(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0013】
この発明に係る眼底撮影装置の実施形態の例について、図面を参照しながら詳細に説明する。なお、この明細書において引用された文献の記載内容や任意の公知技術を、以下の実施形態に援用することが可能である。
【0014】
眼底撮影装置は、被検眼の眼底に光を照射し、その反射光(眼底反射光、戻り光)を受光して眼底の形態を表す画像を取得する装置である。以下、実施形態に係る眼底撮影装置は、レーザー光で被検眼の眼底をスキャンし、その眼底反射光を受光デバイスで検出する走査型レーザー検眼鏡の光学系を備え、眼底の正面画像を形成することが可能である。
【0015】
[第1実施形態]
(光学系)
図1に、第1実施形態に係る眼底撮影装置の光学系の構成例を示す。
図1は、眼底共役位置における点像中心部の周辺光束を2分割する場合の光学系の構成例を表したものである。なお、
図1では、被検眼Eの眼底Efと光学的に共役な位置が眼底共役位置Pとして図示され、被検眼Eの瞳と光学的に共役な位置が瞳共役位置Qとして図示されている。
【0016】
光学系100は、照射系110と、導光系120と、多分岐バンドルファイバ140と、検出系150とを備えている。照射系110は、被検眼Eに光を照射するための光学系を備えている。導光系120は、照射系110からの光を被検眼Eに導くと共に、被検眼Eからの反射光を多分岐バンドルファイバ140の入射端に導くための光学系を備えている。多分岐バンドルファイバ140は、被検眼Eからの眼底反射光を複数の出射端に導く。検出系150は、多分岐バンドルファイバ140により導かれた光を眼底共役点における点像中心部の光とその周辺部の光として検出する。
【0017】
照射系110は、光源111と、光ファイバ112と、レンズ113とを含む。光源111は、たとえば、500nm〜900nmの波長範囲から選択された波長成分のレーザー光を発するものが用いられる。光源111として、たとえば、レーザーダイオード(Laser Diode:LD)、スーパールミネッセントダイオード(Super Luminescent Diode:SLD)、レーザードリブンライトソース(Laser Driven Light Source:LDLS)などが挙げられる。光源111が発するレーザー光は、単一波長の光に限定されず、ある程度の帯域幅の波長成分を有するものであってもよい。光源111が発する光は、指向性の高い光(すなわち、拡がり角の小さい光)であってよい。
【0018】
光源111には、レーザー光を導光系120に導く光ファイバ112が接続されている。光ファイバ112は、シングルモードファイバである。光ファイバ112のコア径は、光源111が発するレーザー光のスポット径と略等しくてよい。光ファイバ112の出射端には、光ファイバ112から出射したレーザー光を平行光束にするためのレンズ113が配置されている。レンズ113を通過したレーザー光は、導光系120に含まれるビームスプリッタ121に導かれる。
【0019】
ビームスプリッタ121は、照射系110の光路を導光系120の光路に結合する光路結合部材である。ビームスプリッタ121は、レンズ113を通過したレーザー光をミラー122に向けて反射すると共に、被検眼Eからの眼底反射光を透過させて集光レンズ123に導く。
【0020】
ミラー122の被検眼Eの側には、光束を整えるためのレンズ系124を介して、光スキャナ125が配置されている。光スキャナ125は、光源111からのレーザー光で被検眼Eの眼底Efを走査するために用いられる。光スキャナ125は、垂直方向光スキャナ125Vと、水平方向光スキャナ125Hとを含む。垂直方向光スキャナ125Vは、その傾きが可変可能なミラーであり、後述の制御部200により反射面の傾きが制御される。垂直方向光スキャナ125Vは、たとえば、眼底面内の垂直方向の走査に用いられる。垂直方向光スキャナ125Vは、ガルバノミラーなどの低速スキャナであってよい。垂直方向光スキャナ125Vの被検眼Eの側には、レンズ系126を介して水平方向光スキャナ125Hが配置されている。水平方向光スキャナ125Hは、その傾きが可変可能なミラーであり、制御部200により反射面の傾きが制御される。水平方向光スキャナ125Hは、たとえば、垂直方向に直交する眼底面内の水平方向の走査に用いられる。垂直方向光スキャナ125V及び水平方向光スキャナ125Hのいずれか一方は、レゾナントミラーやMEMS(Micro Electro Mechanical Systems)ミラーなどの高速スキャナであってよい。垂直方向光スキャナ125Vの反射面及び水平方向光スキャナ125Hの反射面は、被検眼Eの瞳と光学的に共役な位置(瞳共役位置)又はその近傍に配置されている。
【0021】
水平方向光スキャナ125Hの被検眼Eの側には、レンズ127を介して、視度補正機構128が配置されている。視度補正機構128は、レーザー光を眼底Ef上に略点像として照射するように調整するための調整手段の一例である。視度補正機構128は、被検眼Eの屈折力に応じて、眼底共役点の位置を連続的に移動する。視度補正機構128は、V字状の視度補正ミラー129、130を備えている。視度補正ミラー130を視度補正ミラー129に対して相対的に遠近させることで、眼底Efに光学系100の焦点が位置するように調整される。すなわち、視度には個人差や個体差があるが、この視度に違いがあっても、視度補正ミラー130の位置を移動することで、眼底Efに光学系100の焦点が位置するように、つまり眼底Ef上に照射光が略点像として集光して照射されるように調整される。なお、視度補正機構128において、被検眼Eの瞳は無限遠と共役関係にあるため、視度補正ミラー130の移動によって光学系100内の瞳共役関係は変動しない。
