(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記表示制御部は、前記表示ユニットに前記所定の設定のための情報を表示させている状態で、前記所定の設定の指示に関する操作が所定時間継続して無いと、前記表示ユニットの表示態様を、切り替える直前の状態に戻す請求項1に記載の歌詞表示装置。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、図面を参照して本発明の実施の形態を説明する。
【0011】
図1、
図2は、本発明の一実施の形態に係る歌詞表示装置の模式図である。この歌詞表示装置は、一例として鍵盤楽器である電子楽器100として構成され、本体部30及びネック部31を有する。本体部30は、第1面30a、第2面30b、第3面30c、第4面30dを有する。第1面30aは、複数の鍵から成る鍵盤部KBが配設される鍵盤配設面である。第2面30bは裏面である。第2面30bにはフック36、37が設けられる。フック36、37間には不図示のストラップを架けることができ、演奏者は通常、ストラップを肩に掛けて鍵盤部KBの操作等の演奏を行う。従って、肩掛けした使用時で、特に鍵盤部KBの音階方向(鍵の配列方向)が左右方向となるとき、第1面30a及び鍵盤部KBが聴取者側を向き、第3面30c、第4面30dはそれぞれ概ね下方、上方を向く。なお、電子楽器100は、肩掛け使用時に鍵盤部KBを主として右手で演奏する仕様となっている。
【0012】
ネック部31は本体部30の側部から延設される。ネック部31には、進み操作子34、戻し操作子35をはじめとする各種の操作子が配設される。本体部30の第4面30dには、液晶等で構成される表示ユニット33が配設される。なお、本体部30、ネック部31の側面視形状は概ね矩形であるが、矩形を構成する4つの各面は平坦面でなくてもよく、凸面等の湾曲面であってもよい。
【0013】
電子楽器100は、演奏操作子への操作に応じて歌唱模擬を行うことができる楽器である。ここで、歌唱模擬とは、歌唱合成により人間の声を模擬した音声を出力することである。鍵盤部KBの各鍵は白鍵、黒鍵が音高順に並べられ、各鍵は、それぞれ異なる音高に対応付けられている。電子楽器100を演奏する場合、ユーザは、鍵盤部KBの所望の鍵を押下する。電子楽器100はユーザにより操作された鍵を検出し、操作された鍵に応じた音高の歌唱音を発音する。なお、発音される歌唱音の音節の順序は予め定められている。
【0014】
図3は、電子楽器100のブロック図である。電子楽器100は、CPU(Central Processing Unit)10と、タイマ11と、ROM(Read Only Memory)12と、RAM(Random Access Memory)13と、データ記憶部14と、演奏操作子15と、他操作子16と、パラメータ値設定操作子17と、表示ユニット33と、音源19と、効果回路20と、サウンドシステム21と、通信I/F(Interface)と、バス23と、を備える。
【0015】
CPU10は、電子楽器100全体の制御を行う中央処理装置である。タイマ11は、時間を計測するモジュールである。ROM12は制御プログラムや各種のデータなどを格納する不揮発性のメモリである。RAM13はCPU10のワーク領域及び各種のバッファなどとして使用される揮発性のメモリである。表示ユニット33は、液晶ディスプレイパネル、有機EL(Electro−Luminescence)パネルなどの表示モジュールである。表示ユニット33は、電子楽器100の動作状態、各種設定画面、ユーザに対するメッセージなどを表示する。
【0016】
演奏操作子15は、主として音高を指定する演奏操作を受け付けるモジュールである。本実施の形態では、鍵盤部KB、進み操作子34、戻し操作子35は演奏操作子15に含まれる。一例として、演奏操作子15が鍵盤である場合、演奏操作子15は、各鍵に対応するセンサのオン/オフに基づくノートオン/ノートオフ、押鍵の強さ(速さ、ベロシティ)などの演奏情報を出力する。この演奏情報は、MIDI(musical instrument digital interface)メッセージ形式であってもよい。
【0017】
