特許第6732200号(P6732200)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6732200
(24)【登録日】2020年7月10日
(45)【発行日】2020年7月29日
(54)【発明の名称】車両の後尾用空気浄化装置
(51)【国際特許分類】
   F01N 3/021 20060101AFI20200716BHJP
   F01N 3/022 20060101ALI20200716BHJP
   B01D 46/00 20060101ALI20200716BHJP
   B01D 46/12 20060101ALI20200716BHJP
   B01D 46/10 20060101ALI20200716BHJP
   B01D 39/14 20060101ALI20200716BHJP
【FI】
   F01N3/021
   F01N3/022
   B01D46/00 F
   B01D46/12
   B01D46/10 B
   B01D39/14 M
【請求項の数】3
【全頁数】8
(21)【出願番号】特願2019-8275(P2019-8275)
(22)【出願日】2019年1月22日
(65)【公開番号】特開2019-183830(P2019-183830A)
(43)【公開日】2019年10月24日
【審査請求日】2019年1月24日
(31)【優先権主張番号】10-2018-0041949
(32)【優先日】2018年4月11日
(33)【優先権主張国】KR
(73)【特許権者】
【識別番号】519024005
【氏名又は名称】ナム,チュン オク
(74)【代理人】
【識別番号】100091683
【弁理士】
【氏名又は名称】▲吉▼川 俊雄
(74)【代理人】
【識別番号】100179316
【弁理士】
【氏名又は名称】市川 寛奈
(72)【発明者】
【氏名】ナム,チュン オク
【審査官】 二之湯 正俊
(56)【参考文献】
【文献】 特開2008−302803(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2017/0210354(US,A1)
【文献】 韓国公開特許第10−2016−0111552(KR,A)
【文献】 米国特許第09308484(US,B1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F01N 3/00− 3/38
F01N 9/00−11/00
B01D 39/14
B01D 46/00
B01D 46/10
B01D 46/12
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両の左タイヤに対向する位置から右タイヤに対向する位置に向かって横方向に延びるスリット孔が備えられた吸入管体と、前記吸入管体の内部と誘導管を介して連結されたエアポンプと、前記エアポンプに連結されたフィルター手段とから構成され、
前記吸入管体のスリット孔は、車両のエンドマフラーおよびタイヤを向くように配置され、前記吸入管体の上部両側には、車両の後尾に吸入管体を固定設置することができるようにした一対の取付ブラケットが結合され、
前記エアポンプの作動によってスリット孔を介して吸入管体の内部、誘導管および前記エアポンプに流入した汚染空気は、前記フィルター手段へ供給されて浄化されるようにし、浄化された流入空気は、前記フィルター手段に設けられた排出口を介して大気中に排出されるように構成され、
前記誘導管は前記吸入管体の上方に配置され、
前記エアポンプおよび前記フィルター手段は前記吸入管体の上方に配置され、
前記エアポンプおよび前記フィルター手段は前記一対の取付ブラケットの間に配置されることを特徴とする、車両の後尾用空気浄化装置。
【請求項2】
前記フィルター手段は、エアポンプに連結される流入口、および大気中に流入空気を送り出す排出口を備え、前記流入口と前記排出口との間には、メッシュフィルター、活性炭フィルターおよびヘパフィルターが順次隔設されるように構成することを特徴とする、請求項1に記載の車両の後尾用空気浄化装置。
【請求項3】
