(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6732211
(24)【登録日】2020年7月10日
(45)【発行日】2020年7月29日
(54)【発明の名称】対面式システムキッチン
(51)【国際特許分類】
A47B 77/02 20060101AFI20200716BHJP
A47B 77/08 20060101ALI20200716BHJP
【FI】
A47B77/02
A47B77/08 C
【請求項の数】2
【全頁数】7
(21)【出願番号】特願2016-118437(P2016-118437)
(22)【出願日】2016年6月15日
(65)【公開番号】特開2017-221354(P2017-221354A)
(43)【公開日】2017年12月21日
【審査請求日】2019年5月10日
(73)【特許権者】
【識別番号】000010087
【氏名又は名称】TOTO株式会社
(72)【発明者】
【氏名】上野 拓真
(72)【発明者】
【氏名】藍原 真弓
【審査官】
津熊 哲朗
(56)【参考文献】
【文献】
実開平05−021740(JP,U)
【文献】
特開2005−152082(JP,A)
【文献】
特開2006−129930(JP,A)
【文献】
特開2013−000384(JP,A)
【文献】
特開2005−040370(JP,A)
【文献】
特開2001−008753(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A47B 77/02
A47B 77/08
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
物品を収納可能な収納空間を有するキャビネットと、前記キャビネットの上方に配置されたカウンターと、前記カウンターの下方に配置された食器洗浄機と、を備え、
前記キャビネットの一面側には、前記収納空間へ物品を収納するために開閉可能な収納具が配置される第一開口部が設けられ、
前記キャビネットの他面側には、化粧パネルは着脱自在に設置される第二開口部が設けられ、
前記食器洗浄機に接続される給水管、排水管、給電配線は、前記第一開口部及び前記第二開口部との間に配置されており、
前記第一開口部と前記給水管、前記排水管、前記給電配線との間、及び、前記第二開口部と前記給水管、前記排水管、前記給電配線との間には、作業者が前記第一開口部及び前記第二開口部から前記給水管、前記排水管、前記給電配線へアクセス可能とする空間が設けられていることを特徴とする対面式システムキッチン。
【請求項2】
前記第一開口部及び前記第一開口部に配置される収納具は、前記食器洗浄機の下方に配置されていることを特徴とする請求項1に記載の対面式システムキッチン。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の態様は、一般的に、建築躯体に設置される対面式システムキッチンに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1に記載されたように、物品を収納可能な収納空間を有するキャビネットと、キャビネットの上方に配置されたカウンターと、を備えた対面式システムキッチンが知られている。また、キッチンのカウンターより下方に食器洗浄機を設置したシステムキッチンも、知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2005−40370号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
食器洗浄機を備えたシステムキッチンを設置する際には、システムキッチンを床面Fに載置した後、キッチンキャビネットにおけるキッチン作業側に設けられた引出しを取り外した状態もしくはキッチン作業側に設けられた扉を開いた状態でキッチンキャビネットの内部に入り込み、床面Fへ給水管、食器洗浄機の排水管、電源配線を接続する必要があるが、給水管及び排水管を建築躯体の床面Fへ接続する水道工事業者と、給電配線を床面Fへ接続する電気工事業者が、同時にキッチン作業側からキッチンキャビネットの内部に入り込んで作業を行うことは非常に困難である。したがって、一方の工事業者(作業者)が作業を行っている際には、他方の工事業者が一方の工事業者が作業を終えるのを待っていなければならず、作業効率が悪いものであった。