他操作子16は、例えば、電子楽器100に関する設定など、演奏以外の設定を行うための操作ボタンや操作つまみなどの操作モジュールである。パラメータ値設定操作子17は、音のパラメータを設定するための操作ボタンや操作つまみなどの操作モジュールである。歌唱音の属性についてのパラメータとしては、例えば、和声(Harmonics)、明るさ(Brightness)、共鳴(Resonance)、性別要素(Gender Factor)等がある。和声とは、声に含まれる倍音成分のバランスを設定するパラメータである。明るさとは、声の明暗を設定するパラメータであり、トーン変化を与える。共鳴とは、有色音の音色や強弱を設定するパラメータである。性別要素とは、フォルマントを設定するパラメータであり、声の太さ、質感を女性的、或いは、男性的に変化させる。外部記憶装置3は、例えば、電子楽器100に接続される外部機器であり、例えば、音声データを記憶する装置である。通信I/F22は、外部機器と通信する通信モジュールである。バス23は電子楽器100における各部の間のデータ転送を行う。
【0018】
データ記憶部14は、歌唱用データ14a(歌詞データ)を格納する。歌唱用データ14aには歌詞テキストデータ、音韻情報データベースなどが含まれる。歌詞テキストデータは、歌詞を記述するデータである。歌詞テキストデータには、曲ごとの歌詞が音節単位で区切られて記述されている。すなわち、歌詞テキストデータは歌詞を音節に区切った文字情報を有し、この文字情報は音節に対応して歌詞を表示するための表示用の情報でもある。ここで音節とは、1回の演奏操作に応じて出力する音のまとまりである。音韻情報データベースは、音声素片データを格納するデータベースである。音声素片データは音声の波形を示すデータであり、例えば、音声素片のサンプル列のスペクトルデータを波形データとして含む。また、音声素片データには、音声素片の波形のピッチを示す素片ピッチデータが含まれる。歌詞テキストデータ、音声素片データは、それぞれ、データベースにより管理されてもよい。
【0019】
音源19は、複数の発音チャンネルを有するモジュールである。音源19には、CPU10の制御の基で、ユーザの演奏に応じて1つの発音チャンネルが割り当てられる。歌唱音を発音する場合、音源19は、割り当てられた発音チャンネルにおいて、データ記憶部14から演奏に対応する音声素片データを読み出して歌唱音データを生成する。効果回路20は、音源19が生成した歌唱音データに対して、パラメータ値設定操作子17により指定された音響効果を適用する。サウンドシステム21は、効果回路20による処理後の歌唱音データを、デジタル/アナログ変換器によりアナログ信号に変換する。そして、サウンドシステム21は、アナログ信号に変換された歌唱音を増幅してスピーカなどから出力する。
【0020】
図4は、表示ユニット33の主要部を示す図である。表示ユニット33は、表示領域として、第1メインエリア41、第2メインエリア42、第1サブエリア43、第2サブエリア44を有する。全体の表示領域は2行(2段)構成となっており、第1メインエリア41及び第1サブエリア43が1行目(上段)、第2メインエリア42及び第2サブエリア44が2行目(下段)に配置される。メインエリア41、42のそれぞれにおいて、表示ユニット33の長手方向に複数の表示部である表示枠45(45−1、45−2、45−3・・・45−13)が直列に連続配置されている。サブエリア43、44のそれぞれも複数の表示部である表示枠46(46−1、46−2、46−3)を有している。複数の表示枠45は、連続した一部の表示部群である第1の表示部群であり、複数の表示枠46は、第1の表示部群に属しない第2の表示部群である。表示枠45は文字を表示でき、表示枠46はアイコン等の視覚情報を表示できる構成であればよく、それぞれの構成は問わず、また、枠で囲まれて区画されることも必須でない。
図4の左端の表示枠45−1を先頭として、音節に対応する文字が発音予定順に表示される。メインエリア41、42は主として歌詞表示に用いられる。サブエリア43、44は、歌詞以外の表示であって、主として状態表示に用いられる。
【0021】
図5は、電子楽器100による演奏が行われる場合の処理の流れの一例を示すフローチャートである。ここでは、ユーザにより、演奏曲の選択と選択した曲の演奏とが行われる場合の処理について説明する。また、説明を簡単にするため、複数の鍵が同時に操作された場合であっても、単音のみを出力する場合について説明する。この場合、同時に操作された鍵の音高のうち、最も高い音高のみについて処理してもよいし、最も低い音高のみについて処理してもよい。なお、以下に説明する処理は、例えば、CPU10がROM12やRAM13に記憶されたプログラムを実行し、電子楽器100が備える各種構成を制御する制御部として機能することにより実現される。
【0022】
