特許第6732013号(P6732013)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6732013
(24)【登録日】2020年7月9日
(45)【発行日】2020年7月29日
(54)【発明の名称】組織切除デバイス
(51)【国際特許分類】
   A61B 18/08 20060101AFI20200716BHJP
   A61B 18/10 20060101ALI20200716BHJP
【FI】
   A61B18/08
   A61B18/10
【請求項の数】13
【全頁数】19
(21)【出願番号】特願2018-510378(P2018-510378)
(86)(22)【出願日】2016年8月24日
(65)【公表番号】特表2018-525130(P2018-525130A)
(43)【公表日】2018年9月6日
(86)【国際出願番号】US2016048342
(87)【国際公開番号】WO2017035205
(87)【国際公開日】20170302
【審査請求日】2018年2月23日
(31)【優先権主張番号】62/210,540
(32)【優先日】2015年8月27日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】506192652
【氏名又は名称】ボストン サイエンティフィック サイムド,インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】BOSTON SCIENTIFIC SCIMED,INC.
(74)【代理人】
【識別番号】100094569
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 伸一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100088694
【弁理士】
【氏名又は名称】弟子丸 健
(74)【代理人】
【識別番号】100103610
【弁理士】
【氏名又は名称】▲吉▼田 和彦
(74)【代理人】
【識別番号】100095898
【弁理士】
【氏名又は名称】松下 満
(74)【代理人】
【識別番号】100130937
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 泰史
(74)【代理人】
【識別番号】100123607
【弁理士】
【氏名又は名称】渡邊 徹
(72)【発明者】
【氏名】ジャーメイン アーロン
(72)【発明者】
【氏名】ウォーカー マイケル ディー
(72)【発明者】
【氏名】ローランド ジェイコブ
(72)【発明者】
【氏名】エチェベリー ヤン
【審査官】 北川 大地
(56)【参考文献】
【文献】 特表2015−512659(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2013/0046304(US,A1)
【文献】 国際公開第2011/089769(WO,A1)
【文献】 特開平05−329169(JP,A)
【文献】 特表2008−510549(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61B 18/04−18/16
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
子宮ポリープを切除するための組織切除デバイスであって、
長手方向軸線を有する細長い構造体を有し、前記細長い構造体は、子宮ポリープ組織を受入れるように構成された遠位窓を含む外側スリーブと、前記窓に対する近位位置と遠位位置の間を移動するように構成された内側スリーブを含み、
更に、第1の極性を有する電極要素を有し、前記電極要素は、前記内側スリーブに結合され、前記窓を横切るように近位位置と遠位位置の間を移動可能であり、
更に、前記電極要素の近位側の前記内側スリーブを覆う絶縁層を有し、前記絶縁層の一部分は、遠位位置において前記窓の中で露出され、
前記絶縁層は、子宮ポリープ組織よりも繊維質の組織を切除するのに使用されるとき前記絶縁層と前記内側スリーブの間の接触程度が減少される耐摩耗性の低い材料で構成され、前記内側スリーブの一部分を露出させ、前記電極要素と前記外側スリーブとの間の電気経路を変更し、前記外側スリーブは、第1の極性と反対の第2の極性を有する戻り電極として機能する、組織切除デバイス。
【請求項2】
前記絶縁層は、子宮ポリープ組織よりも繊維質である組織を切除するのに使用されるとき、前記内側スリーブから剥離するように構成される、請求項1に記載の組織切除デバイス。
【請求項3】
前記絶縁層は、前記電極要素に直接に結合される、請求項1又は2に記載の組織切除デバイス。
【請求項4】
前記遠位窓は、約5mm〜約10mmの長手方向長さを有する、請求項1〜3のいずれか1項に記載の組織切除デバイス。
【請求項5】
前記遠位窓は、約8mmの長手方向長さを有する、請求項1〜4のいずれか1項に記載の組織切除デバイス。
【請求項6】
前記絶縁層は、フッ化エチレンプロピレン(FEP)を含む、請求項1〜5のいずれか1項に記載の組織切除デバイス。
【請求項7】
前記内側スリーブは、304ステンレススチールを含む、請求項1〜6のいずれか1項に記載の組織切除デバイス。
【請求項8】
前記外側スリーブは、304ステンレススチールを含む、請求項1〜7のいずれか1項に記載の組織切除デバイス。
【請求項9】
前記絶縁層は、約0.0127mm〜約0.038mmの厚さを有する、請求項1〜8のいずれか1項に記載の組織切除デバイス。
【請求項10】
医療デバイスシステムであって、
細長いプローブを有し、前記細長いプローブは、
外側スリーブと、内側スリーブと、前記内側スリーブの遠位端部の近くに配置された電極要素と、前記内側スリーブに結合され且つ前記内側スリーブを前記外側スリーブから絶縁する絶縁層を含み、前記外側スリーブは、その遠位端部の近くに配置された窓を含み、 前記絶縁層は、前記細長いプローブが子宮筋腫を切除するのに使用されるとき前記内側スリーブから剥ぎ取られる耐摩耗性の低い材料で構成され、
前記医療デバイスシステムは、更に、前記内側スリーブを前記外側スリーブに対して往復動させるためのモータと、
組織を切除するエネルギを前記電極要素から送出するためのRF発生器と、を有する医療デバイスシステム。
【請求項11】
前記絶縁層は、前記電極要素の少なくとも一部分に結合される、請求項10に記載の医療デバイスシステム。
【請求項12】
前記窓は、約5mm〜約10mmの長手方向長さを有する、請求項10又は11に記載の医療デバイスシステム。
【請求項13】
前記遠位窓は、約8mmの長手方向長さを有する、請求項10〜12のいずれか1項に記載の医療デバイスシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
〔関連出願への相互参照〕
