(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
親水性修飾ポリイソシアネート(4)が、ポリオキシエチレン−、ポリオキシプロピレ−ンおよび/または混合ポリオキシエチレン−ポリオキシプロピレン−修飾ポリイソシアネートの群から選択される、請求項3に記載の方法。
前記ポリオキシエチレン−、ポリオキシプロピレン−および/または混合ポリオキシエチレン−ポリオキシプロピレン−修飾ポリイソシアネートが、対応して修飾されたイソシアヌレートの群から選択される、請求項4に記載の方法。
少なくとも1種のポリウレタン樹脂(1)が、ポリウレタン樹脂の製造において使用される出発化合物の総量に対して、30から80wt%の間の少なくとも1種のポリエステルジオールを使用して製造され、前記少なくとも1種のポリエステルジオールが、二量体脂肪酸を使用して製造される、請求項1から5のいずれか一項に記載の方法。
塗料ベース成分(b.1)中の少なくとも1種の顔料(3)が、顔料ペーストの形態で使用され、前記ペーストが、ペースト樹脂として少なくとも1種のポリウレタン樹脂(1)を含む、請求項1から7のいずれか一項に記載の方法。
前記少なくとも1種の顔料ペーストが、1から60wt%の少なくとも1種の顔料(3)、10から60wt%の少なくとも1種のポリウレタン樹脂(1)、および30から80wt%の少なくとも1種の有機溶媒を含み、前述の部分は、ペーストの総量に対するものであり、一緒になって、ペーストの総質量の少なくとも80wt%を構成する、請求項8に記載の方法。
少なくとも1種の分散液(2)のポリウレタン樹脂部分が、−100℃から−20℃未満の範囲内の温度にそのガラス転移点を有し、−20℃から90℃未満の範囲内の温度にその融解転移点を有し、1マイクロメートル超の粒径を有する粒子を含む、請求項1から9のいずれか一項に記載の方法。
ベースコート材料(b)およびクリアコート材料(k)が、少なくとも1種のさらなる水性分散液(5)を含み、水性分散液(5)のポリウレタン樹脂部分が、少なくとも50%のゲル部分を有し、20から500ナノメートルの平均粒径(体積平均)を有する分散粒子の形態で存在する、請求項1から10のいずれか一項に記載の方法。
【発明を実施するための形態】
【0019】
発明の詳細な説明
まず、本発明に関連して使用されるいくつかの用語を説明する。
【0020】
基板へのコーティング組成物の塗布、および基板上のそのコートの製造は、以下のように理解される。各コーティング組成物は、それから製造されたコートが基板上に配置されるように塗布されるが、必ずしも基板と直接接触する必要はない。例えば、コートと基板との間には、他のコートが存在してもよい。例えば、本発明の方法の段階(I)において、ベースコート(B)は、基板上に製造されるが、基板とベースコートとの間に、さらなるコート、例えば一般的な接着プライマーが配置されてもよい。
【0021】
コート(Y)がコート(X)上に製造されることで、異なるコーティング組成物(x)を用いて製造されたコート(X)へのコーティング組成物(y)の塗布にも、同じ原理が適用される。コート(Y)は、必ずしもコート(X)に接触する必要はなく、その上に、換言すれば基板から外を向いたコート(X)の側に配置されることだけが必要とされる。
【0022】
これとは対照的に、基板上への直接的なコートの製造のための基板への直接的なコーティング組成物の塗布は、以下のように理解される。各コーティング組成物は、それから製造されたコートが基板上に配置されるように塗布され、基板と直接接触する。したがって、特に、コートと基板との間に他のコートは配置されない。
【0023】
当然ながら、コート(Y)をコート(X)上に製造するための、異なるコーティング組成物(x)を用いて製造されたコート(X)へのコーティング組成物(y)の直接的な塗布にも、同じことが適用される。この場合、2つのコートは直接接触し、したがって互いの上に直接配置される。特に、コート(X)とコート(Y)との間にさらなるコートは存在しない。当然ながら、コーティング組成物の直接的な連続塗布、または直接的な連続コートの製造にも、同じ原理が適用される。
【0024】
フラッシング、中間乾燥、および硬化は、本発明に関連して、マルチコートコーティングを製造するための方法に関連して、当業者になじみのある用語に関する内容を包含するように理解される。
【0025】
したがって、フラッシングは、基本的に、ニスコートの製造の一環として塗布されたコーティング組成物からの有機溶媒および/または水の、通常は周囲温度(すなわち室温)、例えば15から35℃で、例えば0.5から30分の期間の蒸発または気化を指すものとして理解される。したがって、フラッシング中、塗布されたコーティング組成物中に存在する有機溶媒および/または水を蒸発させる。塗布直後およびフラッシングの開始時にはいずれにしてもコーティング組成物はまだ流動可能であるため、フラッシングの間に流動し得る。これは、少なくとも、噴霧塗布により塗布されたコーティング組成物が、一般に液滴形態で塗布され、厚さが均一ではないためである。しかしながら、存在する有機溶媒および/または水の結果として、これは流体であり、したがって流動して均一な平滑コーティングフィルムを形成し得る。同時に、有機溶媒および/または水を連続的に蒸発させ、フラッシング段階の後に比較的平滑なコートをもたらし、これは塗布されたコーティング組成物と比較してより少ない水および/または溶媒を含有する。しかしながら、フラッシングの後、コートはまだすぐに使用可能な状態ではない。それはもはや流動可能ではないが、例えばそれはまだ柔軟および/または粘着性であり、一部分のみが乾燥した状態となり得る。特に、コートは、以下で説明されるように、まだ硬化されていない。
【0026】
したがって、中間乾燥は、同様に、ニスコートの製造の一環として塗布されたコーティング組成物からの有機溶媒および/または水の、通常は周囲温度に比べて高い温度、例えば40から70℃での、例えば1から30分の期間の蒸発または気化として理解される。したがって、中間乾燥の場合も同様に、塗布されたコーティング組成物は、有機溶媒および/または水の部分を失う。特定のコーティング組成物に対して、中間乾燥は、フラッシングと比較して、例えばより高い温度および/またはより長い期間で行われること、すなわち、フラッシングと比較して、より高い部分の有機溶媒および/または水がまた塗布されたコートから排出されることが一般的である。しかしながら、2つの用語同士の最終的な区別は必要ではなく、また望ましくもない。容易な理解のために、これらの用語は、以下で説明される硬化前にコートの可変の、および逐次的な調整を行うことができることを明確化するために使用される。コーティング組成、蒸発温度および蒸発時間に依存して、コーティング組成物中に存在するおおむね高い部分の有機溶媒および/または水が蒸発し得る。おそらくは、さらに、以下で説明されるように、コーティング組成物中に存在する結合剤ポリマーの部分の間のインタールーピングまたは架橋が既に生じてもよい。しかしながら、フラッシングの間にも、また中間乾燥の間にも、以下で説明される硬化の場合のようにすぐに使用可能なコートは得られない。したがって、硬化は、フラッシングおよび中間乾燥から明確に区別される。
【0027】
したがって、コートの硬化は、そのようなコートのすぐに使用可能な状態への、換言すれば、各コートが施された基板が運搬、保存およびその意図される様式で使用され得る状態への変換として理解される。よって、硬化されたコートは、特にもはや柔軟でも粘着性でもないが、その代わりに、以下で説明されるような硬化条件にさらに曝露された後であっても、硬度または基板への接着等のその特性においてもはやいかなる実質的な変化も示さない、固体コーティングフィルムとして調整される。
【0028】
公知であるように、コーティング組成物は、原則として、結合剤および架橋剤等の存在する成分に依存して、物理的および/または化学的に硬化され得る。化学的硬化の場合、熱化学的硬化が特に考慮される。
【0029】
本発明に関連して、「物理的に硬化可能」または「物理的硬化」という用語は、ポリマー溶液またはポリマー分散液からの溶媒の損失による硬化したコートの形成を意味し、硬化は、ポリマー鎖のインタールーピング(interlooping)により達成される。これらの種類のコーティング組成物は、一般に1成分コーティング材料として配合される。硬化は、例えば、15から100℃の間で、2から48時間の期間にわたり行われてもよい。したがって、この場合、硬化は、おそらくはコートの調整時間においてのみ、フラッシングおよび/または中間乾燥と異なる。
【0030】
本発明に関連して、「熱化学的に硬化可能」または「熱化学的硬化」という用語は、反応性官能基の化学反応により開始するコートの架橋(硬化したコートの形成)を意味し、この化学反応のエネルギー的活性化は、熱エネルギーによって可能である。互いに相補的な異なる官能基は、互いに反応することができ(相補的官能基)、および/または、硬化したコートの形成は、自己反応性基、換言すれば、互いにそれ自身の種類の基と反応する官能基の反応に基づく。好適な相補的反応性官能基および自己反応性官能基の例は、例えば、ドイツ特許出願DE19930665A1、7頁28行目〜9頁24行目から公知である。よって、基は、コーティング組成物の様々なフィルム形成成分中に存在する。
【0031】
熱化学的硬化は、極めて多様な異なるフィルム形成成分のいずれかを使用することにより可能となり得る。例えば、ヒドロキシル基等の特定の官能基を含有するポリエステルまたはポリウレタン等の有機ポリマー、およびさらなる成分、例えばポリイソシアネートおよび/またはアミノ樹脂の使用が典型的であり、これらは次いで、対応する相補的官能基の反応により、硬化したコーティングフィルムをもたらすことができる。より容易な理解のために、(第1の)有機ポリマー、例えばポリエステルは、しばしば結合剤と呼ばれ、ポリイソシアネートおよび/またはアミノ樹脂は、架橋剤と呼ばれる。
【0032】
フィルム形成成分中に存在する官能基の反応性に依存して、これらの種類のコーティング組成物は、1成分および複数成分系、より具体的には2成分系として配合される。
【0033】
熱化学的に硬化可能な1成分系において、架橋される成分、例えば結合剤としての有機ポリマーおよび架橋剤は、互いに一緒に、換言すれば1成分として存在する。このための要件は、架橋される成分が、例えば100℃を超えるより高い温度でのみ互いに反応する、すなわち硬化反応を開始するべきであるということである。したがって、硬化は、対応する条件下で、例えば100から250℃の温度で、例えば5から60分の期間行う。
【0034】
熱化学的に硬化可能な2成分系において、架橋される成分、例えば結合剤としての有機ポリマーおよび架橋剤は、塗布の直前まで組み合わされない少なくとも2つの成分として互いに別個に存在する。この形態は、架橋される成分が周囲温度、または例えば40から100℃の間の若干高い温度であっても互いに反応する場合に選択される。例として、一方はヒドロキシル基またはアミノ基、および他方は遊離イソシアネート基を挙げることができる。一般に、および特に本発明に関連して、2成分コーティング組成物は、第1の成分(塗料ベース成分)および第2の成分(硬化成分)が製造され、互いに別個に保存されるように、また基板への塗布直前まで組み合わされないように配合される。厳密な作用時間(すなわち、例えば室温での対応する架橋反応の結果、もはや塗布が不可能であるような粘度の大幅な増加を生じることなく、コーティング組成物が室温(15から25℃、特に20℃)で処理され得る期間)は、当然ながら、使用される構成物質に依存するが、一般に、1分から4時間の間、好ましくは5から120分の間である。
【0035】
同様に、以下の原理を熱化学的硬化に帰属させることができる。コーティング組成物の第1の成分は、さらなる成分の追加により、第1の成分の他の官能基との上述のような硬化反応を開始することができる官能基が比例的に形成されるように反応し得る。よって、このようにして、フィルム形成への寄与がまた存在する。例えば、遊離ポリイソシアネート、換言すれば平均して1分子当たり2つ以上の遊離イソシアネート基を含有する第1の成分は、第2の成分としての水の添加後に、それに対応して反応する。その理由は、遊離イソシアネート基が二酸化炭素の脱離と共に水と反応して遊離1級アミノ基を形成し、次いでこれが、まだ存在するイソシアネート基との付加反応により尿素結合に変換されるためである。
