(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0007】
以下、本発明のカラーフィルター用顔料分散組成物及びカラーフィルター用顔料分散レジスト組成物について詳しく説明する。
【0008】
本発明は主に表示装置用のカラーフィルター用顔料分散組成物及びカラーフィルター用顔料分散レジスト組成物に関する発明であり、そのカラーフィルター用顔料分散組成物としては、レジストでない組成物であっても良い。
いずれにしても、本発明のカラーフィルター用顔料分散組成物及びカラーフィルター用顔料分散レジスト組成物は、主に表示装置のカラーフィルターに使用される組成物であり、それによる効果として、カラーフィルター用顔料分散レジスト組成物を調製したときに、そのカラーフィルター用顔料分散レジスト組成物の分散安定性、カラーフィルターとしたときに、高コントラスト、薄い膜厚、隣接するGreen等の多色部分へのマイグレーション防止を図ることが可能である。
分散安定性に優れる場合には特にカラーフィルター用顔料分散組成物を調製した後に、保存時の劣化が極めて小さく、優れたコントラストや発色、膜厚が薄くても良く、隣接するGreen等の多色部分へのマイグレーションを防止できるものである。
本発明は、カラーフィルター用顔料分散組成物と、そのカラーフィルター用顔料分散組成物に対してアルカリ可溶性樹脂や光重合性化合物等を配合してなるカラーフィルター用顔料分散レジスト組成物である。
なお、カラーフィルター用顔料分散組成物は、光硬化型とそうでないものを包含できる。
【0009】
[A.カラーフィルター用顔料分散組成物の組成]
本発明のカラーフィルター用顔料分散組成物は、着色顔料、顔料分散剤、アルカリ可溶性樹脂、及び有機溶剤から主として構成される。
【0010】
<着色顔料>
使用できる着色顔料としては、ジケトピロロピロール系顔料とキナクリドン系顔料であり、その中で、青色顔料、緑色顔料、赤色顔料、黄色顔料、紫色顔料、オレンジ顔料、ブラウン顔料等各種の色の顔料を使用できる。
なお、それらの顔料の他に、アゾ系、フタロシアニン系、ベンズイミダゾロン系、イソインドリノン系、ジオキサジン系、インダンスレン系、ペリレン系等の有機顔料、硫酸バリウム、硫酸鉛、酸化チタン、黄色鉛、ベンガラ、酸化クロム等の無機顔料、等の顔料も、本発明の効果を毀損しない範囲で併用可能である。
本発明中の顔料は、カラーフィルター用顔料である各種顔料から、ジケトピロロピロール系顔料とキナクリドン系顔料を併用するものであり、それぞれ単独では、本発明が意図する効果を得るものではない。
なお、高分子に結合した着色顔料や、分散剤又は分散助剤とするために変性した顔料は、本発明中の着色顔料ではない。
【0011】
(ジケトピロロピロール系顔料)
本発明にて使用されるジケトピロロピロール系顔料は下記式(1)で示される構造を有する。
【化1】
(式(1)中、X
1及びX
2は、それぞれ独立して、水素原子又はハロゲン原子を示し、Y
1及びY
2は、それぞれ独立して、水素原子、炭素数1〜5のアルキル基、炭素数1〜5のアルコキシ基、−SO
3H基、−COOH基又は−CN基を示す。)
上記一般式(1)の顔料の具体例としては、例えば、C.I.ピグメント レッド254、255、264及び272、C.I.ピグメント オレンジ71、73及び81等が挙げられる。
その市販品としては、PR−254(商品名:「Irgazin Red D3656HD」(BASF社製)、「Cinilex DPP Red ST」(Cinic社製)等が挙げられる。
上記一般式(1)の顔料は、単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
上記式(1)においてX
1及びX
2が臭素である顔料の市販品としては、例えば、商品名:「Cinilex DPP Red MT−CF」(Cinic社製)等が挙げられる。
【0012】
上記ジケトピロロピロール系顔料の含有量は、本発明のカラーフィルター用顔料分散レジスト組成物の全量を100質量部としたときに、0.1〜40質量部含有することが好ましい。上記ジケトピロロピロール系顔料の含有量が0.1質量部未満であると、適度な色度が得られない。一方、40質量部を超えると、分散性が悪化し輝度が得られないことがある。上記ジケトピロロピロール系顔料の含有量は、1〜35質量部であることがより好ましい。
また全顔料を100質量部としたとき、その中のジケトピロロピロール系顔料の含有量は60質量部以上が好ましく、70質量部以上が更に好ましく、80質量部以上がより好ましく、85質量部以上が最も好ましい。また99質量部以下が好ましく、98質量部以下が更に好ましく、97質量部以下がより好ましく、95質量部以下が最も好ましい。
また全顔料がジケトピロロピロール系顔料及びキナクリドン顔料のみからなることが好ましい。
【0013】
(キナクリドン系顔料)
本発明にて使用されるキナクリドン系顔料は下記式(2)で示される構造を有する。
【化2】
(式(2)中、R
1〜R
10は、それぞれ独立して、水素原子、ハロゲン原子、直鎖又は分岐したアルキル基、置換されていても良いフェニル基、置換されていても良いナフチル基を示す。但し、R
2及びR
7がメチル基であり、その他が水素原子である場合(この場合にはピグメントレッド122である。)を除く。)
本発明にて使用されるキナクリドン系顔料としては、C.I.ピグメントバイオレット19 、42、C.I.ピグメントレッド202、206、207、209、262、C.I.ピグメントオレンジ48、49等の顔料が挙げられる。
【0014】
上記キナクリドン系顔料の含有量は、本発明のカラーフィルター用顔料分散レジスト組成物の全量を100質量部としたときに、0.1〜20質量部含有することが好ましい。上記キナクリドン系顔料の含有量が0.1質量部未満であると、適度な色度が得られない。一方、20質量部を超えると、分散性が悪化し輝度が得られないことがある。上記キナクリドン系顔料の含有量は、1〜10質量部含有することがより好ましい。
また全顔料を100質量部としたときの中のキナクリドン系顔料の含有量は40質量部以下が好ましく、30質量部以下が更に好ましく、20質量部以下がより好ましく、18質量部以下が最も好ましい。また2質量部以上が好ましく、5質量部以上が更に好ましく、10質量部以上がより好ましく、15質量部以上が最も好ましい。
【0015】
(ジケトピロロピロール系顔料及び/又はキナクリドン系顔料の微粒子化)