この出願は、2015年8月27日出願の米国仮特許出願第62/210,540号の優先権を主張するものであり、その内容の全てを本明細書に援用する。
【0002】
本開示は、組織、例えば、子宮ポリープ及び他の異常な子宮組織の切除及び抽出のためのシステム及び方法に関する。
【背景技術】
【0003】
子宮ポリープは、子宮腔の中に延びる子宮の内壁に付着した増殖物である。子宮ポリープは、通常は非癌性であり、かつ数ミリメートルから数センチメートルの大きさに及ぶ可能性がある。子宮ポリープは、月経過多、月経期間間の出血、生殖機能障害、骨盤圧、及び疼痛を引き起こす場合がある。
【0004】
ポリープの1つの現在の治療は、子宮鏡内の作業チャネルを通した切除器具の挿入と共に、子宮鏡による子宮への経頸管的アクセスを伴う子宮鏡切除又は筋腫摘出である。切除器具は、RFループ等の電気外科的切除デバイスである場合がある。電気外科的切除デバイスは、特許文献1に開示されている。他の事例では、機械的カッターを使用して組織を機械的に切断することができる。機械的切断デバイスは、特許文献2〜5に開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】米国特許第5,906,615号明細書
【特許文献2】米国特許第7,226,459号明細書
【特許文献3】米国特許第6,032,673号明細書
【特許文献4】米国特許第5,730,752号明細書
【特許文献5】米国特許出願公開第2009/0270898号明細書
【特許文献6】米国特許第8,512,326号明細書
【特許文献7】米国特許出願公開第2014/0221997号明細書
【特許文献8】米国特許出願公開第2013/0046304号明細書
【特許文献9】米国特許出願公開第2014/0114300号明細書
【特許文献10】米国特許出願公開第2013/0172805号明細書
【特許文献11】米国特許出願公開第2013/0079702号明細書
【特許文献12】米国特許出願公開第2014/0303551号明細書
【特許文献13】米国特許出願公開第2015/0119795号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本開示は、組織、例えば、子宮ポリープ及び他の異常な子宮組織の切除及び抽出のためのシステム及び方法に関連する。
【課題を解決するための手段】
【0007】
第1の例示の実施形態では、子宮ポリープを切除するための組織切除デバイスは、長手方向軸線を有する細長い構造体を有し、細長い構造体は、子宮ポリープ組織を受入れるように構成された遠位窓を備えた外側スリーブと、窓に対する近位位置と遠位位置の間を移動するように構成された内側スリーブを含み、更に、内側スリーブに結合された電極要素を含む。少なくともいくつかの追加の実施形態では、組織切除デバイスは、内側スリーブの少なくとも一部分及び電極要素の少なくとも一部分を覆う絶縁層を更に含み、組織切除デバイスは、子宮ポリープ組織よりも繊維質である組織を切除するのに使用されるときに機能しないように構成される。
【0008】
子宮ポリープを切除するための別の組織切除デバイスは、長手方向軸線を有する細長い構造体を含む。細長い構造体は、子宮ポリープ組織を受入れるように構成された遠位窓を備えた外側スリーブと、窓に対する近位位置と遠位位置の間を移動するように構成された内側スリーブとを含む。第1の極性を有する電極要素は、内側スリーブに結合され、かつ窓を横切るように近位位置と遠位位置の間を移動可能である。絶縁層は、電極要素の近位の内側スリーブを覆い、絶縁層の一部分は、遠位位置で窓内に露出される。絶縁層は、絶縁層及び内側スリーブ間の接触の程度が、電極要素と第1の極性と反対の第2の極性を有する戻り電極として機能する外側スリーブの間の電気経路を変更するために内側スリーブの一部分を露出するように子宮ポリープ組織よりも繊維質である組織を切除するのに使用されるときに低減されるように構成される。
【0009】
これに加えて又はこれに代えて、上記実施形態のいずれかにおいて、絶縁材料は、子宮ポリープ組織よりも繊維質である組織を切除するのに使用されるときに内側スリーブから剥離されるように構成される。
【0010】
これに加えて又はこれに代えて、上記実施形態のいずれかにおいて、組織切除デバイスが機能しないとき、絶縁材料は、内側スリーブから剥ぎ取られるように構成される。
【0011】
これに加えて又はこれに代えて、上記実施形態のいずれかにおいて、絶縁層は、電極要素に直接に結合される。
【0012】
これに加えて又はこれに代えて、上記実施形態のいずれかにおいて、遠位窓は、約5mm〜約10mmの長手方向長さを有する。
【0013】
これに加えて又はこれに代えて、上記実施形態のいずれかにおいて、遠位窓は、約8mmの長手方向長さを有する。
【0014】
これに加えて又はこれに代えて、上記実施形態のいずれかにおいて、絶縁材料は、フッ化エチレンプロピレン(FEP)を含む。
【0015】
これに加えて又はこれに代えて、上記実施形態のいずれかにおいて、内側スリーブは、304ステンレススチールを含む。
【0016】
これに加えて又はこれに代えて、上記実施形態のいずれかにおいて、外側スリーブは、304ステンレススチールを含む。
【0017】
これに加えて又はこれに代えて、上記実施形態のいずれかにおいて、絶縁層は、約0.0127mm〜約0.038mmの厚さを有する。
【0018】
これに加えて又はこれに代えて、上記実施形態のいずれかにおいて、絶縁層は、組織切除デバイスの予め決められた期間の作動の後、電極構成要素から取外されるように構成される。
【0019】
別の実施形態では、組織切除デバイスは、軸線に沿って延びる同心の外側スリーブ及び内側スリーブを含む細長いアセンブリを含み、内側スリーブは、電極要素を更に含む。いくつかの追加の実施形態では、デバイスは、外側スリーブ内の組織受入れ窓と、内側スリーブの少なくとも一部分の周りに配置された絶縁材料を更に含み、絶縁材料は、組織切除デバイスを使用して子宮ポリープ組織よりも大きい繊維度を有する組織を切除するときに内側スリーブから取外されるように構成される。
【0020】
これに加えて又はこれに代えて、上記実施形態のいずれかにおいて、電極要素は、内側スリーブの少なくとも一部分を含む。
【0021】
これに加えて又はこれに代えて、上記実施形態のいずれかにおいて、絶縁材料は、電極要素に取付けられる。
【0022】
これに加えて又はこれに代えて、上記実施形態のいずれかにおいて、絶縁材料は、フッ化エチレンプロピレン(FEP)を含む。
【0023】
これに加えて又はこれに代えて、上記実施形態のいずれかにおいて、絶縁材料は、組織切除デバイスの予め決められた期間の作動の後、電極要素から取外されるように構成される。
【0024】
これに加えて又はこれに代えて、上記実施形態のいずれかにおいて、組織受入れ窓は、約5mm〜約10mmの長手方向長さを有する。
【0025】
