特許第6732104号(P6732104)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6732104
(24)【登録日】2020年7月9日
(45)【発行日】2020年7月29日
(54)【発明の名称】半導体装置及び半導体部品
(51)【国際特許分類】
   G01R 15/18 20060101AFI20200716BHJP
   G01R 19/00 20060101ALI20200716BHJP
【FI】
   G01R15/18 A
   G01R19/00 B
【請求項の数】7
【全頁数】20
(21)【出願番号】特願2019-507360(P2019-507360)
(86)(22)【出願日】2017年11月24日
(86)【国際出願番号】JP2017042133
(87)【国際公開番号】WO2019102572
(87)【国際公開日】20190531
【審査請求日】2019年2月8日
(73)【特許権者】
【識別番号】000002037
【氏名又は名称】新電元工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】230104019
【弁護士】
【氏名又は名称】大野 聖二
(74)【代理人】
【識別番号】230117802
【弁護士】
【氏名又は名称】大野 浩之
(72)【発明者】
【氏名】指田 和之
(72)【発明者】
【氏名】山地 瑞枝
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 健一
(72)【発明者】
【氏名】吉田 賢一
(72)【発明者】
【氏名】九里 伸治
【審査官】 岡田 卓弥
(56)【参考文献】
【文献】 特開平10−247718(JP,A)
【文献】 特開2004−119926(JP,A)
【文献】 特開2006−196778(JP,A)
【文献】 特開2012−88318(JP,A)
【文献】 国際公開第2006/059218(WO,A2)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01R15/00−15/26
G01R19/00−19/32
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第一電極と、
第二電極と、
前記第一電極と前記第二電極との間で流れる電流を取り囲むようにして設けられた巻線部と、前記電流を取り囲むようにして設けられ、前記巻線部の終端部で接続されて前記終端部から始端部側に向かって戻る巻戻し線部と、前記巻線部又は前記巻戻し線部に接続された積分回路構成部と、を有する半導体層と、
を備え、
前記積分回路構成部は、抵抗部、コンデンサ部及びオペアンプ部のいずれか1つ以上を有し、
前記抵抗部は、前記巻線部又は前記巻戻し線部に電気的に接続され、
前記コンデンサ部は、前記抵抗部又は外部に設けられた抵抗器に電気的に接続され、
前記オペアンプ部は、前記抵抗部又は外部に設けられた抵抗器と、前記コンデンサ部又は外部に設けられたコンデンサに電気的に接続され
前記半導体層内に前記巻線部及び前記巻戻し線部が埋設されることを特徴とする半導体装置。
【請求項2】
前記積分回路構成部は、前記抵抗部を有することを特徴とする請求項1に記載の半導体装置。
【請求項3】
前記積分回路構成部は、前記コンデンサ部を有することを特徴とする請求項1又は2のいずれかに記載の半導体装置。
【請求項4】
前記積分回路構成部は、前記抵抗部及び前記コンデンサ部を有し、
前記抵抗部及び前記コンデンサ部は、外部に設けられたオペアンプに電気的に接続されることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項に記載の半導体装置。
【請求項5】
前記積分回路構成部は、前記抵抗部、前記コンデンサ部及び前記オペアンプ部を有することを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項に記載の半導体装置。
【請求項6】
前記巻戻し線部は、前記巻線部内を通過しないことを特徴とする請求項1乃至5のいずれか1項に記載の半導体装置。
【請求項7】
半導体層を備えた半導体部品であって、
前記半導体層は、
電流を取り囲むようにして設けられた巻線部と、
前記電流を取り囲むようにして設けられ、前記巻線部の終端部で接続されて前記終端部から始端部側に向かって戻る巻戻し線部と、
前記巻線部又は前記巻戻し線部に接続された積分回路構成部と、を有し、
前記積分回路構成部は、抵抗部、コンデンサ部及びオペアンプ部のいずれか1つ以上を有し、
前記抵抗部は、前記巻線部又は前記巻戻し線部に電気的に接続され、
前記コンデンサ部は、前記抵抗部又は外部に設けられた抵抗器に電気的に接続され、
前記オペアンプ部は、前記抵抗部又は外部に設けられた抵抗器と、前記コンデンサ部又は外部に設けられたコンデンサに電気的に接続され
前記半導体層内に前記巻線部及び前記巻戻し線部が埋設されることを特徴とする半導体部品。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、半導体層に巻線部を有する半導体装置及び半導体部品に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、ロゴスキーコイルを利用した電流検出センサが知られている。このロゴスキーコイルはコアレスコイルであり、巻芯と、巻芯に巻かれた巻線と、巻線の終端部に接続され始端部側に戻る巻戻し線とを有している(例えば、特開2012−88224号参照)。また、ロゴスキーコイルは積分器に接続され、この積分器によって出力電圧を積分することで測定対象における電流の変化を測定することができる。このようなロゴスキーコイルでは、単位距離あたりの巻数が多ければ多いほど、その感度が高くなる。
