(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6732077
(24)【登録日】2020年7月9日
(45)【発行日】2020年7月29日
(54)【発明の名称】自動車両用ポンプ装置
(51)【国際特許分類】
F04C 11/00 20060101AFI20200716BHJP
F04B 23/04 20060101ALI20200716BHJP
F04B 9/02 20060101ALI20200716BHJP
【FI】
F04C11/00 C
F04B23/04
F04B9/02 A
【請求項の数】7
【外国語出願】
【全頁数】5
(21)【出願番号】特願2019-102089(P2019-102089)
(22)【出願日】2019年5月31日
(65)【公開番号】特開2019-210934(P2019-210934A)
(43)【公開日】2019年12月12日
【審査請求日】2019年5月31日
(31)【優先権主張番号】10 2018 113 677.3
(32)【優先日】2018年6月8日
(33)【優先権主張国】DE
(73)【特許権者】
【識別番号】510238096
【氏名又は名称】ドクター エンジニール ハー ツェー エフ ポルシェ アクチエンゲゼルシャフト
【氏名又は名称原語表記】Dr. Ing. h.c. F. Porsche Aktiengesellschaft
(74)【代理人】
【識別番号】100094525
【弁理士】
【氏名又は名称】土井 健二
(74)【代理人】
【識別番号】100094514
【弁理士】
【氏名又は名称】林 恒徳
(72)【発明者】
【氏名】セルジュ ナシフ
【審査官】
松浦 久夫
(56)【参考文献】
【文献】
特開2018−13072(JP,A)
【文献】
特開2003−156132(JP,A)
【文献】
特開2012−207637(JP,A)
【文献】
特開2016−89769(JP,A)
【文献】
特開2008−12787(JP,A)
【文献】
米国特許第10161422(US,B2)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F04C 11/00
F04B 23/04
F04B 9/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1のポンプ(6)および第2のポンプ(8)を有する自動車両用ポンプ装置であって、前記2つのポンプ(6、8)を駆動する電気モータ(10)が設けられ、前記電気モータ(10)は、前記第1のポンプ(6)を単独で駆動することができ、かつ前記第1のポンプ(6)および前記第2のポンプ(8)を一緒に駆動することができるように、前記第1のポンプ(6)に固定した形で駆動可能に連結され、クラッチ装置(32)を介して前記第2のポンプ(8)に連結される、自動車両用ポンプ装置において、前記第1のポンプ(6)は、2つの回転方向(28、30)に動作することができる可逆回転型ポンプとして構成され、前記回転方向とは無関係な、一定方向に向けられた流体体積流量を発生させる弁装置(14)が、流体回路(4)内に前記第1のポンプ(6)用に設けられ、前記クラッチ装置(32)は、一方向クラッチとして構成され、前記電気モータ(10)は、前記一方向クラッチを介して前記第2のポンプ(8)に駆動可能に連結されることを特徴とする、自動車両用ポンプ装置。
【請求項2】
前記電気モータ(10)は、前記第1のポンプ(6)と前記第2のポンプ(8)との間に配置されることを特徴とする、請求項1に記載の自動車両用ポンプ装置。
【請求項3】
前記電気モータ(10)は、前記第1のポンプ(6)より上流に配置され、前記第1のポンプ(6)は、前記一方向クラッチ(32)を介して前記第2のポンプ(8)に駆動可能に連結されることを特徴とする、請求項1に記載の自動車両用ポンプ装置。
【請求項4】
前記第1のポンプ(6)は、低圧ポンプとして構成され、前記第2のポンプ(8)は、高圧ポンプとして構成されることを特徴とする、請求項1〜3のいずれか一項に記載の自動車両用ポンプ装置。
【請求項5】
前記第1のポンプ(6)および前記第2のポンプ(8)は、1つのハウジング内に配置され、タンデム型ポンプを構成することを特徴とする、請求項1〜4のいずれか一項に記載の自動車両用ポンプ装置。
【請求項6】
前記第1のポンプ(6)および前記第2のポンプ(8)は、トランスミッションオイルポンプとして構成されることを特徴とする、請求項1〜5のいずれか一項に記載の自動車両用ポンプ装置。
【請求項7】
前記弁装置(14)は、逆止弁(16、18、20、22)を有する油圧ブリッジ回路として構成されることを特徴とする、請求項1〜6のいずれか一項に記載の自動車両用ポンプ装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、第1のポンプおよび第2のポンプを有する自動車両用ポンプ装置に関し、2つのポンプを駆動するための電気モータが設けられ、電気モータは、第1のポンプを単独で駆動することができ、かつ第1および第2のポンプを一緒に駆動することができるように、第1のポンプに固定した形で駆動可能に連結され、クラッチ装置を介して第2のポンプに連結される。
【背景技術】
【0002】
