特許第6732007号(P6732007)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6732007
(24)【登録日】2020年7月9日
(45)【発行日】2020年7月29日
(54)【発明の名称】ギヤ式容積形機械
(51)【国際特許分類】
   F04C 2/18 20060101AFI20200716BHJP
   F04C 15/00 20060101ALI20200716BHJP
【FI】
   F04C2/18 311D
   F04C2/18 B
   F04C15/00 G
【請求項の数】16
【全頁数】13
(21)【出願番号】特願2018-502842(P2018-502842)
(86)(22)【出願日】2016年3月31日
(65)【公表番号】特表2018-511003(P2018-511003A)
(43)【公表日】2018年4月19日
(86)【国際出願番号】IB2016051849
(87)【国際公開番号】WO2016157126
(87)【国際公開日】20161006
【審査請求日】2019年3月8日
(31)【優先権主張番号】102015000010656
(32)【優先日】2015年4月1日
(33)【優先権主張国】IT
(73)【特許権者】
【識別番号】517345661
【氏名又は名称】セッティマ メカニカ エス.アール.エル.
(74)【代理人】
【識別番号】100079049
【弁理士】
【氏名又は名称】中島 淳
(74)【代理人】
【識別番号】100084995
【弁理士】
【氏名又は名称】加藤 和詳
(72)【発明者】
【氏名】モルセッリ、 マリオ アントーニオ
【審査官】 大瀬 円
(56)【参考文献】
【文献】 米国特許第3291053(US,A)
【文献】 実開昭52−158902(JP,U)
【文献】 実開昭58−149589(JP,U)
【文献】 欧州特許第1291526(EP,B1)
【文献】 特開昭53−96504(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F04C 2/18
F04C 15/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ギヤ式容積形機械であって、
吸入口と吐出口を備えたハウジング(11)と、
前記ハウジング(11)内部の空間に収容されて回転用のそれぞれのシャフト(16、18)に支持され、前記吸入口および前記吐出口と流体連通する一対の歯車(14、15)であって、相互に噛合し、平行な軸を備え、一対の前記歯車(14、15)のうち第1の歯車(14)は駆動歯車であり、第2の歯車(15)は従動歯車である、一対の歯車(14、15)と、
前記歯車(14、15)を軸方向に包含するための一対の格納体(19、20)であって、前記ハウジング(11)に連結され、それぞれが一対の前記歯車(14、15)に対向する第1の面(19a、20a)と、前記第1の面(19a、20a)とは軸方向に反対側の第2の面(19b、20b)とを備える、一対の格納体(19、20)と、
を備え、
前記歯車(14、15)に対して、環状座(22)内に非固定で収容される複数の転動体(21)を備え、前記環状座(22)は、前記シャフト(16、18)のそれぞれと同軸であって、少なくとも1つの前記格納体(19、20)の前記第1の面(19a、20a)とそれに対向する前記歯車(14、15)の表面(14a、15a、14b、15b)との間の界面において、少なくとも1つの前記格納体の前記第1の面(19a、20a)、または前記第1の面(19a、20a)に対向する前記歯車の前記表面(14a、15a、14b、15b)に画定され、
少なくとも1つの前記格納体(19、20)の前記第1の面(19a、20a)と前記第1の面に対向する前記歯車(14、15)の前記表面(14a、15a、14b、15b)との間に、ゼロより大きい距離(D)が存在し、前記転動体(21)は、前記歯車(14、15)と前記少なくとも1つの格納体(19、20)とにそれぞれ一体である転動トラック(23、24)に載置されていることを特徴とする、ギヤ式容積形機械。
【請求項2】
前記ギヤ式容積形機械が動作状態にある場合、前記転動体(21)は、一対の前記歯車(14、15)と少なくとも1つの前記格納体(19、20)との間に発生する軸スラストを支えることを特徴とする、請求項1に記載のギヤ式容積形機械。
【請求項3】
前記距離(D)は、前記ギヤ式容積形機械の動作中に前記界面に発生して軸スラストを支える、流体力学的膜または液体導管の厚さであることを特徴とする、請求項1または請求項2に記載のギヤ式容積形機械。