本発明のカラーフィルター用顔料分散レジスト組成物に高い明度やコントラストを付与するために、上記の各顔料として微粒子化処理した顔料を使用することが好ましい。微粒子化処理を行うことにより、着色顔料の一次粒子径を更に微細にかつ均一にすることができる。
これらの微粒子化顔料の平均粒子径は、日機装(株)製マイクロトラックUPA粒度分布計を用い、動的光散乱法で測定したD50の径であり、好ましくは0.02〜0.06μmである。
上記微粒子化処理としては、例えば、未処理着色顔料、水溶性の無機塩(塩化ナトリウム、塩化バリウム、塩化カリウム等であって、好ましくは塩化ナトリウムである。そして使用する水溶性の無機塩の平均粒子径としてはレーザー回折・散乱法にて測定して50μm以下のものが好ましい)、及び、上記水溶性の無機塩を実質的に溶解しない水溶性分散媒体(アルコキシアルコール類、グリコール類、エーテル類等)を含む混合物を、ニーダー、ロールミル、ボールミル、アトライター、サンドミル、特開2006−192385号公報に記載のプラネタリーミキサーである(株)井上製作所製のトリミックス(商標名)、連続式一軸混練機である浅田鉄工(株)製のミラクルKCK等の混練装置で混練した後、上記水溶性の無機塩及び上記水溶性分散媒体を除去するソルトミリングを行い、微粒子化処理を行うことが好ましい。
さらに、着色顔料の結晶成長を抑えて均一に微細化できる点より、後述する顔料誘導体の存在下、微粒子化処理をすることが好ましい。その際の顔料誘導体の使用量は、着色顔料100質量部に対して0.5〜30質量部、好ましくは3〜10質量部である。
【0016】
(顔料分散剤)
本発明のカラーフィルター用顔料分散組成物は顔料分散剤を含有する。顔料分散剤としては、従来からカラーフィルター分野で使用されている塩基性基を有する高分子顔料分散剤を使用することができる。
本発明のカラーフィルター用顔料分散組成物において、高分子顔料分散剤を使用する際の使用量は、着色顔料100質量部に対して1〜100質量部であることが好ましく、より好ましくは1〜60質量部である。上記高分子顔料分散剤の含有量が1質量部より小さいと顔料分散効果が低下する場合があり、一方100質量部を超える場合は、現像性が低下する等のおそれがある。
【0017】
塩基性基を有する高分子顔料分散剤としては、例えば、以下のものが挙げられる。
(1)ポリアミン化合物(例えば、ポリアリルアミン、ポリビニルアミン、ポリエチレンポリイミン等の、ポリ(低級)アルキレンアミン等)のアミノ基及び/又はイミノ基と、遊離のカルボキシル基を有するポリエステル、ポリアミド及びポリエステルアミドからなる群より選択される少なくとも1種との反応生成物。
(2)分子内にポリエステル側鎖、ポリエーテル側鎖、及びポリアクリル側鎖からなる群より選択される少なくとも1種の側鎖と、塩基性窒素含有基とをそれぞれ少なくとも1つ有するカルボジイミド系化合物。
(3)ポリ(低級)アルキレンイミン、メチルイミノビスプロピルアミン等の低分子アミノ化合物と、遊離のカルボキシル基を有するポリエステルとの反応生成物。
(4)ポリイソシアネート化合物のイソシアネート基に、メトキシポリエチレングリコール等のアルコール類やカプロラクトンポリエステル等の水酸基を1個有するポリエステル類、2〜3個のイソシアネート基反応性官能基を有する化合物、イソシアネート基反応性官能基と第3級アミノ基とを有する脂肪族又は複素環式炭化水素化合物を順次反応させてなる反応生成物。
(5)アルコール性水酸基を有するアクリレートの重合物にポリイソシアネート化合物とアミノ基を有する炭化水素化合物とを反応させた反応生成物。
(6)低分子アミノ化合物にポリエーテル鎖を付加させてなる反応生成物。
(7)イソシアネート基を有する化合物にアミノ基を有する化合物を反応させてなる反応生成物。
(8)ポリエポキシ化合物に遊離のカルボキシル基を有する線状ポリマー及び2級アミノ基を1個有する有機アミン化合物を反応させた反応生成物。
(9)片末端にアミノ基と反応し得る官能基を有するポリカーボネート化合物とポリアミン化合物との反応生成物。
(10)メチルメタクリレート、エチルメタクリレート、プロピルメタクリレート、ブチルメタクリレート、ステアリルメタクリレート、ベンジルメタクリレート、メチルアクリレート、エチルアクリレート、プロピルアクリレート、ブチルアクリレート、ステアリルアクリレート、ベンジルアクリレート等のメタクリル酸エステル又はアクリル酸エステルから選択される少なくとも1種と、アクリルアミド、メタクリルアミド、N−メチロールアミド、ビニルイミダゾール、ビニルピリジン、アミノ基とポリカプロラクトン骨格を有するモノマー等の塩基性基含有重合性モノマーの少なくとも1種と、スチレン、スチレン誘導体、その他の重合性モノマーの少なくとも1種との共重合体。
(11)3級アミノ基、4級アンモニウム塩基等の塩基性基を有するブロックと塩基性官能基を有していないブロックとからなるアクリル系ブロック共重合体等。
(12)ポリアリルアミンにポリカーボネート化合物をマイケル付加反応させて得られる顔料分散剤。
(13)ポリブタジエン鎖と塩基性窒素含有基とをそれぞれ少なくとも1つ有するカルボジイミド系化合物。
(14)分子内にアミド基を有する側鎖と、塩基性窒素含有基とをそれぞれ少なくとも1つ有するカルボジイミド系化合物。
(15)エチレンオキサイド鎖とプロピレンオキサイド鎖を有する構成単位を有し、かつ四級化剤により四級化されたアミノ基を有するポリウレタン系化合物。
(16)分子内にイソシアヌレート環を有するイソシアネート化合物のイソシアネート基と、分子内に活性水素基を有し、かつ、カルバゾール環及び/又はアゾベンゼン骨格を有する化合物の活性水素基とを反応させて得られる化合物であって、該化合物の分子内の、イソシアヌレート環を有するイソシアネート化合物に由来するイソシアネート基と、イソシアネート基と活性水素基との反応により生じたウレタン結合及び尿素結合との合計に対するカルバゾール環とアゾベンゼン骨格の数が15〜85%である化合物、等。
これらの高分子顔料分散剤の中でも、アクリル樹脂系の高分子顔料分散剤が好ましく、さらに好ましくは3級アミノ基含有高分子顔料分散剤であり、より好ましくは、3級アミノ基含有アクリル系ブロック共重合体である。
【0018】
(アルカリ可溶性樹脂)