電源がオンにされると、CPU10は、演奏する曲を選択する操作がユーザから受け付けられるまで待つ(ステップS101)。なお、一定時間経過しても曲選択の操作がない場合は、CPU10は、デフォルトで設定されている曲が選択されたと判断してもよい。CPU10は、曲の選択を受け付けると、選択された曲の歌唱用データ14aの歌詞テキストデータを読み出す。そして、CPU10は、歌詞テキストデータに記述された先頭の音節にカーソル位置を設定する(ステップS102)。ここで、カーソルとは、次に発音する音節の位置を示す仮想的な指標である。次に、CPU10は、鍵盤部KBの操作に基づくノートオンを検出したか否かを判定する(ステップS103)。CPU10は、ノートオンが検出されない場合、ノートオフを検出したか否かを判別する(ステップS107)。一方、ノートオンを検出した場合、すなわち新たな押鍵を検出した場合は、CPU10は、音を出力中であればその音の出力を停止する(ステップS104)。次にCPU10は、ノートオンに応じた歌唱音を発音する出力音生成処理を実行する(ステップS105)。
【0023】
この出力音生成処理を説明する。CPU10はまず、カーソル位置に対応する音節の音声素片データ(波形データ)を読み出し、ノートオンに対応する音高で、読み出した音声素片データが示す波形の音を出力する。具体的には、CPU10は、音声素片データに含まれる素片ピッチデータが示す音高と、操作された鍵に対応する音高との差分を求め、この差分に相当する周波数だけ波形データが示すスペクトル分布を周波数軸方向に移動させる。これにより、電子楽器100は、操作された鍵に対応する音高で歌唱音を出力することができる。次に、CPU10は、カーソル位置(読出位置)を更新し(ステップS106)、処理をステップS107に進める。
【0024】
ここで、ステップS105、S106の処理に係るカーソル位置の決定と歌唱音の発音について、具体例を用いて説明する。まず、カーソル位置の更新について説明する。
図6は、歌詞テキストデータの一例を示す図である。
図6の例では、歌詞テキストデータには、5つの音節c1〜c5の歌詞が記述されている。各字「は」、「る」、「よ」、「こ」、「い」は、日本語のひらがなの1字を示し、各字が1音節に対応する。CPU10は、音節単位でカーソル位置を更新する。例えば、カーソルが音節c3に位置している場合、「よ」に対応する音声素片データをデータ記憶部14から読み出し、「よ」の歌唱音を発音する。CPU10は、「よ」の発音が終了すると、次の音節c4にカーソル位置を移動させる。このように、CPU10は、ノートオンに応じて次の音節にカーソル位置を順次移動させる。
【0025】
次に、歌唱音の発音について説明する。
図7は、音声素片データの種類の一例を示す図である。CPU10は、カーソル位置に対応する音節を発音させるために、音韻情報データベースから、音節に対応する音声素片データを抽出する。音声素片データには、音素連鎖データと、定常部分データの2種類が存在する。音素連鎖データとは、「無音(#)から子音」、「子音から母音」、「母音から(次の音節の)子音又は母音」など、発音が変化する際の音声素片を示すデータである。定常部分データは、母音の発音が継続する際の音声素片を示すデータである。例えば、カーソル位置が音節c1の「は(ha)」に設定されている場合、音源19は、「無音→子音h」に対応する音声連鎖データ「#−h」と、「子音h→母音a」に対応する音声連鎖データ「h−a」と、「母音a」に対応する定常部分データ「a」と、を選択する。そして、CPU10は、演奏が開始されて押鍵を検出すると、音声連鎖データ「#−h」、音声連鎖データ「h−a」、定常部分データ「a」に基づく歌唱音を、操作された鍵に応じた音高、操作に応じたベロシティで出力する。このようにして、カーソル位置の決定と歌唱音の発音が実行される。
【0026】
図5のステップS107でノートオフを検出した場合は、CPU10は、音を出力中であればその音の出力を停止して(ステップS108)、処理をステップS110に進める。一方、ノートオフが検出されない場合は、CPU10は処理をステップS110に進める。ステップS110では、CPU10は、演奏が終了したか否かを判別する。CPU10は、ステップS110で、演奏を終了していない場合は処理をステップS103に戻す。一方、演奏を終了した場合は、CPU10は、音を出力中であればその音の出力を停止して(ステップS111)、
図5に示す処理を終了する。なお、CPU10は、演奏を終了したか否かを、例えば、選択曲の最後尾の音節が発音されたか否か、あるいは他操作子16により演奏を終了する操作が行われた否か、などに基づき判別できる。
【0027】