【0003】
他方、半導体装置(例えばスイッチング素子)に流れる電流の変化を検知するセンサが提案されている。しかしながら、従前から存在するセンサでは半導体装置内で流れる電流の変化を十分な精度で検出できず、またセンサも含めて考えると装置全体の大きさが大型化するという問題がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は、全体の大きさを小型化でき、かつ精度よく動作を検出できる半導体装置及び半導体部品を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明による半導体装置は、
第一電極と、
第二電極と、
前記第一電極と前記第二電極との間で流れる電流を取り囲むようにして設けられた巻線部と、前記電流を取り囲むようにして設けられ、前記巻線部の終端部で接続されて前記終端部から始端部側に向かって戻る巻戻し線部と、前記巻線部又は前記巻戻し線部に接続された積分回路構成部と、を有する半導体層と、
を備え、
前記積分回路構成部が、抵抗部、コンデンサ部及びオペアンプ部のいずれか1つ以上を有し、
前記抵抗部が、前記巻線部又は前記巻戻し線部に電気的に接続され、
前記コンデンサ部が、前記抵抗部又は外部に設けられた抵抗器に電気的に接続され、
前記オペアンプ部が、前記抵抗部又は外部に設けられた抵抗器と、前記コンデンサ部又は外部に設けられたコンデンサに電気的に接続されてもよい。
【0006】
本発明による半導体装置において、
前記積分回路構成部は、前記抵抗部を有してもよい。
【0007】
本発明による半導体装置において、
前記積分回路構成部は、前記コンデンサ部を有してもよい。
【0008】
本発明による半導体装置において、
前記積分回路構成部は、前記抵抗部及び前記コンデンサ部を有し、
前記抵抗部及び前記コンデンサ部は、外部に設けられたオペアンプに電気的に接続されてもよい。
【0009】
本発明による半導体装置において、
前記積分回路構成部は、前記抵抗部、前記コンデンサ部及び前記オペアンプ部を有してもよい。
【0010】
本発明による半導体装置において、
前記巻戻し線部は、前記巻線部内を通過しなくてもよい。
【0011】
本発明による半導体部品は半導体層を備え、
前記半導体層は、
電流を取り囲むようにして設けられた巻線部と、
前記電流を取り囲むようにして設けられ、前記巻線部の終端部で接続されて前記終端部から始端部側に向かって戻る巻戻し線部と、
前記巻線部又は前記巻戻し線部に接続された積分回路構成部と、を有し、
前記積分回路構成部が、抵抗部、コンデンサ部及びオペアンプ部のいずれか1つ以上を有し、
前記抵抗部が、前記巻線部又は前記巻戻し線部に電気的に接続され、
前記コンデンサ部が、前記抵抗部又は外部に設けられた抵抗器に電気的に接続され、
前記オペアンプ部が、前記抵抗部又は外部に設けられた抵抗器と、前記コンデンサ部又は外部に設けられたコンデンサに電気的に接続されてもよい。
【発明の効果】
【0012】
本発明の一態様では、半導体層に巻線部が設けられていることから、半導体装置の製造技術を利用することで巻線部の構成を微細化することができ、単位長さあたりにおいて巻数を増やすことができる。このため、電流の変化を精度よく検出できる。また、このように微細化が可能であることから、巻線部及び巻戻し線部を半導体層に設けても、半導体装置の大きさが大きくなることを防止できる。さらに、本発明の一態様では、積分回路の少なくとも一部が半導体層に形成されているので、全体の構成を小型化することができ、また積分回路の少なくとも一部を巻線部に近接して配置することでノイズの発生を抑制できる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1図1は、本発明の第1の実施の形態で用いられうる半導体装置の平面図である。
図2図2(a)は、本発明の第1の実施の形態で用いられうる半導体装置の縦断面であり、図2(b)は、本発明の第1の実施の形態で用いられうる別の半導体装置の縦断面である。
図3図3(a)は、本発明の第1の実施の形態で用いられうる半導体装置の斜視面であり、図3(b)は、図3(a)で示した半導体装置の縦断面図であり、図3(c)は、図3(a)で示した半導体装置の平面図である。図3(a)では、図3(b)とは異なる縦断面を示すために、図3(b)(c)の右側の部分は示していない。
図4図4(a)は、本発明の第1の実施の形態で用いられうる半導体装置の製造工程を説明するための斜視面であり、図4(b)は、図4(a)で示した半導体装置の縦断面図であり、図4(c)は、図4(a)で示した半導体装置の平面図である。図4(a)では、図4(b)とは異なる縦断面を示すために、図4(b)(c)の右側の部分は示していない。
図5図5(a)は、図4(a)から進んだ製造工程を説明するための斜視面であり、図5(b)は、図5(a)で示した半導体装置の縦断面図であり、図5(c)は、図5(a)で示した半導体装置の平面図である。
図6図6(a)は、図5(a)から進んだ製造工程を説明するための斜視面であり、図6(b)は、図6(a)で示した半導体装置の縦断面図であり、図6(c)は、図6(a)で示した半導体装置の平面図である。