【0036】
したがって、その硬化においてこの形態の熱化学的硬化が使用されるコーティング組成物は、同様に2成分コーティング組成物として配合される。その理由は、イソシアネート基からアミノ基への加水分解およびアミノ基とイソシアネート基との反応の両方が、周囲温度、または例えば40から100℃の間の若干高い温度であっても行うためである。したがって、1つの成分中に水が存在する一方で、第2の成分中に遊離ポリイソシアネートが統合される。次いで、2つの成分が組み合わされた後、1級アミノ基が形成され、ネットワークを形成するように、まだ存在するイソシアネート基と反応することができる。
【0037】
当然ながら、熱化学的に硬化可能であるとして特定されたコーティング組成物の硬化において、常に、物理的硬化、換言すればポリマー鎖のインタールーピングもまた行う。それにもかかわらず、この種のコーティング組成物は、この場合も熱化学的に硬化可能と呼ばれる。よって、この呼称は、コーティング組成物が比例的に熱化学的に硬化され得る場合はいつでも選択される。
【0038】
本発明に関連して、2成分コーティング組成物の硬化は、好ましくは、40から120℃の間の温度で行う。硬化の期間は、当然ながら、進行中の事例の状況に依存するが、一般に、例えば5から120分である。
【0039】
本発明に関連して解説された温度は全て、コーティングされた基板が位置される空間中の温度として理解されるべきである。したがって、これは、基板自体が当該温度を有さなければならないことを意味しない。
【0040】
使用される基板に依存して、当然ながら、本発明の方法に関連して、基板がその塗布されたコーティングフィルムの硬化のために分解または変形をkるようなレベルまで加熱されないことを確実とすることが必要である。しかしながら、本発明に関連して好ましく使用されるフォーム基板は、一般に120℃以上の温度で寸法安定性を有さない。さらにそれよりはるかに低い温度でも、既に基板の分解または変形をもたらすのに十分である可能性がある。いずれにしても、本発明に関連するコートの硬化は、好ましくは120℃未満、より好ましくは100℃未満で行われる。
【0041】
また、これに関連して、ベースコート材料(b)およびクリアコート材料(k)が2成分コーティング組成物であることも理解され得る。これは、上述のように、それらが40から100℃の間の温度で硬化され得るためである。これにより、基板が100℃未満の温度まで加熱されるだけでよいことが確実となる。しかしながら、使用される基板に依存して、それらはまたしかし、さらにより迅速な硬化のためにより高い温度まで加熱され得る。それにもかかわらず、本発明の方法に関連するいかなる硬化操作も、120℃未満、さらにより好ましくは100℃未満で行われることが好ましい。
【0042】
好ましくは、本発明の方法に関連するフォーム基板は、120℃以上の温度に、好ましくは100℃以上の温度に曝されない。
【0043】
本発明に関連して、公式な有効期間を示すことなく公式基準が参照される場合、当然ながら、出願日において有効な基準のバージョンが参照され、または、その日付において有効なバージョンが存在しない場合は、直近の有効バージョンが参照される。
【0044】
本発明の方法
本発明の方法に関連して、マルチコートコーティング(M)は、基板(S)上に製造される。
【0045】
基板(S)として、当業者に公知の全ての硬質または可撓性基板を最終的に使用することが可能であり、その例は、金属、硬質プラスチック、木材、紙およびカード、布地、皮革製品、ならびにフォームで構成されるものである。本発明に関連して、可撓性基板、より具体的には可撓性フォーム基板が好ましいが、これは、最初に特定された特性が、そのような基板のコーティングにおいて特に重要であるためである。
【0046】
簡単な基本的導入として、企図されるフォーム基板(S)は、最終的には、これに関連して当業者に公知の全ての基板である。したがって、原則的に、熱硬化性物質、熱可塑性物質、エラストマー、または熱弾性物質から製造される、換言すれば前述のクラスのポリマーからのプラスチックから対応する発泡プロセスにより得られるフォームを使用することが可能である。その化学的根拠の点から、可能なフォームは、例えば、限定されないが、ポリスチレン、ポリ塩化ビニル、ポリウレタン、ポリエステル、ポリエーテル、ポリエーテルアミド、またはポリオレフィン、例えばポリプロピレン、ポリエチレン、およびエチレン−酢酸ビニル、ならびに前述のポリマーのコポリマーを含む。フォーム基板はまた、当然ながら、特定された様々なポリマーおよびコポリマーを含み得る。
【0047】
好ましいフォーム基板は、可撓性フォーム基板、特に好ましくは可撓性熱可塑性ポリウレタンフォーム基板である。よって、後者は、そのポリマープラスチックマトリックスとして熱可塑性ポリウレタンを含むフォーム基板である。そのような基板の基本的品質は、圧縮可能であり、弾性変形可能であることである。
【0048】
フォームの製造において、熱可塑性ポリウレタンは、対応する発泡プロセスにより発泡される、すなわちフォームに変換される。
【0049】
発泡プロセスは公知であり、したがって簡単に説明するにとどめる。それぞれの場合における基本原理は、発泡剤、および/または、プラスチック中の溶液もしくは対応するプラスチック溶融物における、対応するポリマープラスチックの製造における架橋反応後に形成されたガスが放出され、したがってそれまでは比較的高密度であったポリマープラスチックの発泡をもたらすことである。例えば、低沸点炭化水素が発泡剤として使用される場合、これは、より高い温度で揮発し、発泡をもたらす。二酸化炭素または窒素ガス等のガスもまた同様に、発泡剤として高圧で溶融物中に導入および/またはそれに溶解され得る。後の圧力降下の結果、溶融物は次いで、発泡剤ガスの排出の間発泡する。
【0050】
発泡は、例えば、対応するプラスチック基板の成型中に、例えば押出または射出成形の間に直接に行ってもよい。圧力下および発泡剤が添加されたプラスチック溶融物は、例えば、押出機から出た後に、次いで生じる圧力降下によって発泡されてもよい。
【0051】
また、まず熱可塑性物質のペレット(これらのペレットは発泡剤を含有する)を製造し、次いでその後これらのペレットを型内で発泡させることも可能であり、ペレットはその体積を増加させ、互いに融合し、最終的に融合した膨張フォームビーズからなる成形品(熱可塑性ビーズフォームとも呼ばれる)を形成する。膨張性ペレットは、例えば、押出、およびその後の押出機から出るポリマーストランドのペレット化により形成され得る。ペレット化は、例えば、膨張が生じないような圧力および温度条件下で動作する適切な切断デバイスにより達成される。次に続く膨張、およびペレットの融合は、一般に、約100℃の温度の蒸気を利用して行われる。
【0052】
また、熱可塑性ビーズフォームを製造する際に、既に予備発泡されたプラスチックペレットから開始することも可能である。これらは、その個々のペレットまたはポリマービーズが、予備発泡されていないペレットと比較して、実質的に増加したビーズサイズおよびそれに対応して低減された密度を既に示すペレットである。制御された予備発泡によるビーズの製造は、例えばWO2013/153190A1に記載のように、適切なプロセス制御により実現され得る。したがって、押出機から出た後に、押し出されたポリマーストランドは、液体のストリームによりペレット化チャンバー内に通されてもよく、液体は、特定の圧力下にあり、また特定の温度を有する。操作パラメーターの適合により、特定の膨張または予備膨張された熱可塑性ペレットを得ることが可能であり、これは、その後の融合、および任意に特に蒸気によるさらなる膨張によって、熱可塑性ビーズフォーム基板に変換され得る。
【0053】
熱可塑性ビーズフォーム、ならびにそのようなビーズフォームが製造され得る対応する熱可塑性、膨張性および/または膨張したペレットは、例えば、WO2007/082838A1、WO2013/153190A1またはWO2008/125250A1に記載されている。また、それらには、熱可塑性ポリウレタンの製造のための操作パラメーターおよび出発材料、ならびにペレットおよびビーズフォームの製造のための操作パラメーターも記載されている。
【0054】
熱可塑性ビーズフォーム、特に熱可塑性ポリウレタンビーズフォームは、非常に経済的な様式で、特に工業規模で製造され得、またその特性のプロファイルの点で特に有利である。したがって、熱可塑性ビーズフォームは、熱可塑性物質、より具体的にはポリウレタンから製造され得、フォームは、優れた可撓性または弾性、および機械的安定性を示す。一般に、それらは、圧縮可能であり、容易に弾性変形可能である。したがって、とりわけこれらのフォームは、履物産業等の部門における用途のためのフォーム基板として特に好適である。よって、特に好ましい基板は、そのポリマープラスチックマトリックスとして熱可塑性ポリウレタンを含む、圧縮可能で弾性変形可能なビーズフォーム基板である。
【0055】
基板、好ましくは可撓性フォーム基板は、本質的に、任意の所望の形状を有してもよく、すなわち、それらは、例えば、単純なシート状基板、またはより複雑な形状、例えば特にミッドソール等の履物のソールであってもよい。
【0056】
本発明の方法の段階(I)において、ベースコート(B)が製造される。これは、基板(S)に水性ベースコート材料(b)を塗布することにより製造される。
【0057】
ベースコート材料は、基板に直接塗布されてもよく、これは、基板とベースコートとの間にさらなるコートが配置されないことを意味する。それでも、少なくとも1つの他のコート、例えば接着プライマーコートがまず基板上に製造されることも同等に可能である。しかしながら、そのような他のコートの省略にもかかわらず、達成される接着は優れているため、またそのような省略によって方法が著しくより単純となるため、ベースコート材料(b)が基板に直接塗布されることが好ましい。
【0058】
本発明の方法の段階(I)において塗布されるコーティング組成物および製造されるコートに対する、ベースコート材料およびベースコートという用語は、容易な理解のために使用される。ベースコート材料は、色および/または効果を付与し、一般に工業コーティングにおいて使用される中間コーティング材料である。一般に、また本発明の方法に関連して、少なくとも追加のクリアコートがベースコート上に塗布される。個々のコートは、それぞれ別個に、または最終的には一緒に硬化され得る。
【0059】
ベースコート材料(b)は、以下で詳細に説明される。しかしながら、いずれの場合においても、塗料ベース成分中の水、および硬化成分中の成分(4)の存在により、当該組成物は、いずれの場合も熱化学的に硬化性の2成分コーティング組成物である。
【0060】
ベースコート材料(b)は、液体コーティング組成物を塗布することについて当業者に公知の方法により、例えば浸漬、ナイフコーティング、噴霧、ローラー塗布等により塗布され得る。噴霧塗布方法、例えば、任意に高温噴霧塗布、例えば高温空気(高温噴霧)等と併せた、圧縮空気噴霧(空気圧による塗布)、エアレス噴霧、高速回転、静電噴霧塗布(ESTA)の使用が好ましい。極めて特段に好ましくは、ベースコート材料は、空気圧噴霧塗布、または静電噴霧塗布により塗布される。
【0061】
したがって、ベースコート材料(b)の塗布は、ベースコート(B)を、換言すれば、基板(S)上に塗布されたベースコート材料(b)のコートを製造する。
【0062】
ベースコート(B)は、本発明の方法の段階(I)内で、換言すれば、段階(II)において行われるクリアコート材料(k)の塗布の前に硬化されてもよい。しかしながら、ベースコート(B)が段階(I)内で硬化されないことが好ましい。その代わり、好ましくは、ベースコート(B)は、クリアコート(K)の製造後に、そのコートと一緒に硬化される。換言すれば、ベースコートおよびクリアコート材料は、公知のウェット−オン−ウェット法により塗布される。ベースコートは、その製造後、任意にフラッシングおよび/または中間乾燥されるが、硬化されない。この後にクリアコートの製造が行われ、次いでこれがベースコートと一緒に硬化される。