【0022】
視度補正機構128の被検眼Eの側には、レンズ系131を介して、ミラー132、133が配置されている。ミラー133の被検眼Eの側には、対物レンズ134が配置されている。対物レンズ134は、収差を抑えるために複数のレンズを組み合わせた構造を有している(もちろん、1枚のレンズで構成されていてもよい)。
【0023】
被検眼Eからの眼底反射光は、対物レンズ134からビームスプリッタ121までのレーザー光の経路を逆の向きで進行し、集光レンズ123を経由することで集光される。集光レンズ123による集光位置が眼底共役位置P又はその近傍となるように導光系120の光学素子が配置されている。集光レンズ123による集光位置(眼底共役位置P)には、多分岐バンドルファイバ140の入射端が配置されている。多分岐バンドルファイバ140は、入射端側において複数のファイバ芯(光導波路)が1つに束ねられ、且つ、出射端側において複数のファイバ芯が複数の小バンドルに分割されている光ファイバである。
【0024】
図2及び
図3に、実施形態に係る多分岐バンドルファイバ140の説明図を示す。
図2は、3分岐の多分岐バンドルファイバ140の構成例を模式的に表したものである。
図3は、
図2の多分岐バンドルファイバ140の入射端面におけるファイバ芯の配置例を模式的に表したものである。
【0025】
多分岐バンドルファイバ140の入射端側にはコネクタ141Aが設けられ、出射端側にはコネクタ141B、141D、141Eが設けられている。コネクタ141Aには、たとえば、(2×N(Nは正の整数)+1)本のファイバ芯が挿通されたSUS(Stainless Used Steeel)可撓管などの可撓管142の一端が接続されている。コネクタ141A〜141Dのそれぞれは、対応するコネクタに対して脱着可能である。コネクタ141A〜141Dのそれぞれは、たとえば、FCコネクタである。それにより、ねじ固定方式により適切な接続状態の維持が可能になり、分割方法や分割数などが異なる別の多分岐バンドルファイバへの交換が容易になる。
【0026】
(2×N+1)本のファイバ芯は、分岐金具143によって保持された状態で、1本のファイバ芯(中心芯)と2種類のN本のファイバ芯とからなる3つの小バンドルに分割される。各小バンドルもまた、SUS可撓管などの可撓管に挿通される。コネクタ141Bは、1本のファイバ芯が挿通された可撓管の他端に接続されている。コネクタ141C、141Dのそれぞれは、N本のファイバ芯が挿通された可撓管の他端に接続されている。それにより、コネクタ141B〜141Dのそれぞれを任意の位置に配置されたコネクタに対して装着することが可能になる。
【0027】
図3に示すように、多分岐バンドルファイバ140の入射端面における中央領域F1には、他端がコネクタ141Bに接続されている1本の中心芯(1本のファイバ芯)が配置されている。この中心芯の入射端は、導光系120の光軸に配置されている。多分岐バンドルファイバ140の入射端面における周辺分割領域F2には、コネクタ141Cに接続されているN本のファイバ芯が配置されている。多分岐バンドルファイバ140の入射端面における周辺分割領域F3には、コネクタ141Dに接続されているN本のファイバ芯が配置されている。それにより、多分岐バンドルファイバ140の入射端面における中央領域F1に入射した光束は中心芯によりコネクタ141Bに導かれる。周辺分割領域F2に入射した光束はN本のファイバ芯によりコネクタ141Cに導かれ、周辺分割領域F3に入射した光束はN本のファイバ芯によりコネクタ141Dに導かれる。
【0028】
多分岐バンドルファイバ140の入射端面において、中央領域F1の中心芯を除く(2×N)本のファイバ芯に対する複数の小バンドルへの分割方法は任意である。すなわち、入射端面における周辺分割領域の形状に限定されるものではない。たとえば、中心芯を除くファイバ芯を左右方向に2分割したり、上下方向及び左右方向に4分割したり、放射状に8分割したりすることが可能である。
【0029】
また、
図2及び
図3では、2つの小バンドに分割される例を示しているが、小バンドルへの分割数は3以上であってよい。複数の小バンドルのそれぞれを構成するファイバ芯の数は、同一でなくてもよい。多分岐バンドルファイバ140を構成する各ファイバ芯は、シングルモードファイバであってもよいし、マルチモードファイバであってもよい。また、中心芯の径とそれ以外のファイバ芯の径とは互いに異なっていてもよい。
【0030】
多分岐バンドルファイバ140の入射端側(コネクタ141A)は、その光軸を中心として回転可能であってよい。この場合、実施形態に係る眼底撮影装置は、多分岐バンドルファイバ140の入射端側を回転させる回転機構(第2機構)を含む。たとえば、ユーザは、手動で回転機構によりコネクタ141Aを中心芯の光軸の回りに回転させることができる。それにより、後述の位相コントラスト画像を見ながら、