本発明のカラーフィルター用顔料分散組成物にアルカリ可溶性樹脂を配合する。そのような樹脂としては、顔料に対してバインダーとして作用し、かつカラーフィルターを製造する際に、その現像処理工程において用いられる現像液、特に好ましくはアルカリ現像液に対して可溶性を有するものである。
このようなアルカリ可溶性樹脂としては、ランダム共重合体でも、ブロック共重合体でもよい。
そのアルカリ可溶性樹脂のなかでも、カルボキシル基を有するものが好ましく、特に1個以上のカルボキシル基を有するエチレン性不飽和単量体と、他の共重合可能なエチレン性不飽和単量体からなる共重合体が好ましい。
そのようなアルカリ可溶性樹脂としては、特に限定されるものではなく、従来から使用されているものが使用できる。なかでも、具体的には、アクリル酸、メタクリル酸等のカルボキシル基を有するエチレン性不飽和単量体と、カルボキシル基を有するエチレン性不飽和単量体と共重合可能なスチレン、2−ヒドロキシエチルアクリレート、2−ヒドロキシエチルメタクリレート、アリルアクリレート、アリルメタクリレート、ベンジルアクリレート、ベンジルメタクリレート、シクロヘキシルアクリレート、シクロヘキシルメタクリレート、グリセロールモノアクリレート、グリセロールメタクリレート、N−フェニルマレイミド、ポリスチレンマクロモノマー、ポリメチルメタクリレートマクロモノマー、カルボエポキシジアクリレート等のモノマー、オリゴマー類の群から選ばれる少なくとも1種のエチレン性不飽和単量体との共重合体を挙げることができる。但し、N−ビニルピロリドン、硫黄元素含有モノマーは使用しない方が望ましい。
また、本アルカリ可溶性樹脂は、光重合性の官能基を有していても良い。
【0019】
本発明におけるアルカリ可溶性樹脂の酸価としては、現像特性の点から5〜250mgKOH/gが好ましく、さらに好ましくは10〜200mgKOH/gであり、より好ましくは60〜150mgKOH/gである。なお、本発明においては、上記酸価は理論酸価であり、カルボキシル基を有するエチレン性不飽和単量体とその含有量に基づいて算術的に求めた値である。
また、本発明におけるアルカリ可溶性樹脂の重量平均分子量は、通常、現像特性や有機溶剤への溶解性の点から1,000〜100,000が好ましく、さらに好ましくは3,000〜50,000であり、より好ましくは7,000〜20,000である。なお、本発明において、上記アルカリ可溶性樹脂の重量平均分子量は、GPCに基づいて得られるポリスチレン換算の重量平均分子量である。本発明において、装置としてはWater2690(ウォーターズ社製)、カラムとしては PLgel 5μm MIXED−D(Agilent Technologies社製)を用いる。
本発明におけるアルカリ可溶性樹脂の使用量は、使用する着色顔料100質量部に対して1〜200質量部が好ましく、さらに好ましくは、10〜150質量部である。この場合、アルカリ可溶性樹脂の使用量が1質量部未満では、現像特性が低下するおそれがある。一方200質量部を超えると、相対的に着色剤濃度が低下するため、薄膜として目的とする色濃度を達成することが困難となるおそれがある。
また、アルカリ可溶性樹脂としては、1級、2級、及び3級の何れのアミノ基も含有せず、さらに4級アンモニウム基も含有しないことが好ましい。さらに、塩基性基を有しないことがより好ましい。
【0020】
(その他の樹脂)
本発明のカラーフィルター用顔料分散組成物に使用する樹脂としては、可視光領域の400〜700nmの全波長領域において透過率がより高い樹脂を使用することができる。これらの樹脂としては、熱硬化性樹脂、熱可塑性樹脂、アルカリ可溶性樹脂、また下記の光重合性化合物を使用できる。
このような樹脂は、カラーフィルター用顔料分散組成物の全固形分に対して質量分率で、使用する樹脂の合計量で好ましくは5〜94質量%、より好ましくは20〜50質量%の範囲である。
熱硬化性樹脂や熱可塑性樹脂としては、例えば、ブチラール樹脂、スチレン−マレイン酸共重合体、塩素化ポリエチレン、塩素化ポリプロピレン、ポリ塩化ビニル、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、ポリ酢酸ビニル、ポリウレタン系樹脂、フェノール樹脂、ポリエステル樹脂、アクリル系樹脂、アルキッド樹脂、スチレン樹脂、ポリアミド樹脂、ゴム系樹脂、環化ゴム、エポキシ樹脂、セルロース類、ポリブタジエン、ポリイミド樹脂、ベンゾグアナミン樹脂、メラミン樹脂、尿素樹脂等が挙げられる。
なお、場合によりカラーフィルター用顔料分散レジスト組成物の項にて後述する光重合性樹脂を配合することもできる。
【0021】
(有機溶剤)
本発明のカラーフィルター用顔料分散組成物及びカラーフィルター用顔料分散レジスト組成物に使用する有機溶剤としては、従来から液晶カラーフィルターレジストの分野で使用されている有機溶剤が好適に使用できる。具体的には、常圧(1.013×10
2kPa)における沸点が100〜220℃のエステル系有機溶剤、エーテル系有機溶剤、エーテルエステル系有機溶剤、ケトン系有機溶剤、芳香族炭化水素系有機溶剤、含窒素系有機溶剤等である。沸点が220℃を超える有機溶剤を多量に含有していると、カラーフィルター用顔料分散組成物又はこの組成物を含有する組成物を塗布してなる塗膜をプレベークする際に、有機溶剤が充分に蒸発せずに乾燥塗膜内に残存し、乾燥塗膜の耐熱性が低下するおそれがある。また、沸点100℃未満の有機溶剤を多量に含有していると、ムラなく均一に塗布することが困難になり、表面平滑性に優れた塗膜が得られなくなるおそれがある。
【0022】
本発明のカラーフィルター用顔料分散組成物及びカラーフィルター用顔料分散レジスト組成物に使用する有機溶剤としては、具体的には、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノイソプロピルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコールジエチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールメチルエチルエーテル等のエーテル系有機溶剤;エチレングリコールモノメチルエーテルアセテート、エチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、エチレングリコールモノブチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノエチルエーテルアセテート等のエーテルエステル系有機溶剤;メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン、2−ヘプタノン、δ−ブチロラクトン等のケトン系有機溶剤;2−ヒドロキシプロピオン酸メチル、2−ヒドロキシプロピオン酸エチル、2−ヒドロキシ−2−メチルプロピオン酸エチル、3−メチル−3−メトキシブチルプロピオネート、3−メトキシプロピオン酸メチル、3−メトキシプロピオン酸エチル、3−エトキシプロピオン酸メチル、3−エトキシプロピオン酸エチル、エトキシ酢酸エチル、ヒドロキシ酢酸エチル、蟻酸n−アミル等のエステル系有機溶剤;メタノール、エタノール、イソプロピルアルコール、ブタノール、ジアセトンアルコール等のアルコール系溶剤;N−メチルピロリドン、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド等の含窒素系有機溶剤等を例示できる。これらは、単独で又は2種以上を混合して使用することができる。