【0005】
本発明は、かかる課題の認識に基づいてなされたものであり、水道工事業者及び電気工事業者のいずれか一方が作業を行っている間、水道工事業者及び電気工事業者のいずれか他方が該作業を待つ必要がなくなり、作業効率を向上させることができる対面式システムキッチンを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
第1の発明は、物品を収納可能な収納空間を有するキャビネットと、前記キャビネットの上方に配置されたカウンターと、前記カウンターの下方に配置された食器洗浄機と、を備え、前記キャビネットの一面側には、前記収納空間へ物品を収納するために開閉可能な収納具が配置される第一開口部が設けられ、前記キャビネットの他面側には、化粧パネルは着脱自在に設置される第二開口部が設けられ、前記食器洗浄機に接続される給水管、排水管、給電配線は、前記第一開口部及び前記第二開口部との間に配置されており、前記第一開口部と前記給水管、前記排水管、前記給電配線との間、及び、前記第二開口部と前記給水管、前記排水管、前記給電配線との間には、作業者が前記第一開口部及び前記第二開口部から前記給水管、前記排水管、前記給電配線へアクセス可能とする空間が設けられていることを特徴とする対面式システムキッチンである。
【0007】
この対面式システムキッチンによれば、食器洗浄機に接続される給水管、排水管、給電配線は、第一開口部及び第二開口部との間に配置されており、第一開口部と給水管、排水管、給電配線との間、及び、第二開口部と給水管、排水管、給電配線との間には、作業者が第一開口部及び第二開口部から給水管、排水管、給電配線へアクセス可能とする空間が設けられているため、例えば水道工事業者(作業者)が第一開口部及び第二開口部の一方から食器洗浄機の給水管及び排水管の接続作業をしつつ、電気工事業者(作業者)が第一開口部及び第二開口部の他方から食器洗浄機の給電配線の接続作業を同時に行うことができる。したがって、一方の工事業者が作業を行っている際に他方の工事業者が一方の工事業者が作業を終えるのを待つ必要がなくなり、作業効率を向上することができる。
【0008】
第2の発明は、第1の発明において、前記第一開口部及び前記第一開口部に配置される収納具は、前記食器洗浄機の下方に配置されていることを特徴とする対面式システムキッチンである。
【0009】
この対面式システムキッチンによれば、第一開口部第一開口部に配置される収納具は食器洗浄機の下方に配置されているため、水道工事及び電気工事の際に、予め設置された食器洗浄機を動かす必要なく、且つ、容易に食器洗浄機の下方から建築躯体の床面Fへ給水管、排水管、給電配線の接続作業を行うことができるため、より作業性が向上する。
【発明の効果】
【0010】
本発明の態様によれば、水道工事業者及び電気工事業者のいずれか一方が作業を行っている間、水道工事業者及び電気工事業者のいずれか他方が該作業を待つ必要がなくなり、作業効率を向上させることができる対面式システムキッチンを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】本発明の実施の形態に係る対面式システムキッチンを示す模式的斜視図である。
【
図2】
図1の対面式システムキッチンを示す模式的正面図である。
【
図3】
図1の対面式システムキッチンを示す模式的背面図である。
【
図4】
図1の対面式システムキッチンを示す模式的側面図である。
【
図5】
図3の対面式システムキッチンの模式的A−A断面図である。
【
図6】食器洗浄機の施工時における
図3の対面式システムキッチンの模式的A−A断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明の実施の形態について図面を参照しつつ説明する。なお、各図面中、同様の構成要素には同一の符号を付して詳細な説明は適宜省略する。
また、本発明において、キッチン使用者(調理者など)がシステムキッチン100に向かって立っている位置が、システムキッチン100の「正面」であると定義する。
【0013】