【0063】
したがって、段階(I)において、ベースコートは、好ましくは、既に硬化をもたらし得る条件に曝露されない。これは、特に、ベースコートが、好ましくは、60℃を超える温度で10分を超えて曝露されないことを意味する。実際に、これらの条件下において、熱化学的に硬化可能な2成分コーティング組成物は、一般に硬化されない。
【0064】
ベースコート材料(b)または対応するベースコート(B)が別個に硬化されるかどうかにかかわらず、好ましくは塗布後および任意の別個の硬化前に、フラッシングおよび/または中間乾燥が、15から35℃で、0.5から30分の期間行われる。
【0065】
ベースコート材料(b)の塗布は、硬化後のベースコート(B)が、例えば3から50マイクロメートル、好ましくは5から40マイクロメートルのフィルム厚を有するように行われる。
【0066】
本発明の方法の段階(II)において、クリアコート(K)がベースコート(B)の上に直接製造される。これは、クリアコート材料(k)の対応する塗布により製造される。したがって、クリアコート(K)は、ベースコート(B)の上に直接配置される。
【0067】
クリアコート材料(k)は、この意味で当業者に公知の透明なコーティング組成物である。「透明」は、コーティング組成物により形成されたコートが、着色により隠蔽するのではなく、代わりにその下のベースコート系の色が視認され得るような構成を有することを意味すると理解されるべきである。しかしながら、公知であるように、これは、クリアコート材料中でも微量の顔料が存在する可能性を排除せず、そのような顔料は、例えば、系全体の色の深みを補助する能力を有する。
【0068】
クリアコート材料(k)も同様に、以下で詳細に説明される。しかしながら、塗料ベース成分中の水、および硬化成分中の成分(4)の存在の結果として、当該組成物は、いずれにしても熱化学的に硬化性の2成分コーティング組成物である。
【0069】
クリアコート材料(k)も同様に、液体コーティング組成物を塗布するための当業者に公知の方法により、例えば浸漬、ナイフコーティング、噴霧、ローラー塗布等により塗布され得る。噴霧塗布方法、例えば、任意に高温噴霧塗布、例えば高温空気(高温噴霧)等と併せた、圧縮空気噴霧(空気圧による塗布)、エアレス噴霧、高速回転、静電噴霧塗布(ESTA)の使用が好ましい。極めて特段に好ましくは、クリアコート材料は、空気圧噴霧塗布、または静電噴霧塗布により塗布される。
【0070】
クリアコート材料(k)または対応するクリアコート(K)は、好ましくはその塗布後に、15から35℃で、0.5から30分の期間、フラッシングおよび/または中間乾燥に供される。
【0071】
これに続いて、製造されたクリアコート(K)の硬化が行われ、硬化されたクリアコートが製造される。クリアコートは、好ましくは、その下に直接配置されたベースコート(B)と共に硬化され、このベースコートは、好ましくは、本発明の方法の段階(II)の前には硬化されない。
【0072】
容易な理解のために、この共同硬化は、本発明の方法の好ましい段階(III)として指定され得る。
【0073】
硬化、好ましくは共同硬化は、好ましくは40から120℃の間、より好ましくは60から100℃の間の温度で、5から120分、例えば好ましくは20から60分の期間行われる。これはまた、特に好ましい基板の可能な変形または分解を防止する効果を有する。ベースコート(B)が方法の段階(II)の前に別個に硬化され、そのような手法がより好ましくない場合であっても、共同硬化のための報告された温度および時間条件が好ましくは適用される。
【0074】
本発明の方法の段階(II)の終了後、好ましくは段階(III)の終了後、本発明のマルチコート塗料系が得られる。
【0075】
本発明の方法に関連して、当然ながら、ベースコート材料(b)および/またはクリアコート材料(k)の塗布後または塗布前にさらなるコーティング組成物が塗布されること、ならびにこのようにしてさらなるコートが製造されることもまた可能である。これらは、さらなるベースコート材料(b)、さらなるクリアコート材料(k)、または異なるコーティング組成物であってもよい。しかしながら、いずれの場合においても、ベースコート(B)上に直接配置されたクリアコート(K)が存在することが重要である。クリアコート(K)は、好ましくは、マルチコートコーティングの最上コーティングである。より好ましくは、正確には1つのベースコート材料、すなわちベースコート材料(b)が存在し、正確には1つのクリアコート材料、すなわちクリアコート材料(k)が塗布される。したがって、好ましくは、基板上に配置されたマルチコートコーティングは、正確には2つのコートからなる。
【0076】
本発明の使用のためのベースコート材料
本発明の使用のためのベースコート材料は、塗料ベース成分中に少なくとも1種の特定のポリウレタン樹脂(1)を含む。
【0077】
ポリウレタン樹脂(1)の製造、および基礎となる変換反応において使用され得る出発成分は、基本的に、それに関連して当業者に公知のものに従う。したがって、例えば、ポリイソシアネートのポリオールおよびポリアミンとの従来の重付加による樹脂が好ましい。
【0078】
企図されるポリイソシアネートは、公知の脂肪族、脂環式、脂肪族−脂環式、芳香族、脂肪族−芳香族および/または脂環式−芳香族ポリイソシアネートを含み、その例は、以下で特定されるポリイソシアネート(4a)である。
【0079】
好適なポリオールの例は、飽和またはオレフィン性不飽和ポリエステルポリオールおよび/またはポリエーテルポリオールである。より具体的にポリオールとして使用されるのは、ポリエステルポリオールである。そのようなポリエステルポリオール、好ましくはポリエステルジオールは、対応するポリカルボン酸および/またはその無水物の、エステル化による対応するポリオールとの作用によって、公知の様式で製造され得る。当然ながら、任意に、および追加的に、その製造のためにモノカルボン酸および/またはモノアルコールを比例的に使用することもまた可能である。ポリエステルジオールは、好ましくは飽和であり、より具体的には飽和および直鎖である。
【0080】
そのようなポリエステルポリオールの製造のための好適な芳香族ポリカルボン酸の例は、フタル酸、イソフタル酸、およびテレフタル酸であり、そのうちイソフタル酸が有利であり、したがって好ましく使用される。好適な脂肪族ポリカルボン酸の例は、シュウ酸、マロン酸、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、ピメリン酸、スベリン酸、アゼライン酸、セバシン酸、ウンデカンジカルボン酸、およびドデカンジカルボン酸、またはヘキサヒドロフタル酸、1,3−シクロヘキサンジカルボン酸、1,4−シクロヘキサンジカルボン酸、4−メチルヘキサヒドロフタル酸、トリシクロデカンジカルボン酸、ならびにテトラヒドロフタル酸である。同様に、二量体脂肪酸または二量化脂肪酸を使用することも可能であり、これらは、公知であるように、不飽和脂肪酸の二量化により製造された混合物であり、例えば、商品名Radiacid(Oleon製)またはPripol(Croda製)で入手可能である。ポリエステルジオールを製造するためのそのような二量体脂肪酸の使用は、本発明に関連して好ましい。したがって、ポリウレタン樹脂(1)の製造に好ましく使用されるポリオールは、二量体脂肪酸を使用して製造されたポリエステルジオールである。特に好ましいのは、その製造において、使用されるジカルボン酸の少なくとも50wt%、好ましくは55から85wt%が二量体脂肪酸であるポリエステルジオールである。
【0081】
さらにより好ましくは、その製造において、そのようなポリエステルジオールの部分が、それぞれの場合においてポリウレタン樹脂の製造に使用される出発化合物の総量に対して30から80wt%の間、より好ましくは40から70wt%の間であるポリウレタン樹脂(1)である。
【0082】
ポリエステルポリオール、好ましくはポリエステルジオールの製造のための対応するポリオールの例は、エチレングリコール、1,2−または1,3−プロパンジオール、1,2−、1,3−、または1,4−ブタンジオール、1,2−、1,3−、1,4−、または1,5−ペンタンジオール、1,2−、1,3−、1,4−、1,5−、または1,6−ヘキサンジオール、ネオペンチルヒドロキシピバレート、ネオペンチルグリコール、ジエチレングリコール、1,2−、1,3−、または1,4−シクロヘキサンジオール、1,2−、1,3−、または1,4−シクロヘキサンジメタノール、およびトリメチルペンタンジオールである。したがって、ジオールの使用が好ましい。そのようなポリオールおよびジオールはまた、当然ながら、ポリウレタン樹脂(1)の製造に直接使用されてもよく、すなわち、ポリイソシアネートと直接反応してもよい。
【0083】
ポリウレタン樹脂(1)の製造における使用のためのさらなる可能性は、ポリアミン、例えばジアミンおよび/またはアミノアルコールである。ジアミンは、ヒドラジン、アルキルまたはシクロアルキルジアミン、例えばプロピレンジアミンおよび1−アミノ−3−アミノメチル−3,5,5−トリメチルシクロヘキサン、ならびにエタノールアミンまたはジエタノールアミンによるアミノアルコールにより例示される。したがって、その場合、対応するポリウレタン樹脂は、尿素結合も含有する。しかしながら、この種の樹脂は、一般に、および本発明に関連して、ポリウレタン樹脂と呼ばれる。
【0084】
ポリウレタン樹脂(1)の製造のために、好ましくは、3つ以上のヒドロキシル基を有するポリオールもまた使用される。これによって、ポリウレタン樹脂(1)に分岐点が付与される。したがって、好ましくは、ポリウレタン樹脂(1)は、分岐している。好適なより高級の多官能性アルコール(2つを超えるOH官能基)の例は、トリメチロールプロパン、グリセロール、およびペンタエリスリトール、好ましくはトリメチロールプロパンを含む。好ましいポリウレタン樹脂(1)は、その製造において、使用されるそのようなより高級の多官能性アルコール、特にトリメチロールプロパンの部分が、それぞれの場合においてポリウレタン樹脂の製造に使用される出発化合物の総量に対して1から6wt%の間、より好ましくは2から5wt%の間であるものである。
【0085】
ポリウレタン樹脂(1)は、ヒドロキシル官能性であり、15から100mg KOH/g、好ましくは20から40mg KOH/g(DIN53240に従い測定される)のヒドロキシル価を有する。このようにして、以下で説明される親水性修飾ポリイソシアネート(4)のイソシアネート基を有するポリウレタン樹脂(2)は、架橋反応を開始することができ、熱硬化に寄与することができる。
【0086】
さらに、ポリウレタン樹脂(1)は、カルボキシル官能性であり、10から50mg KOH/g、好ましくは15から35mg KOH/g(DIN EN ISO3682に従い測定される)の酸価を有する。このようにして、ポリウレタン樹脂(1)は、水に可溶性または分散性となる。当業者に認識されるように、これは、ポリマーが、少なくとも比例的な水性媒体中において、不溶性の凝集体の形態で沈殿せず、代わりに溶液または微細粒分散液を形成することを意味する。これは一般に、潜在的にイオン性の基、例えば潜在的にアニオン性の基、好ましくはカルボキシル基の導入により有利に影響される、またはさらにはそれを必要とすることが公知である。そのような基は、より具体的には、製造プロセス中に使用された対応するモノマーによりポリマーに導入され、よって、最終的なポリマーはこれらの基を含む。したがって、ポリウレタン樹脂(1)の製造において、カルボン酸基、およびウレタン結合の形成における反応のための基、好ましくはヒドロキシル基を含むモノマーが使用されることが好ましい。対応する基は、このようにしてプレポリマー中に導入される。この意味で好ましい化合物の例は、2つのヒドロキシル基を含むモノカルボン酸、例えばジヒドロキシプロピオン酸、ジヒドロキシコハク酸、およびジヒドロキシ安息香酸等を含む。特に好ましいのは、α,α−ジメチロールアルカン酸、例えば2,2−ジメチロール酢酸、2,2−ジメチロールプロピオン酸、2,2−ジメチロール酪酸、および2,2−ジメチロールペンタン酸、特に2,2−ジメチロールプロピオン酸である。
【0087】
