【文献】
Nidetzky, B. et al.,Continuous enzymatic production of xylitol with simultaneous coenzyme regeneration in a charged membrane reactor.,Biotechnology and Bioengineering,1996年,Vol. 52, No. 3,pp. 387-396.
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
第1の段階でアラビノースがアラボン酸またはアラボン酸ラクトンに酸化され、キシロースの一部がキシリトールに還元され、第2の段階で、未反応のキシロースの半分がキシロン酸またはキシロノラクトンに完全にまたは部分的に酸化され、残りの半分がキシリトールに還元されることを特徴とする、請求項3に記載の方法。
混合物が他の存在する糖に対して過剰のグルコースを含有し、グルコースから少なくとも部分的にソルビトールが得られることを特徴とする、請求項1または2に記載の方法。
2つの段階の少なくとも1つにおいて、好ましくは少なくとも第2の段階で、特に好ましくは第1の段階と第2の段階の両方で、少なくとも1種のレドックス補因子および前記レドックス補因子に依存する少なくとも1種の酵素が反応混合物中に存在することを特徴とする、請求項1から7のいずれか一項に記載の方法。
リグノセルロース材料が、藁、特に麦藁、バガス、エネルギーグラス、特にネピアグラス、スイッチグラス、および/または殻、特に外穎からなる群から選択される材料であることを特徴とする、請求項14に記載の方法。
【背景技術】
【0002】
糖混合物の分画のための多数の方法が文献に公開されている。それらの多くがクロマトグラフィーに基づくものである。
【0003】
US2004/0173533A1において、糖類、好ましくはキシロースおよびグルコースからなる混合物のクロマトグラフィー分離法が記載されている。この分離によって、一方はキシロースに富み、他方はグルコースに富んだ個別のストリームが得られる。糖混合物は好ましくはバイオマスの加水分解によって製造されたものである。
【0004】
糖、糖アルコール、炭水化物およびこれらの混合物の分離はEP1490521B1に記載されており、ここで、少なくとも1つのステップで、弱塩基性のアニオン交換樹脂(架橋ポリアクリル酸ポリマーまたはエピクロロヒドリン−トリエチレンテトラミン樹脂)がクロマトグラフィー分離に使用される。
【0005】
CA2359337から、キシロース、マンノース、ガラクトース、アラビノース、グルコース、キシリトール、アラビトール、ソルビトール、ガラクチトールまたはマンニトール(または他の単糖)の他の糖または糖アルコールからの分離が、比較的低いヒドロキシル含有量を有するアニオン交換体から製造されたイオン交換体によるクロマトグラフィーによって実施される、糖の分離法が公知である。
【0006】
クロマトグラフィーによる糖の分画の主な欠点は、成分の分離が不完全なことである。結果として、低い収率と主要な糖の画分における他の糖の高い占有率が挙げられる。
【0007】
糖の分画の別の手法は、異なる物理的または化学的特性(極性、溶解度等)の結果として互いに容易に分離することができる成分への(任意選択で)選択的な糖変換である。
【0008】
そのような分画の一例がUS7498430に記載されており、ここで、糖混合物からキシロースおよびアラビノースの分画が実施される。この分画は、糖をキシロースモノアセタールとアラビノースジアセタールとの混合物に変換することによって起こる。続いて、液液抽出によって、キシロースモノアセタールがアラビノースジアセタールから分離される。
【0009】
WO2011/133536A1において、糖加水分解物中のC5および/またはC6アルドース糖を触媒と接触させて、糖をケトース異性体に変換する方法が記載されている。さらに、異性化C5および/またはC6ケトースを錯化剤(CA)と接触させることによって、ケトースはCAに結合し、ケトース−CAコンジュゲートが出現する。ケトース−CAコンジュゲートは糖混合物から選択的に分離することができた。
【0010】
本発明において、糖の分画の第1のステップとして、糖混合物中の糖の一部が糖酸に選択的に変換される。糖酸の製造のためのいくつかの方法が文献に記載されている。
【0011】
グルコン酸の製造方法はUS2651592から公知である。カタラーゼおよびグルコースオキシダーゼ活性を示す酵素系にグルコース溶液を加え、全グルコースを酸化するために過酸化水素を化学量論量で加える。
【0012】
US3619396において、グルコン酸をグルコース含有材料からグルコースオキシダーゼによって酵素的に製造する方法が記載されている。公知の方法に対する改善点は、グルコン酸を反応媒体から分離し、グルコースオキシダーゼを回収するために、反応媒体を電気透析に供することにある。
【0013】
US3935071において、グルコースをグルコン酸に変換するが、ここで、グルコースは水溶液中で酸素により酸化される。グルコースオキシダーゼおよびカタラーゼを含み、適切な担体に堅く結合した触媒にグルコース溶液を通過させる。一例において、フルクトースの存在下におけるグルコースの選択的酸化が記載されており、新生のグルコン酸はその後、イオン交換体によって分離される。
【0014】
