2末端共振器は、前記横延長部の側面と対向するように設置され、
前記第4末端共振器、 前記第5末端共振器は、前記内側延長部の側面と対向するように設置される、
通信コンポーネント。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は通信コンポーネントに関する。より詳細には、互いに異なる周波数を有する多数のRF信号を一つのラインに伝達する通信コンポーネントに関する。
【背景技術】
【0002】
信号合成用通信コンポーネントは移動通信システムの基地局に使用されることができる。この装置は、互いに異なる周波数を有する複数のRF信号を一つのラインに集めて一つの伝送線路に伝達できるようにする。一つの線路に集まった多様な周波数の信号は屋外のアンテナを通じて外部に伝達される。信号合成用通信コンポーネントを活用した方式は、周波数帯毎に別途の線路およびアンテナを活用する方式よりも経済的で安定的である。
【0003】
韓国公開特許第2016−0036258号(2016年4月4日公開)には移動通信システムの多重帯域コンバイナーが開示された。当該先行文献に開示されたように、多重帯域コンバイナーは胴体100の内部にチャネルフィルタ110、120、130、140、150、160が形成され、これらを通じて互いに異なる多様な周波数帯域の信号がそれぞれ伝達される。これら信号は帯域結合部170で合流して外部に出力される。
【0004】
デジタル移動通信の標準が2Gから5Gまで次第に進化するにつれて移動通信速度、安定性および低遅延性が向上されてきた。これを後押しするために次第に高い周波数帯域を活用するようになってきた。一般に、4G LTEは850MHz、2.6GHzなどを活用し、5Gは3.5GHz、28GHzなどを活用する。現在は4Gが主に活用されるものの、移動通信機器に応じて2G、3G、5Gの標準によるシステムも同時代に活用されるため、一つの基地局システムが多様な周波数の信号を伝達しなければならない。
【0005】
このように偏差の大きい周波数帯を有する多様な電波を一つに集める場合、電波間に干渉が発生し得る。すなわち、低い周波数の信号に所望しないハーモニック信号(高調波)が伴われ得るが、このハーモニック信号は既存の信号周波数の倍数を有する周波数に複数個が生成され得る。この低周波帯域信号から派生するハーモニック信号が高周波帯域信号と干渉を起こすため、高周波帯域信号が正常に伝送されなくなる虞がある。信号伝達線路が、伝達されるそれぞれの周波数に合うインピーダンスを有さないと所望しないノイズの発生を防止することができない。電波が結合される部位の構造や形状を調整することによって、そのインピーダンスを正確に合わせてチューニングすることができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】韓国公開特許第2016−0036258号公報(2016.4.4公開)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明の実施例は、それぞれ異なる周波数帯域を有する多様な電波信号を干渉することなく合成して出力できる通信コンポーネントを提供する。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の一側面に係る通信コンポーネントは、電波信号の入力を受ける複数の入力ポートと、前記入力ポートが設置され、前記入力ポートに入力された電波の電波移動経路が形成されるハウジングと、前記ハウジングに設置され、電波信号を出力する出力ポートと、前記出力ポートと電気的に接続され、前記複数の電波移動経路の端部まで前記ハウジングの内部に延長され、前記電波移動経路を通過する複数の電波を一つに合成する出力バーとを含み、前記電波移動経路に沿って誘電体共振器が列をなして複数個配置され、前記出力バーの側面は前記誘電体共振器のうちいずれか一つと対向するように配置され、前記誘電体共振器のうち前記出力バーと相対的に近いものはオープンタイプで接続され、前記誘電体共振器のうち前記出力バーと相対的に遠いものはショートタイプで接続されることを特徴とすることができる。
【0009】
本発明の一側面に係る通信コンポーネントは、前記出力バーは直線の形状に延びるバーの形状を有し、前記誘電体共振器のうちオープンタイプで接続されるものは前記出力バーの側面に対向する直六面体状を有することを特徴とすることができる。
【0010】
本発明の一側面に係る通信コンポーネントは、前記出力バーは、前記出力ポート側から前記ハウジングの内部に延びる内側延長部と、前記内側延長部と一定の角度を有する直六面体の横延長部とを含み、前記内側延長部の前記出力ポート側の端部には下側に支持部が形成されて、前記支持部が前記内側延長部を支持し、前記内側延長部の出力ポートの反対側の端部は前記横延長部によって前記ハウジングの底面に支持されることを特徴とすることができる。
【0011】