これらの有機溶剤の中でも、溶解性、分散性、塗布性等の点で、ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールメチルエチルエーテル、エチレングリコールモノメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノエチルエーテルアセテート、シクロヘキサノン、2−ヘプタノン、2−ヒドロキシプロピオン酸エチル、3−メチル−3−メトキシブチルプロピオネート、3−メトキシプロピオン酸エチル、3−エトキシプロピオン酸メチル、蟻酸n−アミル等が好ましく、より好ましくは、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテートである。
【0023】
<顔料誘導体>
本発明のカラーフィルター用顔料分散組成物には顔料分散助剤として、顔料誘導体を含有させることができる。
顔料誘導体の中でもスルホン酸基を有する顔料誘導体が好ましく、そのような顔料誘導体として更に好ましいのは、下記式(3)及び/又は式(4)で表わされる化合物である顔料誘導体や、C.I.ピグメントレッド2と同一の骨格を持つ化合物のスルホン化物である。
【化3】
上記一般式(3)及び(4)中、X及びYは、同一若しくは異なっても良く、F、Cl、Br、NO
2、CH
3又はOCH
3で置換されていてもよいフェニル基を表す。Mは、H、Na、K、NH
4又はNR
1R
2R
3R
4を表す。
上記一般式(3)及び(4)のMがNR
1R
2R
3R
4であるときの各NR
1R
2R
3R
4は、同一若しくは異なって、それぞれ他の置換基で置換されていてもよい炭素数1〜10の飽和若しくは不飽和の脂肪族炭化水素基、又は、他の置換基で置換されていてもよい炭素数6〜10の芳香族炭化水素基を表す。
ここで、上記飽和若しくは不飽和の脂肪族炭化水素基としては、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、イソブチル基、s−ブチル基、t−ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、オクチル基、デシル基等のアルキル基;ビニル基、アリル基、1−ブテニル基等のアルケニル基;エチニル基、プロピニル基等のアルキニル基等が挙げられる。上記芳香族炭化水素基としては、フェニル基、ナフチル基等が挙げられる。
また、上記他の置換基としては、水酸基、ハロゲン、カルボキシル基、アミノ基、低級アルキル基(炭素数1〜5)等が挙げられる。なお、上記R
1R
2R
3及びR
4は、そのなかの1つが他の置換基で置換されていても、2つ以上が他の置換基で置換されていてもよい。さらに、上記一般式(3)及び(4)の「m」は1以上の整数である。
【0024】
上記式(3)で表される化合物がエノール型、上記式(4)で表される化合物がケト型の互変異性体であり、本発明のカラーフィルター用顔料分散レジスト組成物は両化合物を含むことができる。即ち、本発明における顔料誘導体は、上記式(3)又は式(4)で表される化合物の場合と、上記式(3)及び式(4)で表される化合物の両方からなる場合とのいずれも含まれる。
上記顔料誘導体の使用量は、各顔料の合計100質量部に対して0.5〜30質量部、好ましくは3〜15質量部である。
【0025】
本発明のカラーフィルター用顔料分散組成物に使用しても良い、その他の顔料誘導体としては、C.I.ピグメントブルー15:6(ε銅フタロシアニン顔料)と同一または類似の分子構造を有する基本骨格に、酸基を導入して、酸基を有する顔料誘導体としたものが好適である。このような顔料誘導体は、顔料の微粒子化や分散の工程において、基本骨格の部分が顔料表面に吸着し、酸基が有機溶剤や顔料分散剤との親和力を高めることにより、顔料の分散時の微細化や分散後の経時分散安定性などを向上させる効果を有する。また、顔料誘導体自身が有機溶剤中に溶解あるいは微粒子で分散状態になるものが、顔料表面のより広い範囲にわたって吸着することができるためにさらに好適である。
なかでも、酸基としてスルホン酸基を有する顔料誘導体を使用すると、良好な結果を得ることができる。
本発明のカラーフィルター用顔料分散組成物において、酸基を有する顔料誘導体の使用量は、着色顔料100質量部に対して0.5〜30質量部である。上記酸基を有する顔料誘導体の含有量が0.5質量部より小さいと顔料分散効果が低下し、一方30質量部を超える場合は、顔料分散効果がそれ以上には向上しない。
【0026】
上記酸基を有する顔料誘導体は、例えば以下の通り。
(1)酸基を有する顔料誘導体の非存在下で微粒子化処理された着色顔料を用いる場合は、微粒子化処理された着色顔料の分散時に着色顔料100質量部に対して酸基を有する顔料誘導体を0.5〜30質量部、好ましくは3〜15質量部を使用する。
(2)酸基を有する顔料誘導体の存在下で微粒子化処理した着色顔料を用いる場合は、着色顔料の微粒子化処理時に着色顔料の100質量部に対して顔料誘導体を0.5〜30質量部、好ましくは3〜15質量部を使用し、微粒子化処理された着色顔料の分散時に着色顔料100質量部に対して酸基を有する顔料誘導体を0〜29.5質量部、好ましくは0〜12質量部を使用する。
なお、微粒子化処理時に使用する酸基を有する顔料誘導体の使用量と微粒子化処理した着色顔料の顔料分散時に使用する酸基を有する顔料誘導体の使用量の合計は、着色顔料100質量部に対して酸基を有する顔料誘導体を0.5〜30質量部、好ましくは3〜15質量部を使用する。