グルコン酸およびその塩の製造方法がCA2194859から公知であり、15%以上の濃度を有するグルコースを、10℃以上の温度で、グルコースオキシダーゼおよびカタラーゼの存在下でグルコン酸に変換する。この変換は、オキシダーゼ活性に対して過剰なカタラーゼ活性を用いるように行われる。
【0015】
US7923226B2において、1,2,4−ブタントリオールの製造方法が記載されており、ここで、キシロースもキシロノラクトン/キシロン酸に酸化される。しかしながら、この特許は反応において還元されるレドックス補因子の再循環システムは開示していない。
【0016】
また糖酸の製造のために、発酵法がすでに使用されている(例えば、Buchertら、1988;Toivariら、2012b)。
【0017】
US2351500において、発酵によってグルコースがグルコン酸に変換する方法が記載されている。グルコン酸塩の沈殿を防ぐために、新生のグルコン酸に対して0.25〜1.5の量でホウ酸を加える。
【0018】
文献には、キシロン酸とキシリトールの両方がキシロースから形成される発酵法のいくつかの例もある。Nygardら(2011)では、キシロースをキシロン酸およびキシリトールに変換するためにクルイベロミセス・ラクチス(Kluyveromyces lactis)株を使用する。しかしながら、この方法では大量のバイオマスが生成される(生成物キシロン酸およびキシリトールの合計に対して約50%)。さらなる先行技術の方法では、キシロースからキシロン酸およびキシリトールを製造するために、S.セレビジエ(S.cerevisiae)株(Toivariら、2012b)または改変大腸菌(E.coli)(Caoら、2013)が使用される。その場合にも、非常に大量のバイオマスが生成され、それによってキシロースに加えて培地に添加された物質、例えばグルコースなども消費される。
【0019】
先行技術によるキシロネートの製造のための記載した方法およびさらなる発酵法では、次の問題:バイオマス、アセテートまたは他の糖酸の生成の結果としての損失、比較的低い基質濃度および/または比較的長い反応時間が明らかとなる。
【0020】
単離された酵素を使用して糖アルコールキシリトールを製造するいくつかの酵素的方法が公知である(例えば、Zhangら(2011))。こうした方法では、使用されたレドックス補因子はさらなる酵素的レドックス反応によって再生される。しかしながら、このためには、各々の場合にさらなる基質を少なくとも化学量論量で添加しなければならない。Nidetzkyら(1996)は、キシロースからキシリトールを製造し、グルコースまたはキシロースのいずれかの同時酸化によって還元等価体がもたらされる方法を記載している。
【0021】
糖アルコールキシリトールを製造するさらなる周知の可能性は発酵である。Koら(2006)では、例えば、キシロースからキシリトールを得るための発酵法が記載されている。そのために、カンジダ・トロピカリス(Candida tropicalis)の遺伝子組換え株が使用される。キシロースレダクターゼの補因子の再生は詳述されておらず、細胞の全体的な代謝に引き継がれる。明らかとなる不利益は、グルコースが培養物にさらに添加されることである。使用された糖の大部分はバイオマスに変換され、生成物の形成に役立たない。特筆すべきは、使用されたキシロースに対して化学量論的に可能な量のキシリトールが得られない。
【0022】
L−アラボネートをL−2−ケト−3−デオキシアラボネートおよびアルファ−ケトグルタレートセミアルデヒドを介してアルファ−ケトグルタレートに変換することを可能にする酵素が文献に記載されている(Watanabeら、2006)。さらに、D−キシロン酸をD−2−ケト−3−デオキシキシロネートおよびアルファ−ケトグルタレートセミアルデヒドを介してアルファ−ケトグルタレートに変換することを可能にする酵素が記載されている(Stephensら、2006;Johnsenら、2009)。
【0023】
WO2014/076012A1において、とりわけ、アラビノースとキシロースとの混合物(約10対90のモル比)から、アラビノースがアラビノラクトンまたはアラボン酸に主として酵素的に酸化され、キシロースが本質的に等モル比でキシリトールに酵素的に還元される方法が記載されている。
【0024】
アラビノースとキシロースとの間の記載したモル比は、リグノセルロース含有バイオマスをパルプ化した後、パルプ化によって得られたヘミセルロース含有材料を酵素的に分解することによって得られ得る糖混合物の典型的なものである。
【0025】
さらなる先行技術がWO2010/106230A1から公知である。
【発明を実施するための形態】
【0030】
本発明の好ましい実施形態は従属請求項に示されている。
【0031】
最初に、本発明は、C5糖およびC6糖からなる群から選択されるn種の糖の混合物からn+a種の酸化生成物および還元生成物を得るための方法であって、
nは少なくとも2であり、aは少なくとも1であり、
混合物中の糖の少なくとも2種が互いに非等モル比で存在しており、
第1の段階で、互いに非等モル比で存在する糖の少なくとも1種は酵素的に酸化され、同時に、互いに非等モル比で存在する他の糖の少なくとも1種は酵素的に還元され、
第1の段階で、互いに非等モル比で存在する糖の少なくとも1種の一部は変換されない、方法において、
少なくとも第2の段階で、第1の段階で変換されなかった糖の少なくとも一部の半分は酵素的に酸化され、残りの半分は酵素的に還元されることを特徴とする、方法を提供する。
【0032】
好ましくは、第2の段階で、第1の段階で変換されなかった糖の本質的に全量の半分は酵素的に酸化され、残りの半分は酵素的に還元される。