本発明の一側面に係る通信コンポーネントは、前記内側延長部は前記ハウジングの底面から一定の間隔で離隔され、前記ハウジングの底面と前記内側延長部との間には前記内側延長部を支持する支持部材が設置されることを特徴とすることができる。
【0012】
本発明に係る通信コンポーネントは、前記横延長部は前記内側延長部に比べて長さは短く高さは高く、前記横延長部に比べて多数の電波移動経路と接続されることを特徴とすることができる。
【0013】
本発明の一側面に係る通信コンポーネントは、前記入力ポートを通じて、1.5GHzのLTE用電波信号(以下、「第1電波」という。)、1.7GHz〜2.1GHzのLTE用電波信号(以下、「第2電波」という。)、3.4GHz〜3.6GHzの5G用電波信号(以下、「第3電波」という。)、3.8GHz〜4.2GHzの5G用電波信号(以下、「第4電波」という。)、4.5GHz〜4.9GHzの5G用電波信号(以下、「第5電波」という。)が入力され、前記電波移動経路は、第1電波が移動する第1電波移動経路、第2電波が移動する第2電波移動経路、第3電波が移動する第3電波移動経路、第4電波が移動する第4電波移動経路、第5電波が移動する第5電波移動経路を含み、前記第1電波移動経路の末端に設置される第1末端共振器、前記第2電波移動経路の末端に設置される第2末端共振器、前記第3電波移動経路の末端に設置される第3末端共振器、前記第4電波移動経路の末端に設置される第4末端共振器、前記第5電波移動経路の末端に設置される第5末端共振器を含み、前記第1末端共振器と前記第3末端共振器は前記出力バーとショートタイプで連結され、前記第2末端共振器、前記第4末端共振器、前記第5末端共振器は前記出力バーとオープンタイプで連結されることを特徴とする。
【発明の効果】
【0014】
本発明によると、出力バーがハウジングの内部の複数の電波移動経路の端部まで延びるため、全体的なハウジングの大きさをコンパクトに小型化することができる。
【0015】
本発明によると、高い周波数帯域の電波信号と低い周波数帯域の電波信号をノイズなしに合成することによって、周波数帯域が異なる多数の電波信号を同時に伝送することができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【
図1】本発明の実施例に係る通信コンポーネントを示した斜視図。
【
図2】本発明の実施例に係る通信コンポーネントを示した平面図。
【
図3】本発明の実施例に係る通信コンポーネントの信号合成部を示した平面図。
【
図4】本発明の実施例に係る通信コンポーネントの信号合成部を示した斜視図。
【
図5】本発明の実施例に係る通信コンポーネントの出力バーを示した斜視図。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明の実施例を添付された図面を参照して説明する。添付された図面は本発明の例示的な形態を図示したものであって、これは本発明をより詳細に説明するために提供されるものに過ぎず、本発明の技術的な範囲はこれによって限定されるものではない。
【0018】
また、図面符号にかかわらず、同一または対応する構成要素は同じ参照番号を付与し、これに対する重複説明は省略する。説明の便宜のために図示された各構成部材の大きさおよび形状は誇張または縮小され得る。
【0019】
一方、第1または第2等のように序数を含む用語は、多様な構成要素の説明に使用され得るが、前記構成要素は前記用語によって限定されず、前記用語は一つの構成要素を他の構成要素から区別させる目的でのみ使用される。
【0020】
図1は本発明の実施例に係る通信コンポーネント1を示した斜視図、
図2は本発明の実施例に係る通信コンポーネント1を示した平面図、
図3は本発明の実施例に係る通信コンポーネント1の信号合成部34を示した平面図、
図4は本発明の実施例に係る通信コンポーネント1の信号合成部34を示した斜視図、
図5は本発明の実施例に係る通信コンポーネント1の出力バー50を示した斜視図である。
【0021】
図1〜
図2に図示された通り、本発明の実施例に係る通信コンポーネント1は、平たい直六面体状の本体ハウジング9を含む。ハウジング9の一側面には入力ポート3が形成され、入力ポート3の反対側面には出力ポート5が形成される。入力ポート3と出力ポート5にはケーブル(図示されず)のような伝送線路が接続され得る。入力ポート3は複数個であり、出力ポート5は一つである。入力ポート3を通じてそれぞれ異なる周波数帯域の信号が入力され、これらが一つの信号に合成されて出力ポート5に出力される。
【0022】
ハウジング9は外部の電波が流入しないように密閉されるように形成され、電波遮蔽材料で構成される。ハウジング9の内部には、電波が進行する電波移動経路35、36、37、38、39が形成される。それぞれの入力電波は、別個の電波移動経路35、36、37、38、39に沿って進行してから、合成部34で合成されて出力ポート5を通じてハウジング9の外部に伝達される。それぞれの電波移動経路35、36、37、38、39は、互いに遮断されるように形成され、それぞれの信号が割り当てられた移動経路を通じて伝達されるように誘導する。このために、ハウジング9の内部には複数の通路2が形成される。