【請求項4】
前記距離(D)は、最小で1μm、かつ最大で100μmを上限とする数10μm程度であることを特徴とする、請求項1から請求項3のいずれか一項に記載のギヤ式容積形機械。
【請求項5】
前記距離(D)は、1μmから60μmの間にあることを特徴とする、請求項4に記載のギヤ式容積形機械。
【請求項6】
前記距離(D)は、1μmから30μmの間にあることを特徴とする、請求項4に記載のギヤ式容積形機械。
【請求項7】
前記距離(D)は、1μmから10μmの間にあることを特徴とする、請求項4に記載のギヤ式容積形機械。
【請求項8】
前記環状座(22)または前記転動体(21)と、前記第1の歯車(14)または前記第2の歯車(15)のそれぞれの歯底円との間に、連続環状シムクラウン(25)が画定されることを特徴とする、請求項1から請求項7のいずれか一項に記載のギヤ式容積形機械。
【請求項9】
前記環状座(22)の外径は、前記第1の歯車(14)または前記第2の歯車(15)のそれぞれにおける歯の前記歯底円の直径よりも小さいことを特徴とする、請求項8に記載のギヤ式容積形機械。
【請求項10】
前記転動体(21)は、前記シャフト(16、18)のそれぞれに対して半径方向に配置されたローラまたはニードルローラで作られていることを特徴とする、請求項1から請求項9のいずれか一項に記載のギヤ式容積形機械。
【請求項11】
前記転動体(21)は球でできていることを特徴とする、請求項1から請求項10のいずれか一項に記載のギヤ式容積形機械。
【請求項12】
前記格納体(19、20)のそれぞれには、前記シャフト(16、18)の軸方向の両端を径方向に支持するための軸受(190、200)が設けられていることを特徴とする、請求項1から請求項11のいずれか一項に記載のギヤ式容積形機械。
【請求項13】
前記格納体(19、20)は前記ハウジング(11)に軸方向に移動可能に収容され、前記ギヤ式容積形機械が動作中には、前記格納体(19、20)と一対の前記歯車(14、15)とを相互に密着させる軸スラストを生成するために、前記格納体(19、20)の少なくとも1つの前記第2の面(19b、20b)の少なくとも一部に所定の送出圧力で液体が作用することを特徴とする、請求項1から請求項12のいずれか一項に記載のギヤ式容積形機械。
【請求項14】
記転動体は、前記シャフト(16、18)のそれぞれに対して同軸であり、前記格納体(19、20)の1つの前記第1の面(19a、20a)とそれに対向する前記歯車(14、15)の前記表面との間の界面、および前記格納体(19、20)のもう1つの前記第1の面(19a、20a)とそれに対向する前記歯車(14、15)の前記表面との間の界面にそれぞれ画定される前記環状座(22)のそれぞれに非固定で収容されることを特徴とする、請求項1から請求項13のいずれか一項に記載のギヤ式容積形機械。
【請求項15】
前記第1の歯車(14)と前記第2の歯車(15)は外歯を有することを特徴とする、請求項1から請求項14のいずれか一項に記載のギヤ式容積形機械。
【請求項16】
前記第1の歯車(14)と前記第2の歯車(15)は円筒形であってヘリカル歯を有することを特徴とする、請求項1から請求項15のいずれか一項に記載のギヤ式容積形機械。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はギヤ式容積形機械に関する。
【0002】
特に、本発明は外接ギヤ式容積形機械に関する。
【0003】
より具体的には本発明は、「補償アキシャル隙間型」または「バランス型」の外接ギヤ式容積形機械に関する。
【0004】
具体的に本発明は、例えば100〜300バールの高圧に対して好ましくは「補償」または「バランス」されたアキシャル隙間を有する外接ギヤ式容積形ポンプに関する。
【背景技術】
【0005】
外接ギヤ式容積形ポンプは既知のように、吸入口と吐出口を備えたハウジングからなり、その内部には一対の相互噛合する歯車が収容されている。第1の歯車(ピニオン)は原動機から動力を受ける第1のシャフトに取り付けられ、第2の歯車は、第1のシャフトに平行な第2のシャフトに取り付けられて第1の歯車に従動する。
【0006】
2つの歯車の回転により、2つの歯車のそれぞれの連続する2つの歯とハウジングの壁との間に吸引されて捕捉された液体が吸入口から吐出口へ輸送され、2つの歯車の歯の噛合により液体の吸入口への逆流が防止される。
【0007】
