特許第6732228号(P6732228)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6732228端末デバイスのための信号送信方法および端末デバイス
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6732228
(24)【登録日】2020年7月10日
(45)【発行日】2020年7月29日
(54)【発明の名称】端末デバイスのための信号送信方法および端末デバイス
(51)【国際特許分類】
   H04B 17/15 20150101AFI20200716BHJP
   H04B 7/0413 20170101ALI20200716BHJP
   H04W 88/02 20090101ALI20200716BHJP
   H04W 24/06 20090101ALI20200716BHJP
   H04B 17/29 20150101ALI20200716BHJP
   G01R 29/08 20060101ALI20200716BHJP
【FI】
   H04B17/15
   H04B7/0413
   H04W88/02 150
   H04W88/02 140
   H04W24/06
   H04B17/29
   G01R29/08 A
【請求項の数】10
【全頁数】38
(21)【出願番号】特願2018-551201(P2018-551201)
(86)(22)【出願日】2016年3月31日
(65)【公表番号】特表2019-516288(P2019-516288A)
(43)【公表日】2019年6月13日
(86)【国際出願番号】CN2016078110
(87)【国際公開番号】WO2017166201
(87)【国際公開日】20171005
【審査請求日】2018年11月6日
(73)【特許権者】
【識別番号】503433420
【氏名又は名称】華為技術有限公司
【氏名又は名称原語表記】HUAWEI TECHNOLOGIES CO.,LTD.
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【弁理士】
【氏名又は名称】実広 信哉
(74)【代理人】
【識別番号】100140534
【弁理士】
【氏名又は名称】木内 敬二
(72)【発明者】
【氏名】▲陳▼ 小▲紅▼
【審査官】 佐藤 敬介
(56)【参考文献】
【文献】 国際公開第2014/086268(WO,A1)
【文献】 特表2010−502997(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2013/0303089(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04B 17/15
G01R 29/08
H04B 7/0413
H04B 17/29
H04W 24/06
H04W 88/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
MIMO OTA性能試験システムであって、
複数のダウンリンクポートを使用してダウンリンク試験信号の複数のストリームをチャネルエミュレータに送信するように構成される基地局シミュレータと、
端末デバイスの複数の受信アンテナの各々の複素数パターン、ダウンリンク放射チャネル逆行列、および特定のダウンリンクチャネルフェージングモデルに従って、受信されたダウンリンク試験信号の複数のストリームに対してチャネルエミュレーション処理を実行し、電波暗室内の複数のダウンリンクアンテナを使用して、前記処理されたダウンリンク試験信号の複数のストリームを前記電波暗室内の前記端末デバイスに送信するように構成される前記チャネルエミュレータと、
前記複数の受信アンテナを使用して、前記チャネルエミュレータによって送信された前記処理されたダウンリンク試験信号の複数のストリームを受信し、受信された処理されたダウンリンク試験信号の各ストリームに従って確認応答メッセージを前記基地局シミュレータにフィードバックし、前記処理されたダウンリンク試験信号のストリームに従ってフィードバックされる前記確認応答メッセージが、前記端末デバイスが前記処理されたダウンリンク試験信号を正しく復調したかどうかを前記基地局シミュレータに通知するために使用される、ように構成される前記端末デバイスとを備え、
前記基地局シミュレータが、送信されたダウンリンク試験信号のストリームの量および受信された確認応答メッセージのうちの、前記端末デバイスが正しい復調を行ったことを示す確認応答情報の量に従って、前記端末デバイスのダウンリンクスループットを求めるようにさらに構成され、
前記システムが、
前記端末デバイスのダウンリンク放射チャネル行列を求めるように構成される第2の信号分析器と、