図3に示す周辺分割領域の分割方向を変更することができるため、所望の画像を得るための分割方向の調整が容易になる。
【0031】
コネクタ141Aには、周辺分割領域の境界に対応した位置にキー(たとえば、
図3のキーG1、G2)が設けられていてもよい。それにより、ユーザは、キーの位置で周辺分割領域の分割方向を確認しながらコネクタ141Aを回転させることができる。
【0032】
以上のような多分岐バンドルファイバ140の出射端には、
図1に示すように、検出系150が設けられている。検出系150は、多分岐バンドルファイバ140の出射端から出射された光をそれぞれ検出する。多分岐バンドルファイバ140の出射端は少なくとも3つの領域に分割されるため、検出系150は、多分岐バンドルファイバ140の出射端における少なくとも3つの領域から出射された光をそれぞれ検出することが可能である。この実施形態では、検出系150は、多分岐バンドルファイバ140の出射端のそれぞれに対応して、リレー光学系と、光検出器とが設けられている。具体的には、検出系150は、リレー光学系151B〜151Dと、光検出器152B〜152Dとを備えている。
【0033】
コネクタ141Bに対応して、リレー光学系151Bと光検出器152Bとが設けられている。リレー光学系151Bは、コネクタ141Bから出射された光の眼底共役点をリレーするための光学系である。光検出器152Bは、コネクタ141Bから出射された光を検出する光検出素子である。光検出器152Bの光検出面は、眼底共役位置に配置されている。光検出器152Bは、たとえば、アバランシェフォトダイオード(Avalanche PhotoDiode:APD)又は光電子増倍管(PhotoMultiplier Tube:PMT)により構成されている。光検出器152Bによる被検眼Eの眼底Efからの眼底反射光の検出結果は、眼底共役点における点像中心部の光の検出結果としてSLO画像(confocal画像)の形成に用いられる。
【0034】
コネクタ141Cに対応して、リレー光学系151Cと光検出器152Cとが設けられている。リレー光学系151Cは、コネクタ141Cから出射された光の眼底共役点をリレーするための光学系である。光検出器152Cは、コネクタ141Cから出射された光を検出する光検出素子である。光検出器152Cの光検出面は、眼底共役位置に配置されている。光検出器152Cは、光検出器152Bと同様の構成を有している。
【0035】
コネクタ141Dに対応して、リレー光学系151Dと光検出器152Dとが設けられている。リレー光学系151Dは、コネクタ141Dから出射された光の眼底共役点をリレーするための光学系である。光検出器152Dは、コネクタ141Dから出射された光を検出する光検出素子である。光検出器152Dの光検出面は、眼底共役位置に配置されている。光検出器152Dは、光検出器152Bと同様の構成を有している。光検出器152C、152Dによる被検眼Eの眼底Efからの眼底反射光の検出結果は、眼底共役点における点像中心部の周辺部の光の検出結果として、位相コントラスト画像(nonconfocal画像)の形成に用いられる。
【0036】
多分岐バンドルファイバ140は、実施形態に係る「光ファイバ」の一例である。検出系150は、実施形態に係る「光検出部」の一例である。中央領域F1は、実施形態に係る「第1領域」の一例である。SLO画像は、実施形態に係る「第1画像」の一例である。位相コントラスト画像は、実施形態に係る「第2画像」の一例である。
【0037】
(処理系)
図4に、第1実施形態に係る眼底撮影装置の処理系の構成例を示す。
図4において、
図1〜
図3と同様の部分には同一符号を付し、適宜説明を省略する。
【0038】
第1実施形態に係る眼底撮影装置の処理系は、制御部200を中心に構成される。制御部200は、眼底撮影装置の各部の制御を行う。制御部200は、マイクロプロセッサ及び記憶装置を含んで構成される。記憶装置には、眼底撮影装置を制御するためのコンピュータプログラムがあらかじめ格納される。このコンピュータプログラムには、光源制御用プログラム、視度補正機構制御用プログラム、光スキャナ制御用プログラム、検出系制御用プログラム、画像形成用プログラム、データ処理用プログラム、表示制御用プログラム及びユーザインターフェイス用プログラムなどが含まれる。このようなコンピュータプログラムに従ってマイクロプロセッサが動作することにより、制御部200は制御処理を実行する。
【0039】
光学系に対する制御として、光源111の制御、光スキャナ125の制御、視度補正機構駆動部128Aを介した視度補正機構128の制御、検出系150の制御などがある。光源111の制御には、光源の点灯、消灯、光量調整、絞りの調整などがある。光スキャナ125の制御には、垂直方向光スキャナ125Vによる走査位置や走査範囲の制御、水平方向光スキャナ125Hによる走査位置や走査範囲の制御などがある。視度補正機構128の制御には、視度に応じた視度補正機構駆動部128Aに対する駆動制御などがある。検出系150の制御には、露光調整やゲイン調整や撮影レート調整などがある。
【0040】
画像形成部210は、検出系150による被検眼Eの眼底Efからの眼底反射光の検出結果に基づいて画像を形成する。画像形成部210は、光検出器152Bによる中央領域F1の中心芯から出射された光の検出結果に基づいてSLO画像を形成する。たとえば、画像形成部210は、光検出器152Bから入力される受光信号と、制御部200から入力される画素位置信号とに基づいて、SLO画像の画像データを形成する。