吸入口と吐出口の間で半径方向と軸方向の両方向に液体を確実に密封するために、一対の歯車、相対軸受、およびハウジングの間のラジアル隙間およびアキシャル隙間は低減されねばならない。事実、このようなポンプの体積効率は液体のシールが良好でなければすぐに低下する。
【0008】
構造的には、外接ギヤポンプすなわち外歯を有する歯車ポンプは、「固定アキシャル隙間」、若しくは「補償型アキシャル隙間」または「バランス型」のタイプであり得る。
【0009】
「補償型アキシャル隙間」の外接ギヤポンプでは、2つの歯車あるいはむしろそれらのシャフトが、ハウジング内に軸方向に移動可能なように収容された、専門用語では「浮動ブッシュ」または「浮動側壁」として知られる一対のラテラル軸受によって支持される。
【0010】
軸受の外面すなわちハウジングの封止カバー側であって一対の歯車側とは反対側の軸受面にはガスケットが配置され、使用時に一方に送出圧力がかかる2つの面の境界となっている。
【0011】
ガスケットで隔てられた2つの面の面積は、使用時に釣り合った軸スラストが生成されるように計算されて調整される。これにより軸受(「浮動ブッシュ」)が一対の歯車に近接して最小かつ実質的に一定の横方向隙間が確保され、歯車が回転するチャンバ内の加圧液体による軸受へのスラストを補償する。
【0012】
補償されたアキシャル隙間を有する外接ギヤ式容積機械の例が、欧州特許第1291526号明細書に記載されている。
【0013】
ただし、動作時には歯車の回転により、送出圧力が作用する軸受の内側面(すなわち、軸受の面のうちの歯車に面する面)の面積が周期的に変化する。この周期的な変動が軸受に作用し、かつバランスを取ることが必要なアキシャル荷重の振動を発生させる。これがそのようなポンプの典型的な騒音の増加と全体効率の低下に影響する。アキシャル荷重のこの振動は、一般的に円柱形平歯車を有するポンプでは限定的であって許容されるが、ヘリカル歯の円柱歯車を有するポンプでは概して大きい。後者のポンプの動作時には、実際に、歯車どうしの噛合が機械的にも油圧的にもアキシャル荷重の周期的変動の原因である。この現象を回避するために、平均的には対抗すべき最大アキシャル荷重ピークを超える、全体の釣り合い軸スラストを発生させるようにバランスが取られる。これは、過負荷、摩耗および機械的効率と油圧的効率の損失によるものである。
【0014】
さらに、これらの既知のポンプでは、軸受の内側面と2つの歯車の対向面との間に、ポンプで汲み上げられる液体(必ずしもそうではないが通常は油圧オイル)で構成される流体力学的な膜または導管が形成される。しかしながら、実質的に安定で、軸受の内面と歯車との間の滑り摩擦を制限するのに十分な高さを有する膜または導管を形成して維持するためには、歯車が一般的には600÷800回転/分の最小速度以上の速度で回転する必要がある。従ってこの種のポンプは、高圧(例えば最大250バール超の100バール程度)および低速(例えば100〜500r.p.m.程度の速度)での動作には適さない。なぜなら、そのような条件下では流体力学的な膜または導管が荷重支持能力を失う、すなわち歯車表面とそれに対向する軸受表面の表面粗さの頂点同士が直接接触してしまい、その結果滑り摩擦による応力ピークを生じるほどにまで薄くなってしまうからである。
【0015】
全体的なバランス軸スラストが対抗すべき最大アキシャル荷重ピークを平均的に超過する場合、および/または汲みあげられる液体の潤滑特性が乏しい場合には、この欠点が特に厳しくなる。
【0016】
軸受内面と歯車の対向面の滑り摩擦による摩耗を制限するために、そのような表面を、機械加工および/または化成処理と研磨処理によって表面粗さの特に小さい表面とするか、あるいは例えば国際公開第2014/147440号パンフレットに記述されているように歯車の歯の面取りまたは材料除去のような特定の形状を付与するようにすることが知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0017】
【特許文献1】欧州特許第1291526号明細書
【特許文献2】国際公開第2014/147440号パンフレット
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0018】
本発明の目的は、従来技術の欠点を防ぐことである。
【0019】
この一般的な目的において、本発明の具体的目的は、高圧(例えば100〜300バール程度の圧力)および低速(例えば100〜500r.p.m.程度の速度)においても、液体シールを確保しつつ動作可能なギヤ式容積形機械を提供することである。
【0020】