これに加えて又はこれに代えて、上記実施形態のいずれかにおいて、組織受入れ窓は、約8mmの長手方向長さを有する。
【0026】
これに加えて又はこれに代えて、上記実施形態のいずれかにおいて、内側スリーブ、外側スリーブ、及び組織受入れ窓は、子宮ポリープ組織を切除するように構成される。
【0027】
これに加えて又はこれに代えて、上記実施形態のいずれかにおいて、組織切除デバイスは、外側スリーブの内面の少なくとも一部分に沿って配置された絶縁材料を更に含む。
【0028】
更に別の実施形態では、医療デバイスシステムは、外側スリーブと内側スリーブを含む細長いプローブを含み、外側スリーブは、外側スリーブの遠位端部の近くに配置された窓と、内側スリーブの遠位端部の近くに配置された電極要素と、外側スリーブから内側スリーブを絶縁する絶縁層を含む。いくつかの実施形態では、絶縁層は、細長いプローブを使用して子宮筋腫を切除するときに内側スリーブから剥ぎ取られるように構成される。いくつかの追加の実施形態では、システムは、外側スリーブに対して内側スリーブを往復動させるためのモータと、組織を切除するために電極要素を通してエネルギを送出するためのRF発生器とを更に含む。
【0029】
これに加えて又はこれに代えて、上記実施形態のいずれかにおいて、絶縁層は、電極要素の少なくとも一部分に取付けられる。
【0030】
これに加えて又はこれに代えて、上記実施形態のいずれかにおいて、窓は、約5mm〜約10mmの長手方向長さを有する。
【0031】
いくつかの実施形態の上記概要は、本開示の各開示する実施形態又は全ての実施を説明するように意図していない。以下に続く「図面」及び「発明を実施するための形態」は、かかる実施形態をより詳細に例示するものである。
【0032】
本開示は、添付図面に関連した様々な実施形態の以下の詳細説明を考察してより完全に理解することができる。
【図面の簡単な説明】
【0033】
図1】子宮鏡及び子宮鏡の作業チャネルを通して挿入された組織切除デバイスを含むアセンブリの平面図である。
図2図1の子宮鏡のシャフトの断面図である。
図3】子宮鏡と併せて示した膨張流体を再循環させる流体管理システムの概略図である。
図4】部分前進位置にある内側スリーブと併せた外側スリーブを示す図1の組織切除デバイスの作業端部の概略図である。
図5図4の内側スリーブの作業端部の概略的な斜視図である。
図6A図4の外側スリーブの一部分及び内側スリーブの概略的な図である。
図6B】内側スリーブの内腔内に受入れられた組織を含む図4の外側スリーブの一部分及び内側スリーブの別の概略的な図である。
図7A】絶縁層を含む図4の内側スリーブの一部分の概略的な図である。
図7B】内側スリーブから剥ぎ取られた絶縁層を含む図4の内側スリーブの一部分の概略的な図である。
図8A】線7A−7Aにおける図6Bの内側スリーブの断面図である。
図8B】線7B−7Bにおける図6Bの内側スリーブの断面図である。
図9】内側スリーブの別の実施形態の遠位部分の概略図である。
図10A】線9A−9Aにおける図9の内側スリーブの断面図である。
図10B】線9B−9Bにおける図9の内側スリーブの断面図である。
図11】組織変位部材を示す内側スリーブが完全前進位置にある作業端部の拡大断面図である。
【0034】
本開示は、様々な修正及び変形例を受入れるが、その細目は、図面に一例として示され、かつ詳細に以下に説明する。しかし、本発明は、説明する特定の実施形態に限定されないものとすることを理解しなければならない。逆に、その意図は、本開示の精神及び範囲に該当する全ての修正物、均等物、及び代替物を網羅することである。
【発明を実施するための形態】
【0035】
以下に定義される用語に関して、これらの定義は、異なる定義が本明細書において特許請求の範囲又は他の位置で与えられない限り適用されるものとする。
【0036】
全ての数値は、明示的に示すか否かにかかわらず本明細書では用語「約」によって修正されるように仮定している。用語「約」は、一般的に、記述する値(例えば、同じ機能又は結果を有する)と同等であると当業者が考える数の範囲を指す。多くの事例では、用語「約」は、最も近い有効数字に丸められた数を含むことができる。
【0037】
終点による数値範囲の記述は、その範囲内の全ての数を含む(例えば、1から5は、1、1.5、2、2.75、3、3.80、4、及び5を含む)。
【0038】
本明細書及び添付の特許請求の範囲に使用される場合に、単数形「a」、「an」、及び「the」は、内容がそれ以外を明確に示さない限り、複数の指示物を含む。本明細書及び添付の特許請求の範囲に使用される場合に、用語「又は」は、一般的に、内容がそれ以外を明確に示さない限り、「及び/又は」を含むその意味に使用される。
【0039】
「実施形態」、「いくつかの実施形態」、「他の実施形態」などへの本明細書における参照は、説明する実施形態が1又は2以上の特定の特徴、構造、及び/又は特性を含む場合があることを示すことに注意されたい。しかし、かかる記述は、必ずしも全ての実施形態が特定の特徴、構造、及び/又は特性を含むことを意味するとは限らない。これに加えて、特定の特徴、構造、及び/又は特性が一実施形態に関連して説明されるとき、かかる特徴、構造、及び/又は特性は、逆を明記しない限り、明示的に説明されているか否かにかかわらず、他の実施形態に関連して使用することもできることを理解しなければならない。
【0040】
以下の詳細説明は、異なる図面内の類似の要素が同じに付番されている図面を参照して読むべきである。必ずしも正確な縮尺ではない図面は、例示の実施形態を説明するものであり、本開示の範囲を限定するように意図していない。
【0041】
図1は、子宮鏡検査のために組織抽出デバイス100と共に使用される内視鏡又は子宮鏡50を含むアセンブリを示し、組織抽出デバイス100は、子宮鏡50の作業チャネル102の中を延びている。子宮鏡50は、5mm〜7mmの直径を有する細長いシャフト105に結合されたハンドル104を含む。作業チャネル102は、円形、D字形、又は任意の他の適切な形状のものである。子宮鏡シャフト105は更に、光学系チャネル106及び1又は2以上の流体流入チャネル108a/流体流出チャネル108b(図2に見られるような)を有するように構成される。流体流入チャネル108a/流体流出チャネル108bは、流体流入源120又は選択的に負圧源125に結合されるように構成されたバルブコネクタ110a、110bと流体的に連通している。流体流入源120は、流体管理システムの構成要素であり、流体管理システムは、1又は2以上の流体容器と、流体を子宮鏡50の中を通して子宮腔にポンプ送りするポンプ機構を含む。子宮鏡50のハンドル104は、光学系を有する角度付き延長部分132を含み、ビデオカメラ135が角度付き延長部分132に作動可能に結合される。光源136も、子宮鏡50のハンドル104の光継手138に結合される。子宮鏡50の作業チャネル102は、組織切除抽出デバイス100の挿入及び操作を可能にするように構成され、組織切除抽出デバイス100は、例えば、ポリープ組織を処置して除去する。いくつかの実施形態では、子宮鏡シャフト105は、21cmの軸線方向長さを有し、例えば、0°の範囲、又は15°〜30°範囲を有する。