水中のさらにより良好な分散性を得るために、カルボキシル基は、特定の中和により、少なくとも比例的にカルボキシレート基に変換されてもよい。したがって、これは、これらの基が、例えばポリウレタン樹脂(1)の製造中および/または製造後に、中和剤、好ましくはアンモニア、アミン、および/または特にアミノアルコールにより中和されることを意味する。例として、ジ−およびトリエチルアミン、ジメチルアミノエタノール、ジイソプロパノールアミン、モルホリンおよび/またはN−アルキルモルホリンが中和に使用される。
【0088】
「水に可溶性または分散性」という表現は、それぞれのポリウレタン樹脂(1)がまた水相中で製造される必要があること、またはベースコート材料(b)において水性分散液中に存在する形態で使用される必要があることを意味しない。例えば、ポリマーはまた、有機溶媒中で製造されてもよく、または有機溶媒中の分散液として商業的に入手されてもよく、またこのようにして本発明の使用のためにベースコート材料に使用されてもよい。次いで、ベースコート材料のさらなる構成物質とのその後の混合の間に、水もまた添加される。ポリウレタン樹脂(1)は、好ましくは、例えばメチルエチルケトン、ブチルグリコールおよび/または他の公知の有機溶媒等の有機溶媒中で製造される。
【0089】
好適なポリウレタン樹脂(1)は、例えば、500から20000g/molの数平均分子量を有する。質量平均分子量は、例えば、5000から50000g/molの範囲内にある。本発明の目的における分子量は、スチレン−ジビニルベンゼンカラムの組合せにおいて溶離液としてTHF(+0.1%酢酸)(1ml/分)を使用して、GPC分析により決定される。較正は、ポリスチレン標準を使用して行われる。
【0090】
少なくとも1種のポリウレタン樹脂(1)の部分は、例えば、それぞれの場合において本発明の使用のためのベースコート材料の総質量に対して0.5から5wt%、好ましくは0.75から4.0wt%、より好ましくは1.0から3.0wt%の範囲内であってもよい。
【0091】
本発明の使用のためのベースコート材料(b)は、塗料ベース成分(b.1)中に少なくとも1種の特定の水性分散液(2)を含む。
【0092】
水性分散液(2)は、いずれの場合においても、水およびポリウレタン樹脂部分を含み、このポリウレタン樹脂部分は、少なくとも1種のポリウレタン樹脂からなる。ポリウレタン樹脂部分は、当然ながら、上述のポリウレタン樹脂(1)と異なる。
【0093】
使用され得るポリウレタン樹脂、その製造、および出発製造物は公知であり、またポリウレタン樹脂(1)の説明において、上記で解説されている。しかしながら、本発明の使用のための分散液(2)、ならびにポリウレタン樹脂部分およびこの部分を構成するポリウレタン樹脂に関して、以下で解説される特定の条件が適用される。
【0094】
ポリウレタン樹脂部分は、少なくとも50%のゲル部分を有する(測定方法に関しては、実施例の項を参照されたい)。
【0095】
したがって、本発明の使用のための分散液(2)は、ミクロゲル分散液を構成する。ミクロゲル分散液は、公知であるように、そもそもポリマー分散液であり、換言すれば、粒子またはポリマー粒子の形態の分散した媒体として少なくとも1種のポリマーが存在する分散液である。ポリマー粒子は、少なくとも部分的に分子内架橋している。後者は、粒子中に存在するポリマー構造が、三次元ネットワーク構造を有する典型的な巨視的ネットワークと少なくとも部分的に同等であることを意味する。しかしながら、巨視的に見ると、この種のミクロゲル分散液はまだ、分散媒体中、この場合より具体的には水中のポリマー粒子の分散液である。粒子は、部分的に互いの間に架橋(実際には製造プロセスから単純に排除することがほとんど不可能なもの)を形成し得るが、それでも系は、いずれの場合においても、その中に存在する、測定可能な粒径を有する離散した粒子を有する分散液である。
【0096】
ミクロゲルは、分岐架橋系と巨視的架橋系との間にある構造を示すので、それらは、結果として、好適な有機溶媒中に可溶なネットワーク構造を有する巨大分子、および不溶性の巨視的ネットワークの特徴を組み合わせ、したがって、架橋ポリマーの部分は、例えば、水および任意の有機溶媒の除去およびその後の抽出後の、固体ポリマーの単離の後にのみ決定され得る。ここで利用される現象は、元々好適な有機溶媒に可溶であるミクロゲル粒子が、単離後にその内部ネットワーク構造を保持し、固体中で巨視的ネットワークのようにふるまうことである。架橋は、実験的に利用可能なゲル部分により検証され得る。ゲル部分は、最終的に、分子レベルの分散状態で溶解し得ない分散液からの、溶媒中の単離された固体としてのポリマーのその部分である。この不溶性部分は、一方で、分子内架橋粒子または粒子部分の形態で分散液中に存在するポリマーの部分に対応する。
【0097】
分散液(2)中に存在するポリウレタン樹脂部分は、好ましくは、少なくとも55%のゲル部分を有する。したがって、ゲル部分は、最大100%または約100%、例えば99%または98%であってもよい。よって、そのような場合、ポリウレタン樹脂部分を構成するポリウレタン樹脂全体、または事実上その全体が、架橋粒子の形態で存在する。しかしながら、ポリウレタン樹脂部分の少なくとも半分が、架橋粒子の形態であれば十分である。
【0098】
ポリウレタン樹脂部分は、−20℃未満の温度にそのガラス転移点を有し、100℃未満の温度にその融解転移点を有する(測定方法に関しては、実施例の項を参照されたい)。
【0099】
したがって、これは即座に、ポリウレタン樹脂部分がいずれの場合においても半結晶性の特徴を有することを意味する。実際に、公知であるように、ガラス転移は、非晶質固体(ガラス状、結晶性ではない)が軟化することを常に意味し、一方融解転移は、結晶性の系が融解すること、すなわち以前に存在した結晶構造がその後もはや存在しないことを意味する。したがって、理想的な理論に基づき純粋な非晶質である樹脂またはポリマーは、ガラス転移点のみを有するが、融解転移点は有さない(または、いかなるそのような転移も、実際の系が測定された場合に技術的に分解可能ではない)。理想的な理論に基づき極めてまたは純粋に結晶性であるポリマーは、融解転移点のみを有するが、ガラス転移点を有さない(または、いかなるそのような転移も、実際の系に対して測定された場合に技術的に分解可能ではない)。したがって、両方の特徴、換言すれば非晶質および結晶性の特性が明確に存在する系は、ガラス転移点および融解転移点の両方を示す。したがって、系は、非晶質および結晶性ドメインの両方(半結晶性)を有する。当然ながら、融解転移は、ガラス転移点より高い温度で常に進行する。
【0100】
したがって、ポリウレタン樹脂部分が−20℃未満の温度にそのガラス転移点を有するという記載は、対応する温度以下では、ポリウレタン樹脂部分中にガラス状構造がもはや存在しない(非晶質固体構造が存在しない)ことを意味する。ガラス転移は、測定によって技術的に理解され得る(さらなる詳細に関しては、実施例の項を参照されたい)。
【0101】
したがって、ポリウレタン樹脂部分が100℃未満の温度にその融解転移点を有するという記載は、対応する温度以下では、もはやいかなる結晶子も存在しないことを意味する。しかしながら、当該温度に到達する前でも、またガラス転移温度より上では、系は、当然ながら既に部分的に軟化している。実際には、ガラス転移点において、まさにそのような非晶質部分の部分的軟化が生じる。融解転移も同様に、測定によって技術的に理解され得る(さらなる詳細に関しては、実施例の項を参照されたい)。しかしながら、いずれの場合においても、融解転移は、100℃の温度未満で行う。
【0102】
したがって、ポリウレタン樹脂部分は、半結晶性のポリウレタン樹脂を含んでもよく、および/または、ポリウレタン樹脂部分は、極めて結晶性および非晶質のポリウレタン樹脂の両方を含む。
【0103】
ポリウレタン樹脂部分は、−20℃未満の温度にそのガラス転移点を有する。好ましくは、ガラス転移点は、−100℃から−20℃未満、より好ましくは−90℃から−40℃の範囲内である。
【0104】
ポリウレタン樹脂部分は、100℃未満の温度にその融解転移点を有する。好ましくは、融解転移点は、−20℃から90℃未満、より好ましくは−15℃から80℃未満の範囲内の温度である。
【0105】
使用のための成分(2)は、水性分散液であり、これは、この成分が分散媒体、この場合より具体的には水、およびそれに分散した粒子を含むことを意味し、これらの粒子はポリマー粒子である。したがって、ポリウレタン樹脂部分およびその部分を構成するポリウレタン樹脂は、分散媒体中にポリマー粒子の形態で分散している。ポリウレタン樹脂粒子の粒径は、例えば、ポリマー分散液において慣例的な範囲内にある。しかしながら、ポリウレタン樹脂部分は、いずれにしても、必ずしも限定されないが、1マイクロメートル超のサイズを有する粒子を含むことが好ましい。ここで、好ましい範囲は、1から100マイクロメートルである。この点での粒径は、分散液中の全ての粒子の平均粒径として理解されるべきではない。その詳細は、特にポリウレタン樹脂部分が、単峰性分布を有さず、むしろ多峰性、例えば二峰性分布を有する異なるポリウレタン樹脂および/またはポリウレタン粒子で構成された場合には、実現不可能である。その代わり、分散液は、基本的に対応するサイズ範囲内にある粒子を含むことになる。したがって単峰性または多峰性、例えば二峰性となり得る、測定(分布曲線、体積密度)により技術的に得られた粒径分布は、分散液が示された範囲内の粒子を含むことを示す。分布曲線(体積密度)は、対応する範囲内のサイズ分布を最適に取得することができるレーザー回折により決定され得る。測定は、本発明の目的において、Mastersizer 3000粒径測定機器(Malvern Instruments製)を用いて行われた。測定に好適な濃度範囲を設定するために、分散媒としての粒子不含脱イオン水(屈折率:1.33)で試料を希釈し、遮蔽率を各試料に依存して3%から15%の間に設定し、Hydro 2000G分散ユニット(Malvern Instruments製)において測定を行った。測定は、3000 l/分の撹拌速度で行い、この速度で5分間平衡化してから測定を行った。Malvern Instrumentsソフトウェア(バージョン5.60)を使用して、フラウンホーファー近似を用い体積加重サイズ分布を計算した。
【0106】
好ましくは、分散液(2)は、ポリウレタン樹脂部分の総質量に対して、少なくとも10wt%、好ましくは少なくとも20wt%、より好ましくは少なくとも30wt%、極めて好ましくは少なくとも50wt%の、1マイクロメートル超、好ましくは1から100マイクロメートルの粒径を有するポリウレタン樹脂粒子を含む。したがって、分散粒子の形態で存在する少なくとも1種のポリウレタン樹脂からなるポリウレタン樹脂部分は、少なくとも10wt%(または少なくとも20wt%、30wt%、50wt%)のそのようなサイズを有する粒子を含む。
【0107】
分散液(2)のポリウレタン樹脂部分は、好ましくは、イソシアネート基を含有する成分、例えば親水性修飾ポリイソシアネート(4)等により熱化学的に硬化しない。これは、分散液(2)の対応するポリウレタン樹脂を、イソシアネート基を含有する成分と組み合わせることにより、典型的な熱化学的に硬化されたコーティングを形成することが不可能であることを意味する。したがって、ポリウレタン樹脂部分中の少なくとも1種のポリウレタン樹脂は、好ましくは、前述されたような架橋条件下でイソシアネート基と架橋反応を開始し得る任意の官能基を有さない、またはそれをごく微量で有する。微量とは、その製造中、当該の基が顕著な量でポリマーに意図的に組み込まれないが、代わりに、例えば、純粋に統計的理由から、対応する出発製造物の実際の反応において完全には変換されず、よってポリマー中に残留することを意味する。したがって、ポリウレタンを製造するための対応する出発製造物を使用する場合、ヒドロキシル基およびアミノ基が、同様に使用されるポリイソシアネートと比較して等モルまたはさらには少ないモル量で使用される場合には、当然ながら得られるポリマー中に存在し得る。この理由は、合成に関連した純粋に技術的な理由である。しかしながら、好ましくは、特にポリウレタンの製造中の顕著にモル過剰であるそのような基の使用による、そのような基の意図的な組み込みはない。結果として、上述のような架橋条件下でイソシアネート基と架橋反応を開始し得る、まだ存在する官能基、より具体的にはヒドロキシル基およびアミノ基の量は、好ましくは、これらのポリウレタン樹脂の使用によって典型的な熱化学的に硬化されたコーティングが形成されるには、不十分である。