本発明のさらに別の目的は、歯車と横方向軸受の表面同士が流体力学的な膜または導管の破壊で接触して、歯車と各軸受との間の滑り摩擦で生じる摩耗を制限可能とする、ギヤ式容積形機械を提案することである。
【0021】
本発明のさらに別の目的は、低コストで、特に簡単で機能的なギヤ式容積形機械を提案することである。
【課題を解決するための手段】
【0022】
本発明によるこれらの目的は、請求項1に概説されるギヤ式容積形機械の製造によって達成される。
【0023】
更なる特徴は従属請求項で与えられる。
【0024】
本発明によるギヤ式容積形機械の特徴と利点は、添付の概略図面を参照して、制限目的ではない例示として与えられる以下の記述からより明らかとなるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0025】
図1】本発明によるギヤ式容積形機械の可能な実施形態の長手方向断面図である。
図2図1の拡大詳細図である。
図3】2つの格納体の1つと2つの歯車の1つの間の界面に画定され、その中に転動体が収容される環状座の詳細を示す、図2の拡大詳細図である。
図3A】格納体と歯車の相対向する面同士の間の距離Dを単に説明目的のために誇張した、図3の細部の更なる拡大図である。
図4】本発明によるギヤ式容積形機械の細部の分解図である。
図5】本発明によるギヤ式ポンプと従来技術によるギヤ式ポンプの吸収トルクの傾向を、回転速度の関数として比較して示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0026】
添付の図面を参照すると、ギヤ式容積形機械は全体を参照符号10で示されている。
【0027】
好適な実施形態では、機械10は外歯を有する外接ギヤ式である。
【0028】
具体的には機械10はポンプの種類である。
【0029】
機械10は、当業者には既知のものであるので添付図には示されていないが、吸入口と吐出口を既知の方法で備えたハウジング11を含む。
【0030】
ハウジング11は両端が開放されたほぼ円筒形の筒状体であり、各端部にはそれぞれカバー12、13が取り外し可能に固定されている。
【0031】
ハウジング11内部には、吸入口および吐出口に流体連通する空間が画定されている。
【0032】
そのような空間の内部には、平行軸を有して相互に噛合する一対の歯車が収容され、そのそれぞれは別々のシャフトによって回転を支えられている。
【0033】
より詳細には、一対の歯車は、駆動する第1の歯車14と、それに噛合して従動する第2の歯車15を備えている。
【0034】
第1の歯車14が、それぞれの第1のシャフト16に取り付けられる。シャフトの一端には、当業者には既知であるために図示されていない、(機械10がポンプである場合には)原動機に結合するための、ハウジング11から突き出したタング17が設けられている。
【0035】
次に第2の歯車15は、第1のシャフト16に平行な、それぞれの第2のシャフト18に取り付けられている。
【0036】
第1の歯車14と第2の歯車15はそれぞれ第1のシャフト16と第2のシャフト18に取り付けられて、完全に結合するようになっている。
【0037】
本明細書において、「第1」および「第2」などの形容詞の使用は、明確にするためだけのものであって、限定的な意味に捉えるべきではないことを明記する。さらに本明細書の残りの部分においては、「第1の歯車14」と「歯車14」、「第2の歯車15」と「歯車15」、「第1のシャフト16」と「シャフト16」、「第2のシャフト17」と「シャフト17」は区別なく使用される。
【0038】
機械10はまた、2つの歯車14、15を(横並びに)軸方向に包含するための、側壁、リング、ブッシュ、または専門用語で「シム」として示される、一対の格納体19、20を備えている。2つの格納体19、20はハウジング11に連結され、それぞれが一対の歯車に対向する(すなわち直面する)各19a、20aの第1の面と、第1の面19a、20aとは軸方向反対側の、各19b、20bの第2の面を備えている。
【0039】
2つの格納体19、20の第1の面19a、20aは言い換えれば、2つの歯車14、15が収容されている空間の内側に向いており、その第2の面19b、20bはそのような空間の外側を向いている。
【0040】
添付の図面に表されている実施形態を具体的に参照すると、2つの格納体19、20はハウジング11の内部の空間に収容されて、2つのカバー12、13の間に配置されている。
【0041】