【0042】
図1をそのまま参照すると、組織切除デバイス100は、非常に細長いシャフトアセンブリ140を有し、シャフトアセンブリ140は、子宮鏡50内の作業チャネル102の中を延びるように構成される。組織切除デバイス100のハンドル142は、組織切除デバイス100の電気外科用作業端部145を操作するように適合される。使用中、ハンドル142は、回転方向に且つ軸線方向に操作され、例えば、ターゲットポリープ組織を切除するように作業端部145の向きを定める。組織切除デバイス100は、ターゲット組織の電気外科的切除を可能にするためにハンドル142に結合された1又は2以上のサブシステムを有する。例えば、いくつかの実施形態では、後で詳細に説明するように、無線(RF)周波数発生器源150及びコントローラ155が、作業端部145によって支持された少なくとも1つのRF電極に結合される。少なくともいくつかの実施形態では、電気ケーブル156が、ハンドル142のコネクタ158と作動的に結合される。電気ケーブル156は、RF源150を電気外科的作業端部145に結合する。例示の組織切除デバイスは、特許文献6〜9に説明されており、特許文献6〜9の各々の全体を本明細書に援用する。
【0043】
図1は更に、可撓性シール164を支持する密封ハウジング162を示し、可撓性シール164は、組織切除デバイス100のシャフト140を作業チャネル102内に密封するために、子宮鏡ハンドル104によって支持され、膨張流体が子宮腔から漏れるのを防止する。いくつかの実施形態では、図1に示すように、組織切除デバイス100のハンドル142は、電気外科的作業端部145の切除構成要素を往復動、回転、又はその他の仕方で移動するためのモータードライブ165を含む。ハンドル142は、組織切除デバイス100を作動させるための1又は2以上の作動器用ボタン166を選択的に含む。他の実施形態では、フットスイッチを使用して組織切除デバイス100を作動させてもよい。一般的には、少なくとも子宮鏡50及び組織切除デバイス100を含むシステムは、複数の往復動速度、例えば、1Hz、2Hz、3Hz、4Hz、及び8Hzまでを提供するスイッチ又は制御機構を含む。システムは、往復動する切除スリーブを非延長位置、延長位置、又は中間位置に移動させる及びロックするための機構を更に含むのがよい。いくつかの実施形態では、システムは、単一の往復動ストロークを作動させるための機構を更に含むのがよい。
【0044】
図3は、図1の子宮鏡50及び組織切除デバイス100と併せて使用される流体管理システム10を示している。例示の閉鎖系流体管理システムは、特許文献10〜13に説明されており、特許文献10〜13の各々の全体を本明細書に援用する。図3を参照すると、一般的には、流体管理システム10は、膨張流体12を収容する流体源又はリザーバ60を含む。コントローラ25及び2つの容積型(蠕動)ポンプ(第1の注入ポンプ40A、第2の流出ポンプ40B)は、子宮腔の膨張を維持するように適合された流体の流入及び流出を行う。子宮腔77から取出された後に流体リザーバ60に戻る膨張流体12を濾過するフィルタシステム80が含まれる。回収されて濾過された膨張流体12の使用及び流体リザーバ60内の容積の補充は、流体を回収しない開ループシステムよりも有利である。例えば、システム10等の閉ループシステムは、処置中の流体の不足を効果的に測定することができ、流体不足警告を提供して患者の安全性を確保することができる。閉ループシステムはまた、約2500mlの使用可能な容積を有する膨張流体の単一バッグのみを使用し、システムロックアウトを行い、システムロックアウトは、リザーバ60に戻った膨張流体の測定によって決定されるような、膨張流体の血管内侵入の予め決められた量の使用後に処置を終了する。閉ループシステムはまた、使用する膨張流体の費用及び流体廃棄費用を低減することによって処置費用を低減させることができる。更に、閉ループシステムは、より時間効率的方式で設定かつ作動させることができ、システムは、現在の開ループシステムよりも小型かつ廉価にすることができる。
【0045】
図3に示すように、流体管理システム10は、コントローラ25を含み、コントローラ25は、組織切除デバイス100から独立していてもよいし、流体管理システム10と組織切除デバイス100の両方を作動させるように構成されてもよく、後者の場合、組織切除デバイス100は、モータ又はコントローラ155を含まない。コントローラ25は、第1の蠕動ポンプ40A及び第2の蠕動ポンプ40Bを制御するように構成され、第1の蠕動ポンプ40A及び第2の蠕動ポンプ40Bは、子宮鏡50及び/又は組織切除デバイス100を利用する様々な手順中に子宮腔77を膨張させて腔内圧力を制御する目的で、リザーバ60からの膨張流体12の流入及び流出を行う。
【0046】
図3のいくつかの実施形態では、コントローラ25は、ポンプの流出側182に正圧を供給するように蠕動ポンプ40Aを制御して、子宮鏡50のルアー継手114a及び流体流れチャネル108aに連通している第1の流れライン又は流入ライン45を通る膨張流体12の流入を行う。コントローラ25は、更に、ポンプの流入側188に負圧を供給するように第2の蠕動ポンプ40Bを制御して、子宮腔77からの膨張流体12の流出を第2の流れライン又は流出ライン35を通して行うのを助ける。作動の際、第2の蠕動ポンプ40Bはまた、第2の流出ラインの一部分95において、ポンプ40Bの流出側190に正圧を供給して、フィルタシステム80を通って流体リザーバ60に戻る膨張流体12の流出流れをポンプ送りする。
【0047】
いくつかのシステム変形例では、コントローラ25は、使い捨て圧力センサ22からの圧力信号によって子宮腔77内の圧力を制御するように作動する制御アルゴリズムを有し、使い捨て圧力センサ22は、子宮鏡50の継手114bに結合され、継手114bは、子宮鏡シャフト105の中を通って子宮腔77まで延びる流れチャネル108bと連通する。圧力センサ22は、ケーブル20によってコントローラ25に作動的に結合され、ケーブル20は、圧力信号をコントローラ25に送信する。1つの実施形態では、流れチャネル108bは、実際の腔内圧力の非常に正確な感知を可能にするのに十分に大きい直径を有する。他のデバイスでは、腔内圧力は、典型的には、様々な計算によって推定され、かかる計算は、ポンプの中を流れる既知の流量、又は、流体流入ライン及び/又は流出ライン内の遠隔圧力センサを使用し、圧力の逆計算に依存する場合がある。かかる流体管理システムは、独立型システムであり、様々な子宮鏡と共に使用するように適合されている。かかるシステムのほとんどは、実際の腔内圧力を測定する圧力センサを使用することができない。かくして、これらの他のデバイス及び流体管理システムは、腔内圧力を推定するのにアルゴリズム及び計算に依存し、このことは、典型的には、子宮内圧力を直接的に感知するよりも精度が低い。