【0108】
以上のことから、ポリウレタン樹脂部分のヒドロキシル価(測定方法に関しては、上記を参照されたい)およびアミン価(DIN53176に従い測定される)は、好ましくは20未満、特に好ましくは10未満となる。
【0109】
ポリウレタン樹脂部分を構成するポリウレタン樹脂の製造において、製造のための出発製造物の量は、好ましくは、イソシアネート基と架橋反応を開始し得る官能基、より具体的にはヒドロキシル基およびアミノ基の総モル量に対する、イソシアネート基の総モル量の比率が、0.9超となるように選択される。より好ましくは、示された比率は、0.95超、特に少なくとも1.0、極めて好ましくはちょうど1.0である。
【0110】
ポリウレタン樹脂部分は、好ましくは、潜在的イオン性の基、例えば潜在的アニオン性の基、好ましくはカルボン酸基またはスルホン酸基、特にカルボン酸基を含む。ポリウレタン樹脂(1)の説明に関連して既に上述されたように、そのような基は、水性分散液の形成において有利である。したがって、ポリウレタン樹脂部分を構成するポリウレタン樹脂の製造において、ウレタン結合の形成における反応のための基、好ましくはヒドロキシル基および/またはアミノ基と同様に、カルボン酸基またはスルホン酸基も含むモノマーを使用することが好ましい。このようにして、当該の基は、プレポリマー中に導入される。これに関連して好ましい化合物の例は、2つのヒドロキシル基または2つのアミノ基を含有するモノカルボン酸、例えばジヒドロキシプロピオン酸、ジヒドロキシコハク酸、およびジヒドロキシ安息香酸等、ならびにN−(2−アミノエチル)−2−アミノエタンカルボン酸およびN−(2−アミノエチル)−2−アミノスルホン酸を含む。特に好ましいのは、α,α−ジメチロールアルカン酸、例えば2,2−ジメチロール酢酸、2,2−ジメチロールプロピオン酸、2,2−ジメチロール酪酸、および2,2−ジメチロールペンタン酸、特に2,2−ジメチロールプロピオン酸、ならびにN−(2−アミノエチル)−2−アミノエタンカルボン酸である。既に上で特定された中和剤を使用した、示された基の制御された少なくとも比例的な中和もまた、当然ながら同様に可能である。
【0111】
分散液(2)は、水性である。水性ポリマー分散液に関連した「水性」という表現が公知である。そのような分散液は、特に分散媒として水を含む。したがって、分散液(2)の主構成物質は、水およびポリウレタン樹脂部分である。しかしながら、分散液(2)はまた、当然ながら、追加的にさらなる構成物質を含有してもよい。その例は、有機溶媒および/または典型的な助剤、例えば乳化剤および保護コロイドを含む。同様に、例えば、無機成分、例えば顔料またはシリケートもしくはポリシリケートが存在してもよく、この場合、例えば後者は、最終的に製造されるマルチコートコーティングの艶消し効果に寄与し得る。
【0112】
分散液(2)中のポリウレタン樹脂部分の部分は、それぞれの場合において分散液(2)の総量に対して好ましくは15から60wt%、好ましくは20から50wt%である。
【0113】
分散液(2)中の水の部分は、それぞれの場合において分散液の総量に対して好ましくは40から85wt%、好ましくは50から80wt%である。
【0114】
分散液中のポリウレタン樹脂部分の部分および水の部分の合計は、好ましくは少なくとも75wt%、好ましくは少なくとも85wt%である。
【0115】
説明された分散液(2)は、当業者に公知の方法、例えば、ポリウレタン樹脂の製造のための有機溶媒中の対応する出発成分の反応、ならびにその後の水相への分散および有機溶媒の除去によって製造され得る。対応する分散液はまた、例えば、Astacin Novomatt(BASF製)等の商品名で市販されている。
【0116】
少なくとも1種の水性分散液(2)の部分は、例えば、それぞれの場合において本発明の使用のためのベースコート材料の総質量に対して20から75wt%、好ましくは30から70wt%、より好ましくは40から65wt%の範囲内にあってもよい。
【0117】
本発明の使用のためのベースコート材料は、塗料ベース成分(b.1)中に少なくとも1種の着色および/または効果顔料(3)を含む。そのような着色顔料および効果顔料は、当業者に公知であり、例えば、Roempp−Lexikon Lacke und Druckfarben、Georg Thieme Verlag、Stuttgart、New York、1998、176頁および451頁に記載されている。着色顔料および着色付与顔料という用語は、効果顔料および効果付与顔料という用語と同様に、同義的に使用される。
【0118】
好ましい効果顔料は、例えば、フレーク形態の金属効果顔料、例えば葉状アルミニウム顔料、金青銅、酸化青銅および/もしくは酸化鉄−アルミニウム顔料、真珠光沢顔料、例えば真珠箔、塩基性炭酸鉛、オキシ塩化ビスマスおよび/もしくは金属酸化物−雲母顔料、ならびに/または他の効果顔料、例えば葉状グラファイト、葉状酸化鉄、PVDフィルムで構成された複数層顔料、および/もしくは液晶ポリマー顔料である。特に好ましいのは、フレーク形態の金属効果顔料、特に葉状アルミニウム顔料である。
【0119】
典型的な着色顔料は、特に、無機着色顔料、例えば白色顔料、例えば二酸化チタン、亜鉛白、硫化亜鉛、もしくはリトポン;黒色顔料、例えばカーボンブラック、鉄マンガンブラック、もしくはスピネルブラック;有彩顔料、例えば酸化クロム、酸化クロム水和物グリーン、コバルトグリーン、もしくはウルトラマリングリーン、コバルトブルー、ウルトラマリンブルーもしくはマンガンブルー、ウルトラマリンバイオレットもしくはコバルトバイオレット、およびマンガンバイオレット、赤色酸化鉄、硫セレン化カドミウム、モリブデンレッドもしくはウルトラマリンレッド;褐色酸化鉄、混合褐色、スピネル相およびコランダム相もしくはクロムオレンジ;または黄色酸化鉄、ニッケルチタンイエロー、クロムチタンイエロー、硫化カドミウム、硫化亜鉛カドミウム、クロムイエローもしくはバナジウム酸ビスマスを含む。しかしながら、有機顔料、例えばモノアゾ顔料、ジスアゾ顔料、アントラキノン顔料、ベンズイミダゾール顔料、キナクリドン顔料、キノフタロン顔料、ジケトピロロピロール顔料、ジオキサジン顔料、インダントロン顔料、イソインドリン顔料、イソインドリノン顔料、アゾメチン顔料、チオインジゴ顔料、金属錯体顔料、ペリノン顔料、ペリレン顔料、フタロシアニン顔料、またはアニリンブラック等もまた使用され得る。
【0120】
少なくとも1種の顔料(3)の部分は、例えば、それぞれの場合において本発明の使用のためのベースコート材料の総質量に対して1から25wt%、好ましくは3から20wt%、より好ましくは5から15wt%の範囲内にあってもよい。
【0121】
本発明の1つの特に好ましい実施形態は、少なくとも1種の顔料ペーストの形態の少なくとも1種の顔料を使用し、ペーストは、そのペースト樹脂として少なくとも1種のポリウレタン樹脂(1)を含む。したがって、顔料は、塗料ベース成分に直接添加されず、その代わりに顔料ペーストの形態で使用される。
【0122】
顔料ペーストまたは顔料ペースト調製物は、公知であるように、担体材料中の顔料または顔料混合物の製造物であり、顔料は、一般に、その後の塗布物中、換言すればこの場合ベースコート材料(b)中よりも大幅に高い濃度を有する。担体材料として役立つのは、通常、樹脂(ひいてはペースト樹脂と呼ばれる)ならびに/または有機溶媒および/もしくは水等の溶媒である。そのようなペーストは、一般に、顔料の対応する微粉化および湿潤により、顔料の処理特性(無塵処理)を改善するために、および/またはコーティング材料中の顔料の分布状態を最適化するために使用される。その他にも、当然ながら、この結果、コーティング材料を使用して製造されたマルチコートコーティングの光学的品質が改善される。特に、少なくとも1種の顔料と同様に少なくとも1種のポリウレタン樹脂(1)も含むペーストの使用により、これらの特性は、特定の程度まで顕現される。
【0123】
好適な顔料ペーストは、好ましくは、1から60wt%の少なくとも1種の顔料、10から60wt%の少なくとも1種のポリウレタン樹脂(1)、および30から80wt%の少なくとも1種の有機溶媒を含有し、示された割合は、ペーストの総量に対するものであり、一緒になって、ペーストの総質量の少なくとも80wt%、好ましくは少なくとも90wt%を構成する。ここで、顔料の量は、例えば、顔料の隠蔽力により、または湿潤性により導出される。そのようなペーストのさらなる成分は、例えば湿潤剤等の添加剤であってもよい。
【0124】
好ましくは、ベースコート材料(b)中に含まれる全ての顔料が、そのような顔料ペーストの形態で使用される。
【0125】
前述されたポリウレタン樹脂(1)および顔料(3)の好ましい比例的範囲はまた、当然ながら、上述の顔料ペーストが使用される場合にも適用される。
【0126】
本発明の使用のためのベースコート材料は、硬化成分(b.2)において、8%から18%のイソシアネート含量を有する少なくとも1種の親水性修飾ポリイソシアネート(4)を含む。
【0127】
親水性修飾ポリイソシアネート(4)は、それ自体当業者に公知のポリイソシアネート(4a)の修飾により製造され得、これらは有機ポリイソシアネート(4a)である。当該成分は、1分子当たり平均して2つ以上のイソシアネート基を含有する、公知の脂肪族および芳香族成分である。脂肪族および芳香族ポリイソシアネート、特にジイソシアネート、ならびにそれらの二量体および三量体、例えばウレトジオンおよびイソシアヌレート等、それ自体公知のポリイソシアネート(4a)が使用され得る。使用され得るポリイソシアネート(4a)の例は、ヘキサメチレンジイソシアネート、オクタメチレンジイソシアネート、デカメチレンジイソシアネート、ドデカメチレンジイソシアネート、テトラメチレンジイソシアネート、トリメチルヘキサンジイソシアネート、テトラメチルヘキサンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート(IPDI)、2−イソシアナトプロピルシクロヘキシルイソシアネート、ジシクロヘキシルメタン2,4’−ジイソシアネート、ジシクロヘキシルメタン4,4’−ジイソシアネート、1,4−または1,3−ビス(イソシアナトメチル)シクロヘキサン、1,4−または1,3−または1,2−ジイソシアナトシクロヘキサン、および2,4−または2,6−ジイソシアナト−1−メチルシクロヘキサン、それらの二量体および三量体、ならびにこれらのポリイソシアネートの混合物もまた含む。
【0128】
好ましいポリイソシアネート(4a)は、上記ジイソシアネートの公知の二量体および/または三量体であり、換言すれば、特に、上記ジイソシアネートのそれ自体公知のウレトジオンおよびイソシアヌレートである。より好ましいのは、イソシアヌレート、好ましくはヘキサメチレン1,6−ジイソシアネート(HDI)のイソシアヌレートである。
【0129】
公知であるように、そのようなイソシアヌレートは、特定の触媒の存在下で様々なイソシアネートから製造され得、触媒の例は、ギ酸ナトリウム、酢酸カリウム、3級アミン、またはトリフェニルホスフィンである。この製造において形成されるのは、極めて安定なイソシアヌレート環系であり、これは、例えば100℃を超える高い温度であっても安定であり、それぞれの場合において、3つのイソシアネート基で形成される。これらの3つのイソシアネート基のそれぞれは、使用された各イソシアネートの3つの異なる分子に由来し、これは、三量体構造が形成されることを意味する。モノイソシアネートを使用した場合にそれぞれの場合において形成される分子は、各化学構造式を通して明確な定義を有するが、ポリイソシアネート、例えばHDI等のジイソシアネートの場合、反応は、そのような一様な様式で進行する必要はなく、特により高次に架橋した、いわゆるイソシアヌレートポリイソシアネート(例えばイソシアヌレートジイソシアネート)または異なるイソシアヌレートポリイソシアネートの混合物をもたらす。よって、これらは、ポリイソシアネート、例えばジイソシアネート等に基づく部分的にポリマー特性を有するイソシアヌレートである。それ自体公知の反応形態および反応条件の選択に依存して、これは、例えば、既に形成されているイソシアヌレート三量体に、さらなるジイソシアネートが付加されてもよく、さらなるイソシアヌレート環系が製造されてもよいことを意味し、この場合、より高い分子量を有する様々な製造物が形成される。同時に、ここで、モノマージイソシアネートに比べて、イソシアネート基の平均数が低減される。この数は、正確に3つのジイソシアネート分子からなる理想的な三量体においてはちょうど1であるが、より高度に架橋したイソシアヌレートポリイソシアネートにおいては、この数は1未満に低下する。別の公知の可能性は、例えば、イソシアヌレートの反応性を調節するために、その製造中に架橋性ジオール、例えばヘキサンジオールの部分が添加されてもよく、このようにして、いくつかのイソシアヌレート環系が互いに結合され得ることである。