【0041】
また、画像形成部210は、SLO画像の形成に並行して、光検出器152C、152Dによる周辺分割領域F2、F3のファイバ芯から出射された光の検出結果に基づいて位相コントラスト画像を形成する。たとえば、画像形成部210は、光検出器152C、152Dから入力される受光信号に対して演算処理を施し、その演算処理結果と制御部200から入力される画素位置信号とに基づいて、位相コントラスト画像の画像データを形成する。たとえば、光検出器152Cにより得られた検出信号をIcとし、光検出器152Dにより得られた検出信号をIdとすると、位相コントラスト画像は、(Ic−Id)/(Ic+Id)を求めることにより取得することが可能である。
【0042】
なお、周辺分割領域が3以上の領域に分割されている場合、画像形成部210は、中央領域F1を除く2以上の領域から出射された光の検出結果に基づいて位相コントラスト画像を形成することが可能である。
【0043】
また、多分岐バンドルファイバ140の入射端面が中央領域を除き4以上の領域に分割されている(すなわち入射端面が5以上の領域)場合、画像形成部210は、4以上の領域から出射された光の検出結果に基づいて、複数種類の位相コントラスト画像を形成することが可能である。この場合、検出系150は、多分岐バンドルファイバ140の出射端における5以上の領域から出射された光をそれぞれ検出する。画像形成部210は、上記の5以上の領域のうち中央領域以外の4以上の領域から出射された光の検出結果に基づいて異なる2以上の位相コントラスト画像を形成する。たとえば、
図5に示すように、多分岐バンドルファイバ140の入射端面が中央領域ARaを除き4つの領域ARb〜AReに分割されているものとする。領域ARb〜AReのそれぞれに対応する光検出器により得られた検出信号をIb〜Ieとすると、画像形成部210は、式(1)の値を求めることにより第1位相コントラスト画像を形成する。第1位相コントラスト画像は、眼底共役位置における点像中心部の周辺光束を上下方向に2分割することにより得られる画像である。
【0045】
また、画像形成部210は、式(2)の値を求めることにより第2位相コントラスト画像を形成する。第2位相コントラスト画像は、眼底共役位置における点像中心部の周辺光束を左右方向に2分割することにより得られる画像である。
【0047】
また、画像形成部210は、周辺分割領域の組み合わせを変更することにより、周辺分割領域の分割方向や分割数が互いに異なる複数の位相コントラスト画像を形成することが可能である。この場合、多分岐バンドルファイバ140の入射端側を回転させることなく、周辺分割領域の分割方向や分割数の変更が可能である。
【0048】
データ処理部220は、各種のデータ処理を実行する。データ処理の例として、画像形成部210又は他の装置により形成された画像データに対する処理がある。この処理の例として、各種の画像処理や、画像データに基づく画像評価などの診断支援処理がある。
【0049】
ユーザインターフェイス(User Interface:以下、UI)部230は、ユーザと眼底撮影装置との間で情報のやりとりを行うための機能を備える。UI部230は、表示デバイスと操作デバイス(入力デバイス)とを含む。表示デバイスは、表示部を含んでよく、それ以外の表示デバイスを含んでもよい。操作デバイスは、各種のハードウェアキー及び/又はソフトウェアキーを含む。操作デバイスの少なくとも一部と表示デバイスの少なくとも一部とを一体的に構成することが可能である。タッチパネルディスプレイはその一例である。
【0050】
なお、多分岐バンドルファイバ140の入射端側を回転させる回転機構を駆動する駆動部を備え、制御部200が当該駆動部を制御することにより、多分岐バンドルファイバ140の入射端側(コネクタ141A)を自動で回転させるようにすることも可能である。
【0051】
また、多分岐バンドルファイバ140の入射端と導光系120との相対位置を変更する第1機構が設けられていてもよい。第1機構は、多分岐バンドルファイバ140の中心芯と導光系120の光軸との相対位置を変更することが可能である。たとえば、制御部200は、中央領域F1から出射された光の検出結果(光検出器152Bの検出結果)に基づいて第1機構を制御してもよい。それにより、アライメント時間を短縮することができる。
【0052】
以上のような構成を有する眼底撮影装置では、光源111から発生された眼底照射光であるレーザー光は、ビームスプリッタ121によりミラー122に向けて反射される。ミラー122により反射されたレーザー光は、光スキャナ125により走査光とされる。水平方向光スキャナ125Hにより偏向されたレーザー光は、視度補正機構128、ミラー132、133を介して対物レンズ134に導かれ、対物レンズ134を介して被検眼Eの眼底Efに照射される。この際、被検眼Eの眼底Efに光学系100の焦点が合うように、視度補正機構128が調整される。
【0053】