【0048】
圧力センサ22と連通する流体チャネル又はセンサチャネル108bは、子宮腔77内への生理食塩水の流入に使用される流れチャネル108aから独立しているのがよい。センサチャネル108b内の流体流れがない場合、例えば、子宮鏡50又は組織切除デバイス100の別のチャネルが流体流出に使用されている場合、センサチャネル108b内の流体は、子宮腔内の圧力が変化するときに圧力の変化をセンサ22に伝達する静止液柱(空気又は液体)を形成する。1つの変形例では、センサチャネル108bは、少なくとも1mmの断面を有し、圧力チャネル内の液柱の流体圧力は、子宮腔内の圧力と等価である。かくして、圧力センサ22は、子宮腔又は他の体腔内の圧力の直接測定が可能である。1つの方法では、センサチャネル108bは、センサチャネル108b及びセンサ22から空気を放出させるために、バルブ(図示せず)を開放することによって空気をパージすることができる。
【0049】
図3は、診断手順の作動における流体管理システム10を概略的に示している。子宮腔77は、潜在的な空間であり、子宮鏡による観察を可能にするために膨張させられる必要がある。選択された圧力が、例えばタッチスクリーン205を介して、コントローラ25内に設定され、医師が経験から知っているかかる圧力は、子宮腔77を膨張させるのに適し及び/又は診断手順を実施するのに適している。1つの変形例では、選択された圧力は、0〜150mmHgの任意の圧力である。第1の蠕動ポンプ40Aは、コントローラ25によって作動され、要望に応じて作動させられる可変速度容積型ポンプとして作動し、流入ライン45の中を流れる0〜1000ml/minの流量を供給する。第2の蠕動ポンプ40Bは、固定速度で作動させられ、生理食塩水の膨張流体を子宮腔77から流出ライン35を通して移動させる。使用中、コントローラ25及び制御アルゴリズムは、ポンプ40A、40Bを選択された適合速度又は非適合速度で作動させ、子宮腔77内の膨張流体12の容積を増加させたり、減少させたり、維持したりする。かくして、第1の容積型ポンプ40A及び第2の容積型ポンプ40Bのポンプ送り速度の独立制御によって、体腔内の選択された設定圧力が達成され、圧力センサ22によって供給される実際の腔内圧力の信号に応答して維持される。
【0050】
図3では、流体管理システム10が、子宮鏡50と一緒に概略的に示され、子宮鏡50は、例えば、子宮ポリープ75を検査する。しかしながら、流体管理システム10は、組織切除デバイス100と一緒に更に使用され、ポリープ75を切除する。例えば、組織切除デバイス100は、子宮鏡50の作業チャネル102の中に挿入される。かかる実施形態のいくつかでは、流出ライン35は、組織切除デバイス100のハンドル142に接続され、膨張流体12は、子宮腔77から組織切除デバイス100のチャネル及び流出ライン35を通って流出させられる。
【0051】
図1及び図4を参照すると、電気外科的組織切除デバイス100は、長手方向軸線168の周りを延びる細長いシャフトアセンブリ140を有し、細長いシャフトアセンブリ140は、通路又は内腔172を定める外部の、すなわち、第1の外側スリーブ170を含む。内腔172は、第2の内側スリーブ175を収容し、内側スリーブ175は、組織を切除するために、内腔172内で往復動(かつ任意的に回転又は振動)することができる。いくつかの実施形態では、外側スリーブ170の組織受入れ窓176は、約5mm〜約10mmの軸線方向長さを有し、いくつかの特定の実施形態では、8mmの軸線方向長さを有し、かかる寸法は、組織切除デバイス100が除去するように設計されているポリープの寸法に一致する。他の実施形態では、組織受入れ窓176は、内側スリーブ175又は抽出用内腔160の長さの約1パーセント〜約3パーセントである。組織受入れ窓176は、外側スリーブ170の周りを、スリーブ170の軸線168に対する約45°〜約210°の半径方向角度で延びる。外側スリーブ170及び内側スリーブ175は、以下に詳細に説明するように、薄肉ステンレススチール材料を含み、互いに反対の極性を有する電極として機能する。
【0052】
図6A図7Bは、絶縁層を示し、絶縁層は、望ましくない電流がスリーブ170のある部分の間を流れることを制限し、制御し、及び/又は阻止するように、外側スリーブ170及び内側スリーブ175によって支持されるのがよい。いくつかの実施形態では、外側スリーブ170は、約0.143’’(3.63mm)の外径と、約0.133’’(3.38mm)の内径を有する。内側絶縁層を有する場合、外側スリーブ170は、約0.125’’(3.18mm)の公称内径を有するのがよい。この実施形態では、内側スリーブ175は、約0.120’’(3.05mm)の外径と、約0.112’’(2.84)の内径を有する。外側絶縁層を有する内側スリーブ175は、内腔172内で往復動するために、約0.123’’(3.12)〜約0.124’’(3.15mm)の公称外径を有する。一般的には、絶縁層200、202は、約0.0005’’(0.0127mm)〜約0.0015’’(0.038mm)の厚さを有し、いくつかの特定の例では、約0.001’’(0.025mm)の厚さを有する。他の実施形態では、外側スリーブ170及び/又は内側スリーブ175は、金属、プラスチック、セラミック、又はその組合せで製作される。外側スリーブ及び内側スリーブの断面は、円形であってもよいし、長円形であってもよいし、任意その他の適切な形状であってもよい。
【0053】
いくつかの実施形態では、外側スリーブ170は、304ステンレススチール、又は、他の低コスト且つ低強度の生体適合性スチールから作られ、約0.140’’(3.56mm)〜約0.143’’(3.63mm)の外径と、約0.005’’(0.13mm)〜約0.007’’(0.18mm)の肉厚を有する。かかる実施形態では、内側スリーブ175も、304ステンレススチール、又は、他の適切な低コストスチールから作られてもよい。可能な限り大きい直径の抽出用内腔160(図5)を有することが有利であるが、抽出用内腔160の直径は、シャフトアセンブリの外径によって制限され、かくして、子宮鏡50の望ましい断面によって制限されることを理解すべきである。患者の頸部の拡張を最小にするために、最大の子宮鏡直径は、一般的には、約0.150’’(3.81mm)の最大作業チャネルを可能にする約0.256’’(6.5mm)であるべきである。いくつかの例示の実施形態では、薄肉のチューブ材及び絶縁層は、最適な組織抽出用内腔の直径を構成するように寸法決めされ、かかる直径は、(上記の子宮鏡寸法及び上記の制限であれば)約0.090’’(2.29mm)よりも大きく、又は、約0.100’’(2.54mm)よりも大きく、約0.256’’(6.5mm)の外径を有する子宮鏡50の全てに順応する。