前記第2の信号分析器から前記ダウンリンク放射チャネル行列を取得し、ダウンリンク放射チャネル逆行列を取得するために前記ダウンリンク放射チャネル行列の逆行列を計算するように構成される第1の処理デバイスと
をさらに備え、
前記チャネルエミュレータが、前記第1の処理デバイスから前記ダウンリンク放射チャネル逆行列を取得するようにさらに構成される、
MIMO OTA性能試験システム。
【請求項2】
前記システムが、
受信アンテナの各々の前記複素数パターンを求めるように構成される第1の信号分析器をさらに備え、
前記チャネルエミュレータが、前記第1の信号分析器から受信アンテナの各々の前記複素数パターンを取得するようにさらに構成される、
請求項1に記載のシステム。
【請求項3】
前記端末デバイスが、前記複数の受信アンテナのすべてを使用して、特定の順番に従ってモノラル信号を順番に送信するようにさらに構成され、
前記第1の信号分析器が、受信アンテナの各々に固有の工程、すなわち、
前記モノラル信号の、3次元放射球面の各測定方向における同相Iチャネルおよび直交Qチャネルの振幅および位相を別々に測定する工程であって、前記モノラル信号が前記受信アンテナによって送信される、工程、ならびに
前記受信アンテナに固有の測定によって取得された、前記3次元放射球面の各測定方向における前記Iチャネルおよび前記Qチャネルの前記振幅および前記位相に従って前記受信アンテナの前記複素数パターンを取得する工程
を実行するように特に構成される、請求項2に記載のシステム。
【請求項4】
前記端末デバイスが、前記端末デバイスの受信アンテナの数および前記基地局シミュレータのダウンリンクポートの数の中でより小さい値nを決定し、前記複数の受信アンテナからn個の受信アンテナを選択し、前記n個の受信アンテナのすべてを使用して特定の順番に従ってモノラル信号を順番に送信するようにさらに構成され、
前記第2の信号分析器が、
前記端末デバイスが受信アンテナの各々を使用して前記モノラル信号を送信するときに、前記電波暗室内のn個のダウンリンクアンテナに別々に接続し、前記n個のダウンリンクアンテナの各々によって受信された信号を測定し、
前記n個のダウンリンクアンテナから測定された前記信号に従って、受信アンテナの各々に固有の信号ベクトルを生成し、
前記n個の受信アンテナの各々に固有の前記生成された信号ベクトルに従って前記ダウンリンク放射チャネル行列を生成する
ように特に構成される、請求項1に記載のシステム。
【請求項5】
MIMO OTA性能試験システムであって、
端末デバイスであって、前記端末デバイスの複数の送信アンテナを使用してアップリンク試験信号の複数のストリームを送信し、電波暗室内の複数のアップリンクアンテナを使用して前記アップリンク試験信号の複数のストリームをチャネルエミュレータに送信するように構成される、前記電波暗室内の前記端末デバイスと、
前記端末デバイスの前記複数の送信アンテナの各々の複素数パターン、アップリンク放射チャネル逆行列、および特定のアップリンクチャネルフェージングモデルに従って、前記アップリンク試験信号の複数のストリームに対してチャネルエミュレーション処理を実行し、前記処理されたアップリンク試験信号の複数のストリームを基地局シミュレータに送信するように構成される前記チャネルエミュレータと、
複数のアップリンクポートを使用して、前記チャネルエミュレータによって送信された前記処理されたアップリンク試験信号の複数のストリームを受信し、前記端末デバイスによって送信されたアップリンク試験信号のストリームの量および前記基地局シミュレータによって受信された処理されたアップリンク試験信号のストリームの量に従って前記端末デバイスのアップリンクスループットを求めるように構成される前記基地局シミュレータと
備え、
前記システムが、
前記端末デバイスのアップリンク放射チャネル行列を求めるように構成される第4の信号分析器と、
前記第4の信号分析器から前記アップリンク放射チャネル行列を取得し、アップリンク放射チャネル逆行列を取得するために前記アップリンク放射チャネル行列の逆行列を計算するように構成される第2の処理デバイスと
をさらに備え、
前記チャネルエミュレータが、前記第2の処理デバイスから前記アップリンク放射チャネル逆行列を取得するようにさらに構成される、
MIMO OTA性能試験システム。
【請求項6】
前記システムが、
送信アンテナの各々の前記複素数パターンを求めるように構成される第3の信号分析器をさらに備え、
前記チャネルエミュレータが、前記第3の信号分析器から送信アンテナの各々の前記複素数パターンを取得するようにさらに構成される、
請求項5に記載のシステム。
【請求項7】
前記端末デバイスが、前記複数の送信アンテナのすべてを使用して、特定の順番に従ってモノラル信号を順番に送信するようにさらに構成され、
前記第3の信号分析器が、送信アンテナの各々に固有の工程、すなわち、前記モノラル信号の、3次元放射球面の各測定方向における同相Iチャネルおよび直交Qチャネルの振幅および位相を別々に測定する工程であって、前記モノラル信号が前記送信アンテナによって送信される、工程、ならびに