被検眼Eの眼底Efから反射された眼底反射光は、眼底照射光と逆の経路を辿り、ビームスプリッタ121に導かれる。眼底反射光はビームスプリッタ121を透過し、多分岐バンドルファイバ140の入射端に導かれる。多分岐バンドルファイバ140の入射端には、眼底共役位置における点像中心部の光束を導光する中心芯の入射端と、点像中心部の周辺部の光束を導光する2以上の小バンドルのファイバ芯の入射端とが配置されている。中心芯の入射端に入射した光束は光検出器152Bに導かれ、SLO画像の形成に用いられる。2以上の小バンドルのファイバ芯の入射端に入射した光束は、たとえば、光検出器152C、152Dに導かれ、位相コントラスト画像の形成に用いられる。
【0054】
[効果]
本実施形態の眼底撮影装置の効果について説明する。
【0055】
実施形態に係る眼底撮影装置は、光源(光源111)と、光スキャナ(光スキャナ125)と、光ファイバ(多分岐バンドルファイバ140)と、導光系(導光系120)と、光検出部(検出系150)と、画像形成部(画像形成部210)とを含む。光スキャナは、光源からの光で被検眼(被検眼E)の眼底(眼底Ef)を走査する。光ファイバは、複数の光導波路(中心芯、ファイバ芯)を有する。導光系は、光ファイバの入射端に眼底からの眼底反射光を導く。光検出部は、光ファイバの出射端における少なくとも3つの領域から出射された光をそれぞれ検出する。画像形成部は、少なくとも3つの領域のうちの第1領域(中央領域F1)から出射された光の検出結果に基づいて第1画像(SLO画像)を形成し、少なくとも3つの領域のうち第1領域以外の2以上の領域(周辺分割領域F2、F3)から出射された光の検出結果に基づいて第2画像(位相コントラスト画像)を形成する。
【0056】
このような構成によれば、光ファイバの入射端の位置と出射端の位置とを高精度に配置することが必要であるが、光束分割用素子を設けることなく、たとえば、点像中心部の光束と点像中心部の周辺部の光束とを分離して取得することが可能になる。また、点像中心部の周辺部の光束の分割数を増やす場合、従来の構成では分割数分の眼底共役点を形成する必要があり、光学系が長大化するが、当該分割数は光ファイバの分岐数で決まるため、眼底共役点を増やす必要がない。
【0057】
また、光ファイバのファイバ長の範囲で光学系の配置の自由度を高め、省スペース化が可能になる。また、光ファイバの入射端面での光導波路の配置に対して、小バンドルを構成する光導波路や分割数などを自由に設計することができるため、点像中心部の周辺光束の分割に多様性を持たせることが容易になる。さらに、分割数にかかわらず、第1画像を形成するための光と第2画像を形成するための光とを同時に検出することができるため、2つの画像の位置合わせを行う必要がない。たとえば、第1画像と第2画像との重ね合わせも容易になる。
【0058】
また、実施形態に係る眼底撮影装置では、第1領域に含まれる光導波路のうち少なくとも1つの入射端は、導光系の光軸に配置されていてもよい。
【0059】
このような構成によれば、第1領域に含まれる光導波路により導光される光束を点像中心部の光束として検出することが可能になる。
【0060】
また、実施形態に係る眼底撮影装置は、第1機構と、制御部(制御部200)とを含んでもよい。第1機構は、光ファイバの入射端と導光系との相対位置を変更する。制御部は、第1領域から出射された光の検出結果に基づいて第1機構を制御する。
【0061】
このような構成によれば、たとえば、第1領域の光導波路から出射される光の光量の増減を検出しながら、光ファイバの入射端を所望の位置(たとえば、眼底共役位置)に対して精度よく位置合わせを行うことが可能になる。また、第1領域について正しく位置を合わせることができれば、その他の領域も正確に位置を合わせることになり、分割数が多数になっても、アライメント作業に要する時間を短縮することができる。
【0062】
また、実施形態に係る眼底撮影装置は、第2機構を含んでもよい。第2機構は、光ファイバの入射端側を回転させる。
【0063】
このような構成によれば、光ファイバの入射端側の回転が容易になるため、たとえば、位相コントラスト像を参照しながら点像中心部の周辺光束を所望の方向に分割することも可能になる。
【0064】
また、実施形態に係る眼底撮影装置では、光検出部は、出射端における5以上の領域から出射された光をそれぞれ検出し、画像形成部は、5以上の領域のうち第1領域以外の4以上の領域から出射された光の検出結果に基づいて異なる2以上の第2画像を形成可能である。
【0065】
このような構成によれば、第1領域以外の4以上の領域の組み合わせを変更することにより、点像中心部の周辺部の光束の分割方法や分割数を容易に変更し、多様な位相コントラスト画像を取得することが可能になる。
【0066】
また、実施形態に係る眼底撮影装置では、光ファイバの入射端は、眼底と光学的に共役な位置又はその近傍に配置されていてもよい。
【0067】
このような構成によれば、第1領域に含まれる光導波路により導光される光束を眼底共役位置における点像中心部の光束として検出することが可能になる。
【0068】
また、実施形態に係る眼底撮影装置では、光検出部は、少なくとも3つの領域から出射された光をそれぞれ検出する3以上の光検出器(光検出器152B〜152D)を含んでもよい。
【0069】
このような構成によれば、点像中心部の周辺部の光束を領域ごとに検出することができる。
【0070】
[第2実施形態]
第1実施形態では、眼底撮影装置の光学系がSLO光学系を備えている場合について説明したが、実施形態に係る眼底撮影装置の光学系はSLO光学系に限定されるものではない。第2実施形態では、眼底撮影装置の光学系が補償光学走査型レーザー検眼鏡(Adaptive Optics Scanning Laser Ophthalmoscope:以下、AO−SLO)を備えている。