【0054】
かくして、一般的には、組織切除デバイス100は、細長いアセンブリを有し、細長いアセンブリは、軸線に沿って延び且つ同心である外側スリーブ及び内側スリーブと、外側スリーブに設けられた組織受入れ窓を含み、往復動する内側スリーブは、抽出用内腔160を有する。加えて、抽出用内腔160の直径と外側スリーブ170の外径の比は、少なくとも約0.65:1であり、約0.65:1から約0.70:1である。別の側面では、抽出用内腔160の直径と子宮鏡50の外径の比は、少なくとも約0.35:1であり、約0.35:1から約0.40:1である。
【0055】
図4に見ることができるように、内側スリーブ175の遠位端部は、遠位切除電極エッジ180(+)を有する第1の極性の電極を含み、プラズマを遠位切除電極エッジ180(+)の周りに発生させることができる。電極エッジ180(+)はまた、その反対の極性の電極すなわち戻り電極よりも実質的に小さい表面積を有するので、組織切除中、活性電極と記載されることがある。いくつかの実施形態では、図4におけるように、外側スリーブ170の露出面は、第2の極性の電極185(−)を含み、第2の極性の電極185(−)は、使用中、活性電極エッジ180(+)の機能的に露出された表面積よりも実質的に大きい表面積を有するので、戻り電極として記載されることがある。
【0056】
上述したように、内側スリーブ又は切除スリーブ175は、第1の内径及び第2の内径を有する内部組織抽出用内腔160を含み、第1の内径及び第2の内径は、組織容積を電気外科的に迅速に切除し且つ切除した組織ストリップを細長い内腔160を通して詰まりなしに確実に抽出するように適合させられる。ここで図5及び図6Aを参照すると、内側スリーブ175は、符号Aで示すような第1の直径を有する第1の部分190Aを含むことが分かる。第1の部分190Aは、ハンドル142(図1)からスリーブ175の遠位領域192まで延び、組織抽出用内腔160は、遠位領域192のところで、符号Bで示される小さい径を有する第2の部分190Bに移行する。第2の部分190Bの直径は、切除電極エッジ180を有する電極スリーブ要素195によって定められる。第2の部分190Bの軸線方向長さCは、約1mm〜約15mmの範囲内にある。いくつかの実施形態では、第1の内径Aは、約0.106’’(2.69mm)であり、小さい第2の内径Bは、約0.095’’(2.41mm)であり、約2mmの軸線方向長さを有する。第2の部分190Bの断面積は、第1の部分190Aの断面積の95%未満であってもよいし、90%未満又は85%未満であってもよく、他の実施形態では80%未満であってもよい。図5に示すように、内側スリーブ175は、導電性ステンレススチールであるのがよく、第2の部分190Bも、溶接部196(図6A)によって所定位置に溶接されたステンレススチール電極スリーブ要素195を含むのがよい。他の変形実施形態では、内側スリーブ175及び電極スリーブ要素195は、内側スリーブ175の遠位端部198に圧入することができるタングステンチューブを含む。
【0057】
図5及び図6Aは、第1のスリーブ170及び第2のスリーブ175によってそれぞれ支持されるインタフェース絶縁層202、204を更に示している。図6Aにおいて、外側スリーブ170は、ペルフルオロアルコキシアルカン(PFA)又は他のポリマー材料等の薄肉絶縁材料200のライナを有する。同様に、内側スリーブ175は、外部絶縁層202を有する。これらの絶縁層は、内側スリーブ175の往復動中の摩擦を低減させるように潤滑性であり且つ電気絶縁性であるのがよい。絶縁層200、202は、潤滑性材料、疎水性材料、又は親水性ポリマー材料を含むのがよい。例えば、かかる材料は、TEFLON(登録商標)、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、フッ化エチレンプロピレン(FEP)、ポリエチレン、ポリアミド、ECTFE(エチレンクロロトリフルオロエチレン)、ETFE、PVDF、ポリ塩化ビニル、又はシリコーン等の生体適合性材料を含む。
【0058】
図6Bを見ると、内側スリーブ175の別の変形例が、プラズマ電極エッジ180で切除されている組織容積と共に概略図で示されている。この実施形態では、他の実施形態におけるように、RF源は、電極スリーブ要素195の電極エッジ180の周りにプラズマを形成するように選択された作動パラメータで作動する。電極エッジ180で発生させるプラズマは、組織切除デバイス100が組織220に対して移動可能であり又は内側スリーブ175が外側スリーブ170に対して移動されるので、組織220内の経路Pを切除し且つ除去することができ、また、子宮ポリープ組織及び他の異常な子宮組織を切除するのに適している。図6Bに見られるように、切除スリーブ175の遠位部分は、電極スリーブ要素195に隣接したセラミックカラー222を含むのがよい。かかる実施形態において、絶縁層202は、内側スリーブ175の上を延びてもよいが、電極スリーブ要素195に接触しないのがよい。かかる実施形態において、変形例として、絶縁層202は、セラミックカラー222に取付けられてもよい。セラミックカラー222は、プラズマの形成を遠位電極エッジ180の周りに閉じ込めるように機能し、作動中、プラズマが切除スリーブ175上のポリマー絶縁層202に接触して損傷を与えることを防止するのを助ける。
【0059】
しかしながら、図7Aに示すように、他の実施形態では、組織切除デバイス100は、セラミックカラー222を含まなくてもよい。かかる実施形態では、絶縁層202は、内側スリーブ175の遠位端部を遠位側に越えるように延び、電極スリーブ要素195の少なくとも一部分を覆う。例えば、絶縁層202は、電極スリーブ要素195に直接に結合される。セラミックカラーがなければ、切除中に電極エッジ180(+)のところに発生したプラズマは、セラミックカラーが電極スリーブ要素195と絶縁層202の間に含まれている場合よりも、絶縁層202を急速に摩耗させることがある。いくつかの追加の実施形態では、絶縁層202は、他の材料よりも低い耐摩耗性の材料、すなわち、比較的容易に劣化する材料から構成されてもよい。例えば、絶縁層202は、ポリエステル材料とは対照的に、FEPを含んでいてもよい。
【0060】
いくつかの実施形態では、組織切除デバイス100は、子宮ポリープを切除する等の特定の手順のためにのみ使用されるように、又は、特定数の手順のために使用されるように構成される。例えば、子宮ポリープは、一般的には、子宮筋腫よりも低い繊維度又は機械的剛性である。従って、子宮ポリープ切除のために構成された組織切除デバイス100の材料は、比較的高い耐摩耗性である必要はなく、又は、子宮筋腫の切除中に存在する場合がある比較的高レベルの力に耐える必要はない。比較的低い耐摩耗性の材料及び/又は比較的弱い材料により、組織切除デバイスを、子宮筋腫の切除のために構成されたデバイスよりも低いコストで作ることを可能にする。例えば、内側スリーブ170及び外側スリーブ175は、304ステンレススチール又は別の比較的低い強度の生体適合性ステンレススチールで構成されてもよい。加えて、少なくとも絶縁層202は、ポリエステル又は他のポリマー等の比較的耐久性のある材料とは反対のFEPで構成され得る