【0033】
さらに、第1の段階でそれぞれ酸化および還元された2種の糖は、好ましくは本質的に等モル量で変換される。
【0034】
本発明による方法は、糖混合物から互いから分離可能な糖酸化生成物(例えば、糖酸など)および糖還元生成物(例えば、糖アルコールなど)が得られるような糖に関する酵素的酸化および還元反応のカップリングに基づいたものである。
【0035】
特にバイオマスから得られる多くの糖混合物において、その中に含まれる糖は等モル比で存在しない。例えば、WO2014/076012A1に記載のように、第1の段階で一方の糖の酵素的酸化および他方の糖の酵素的還元が本質的に等モル比で起これば、最初の混合物中により多量に存在する糖の一部は、未反応の形態で混合物中に残存することになる。
【0036】
本発明によれば、前記糖のこの未反応の部分もまた酵素的酸化および酵素的還元に供されることになる。結果として、互いから分離することができる前記糖の酸化生成物(例えば、糖酸など)および還元生成物(例えば、糖アルコールなど)が本質的に等モル比で再度出現することになる。
【0037】
第1の段階で変換されなかった前記糖の全部が酸化および還元されれば、こうした酸化および還元生成物のみからなる混合物が得られ、生成物の完全な分離がこうして可能となる。
【0038】
したがって、例えば、2種の糖(n=2)の混合物では、3種(a=1)の生成物、すなわち、第1の段階で酸化された糖の酸化生成物ならびに他方の糖の酸化および還元生成物が前記方法によって出現することになる。
【0039】
特に、2種を超える糖の混合物が存在する場合、第1の段階はいくつかのサブステップを含み得る。
【0040】
例えば、3種の糖A、BおよびCの混合物(糖Cがモル過剰で存在する)では、第1の段階の第1のサブステップで糖Aが完全に酸化または還元され得、それに応じて、糖Cが等モル比で部分的に還元または酸化され得る。第2のサブステップでは、例えば、糖Bが完全に酸化または還元され得、ここでも、糖Cの一部がそれに応じて還元または酸化され得る。次いで、第2の段階では、糖Cの未反応部分全部が好ましくは各々の場合に半分ずつ還元および酸化され得る。
【0041】
第1の段階のサブステップは、同時に進行してもよく、連続的に進行してもよい。
【0042】
本発明によれば、糖酸および糖酸ラクトンが好ましくは酸化生成物として得られ、糖アルコールが還元生成物として得られる。
【0043】
本発明による方法では、好ましくはキシロースならびにC5糖、例えば、アラビノース、リキソース、リボースなど、およびC6糖、例えば、アロース、アルトロース、グルコース、マンノース、イドース、ガラクトースおよびタロースなどからなる群から好ましくは選択される少なくとも1種のさらなる糖を含有する物質の混合物が変換される。
【0044】
特に好ましい一実施形態では、糖の混合物はキシロースおよびアラビノースを含有し、キシロースが過剰に存在している。
【0045】
そのような混合物は、リグノセルロース材料をパルプ化することによって得られたヘミセルロース含有材料の分解中に特に蓄積し、特にリグノセルロース材料が藁、特に麦藁、バガス、エネルギーグラス、特にネピアグラス、スイッチグラス、および/または殻、特に外穎からなる群から選択される材料である場合に蓄積する。
【0046】
典型的には、この方法で得られた混合物中のキシロースとアラビノースとのモル比は約9:1となり得る。
【0047】
過剰量のキシロースと、アラビノースとを含む糖混合物が存在する実施形態では、第1の段階で、アラビノースはアラボン酸またはアラボン酸ラクトンに好ましくはそれぞれ酸化され、キシロースの一部はキシリトールに還元され、第2の段階で、未反応のキシロースの半分はキシロン酸またはキシロノラクトンに完全にまたは部分的に酸化され、残りの半分はキシリトールに還元される。
【0048】
本発明の前記態様では、例えばアラボン酸の同時酸化的生成によって必要な酸化当量がもたらされるので、キシリトールを生成するために混合物に加えるべきさらなる糖はない。
【0049】
混合物中9:1のキシロースとアラビノースとの例示的な比から開始して、例えば以下が順次続いて起こる。
【0050】
そのような混合物において、第1の段階で、アラビノースの本質的に全量がアラボン酸に酸化され、キシロースの本質的に等モル量がキシリトールに還元された場合、1部のアラボン酸、1部のキシリトールおよび8部の未反応のキシロースの混合物が得られる。
【0051】
第2の段階で、好ましくは全部の未反応のキシロースが、半分はキシロン酸に、半分はキシリトールに酵素的に還元された場合、1部のアラボン酸、4部のキシロン酸および5部のキシリトールの混合物が得られることになる(アラボン酸が事前にすでに分離されていない場合)。
【0052】
したがって、最初の糖混合物から、容易に分離可能な酸化および還元生成物の混合物が簡潔に生じ、この生成物はすでにそれ自体有益な物質(例えば、キシリトールなど)であるか、有益な生成物にさらに加工することができる。
【0053】
したがって、本発明のこの実施形態では、形成したアラボン酸および/または形成したキシロン酸はα−ケトグルタル酸に好ましくはさらに加工される。
【0054】
またこのさらなる加工は好ましくは酵素的に起こり得る。
【0055】