【0071】
第2実施形態に係る眼底撮影装置の構成は、第1実施形態に係る眼底撮影装置の構成に補償光学系が追加された点を除いてほぼ同様である。以下では、第2実施形態に係る眼底撮影装置について、第1実施形態との相違点を中心に説明する。
【0072】
図6に、第2実施形態に係る眼底撮影装置の光学系の構成例を示す。
図6において、
図1と同様の部分には同一符号を付し、適宜説明を省略する。
【0073】
第2実施形態に係る光学系100aの構成が第1実施形態に係る光学系100の構成と異なる点は、照射系110に代えて照射系110aが設けられた点と、導光系120に代えて導光系120aが設けられた点と、波面検出系160が追加された点である。導光系120aでは、ミラー122に代えてデフォーマブルミラー170が設けられている。照射系110aでは、レンズ113とビームスプリッタ121との間にハーフミラー172が設けられ、被検眼Eの眼底Efからの眼底反射光が波面検出系160に導かれる。
【0074】
ハーフミラー172は、照射系110aと波面検出系160とを分岐する光量分割ミラーである。波面検出系160は、被検眼Eの眼底Efからの反射光(検出光)から波面の情報を検出するための光学系である。ハーフミラー172は、光源111からのレーザー光の一部をビームスプリッタ121側に透過すると共に、ビームスプリッタ121の側から入射する検出光の一部を波面検出系160に向けて反射する。なお、ハーフミラー172の分岐比は、1:1に限定されない。
【0075】
波面検出系160は、波面検出部161と、一対のレンズ164とを含む。波面検出部161は、撮像装置であるCCD162と、その手前に配置されたレンズアレイ163とを含むシャックハルトマンセンサーである。レンズアレイ163は、小さなレンズを格子状に配列したもので、入射光を多数の光束に分割しそれぞれ集光する。レンズアレイ163の焦点をCCD162により撮像し、各レンズの焦点位置を解析することで、レンズアレイ163に入射した光の波面収差を検出することができる。すなわち、レンズアレイ163を介して被検眼Eの眼底Efからの反射像を観察することで、当該反射像における波面の乱れを検出することができる。CCD162により得られた画像は、制御部200a、画像形成部210又はデータ処理部220等の画像解析部に送られ、この画像解析部で波面の乱れが解析され、その結果に基づく制御信号(フィードバック信号)が、デフォーマブルミラー170に送られる。
【0076】
一対のレンズ164の間の眼底共役位置Pに共焦点絞りが配置されていてもよい。
【0077】
ビームスプリッタ121は、照射系110aと検出系150及び多分岐バンドルファイバ140とを分岐する光量分割ミラーである。ビームスプリッタ121の被検眼Eの側には、デフォーマブルミラー170が配置されている。デフォーマブルミラー170は、波面補正を行うための可変形鏡である。デフォーマブルミラー170は、複数のアクチュエータによって表面の形状を変形させることが可能なミラーである。デフォーマブルミラー170は、CCD162の検出結果を用いて形成された画像の解析結果に基づく制御信号により駆動される。たとえば、CCD162の検出結果に基づく撮像画像に歪み(波面の歪み)がある場合、その歪みを減少させるようにデフォーマブルミラー170の表面形状の変形が行われる。すなわち、光検出器152B〜152Dによる検出結果に基づく眼底Efの画像の歪みが小さくなるように、フィードバック制御により、デフォーマブルミラー170の表面形状の変形が行われ、眼底Efの画像の歪みが抑制される。
【0078】
図7に、第2実施形態に係る眼底撮影装置の処理系の構成例を示す。
図7において、
図4及び
図6と同様の部分には同一符号を付し、適宜説明を省略する。
【0079】
制御部200aは、制御部200と同様の制御に加えて、CCD162の制御、デフォーマブルミラー170の制御を行う。CCD162の制御には、露光調整やゲイン調整や撮影レート調整などがある。デフォーマブルミラー170の制御には、CCD162の検出結果に基づいて、複数のアクチュエータに対する駆動制御がある。
【0080】
第2実施形態では、被検眼Eの眼底Efからの眼底反射光は、ビームスプリッタ121に到達すると、そこで分岐され、一方がハーフミラー172に導かれ、他方が集光レンズ123に導かれる。ハーフミラー172は、眼底反射光を波面検出系160に向けて反射し、波面検出部161により検出される。波面検出部161により眼底反射光の波面の状態が検出されると、制御部200aは、その歪みが是正されるようにデフォーマブルミラー170の表面形状を変更する制御を実行する。
【0081】
以上のような構成を有する眼底撮影装置によれば、補償光学系により補償されたSLO画像を形成すると共に、第1実施形態と同様の効果を得ることができる。
【0082】
[第3実施形態]
第3実施形態では、眼底撮影装置の光学系がSLO光学系と光コヒーレンストモグラフィ(Optical Coherence Tomography:以下、OCT)光学系とを備えている。
【0083】