【0061】
かかる実施形態では、絶縁層202は、図7Bに示すように、デバイス100を使用する持続時間の後、又は、組織切除デバイス100の特定の数の作動の後、又は、作動の特定の全体長さの後、電極スリーブ要素195及び/又は内側スリーブ175から剥ぎ取られるように構成されてもよい。追加の又は変形の実施形態では、組織切除デバイス100は、組織切除デバイス100が子宮ポリープよりも繊維質である子宮筋腫又は他の異常な組織を切除するのに使用されるときのように、子宮ポリープの切除中よりも大きい量の力を付与する手順のために使用されるとき、絶縁層202は、電極スリーブ要素195及び/又は内側スリーブ175から剥ぎ取られるように構成されてもよい。組織切除デバイス100の作動は、電極スリーブ要素195を介するRFエネルギの供給及び/又は外側スリーブ170に対する内側スリーブ175の往復動を含む。いったん絶縁層202が内側スリーブ175から剥ぎ取られ又は他の仕方で取外されると、RFエネルギの通常の流れ経路が変化し、その結果、組織切除デバイス100が作動しなくなることがある。このように、組織切除デバイス100は、組織切除デバイス100が設計された条件と異なる条件下で作動しない又は作動を停止させるように構成されてもよい。例えば、内側スリーブ175が遠位延長位置(遠位位置又は窓閉鎖位置)に移動するときに外側スリーブ170の窓176に露出された絶縁層202の部分は、外側スリーブ170に対する内側スリーブ175の往復動中の組織との繰返し摩擦接触により、摩耗したり、内側スリーブ175から剥離したりすることがあり(かくして、絶縁層202と内側スリーブ175の間の接触の程度が減少することがあり)、これにより、内側スリーブ175の一部分を露出させて、内側スリーブ175のうちの現在露出されている導電性部分と戻り電極として機能する外側スリーブ170のうちの露出された導電性部分の間の修正された又は変更された電気経路を生じさせることがある。電気経路のかかる修正は、電気的短絡又はインピーダンス変化を生じさせ、デバイス100を作動させないことがある。
【0062】
図6Bに戻ってそれを参照すると、いくつかの側面では、プラズマを用いて電極エッジ180のところで組織220に形成された経路Pは、符号Wで示される除去幅を有する経路Pを構成し、かかる経路の幅Wは、実質的に組織蒸発により形成される。経路P内の組織のこの除去及び蒸発は、従来技術の様々なデバイスにおけるような鋭い刃先で同様の組織を切断する効果と異なる。鋭い刃先は、組織を(焼灼せずに)分割することはできるが、機械的な力を組織に付与し、組織の大きい断面スラグが切断されるのを妨げることがある。対照的に、電極エッジ180におけるプラズマは、いかなる実質的な力も組織に付与することなしに組織内の経路Pを蒸発させ、かくして、組織の比較的大きい断面ストリップを切除することができる。更に、プラズマによる切除の効果は、第2の部分190Bの組織抽出用内腔に受入れられる組織ストリップ225の断面を減少させる。図6Bは、組織の蒸発により第2の部分190Bの内腔よりも小さい断面を有する第2の部分190Bの内腔に入る組織ストリップ225を示している。更に、第1の部分190Aの比較的大きい断面内腔に入るときの組織225の断面は、更に大きい自由空間196を組織ストリップ225の周りに生じさせる。かくして、プラズマ電極エッジ180による組織の切除は、組織抽出用内腔160の第2の部分190Bの比較的小さい断面から第1の部分190Aの比較的大きい断面への内腔移行と共に、連続切除された組織ストリップ225が内腔160を詰まらせる可能性を著しく減少させ又はなくすことができる。比較的小さい直径の組織抽出用内腔を有する従来技術の切除デバイスは、典型的には、組織の詰まりの問題を有する。
【0063】
システムが組織抽出用内腔160の近位端部に結合された負圧源を含む他の側面では、負圧源はまた、組織ストリップ225をデバイスの収集リザーバ(図示せず)用の外側ハンドル142まで近位方向に吸引して移動させるのを助ける。
【0064】
図8A及び図8Bは、図6Bの切除スリーブ175’の内腔直径160の変化を示す。図9は、上述した管状電極スリーブ要素195(図5及び図6A)とは対照的に部分的に管状である電極スリーブ要素195’で構成された切除スリーブ175’の変形例の遠位端部を示している。図10A及び図10Bはまた、図9Aの切除スリーブ175’に関して、比較的小さい断面を有する第2の部分190B’と比較的大きい断面領域190A’を有する第1の部分190A’の間の組織抽出用内腔160の断面の変化を示している。かくして、電極スリーブ要素195’が管状であっても部分的に管状であっても、機能は、同じままである。図9では、1つの変形例において、セラミックカラー222’が、スリーブ175’の周りを部分的にのみ延びて電極スリーブ要素195’の半径方向角度と協働するように示されている。更に、図9の変形例は、セラミックカラー222’が絶縁層202よりも大きい外径を有することを示している。かくして、セラミックカラー222’の短い軸線方向長さが、外側スリーブ170の内腔172の内面の周りのインタフェース絶縁層200に対してインタフェースして摺動するので、摩擦を減少させる。しかしながら、他の実施形態では、切除スリーブ175’は、スリーブ175について上述したように、セラミックカラー222’を含まなくてもよい。
【0065】
いくつかの側面では、組織抽出用内腔160の軸線方向長さは、子宮腔へのアクセスのために、約17.7’’(450mm)〜約21.7’’(550mm)の範囲内にある。いくつかの実施形態では、組織切除デバイス100のシャフトアセンブリ140は、約35mmの長さを有する。しかしながら、他の実施形態では、シャフトアセンブリ140は、少なくとも約10cm、約20cm、約30cm、又は約40cmの長さの組織抽出用内腔160を含む。
【0066】
ここで図4及び図11を参照すると、本開示の1つの側面は、「組織変位」機構を含み、かかる機構は、組織225が内腔160を塞がないことを確保するために、内側スリーブ175の内腔160内の組織ストリップ225を近位方向に変位させて移動させるように構成される。図4及び図11に見ることができるように、1つの組織変位機構は、外側スリーブ170に固定的に取付けられた遠位先端部又は本体232から近位側に延びる突出要素230を含む。突出要素230は、外側スリーブ170及び遠位先端部232の内面によって定められる遠位チャンバ240内を、中心軸線168に沿って近位側に延びる。かくして、図4及び11に示すようないくつかの実施形態では、シャフト状の突出要素230は、プランジャ又は押し部材として機能し、スリーブ175がその完全前進位置又は延長位置(図11)まで移動するとき、捕捉された組織ストリップ225を内側スリーブ175の第2の部分190Bの内腔から近位方向に押すことができる。この理由で、突出要素230の長さDは、少なくとも、内側スリーブ175の第2の部分190Bの軸線方向長さEと同じくらい大きい。更に、図11に示すように、内側スリーブ175のストロークYは、窓290の遠位縁を遠位側に越えて少なくとも約3mm、4mm、又は5mm延びる。別の側面では、内側スリーブ175のストロークYは、内側スリーブ175の全ストローク(図11のストロークX+ストロークY)の少なくとも5%又は10%である。