前記フィルター手段は、上部に差し込み孔を設け、前記差し込み孔の下側および前記フィルター手段の内部にはフィルターガイドを突設することにより、前記メッシュフィルター、前記活性炭フィルターおよび前記ヘパフィルターが前記差し込み孔および前記フィルターガイドによってそれぞれ交換できるように構成することを特徴とする、請求項2に記載の車両の後尾用空気浄化装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両の後尾に取り付けられるようにした空気浄化装置に関し、より詳細には、乗用車や貨物車などの車両の後尾に装着し、車両の排気ガスおよびタイヤによる路面粉塵などを吸入した後、これを浄化させて排出させることにより、車両により発生する直接・間接的な形態の微細粉塵などを効率よく抑制および除去することができるようにした、車両の後尾用空気浄化装置に関する。
【背景技術】
【0002】
2013年、世界保健機関(WHO)によって1級発がん物質として指定された微細粉塵は、人体に深刻な悪影響を及ぼすことが報告されており、年々汚染が深刻化すると同時に危険性が強調されており、近年深刻な社会イシューとなっている。
【0003】
韓国の場合、上述した微細粉塵は、約30〜50%は中国から飛散してくる黄砂およびスモッグによるもの、残りは国内自体の汚染源から発生しているものと知られており、その中でも、煤煙を含んでいる車両の排気ガスからも相当量の微細粉塵が排出されており、高濃度の微細粉塵が予報される場合、車両2部制などの対策を講じたりもする。
【0004】
これにより、韓国登録実用新案第20−0134974号のように、排気パイプを介して排出される煤煙ガスを捕集して排出煤煙を低減させることができるようにするために、排気パイプと、排気パイプに設けられた消音器と、消音器を通過した直後の排気パイプに設けられた煤煙捕集ケースと、稠密なメッシュを有する金属網からなり、煤煙捕集ケースに回転可能に装着された煤煙捕集フィルターと、煤煙捕集フィルターを分離して洗浄することができるように煤煙捕集ケースに取り付けられたカバーと、煤煙捕集ケースの下部一側に設けられ、煤煙捕集フィルターに外気を供給する級気孔とから構成された、ディーゼル車の煤煙低減構造が案出および登録されたことがある。
【0005】
また、韓国登録実用新案第20−0266934号のように、内面に多数の案内翼を取り付けてなる挿入管を一体にしたボディの前面板には多数の貫通孔を穿孔し、ボディの内部にはフィルターを挿入し、底面には開閉ドアを設け、上端には固定用ブラケットを一体に結合してなる車両用煤煙排出防止用フィルター装置が案出および登録されたことがある。
【0006】
また、韓国登録実用新案第20−0349378号のように、車両のマフラーの後尾を直接構成するか或いは前記マフラーの後尾に別途取り付ける煤煙防止器に関するものであって、前記車両マフラーの後尾を、排気ガスを浄化させる煤煙フィルター筒が組み込まれた煤煙防止ケースとして直接構成するか、或いは、前記マフラーの後尾に、排気ガスを浄化させる煤煙フィルター筒が組み込まれた煤煙防止ケースを別途取り付けるが、不織布からなる前記煤煙フィルター筒には、一側が互いに互い違いに開放される煤煙フィルターを、グリースオイルに浸けて濡れている状態の不織布から構成し、一定の間隔を置いて複数個配置し、前記煤煙フィルター筒の排出口には、不織布で覆われたスクリーン鉄網を設置することにより、車両排気ガスの煤煙が前記煤煙フィルター筒を通過するとき、不織布に含浸されているグリースオイルに煤煙中の一酸化炭素などが付着し、排出口からは有害な物質を含有していない排気ガスの熱気のみ排出されるようにした、車両マフラー用煤煙防止器が案出および登録されたことがある。
【0007】
また、韓国特許第10−1214097号のように、排気ガスが通るケーシングの内部に位置し、前記排気ガスの流動方向と交差する方向に並列配置される二つ以上のフィルターと;前記フィルターの配列構造が維持されるように前記フィルターが固定され、前記ケーシングの内部に装着される固定手段と;を含んで構成される。本発明に係る煤煙濾過装置を利用すれば、ケーシング全体を分解することなくフィルターの装着および交換が可能なので、メンテナンス作業が容易になり、フィルターの破損部分のみを取り替えることができるので、メンテナンス費用を削減することができ、外部からの衝撃や外力によってフィルターが容易に破損しないという利点を持つ、ディーゼル用煤煙濾過装置が案出および登録されたことがある。
【0008】
ところが、従来の煤煙濾過装置は、車両の排気ラインのうちのエンドマフラーに直接装着して使用するか、或いは排気ラインの中間部に装着して使用するか、或いはエンドマフラーの末端に結合して使用しなければならないので、構造に応じて排気ライン全体に対する取替あるいは改善が要求されることがほとんどであって、実際運行している車両への適用にはかなりの問題点を持っている。
【0009】