添付図に示す例のような好適な実施形態においては、2つの格納体19、20には、2つのシャフト16、18のそれぞれの軸方向の両端部を半径方向に支える各一対の軸受190、200、すなわち支持座もまた設けられている。
【0042】
格納体19、20は一般的に軸方向の液体シールを確保する機能と、歯車のシャフトを径方向に支持するブッシュを収容する機能とを有する。
【0043】
ただし、このことは、例えば2つのシャフト16、18を径方向に支持する軸受が格納体19、20とは別のものに設けられて、いずれにせよハウジング11に連結またはハウジング内に収容されている代替の実施形態を排除するものではない。
【0044】
更なる好適な実施形態では、機械10はさらに、これらのポンプの製造分野で既知のように、「補償型アキシャル隙間」、あるいは歯車の軸方向格納のための「シム」19、20を軸方向バランスさせた「バランス型」を有する種類のものである。この場合、2つの格納体19、20はハウジング11内に軸方向に移動可能に収容される。機械10の使用時に、例えば、これは既知の種類のものであるので図示されていないが、好適な形状のガスケットが備えられているおかげで、少なくとも1つの格納体の第2の面19b、20bの少なくとも一部に液体が送出圧力で作用して、格納体19、20と一対の歯車14、15を相互に密接させる全体的な軸スラストが生成される。この好適な実施形態では、2つの格納体19、20は、いわゆる「浮動側壁」または「浮動ブッシュ」のタイプのものである。
【0045】
2つの格納体19、20が、「補償型アキシャル隙間」または「バランス型」である実施例は、欧州特許第1291526号明細書に、そこに引用された従来技術およびそこに記載された特許の両方を参照して記載されている。
【0046】
ただしこれは、歯車とその横の格納体との間の隙間を補償するために使用される装置に関する、機械10の代替実施形態を排除するものではない。
【0047】
ハウジング11、カバー12、13、一対の歯車14、15、各シャフト16、18、および一対の格納体19、20は、当業者には既知の種類のものであるので、これ以上の説明はしない。
【0048】
本発明によれば、機械10は、2つの歯車14、15のそれぞれに対して、クラウンを形成しかつ各環状座22に非固定で収容される複数の転動体21を備える。この環状座は各シャフト16、18と同軸であり、また少なくとも1つの同じ格納体19または20−好ましくはその両方の格納体−の第1の面19aまたは20aと、この第1の面19aまたは20aに面する(すなわち直接対向する)2つの歯車14、15のそれぞれの面14a、15a、または14b、15bのそれぞれとの間の界面に画定される。
【0049】
言い換えると、転動体21は、2つの歯車14、15と2つの格納体19、20の1つとの間の界面、または2つの歯車14、15と2つの格納体19、20のそれぞれとの間の界面に備えることができる。この最後の実施形態は、添付図に示されたものである。
【0050】
添付図に示した実施形態を参照すると、各環状座22は各格納体19、20の第1の面19a、20aに設けられている。ただし、これは、格納体19、20の第1の面19a、20aにそれぞれ面する、2つの歯車14、15の面14a、15aおよび14b、15bのそれぞれに、環状座22が少なくとも部分的に設けられている代替実施形態を排除するものではない。
【0051】
本発明によれば、格納体19および/または格納体20の第1の面19a、20aと、それに対向する2つの歯車14および歯車15の各面14a、15aおよび14b、15bとの間にゼロより大きい距離Dが存在する場合には、転動体21は、歯車14、15と、格納体19および/または格納体20とに一体となった相対的な転動軌道上に載る。添付の図3および図4において、歯車14、15と一体の転動軌道は符号23で表され、格納体19、20と一体の転動軌道は符号24で表されている。
【0052】
一般的に距離Dは、機械10の動作条件において、軸スラストを支持するために歯車14、15と格納体19、20の間の界面に生成される流体力学的な膜または導管の厚さの程度である。
【0053】
通常の動作条件での機械10を考えると、距離Dは最小で1μm、最大で、外径が150mmより大きい歯車では100μm程度に達し得るが、数十μmの程度である。これが添付図ではそのような距離Dが見えない理由であり、図3Aでは説明目的のためにのみ意図的に誇張されている。
【0054】