次に、歌詞表示に着目した動作について説明する。まず、歌唱用データ14aに含まれる歌詞テキストデータは、選択曲に応じた複数の各音節に対応付けられた文字情報を少なくとも含む。歌詞テキストデータは、歌唱部(音源19、効果回路20及びサウンドシステム21)により歌唱されるためのデータである。歌詞テキストデータは、予め複数の区間に分けられており、分割された各区間を「フレーズ」と称する。フレーズは、あるまとまりのある単位であり、ユーザが認識しやすい意味により区切られたものであるが、区間の定義はこれに限定されない。CPU10は、曲が選択されると、複数のフレーズに分けられた状態で取得する。フレーズには1以上の音節とその音節に対応する文字情報が含まれる。
【0028】
電子楽器100が起動されると、CPU10は、選択曲に対応する複数のフレーズのうち先頭のフレーズに対応する文字情報を、表示ユニット33の第1メインエリア41(
図4)に表示させる。その際、1フレーズ目の先頭の文字が左端の表示枠45−1に表示され、第1メインエリア41に表示可能な数だけ文字が表示される。2フレーズ目については、第2メインエリア42に表示可能な数だけ文字が表示される。鍵盤部KBは、歌唱の指示、ひいては文字情報の表示進行の指示を取得する進行指示取得部としての役割を果たす。CPU10は、歌唱の指示が取得されたことに応じて、次に歌唱する音節を歌唱部に歌唱させると共に、第1メインエリア41に表示された文字の表示を、音節の進行に従って進める。文字表示の歩進方向は
図4の左方向であり、最初に表示しきれなかった文字は、歌唱の進行に応じて右端の表示枠45から表れる。上記カーソル位置は次に歌唱する音節を示すものであり、第1メインエリア41の表示枠45−1に表示された文字に対応する音節を指示する。
【0029】
なお、1文字と1音節とは必ずしも対応しない。例えば、濁点を有する「だ」(da)は、「た」(ta)と「″」の2文字が1音節に対応する。また、歌詞は英語でもよく、例えば歌詞が「september」の場合、「sep」「tem」「ber」の3音節となる。「sep」は1音節であるが、「s」「e」「p」の3文字が1音節に対応する。文字表示の歩進はあくまで音節単位であるので、「だ」の場合は歌唱により2文字進むことになる。このように、歌詞は、日本語に限らず他言語であってもよい。
【0030】
図8は、表示処理のフローチャートである。なお、この処理は、例えば、CPU10がROM12やRAM13に記憶されたプログラムを実行し、電子楽器100が備える各種構成を制御する制御部として機能することにより実現される。また、
図8に示す処理は、電源がオンにされた後、
図5に示す処理と並行して実行される。
図8に示す処理において、CPU10は、状態取得部、表示制御部、データ取得部、設定指示取得部としての役割を果たす。
図9、
図10、
図12、
図13、
図14は、表示ユニット33における表示例を示す図である。
図11A、
図11B、
図11Cはサブエリアの表示例を示す図である。
【0031】
電源がオンにされると、CPU10は、
図9に示す起動時画面を表示ユニット33に表示させる(ステップS201)。この起動時画面では、最初、例えば、第1メインエリア41及び第1サブエリア43にはメーカ名、第2メインエリア42及び第2サブエリア44には製品名等が表示される。そして、CPU10は、電子楽器100に関する「所定の状態」を取得する(ステップS202)。なお、状態取得中、CPU10は、表示ユニット33を、起動中を示す表示に切り替えてもよい。ここで、所定の状態には給電に関する状態が含まれ、例えば、電源の種類が商用電源であるか電池であるか、さらには電池残量の状態が含まれる。また、所定の状態にはキートランスポーズの設定状態及びその値、現在の選択曲の番号、ネット接続有無等の状態等が含まれる。所定の状態はこれらの例示に限定されない。なお、CPU10は、所定の状態の取得の際に、選択曲の歌唱用データ14aも取得し、さらに取得した歌唱用データ14aの歌詞テキストデータから選択曲に対応する複数のフレーズを抽出する。複数のフレーズには既に順番が付けられている。
【0032】
次に、CPU10は、
図10に示すような通常画面を表示ユニット33に表示させる(ステップS203)。具体的には、CPU10は、メインエリア41、42に歌詞を表示させると共に、サブエリア43、44に、上記取得した状態に関する情報を表示させる。特に歌詞表示に関しては、CPU10は、抽出した複数のフレーズのうち1フレーズ目の文字を、第1メインエリア41に先頭から表示可能な分だけ表示させると共に、2フレーズ目の文字を、第2メインエリア42に先頭から表示可能な分だけ表示させる。例えばCPU10は、