図7図7(a)は、図6(a)から進んだ製造工程を説明するための斜視面であり、図7(b)は、図7(a)で示した半導体装置の縦断面図であり、図7(c)は、図7(a)で示した半導体装置の平面図である。
図8図8(a)は、図7(a)から進んだ製造工程を説明するための斜視面であり、図8(b)は、図8(a)で示した半導体装置の縦断面図であり、図8(c)は、図8(a)で示した半導体装置の平面図である。
図9図9は、本発明の第1の実施の形態で用いられうるさらに別の半導体装置の縦断面図である。図9では、巻戻し線部が巻線部内を通過することを示すために、縦断面であれば見えない紙面のおもて面側の第二直線部も示している。
図10図10は、本発明の第1の実施の形態で用いられうる抵抗部の縦断面図である。
図11図11は、本発明の第2の実施の形態で用いられうる半導体装置の平面図である。
図12図12は、本発明の第2の実施の形態で用いられうるコンデンサ部の縦断面図である。
図13図13は、本発明の第3の実施の形態で用いられうる半導体装置の平面図である。
図14図14は、本発明の第4の実施の形態で用いられうる半導体装置の縦断面図である。
図15図15は、本発明の第4の実施の形態で用いられうる半導体装置の平面図である。
図16図16は、本発明の第5の実施の形態で用いられうる半導体装置の平面図である。
図17図17(a)は、本発明の第6の実施の形態で用いられうる半導体装置の縦断面であり、図17(b)は、本発明の第6の実施の形態で用いられうる別の半導体装置の縦断面である。
図18図18は、本発明の第7の実施の形態で用いられうる半導体装置の縦断面である。
図19図19は、本発明の第7の実施の形態で用いられうる別の態様における半導体装置の縦断面である。
図20図20は、本発明の第7の実施の形態で用いられうるさらに別の態様における半導体装置の縦断面である。
図21図21(a)は、本発明の第8の実施の形態で用いられうる半導体部品及び半導体装置の縦断面であり、図21(b)は、本発明の第8の実施の形態で用いられうる別の態様における半導体部品及び半導体装置の縦断面である。
図22図22は、本発明の第9の実施の形態で用いられうる半導体装置の平面図である。
図23図23は、本発明で用いられうる半導体装置の平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
第1の実施の形態
《構成》
本実施の形態で「一方側」とは図2の上方側を意味し、「他方側」とは図2の下方側を意味する。また、図2の上下方向(他方から一方に向かう方向及び一方から他方に向かう方向)を「第一方向」とし、図2の左右方向を「第二方向」とし、図2の紙面表裏方向を「第三方向」とする。第二方向及び第三方向を含む面内方向を「面方向」といい、図2の上方から見た場合を「平面視」という。
【0015】
図2(a)に示すように、本実施の形態の半導体装置100は、第一電極61と、第二電極62と、第一電極61と第二電極62との間で流れる電流を取り囲むようにして設けられた巻線部10と、当該電流を取り囲むようにして設けられ、巻線部10の終端部で接続されて終端部から始端部側に向かって戻る巻戻し線部50と、を含む半導体層1(図1も参照)と、を有してもよい。半導体の材料としては、シリコン、炭化珪素、窒化ガリウム等の材料を用いることができる。図2(a)に示す態様では、電流が上方から下方に向かって流れている態様を示しているが、あくまでも一例であり、電流は下方から上方に向かって流れるようにしてもよい。
【0016】
巻線部10及び巻戻し線部50はポリシリコン等の半導体材料から形成されてもよいが、これに限られることはなく、銅、アルミ等の金属材料等から形成され、金属膜が巻線部10及び巻戻し線部50となってもよい。
【0017】
巻戻し線部50は、巻線部10内を通過しないようにしてもよい。本実施の形態では、図1に示すように、巻戻し線部50は巻線部10の周縁外方を取り囲むようにして設けられている。巻線部10内は酸化膜等の絶縁材料で埋められてもよい(図3に示す後述する第三絶縁膜93を参照)。
【0018】
図1では、巻戻し線部50が巻線部10内を通過しない態様を用いて説明しているが、これに限られることはなく、図9に示すように、巻戻し線部50が巻線部10内を通過する態様を用いてもよい。なお本実施の形態では、図1に示す態様を「疑似的なロゴスキーコイル」と呼び、図9に示す態様を「ロゴスキーコイル」と呼ぶ。図2で「10,50」という符号が用いられているが、これらは疑似的なロゴスキーコイルが用いられてもよいし、ロゴスキーコイルが用いられてもよいことを意味している。
【0019】
図3に示すように、巻線部10は、巻線方向に沿った第一直線部11と、第一直線部11の端部から周縁内方(図3右側)かつ巻線方向に向かって面方向(第二方向及び第三方向を含む方向)で延びた第二直線部12と、第二直線部12の端部から一方側から他方側に向かって延びた第三直線部13と、第三直線部13の端部から周縁外方(図3左側)かつ巻線方向に直交する方向に向かって面方向で延びた第四直線部14と、他方側から一方側に向かって第四直線部14の端部から延びた第五直線部15とを有してもよい(第一態様)。また、巻線部10の終端部では、第五直線部15の端部から周縁外方に向かって面方向で延びた第六直線部16が設けられ、第六直線部16の端部と巻戻し線部50の始端部とが接続されてもよい。巻戻し線部50は面方向に延びてもよい。