【0027】
上記の顔料の他に、カラーフィルター用顔料分散組成物に配合してもよい顔料は以下の通り。但し、本発明による効果を毀損しない範囲で配合できる。
赤色顔料としては、C.I.ピグメントレッド1、2、3、4、5、6、7、8、9、12、14、15、16、17、21、22、23、31、32、37、38、41、47、48、48:1、48:2、48:3、48:4、49、49:1、49:2、50:1、52:1、52:2、53、53:1、53:2、53:3、57、57:1、57:2、58:4、60、63、63:1、63:2、64、64:1、68、69、81、81:1、81:2、81:3、81:4、83、88、90:1、97、101、101:1、104、108、108:1、109、112、113、114、123、144、146、147、149、151、166、168、169、170、172、173、174、175、176、177、178、179、180、181、184、185、187、188、190、192、193、194、200、208、210、214、215、216、217、220、221、223、224、226、227、228、230、231、232、233、235、236、237、238、239、240、242、243、245、247、249、250、251、253、256、257、258、259、260、263、265、266、267、268、269、270、271、273、274、275、276の一種以上である。
【0028】
青色顔料としては、C.I.ピグメントブルー1、1:2、9、14、15、15:1、15:2、15:3、15:4、15:6、16、17、19、22、25、27、28、29、33、35、36、56、56:1、60、61、61:1、62、63、64、66、67、68、71、72、73、74、75、76、78、79を挙げることができる。この中でも、好ましくはC.I.ピグメントブルー15、15:1、15:2、15:3、15:4、15:6の一種以上である。
【0029】
緑色顔料としては、C.I.ピグメントグリーン1、2、4、7、8、10、13、14、15、17、18、19、26、36、45、48、50、51、54、55、58、59の一種以上である。
【0030】
黄色顔料としては、C.I.ピグメントイエロー1、1:1、2、3、4、5、6、9、10、12、13、14、16、17、20、24、31、32、34、35、35:1、36、36:1、37、37:1、40、41、42、43、48、53、55、61、62、62:1、63、65、73、74、75、81、83、86、87、93、94、95、97、100、101、104、105、108、109、110、111、116、117、119、120、125、126、127、127:1、128、129、133、134、136、137、138、139、142、147、148、150、151、153、154、155、157、158、159、160、161、162、163、164、165、166、167、168、169、170、172、173、174、175、176、180、181、182、183、184、185、188、189、190、191、191:1、192、193、194、195、196、197、198、199、200、202、203、204、205、206、207、208の一種以上である。
【0031】
オレンジ顔料としては、C.I.ピグメントオレンジ1、2、5、13、16、17、19、20、21、22、23、24、34、36、38、39、43、46、51、55、59、61、62、64、65、67、68、69、70、72、74、75、77、78、79の一種以上である。
【0032】
紫色顔料としては、C.I.ピグメントバイオレット1、1:1、2、2:2、3、3:1、3:3、5、5:1、14、15、16、19、23、25、27、29、30、31、32、37、39、40、42、44、47、49、50の一種以上である。
【0033】
(硫酸バリウム)
本発明のカラーフィルター用顔料分散組成物には、耐熱性(輝度)を向上させるために一次粒子径が5〜20nmである硫酸バリウムを含有させることができる。
硫酸バリウムの含有量は着色顔料100質量部に対して0〜25質量部、好ましくは5〜20質量部の範囲で含有する。
上記硫酸バリウムは、微粒子化処理した着色顔料の分散時又は分散後に使用する。
【0034】
本発明のカラーフィルター用顔料分散組成物は、着色顔料、高分子顔料分散剤等の顔料分散剤、樹脂及び有機溶剤から主として構成され、これらの成分は、合計で、カラーフィルター用顔料分散組成物中、90〜100質量%を占める。またさらに、顔料誘導体を添加することができ、顔料誘導体としては前述のものから任意のものを採用できる。
また、本発明のカラーフィルター用顔料分散組成物を、光硬化性を有しないまま、レジスト用組成物として使用することもできる。
【0035】
(必要に応じて添加できる添加剤)
カラーフィルター用顔料分散組成物の製造法に応じて、光重合開始剤、熱重合禁止剤、紫外線吸収剤、酸化防止剤等の各種添加剤を適宜使用することができる。上記光重合開始剤としては、例えば、後述するものを挙げることができる。
【0036】
(本発明のカラーフィルター用顔料分散組成物の製造方法)
以上の原料を用いてカラーフィルター用顔料分散組成物を製造する方法を説明する。なお、光硬化性ではないカラーフィルター用顔料分散レジスト組成物の場合には、光重合性化合物を配合することは不要である。
そのため、まず、下記のように、顔料分散組成物を調製する。
顔料分散剤、必要に応じて顔料誘導体の存在下で微粒子化処理された顔料、樹脂、必要に応じて高分子顔料分散剤、有機溶剤、更に必要に応じて、硫酸バリウム等の、その他の添加剤からなる混合物を得る。得られた混合物を、ロールミル、ニーダー、高速攪拌装置、ビーズミル、ボールミル、サンドミル、超音波分散機、高圧分散機などの各種分散機を用いて、混練し、分散処理し顔料分散組成物を得る。
【0037】
複数の顔料を併用する場合には、以下の方法を採用できる。
(1)予めジケトピロロピロール系顔料とキナクリドン系顔料を、分散剤等により別々に含有した顔料分散組成物を得ておき、これらの顔料分散組成物を任意の比率となるように混合し、その後必要に応じて樹脂、硫酸バリウム、有機溶剤、その他の添加剤を加えて、本発明のカラーフィルター用顔料分散組成物を製造する。