【0130】
公知であるように、ポリイソシアネート、例えばジイソシアネートのイソシアヌレート等におけるイソシアネート基の量は、例えば、イソシアネート含量を用いて報告される。イソシアネート含量は、パーセントで表現される、ポリイソシアネートにおける遊離イソシアネート基の質量部分である。本発明の目的において、イソシアネート含量は、DIN EN ISO11909に従い、各試料の過剰ジブチルアミンとの反応、およびブロモフェノールブルーに対する塩酸を用いた過剰分の逆滴定により決定される。
【0131】
使用される出発材料が、特定のジイソシアネート、例えばHDIである場合、および、それ自体公知であり、既に上で説明された方法を使用して、このジイソシアネートをベースとして、イソシアヌレート、特にポリマー特性を有するイソシアヌレートが次いで製造される場合、イソシアネート含量は、それぞれのイソシアヌレートまたはイソシアヌレートジイソシアネートの架橋度を反映する。上記説明からの直接的な結論は、イソシアネート含量が低いほど、架橋密度が高いということである。したがって、例えば、HDIをベースとした純粋に三量体のイソシアヌレートの理論イソシアネート含量は、約25%の最大値を有する(分子量3×NCO=126g/mol;HDIの純粋に三量体のイソシアヌレートの分子量=504.6g/mol)。
【0132】
ポリイソシアネート(4)は、親水性的に修飾されており、したがって、特に、それらは上述のようなポリイソシアネート(4a)、好ましくはHDIのイソシアヌレートの親水性修飾により製造されることを意味する。
【0133】
これは、ポリイソシアネート(4)が、一般的なポリイソシアネート、例えばより具体的には上述のポリイソシアネート(4a)中に存在する基および分子単位と比較して、より親水性であることを意味する。結果として、基は、いずれにしても、純粋な炭化水素基または炭化水素部分よりも親水性である。好ましい基は、ポリエーテル基およびポリエステル基である。したがって、好ましいポリイソシアネート(4)は、ポリエーテル修飾および/またはポリエステル修飾ポリイソシアネートである。ポリエーテル修飾ポリイソシアネートが特に好ましい。
【0134】
したがって、ポリエーテル修飾ポリイソシアネート(4)は、ポリエーテル鎖、特に好ましくはポリオキシアルキレン鎖等のポリエーテル基を含む。さらに好ましいポリエーテル基は、ポリオキシエチレン、ポリオキシプロピレンおよび/または混合ポリオキシエチレン−ポリオキシプロピレン基および/または鎖である。ポリイソシアネートのポリエーテル修飾は、本発明の目的において、特にアルコキシポリオキシアルキレン基、好ましくはメトキシポリオキシアルキレン基による修飾を指す。極めて特段に好ましくは、当該の基は、メトキシポリオキシエチレン基、メトキシポリオキシプロピレン基および/または混合メトキシ−ポリオキシエチレン−ポリオキシプロピレン基である。
【0135】
親水性修飾を導入するために、例えば、当業者に公知であり、また市販されているアルコキシポリ(オキシアルキレン)アルコールを使用することが可能である。その場合、ポリイソシアネート(4a)中のイソシアネート基とポリマー性モノアルコールとの比例的反応が行い、よって、ポリエーテル修飾部分、すなわち、例えばポリ(オキシアルキレン)基が、ウレタン架橋の形成によりポリイソシアネート(4a)に共有結合し、親水性修飾ポリイソシアネート(4)が形成される。
【0136】
ポリエステル修飾ポリイソシアネート(4)についても、同様の注釈が適用される。好ましいのは脂肪族直鎖ポリエステル基、特に好ましいのはポリラクトン基、より好ましいのはポリカプロラクトン基である。例えば、ポリカプロラクトン、およびモノアルコールとε−カプロラクトンとの反応によるその製造が公知である。それらもまた、一般的な方法により、それらが含有する少なくとも1つのヒドロキシル基とイソシアネート基との反応を介して、ポリイソシアネート(4a)に導入され得る。
【0137】
したがって、親水性修飾により、系からイソシアネート基が除去され、よって修飾なしの各ポリイソシアネートに対するイソシアネート含量の低減がもたらされることが明らかである。修飾の基礎となる反応、およびこれに関連して選択される反応条件は、当業者に公知であり、進行中の場合によって容易に適合され得る。しかしながら、最終的に製造されるポリイソシアネート(4)は、ポリイソシアネートである、すなわち1分子当たり平均して2つ以上のイソシアネート基を有さなければならないという特徴を有する。ポリイソシアネート(4)は、10%から18%のイソシアネート含量を有さなければならない。ポリイソシアネート(4)は、親水基、特にポリ(オキシアルキレン)基および/または脂肪族直鎖ポリエステル基を含有しなければならず、これらのうち、ポリオキシエチレン、ポリオキシプロピレンおよび/もしくは混合ポリオキシエチレン−ポリオキシプロピレン基、ならびに/またはポリラクトン基が好ましい。
【0138】
これらの条件に依存して、ポリイソシアネート(4)における修飾されたイソシアネート基の部分は幅広く変動し得、例えば1〜60モル%、好ましくは2〜55モル%、特に好ましくは5〜50モル%の範囲内にある。示されたモル部分は、修飾前のポリイソシアネート(4a)の遊離イソシアネート基に対するものである。
【0139】
少なくとも1種の親水性修飾ポリイソシアネート(4)は、好ましくは、9%から16%、より好ましくは10%から14%のイソシアネート含量を有する。
【0140】
少なくとも1種の親水性修飾ポリイソシアネート(4)の部分は、それぞれの場合において本発明の使用のためのベースコート材料の総量に対して好ましくは3から15wt%、より好ましくは4から14wt%、極めて好ましくは6から12wt%である。
【0141】
説明された親水性修飾ポリイソシアネート(4)は、市販されており、ベースコート材料中にそのまま使用され得る。
【0142】
ベース成分において、本発明の使用のためのベースコート材料(b)は、好ましくは、少なくとも1種のさらなる特定の水性分散液(5)をさらに含む。
【0143】
水性分散液(5)は、少なくとも水およびポリウレタン樹脂部分を含み、このポリウレタン樹脂部分は、少なくとも1種のポリウレタン樹脂からなる。ポリウレタン樹脂部分は、当然ながら、上述のポリウレタン樹脂(1)および分散液(2)のポリウレタン樹脂部分とは異なる。
【0144】
分散液(5)のポリウレタン樹脂部分は、少なくとも50%、好ましくは少なくとも60%、特に好ましくは少なくとも75%のゲル部分を有する。したがって、分散液(5)も同様に、ミクロゲル分散液である。
【0145】
ポリウレタン樹脂部分は、好ましくは、正確に1種のポリウレタン樹脂からなる。
【0146】
粒子の形態で分散した分散液のポリウレタン樹脂部分の平均粒径(体積平均)は、好ましくは20から500ナノメートル、より好ましくは40から300ナノメートルである。これは、DIN EN ISO11357−1に従い、Malvern Nano S90機器(Malvern Instruments製)を25±1℃で用いた光子相関分光法(PCS)により測定され得、Zetasizer分析ソフトウェアバージョン6.32(Malvern Instruments製)を利用し、デジタル相関器を使用して評価され得、測定は、50から3000nmの間の保証された粒径を有するポリスチレン標準を使用して検証され得る。
【0147】
以上のことから、ポリウレタン樹脂部分は、好ましくは、単峰性粒径分布を有する。第1に、実際には、ポリウレタン樹脂部分は、好ましくは、正確に1種のポリウレタン樹脂からなり、正確に1種のポリウレタン樹脂は、一般に、分散液中で、単峰性分布の形態を構成する。第2に、そのような単峰性分布は、平均粒径によって非常に良く説明され得る。
【0148】
分散液(5)のポリウレタン樹脂部分は、0℃未満の温度にそのガラス転移点を好ましくは有する。ガラス転移点は、好ましくは、−100℃から−20℃、より好ましくは−80℃から−30℃の範囲内である。
【0149】
さらにより好ましくは、分散液(5)のポリウレタン樹脂部分は、100℃未満の範囲内に融解転移点を有さない。したがって、1つの代替例において、ポリウレタン樹脂部分は、融解転移点を全く有さず、したがって純粋に非晶質の特徴を有する。代替として、ポリウレタン樹脂は、(半)結晶性の特徴を有し、この場合、融解転移点は、少なくとも100℃である。好ましくは、分散液(5)のポリウレタン樹脂部分は、融解転移点を全く有さない。
【0150】
分散液(5)のポリウレタン樹脂部分はまた、好ましくは、イソシアネート基を含有する成分、例えば親水性修飾ポリイソシアネート(4)で熱化学的に硬化しない。したがって、実際には、分散液(5)のポリウレタン樹脂部分のヒドロキシル価およびアミン価は、好ましくは20未満、特に好ましくは10未満である。
【0151】
ポリウレタン樹脂部分を構成する分散液(5)のポリウレタン樹脂の製造において、製造のための出発製造物の量は、好ましくは、イソシアネート基と架橋反応を開始し得る官能基、より具体的にはヒドロキシル基およびアミノ基の総モル量に対する、イソシアネート基の総モル量の比率が、0.9超となるように選択される。より好ましくは、示された比率は、0.95超、より具体的には少なくとも1.0、極めて好ましくはちょうど1.0である。
【0152】
分散液(5)のポリウレタン樹脂部分は、好ましくは、潜在的イオン性の基、例えば潜在的アニオン性の基、好ましくはカルボン酸またはスルホン酸基を含む。
【0153】
親ポリウレタン樹脂は、好ましくは以下のように製造される。有機溶液中で、(i)イソシアネート基を含有するポリウレタンプレポリマーが製造され、(ii)このプレポリマーが水相に分散される前、分散される間、または分散された後に、プレポリマーが2つのアミノ基を含有するモノカルボン酸と反応される。よって、このようにして、潜在的にアニオン性の基もまたポリマーに組み込まれる。また、分散の前、間、または後に、任意に、鎖延長のためにさらなる典型的なジアミンとの反応が行われてもよい。2つのアミノ基を含有し、また好ましく使用されるモノカルボン酸は、N−(2−アミノエチル)−2−アミノ−エタンカルボン酸およびN−(2−アミノエチル)−2−アミノ−エタンスルホン酸である。実施例において使用される分散液(5)もまた、このように製造された。
【0154】
分散液(5)中のポリウレタン樹脂部分の部分は、それぞれの場合において分散液(5)の総量に対して好ましくは25から55wt%、好ましくは30から50wt%である。
【0155】
分散液(5)中の水の部分は、それぞれの場合において分散液の総量に対して好ましくは45から75wt%、好ましくは50から70wt%である。
【0156】
分散液(5)中のポリウレタン樹脂部分の部分および水の部分の合計は、好ましくは少なくとも75wt%、好ましくは少なくとも85wt%である。
【0157】
この種の分散液(5)もまた、例えば、Bayhydrol UH(Bayer製)等の商業的名称で市販されている。
【0158】
少なくとも1種の水性分散液(5)の部分は、例えば、それぞれの場合において本発明の使用のためのベースコート材料の総質量に対して10から40wt%、好ましくは20から30wt%の範囲内にあってもよい。
【0159】