【0020】
このような態様とは異なり、巻線部10は、巻線方向に沿った第一直線部11と、第一直線部11の端部から周縁内方かつ巻線方向に向かって面方向で延びた第二直線部12と、他方側から一方側に向かって第二直線部12の端部から延びた第三直線部13と、第三直線部13の端部から周縁外方かつ巻線方向に直交する方向に向かって面方向で延びた第四直線部14と、一方側から他方側に向かって第四直線部14の端部から延びた第五直線部15とを有してもよい(第二態様)。また、巻線部10の終端部では、第五直線部15の端部から周縁外方に向かって面方向で延びた第六直線部16が設けられ、第六直線部16の端部と巻戻し線部50の始端部とが接続されてもよい。巻戻し線部50は面方向に延びてもよい。
【0021】
なお、後述する製造方法を採用することを考えると、後に述べた第二態様ではなく先に述べた第一態様を採用することで巻戻し線部50を一方側に位置づけることができ、その結果として製造工程を簡易なものにすることができる点で有益である。
【0022】
第一電極61は第一主面に設けられ、第二電極62は第二主面に設けられてもよい。なお図2では上面が第一主面となり下面が第二主面となっている。また、半導体装置100は、スイッチング素子であってもよく、例えば縦型MOSFETであってもよい。図2(b)に示すように、縦型MOSFETに本実施の形態の態様が採用される場合には、第一電極61がソース電極であり、第二電極62がドレイン電極であってもよい。そして、疑似的なロゴスキーコイルはソース電極及びドレイン電極の間に流れる電流を取り囲むように設けられてもよい。なお、図2(b)の符号63はゲート電極である。
【0023】
図1に示すように、本実施の形態の半導体層1には抵抗部115が設けられてもよい。そして、巻線部10の始端部が半導体層1に形成された抵抗部115に接続され、抵抗部115は巻線側電極パッド18に接続されてもよい。そして、巻線側電極パッド18は外部に設けられたコンデンサ120の一端及びオペアンプ130の反転入力端子に接続され、巻戻し線部50の終端部に接続された巻戻し線電極パッド59がオペアンプ130の非反転入力端子に接続されてもよい。なお、コンデンサ120の他端はオペアンプ130の出力端子に接続されてもよい。図1では後述する抵抗部115が模式的に示されている。
【0024】
図10に示すように、抵抗部115は、巻線部10に接続される第一抵抗電極部118aと、巻線側電極パッド18と接続される第二抵抗電極部118bと、第一抵抗電極部118aと第二抵抗電極部118bの間に設けられた抵抗体117と、抵抗体117を覆う絶縁層116a,116bと、を有してもよい。第一抵抗電極部118a及び第二抵抗電極部118bはポリシリコン等から構成されてもよい。抵抗部115は半導体材料だけから構成される必要はなく、金属や絶縁材料も適宜用いることができ、例えば第一抵抗電極部118a及び第二抵抗電極部118bは金属から構成されてもよい。抵抗体117は例えば酸化ルテニウムやAg/Pd等から構成されてもよい。なお、抵抗部115を形成する際には、例えば抵抗器110を生成する技術を利用することもできる。また、抵抗部115の抵抗は半導体層1内の不純物濃度を調整することで変更するようにしてもよい。
【0025】
図1に示すように、巻線部10は、第二方向に延びたA方向巻線部31と、A方向巻線部31の端部に接続されるとともに第三方向に延びたB方向巻線部32と、B方向巻線部32の端部に接続されるとともに第二方向に延びたC方向巻線部33と、C方向巻線部33の端部に接続されるとともに第三方向に延びたD方向巻線部34とを有してもよい。このような態様を採用した場合には、直線形状で各方向巻線部31−34を形成することができ、比較的容易に製造することができる点で有益である。本実施の形態では4つの方向巻線部31−34を用いて説明するが、これに限られることはなく、3つの方向巻線部によって面方向で三角形状が形成されるようにしてもよいし、5つ以上の方向巻線部によって面方向で多角形状が形成されるようになってもよい。
【0026】
また、A方向巻線部31、B方向巻線部32、C方向巻線部33及びD方向巻線部34の長さは対応してもよい。長さが対応するというのは、A方向巻線部31、B方向巻線部32、C方向巻線部33及びD方向巻線部34の各々が、これらA方向巻線部31、B方向巻線部32、C方向巻線部33及びD方向巻線部34の平均値の±5%以内にあることを意味している。A方向巻線部31、B方向巻線部32、C方向巻線部33及びD方向巻線部34の各々に含まれる巻線の数は同数となってもよい。なお、A方向巻線部31の巻き数は、B方向巻線部32、C方向巻線部33及びD方向巻線部34の巻き数よりも例えば1つ又は2つ若しくはそれ以上短くなっていてもよい。
【0027】
上記態様では、線部として「直線部」を用いて説明した。つまり、第一線部の一例として第一直線部11を用い、第二線部の一例として第二直線部12を用い、第三線部の一例として第三直線部13を用い、第四線部の一例として第四直線部14を用い、第五線部の一例として第五直線部15を用い、第六線部の一例として第六直線部16を用いる態様を用いて説明したが、これに限られることはない。各線部は曲線であってもよいし、複数の線部のうちの一部だけが直線部となってもよい。なお、製造工程の容易さからすると、第二線部及び第四線部は直線部となることが有益であり、つまり、第二直線部12及び第四直線部14となることが有益である。
【0028】