(2)予め、上記のようにして製造した顔料分散組成物に、必要に応じて補色顔料が所定の割合となるように混合する工程を経て、その後必要に応じて樹脂、硫酸バリウム、有機溶剤、その他の添加剤を加えて顔料分散組成物を製造し、他の顔料を有する顔料分散組成物についても、同様にして顔料分散組成物を製造した後に、これらを混合する工程を経て、本発明のカラーフィルター用顔料分散組成物を製造する。
また、(1)及び(2)により得たカラーフィルター用顔料分散組成物に対して、必要に応じて樹脂、硫酸バリウム、有機溶剤、その他の添加剤を加えて、カラーフィルター用顔料分散組成物を調製してもよい。
次いで、調製したカラーフィルター用顔料分散組成物に、含有する顔料に対して補色顔料を所定の割合となるように混合してカラーフィルター用顔料分散組成物を得ることもできる。
【0038】
上記(1)、(2)の製造方法において、酸基を有する顔料誘導体の存在下で微粒子化処理された微粒子化顔料を使用する場合は、微粒子化顔料の分散時に酸基を有する顔料分散助剤を含有させなくても製造することは可能である。
また、上記(1)、(2)の製造方法において、樹脂、硫酸バリウムは、顔料分散組成物の作成時及び/又は顔料分散組成物を作成後に加えることができる。
また、上記(1)、(2)の製造方法の中でも、高い着色力及び高い輝度が得られる点から、酸基を有する顔料誘導体の存在下で微粒子化処理された顔料を使用することが好ましい。
微粒子化顔料の平均粒子径は、日機装(株)製マイクロトラックUPA粒度分布計を用い、動的光散乱法で測定したD50の径であり、好ましくは0.02〜0.06μmである。
【0039】
現在、カラーフィルター用顔料分散レジスト組成物を利用してカラーフィルターを製造する方法としては、光硬化性の組成物を用いた光レジスト法が主であるが、以後は光レジスト法にて用いるカラーフィルター用光硬化性顔料分散組成物と、光硬化性ではないカラーフィルター用顔料分散組成物に分けて、それぞれに含有される成分等について、以下に説明する。
【0040】
樹脂成分は、カラーフィルター用顔料分散組成物の全固形分に対して質量分率で、好ましくは5〜94質量%、より好ましくは20〜50質量%の範囲である。
本発明のカラーフィルター用顔料分散レジスト組成物を、ジケトピロロピロール系顔料、キナクリドン系顔料を含有する特定の組成物とすることにより、樹脂等の成分等を問わない本発明のカラーフィルター用顔料分散レジスト組成物から形成したパターン部分から、隣接するGreen等の多色部分の顔料や樹脂分等がいずれの材料であっても、結果的に隣接するGreen等の多色部分へのマイグレーションを防止できる。
【0041】
[B.カラーフィルター用顔料分散レジスト組成物が光硬化性であるとき]
次に、本発明のカラーフィルター用顔料分散レジスト組成物が、光硬化性であるときについて説明する。
本発明のカラーフィルター用顔料分散レジスト組成物が、光硬化性であるときには、その組成物は活性エネルギー線硬化性を有し、アルカリ現像可能なレジスト組成物であり、微粒子化顔料、顔料分散剤、顔料誘導体、樹脂、及び有機溶剤から主として構成され、硫酸バリウム、前記樹脂として光重合性化合物を含み、さらにアルカリ可溶性樹脂を含み得るものである。
微粒子化顔料、顔料分散剤、顔料誘導体、光重合性化合物以外の樹脂、硫酸バリウム及び有機溶媒の種類や配合量としては、上記のカラーフィルター用顔料分散組成物の説明の通りに使用する。
【0042】
なお、有機溶剤については、上記アルカリ可溶性樹脂の溶解性、着色顔料の分散性、塗布性等の点から、本発明のカラーフィルター用顔料分散レジスト組成物中に、50質量%以上であることが好ましく、70質量%以上含有させることがより好ましい。
【0043】
(光重合性化合物)
本発明のカラーフィルター用顔料分散レジスト組成物に使用する光重合性化合物としては、光重合性不飽和結合を分子内に1個以上有する単量体、オリゴマー、光重合性樹脂等で、上記カラーフィルター用顔料分散組成物で記載したものと同じものを使用する。光重合性不飽和結合を有する単量体、オリゴマー等とは、後述する光重合開始剤が、紫外線や電子線等の活性エネルギー線により分解した際に発生するラジカルやカチオンの作用により、重合して樹脂化できる不飽和結合を有するものである。
光重合性化合物として、光重合性不飽和結合を分子内に1個有するモノマーとしては、メチルメタクリレート、ブチルメタクリレート、2−エチルヘキシルメタクリレート、メチルアクリレート、ブチルアクリレート、2−エチルヘキシルアクリレート等のアルキルメタクリレート又はアクリレート;ベンジルメタクリレート、ベンジルアクリレート等のアラルキルメタクリレート又はアクリレート;ブトキシエチルメタクリレート、ブトキシエチルアクリレート等のアルコキシアルキルメタクリレート又はアクリレート;N,N−ジメチルアミノエチルメタクリレート、N,N−ジメチルアミノエチルアクリレート等のアミノアルキルメタクリレート又はアクリレート;ジエチレングリコールエチルエーテル、トリエチレングリコールブチルエーテル、ジプロピレングリコールメチルエーテル等のポリアルキレングリコールアルキルエーテルのメタクリル酸エステル又はアクリル酸エステル;ヘキサエチレングリコールフェニルエーテル等のポリアルキレングリコールアリールエーテルのメタクリル酸エステル又はアクリル酸エステル;イソボルニルメタクリレート又はアクリレート;グリセロールメタクリレート又はアクリレート;2−ヒドロキシエチルメタクリレート又はアクリレート等が挙げられる。
光重合性化合物としての光重合性不飽和結合を分子内に2個以上有するモノマーとしては、ビスフェノールAジメタクリレート、1,4−ブタンジオールジメタクリレート、1,3−ブチレングリコールジメタクリレート、ジエチレングリコールジメタクリレート、グリセロールジメタクリレート、ネオペンチルグリコールジメタクリレート、ポリエチレングリコールジメタクリレート、ポリプロピレングリコールジメタクリレート、テトラエチレングリコールジメタクリレート、トリメチロールプロパントリメタクリレート、ペンタエリスリトールトリメタクリレート、ペンタエリスリトールテトラメタクリレート、ジペンタエリスリトールテトラメタクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサメタクリレート、ジペンタエリスリトールペンタメタクリレート、ビスフェノールAジアクリレート、1,4−ブタンジオールジアクリレート、1,3−ブチレングリコールジアクリレート、ジエチレングリコールジアクリレート、グリセロールジアクリレート、ネオペンチルグリコールジアクリレート、ポリエチレングリコールジアクリレート、ポリプロピレングリコールジアクリレート、テトラエチレングリコールジアクリレート、トリメチロールプロパントリアクリレート、ペンタエリスリトールトリアクリレート、ペンタエリスリトールテトラアクリレート、ジペンタエリスリトールテトラアクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート、ジペンタエリスリトールペンタアクリレート等が挙げられる。これらの単量体は、単独又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