格納体19、20に設けられた中空の環状座22と、格納体19、20に面する歯車の平坦面14a、15aおよび14b、15bと環状座22の底部の連続的環状クラウンのそれぞれから構成される転動軌道とに転動体21は収容されている添付図に示す実施形態を特に参照すると、距離Dはそれぞれの環状座22からの転動体21の突出量となる。これに関して、機械10がアイドル状態の「冷たい」状態で計測した、格納体19、20の第1の面19a、20aに対する転動体21の突出の度合いは、機械10の動作状態において歯車14、15と格納体19、20の界面に生成される距離Dとは実質的に異なり得ることが明記される。動作状態では事実、膨張および熱変形により「冷たい」状態で計測された状態が変化し得る。
【0055】
液体のシールを損なわないために、距離Dは最小の連続膜または導管の形成を損なわないようのものであることを必要とする。これには最小距離で相互に対向する連続面の存在を必要とする。
【0056】
本発明の一態様によれば、実際に転動体21またはいずれの場合でもそれを受ける環状座22のクラウンは、歯車14、15と各格納体19、20との間の界面において、液体のシールを確保するのに有効な連続環状シムクラウン25が画定されるような寸法である。
【0057】
言い換えると、動作状態では、連続環状シムクラウン25において液体の連続的な膜または導管が形成され、これは十分に薄くてシールを確保するのに有効である。
【0058】
より詳細には添付の図に示された実施形態を参照して、転動体21またはいずれの場合にも環状座22のクラウンは各歯車14、15の歯の歯底円直径よりも小さい外径を有し、両者の間に連続環状シムクラウン25が画定されるようになっている(図3)。
【0059】
もちろん機械10の動作状態では、歯車14、15と格納体19、20の間に液体の膜または導管が形成され、これは連続環状シムクラウン25に限るものではなく、一般的に歯車14、15の歯もまた含まれることが明記される。
【0060】
動作状態では本発明の目的によれば、歯車14、15の格納体19、20への軸方向の当接が、転動体21と、歯車14、15と格納体19、20の間の全体に形成される導管上で発生し、歯車14、15の回転速度に依存して荷重がそれらに分割される。
【0061】
明らかなことであるが、歯車14、15の表面14a、15aおよび14b、15bと、格納体19、20の対向する第1の面19a、20aとの間の転動軌道23、24上に転動体21が載っている状態では、この界面に形成され、機械10の通常の動作速度では歯車14、15が受ける軸スラストを支えるように適合された導管の厚さ程度の、したがって1÷10μm程度の大きさの距離Dが存在する。
【0062】
実際には、転動体21の各クラウンは「アキシャル軸受」を画定する。事実、機械10の使用時には、各クラウンの転動体21は、一対の歯車14、15と格納体19、20との間に生成される軸スラストを、2つの格納体の第1の面19a、20aと、それに対向する2つの歯車14、15のそれぞれの表面14a、15aおよび14b、15bとの間の界面に生成される流体の膜または導管と共にまたはその代わりに支えるように適合されている。
【0063】
より詳細には、転動体21の各クラウンは各歯車14、15の歯の歯底円(歯の底部の円周)の内側に配置される。
【0064】
同様に、各環状座22の外径は各歯車14、15の歯の歯底円(歯の底部の円周)の直径よりも小さい。
【0065】
各環状座22と、各歯車14、15の歯の歯底円(歯の底部の円周)の間に、連続環状シムクラウン25がこうして画定され、そこに、機械10の動作中に流体をシールするための連続的な流体力学的な膜または導管が形成される。動作状態において、連続環状シムクラウン25ばかりでなく、歯車14、15の歯と、格納体19、20の対向面との間にも流体力学的な膜または導管が形成され、この流体力学的な膜または導管が全体として格納体19、20と2つの歯車14、15との間に形成される軸スラストを支えることに寄与することが、再度明記される。連続環状シムクラウン25の径方向の高さは数mmの程度であり、例えば外径70mmを有する歯車14、15に対しては1〜2mmである。
【0066】
図1図4に示す実施形態では、そのような連続環状クラウン25は、各環状座22の外径と、各歯車14、15の歯の歯底円との間の連続性の分断なしに画定される。
【0067】
添付の図に示す実施形態を参照すると、各環状座22は各格納体19、20の第1の面19a、20aに設けられて、その第1の面19a、20aで開放されている。転動体21は、各環状座22の内径に配置された保持器26によって保持され、例えば転がり軸受の製造に使用される種類の硬質材料で作られた転動軌道24が位置する底部に載る。
【0068】