図2および
図3は、このような通路2の具体的な形状を示すために、ハウジング9の上面壁の一部を切開して図示したものである。通路2は隔壁7で区画される。
【0023】
電波移動経路35、36、37、38、39を形成するハウジング9の内部通路2には、誘電体共振器40が設置される。誘電体共振器40は電波移動経路35、36、37、38、39に沿って一定の間隔を有するように配置される。誘電体共振器40は固有の共振周波数を有する。したがって、各電波移動経路35、36、37、38、39に設置される誘電体共振器40の共振周波数は、その電波移動経路35、36、37、38、39を通り過ぎる電波の周波数に対応するように形成される。したがって、高い周波数帯域の信号が移動する電波移動経路35、36、37、38、39には、高い共振周波数を有する誘電体共振器40が列をなして設置され、低い周波数帯域の信号が移動する電波移動経路35、36、37、38、39には、低い共振周波数を有する誘電体共振器40が列をなして設置される。電波が誘電体共振器40に沿って移動するため、電波移動経路35、36、37、38、39を形成する通路2は、電波移動経路35、36、37、38、39であると共にバンドパスフィルタとしての機能も遂行することになる。
【0024】
図2に図示された実施例では入力ポート3を通じて、1.5GHzのLTE用電波信号(以下、「第1電波」という。)、1.7GHz〜2.1GHzのLTE用電波信号(以下、「第2電波」という。)、3.4GHz〜3.6GHzの5G用電波信号(以下、「第3電波」という。)、3.8GHz〜4.2GHzの5G用電波信号(以下、「第4電波」という。)、4.5GHz〜4.9GHzの5G用電波信号(以下、「第5電波」という。)が入力される。入力された第1電波は第1電波移動経路35に沿って、第2電波は第2電波移動経路36に沿って、第3電波は第3電波移動経路37に沿って、第4電波は第4電波移動経路38に沿って、第5電波は第5電波移動経路39に沿って合成部34に伝達される。
【0025】
合成部34は、多様な電波信号を一つに集め、この合成された電波を出力ポート5に誘導する。
図2〜
図3に図示された通り、合成部34には出力バー50が設置される。出力バー50は金属製の導体で形成され、「┐」の形状を有するように折れ曲がった形状を有する。出力バー50の一側端は出力ポート5と物理的かつ電気的に連結され、他側端はハウジング9の内部に延長される。
【0026】
出力バー50の側面は、第1電波移動経路35、第2電波移動経路36、第3電波移動経路37、第4電波移動経路38、第5電波移動経路39の末端部に位置する。出力バー50の側面、すなわち、第1電波移動経路35、第2電波移動経路36、第3電波移動経路37、第4電波移動経路38、第5電波移動経路39の末端部には、第1末端共振器41、第2末端共振器42、第3末端共振器43、第4末端共振器44、第5末端共振器45が設置される。
【0027】
図3〜
図5を参照すると、出力バー50は出力ポート5から内側に、出力ポート5と一直線の形状に延びる内側延長部51と内側延長部51の終端で垂直方向に折れ曲がって延びる横延長部59を有する。
【0028】
内側延長部51の一側面が第4末端共振器44および第5末端共振器45と対向するように隣接して配置され、横延長部59の一側面が第2末端共振器42と対向するように隣接して配置される。このために、電波移動経路35、36、37、38、39は出力バー50が設置される合成部34を眺めるように折れ曲がった形状を有することができる。
【0029】
このように、出力バー50が出力ポート5から電波移動経路35、36、37、38、39の末端部までハウジング9の内部に深く入っており、電波移動経路35、36、37、38、39は出力バー50が設置される合成部34に向かって集まるため、合成部34の体積を減らすことができるようになる。すなわち、合成部34を形成するために、ハウジング9内に一定の空間を別途に配分し、その空間を信号の合成にのみ専用に活用する方式とは異なり、本実施例では電波移動経路35、36、37、38、39と合成部34が密着するようになるため、ハウジング9の全体の大きさをコンパクトにできる。
【0030】
図3〜
図5を参照すると、第1末端共振器41と横延長部59は第1導体71を通じて連結され、第3末端共振器43と横延長部59は第2導体72を通じて連結される。このように金属導体を媒介として電波を伝達させる接続方式をショートタイプ(short type)方式という。
【0031】
その反面、第2末端共振器42、第4末端共振器44、第5末端共振器45は出力バー50と導体で直接接続されずに離隔している。このように、金属導体ではなく空気を媒介として電波が伝達される接続方式をオープンタイプ(open type)方式という。