また、上記態様では、縦断面で見たときに、第二直線部12、第三直線部13、第四直線部14及び第五直線部15によって矩形状が形成される態様であったが(図3及び図9参照)、このような態様に限られることはなく、縦断面で見たときに三角形状となってもよいし、より多くの角を有する多角形(五角形状以上)となってもよい。
【0029】
≪製造方法≫
次に、本実施の形態による半導体装置100の製造方法の一例について説明する。
【0030】
ウエハ等の半導体層1の上面に熱酸化膜又はCVD(Chemical Vapor Deposition)によって酸化膜等からなる第一絶縁膜91を形成する(図4参照)。なお、第一絶縁膜91にはレジスト膜も含まれている。
【0031】
次に、フォトリソグラフィによってトレンチを形成するための領域をパターニングし、その後で、第一絶縁膜91をドライエッチングする(図4参照)。
【0032】
次に、第一絶縁膜91をマスクとして半導体層1をドライエッチングする(図5参照)。エッチングされた側壁のダメージ層をCDE(Chemical Dry Etching),犠牲酸化膜又はHアニール等によって除去してもよい。
【0033】
次に、トレンチの内側壁及び内底面に熱酸化膜又はCVD酸化膜等の第二絶縁膜92を形成する(図6参照)。なお、第一絶縁膜91が例えばレジスト膜からなる場合には、このような態様とは異なり、第二絶縁膜92を形成される前に第一絶縁膜91が除去され、その後で第二絶縁膜92が設けられてもよい。
【0034】
次に、トレンチ内部をポリシリコン等の導電性材料95で埋め込み、第一絶縁膜91の上面にもポリシリコン等の導電性材料95を積み上げるようにする(図7参照)。このようにすることで、第二絶縁膜92が形成されたトレンチ内及び第一絶縁膜91上に導電性材料95が設けられることになる。このときに第一絶縁膜91に積み上がる導電性材料95の厚みは例えば0.5μm〜2μm程であってもよい。
【0035】
次に、フォトリソグラフィによって巻線部10及び巻戻し線部50を形成するためのパターニングを行う(図8参照)。この際、トレンチの内底面及び内側面に残る導電性材料95の厚みは第一絶縁膜91に積み上がる導電性材料95の厚みと同じ厚みとなり、例えば0.5μm〜2μm程となってもよい。このように同じ厚みとすることで、各直線部11−16及び巻戻し線部50内に流れる電流を一定のものにでき、検出精度を高めることができる点で有益である。
【0036】
次に酸化膜等の絶縁材料でトレンチ内部を埋め込むとともに、上面にも絶縁材料を積み上げるようにする(図3参照)。より具体的には、CVD、SOG(Spin on Glass)等で酸化膜等の第三絶縁膜93で埋め込み、上面にも層間絶縁膜等の第三絶縁膜93を設ける。
【0037】
次に、ポリシリコン等の導電性材料95で形成した巻線部10の始端部と巻戻し線部50の終端部の層間絶縁膜等の第三絶縁膜93にコンタクトホールを開けるためのフォトリソグラフィを行う。その後、ドライエッチングによって層間絶縁膜等の第三絶縁膜93にコンタクトホールを開け、コンタクトホールを開けた部分に電極用ワイヤ等のPADとなるメタルを形成し、巻線側電極パッド18及び巻戻し線電極パッド59を形成する(図1参照)。
【0038】
《作用・効果》
次に、上述した構成からなる本実施の形態による作用・効果の一例について説明する。なお、「作用・効果」で説明するあらゆる態様を、上記構成で採用することができる。
【0039】
本実施の形態のような巻線部10を採用した場合には、半導体装置100の製造技術を利用することで巻線部10の構成を微細化することができ、単位長さあたりにおいて巻数を増やすことができる。このため、電流の変化(半導体装置100の動作)を精度よく検出できる。また、このように微細化が可能であることから、巻線部10及び巻戻し線部50を半導体層1に設けても、半導体装置100の大きさが大きくなることを防止できる。
【0040】
また、本実施の形態のように第一電極61と第二電極62の配置位置が決まった半導体装置100において半導体層1に巻線部10及び巻戻し線部50を形成することから、測定対象となる第一電極61と第二電極62との間に流れる電流に対して、巻線部10及び巻戻し線部50を正確に位置づけることができる。また、位置ずれが起こらないので、位置ずれによる影響を受けることもない。このため、バラツキ無く電流の変化を測定することができる。
【0041】
巻戻し線部50が巻線部10内を通過しない態様を採用した場合には、製造工程を容易にすることができる点で非常に有益である。つまり、図9に示すように巻戻し線部50が巻線部10内を通過する態様を採用した場合には、巻戻し線部50を巻線部10内に形成する工程が煩雑なものとなり、製造コストが上がってしまう。他方、図3乃至図8を用いて説明したように、巻戻し線部50を巻線部10内に形成しないようにすることで、格段に製造工程を容易にすることができ、製造コストを低減できる点で有益である。
【0042】
半導体装置100がMOSFETのようなスイッチング素子である場合にはONとOFFを切り替える際に電流が変化することから、本実施の形態における疑似的なロゴスキーコイル及びロゴスキーコイルを採用することは有益である。
【0043】
図2に示すように、第一電極61が半導体層1の第一主面に設けられ、第二電極62が半導体層1の第二主面に設けられる態様を採用した場合には、第一主面と第二主面との間を電流が流れ、この電流を取り囲むようにして巻線部10及び巻戻し線部50が設けられることから、前述したような製造方法(図3乃至図8参照)を採用することができる。このため、製造工程を簡易なものにすることができ、量産を考えた場合に現実的な製造方法とすることができる点で有益である。