また、車両の運行過程で発生する微細粉塵は、煤煙を含んでいる排気ガス以外にも、車両のタイヤが路面と摩擦しながら発生する形態の微細粉塵および路面に沈んていた微細粉塵の飛散など、車両により間接的に発生する微細粉塵への対策は全くない状態である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【特許文献1】韓国登録実用新案20−0134974号公報
【特許文献2】韓国登録実用新案20−0266934号公報
【特許文献3】韓国登録実用新案20−0349378号公報
【特許文献4】韓国登録特許10−1214097号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
本発明は、かかる問題点を解決するためになされたもので、その目的は、車両の後尾に装着可能にしたもので、車両の幅に対応する長さを有し、スリット孔が備えられた吸入管体と、前記吸入管体内の空気を強制的に吸入するエアポンプと、前記エアポンプから排出される空気を浄化させるフィルター手段とから構成することにより、
【0012】
車両のマフラーを介して排出される煤煙および車両の運行に伴うタイヤ周辺の微細粉塵を吸入および浄化排出して、車両から直接あるいは間接的に排出される微細粉塵を抑制および除去することができるようにした、車両の後尾用空気浄化装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0013】
上記目的を達成するための本発明は、車両の幅に対応する長さを有し、スリット孔が備えられた吸入管体と、前記吸入管体の内部と誘導管を介して連結されたエアポンプと、前記エアポンプに連結されたフィルター手段とから構成され、前記吸入管体のスリット孔は車両のエンドマフラーおよびタイヤを向くように配置され、前記吸入管体の上部両側には車両の後尾に吸入管体を固定設置することができるようにした取付ブラケットが結合され、
【0014】
エアポンプの作動によってスリット孔を介して吸入管体の内部、誘導管およびエアポンプに流入した汚染空気は、前記フィルター手段へ供給されて浄化されるようにし、浄化された流入空気は、前記フィルター手段に設けられた排出口を介して大気中に排出されるように構成する、車両の後尾用空気浄化装置を提供する。
【発明の効果】
【0015】
本発明は、車両の排気ラインから発生する煤煙および微細粉塵と共に、車両の走行過程で発生するタイヤ周辺の微細粉塵および粉塵などを同時に吸入し、これを浄化させた後に大気中に排出されるようにするので、車両から直接または間接的に排出される微細粉塵および様々な形態の粉塵などを効果的に除去することができるうえ、大気中に微細粉塵が拡散することを最大限に抑えることができるため、車両による微細粉塵の発生量を著しく減らすことができるという効果がある。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1】本発明に係る車両用空気浄化装置の全体斜視図である。
図2】本発明に係る車両用空気浄化装置の設置例示図である。
図3】本発明に係る車両用空気浄化装置が貨物車に装着された状態の背面図である。
図4】本発明に係る車両用空気浄化装置が貨物車に装着された状態の側面図である。
図5】本発明に係る車両用空気浄化装置のフィルター手段の詳細断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、添付図面を参照して、本発明の好適な実施形態を詳細に説明する。
【0018】
図1は本発明に係る車両用空気浄化装置の全体斜視図、図2は本発明に係る車両用空気浄化装置の設置例示図、図3は本発明に係る車両用空気浄化装置が貨物車に装着された状態の背面図、図4は本発明に係る車両用空気浄化装置が貨物車に装着された状態の側面図である。
【0019】
図示の如く、本発明に係る車両用空気浄化装置は、車両のマフラー、すなわち、排気ラインの末端であるマフラーエンドから大気中に排出される煤煙および排気ガスを捕集し、車両の走行中にタイヤの周りから発生するタイヤの粉塵および路面の粉塵などを一緒に捕集して、これらから異物および微細粉塵を浄化させた後、さらに大気中に放出する過程を経て、車両から直接排出される微細粉塵だけでなく、車両の運行に伴って発生する間接的な微細粉塵も除去することができる。
【0020】
本発明では、車両の幅に対応する長さを有する長方形の吸入管体10を備えるが、前記吸入管体10の一側には車両のマフラーエンドおよびタイヤを向くスリット孔11が横方向に長く穿設されており、前記吸入管体10の上部には別個のエアポンプ20が固定設置されており、前記吸入管体10とエアポンプ20とは誘導管12によって連結されている。