転動軌道24と各格納体19、20との間に、環状ガスケット27がそれぞれの溝に収容されて配置される。
【0069】
保持器26は、転がり軸受作製の現行技術で提供されるように、転動体21を包含して相互に摺動することなく整列させ、円周上の離間位置に保持するようになっている。これは、アキシャル軸受で可能な「完全充填」球、すなわち保持器なしでの使用の可能性を排除しない。この場合に転動軌道は有利には、軸受技術で一般的なように、球との接触において有利な接触関係を可能とするために円環体の凹型形状であってよい。
【0070】
転動体21は有利には、その軸Bが各シャフト16、18に関して径方向に配置された、ローラまたはニードルローラで構成することができる。可能な代替実施形態では、転動体21を球で構成することが可能である。ただし同一のアキシャル荷重に対してローラまたはニードルローラよりも大きな弾性降伏応力を有する。
【0071】
本発明は有利には、第1の歯車14と第2の歯車15が円筒形でヘリカル歯の外接歯を有する機械10に適用可能である。
【0072】
添付図に示される実施形態では、機械10は「補償型アキシャル隙間」を有する、または「バランス型」のタイプのポンプであって、2つの格納体19、20はいわゆる「浮動」型であり、有利なことにはさらにそのような2つの格納体19、20が2つのシャフト16、18の軸方向の両端を径方向に支持する軸受190、200を形成している。
【0073】
2つの歯車14、15のそれぞれに関して、それぞれの対向する側面14a、14bと15a、15bと、これらにそれぞれ面する2つの格納体19、20の第1の面19a、20aとの間の界面において、対応する環状座22が前述したように非固定で収容された転動体21の各クラウンを包含して画定される。
【0074】
上で既に示したように、転動体21の表面は転動軌道23、24に載っており、機械10の動作状態においては、第1の面19a、20aと、それに対向する2つの歯車14、15のそれぞれの面14a、15aと14b、15bとの間にはゼロより大きい距離Dが存在する。
【0075】
したがって機械10の動作時には、2つの格納体19、20と2つの歯車14、15に間に生成されるアキシャル荷重は、2つの歯車14、15と格納体19、20との間の界面に形成される流体力学的導管によって全面的または部分的に支持され、また動作条件の関数として、転動体21によって全面的または部分的に支えられる。当業者にはすぐに理解されるように、そのようにアキシャル荷重が流体力学的導管と転動体21に分割されることは、特に、流体力学的導管そのものの形成および安定性条件と転動体21の降伏応力とに依存し、ここでその条件は、特に格納体19、20と転動体21を作っている材料の熱膨張係数の関数として可変である。また、流体力学的導管の性質、2つの格納体と2つの歯車の間の摩擦係数、歯車14、15の寸法、歯車14、15の回転速度、吸引および送出圧力、可能なバランススラストの可能なオーバーサイズにも依存する。
【0076】
一般的に言えば機械10において、2つの歯車14、15が典型的には600〜800回転/分の低回転速度で動作し、かつ典型的には100〜250バール程度またはそれ以上の高圧で動作する場合、流体力学的導管は安定性を失い、アキシャル荷重は全面的または部分的に転動体21によっても支えられる。
【0077】
図5のグラフでは、2つのポンプに吸収されるトルクの傾向を回転速度の関数として示す2つの曲線C1とC2が表示されている。2つの曲線C1とC2は、3相非同期電気モータの吸収の観測により得られた。またこれらは、転動体がニードルローラを有する本発明を採用していること以外は、構成、歯、および変位が同一の2つのポンプを示している。曲線C1は本発明を組み込んだポンプに関するものであり、低速でその曲線は曲線C2から大きく離れており、これらの条件においてシムに生成された摩擦が減少する様子が正確に示されていることがわかる。
【0078】
本発明のギヤ式容積形機械構造体は、格納体と歯車の間の、特に2つの歯車の低速回転の動作条件で発生する摺動摩擦を大幅に低減可能であり、そしていずれの場合においても液体シールとポンプの高信頼性動作をもたらし、特にはアキシャルシムの過度の摩耗を回避するという利点を有している。
【0079】
このように考案されたギヤ式容積形機械は、様々な変更および変形をすることが可能であり、それらのすべては本発明に含まれる。さらに細部を技術的に等価な要素で置き換えることが可能である。実際に、使用される材料並びに寸法は、技術的要件に従ういかなるものであってもよい。
図1
図2
図3
図3A
図4
図5