本発明の使用のためのベースコート材料(b)は、水性である。これに関連して、「水性」という表現は、当業者に公知である。これは、基本的に、有機溶媒のみをベースとしない、換言すれば、溶媒として有機ベースのもののみを含有しないが、代わりに、一方で溶媒としてのかなりの部分の水を含むベースコート材料を指す。ベースコート材料(b)に関連する「水性」という用語の好ましい定義は、以下で説明される。
【0160】
しかしながら、水が塗料ベース成分の構成物質として使用されることが重要である。その理由は、親水性修飾ポリイソシアネート(4)が、既に上述されたように、水と接触させて反応するためである。しかしながら、これらの反応は、ベースコート材料の2つの成分が組み合わされた場合、および次いで所望の熱化学的硬化が行われた場合にのみ行う。したがって、硬化成分(b.2)は、好ましくは水不含であるか、または、硬化成分(b.2)が塗料ベース成分(b.1)と組み合わされる直前に、換言すれば、特にそれらが組み合わされる前の5分未満にのみ水がそれに添加される。
【0161】
さらなる構成物質として、本発明の使用のためのベースコート材料(b)が、当業者に公知の極めて多様なコーティング成分のいずれかを含むことが可能である。
【0162】
したがって、ベースコート材料(b)は、結合剤として、既に示されたポリマー以外の硬化性樹脂を含んでもよく、また、有機溶媒、反応性希釈剤、透明顔料、充填剤、分子レベルの分散状態で可溶な染料、ナノ粒子、光安定剤、酸化防止剤、脱気剤、乳化剤、スリップ添加剤、重合防止剤、接着促進剤、流動調整剤、フィルム形成補助剤、増粘剤、弛み調整剤(SCAs)、難燃剤、腐食防止剤、触媒、ワックス、乾燥剤、殺生物剤および/または艶消し剤を含んでもよい。上述の列挙は、当然ながら、網羅的として解釈されるべきではない。
【0163】
ベースコート材料(b)の固形分は、進行中の場合の要件によって変動し得る。固形分は、塗布に、特に噴霧塗布に必要な粘度によって主に支配され、したがって、当業者により、当業者の一般的な技術的知識に基づいて、おそらくはいくつかの範囲特定試験を利用して調節され得る。
【0164】
ベースコート材料(b)の固形分は、好ましくは、15から70wt%、より好ましくは17.5から60wt%、極めて好ましくは20から50wt%である。
【0165】
本発明に関連する固形分(不揮発部分)とは、指定された条件下での蒸発後に残渣として残留する質量部分を意味する。本明細書において、固形分は、DIN EN ISO3251に従い決定される。これは、分析下の試料、例えばベースコート材料を、130℃で60分間気化させることにより行われる。
【0166】
別段に特定されない限り、この試験法は、例えば、コーティング組成物、例えばベースコート材料(b)中の様々な成分の部分を特定または事前に決定するためにも同様に使用される。したがって、例えば、ベースコート材料に添加されるポリウレタン樹脂(1)の分散液の固形分が決定される。分散液の固形分を、ベースコート材料において使用される分散液の量と共に考慮することにより、全組成物の割合として成分の部分を決定または特定することが可能となる。
【0167】
「水性ベースコート材料(b)」という用語は、好ましくは、本発明の目的において、以下のように理解されるべきである:
ベースコート材料の固形分およびベースコート材料中の水の部分の合計パーセンテージは、少なくとも75wt%、好ましくは少なくとも85wt%である。この数字において、従来的に単位「%」のみを有する固形分は、「wt%」で表示される。固形分は、最終的には質量パーセンテージの数字でもあるので、この表現形態は正しいとする。例えば、ベースコート材料が35%の固形分および50wt%の水分含量を有する場合、ベースコート材料の固形分およびベースコート材料中の水の部分の合計パーセンテージは、85wt%となる。
【0168】
これは、本発明の使用のための好ましいベースコート材料が、基本的に、例えば25wt%未満、好ましくは15wt%未満の比較的低い部分で、環境負荷成分、例えば特に有機溶媒を含むことを意味する。
【0169】
本発明の使用のためのクリアコート材料
本発明の使用のためのクリアコート材料(k)は、同様に、塗料ベース成分中に少なくとも1種の水性分散液(2)を含む。
【0170】
したがって、ベースコート材料(b)における使用のための水性分散液(2)中の、既に上で特定された本発明に必須の全ての特徴は、明らかに、クリアコート材料(k)における使用のための水性分散液(2)に対しても適用される。既に上で示された好ましい特徴にも、同じことが適用される。
【0171】
少なくとも1種の水性分散液(2)の部分は、例えば、それぞれの場合において本発明の使用のためのクリアコートの総質量に対して35から85wt%、好ましくは45から80wt%、より好ましくは55から75wt%の範囲内にあってもよい。
【0172】
本発明の使用のためのクリアコート(k)は、同様に、好ましくは、塗料ベース成分中に少なくとも1種の水性分散液(5)(定義に関しては上記を参照されたい)を含む。
【0173】
少なくとも1種の水性分散液(5)の部分は、例えば、それぞれの場合において本発明の使用のためのクリアコートの総質量に対して15から45wt%、好ましくは25から35wt%の範囲内にあってもよい。
【0174】
硬化成分(b.2)において、本発明の使用のためのクリアコート材料は、同様に、8%から18%のイソシアネート含量を有する少なくとも1種の親水性修飾ポリイソシアネート(4)を含む。
【0175】
したがって、ベースコート材料(b)における使用のための親水性修飾ポリイソシアネート(4)中の、既に上で特定された本発明に必須の全ての特徴は、明らかに、クリアコート材料(k)における使用のための親水性修飾ポリイソシアネート(4)に対しても適用される。既に上で示された好ましい特徴にも、同じことが適用される。
【0176】
少なくとも1種の親水性修飾ポリイソシアネート(4)の部分は、それぞれの場合において本発明の使用のためのクリアコートの総量に対して好ましくは3から15wt%、より好ましくは4から14wt%、極めて好ましくは6から12wt%である。
【0177】
好ましくは、ベースコート材料(b)およびクリアコート材料(k)において、同じ水性分散液(2)および同じ親水性修飾ポリイソシアネート(4)が使用される。
【0178】
本発明の使用のためのクリアコート材料(k)は、水性(定義に関しては上記を参照されたい)である。クリアコート材料(k)に関連する「水性」という用語の好ましい定義は、以下で説明される。
【0179】
しかしながら、水が塗料ベース成分の構成物質として使用されることが重要である。その理由は、親水性修飾ポリイソシアネート(4)が、既に上述されたように、水と接触させて反応するためである。しかしながら、これらの反応は、クリアコート材料の2つの成分が組み合わされた場合、および次いで所望の熱化学的硬化が行われた場合にのみ行う。したがって、硬化成分(k.2)は、好ましくは水不含であるか、または、硬化成分(k.2)が塗料ベース成分(k.1)と組み合わされる直前に、換言すれば、特にそれらが組み合わされる前の5分未満にのみ水がそれに添加される。
【0180】
さらなる構成物質として、本発明の使用のためのクリアコート材料(k)が、当業者に公知の極めて多様なコーティング成分のいずれかを含むことが可能である。
【0181】
したがって、クリアコート材料は、結合剤として、既に示されたポリマー以外の硬化性樹脂を含んでもよく、また、有機溶媒、反応性希釈剤、透明顔料、充填剤、分子レベルの分散状態で可溶な染料、ナノ粒子、光安定剤、酸化防止剤、脱気剤、乳化剤、スリップ添加剤、重合防止剤、接着促進剤、流動調整剤、フィルム形成補助剤、増粘剤、弛み調整剤(SCA)、難燃剤、腐食防止剤、触媒、ワックス、乾燥剤、殺生物剤および/または艶消し剤を含んでもよい。上述の列挙は、当然ながら、網羅的として解釈されるべきではない。
【0182】
クリアコート材料(k)の固形分は、進行中の場合の要件によって変動し得る。固形分は、塗布に、特に噴霧塗布に必要な粘度によって主に支配され、したがって、当業者により、当業者の一般的な技術的知識に基づいて、おそらくはいくつかの範囲特定試験を利用して調節され得る。
【0183】
クリアコート材料(k)の固形分は、好ましくは、15から65wt%、より好ましくは17.5から55wt%、極めて好ましくは20から45wt%である。
【0184】
「水性クリアコート材料(k)」という用語は、好ましくは、本発明の目的において、以下のように理解されるべきである:
クリアコート材料の固形分およびクリアコート材料中の水の部分の合計パーセンテージは、少なくとも75wt%、好ましくは少なくとも85wt%である(この数字の解説に関しては、ベースコート材料(b)の説明における上記を参照されたい)。
【0185】
これは、本発明の使用のための好ましいクリアコート材料が、基本的に、例えば25wt%未満、好ましくは15wt%未満の比較的低い部分で、環境負荷成分、例えば特に有機溶媒を含むことを意味する。
【0186】
基板上の本発明のマルチコートコーティングは、良好な光学的品質を、より具体的には高い艶消し効果を有し、結果として光学的に高グレードで洗練された外観を有する。同時に、それらは、高い機械的耐性および可撓性を示す。
【0187】
したがって、本発明により、基板、特に可撓性フォーム基板の、外部の機械的影響に対する安定性、より具体的には耐摩耗性およびストーンチップ耐性を増加させるために、本発明のマルチコート塗料系を使用する方法もまた提供される。
【0188】
以下、いくつかの実施例を用いて本発明を説明する。
【実施例】
【0189】
測定方法:
ゲル部分:
本発明に関連して、対応する水性分散液のポリウレタン樹脂部分のゲル部分を、質量測定法で決定する。ここで、まず、存在するポリマーを水性分散液の試料(初期質量1.0g)から凍結乾燥により単離した。固化温度、すなわちそれより上では温度がさらに低下された場合に試料の電気抵抗がそれ以上の変化を示さない温度の決定後、完全に凍結した試料を、慣例的には5ミリバールから0.05ミリバールの間の乾燥真空圧範囲、および固化温度より10℃低い乾燥温度での主乾燥に供した。ポリマーの下の加熱表面の温度を25℃まで段階的に増加させることにより、ポリマーの急速な凍結乾燥を達成したが、典型的には12時間の乾燥時間の後、単離されたポリマー(凍結乾燥により決定された固体部分)の量は一定であり、長期の凍結乾燥後でもいかなる変化も行わなかった。その後、周囲圧力を最大真空度(典型的には0.05から0.03ミリバールの間)まで減圧して、ポリマーの下の表面温度30℃で乾燥させると、ポリマーの最適な乾燥が得られた。
【0190】
その後、単離されたポリマーを、強制換気炉内で130℃で1分間焼結し、その後に過剰のテトラヒドロフラン(テトラヒドロフラン対固体部分の比=300:1)中で25℃で24時間抽出した。次いで、単離されたポリマーの不溶性部分(ゲル部分)を好適なフリット上で分離し、強制換気炉内で50℃で4時間乾燥させ、その後再び秤量した。
【0191】
130℃の焼結温度において、1分から20分の間で焼結時間を変動させるで、ミクロゲル粒子に関して判明したゲル部分は、焼結時間とは無関係であることがさらに確認した。したがって、ポリマー性固体の単離後の架橋反応がゲル部分をさらに増加させたということは除外することができる。
【0192】
使用された水性の商業的に入手したポリマー分散液のいくつかは、シリケート等の無機成分を追加的に含むこと、およびこれらの無機成分の部分は、当然ながらゲル部分の決定において同様に捕捉されることを仮定して、分散液の全てを焼却し(800℃)、次いで、任意の残留した灰分を判明したゲル部分から差し引いた。
【0193】
ガラス転移点および融解転移点:
ガラス転移温度に基づいて、ガラス転移点を決定する。本発明に関連するガラス転移温度は、DIN51005「Thermal Analysis(TA)−Terms」およびDIN53765「Thermal Analysis−Differential Scanning Calorimetry(DSC)」に基づく方法において実験的に決定する。ドクターブレードを使用して、結合剤の試料を100μmの湿潤フィルム厚でガラス板に塗布し、まず40℃で1時間乾燥させ、次いで110℃で1時間乾燥させる。測定のために、このようにして乾燥されたフィルムの一片をガラス板から除去し、測定スリーブ内に挿入する。次いで、このスリーブをDSC機器内に挿入する。これを開始温度まで冷却し、その後、10K/分の加熱速度で、50ml/分の不活性ガスフラッシング(N