図10に示すように、文字列「ダンダント・・・」を第1メインエリア41に表示させると共に、文字列「アイウエオ・・・」を第2メインエリア42に表示させる。なお、上記起動中を示す表示から通常画面表示へ遷移する途中で、選択曲や設定音色に関する情報が一時的に表示されるとしてもよい。
【0033】
ところで、CPU10は、歌詞表示用にメインエリア41、42の少なくとも一方を用いてもよく、状態に関する情報(以下、状態情報)表示用にサブエリア43、44の少なくとも一方を用いてもよい。状態情報表示の一例として、
図10では、給電状態が電池であり、充電状態(電池残量)が満充電であることがアイコンによって示されている。なお、電子楽器100は歌唱合成モードと楽器発音モードとを備えてもよい。
図10の表示例は歌唱合成モードを想定している。楽器発音モードにおける通常画面表示では、CPU10は、歌詞の代わりに楽器音色を示す情報をメインエリア41、42に表示させてもよい。
【0034】
次に、CPU10は、電源がオフにされたか否かを判別し(ステップS204)、電源がオフにされた場合は、現在の各種情報(状態や設定値等)を不揮発メモリ(データ記憶部14等)に記憶させてから(ステップS205)、
図8に示す処理を終了させる。一方、電源がオフにされない場合は、CPU10は、所定の状態に関して変化があったか否かを判別する(ステップS206)。そしてCPU10は、所定の状態に関して変化がない場合は処理をステップS208に進める一方、所定の状態に関して変化があった場合は、状態情報の表示を更新して(ステップS207)、処理をステップS208に進める。
【0035】
ここで、ステップS207では、CPU10は、新たに取得した所定の状態に関する情報に基づきサブエリア43、44の表示を更新する。例えばCPU10は、電池残量が少なくなった、あるいは残量無しになったという状態情報を取得した場合、
図11A、
図11Bに示すように、サブエリア44における電池残量表示を残量に対応する表示に切り替える。あるいは、電源が電池から商用電源に切り替わった場合、CPU10は、
図11Cに示すように、サブエリア44の表示を、コンセントを模擬したアイコンに切り替える。なお、これらの際、メインエリア41、42における歌詞表示はそのまま維持される。
【0036】
ステップS208では、CPU10は、歌唱用データ14aに関する変更を受け付けたか否かを判別する。歌唱用データ14aに関する変更には、例えば、現在の選択曲における歌唱位置の変更、あるいは、選択曲自体の変更が該当する。そしてCPU10は、歌唱用データ14aに関する変更を受け付けていない場合は、所定の設定の指示を受け付けたか否かを判別する(ステップS209)。ここで、所定の設定には、例えば、音の生成に関する設定(パラメータの設定変更、例えば、エフェクト、ボリューム等)や、各種機能に関する設定(オクターブシフト、ミュート等)に関する設定が含まれる。所定の設定にはまた、ファームウェアのアップデート等も含まれる。所定の設定はこれらの例示に限定されない。
【0037】
CPU10は、ステップS209で、所定の設定の指示を受け付けていない場合は、処理をステップS204に戻す一方、所定の設定の指示を受け付けた場合は、処理をステップS210に進める。ステップS210では、CPU10は、メインエリアとサブエリアの双方を用いて設定画面を表示させる。すなわちCPU10は、通常画面表示から、表示ユニット33における第1の表示部群及び第2の表示部群の双方を用いて所定の設定のための情報を表示させる設定画面表示へと、表示態様を切り替える。例えば、ファームウェアのアップデートの設定指示を受け付けた場合、CPU10は、
図12に示すように、アップデートモードである旨を示す文字情報をメインエリア41及びサブエリア43に表示させると共に、現在と更新後の各バージョンを示す文字情報をメインエリア42、サブエリア44に表示させる。なお、エフェクト変更の設定指示を受け付けた場合、CPU10は、変更前後のエフェクトの種類や値等を、メインエリア41、42、サブエリア43、44を用いて表示させる。なお、表示ユニット33における1行目と2行目を用いる場合、各行の利用の態様に限定はない。例えば、1行目に設定変更の項目、2行目に設定値を表示させる等の態様が考えられる。
【0038】
ステップS211では、CPU10は、受け付けた設定指示の内容を反映させ、次に、設定画面表示が表示された状態で、所定時間、継続して設定指示に関する操作が無いか否かを判別する(ステップS212)。そして、所定時間が経過する前に新たに設定指示に関する操作があると、それを受け付け、ステップS210に処理を戻す。なお、ステップS210〜S212の繰り返しにより、設定画面表示の表示は刻々と変化するものであり、