また、光重合性化合物を重合して得られたオリゴマーを使用することができる。
光重合性化合物としての光重合性樹脂としては、水酸基、カルボキシル基、アミノ基等の反応性の置換基を有する線状高分子にイソシアネート基、アルデヒド基、エポキシ基等を介して、(メタ)アクリル化合物、ケイヒ酸等の光架橋性基を導入した樹脂が用いられる。スチレン−無水マレイン酸共重合物やα−オレフィン−無水マレイン酸共重合物等の酸無水物を含む線状高分子をヒドロキシアルキル(メタ)アクリレート等の水酸基を有する(メタ)アクリル化合物によりハーフエステル化した重合物も用いられる。
これらの樹脂を形成することができる光重合性化合物は、単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。本発明において、光重合性化合物の使用量は、カラーフィルター用顔料分散レジスト組成物中の全固形分に対して質量分率で、好ましくは3〜50質量%の範囲である。
【0044】
(光重合開始剤)
本発明のカラーフィルター用顔料分散レジスト組成物に使用する光重合開始剤としては、紫外線や電子線等の活性エネルギー線を照射されることにより、ラジカルやカチオンを発生することのできるものであれば特に限定されず、例えば、ベンゾフェノン、N,N’−テトラエチル−4,4’−ジアミノベンゾフェノン、4−メトキシ−4’−ジメチルアミノベンゾフェノン、ベンジル、2,2−ジエトキシアセトフェノン、ベンゾイン、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインイソブチルエーテル、ベンジルジメチルケタール、α−ヒドロキシイソブチルフェノン、チオキサントン、2−クロロチオキサントン、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、t−ブチルアントラキノン、1−クロロアントラキノン、2,3−ジクロロアントラキノン、3−クロル−2−メチルアントラキノン、2−エチルアントラキノン、1,4−ナフトキノン、1,2−ベンゾアントラキノン、1,4−ジメチルアントラキノン、2−フェニルアントラキノン、2−メチル−1−[4−(メチルチオ)フェニル]−2−モルフォリノプロパン−1−オン、トリアジン系光重合開始剤等が挙げられる。これらの光重合開始剤は単独で又は2種以上を組み合わせて用いられる。
本発明において、上記光重合開始剤の含有量は、上記カラーフィルター用顔料分散レジスト組成物中の全固形分に対して質量分率で、好ましくは1〜20質量%の範囲である。
【0045】
本発明のカラーフィルター用顔料分散レジスト組成物は、微粒子化顔料、顔料分散剤、顔料誘導体、アルカリ可溶性樹脂、光重合性化合物、光重合開始剤、硫酸バリウム及び有機溶剤から主として構成され、これらの成分は、合計で、カラーフィルター用顔料分散レジスト組成物中に、90〜100質量%占める。
【0046】
(必要に応じて添加できる添加剤)
本発明のカラーフィルター用顔料分散レジスト組成物は、それが光硬化性であるとき、必要に応じて、熱重合禁止剤、紫外線吸収剤、酸化防止剤等の各種添加剤を適宜使用することができる。
【0047】
[C.カラーフィルター用顔料分散レジスト組成物が光硬化性でないとき]
カラーフィルター用顔料分散レジスト組成物が光硬化性でないときは、上記のB.カラーフィルター用顔料分散レジスト組成物が光硬化性であるときにおいて使用した光重合性化合物や光重合開始剤を含有せず、必要に応じてさらに上記のカラーフィルター用顔料分散組成物の組成の説明にて示した光重合性化合物以外の樹脂を配合する。
【0048】
(必要に応じて添加できる添加剤)
本発明のカラーフィルター用顔料分散レジスト組成物は、それが光硬化性でないとき、必要に応じて、紫外線吸収剤、酸化防止剤等の各種添加剤を適宜使用することができる。
【0049】
(本発明のカラーフィルター用顔料分散レジスト組成物の製造方法)
以上の材料を用いてカラーフィルター用顔料分散レジスト組成物を製造する方法を説明する。カラーフィルター用顔料分散レジスト組成物は、それが光重合性のとき、上記で得たカラーフィルター用顔料分散組成物に対して、さらに光重合性化合物、光重合開始剤、必要に応じてアルカリ可溶性樹脂、硫酸バリウム、有機溶剤、その他の添加剤を加えて本発明のカラーフィルター用顔料分散レジスト組成物を得る。
またそれが光重合性でないとき、さらに、アルカリ可溶性樹脂、硫酸バリウム、有機溶剤、その他の添加剤等のいずれかを加えて本発明のカラーフィルター用顔料分散レジスト組成物を得ることができる。上記の製造方法においても同様である。また、本発明のカラーフィルター用顔料分散組成物を使用して、カラーフィルターを製造する方法としては、それに必要な装置を含め、該顔料分散組成物以外の構成として公知の手段を採用して製造することができる。
【実施例】
【0050】
以下に実施例を掲げて本発明をさらに詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例のみに限定されるものではない。なお、特に断りのない限り、「%」は「質量%」を意味し、「部」は「質量部」を意味するものとする。
【0051】
<微粒子化処理赤色顔料>
PR202:ピグメントレッド202(キナクリドン系顔料)
PV19 :ピグメントバイオレット19(キナクリドン系顔料)
PR291:ピグメントレッド291(ジケトピロロピロール系顔料)
PR254:ピグメントレッド254(ジケトピロロピロール系顔料)
PR177:ピグメントレッド177(アントラキノン系顔料)
PR269:ピグメントレッド269(モノアゾ系)