【0032】
電波の周波数が低い信号は、電波伝送路の全インピーダンス成分のうちインダクタンス成分が高いと通過し易く、キャパシタンス成分が高いと通過し難い、それとは反対に、高い周波数の信号はインダクタンス成分が高いと通過し難く、キャパシタンス成分が高いと通過し易い。したがって、相対的に高い周波数の信号はオープンタイプで接続し、相対的に低い周波数の信号はショートタイプで接続する方が有利である。
【0033】
ハウジング9内の限定された空間、すなわち合成部34内に5種類の信号を一つの出力バー50に合成しなければならないため、すべての信号をオープンタイプで連結するには空間が足りない可能性がある。オープンタイプの場合、末端共振器を出力バー50に対向するように密着させなければならないためである。したがって、一部の信号は、空間の制約により、ショートタイプで接続しなければならない場合もある。
図4に図示された通り、出力バー50とショートタイプで接続される第1末端共振器41と第3末端共振器43は、導体71、72を通じて連結される。導体71、72の長さが相対的に長くても信号伝達にはさほど影響を与えないため、第1末端共振器41と第3末端共振器43は出力バー50から比較的遠距離に配置され得る。したがって、多種の信号を合成する時に空間上の制約を克服することができる。
【0034】
また、オープンタイプで接続される末端共振器42、44、45は、出力バー50と対向できるように直六面体状に構成する。出力バー50が直線形に形成され、この出力バー50と対向面積を広げて電波を円滑に移動させるためである。しかし、ショートタイプで接続される末端共振器41、43は、他の一般的な誘電体共振器40と同様に円筒形または円盤型で構成することができる。したがって、オープンタイプ接続末端共振器42、44、45と比べて設計上の制約が少ない。
【0035】
本実施例に係る通信コンポーネント1の出力バー50は、このようにオープンタイプとショートタイプ接続構造を提供するプラットフォームとして機能することができる。出力バー50が出力ポート5からハウジング9の内部に深く浸透して電波移動経路35、36、37、38、39の終端まで延長され、また、オープンタイプとショートタイプの接続構造を容易に構築できるようになる。したがって、広い偏差の周波数帯域を有する信号をノイズなしに一つに集めて出力できるようになる。特に5G標準による高周波信号を既存の3Gや4G標準による信号らと同時に伝送する必要が高い状況で有用に活用され得る。
【0036】
図4および
図5を参照すると、出力バー50の出力ポート5側の端部の下側には支持部52が形成される。支持部52はハウジング9の底面に設置される。出力バー50は、内側延長部51がハウジング9の底面から一定の間隔を有して浮いている構造を有する。内側延長部51の一側は支持部52を通じてハウジング9の底面によって支持され、他側は横延長部59を通じて支持される。横延長部59もハウジング9の底面に設置されるためである。ハウジング9の底面から浮いている内側延長部51の下部には支持部材8が設置される。支持部材8はテフロン(登録商標)素材を採用することができる。
【0037】
横延長部59は内側延長部51と比べ、長さは短いが高さは高い。横延長部59に第1末端共振器41、第2末端共振器42、第3末端共振器43が接続するため、多数の接続構造を形成するために十分な面積を有さなければならない。しかし、横延長部59を過度に長くできない空間上の制約があるため、高さが高くなるように構成した。内側延長部51の横延長部59側の端部の上側には凹部56が形成される。凹部56は第4末端共振器44、第5末端共振器45とオープンタイプで接続する部位ではないため、末端共振器44、45らと対向しなくてもよい。したがって、あえて断面積を広くする必要のない部位の断面積を狭くすることによって凹部56が形成される。
【0038】
出力バー50の形状と材質が、各信号に合うインピーダンスを正確に合わせることができるように設計され、最終の設置段階においても微細チューニングが行われ得る。微細チューニングは、すでに設置した出力バー50の形状を微細に変形するか、片隅の一部を削り取るか切って除去する方式で行われ得る。
【0039】
以上、本発明の実施例について説明したが、該当技術分野で通常の知識を有する者であれば特許請求の範囲に記載された本発明の思想から逸脱しない範囲内で、構成要素の付加、変更、削除または追加などによって、本発明を多様に修正および変更させることができ、これも本発明の権利範囲内に含まれるものと解釈されるべきである。
【符号の説明】
【0040】
9:ハウジング
35:第1電波移動経路
36:第2電波移動経路
37:第3電波移動経路
38:第4電波移動経路
39:第5電波移動経路
40:誘電体共振器
34:合成部
41:第1末端共振器
42:第2末端共振器
43:第3末端共振器
44:第4末端共振器
45:第5末端共振器
50:出力バー
51:内側延長部
59:横延長部