図12に示す例はその途中の一例である。一方、設定画面表示が表示された状態で、所定時間、継続して設定指示に関する操作が無い場合は、CPU10は、表示ユニット33の表示態様を、設定画面表示へ切り替える直前の状態に戻す(ステップS213)。従って、所定の設定のための情報を表示させている状態で、所定時間、継続して設定指示に関する操作が無い場合は、直前の通常画面表示に戻る。その後、処理はステップS204に戻る。
【0039】
ステップS208で、歌唱用データ14aに関する変更を受け付けている場合は、CPU10は、選択曲の変更を受け付けたか否かを判別する(ステップS214)。そして、選択曲の変更を受け付けていない場合、受け付けられたのは現在の選択曲における歌唱位置の変更であるので、CPU10は、メインエリア41、42における歌詞表示を更新する(ステップS218)。すなわち、CPU10は、第1メインエリア41のフレーズの表示を1音節分進める。詳細には、CPU10は、第1メインエリア41の左端の1音節に対応する文字を消去すると共に、消去した数の分だけ文字列を左に詰める。フレーズの表示を1音節分進めることで新たに表示枠45−1に表示された文字に対応する音節が、次の歌唱対象となる。例えば、
図10に示す表示状態において、鍵盤部KBのいずれかの鍵が押下操作されることで第1メインエリア41の先頭の「ダ」の音節が歌唱されると、次の音節に対応する「ン」が先頭に表示される(
図13)。ここで第2メインエリア42の表示は変化しない(歩進しない)。従って、ステップS218は
図5のステップS105、S106に対応している。なお、進み操作子34の操作により、フレーズ単位で表示を繰り上げてもよい。また、戻し操作子35の操作により、フレーズ単位で表示を繰り下げてもよい。これらフレーズ単位での繰り上げ、繰り下げを採用する場合、それに対応して、
図5のステップS110の直前にカーソル位置を更新する処理を追加してもよい。その後、処理はステップS209に進む。
【0040】
ステップS214で、選択曲の変更を受け付けた場合、CPU10は、表示ユニット33におけるメインエリア41、42のいずれかまたは双方を用いて、曲変更のための画面を表示させ(ステップS215)、変更指示に応じて変更内容を反映させる(ステップS216)。その際、サブエリア43、44には状態表示が維持される。例えば、
図14に示すように、第1メインエリア41に、変更前、変更後の曲のタイトル等が表示されると共に、データの入れ替えがなされる。その後、所定時間、選択曲に関する操作が無いと、CPU10は、ステップS217で、変更後の選択曲の歌詞をメインエリア41、42に表示させる通常画面表示に表示態様を切り替える。従って、
図10に示すような通常画面表示で、選択曲に応じた歌詞に更新された内容が表示ユニット33に表示される。その後、処理はステップS209に進む。
【0041】
本実施の形態によれば、CPU10は、取得された歌唱用データ14aに含まれる文字情報を、表示ユニット33における第1の表示部群(メインエリア41、42の表示枠45群)に表示させると共に、取得された状態を、第2の表示部群(サブエリア43、44の表示枠46群)に表示させる。これにより、煩雑な操作不要で歌詞及び状態を視認することができる。
【0042】
また、所定の設定の指示が取得されると、第1の表示部群及び第2の表示部群の双方を用いて所定の設定のための情報が表示されるので、所定の設定をしたいときには表示ユニット33の広い範囲を用いることができる。
【0043】
また、所定の設定のための情報を表示させている状態で、所定の設定の指示に関する操作が所定時間継続して無いと、表示ユニット33の表示態様が、切り替える直前の通常画面表示の状態に戻るので、設定終了により、操作不要で歌詞及び状態表示に戻すことができる。
【0044】
なお、表示ユニット33の全体の表示領域は2行(2段)構成としたが、3行以上の構成としてもよい。また、メインエリアは上下に並べて配置したが、配置関係は例示に限定されず、左右に並べてもよい。
【0045】
なお、歌唱用データ14aの取得先は記憶部に限定されず、通信I/F22を通じた外部機器を取得先としてもよい。また、電子楽器100でユーザが編集または作成することでCPU10により取得されるようにしてもよい。
【0046】
以上、本発明をその好適な実施形態に基づいて詳述してきたが、本発明はこれら特定の実施形態に限られるものではなく、この発明の要旨を逸脱しない範囲の様々な形態も本発明に含まれる。