2)と共に1回目および2回目の測定運転を行うが、測定運転ごとに開始温度まで再び冷却する。
【0194】
ガラス転移点は、DSC図において、量の点で転移の前および後のベースラインに対してはるかにより大きい傾きを有する測定曲線の部分として観察することができる。量の点でより大きい傾きは、温度を増加させるために相転移の領域において必要とされるより多量のエネルギーに起因することが公知である。よって、この種の測定曲線部分は、当然ながら、量の点でより大きい傾きを有する領域において変曲点を有する。本発明の目的において、ガラス転移のガラス転移温度は、2回目の測定運転におけるこの変曲点の温度を取る。
【0195】
ポリウレタン樹脂部分がそのガラス転移点を有する温度は、本発明に関連して次のように定義される:それは、ガラス転移に属する曲線部分の変曲点の温度(ガラス転移温度)である。ガラス転移が属する曲線部分が複数存在することが可能である。その場合、当該の系は、複数のガラス転移点およびガラス転移温度を有する。そのような場合、ポリウレタン樹脂部分がそのガラス転移点を有する温度は、最も高い温度範囲における曲線部分の変曲点の温度である。そのような場合、実際には、最後のガラス転移点以下になって初めて、対応するポリウレタン樹脂部分においていかなるガラス状構造も全く存在しなくなる。したがって、「そのガラス転移点」という表現は、「その完全なガラス転移点」または「最も高い温度を有するそのガラス転移点」という記載と等しくなり得る。
【0196】
融解転移点も同様に、上述のように測定されたDSC図から決定される。融解転移点は、DSC図においてベースラインから逸脱する領域として観察することができる。実際に、この領域内では、温度の増加をもたらすために、結晶子の相変換に起因して、より多量のエネルギーが系に供給されなければならない。これらの領域は、公知であるように、異なる幅を有するピークとして観察することができる。
【0197】
ポリウレタン樹脂部分がその融解転移点を有する温度は、本発明に関連して次のように定義される:これは、融解転移に属するピークの極値点の温度である。融解転移点が属する複数のピークが存在する場合、当該極値点は、最も高い温度範囲内のピークの極値点である。そのような場合、実際には、系は、複数の融解転移点を有する。したがって、対応するポリウレタン樹脂部分において、最後の融解転移点以下になって初めて、いかなる結晶構造も存在しなくなる。したがって、「その融解転移点」という表現は、「その完全な融解転移点」または「最も高い温度を有するその融解転移点」という記載と等しくなり得る。
【0198】
1 ベースコートおよびクリアコート材料の製造、ならびにマルチコートコーティングの製造
異なるコーティング材料の塗料ベース成分を、商品として直接入手するか、または各構成物質を連続して組み合わせ、溶解器内でそれらを完全に混合することにより製造した(表1a)。本発明の使用のためのベースコート材料(b)およびクリアコート材料(k)は記号Iを有し、比較系は記号Cを有する。個々のコーティング材料の硬化成分を、表1bに列挙する。報告された数字は、それぞれの場合において、使用された成分の質量部である。
【0199】
【表1】
【0200】
水性分散液(2):市販の分散液は、61.3%のゲル部分を有するポリウレタン樹脂部分を含む。ポリウレタン樹脂部分は、−47℃の温度にそのガラス転移点を、また50℃の温度にその融解転移点を有する。ポリウレタン部分は、1から100マイクロメートルの粒径を有する粒子を含む。分散液の固形分は、26.5%であり、1.8%の無機成分(シリケート)を含む(800℃での焼却により決定される)。
【0201】
水性分散液(5):市販の分散液は、91%(第1の分散液)または95%(第2の分散液)のゲル部分を有するポリウレタン樹脂部分を含む。平均粒径(体積平均)は、244ナノメートル(第1の分散液)または56ナノメートル(第2の分散液)である。ポリウレタン樹脂部分は、−48℃(第1の分散液)または−60℃(第2の分散液)においてそのガラス転移点を有する。100℃未満に融解転移点は観察されない。分散液の固形分は、39.0%(第1の分散液)および37.0%(第2の分散液)である。
【0202】
顔料ペースト:顔料ペーストは、それぞれ、ペースト樹脂としてポリウレタン樹脂(1)を含む。使用されたポリウレタン樹脂は、20から40mg KOH/gの間の範囲内のヒドロキシル価、および20から30mg KOH/gの範囲内の酸価を有する。ペースト中の樹脂の部分は、10から30wt%の範囲内である。含まれる顔料は、市販の着色顔料である(それぞれの場合において、顔料の種類に従い5から60wt%の範囲内の部分)。同様に、有機溶媒を含む(30から80wt%の範囲内の部分)。
【0203】
その後、ベースコートおよびクリアコート材料を使用して、フォーム基板上にマルチコートコーティングを製造した。この場合、塗布直前まで、各塗料ベース成分を硬化成分と均質に混合しなかった。2成分コーティング系(空気圧による手動コーティング)で、すなわちまずベースコートを、次いでクリアコートを塗布した。初めに、ベースコート材料を基板に直接塗布し、25℃で10分間フラッシングし、次いでクリアコート材料をベースコートに直接塗布し、次いでマルチコートコーティングを強制換気炉内で80℃で30分間硬化させた。ベースコートおよびクリアコートの両方に対し、フィルム厚(硬化)は、それぞれの場合において20〜25μmである。使用した基板は、約1cmの厚さを有するシートの形態の熱可塑性ポリウレタンビーズフォームであった。ポリウレタンビーズフォームは、対応するポリウレタンペレットを対応する型内で蒸気を用いて膨張および融合させることにより、事前に製造した。
【0204】
以下のマルチコートコーティング(M)を製造した(表2):
【0205】
【表2】
【0206】
2 マルチコートコーティングに関する調査
フィルム基板上に堆積したマルチコートコーティングの可撓性および弾性、ならびにストーンチップ耐性の調査を行った。試験は、以下のように行った:
(a)コーティングした基板を、2mm厚のスチールパネルの縁部上で屈曲させた。コーティング系に亀裂/「破損」が観察された屈曲角の測定を行った。
(b)コーティングした基板を、コーティング側を外側にして中央で折り畳み(180°の屈曲)、両端を把持した。手を反対方向に動かすこと(「ねじる」動き)により、負荷試験を行った。その後、コーティングした基板を検査した。
(c)5ユーロセントコインを使用して、コーティングした基板をその衝撃許容度に関して試験した。これは、コインをその端部でフィルム表面上に立てて配置し、一定の圧力で基板に押し付けることにより行った。圧入の最大深度は5mmであった。
(d)DIN EN ISO20567−1に従ってストーンチップを試験した。
【0207】
判明した結果は、以下の通りであった:
本発明のマルチコートコーティングMI1は、金属縁部上での180°の最大可能屈曲でも、全く亀裂/損傷を示さなかった(試験(a))。また、コーティング側を外側にして屈曲させた(180°)後も、変化を決定することは不可能であった。同様に、ねじる動きもコーティングの外観に全く影響を示さなかった(試験(b))。5ユーロセントの衝撃試験の場合、コーティング系MI1は、同様に表面に全く損傷を示さなかった(試験(c))。ストーンチップ試験において損傷は全く見られなかった。
【0208】
変形例MC2およびMC3の場合、試験(a)において、それぞれ45°および30°の屈曲後に、コーティング系の破損/亀裂を観察/耳で確認した。さらに、保護していない基板が可視であった。さらに、180°の折り畳み(b)の間、試料は、屈曲縁部に沿って明確な破損がある;ねじる動きの結果、コーティング系は、全ての方向においてまとまりがなく、裂け、破損する。試験(c)において、コーティングは、2mmの貫入深度で亀裂音と共に破損した。両方の系において、ストーンチップ試験は、コーティングに市販の拡大鏡を使用して容易に見える多数の亀裂をもたらした。
【0209】
系MC1の可撓性の特徴は、本発明の実施例MI1のものと同様であった。しかしながら、金属縁部における180°の屈曲後(フィルム表面は内側にある)、屈曲縁部に沿って折り目を見出し、張力を基板から除去した後でもまだ可視であった(折り目の再形成は著しく遅い)。ストーンチップ試験は、全く損傷をもたらさなかった。
【0210】
調査には、本発明のマルチコートコーティングが、弾性、可撓性およびストーンチップ耐性に関する利点を有することを示している。
【0211】
3 さらなるコーティングの製造およびこれらのコーティングの調査
上述のように、さらなるコーティングMI1を製造した。さらに、クリアコート材料を塗布しないコーティングを製造した。したがって、コーティングは、フォーム基板上に直接配置したベースコート材料bI1の1つのフィルムのみを含有する。
【0212】
耐薬品性および耐摩耗性の調査を行った:
(a)耐薬品性の決定において、パッドを使用して、DIN EN ISO2812−3の手順を行った。評価スケールは、0(痕跡なし)から5(剥離)までである。
(b)コーティングした表面の耐摩耗性は、クロックメーターを使用して、GS97034−5(BMW)に従い行った(DIN EN ISO105−X12に従う方法B)(異なる媒体で湿らせた綿摩擦布を使用して、10回往復摩擦)。コーティングした基板上の磨耗の可視な痕跡、および使用した綿摩擦布上の可視な摩擦色落ちの両方について、試料を検査する。評価スケールは、0(完全磨耗)から5(全く磨耗なし)までである。
【0213】
表3および表4は、結果を示す。
【0214】
【表3】
【0215】
これらの調査において、2成分コーティング系(有色ベースコートおよびクリアコート、MI1)が、1成分コーティング系(有色ベースコート材料のみ)と比較して、化学薬品/溶媒に対して全体的により良好な耐性を示すことが明らかである。
【0216】
【表4】
【0217】
2成分コーティング系(有色ベースコートおよびクリアコート、MI1)は、1成分コーティング系(有色ベースコート材料のみ)よりも、その磨耗挙動においてより良好な耐性を示す。
【0218】
4 さらなるマルチコートコーティングおよびその調査
上記で特定した製造プロセスと同様に、さらなる比較マルチコートコーティングを製造し、マルチコートコーティングMI1と比較した。表5aおよび5bならびに表6は、使用したコーティング材料(および/または塗料ベース成分、表5aおよび5b)の全て、ならびに製造したマルチコートコーティング(表6)を示す。
【0219】
【表5】
【0220】
1この分散液(5)は、35%の固形分を有する。ポリウレタン部分は、60%のゲル部分を有し、−45℃の温度にそのガラス転移点を有する。しかしながら、100℃未満の融解転移点は存在しない。平均粒径(体積平均)は、43ナノメートルである。
【0221】
2当該分散液は、35%の固形分を有する。ポリウレタン樹脂部分は、わずか1%のゲル部分を有し、−42℃の温度にそのガラス転移点を有する。100℃未満の融解転移点は存在しない。
【0222】
【表6】
【0223】
光沢(BYKマイクロ−TRI−グロスメーター、20°を使用)、ならびに可撓性および弾性(セクション2に記載の方法(a)から(c)を用いる)の調査を行った。
【0224】
表7は、光沢測定の対応する結果を示す。低い値は、低い光沢に対応する。
【0225】
【表7】
【0226】
本発明のマルチコートコーティングMI1は、比較系と比較して、極めて低い光沢/高い艶消し効果を有し、光学的に高グレードで洗練された外観を有する。
【0227】
可撓性および弾性の調査では、マルチコートコーティングMC4およびMC5が、亀裂を生じないにもかかわらず、MI1と比較して、屈曲およびねじる動きの後に大幅に増加した折り目形成を示すことが判明した。折り目の再形成は、著しく遅かった。全体的に、比較系の可撓性および弾性は、系MI1の場合よりもはるかに低い。