PR264:ピグメントレッド264(ジケトピロロピロール系顔料)
PR179:ピグメントレッド179(ペリレン系顔料)
PR122:ピグメントレッド122(キナクリドン系顔料)
なお、表1中の微粒子化処理赤色顔料の調製は、ソルトミリングにより行う。赤色顔料分散組成物2及び4に使用した微粒子化処理赤色顔料は、その微粒子化工程中に顔料誘導体を添加した。
その他の赤色顔料分散組成物に使用した微粒子化処理赤色顔料は、その微粒子化工程後に顔料誘導体を添加した。
<顔料分散剤>
3級アミノ基含有アクリル系ブロック共重合体
<顔料誘導体>
PR2スルホン化物:ピグメントレッド2のスルホン化物
<アルカリ可溶性樹脂>
MMA/BMA/MAA共重合体(メタクリル酸メチルとメタクリル酸ブチルとメタクリル酸のランダム共重合体)
<溶剤>
PGMEA:プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート
下記表1に示す配合に基づいて、カラーフィルター用顔料分散組成物を得た。
表1における、溶剤以外の各成分の含有量は溶剤を含有しない量である。
【0052】
(アルカリ可溶性樹脂の製造)
MMA30質量部、BMA50質量部、MAA20質量部を常法の合成方法により合成し、酸価130mgKOH/g、分子量9,800のランダム共重合体を得た。
【0053】
【表1】
【0054】
<光重合性化合物>
DPHA:ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート
<光重合開始剤>
イルガキュア369(BASF社製)
【0055】
表1の各赤色顔料分散組成物と、表2中の各成分とを、表2中の組成となるように高速攪拌機を用いて均一に混合した後、孔径3μmのメンブランフィルターでろ過し、カラーフィルター用顔料分散レジスト組成物を得た。
表2における赤色顔料分散組成物及び溶剤以外の各成分の含有量は、溶剤を含有しない量である。
【0056】
<初期粘度>
E型粘度計(東機産業(株)製、R100型粘度計 型式RE100L)を用いて25℃における粘度を測定した。
【0057】
<分散安定性>
実施例及び比較例のレジスト法に使用するカラーフィルター用顔料分散組成物について、それぞれガラス瓶に採り、密栓して、40℃で1週間保存後に上記E型粘度計で25℃における粘度を測定し、初期値からの変化率によって評価した。
○:保管前後の粘度変化率が10%以下
×:保管前後の粘度変化率が10%超
【0058】
<カラーフィルター用顔料分散レジスト組成物の色特性の評価>
実施例及び比較例のカラーフィルター用顔料分散レジスト組成物を、スピンコーターを用いてガラス基板上に塗布した。次いで、100℃で3分間プレベークした後、高圧水銀灯で露光し、更に230℃で30分間ポストベークした。次いで、各レジストの色度x=0.6580、y=0.3200でのコントラスト、輝度Yを分光光度計((株)島津製作所製、UV−2500PC、C光源2°視野)で測定した。
【0059】
<膜厚>
上記方法で得たポストベーク後のカラーフィルター用顔料分散レジスト組成物を塗布した基板に、3mmの範囲内にカッターで3本程度傷をつけ、表面粗さ測定器(KLA−Tencor Corporation サーフェイスプロファイラ ALPHA−STEP IQ)を用いて走査し深度を測定した。3点の平均値を算出し、実測膜厚とした。
【0060】
<Greenパターンへのマイグレーション>
実施例及び比較例の、赤色のカラーフィルター用顔料分散レジスト組成物を、スピンコーターを用いてガラス基板上に塗布した後、100℃で3分間プレベークした。得られた塗膜状に必要なパターンを形成するためのパターンマスクを配置し、高圧水銀灯で露光した後、現像液として水酸化カリウム水溶液を用いて、スピン現像機で1分間現像後、十分に水洗し、230℃に設定した高温空気循環型乾燥炉内で30分間にわたってポストベークし、現像パターンを形成した。
何も塗布していないガラス基板及び、上記の実施例及び比較例のカラーフィルター用顔料分散レジスト組成物のパターンを形成した基板上にGreen顔料分散液レジスト組成物を、スピンコーターを用いて塗布した後、100℃で3分間プレベークした。次いで、高圧水銀灯で露光した後、230℃に設定した高温空気循環型乾燥炉内で30分間にわたってポストベークした。
Greenレジストのみを塗布した基板の輝度Y1を分光光度計(大塚電子(株)顕微分光測定装置LCF100)で測定した。同様に実施例及び比較例のカラーフィルター用顔料分散レジスト組成物のパターンを形成した後にGreenレジストを塗布した基板上の、RedパターンとGreenパターンとの境界線から、Green側に0.05mm入った位置の輝度Y2を測定し、Greenレジストのみ塗布した基板の輝度との差ΔY=Y1−Y2によってGreenへのマイグレーション評価を行った。
○:ΔY>−0.5
×:ΔY≦−0.5
【0061】
【表2】
【0062】
本発明に沿った例である実施例1〜6によれば、分散安定性に優れ、Y値が高く、高いコントラスト、薄い膜厚、及び隣接するGreen等の多色のパターン部へのマイグレーションの防止、それぞれの効果を両立できた。
これに対して、ジケトピロロピロール系顔料に対してアントラキノン系顔料を組み合わせた比較例1によれば、実施例と同じx値、y値の被膜において、Y値が若干低かった。ジケトピロロピロール系顔料に対してモノアゾ系顔料を組み合わせた比較例2によれば、実施例と同じx値、y値の被膜において、コントラストが低く、被膜の膜厚も大きく、Greenのパターンへのマイグレーションが発生した。Y値が若干低かった。
ジケトピロロピロール系顔料を2種使用した比較例3、及びジケトピロロピロール系顔料に対してペリレン系顔料を組み合わせた比較例4によれば、実施例と同じx値、y値の被膜において、コントラスト及びY値が低かった。比較例5によれば、PR122を含有するために、実施例と同じx値、y値の被膜において、比較的被膜の膜厚が大きく、Y値が低かった。
【課題】カラーフィルター用顔料分散組成物を基にしてカラーフィルター用顔料分散レジスト組成物を調製したときに、高着色力、高輝度及び安定性に優れたカラーフィルター用顔料分散レジスト組成物を得ること。
【解決手段】ジケトピロロピロール系顔料、キナクリドン系顔料、顔料分散剤、アルカリ可溶性樹脂、及び有機溶剤を含有するカラーフィルター用顔料分散組成物(但しピグメントレッド122を含有しない)。