【0067】
一般的には、変位特徴部又は突出要素230は、抽出用内腔160の断面を実質的に横切るように延びる最大断面を有する。いくつかの変形例では、変位特徴部230は、内側スリーブ175の第2の部分190Bの断面積を実質的に占める断面積を有する。図4及び図11は、円筒状の突出要素230を示している。しかしながら、他の実施形態では、突出要素230は、異なる形状にされてもよい。例えば、突出要素230は、抽出用内腔160の中心軸線に対して対称な形状を有していてもよいし、膨張流体が流れることを可能にするリブ及びチャネルを有する星形又は縦溝形であってもよい。他の実施形態では、突出要素230は、その軸線の周りを延びる任意の数の縦溝、溝、内腔、又はボアを有する非対称断面形状を有していてもよい。少なくともいくつかの実施形態では、突出要素230は、セラミック又はポリマー等の誘電材料から構成されるのがよい。
【0068】
いくつかの側面では、組織切除デバイスは、同心の外側スリーブ及び内側スリーブを含む細長いアセンブリを有し、外側スリーブの組織受入れ窓は、内部内腔に通じ、遠位内腔部分は、窓に対して遠位側に延びる。内側スリーブは、更に、比較的大きい断面積を有し且つ軸線方向に延びる第1のチャネルと、比較的小さい第2の断面積を有し且つ軸線方向に延びる第2のチャネルを有するように構成され、遠位内腔部分の長さと第1のチャネルの長さの比は、少なくとも1:1である。いくつかの実施形態では、組織切除デバイスは、少なくとも5mmである遠位内腔部分の長さを有するように構成される。かかる実施形態では、軸線方向に延びる第1のチャネルの長さは、少なくとも5mmである。他の実施形態では、遠位内腔部分の長さと内部内腔の直径の比は、少なくとも1:1である。更に他の実施形態では、かかる比は、少なくとも1.5:1である。かかる実施形態では、遠位内腔部分の長さは、少なくとも5mmである。他の変形例では、内部内腔の直径は、5mm未満である。
【0069】
他の側面では、組織切除デバイスは、同心の外側スリーブ及び内側スリーブを含む細長い管状アセンブリに結合されたハンドルと、アセンブリを貫通する内部通路と連通する外側スリーブ内の組織受入れ窓とを含む。かかる実施形態のいくつかでは、窓の遠位縁は、内部通路の遠位端部から少なくとも4mm、6mm、8mm、又は10mm離間する。かかる変形例では、通路の平均断面は、5mm、4mm、又は3mm未満である。
【0070】
組織切除デバイスのいくつかの実施形態は、ハンドルを含み、ハンドルは、組織を抽出するための内部抽出用内腔と連通する組織受入れ窓を定めるように軸線方向に延びるシャフトアセンブリに結合される。シャフトアセンブリは、軸線方向に延びる第1の要素及び第2の要素を含み、少なくとも一方の要素は、他方の要素に対する第1の位置と第2の位置の間を軸線方向に移動可能であり、更に、切除した組織を抽出用内腔から変位させるように構成された変位特徴部を含む。かかる実施形態では、第1の位置は、組織を受入れるための開放窓形態を含み、第2の位置は、閉鎖窓形態。第1の位置から第2の位置に向う両要素の移動により、組織を両要素のうちの一方のエッジで切除する。エッジは、RF電極エッジを含むのがよい。変位特徴部(図4及び図11)又は突出要素230は、第1の要素に結合され、抽出用内腔の軸線に対して軸線方向に突出するのがよい。かかる実施形態は、第1の断面積及び第2の断面積を有する抽出用内腔によって構成され、抽出用内腔の遠位領域は、第1の比較的小さい断面積を有し、抽出用内腔の中間部分は、比較的大きい第2の断面積を有する。いくつかの変形例では、抽出用内腔の遠位領域は、軸線方向に少なくとも2mm、4mm、6mm、又は8mm延びる第1の断面積を有する。他の変形例では、変位特徴部は、第2の閉鎖窓形態において、抽出用内腔内に軸線方向に少なくとも2mm、4mm、6mm、又は8mm延びるように構成される。
【0071】
組織を切除するいくつかの方法は、外側スリーブ内の延長ストローク及び引込みストロークを有する往復動スリーブを用いて組織を切除する段階を含み、延長ストロークは、外側スリーブの組織受入れ窓によって受入れられた組織を切除して捕捉する。本方法は更に、内側スリーブが延長ストロークから引込みストロークに移行する移行範囲にあるとき、変位部材を用いて内側スリーブ内に捕捉した組織を近位方向に押す段階を含む。更に、変位部材は、捕捉した組織を比較的小さい断面内腔を有する内側スリーブの第2の部分から比較的大きい断面内腔を有する内側スリーブの第1の部分に少なくとも部分的に押すように構成される。その後、負圧源は、組織を内腔からより効果的に抽出して吸引することができる。
【0072】
いくつかの変形例では、切除する段階は、RF電流を付与して、内側スリーブ175上の電極エッジ180のところにプラズマを発生させる段階を含み、更に、RF電流を第1の切除ストロークの遠位端で終了させる段階を含む。変形例として、システム及びコントローラ155は、第2の切除ストローク中、RF電流を終了させてもよい。変形例として、コントローラ155は、引込みストローク中、RF電流を終了させてもよい。
【0073】
更なる変形例では、コントローラは、引込みストロークの少なくとも一部分の間、RF電流を電極に付与し、それにより、隣接した組織を焼灼してもよい。焼灼効果は、第1の切除ストローク中に使用される作動パラメータと同じ作動パラメータで、又は、第1の切除ストローク中に使用される作動パラメータと異なる作動RFパラメータで、引込みストローク中にもたらされる。
【0074】
当業者は、本開示が本明細書に説明して想定する具体的実施形態以外の様々な形態で出現する場合があることを認識するであろう。具体的には、様々な実施形態及び図に関連して説明した様々な特徴は、かかる実施形態及び/又は図だけに適用可能であると解釈すべきではない。むしろ、各説明した特徴は、それらの特徴と併せて説明した他の特徴のいずれかと共に又はそれなしで様々な想定する実施形態においてあらゆる他の特徴と組み合わせることができる。従って、形態及び詳細における逸脱は、添付の特許請求の範囲に説明するような本開示の範囲から逸脱することなく行うことができる。
図1
図2
図3
図4
図5
図6A
図6B
図7A
図7B
図8A
図8B
図9
図10A
図10B
図11