糖酸アラボン酸およびキシロン酸のアルファ−ケトグルタレートへの酵素的変換について、アラボン酸の場合、前記酸はまずアラボン酸デヒドラターゼによってL−2−ケト−3−デオキシアラボネートに変換され、次いでL−2−ケト−3−デオキシアラボネートデヒドラターゼによってアルファ−ケトグルタル酸セミアルデヒド(アルファ−KGSA)に変換され、さらにアルファ−KGSAデヒドロゲナーゼによってアルファ−ケトグルタレートに変換され得る。キシロン酸の場合、前記酸はまずキシロン酸デヒドラターゼによってD−2−ケト−3−デオキシキシロネートに変換され、次いでD−2−ケト−3−デオキシキシロネートデヒドラターゼによってアルファ−ケトグルタル酸セミアルデヒド(アルファ−KGSA)に変換され、さらにアルファ−KGSAデヒドロゲナーゼによってアルファ−ケトグルタレートに変換され得る。
【0056】
酵素クラスL−アラボン酸デヒドラターゼおよびL−2−ケト−3−デオキシアラボネートデヒドラターゼの適切な代表例は、例えば、Azospirillum brasilienseから入手可能である。酵素クラスキシロン酸デヒドラターゼおよびD−2−ケト−3−デオキシキシロネートデヒドラターゼの適切な代表例は、例えば、Caulobacter crescentusから入手可能である。適切なアルファ−ケトグルタル酸セミアルデヒドデヒドロゲナーゼは、例えば、Azospirillum brasilienseまたはCaulobacter crescentusから入手可能である。
【0057】
本発明による方法のさらに好ましい実施形態は、キシロースおよびアラビノースを含有する混合物がグルコースをさらに含有することを特徴とする。
【0058】
特に、方法の前記実施形態では、混合物中に含有されるグルコースはグルコン酸に酸化される。
【0059】
方法の前記実施形態では、好ましくはグルコン酸の分離後に、アラビノースはアラボン酸に好ましくは酵素的に酸化される。
【0060】
キシロース/アラビノース/グルコースの9:1:0.4の比の例示的な混合物(この範囲の混合物は、例えば、藁のパルプ化およびその後の酵素的分解中に得ることができる)から開始して、例えば以下が順次続く。
【0061】
そのような混合物では、第1の段階で、グルコースの本質的に全量がグルコン酸に酸化され、キシロースの本質的に等モル量がキシリトールに還元された場合、1部のアラビノース、0.4部のグルコン酸、0.4部のキシリトールおよび8.6部の未反応のキシロースの混合物が得られる。
【0062】
第1の段階のさらなる反応で、アラビノースの本質的に全量がアラボン酸に酸化され、ここでもキシロースの本質的に等モル量がキシリトールに還元された場合、1部のアラボン酸、0.4部のグルコン酸、1.4部のキシリトールおよび7.6部の未反応のキシロースの混合物が得られる。
【0063】
第2の段階で、好ましくは全部の未反応のキシロースが、半分はキシロン酸に酵素的に酸化され、半分はキシリトールに還元された場合、1部のアラボン酸、0.4部のグルコン酸、3.8部のキシロン酸および5.2部のキシリトールの混合物が得られることになる(アラボン酸および/またはグルコン酸がすでに事前に分離されていない場合)。
【0064】
得られたアラボン酸および/またはキシロン酸のアルファ−ケトグルタレートへのさらなる加工は上記のように実行可能である。
【0065】
さらに好ましい実施形態では、糖混合物は他の存在する糖(複数可)に対して過剰なグルコースを含有し、グルコースから少なくとも部分的にソルビトールが得られる。
【0066】
出発点は、グルコース/マンノース/ガラクトース/キシロース/アラビノースの7:1.4:0.7:0.7:0.4の比の例示的な混合物であるべきである。この範囲の混合物は、例えば、木材のパルプ化およびその後の酵素的分解中に得ることができる(Berrocalら、2004)。高含有量のグルコースを有する糖混合物は、他のリグノセルロース含有バイオマス、例えば、藁、トウモロコシ藁、稲藁、バガス、エネルギーグラスなどから糖ポリマーの完全加水分解中にも得ることができる。例えば、以下が順次続く。
【0067】
そのような混合物において、第1の段階で、マンノースの本質的に全量がマンノン酸に酸化され、グルコースの本質的に等モル量がソルビトールに還元された場合、1.4部のマンノン酸、0.7部のガラクトース、0.7部のキシロース、0.4部のアラビノース、1.4部のソルビトールならびに5.6部の未反応のグルコースの混合物が得られる。
【0068】
第1の段階のさらなる反応で、ガラクトースの本質的に全量がガラクトン酸に酸化され、ここでもグルコースの本質的に等モル量がソルビトールに還元された場合、1.4部のマンノン酸、0.7部のガラクトン酸、0.7部のキシロース、0.4部のアラビノース、2.1部のソルビトールならびに4.9部の未反応のグルコースの混合物が得られる。
【0069】
第1の段階のさらなる反応で、キシロースの本質的に全量がキシロン酸に酸化され、ここでもグルコースの本質的に等モル量がソルビトールに還元された場合、1.4部のマンノン酸、0.7部のガラクトン酸、0.7部のキシロン酸、0.4部のアラビノース、2.8部のソルビトールならびに4.2部の未反応のグルコースの混合物が得られる。
【0070】
第1の段階のさらなる反応で、アラビノースの本質的に全量がアラボン酸に酸化され、ここでもグルコースの本質的に等モル量がソルビトールに還元された場合、1.4部のマンノン酸、0.7部のガラクトン酸、0.7部のキシロン酸、0.4部のアラボン酸、3.2部のソルビトールならびに3.8部の未反応のグルコースの混合物が得られる。
【0071】