図1は、本発明の実施の形態に係る対面式システムキッチンを示す模式的斜視図である。
図2は、
図1の対面式システムキッチンを示す模式的正面図である。
図3は、
図1の対面式システムキッチンを示す模式的背面図である。
図4は、
図1の対面式システムキッチンを示す模式的側面図である。
【0014】
図1〜4に示すように、対面式システムキッチン100は、物品を載置可能な上面を有するカウンター1と、カウンター1に設置されたシンク2と、シンク2内に水を吐出させる水栓装置4と、カウンター1に設置されたコンロ6と、カウンター1の下方に設置された収納キャビネット(キャビネット)8と、コンロの背面側に設置された目隠し部材10と、を備えている。シンク4は、例えば金属製である。収納キャビネット8は例えば木製であり、内部に物品を収納可能である。目隠し部材10は例えば半透明の樹脂製部材であって、表面が粗面化処理されており、対面式システムキッチン100の背面側(リビング側)からコンロ6を視認しにくくさせる役割を有する。
【0015】
収納キャビネット8の背面側(リビング側)には、背面側開口部(第2開口部)11(
図5参照)が設けられており、背面側開口部11には、化粧パネル12が設置されている。化粧パネル12は例えば樹脂製である。本実施形態においては、化粧パネル12は3枚設置されている。それぞれの化粧パネル12は、収納キャビネット8に対して蝶番14(
図5参照)を介して開閉自在に接続されている。即ち、化粧パネル12は、開状態となることで背面側開口部11から離れることとなり、閉状態となることで背面側開口部11を塞ぐこととなる。したがって、化粧パネル12は、背面側開口部11に対して着脱自在に設置されている。この化粧パネル12は、閉状態時において、収納キャビネット8と螺子止めされることで、固定されている。なお、本実施形態においては、この螺子止めは、ドライバー等の工具を使用する必要なく、簡易に取り付けられているものである。
【0016】
対面式システムキッチン100は、食器洗浄機15をさらに備えている。本実施形態においては、食器洗浄機15は、スライドオープン式の食器洗浄機である。食器洗浄機15は、カウンターの下方に配置されている。食器洗浄機15の下方には、正面側開口部(第1開口部)16が設けられている。
【0017】
収納キャビネット8の正面側には、収納キャビネット8の収納空間へ物品を収納可能な収納具である引出し18が複数設けられている。これらの引出し18は、収納キャビネット8に対して着脱自在に設置されている。本実施形態においては、食器洗浄機15の下方の正面側開口部16に配置された引出し18を洗浄機下引出し20とする。
【0018】
図5は、
図3の対面式システムキッチンの模式的A−A断面図である。
【0019】
図5に示すように、食器洗浄機15は、後方に、食器洗浄機15に水(湯)を供給するための給水管22と、食器洗浄機15で使用した水(湯)を排水するための排水管24と、食器洗浄機15に外部電源からの電気を供給するための給電配線26と、を有している。なお、給水管22は、「給湯管」という意味も含まれる。給水管22、排水管24、給電配線26は、それぞれ建築躯体の床面Fに接続されている。なお、
図5,6においては、給水管22及び排水管24を同時に図示するために、給水管22の一部を省略している。
【0020】
給水管22、排水管24、給電配線26は、正面側開口部16及び後方開口部28(
図6参照)と背面側開口部11との間に配置されている。給電配線26は、例えば給水管22及び排水管24より背面側に設置されている。給水管22及び排水管24は、それぞれ対面式システムキッチン100の長手方向に対して横並びに設置されている。
【0021】
収納キャビネット8の正面側開口部16における、正面側開口部16に設置された洗浄機下引出し20より後方側には、後方開口部28が設けられている。後方開口部28は、隠蔽板30によって、隠蔽されている。隠蔽板30は、後方開口部28に対して着脱自在に設置されている。
【0022】
図6は、食器洗浄機の施工時における
図3の対面式システムキッチンの模式的A−A断面図である。
図6を用いて、本発明における対面式システムキッチン100の食器洗浄機15の施工手順について説明する。
【0023】