【0044】
図3(a)(b)に示すように、巻線部10の第一直線部11、第二直線部12及び第六直線部16と巻戻し線部50の高さ位置が同じ態様を採用した場合には、図7及び図8に示すように、これらに対して同じ工程を採用することができる点で有益である。つまり、第一絶縁膜91の上面に導電性材料95を積み上げ(図7参照)、導電性材料95をエッチングすることで生成することができる(図8参照)点で有益である。
【0045】
本実施の形態を採用することで巻戻し線部50を巻線部10の周縁外方に位置づけることができる。このため、第一電極61と第二電極62との間で流れる電流に巻線部10を極力近接して配置させることができる点で有益である。
【0046】
本実施の形態では、図1に示すように、半導体層1にコンデンサ120及びオペアンプ130に接続される抵抗部115が形成されている。このため、別途、抵抗器等を用いることなく積分回路を形成できる点で有益である。なお、積分回路としてオペアンプ130を利用しない態様も考えられ、この場合には、本実施の形態の半導体装置100をコンデンサ120に接続すればよいだけである。
【0047】
また、半導体層1に抵抗部115が内蔵されることで、より小型化することができ、また巻線部10と抵抗部115との間で発生するノイズを抑制することもできる。
【0048】
また、抵抗部115と巻線部10の始端部の位置関係が予め決まるので、抵抗部115と巻線部10の位置関係や接続態様によって、電流の変化を検知する際の精度に差が出ることを防止できる点でも有益である。
【0049】
第2の実施の形態
次に、本発明の第2の実施の形態について説明する。
【0050】
第1の実施の形態では、抵抗部115が半導体層1に形成されていたが、本実施の形態では、図11に示すように、抵抗部115に加えてコンデンサ部125が半導体層1に形成されている。図12に示すように、コンデンサ部125は、第一巻線側電極パッド18aに接続される第一コンデンサ電極部126aと、第二巻線側電極パッド18bに接続される第二コンデンサ電極部126bと、第一コンデンサ電極部126aと第二コンデンサ電極部126bとの間に設けられた絶縁層127と、を有してもよい。図11に示すように、第一巻線側電極パッド18aは半導体層1内で抵抗部115に接続されるとともに、外部に設けられたオペアンプ130の反転入力端子に接続され、第二巻線側電極パッド18bはオペアンプ130の出力端子に接続されてもよい。なお、図11ではコンデンサ部125が模式的に示されている。その他については、第1の実施の形態と同様であり、第1の実施の形態で採用したあらゆる構成を第2の実施の形態でも採用することができる。第1の実施の形態で説明した部材に対しては同じ符号を付して説明する。
【0051】
第一コンデンサ電極部126a及び第二コンデンサ電極部126bはポリシリコン等から構成されてもよい。コンデンサ部125は半導体材料だけから構成される必要はなく、金属や絶縁材料も適宜用いることができ、例えば第一コンデンサ電極部126a及び第二コンデンサ電極部126bは金属から構成されてもよい。コンデンサ部125を形成する際には、積層セラミックコンデンサやチップコンデンサを生成する技術を利用することもでき、絶縁層等の誘電体を複数の金属層又はポリシリコンからなる層で挟み込んで多層を構成するようにしてもよい。
【0052】
本実施の形態では、半導体層1に抵抗部115及びコンデンサ部125が形成されている。このため、別途、抵抗器及びコンデンサを用いることなく積分回路を形成できる点で有益である。
【0053】
また、半導体層1に抵抗部115及びコンデンサ部125が内蔵されることで、より小型化することができ、また巻線部10と抵抗部115の間及び抵抗部115とコンデンサ部125との間で発生するノイズを抑制することもできる。
【0054】
また、抵抗部115及びコンデンサ部125と巻線部10の始端部の位置関係が予め決まるので、抵抗部115及びコンデンサ部125と巻線部10の位置関係や接続態様によって、電流の変化を検知する際の精度に差が出ることを防止できる点でも有益である。
【0055】
第3の実施の形態
次に、本発明の第3の実施の形態について説明する。
【0056】
第2の実施の形態では抵抗部115及びコンデンサ部125が半導体層1に形成されていたが、本実施の形態では、図13に示すように、半導体層1にコンデンサ部125が設けられるが、抵抗部115は設けられていない。その他については、上記各実施の形態で採用したあらゆる構成を採用することができる。上記各実施の形態で説明した部材に対しては同じ符号を付して説明する。
【0057】
巻線部10の始端部が巻線電極パッド19に接続され、巻線電極パッド19が外部に設けられた抵抗器110の一端に接続されてもよい。抵抗器110の他端は第一コンデンサ電極パッド17aとオペアンプ130の反転入力端子に接続されてもよい。オペアンプ130の出力端子には第二コンデンサ電極パッド17bが接続されてもよい。第一コンデンサ電極パッド17aはコンデンサ部125の第一コンデンサ電極部126aに接続され、第二コンデンサ電極パッド17bはコンデンサ部125の第二コンデンサ電極部126bに接続されてもよい(図12参照)。
【0058】