第1の段階のステップは連続的にまたは(部分的に)同時に進行し得る。さらに、糖酸の分離を個々のステップの後に行ってもよい。
【0072】
第2の段階で、好ましくは全部の未反応のグルコースが、半分はグルコン酸に酵素的に酸化され、半分はソルビトールに還元された場合、1.4部のマンノン酸、0.7部のガラクトン酸、0.7部のキシロン酸、0.4部のアラボン酸、1.9部のグルコン酸および5.1部のソルビトールの混合物が得られることになる(糖酸がすでに事前に分離されていない場合)。
【0073】
糖酸の分離は第2の段階の後に(も)行ってもよい。得られたアラボン酸および/またはキシロン酸のアルファ−ケトグルタレートへのさらなる加工は上記のように実行可能である。
【0074】
可能な任意選択のさらなる段階で、得られたD−ソルビトールは、酵素的または非酵素的に、好ましくは酵素的に、例えば、D−ソルビトールデヒドロゲナーゼまたはD−ソルビトールデヒドロゲナーゼ活性を有する酵素によって、D−フルクトースに酸化され得る。酵素によっておそらくは還元されたレドックス補因子NAD(P)は、少なくとも1種のさらなるレドックス酵素によって再生することができる。結果として、レドックス補因子は化学量論未満の量で使用することができる。
【0075】
前記の特定の実施形態では、例えば、グルコース含有量を有するバイオマス加水分解物から高純度のD−フルクトースを得るために、本発明による方法を使用することができる。混合物からの他の糖のより容易な分離は、糖酸への変換によって可能となる。さらに、糖酸への酸化は、ソルビトールへのグルコースの還元のためのレドックス当量をもたらす。上記の例示的な混合物では、レドックス補因子再循環に外部の物質を添加することなく、混合物中のグルコースの比較的高い割合がソルビトールに変換され得る。それによって得られたソルビトールは有益な生成物フルクトースの調製に利用可能である。
【0076】
本発明による方法において行われる糖の酵素的酸化は、多様な酵素クラスによって実施することができる。例えば、オキシダーゼ(酸素を用いる)またはデヒドロゲナーゼ(酸化されたレドックス補因子NAD(P)
+を用いる)がこのために適切である。好ましくは、レドックス補因子に依存する酵素が使用される。特に好ましくは、レドックス補因子のみに依存する酵素が使用される。したがって、各々の場合に等モル比で進行する影響を受ける糖の酸化および還元を洗練された様式で達成することができる。したがって、本発明による方法のさらに好ましい実施形態は、2つの段階の少なくとも1つで、好ましくは少なくとも第2の段階で、特に好ましくは第1の段階と第2の段階の両方で、少なくとも1種のレドックス補因子および前記レドックス補因子に依存する少なくとも1種の酵素が反応混合物中に存在することを特徴とする。
【0077】
本発明による方法では、特に第1の段階で、好ましくはアラビノースはアラボン酸に酸化される。例えば、L−アラビノースデヒドロゲナーゼをL−アラビノースの酸化に使用することができる。適切なL−アラビノースデヒドロゲナーゼは、例えば、Azospirillum brasilienseまたはBurkholderia vietnamiensisから入手可能である。
【0078】
本発明による方法では、好ましくはキシロース、特に第1の段階後に溶液中に残っているキシロースの一部がキシロン酸に酸化される。D−キシロースの酸化は、例えば、D−キシロースデヒドロゲナーゼによって実施することができる。適切なキシロースデヒドロゲナーゼは、例えば、Caulobacter crescentusから入手可能である。あるいは、より広い基質スペクトルを有し、アラビノースデヒドロゲナーゼと注釈される酵素を使用することもできる。
【0079】
本発明による方法では、特に第1の段階で、好ましくはグルコースはグルコン酸に酸化される。例えば、D−グルコース−1−デヒドロゲナーゼをグルコースの酸化に使用することができる。適切なD−グルコース−1−デヒドロゲナーゼは、例えば、Bacillus subtilisから入手可能である。
【0080】
さらに、グルコースオキシダーゼをグルコースの酸化に使用することができる。適切なD−グルコースオキシダーゼは、例えば、Aspergillus nigerから入手可能である。
【0081】
本発明による方法では、好ましくはキシロース、特に第1の段階後に溶液中に残っているキシロースの一部がキシリトールに還元される。
【0082】
例えば、D−キシロースの還元はD−キシロースレダクターゼによって触媒することができる。適切なキシロースレダクターゼは、例えば、カンジダ・トロピカリス、カンジダ・パラプローシス(Candida parapsilosis)またはサッカロマイセス・セレビシエ(Saccharomyces cerevisiae)から入手可能である。
【0083】
本発明による方法では、補因子NADH、NADPH、NAD
+および/またはNADP
+を特定の実施形態で使用することができる。それによって、NAD
+はニコチンアミドアデニンジヌクレオチドの酸化型形態を示し、NADHは還元型形態を示し、一方NADP
+はニコチンアミドアデニンジヌクレオチドリン酸の酸化型形態を示し、NADPHは還元型形態を示す。補因子は個別に反応に加えてもよいか、反応の他の成分、例えば、使用される酵素の一部であるか、こうした2つの源の組合せが使用される。レドックス補因子が使用される場合、レドックス補因子は本発明による方法における基質に対して化学量論未満の量で存在する。還元または酸化反応で酸化または還元されたレドックス補因子は、適切な酵素反応によってそれらの元のレドックス状態に戻すことができる(レドックス補因子再循環)ので、数回の反応サイクルを通過することができる。