第3実施形態に係る眼底撮影装置の構成は、第1実施形態に係る眼底撮影装置の構成にOCT光学系が追加された点を除いてほぼ同様である。以下では、第3実施形態に係る眼底撮影装置について、第1実施形態との相違点を中心に説明する。
【0084】
図8及び
図9に、第3実施形態に係る眼底撮影装置の光学系の構成例を示す。
図8は、第3実施形態に係る光学系100bの全体の構成例を表す。
図9は、
図8のOCT光学系300の構成例を表す。
図8において、
図1と同様の部分には同一符号を付し、適宜説明を省略する。
【0085】
第3実施形態に係る光学系100bの構成が第1実施形態に係る光学系100の構成と異なる点は、導光系120に代えて導光系120bが設けられた点と、OCT光学系300が追加された点である。導光系120bでは、ミラー122とレンズ系124との間にダイクロイックミラー180が設けられている。ダイクロイックミラー180は、光源111からのレーザー光を透過させると共に、被検眼Eの眼底Efからの眼底反射光を透過させる。また、ダイクロイックミラー180は、後述するOCT光学系300からの測定光LSを光スキャナ125に向けて反射すると共に、被検眼Eからの測定光LSの戻り光をOCT光学系300に向けて反射する。
【0086】
OCT光学系300には、眼底Efなどの測定部位のOCT画像を取得するための光学系が設けられている。この光学系は、従来のフーリエドメインタイプのOCT装置と同様の構成を有する。すなわち、この光学系は、OCT光源からの光(低コヒーレンス光)を参照光LRと測定光LSに分割し、眼底Efを経由した測定光LSの戻り光と参照光路を経由した参照光LRとを干渉させて干渉光LCを生成し、この干渉光LCのスペクトル成分を検出するように構成されている。この検出結果(検出信号)は、画像形成部210cに送られる。
【0087】
OCT光源301は、広帯域の低コヒーレンス光L0を出力する。低コヒーレンス光L0は、たとえば、光源111が発するレーザー光と異なる波長を有し、たとえば、1000nmの波長成分を有し、波長幅は50nm程度である。OCT光源301は、スーパールミネセントダイオード(Super Luminescent Diode:SLD)等の光出力デバイスを含む。なお、この実施形態では特にスペクトラルドメインタイプについて説明しているが、スウェプトソースタイプを適用する場合には、波長掃引が可能なレーザー光源がOCT光源301として用いられる。一般に、OCT光源301の構成としては、光コヒーレンストモグラフィのタイプに応じたものが適宜選択される。
【0088】
OCT光源301から出力された低コヒーレンス光L0は、光ファイバ302によりファイバカプラ303に導かれて測定光LSと参照光LRとに分割される。
【0089】
測定光LSは、光ファイバ304により導光され、コリメートレンズ305により平行光束となる。測定光LSの光路は、ダイクロイックミラー180により前述のSLO光学系の光路に結合される。前述の光路を経由して眼底Efに照射された測定光LSは、たとえば、眼底Efなどの測定部位において散乱、反射される。この散乱光及び反射光をまとめて測定光LSの戻り光と称することがある。測定光LSの戻り光は、同じ経路を逆向きに進行してファイバカプラ303に導かれる。
【0090】
参照光LRは、光ファイバ306により導光され、コリメートレンズ307により平行光束となる。更に、参照光LRは、ND(Neutral Density)フィルタ308により減光され、コーナーキューブ309により反対方向に反射され、コリメーとレンズ310により参照ミラー311の反射面に結像される。コーナーキューブ309を含む参照系ユニットは、一体となって参照光LRの進行方向に沿って移動可能である。参照系ユニットを移動することにより眼軸長補正が可能である。参照ミラー311に反射された参照光LRは、同じ経路を逆向きに進行してファイバカプラ303に導かれる。なお、分散補償用の光学素子(ペアプリズム等)や、偏光補正用の光学素子(波長板等)を参照光LRの光路(参照光路)に設けてもよい。
【0091】
ファイバカプラ303は、測定光LSの戻り光と、参照ミラー311に反射された参照光LRとを合波する。これにより生成された干渉光LCは、光ファイバ312により導光されて出射端313から出射される。更に、干渉光LCは、コリメートレンズ314により平行光束とされ、回折格子315により分光(スペクトル分解)され、集光レンズ316により集光されてCCD317の受光面に投影される。
図9に示す回折格子315は反射型であるが、透過型の回折格子を用いてもよい。
【0092】
CCD317は、たとえばラインセンサであり、分光された干渉光LCの各スペクトル成分を検出して電荷に変換する。CCD317は、この電荷を蓄積して検出信号を生成する。更に、CCD317は、この検出信号を画像形成部210cに送る。
【0093】
この実施形態ではマイケルソン型の干渉計を採用しているが、たとえばマッハツェンダー型など任意のタイプの干渉計を適宜に採用することが可能である。また、CCDイメージセンサに代えて、他の形態のイメージセンサ、たとえばCMOS(Complementary Metal Oxide Semiconductor)イメージセンサなどを用いることが可能である。
【0094】
図10に、第3実施形態に係る眼底撮影装置の処理系の構成例を示す。
図10において、
図4、
図8及び
図9と同様の部分には同一符号を付し、適宜説明を省略する。