本実施の形態では、半導体層1にコンデンサ部125が形成されている。このため、別途、コンデンサ120を用いることなく積分回路を形成できる点で有益である。
【0059】
第4の実施の形態
次に、本発明の第4の実施の形態について説明する。
【0060】
上記各実施の形態では、巻戻し線部50が巻線部10の周縁外方に設けられる態様となっていたが、本実施の形態では、図15に示すように巻戻し線部50が巻線部10の周縁内方に設けられる態様となっている。図15は第1の実施の形態に対応しているが、本実施の形態では、上記各実施の形態で採用したあらゆる構成を本実施の形態でも採用することができる。上記各実施の形態で説明した部材に対しては同じ符号を付して説明する。
【0061】
本実施の形態では、第1の実施の形態とは異なり、巻線方向に沿った第一直線部11と、第一直線部11の端部から周縁外方(図14の左側)かつ巻線方向に向かって面方向で延びた第二直線部12と、一方側から他方側に向かって第二直線部12の端部から延びた第三直線部13と、第三直線部13の端部から周縁内方(図14の右側)かつ巻線方向に直交する方向に向かって延びた第四直線部14と、他方側から一方側に向かって第四直線部14の端部から延びた第五直線部15とを有してもよい(第三態様)(図14参照)。また、巻線部10の終端部では、第五直線部15の端部から周縁内方(図14の右側)に向かって面方向で延びた第六直線部16が設けられ、第六直線部16の端部と巻戻し線部50の始端部とが接続されてもよい。巻戻し線部50は面方向に延びてもよい。
【0062】
また、このような態様とは異なり、巻線方向に沿った第一直線部11と、第一直線部11の端部から周縁外方かつ巻線方向に向かって面方向で延びた第二直線部12と、他方側から一方側に向かって第二直線部12の端部から延びた第三直線部13と、第三直線部13の端部から周縁内方かつ巻線方向に直交する方向に向かって延びた第四直線部14と、一方側から他方側に向かって第四直線部14の端部から延びた第五直線部15とを有してもよい(第四態様)。また、巻線部10の終端部では、第五直線部15の端部から周縁内方に向かって面方向で延びた第六直線部16が設けられ、第六直線部16の端部と巻戻し線部50の始端部とが接続されてもよい。巻戻し線部50は面方向に延びてもよい。
【0063】
第1の実施の形態で用いた製造方法を採用することを考えると、後に述べた第四態様ではなく先に述べた第三態様を採用することで、巻戻し線部50を一方側に位置づけることができ、その結果として製造工程を簡易なものにすることができる点で有益である。
【0064】
本実施の形態を採用することで巻線部10を巻戻し線部50の周縁外方に位置づけることができる。このため、巻線部10の長さを長く取ることができ、巻線部10の巻き数を増やすことができる。この結果、場合によっては電流の変化の検知精度を高めることもできる点で有益である。
【0065】
第5の実施の形態
次に、本発明の第5の実施の形態について説明する。
【0066】
上記各実施の形態では、巻線部10が、第二方向に延びたA方向巻線部31と、A方向巻線部31の端部に接続されるとともに第三方向に延びたB方向巻線部32と、B方向巻線部32の端部に接続されるとともに第二方向に延びたC方向巻線部33と、C方向巻線部33の端部に接続されるとともに第三方向に延びたD方向巻線部34とを有する態様であったが、これらに限られることはない。一例としては、図16に示すように、平面視(第二方向及び第三方向を含む平面)において巻線部10及び巻戻し線部50の各々が円形状となってもよい。また、平面視において巻線部10及び巻戻し線部50の各々が三角形状となってもよい。その他については、上記各実施の形態で採用したあらゆる構成を本実施の形態でも採用することができる。上記各実施の形態で説明した部材に対しては同じ符号を付して説明する。
【0067】
図16に示すような態様を採用した場合には、第一電極61と第二電極62との間に流れる電流をバランスよく検出できることを期待できる。なお、製造工程の容易さからすると、第1の実施の形態又は第2の実施の形態のようにA方向巻線部31、B方向巻線部32、C方向巻線部33及びD方向巻線部34のような直線状の形態を繋ぎ合わせる態様である方が有益である。
【0068】
第6の実施の形態
次に、本発明の第6の実施の形態について説明する。
【0069】
上記各実施の形態では、一つの半導体層1内に巻線部10と巻戻し線部50の両方が設けられていたが、本実施の形態では、第一電極61及び第二電極62が設けられた半導体層1に巻線部10だけが設けられ、別の半導体層200又は別の部材に巻戻し線部50が設けられている。その他については、上記各実施の形態で採用したあらゆる構成を本実施の形態でも採用することができる。上記各実施の形態で説明した部材に対しては同じ符号を付して説明する。
【0070】
一例として、図17(a)に示すように巻戻し線部50は金属線からなり、半導体装置100の周縁を取り囲むように配意されてもよい。この場合には、半導体装置100の側壁に巻戻し線部50を位置付けるための溝部5が設けられてもよい。
【0071】
また、図17(b)に示すように、巻線部10の設けられた半導体層1とは別の半導体層200に巻戻し線部50が形成され、当該別の半導体層200が巻線部10の設けられた半導体層1を取り囲むように設けられてもよい。
【0072】
第7の実施の形態
次に、本発明の第7の実施の形態について説明する。
【0073】