【0084】
酵素的補因子再生系は、アルコールデヒドロゲナーゼ、糖デヒドロゲナーゼ、NAD(P)Hオキシダーゼ、ヒドロゲナーゼまたは乳酸デヒドロゲナーゼからなる群から特に選択され、それによって補助基質、特にケトン、アルデヒド、糖、ピルビン酸およびその塩および/または酸素が消費され、水素が生成される。
【0085】
キシロースからのキシロン酸(ラクトン)の生成において、レドックス補因子再循環は、さらなるレドックス酵素、例えば、アルコールデヒドロゲナーゼ、NAD(P)Hオキシダーゼまたは糖レダクターゼ、例えばキシロースレダクターゼなどによって実施することができる。好ましくは、糖レダクターゼが使用される。
【0086】
キシリトールの生成において、レドックス補因子再循環は、さらなるレドックス酵素、例えば、アルコールデヒドロゲナーゼまたは糖デヒドロゲナーゼ、例えばグルコースデヒドロゲナーゼもしくはアラビノースデヒドロゲナーゼなどによって同様に実施することができる。好ましくは、糖デヒドロゲナーゼが使用される。
【0087】
適切なNADHオキシダーゼは、例えば、Clostridium aminovalericumまたはStreptococcus mutansから入手可能である。
【0088】
適切なアルコールデヒドロゲナーゼは、例えば、Lactobacillus kefirまたはThermoanaerobium brockiiから入手可能である。
【0089】
本発明による方法の特定の実施形態では、グルコースはグルコースデヒドロゲナーゼによってグルコン酸(ラクトン)に変換され、レドックス補因子再循環はキシロースレダクターゼによって実施される。本発明による方法のさらに特定の実施形態では、新生のグルコン酸は物質の混合物から分離される。
【0090】
本発明による方法のさらなる特定の実施形態では、アラビノースはアラビノースデヒドロゲナーゼによってアラボン酸(ラクトン)に変換され、レドックス補因子再循環はキシロースレダクターゼによって実施される。本発明による方法のさらなる特定の実施形態では、得られたアラボン酸は物質の混合物から分離される。本発明による方法の別の好ましい実施形態では、アラボン酸(ラクトン)は物質の混合物から分離されず、そこで残りのキシロースはキシロン酸(ラクトン)に酸化される。
【0091】
本発明の一態様では、第1の段階後に残っているキシロースは、形成している糖酸の存在下においても、任意選択で、糖酸の分離後にも、すなわち酵素、好ましくはキシロースレダクターゼ、より好ましくはNAD(P)依存型キシロースレダクターゼによって、キシリトールに還元される。別の態様では、残っているキシロースはNAD(P)依存型キシロースレダクターゼによってキシリトールに還元され、レドックス補因子再循環はキシロースデヒドロゲナーゼによって実施され、その結果残っているキシロースはキシロン酸に同時に酸化される。
【0092】
したがって、本発明による方法では、第1の段階と第2の段階の両方において、少なくとも1種のレドックス補因子および前記レドックス補因子に依存する少なくとも1種の酵素が反応混合物中に好ましくは存在する。通常、2つの段階で各々2種の酵素が存在し、例えば、一方はレダクターゼで他方はデヒドロゲナーゼである。しかしながら、単一の酵素による還元および酸化の両方の触媒作用も考えられる。
【0093】
すでに上述した通り、特に好ましくは使用される全ての酵素が、混合物中に同様に存在するレドックス補因子に依存している。
【0094】
レドックス補因子は酵素調製物中に十分な量ですでに含まれているか、レドックス補因子は反応にさらに添加されるかのいずれかである。
【0095】
さらに、第1の段階および/または第2の段階で使用されるレドックス補因子は、本発明による方法で各々の場合に並行して進行する還元および酸化反応によって好ましくは再生される。
【0096】
本方法で使用される酵素は組換え発現によって得ることができる。これに関連して、多様な系、例えば、大腸菌、サッカロマイセス・セレビシエまたはピキア・パストリス(Pichia pastoris)が当業者に公知である。好ましくは、大腸菌が使用され、この目的のために、当業者は一般的なプロトコールを熟知している。酵素は、無傷細胞で、透過性細胞でまたは細胞溶解物の形態で使用することができる。細胞溶解物の場合、酵素は直接使用してもよく、例えばタンパク質精製のためのクロマトグラフィー法によるさらなる精製を行ってもよく、これは文献に見出すことができるかつ/または当業者に公知である。細胞溶解物が使用される場合、さらなる精製を好ましくは行わないか、簡単な精製ステップ(例えば、遠心分離またはろ過)のみが好ましくは行われる。
【0097】
前出の説明からすでに明らかとなったように、本発明による方法における第1の段階および第2の段階はワンポット反応で行うことができる。
【0098】
したがって、糖混合物の完全な分離を1つの反応容器のみでおそらくは達成し得る。
【0099】
本発明による方法のさらなる好ましい実施形態では、2つの段階は少なくとも部分的に同時に進行し得る。記載のような酵素反応に基づいて、両段階の同時反応制御が可能である。
【0100】
本発明による方法のさらなる実施形態は、混合物から蓄積する糖酸を除去することを含む。その際、蓄積する糖酸(例えば、アラボン酸、グルコン酸またはキシロン酸)の除去は、本発明による方法の第1の段階と第2の段階の間に行ってもよく、第2の段階の後のみに行ってもよい。