【0095】
制御部200cは、制御部200による制御に加えて、OCT光学系300の制御、OCT画像を形成する画像形成部210cの制御を行う。OCT光学系300の制御には、OCT光源301の制御、参照駆動部320の制御、CCD317の制御などがある。OCT光源301の制御には、光源の点灯、消灯、光量調整、絞りの調整などがある。参照駆動部320の制御には、参照光LRの進行方向に沿って参照系ユニットを移動させる制御などがある。CCD317の制御には、露光調整やゲイン調整や撮影レート調整などがある。
【0096】
画像形成部210cは、前述のSLO画像及び位相コントラスト画像の形成に加えて、OCT画像を形成することが可能である。画像形成部210cは、CCD317からの検出信号に基づいて、眼底Efの断層像の画像データを形成する。この処理には、従来のフーリエドメインタイプの光コヒーレンストモグラフィと同様に、ノイズ除去(ノイズ低減)、フィルタ処理、FFT(Fast Fourier Transform)などの処理が含まれている。なお、データ処理部220は、断層像の間の画素を補間する補間処理などの公知の画像処理を実行して、眼底Efの3次元画像の画像データを形成することが可能である。3次元画像の画像データとは、3次元座標系により画素の位置が定義された画像データを意味する。3次元画像の画像データとしては、3次元的に配列されたボクセルからなる画像データがある。この画像データは、ボリュームデータ或いはボクセルデータなどと呼ばれる。ボリュームデータに基づく画像を表示させる場合、データ処理部220は、このボリュームデータに対してレンダリング処理(ボリュームレンダリングやMIP(Maximum Intensity Projection:最大値投影)など)を施して、特定の視線方向から見たときの擬似的な3次元画像の画像データを形成する。UI部230の表示デバイスには、この擬似的な3次元画像が表示される。
【0097】
また、3次元画像の画像データとして、複数の断層像のスタックデータを形成することも可能である。スタックデータは、複数の走査線に沿って得られた複数の断層像を、走査線の位置関係に基づいて3次元的に配列させることで得られる画像データである。すなわち、スタックデータは、元々個別の2次元座標系により定義されていた複数の断層像を、1つの3次元座標系により表現する(つまり1つの3次元空間に埋め込む)ことにより得られる画像データである。
【0098】
以上のような構成を有する眼底撮影装置によれば、OCT画像を取得すると共に、第1実施形態と同様の効果を得ることができる。
【0099】
[第4実施形態]
実施形態に係る眼底撮影装置は、第1実施形態〜第3実施形態を任意に組み合わせた構成を備えていてもよい。第4実施形態では、眼底撮影装置の光学系がAO−SLOとOCT光学系とを備えている。
【0100】
第4実施形態に係る眼底撮影装置の構成は、第2実施形態に係る眼底撮影装置の構成に第3実施形態に係るOCT光学系300が追加された点を除いてほぼ同様である。以下では、第4実施形態に係る眼底撮影装置について、第2実施形態及び第3実施形態との相違点を中心に説明する。
【0101】
図11に、第4実施形態に係る眼底撮影装置の光学系の構成例を示す。
図11において、
図6及び
図8と同様の部分には同一符号を付し、適宜説明を省略する。
【0102】
第4実施形態に係る光学系100cの構成が第2実施形態に係る光学系100aの構成と異なる点は、導光系120aに代えて導光系120cが設けられた点である。導光系120cでは、デフォーマブルミラー170とレンズ系124との間にダイクロイックミラー180が設けられている。ダイクロイックミラー180は、光源111からのレーザー光を透過させると共に、被検眼Eの眼底Efからの眼底反射光を透過させる。また、ダイクロイックミラー180は、OCT光学系300からの測定光LSを光スキャナ125に向けて反射すると共に、被検眼Eからの測定光LSの戻り光をOCT光学系300に向けて反射する。
【0103】
第4実施形態に係る眼底撮影装置の処理系では、制御部が、
図7に示す制御部200aの制御に加えて、
図8に示す制御部200bによるOCT光学系300に対する制御を実行する。その他は、第2実施形態及び第3実施形態と同様である。
【0104】
以上のような構成を有する眼底撮影装置によれば、補償光学系により補償されたSLO画像及びOCT画像を取得すると共に、第1実施形態と同様の効果を得ることができる。
【0105】
前述の実施形態では、光学系が屈折系により構成された場合について説明したが、反射系により構成されてもよい。
【0106】
前述の実施形態において、検出系150は、多分岐バンドルファイバ140の出射端ごとに光検出器が設けられている構成について説明したが、実施形態に係る眼底撮影装置の光学系の構成はこれに限定されるものではない。たとえば、検出系150は、多分岐バンドルファイバ140の複数の出射端に対応して1つの光検出器が設けられた構成を有していてもよい。この場合、1つの光検出器は、複数の出射端から出射された光を時分割で検出することにより、出射端ごとに光を検出することが可能である。また、1つの光検出器の検出面を分割し、出射端ごとに光を検出してもよい。
【0107】
前述の実施形態において、多分岐バンドルファイバは、複数の出射端が設けられた多分岐のイメージファイバであってよい。