【0021】
また、前記エアポンプ20の一側には、別個のフィルター手段30が取り付けられており、前記フィルター手段30は、内部が空いており、一側には前記エアポンプ20に連結される流入口32が設けられており、他側には内部の空気を送り出すための排出口31が設けられている。
【0022】
特に、前記吸入管体10の上部両側には、金属板材などを折曲形成してなる取付ブラケット40、40’が結合しており、前記取付ブラケット40、40’を用いて、前記吸入管体10を車両の後尾下側に固定設置することができる。このときの前記吸入体10に穿設されたスリット孔11は、車両のマフラーエンドおよびタイヤを向くことになる。
【0023】
また、前記エアポンプ20は、車両の電気装置に連結されるようにして車両の始動がかかるとともに、前記エアポンプ20に電源が印加されるようにしてマフラーエンドからの煤煙および排気ガスを直ちに吸入することができるようにしたものである。
【0024】
これにより、前記エアポンプ20が作動して車両の煤煙が内部に吸入されると、誘導管12に沿ってエアポンプ20の内部へ移動し、前記汚染空気は、エアポンプ20および流入口32に沿ってフィルター手段30の内部へ供給される。フィルター手段30によって汚染空気中の各種異物や微細粉塵などを濾した後、前記排出口31を介して浄化済みの空気が排出されるようにしたのである。
【0025】
特に、本発明の車両用空気浄化装置は、車両の煤煙だけでなく、タイヤの周りから発生する粉塵や異物などを効果的に除去することができるもので、前記タイヤは、走行中に路面との摩擦により数多くの粉塵が発生するものであり、タイヤの粉塵以外にも、路面に沈んていた粉塵や微細粉塵あるいは各種異物が車両の走行と同時に飛散するので、このような微細粉塵および異物などが前記吸入管体10の内部に流入しながら、一緒に浄化排出され得るのである。
【0026】
また、本発明の車両用空気浄化装置は、図5に示すように、多段のフィルターが内蔵されたフィルター手段30を適用することができるものであり、前記フィルター手段30の上部には、多数の差し込み孔36が前記流入口32から順次互いに隔設されており、前記差し込み孔36を介して多数のフィルターをフィルター手段30の内側に挿入することができるのである。
【0027】
この時、前記差し込み孔36の下部およびフィルター手段30の内側下部には、フィルターガイド37が突設されており、前記差し込み孔36を介して内側に挿入されるさまざまなフィルターは、前記フィルターガイド37を介して案内されながらフィルター手段30の内部を区画する。
【0028】
特に、前記フィルター手段30には、それぞれメッシュフィルター33、活性炭フィルター34およびヘパフィルター35が順次挿入される。前記メッシュフィルター33は、合成樹脂あるいは金属メッシュで製作され、前記流入口32を介して供給される汚染空気中の比較的粒子の大きい異物を濾過するものである。前記メッシュフィルター33を通過した汚染空気は、前記活性炭フィルター34によって粉塵や微細粉塵などが1次に濾過され、さらにヘパフィルター35を通過しながら、人体に有害な微細粉塵などが完全に濾過される。
【0029】
次いで、前記ヘパフィルター35を通過した浄化空気が前記排出口31を介して大気中に排出されるので、結局、本発明に係る車両用空気浄化装置は、車両による煤煙および微細粉塵などの直接的な汚染物だけでなく、タイヤ自体および路面上の異物や微細粉塵などが迅速かつ効果的に除去できるため、さらに環境にやさしい装置といえるのである。
【0030】
また、前記フィルター手段30は、一定周期ごとに各種フィルターをフィルター手段30から分離して洗浄あるいは交換することができるので、使用上の利便性も非常に優れる。
【0031】
以上、本明細書に記載された実施形態および図面に示されている構成は、本発明の最も好適な一実施形態に過ぎないものであり、本発明の技術的思想をすべて代弁するものはないので、これらを代替することができる多様な均等物と変形例があり得ることを理解すべきである。
【符号の説明】
【0032】
10 吸入管体
11 スリット孔
12 誘導管
20 エアポンプ
30 フィルター手段
31 排出口
32 流入口
33 メッシュフィルター
34 活性炭フィルター
35 ヘパフィルター
36 差し込み孔
37 フィルターガイド
40,40’ 取付ブラケット
図1
図2
図3
図4
図5