【0101】
上述のように、2種超の糖の混合物の場合、本発明による方法の第1の段階で、すなわち並行してまたは連続的に進行する第1の段階のサブステップで、数種の糖を酸化することが可能である。サブステップが連続的に行われる場合、本発明による方法の特定の実施形態では、各サブステップ後にそれぞれの糖酸を分離することが可能である。任意選択で、糖酸は第1の段階後に一緒に分離されてもよく、あるいは、糖酸は溶液中に残されてもよい。
【0102】
有機酸の分離のためのいくつかの方法が先行技術から当業者に公知である。前記方法には、これらの限定されるものではないが、イオン交換クロマトグラフィー、電気透析、結晶化/沈殿および抽出が含まれる。
【0103】
すでに上述した通り、糖を含有する混合物はヘミセルロース含有材料から得ることができる。
【0104】
好ましくは、ヘミセルロース含有材料はリグノセルロース材料をパルプ化することによって得られたものである。これに関連して、多様な化学的、物理的、機械的および/または酵素的方法が当業者に公知である。リグノセルロース含有材料のパルプ化方法はBrodeurら(2011)に見出すこともできる。さらに、リグノセルロース含有材料のパルプ化または脱リグニンのための方法は、例えば、WO2010/124312A2(Ertlら、2010)に見出すことができる。
【0105】
本発明による方法では、「リグノセルロース含有材料」には、特にリグノセルロース含有バイオマス、例えば、一年生もしくは多年生植物または一年生もしくは多年生植物の部分、例えば、木材、例えば、軟材もしくは硬材、または(乾燥)イネ科植物、もしくはイネ科植物の部分、好ましくはイネ科植物、藁、例えば、麦藁、ライ麦藁もしくはトウモロコシ藁、エネルギーグラス、例えば、スイッチグラス(Rutenhirse)、ススキ、マニラ麻、サイザル麻、バガス、または非定型的なリグノセルロース基質、例えば、トウモロコシの穂軸、殻、例えば、外穎、例えば、麦殻、稲殻、特に好ましくは藁、特に麦藁、バガス、エネルギーグラス、特にネピアグラス、スイッチグラス、および/または殻、特に外穎が含まれる。
【0106】
好ましくは、リグノセルロース材料は、アルコールで、特にC
1〜
4アルコール、水およびアルカリでパルプ化することによって得ることができる。適切な方法は例えばWO2010/124312A2(Ertlら、2010)から公知である。
【0107】
本発明による方法では、酸が示される場合、そうした酸の対応する塩も含まれ、逆もまた同様である。さらに、酵素的に生成した糖酸が示される場合特に、対応する糖酸ラクトンも含まれ、逆もまた同様である。糖の糖酸/糖酸ラクトンへの酵素的酸化では、こうした2種の生成物の比は、使用される糖および例えば反応時間やとりわけpH値などの反応条件に強く依存する。
【実施例】
【0108】
実施例1:バイオマスから糖混合物を得るためのキシラナーゼ処理。
藁から生成した脱リグニンパルプを使用した。パルプの調製の説明はWO2010/124312A2(実施例1)に見出すことができる。10g(乾燥重量)のパルプを蒸留水で再懸濁させて10%の粘稠度にし、4.9のpH値をH
2SO
4で調整した。1000μlのXylanase Ecopulp TX800A(Ecopulp Finland Oy)を添加し、インキュベーションを50℃で16hの間行った。主にグルコース、キシロースおよびアラビノースを約2:10:1の比で含有する1.5%糖溶液(w/v)が得られる。
【0109】
以下の実施例2から5は、糖混合物からの糖の選択的な酵素的酸化または還元の可能性を例示するのに役立つ。
【0110】
実施例2:グルコースデヒドロゲナーゼ(補因子再循環のためのNADH−オキシダーゼ)を用いたグルコース酸化。
グルコース、キシロースおよびアラビノース(糖濃度:約1%)を含有する糖混合物(約500μl)に18.5mgのNaHCO
3を添加した。その後すぐに、30μlのグルコースデヒドロゲナーゼ(約300U/mlの活性)、10μlのNADH−オキシダーゼ(約1140U/mlの活性)および2.5μlのNADH(濃度:100mM)を添加した。混合物を25℃で約17時間インキュベートした。グルコースの86%が反応してグルコン酸になった。得られた溶液は強イオン交換体(Amberlyst A−26(OH)、Alfa Aesar)を通過させた。それによって、得られたグルコン酸を混合物から完全に分離した。
【0111】
実施例3:アラビノースデヒドロゲナーゼ(補因子再循環のためのNADH−オキシダーゼ)を用いたアラビノース酸化。
グルコース、キシロースおよびアラビノース(糖濃度:約1%)を含有する糖混合物(約500μl)に6.2mgのNaHCO
3を添加した。その後すぐに、30μlのアラビノースデヒドロゲナーゼ(約300U/mlの活性)、20μlのNADH−オキシダーゼ(約1140U/mlの活性)および2.5μlのNADH(濃度:100mM)を添加した。混合物を25℃で約17時間インキュベートした。アラビノースの100%が反応してアラボン酸になった。得られた溶液は強イオン交換体(Amberlyst A−26(OH)、Alfa Aesar)を通過させた。それによって、得られたアラボン酸を糖混合物から完全に分離した。
【0112】
実施例4:アラビノースデヒドロゲナーゼ(補因子再循環のためのキシロースレダクターゼ)を用いたアラビノース酸化。