この種のポンプは先行技術から公知である。自動車両アセンブリの油圧要件は、この種のポンプ装置によって満たすことができる。それと共に、例えば、低圧回路および高圧回路を設けることは、油圧油供給において公知であり、低圧回路は、低圧ポンプ単独で実現され、高圧回路は、高圧ポンプを低圧ポンプと併用することで実現される。このために、電気モータは、あらゆる運転状態で2つのポンプを駆動し、高圧回路は、切換可能な弁装置によって使用可能になる。前記装置の1つの欠点は、高圧ポンプを常時駆動しているために、装置の出力損失がきわめて高いことである。単一の電気モータによって2つのポンプを駆動することも考えられる。この種のポンプ装置は、2つの電気モータを用意しなければならないことからきわめて高価である。
【0003】
この点について、(特許文献1)は、ポンプ装置の対策を開示しており、この場合に、第2のポンプは、切換可能なクラッチを介して電気モータに連結される。切換可能なクラッチを設けた結果として、前記ポンプ装置はまた、取得するのに高価であり、製造するのに複雑である。さらに、制御装置は、クラッチを切り換えるのに適していなければならない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】国際公開第2011/095148号パンフレット
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
したがって、本発明の目的は、費用をかけない方法で上記の欠点を回避することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
前記目的は、第1のポンプが、2つの回転方向に動作できる可逆回転型ポンプとして構成され、回転方向とは無関係に一定方向に向けられる流体体積流量を発生させる弁装置が、流体回路内に第1のポンプ用に設けられ、クラッチ装置は、一方向クラッチとして構成され、電気モータは、この一方向クラッチを介して第2のポンプに駆動可能に連結されることで達成される。結果として、特に単純であり、したがって、安価に製造することができ、さらに、きわめて狭い設置空間で済ますことができる自動車両用ポンプ装置が実現される。
【0007】
1つの有益な実施形態では、電気モータは、第1および第2のポンプ間に配置される。代替案として、電気モータは、第1のポンプより上流に配置することもでき、第1のポンプは、一方向クラッチを介して第2のポンプに駆動可能に連結される。
【0008】
有益な方法では、第1のポンプは、低圧ポンプとして構成され、第2のポンプは、高圧ポンプとして構成される。
【0009】
必要とされる設置空間が狭いことで、第1および第2のポンプは1つのハウジング内に配置することができ、タンデム型ポンプを構成することができる。
【0010】
特に有益な方法では、第1および第2のポンプは、トランスミッションオイルポンプとして構成される。
【0011】
特に有益な方法では、弁装置は、逆止弁を有する油圧ブリッジ回路として構成される。結果として、特に単純な方法で一定方向に向けられた流体体積流量を供給することが可能である。
【0012】
ここで、本発明が図面を使用してさらに詳細に説明される。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【
図1】低圧回路内にある、および高圧回路内にある自動車両用ポンプ装置の概略図を示している。
【発明を実施するための形態】
【0014】
単一の図は、流体回路4内にある、本発明による自動車両用ポンプ装置2を示している。自動車両用ポンプ装置2は、ハウジング(明確に示していない)内のタンデム型ポンプとして構成されている。このタンデム型ポンプ2は、潤滑油回路4内でトランスミッションオイルポンプとして使用される。このために、自動車両用ポンプ装置2は、第1のポンプ6および第2のポンプ8を有し、第1のポンプ6および第2のポンプ8はどちらも、2つのポンプ6、8間に配置された電気モータ10によって駆動することができる。
【0015】
この場合に、第1のポンプ6は、可逆回転型ポンプとして、かつ低圧ポンプとして構成することができる。この場合に、電気モータ10に固定した形で駆動可能に連結された低圧ポンプ6は、電気モータ10の回転方向に応じた態様で吐出する。この場合に、流体回路4内で、特に、低圧回路12内で、回転方向とは無関係な、一定方向に向けられた流体体積流量を実現するために、油圧ブリッジ回路として構成された弁装置14が設けられている。前記弁装置14は、第一に、流体貯蔵器24からの流体の吸込みを可能にし、次に、流体を自動車両の補助ユニット26(ここではトランスミッション)に圧送するのを保証するように配置された4つの逆止弁16、18、および20、22を含む。したがって、電気モータ10の第1の回転方向28において、逆止弁16は、吐出弁として機能し、逆止弁18は、吸込み弁として機能する。電気モータ10の第2の回転方向30において、逆止弁20は、吐出弁として機能し、逆止弁22は、吸込み弁として機能する。
【0016】
高圧ポンプとして構成された第2のポンプ8は、電気モータ10の、低圧ポンプ6とは反対の側に配置されている。前記高圧ポンプ8は、一方向クラッチとして構成されたクラッチ装置32を介して、電気モータ10に駆動可能に連結されている。これは、電気モータ10の第1の回転方向28において、高圧ポンプ8が駆動されないことを意味する。高圧ポンプ8はまた、電気モータ10が第2の回転方向30に動作する場合にのみ駆動され、流体貯蔵器24から流体を吸い込み、その流体を高圧流体回路34に圧送する。高圧回路34から低圧回路12の方向への流体の供給を制御するのを可能にするために、それ自体公知の別の切換可能弁36が、この例示的な実施形態に設けられる。
【0017】
特に、電気モータの配置は、この例示的な実施形態に限定されない。
【符号の説明】
【0018】
4 流体回路
6 第1のポンプ
8 第2のポンプ
10 電気モータ
14 弁装置
28 回転方向
30 回転方向
32 クラッチ装置