上記各実施の形態では、一つの疑似的なロゴスキーコイル又はロゴスキーコイルが設けられている態様であったが、本実施の形態では、複数の疑似的なロゴスキーコイル又はロゴスキーコイルが設けられている。その他については、上記各実施の形態で採用したあらゆる構成を本実施の形態でも採用することができる。上記各実施の形態で説明した部材に対しては同じ符号を付して説明する。
【0074】
図18に示すように、疑似的なロゴスキーコイル又はロゴスキーコイルが第一方向で整列して配置されてもよい。より具体的には、巻線部10と巻線部10内を通過しない巻戻し線部50(疑似的なロゴスキーコイル)、又は、巻線部10と巻線部10内を通過する巻戻し線部50(ロゴスキーコイル)が第一方向で並んで設けられてもよい。この態様を採用した場合には、第一方向の2箇所以上で電流の変化を検知することができるので、より正確に電流の変化を検知することができる点で有益である。但し、この態様では、巻線部10及び巻戻し線部50を第一方向で積み重ねるようにして配置する必要があることから、第1の実施の形態と比較すると製造工程が煩雑になることには留意が必要である。
【0075】
図19に示すように、疑似的なロゴスキーコイル又はロゴスキーコイルの外周側に別の疑似的なロゴスキーコイル又はロゴスキーコイルが配置されてもよい。より具体的には、巻線部10と巻線部10内を通過しない巻戻し線部50(疑似的なロゴスキーコイル)、又は、巻線部10と巻線部10内を通過する巻戻し線部50(ロゴスキーコイル)が第二方向又は第三方向で並んで設けられてもよい。この態様を採用した場合にも、より正確に電流の変化を検知することができる点で有益である。また、この態様では、第1の実施の形態と同様の製造工程を採用することができる点でも有益である。
【0076】
これらの態様が組み合わされてもよく、図20に示すように、第一方向で疑似的なロゴスキーコイル又はロゴスキーコイルが積層され、かつ疑似的なロゴスキーコイル又はロゴスキーコイルの外周側に別の疑似的なロゴスキーコイル又はロゴスキーコイルが設けられてもよい。より具体的には、巻線部10と巻線部10内を通過しない巻戻し線部50(疑似的なロゴスキーコイル)、又は、巻線部10と巻線部10内を通過する巻戻し線部50(ロゴスキーコイル)が第二方向又は第三方向で並んで設けられ、かつ、第一方向でも並んで設けられてもよい。
【0077】
第8の実施の形態
次に、本発明の第8の実施の形態について説明する。
【0078】
上記各実施の形態では、半導体装置100内に巻線部10、巻戻し線部50等が設けられる態様であったが、本実施の形態では、巻線部10、巻戻し線部50等は半導体装置100とは別の半導体部品150に設けられる態様となっている。その他については、上記各実施の形態と同様であり、上記各実施の形態で採用したあらゆる構成を本実施の形態でも採用することができる。本実施の形態の態様では、半導体部品150の半導体層1に、抵抗部115、コンデンサ部125、又は、抵抗部115及びコンデンサ部125の両方が設けられることになる。
【0079】
本実施の形態のような半導体部品150を採用することで、既存の半導体装置100に対しても電流の変化を測定できる点でも有益である。
【0080】
本実施の形態の半導体部品150は、例えば図21に示すように、測定対象である半導体装置100の周縁を取り囲むようにして配置されてもよい。これに限らず、半導体装置100内を流れる電流の少なくとも一部が流れる検出対象部を取り囲むようにして本実施の形態の半導体部品150が設けられてもよい。このような態様を採用した場合には、位置関係等から半導体装置100内に流れる電流を直接測定することが難しい場合であっても、半導体装置100内に流れる電流を間接的に測定することできる点で有益である。
【0081】
上記各実施の形態では、オペアンプ130が外部に設けられている態様を用いて説明したが、これに限られることはなく、図22に示すように、オペアンプ部135が半導体層1に形成されてもよい(第9の実施の形態)。抵抗部115、コンデンサ部125及びオペアンプ部135が半導体層1に形成されている場合には、これらによって積分回路を形成することができるため、当該半導体装置100だけで電流の変化を検出できるようになる点で有益である。
【0082】
上述した各実施の形態の記載及び図面の開示は、請求の範囲に記載された発明を説明するための一例に過ぎず、上述した実施の形態の記載又は図面の開示によって請求の範囲に記載された発明が限定されることはない。また、出願当初の請求項の記載はあくまでも一例であり、明細書、図面等の記載に基づき、請求項の記載を適宜変更することもできる。
【0083】
上記各実施の形態では、抵抗部115及びコンデンサ部125の少なくともいずれか一方が半導体層1に形成される態様を用いて説明したが、これに限られることはなく、半導体層1の巻戻し線部50及び巻線部10は、図23に示すように、半導体装置100の外部に設けられた抵抗器110、コンデンサ120及びオペアンプ130に接続されることで、積分回路が形成されてもよい。
【符号の説明】
【0084】
1 半導体層
10 巻線部
50 巻戻し線部
61 第一電極
62 第二電極
100 半導体装置
150 半導体部品
110 抵抗器
115 抵抗部
120 コンデンサ
125 コンデンサ部
130 オペアンプ
135 オペアンプ部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
図19
図20
図21
図22
図23