キシロースおよびアラビノース(キシロース:約10%、アラビノース:約1%)を含有する糖混合物(約500μl)に16.9mgのNaHCO
3を添加した。その後すぐに、30μlのアラビノースデヒドロゲナーゼ(約300U/mlの活性)、30μlのキシロースレダクターゼ(約103U/mlの活性)および2.5μlのNADH(濃度:100mM)を添加した。混合物を30℃で約20分間インキュベートした。アラビノースの100%が反応してアラボン酸になった。それによって、混合物中に含有されるキシロースの10%がキシリトールに変換された。得られた溶液は強イオン交換体(Amberlyst A−26(OH)、Alfa Aesar)を通過させた。それによって、得られたアラボン酸を糖混合物から完全に分離した。
【0113】
実施例5:アラビノースデヒドロゲナーゼ(補因子再循環のためのキシロースレダクターゼ)を用いたアラビノース酸化、キシロースレダクターゼ(補因子再循環のためのアルコールデヒドロゲナーゼ)を用いたキシロース還元。
バイオマス(=キシラン加水分解物)から得られた糖溶液を蒸発によって約63g/lのD−キシロースおよび7g/lのL−アラビノースの糖濃度に濃縮し、pH=8.0をNaOHで調整した。2.5mlの500mMトリス−HClバッファー、pH=8.0、200Uのキシロースレダクターゼおよび160Uのアラビノースデヒドロゲナーゼを80mlの前記溶液に添加した。200ml丸底フラスコで、溶液を35℃(水浴)で20分間マグネチックスターラ(200rpm)で撹拌した。アラビノースは完全に変換されており、溶液は約56g/lのD−キシロース、約7g/lのキシリトールおよび約7g/lのL−アラビノ−1,4−ラクトン/L−アラボン酸を含有していた。
【0114】
前記実施例では、使用された補因子は使用された酵素溶解物中にすでに十分な程度まで存在しており、個別に添加する必要はなかった。
【0115】
実施例6:キシロースおよびアラビノースの混合物の変換(本発明による)
キシロースおよびアラビノース(キシロース:約10%、アラビノース:約1%)を含有する糖混合物(約500μl)に16.9mgのNaHCO
3を添加した。その後すぐに、30μlのアラビノースデヒドロゲナーゼ(アラビノースに対する約300U/mlの活性;この酵素はキシロースデヒドロゲナーゼとしての一定の活性も示す)、30μlのキシロースレダクターゼ(約103U/mlの活性)および2.5μlのNADH(濃度:100mM)を添加した。混合物を30℃で約72時間インキュベートした。アラビノースの100%が反応してアラボン酸になり、キシロースの45%が反応してキシロン酸になり、キシロースの55%が反応してキシリトールになった。得られた溶液は強イオン交換体(Amberlyst A−26(OH)、Alfa Aesar)を通過させた。それによって、得られたアラボン酸およびキシロン酸を混合物から完全に分離した。
【0116】
この実施例は、本発明による方法の第1の段階および第2の段階の少なくとも部分的な同時の経過を実証している。第1の段階は、アラビノースの酸化および等モル部のキシロースの還元である。それと少なくとも部分的に同時に進行する第2の段階は、アラビノースデヒドロゲナーゼの活性による未反応のキシロースの半分の酸化およびもう半分の残りのキシロースの還元を含む。
【0117】
実施例7:キシロースおよびグルコースの混合物の変換(本発明による):
反応バッチは、以下の成分:364μlのdH
2O、2.5μlのNADPH溶液(100mM)、10μlのD−グルコース溶液(50%w/v)、100μlのD−キシロース溶液(50%w/v)、5μlのグルコースデヒドロゲナーゼ(300U/ml、グルコースで測定)、19μlのキシロースレダクターゼ(160U/ml)、および5.6mgのCaCO
3を含んでいた。使用されるグルコースデヒドロゲナーゼは一定のキシロースデヒドロゲナーゼ活性も示す。反応を35℃で穏やかに揺動し、異なる時点で試料を採取した。GC/MSによって、糖の含有量ならびに反応生成物の含有量を決定した。1h後、グルコースは大部分がグルコン酸に変換されていた。同様に、使用されたキシロースの小部分(約10%)がこの時点までにキシロン酸に酸化されていた。形成された糖酸に化学量論的に、キシロースは1h後にキシリトールに還元されていた。反応1h後のおよその組成:10mg/mlグルコン酸、10mg/mlキシロン酸、20mg/mlキシリトール、70mg/mlキシロース。
【0118】
6h後、キシロースは約90%変換されていた。1h後の時点と比較して、生成物キシロン酸およびキシリトールは化学量論的に形成された。反応6h後のおよその組成:10mg/mlグルコン酸、40mg/mlキシロン酸、50mg/mlキシリトール、10mg/mlキシロース。
【0119】
実施例8:GC/MSによる反応の分析
GC/MSで酸化反応を分析するために、基質および生成物を誘導体化した。このために、4μlの試料をガラスバイアルに移し、Speedvacで乾燥させた。誘導体化のために、150μlのピリジンおよびN,O−ビス(トリメチルシリル)トリフルオロアセトアミドとトリメチルクロロシランの99:1混合物50μlを次いで添加した。誘導体化は60℃で16h間行った。その後に、試料をGC−MSによって分析した。その際、試料をガスクロマトグラフで分離カラムHP−5ms(5%フェニル)メチルポリシロキサンによって分離し、Shimadzuの質量分析計GCMS QP2010 Plusで分析した。
【0120】
非特許文献