図6に示すように、洗浄機下引出し20を正面側開口部16から取り除かれた状態で対面式システムキッチン100を建築躯体の床面Fに載置する。このとき、隠蔽板30も後方開口部28から取り除かれた状態であり、化粧パネル12も背面側開口部11から取り除かれた状態(収納キャビネット8に対して開状態)である。
【0024】
水道工事業者は、例えば正面側開口部16から収納キャビネット8の洗浄機下引出し20内に潜り込み、後方開口部28から水道工事を行う(矢印A方向から水道工事を行う)。ここでいう「水道工事」とは、例えば給水管22及び排水管24と建築躯体側の水道管及び排水配管との接続工事のことである。このような正面側開口部16からの工事は、正面側開口部16と給水管22、排水管24、給電配線26との間に、着脱不可能な遮蔽物が存在しないアクセス空間Aが設けられているため実現可能である。
【0025】
一方で、電気工事業者は、例えば背面側開口部11から電気工事を行う(矢印B方向から電気工事を行う)。ここでいう「電気工事」とは、例えば給電配線26と建築躯体側の外部電源(コンセント)32との接続やアース線接続工事のことである。このような背面側開口部11からの工事は、背面側開口部11と給水管22、排水管24、給電配線26との間に、着脱不可能な遮蔽物が存在しないアクセス空間Bが設けられているため実現可能である。
【0026】
当然、電気工事業者が正面側開口部16から収納キャビネット8に潜り込むことで、正面側開口部16から電気工事を行うことも可能である。また、水道工事業者が背面側開口部11から水道工事を行うことも可能である。
【0027】
このように、食器洗浄機15に接続される給水管22、排水管24、給電配線26は、正面側開口部16及び後方開口部28と背面側開口部11との間に配置されており、正面側開口部16と給水管22、排水管24、給電配線26との間、及び、背面側開口部11と給水管22、排水管24、給電配線26との間には、作業者が正面側開口部16及び背面側開口部11から給水管22、排水管24、給電配線26へアクセス可能とするアクセス用空間A、Bが設けられているため、例えば水道工事業者(作業者)が正面側開口部16及び背面側開口部11の一方から食器洗浄機15の給水管22及び排水管24の接続作業をしつつ、電気工事業者(作業者)が正面側開口部16及び背面側開口部11の他方から食器洗浄機15の給電配線26の接続作業を同時に行うことができる。したがって、一方の工事業者が作業を行っている際に他方の工事業者が一方の工事業者が作業を終えるのを待つ必要がなくなり、作業効率を向上することができる。
【0028】
また、正面側開口部16及び正面側開口部16に配置される収納具である洗浄機下引出し20は食器洗浄機15の下方に配置されているため、水道工事及び電気工事の際に、予め設置された食器洗浄機15を動かす必要なく、且つ、容易に食器洗浄機15の下方から建築躯体の床面Fへ給水管22、排水管24、給電配線26の接続作業を行うことができるため、より作業性が向上する。
【0029】
以上、本発明の実施の形態について説明した。しかし、本発明はこれらの記述に限定されるものではない。
【0030】
本発明の一実施形態において、収納具は引出し18としたが、本発明はそれに限らず、例えば一端を軸に開閉可能な扉であっても良い。
【0031】
前述の実施の形態に関して、当業者が適宜設計変更を加えたものも、本発明の特徴を備えている限り、本発明の範囲に包含される。例えば、システムキッチン100などが備える各要素の形状、寸法、材質、配置などは、例示したものに限定されるわけではなく適宜変更することができる。
また、前述した各実施の形態が備える各要素は、技術的に可能な限りにおいて組み合わせることができ、これらを組み合わせたものも本発明の特徴を含む限り本発明の範囲に包含される。
【符号の説明】
【0032】
1 カウンター、 2 シンク、 4 水栓装置、 6 コンロ、 8 収納キャビネット、 10 目隠し部材、 11 背面側開口部(第2開口部)、 12 化粧パネル、 14 蝶番、 15 食器洗浄機、 16 正面側開口部(第1開口部)、 18 引出し、 20 洗浄機下引出し、22 給水管、24 排水管、26 給電配線、28 後方開口部、30 隠蔽板、 32 外部電源(コンセント)、 100 システムキッチン