受信アンテナに固有の測定によって取得された、前記3次元放射球面の各測定方向における前記Iチャネルおよび前記Qチャネルの前記振幅および前記位相に従って前記送信アンテナの前記複素数パターンを取得する工程
を実行するように特に構成される、請求項6に記載のシステム。
【請求項8】
前記端末デバイスが、前記端末デバイスの送信アンテナの数および前記基地局シミュレータのアップリンクポートの数の中でより小さい値mを決定し、前記複数の送信アンテナからm個の送信アンテナを選択し、前記m個の送信アンテナのすべてを使用して前記特定の順番に従ってモノラル信号を順番に送信するようにさらに構成され、
前記第4の信号分析器が、
前記端末デバイスが送信アンテナの各々を使用して前記モノラル信号を送信するときに、前記電波暗室内のm個のアップリンクアンテナに別々に接続し、前記m個のアップリンクアンテナの各々によって受信された信号を測定し、
前記m個のアップリンクアンテナから測定された前記信号に従って、送信アンテナの各々に固有の信号ベクトルを生成し、
前記m個の送信アンテナの各々に固有の前記生成された信号ベクトルに従って前記アップリンク放射チャネル行列を生成する
ように特に構成される、請求項5に記載のシステム。
【請求項9】
端末デバイスのアンテナ複素数パターンの測定方法であって、
前記端末デバイスによって、前記端末デバイスの複数の受信アンテナのすべてを使用して、特定の順番に従ってモノラル信号を順番に送信するステップと、
第1の信号分析器によって受信アンテナの各々に固有の工程、すなわち、
前記モノラル信号の、3次元放射球面の各測定方向における同相Iチャネルおよび直交Qチャネルの振幅および位相を別々に測定する工程であって、前記モノラル信号が前記受信アンテナによって送信される、工程、ならびに
前記受信アンテナに固有の測定によって取得された、前記3次元放射球面の各測定方向における前記Iチャネルおよび前記Qチャネルの前記振幅および前記位相に従って前記受信アンテナの複素数パターンを取得する工程
を実行するステップと
前記複数の受信アンテナのうちの2つの受信アンテナの複素数パターンに従って前記2つの受信アンテナのアンテナエンベロープ相関係数を求めるステップと
を含む、測定方法。
【請求項10】
端末デバイスのアンテナ複素数パターンの測定方法であって、
前記端末デバイスによって、前記端末デバイスの複数の送信アンテナのすべてを使用して、特定の順番に従ってモノラル信号を順番に送信するステップと、
第3の信号分析器によって送信アンテナの各々に固有の工程、すなわち、
前記モノラル信号の、3次元放射球面の各測定方向における同相Iチャネルおよび直交Qチャネルの振幅および位相を別々に測定する工程であって、前記モノラル信号が前記送信アンテナによって送信される、工程、ならびに
前記送信アンテナに固有の測定によって取得された、前記3次元放射球面の各測定方向における前記Iチャネルおよび前記Qチャネルの前記振幅および前記位相に従って前記送信アンテナの複素数パターンを取得する工程
を実行するステップと
前記複数の送信アンテナのうちの2つの送信アンテナの複素数パターンに従って前記2つの送信アンテナのアンテナエンベロープ相関係数を求めるステップと
を含む、測定方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は、通信技術の分野に関し、具体的には、端末デバイスのための信号送信方法および端末デバイスに関する。
【背景技術】
【0002】
通信技術の発展に伴い、チャネル容量および信頼性を高め、通信品質を向上させるために、新しいワイヤレス技術の面では、移動端末は、マルチアンテナ技術、すなわち多入力多出力(Multiple Input Multiple Output、MIMO)技術を使用している。例えば、ロング・ターム・エボリューション(Long Term Evolution、LTE)システム、LTEアドバンスト(LTE−Advanced)システム、およびワールドワイド・インターオペラビリティ・フォー・マイクロウェーブ・アクセス(Worldwide Interoperability for Microwave Access、WiMAX)システムはすべて、MIMO技術を使用することができる。MIMO機能を有する端末デバイスのエンドツーエンド動作性能を知る必要がある場合、MIMOオーバ・ザ・エア(Over the air、OTA)試験を行う必要がある。
【0003】
現在、端末デバイスに対してMIMO OTA試験を行うための試験方法としては、マルチプローブ電波暗室試験方法、放射2段階試験方法、および残響室試験方法(または残響室+チャネルエミュレータ試験方法)などが挙げられる。
【0004】
端末デバイスに対してMIMO OTA試験を行うとき、端末デバイスの各アンテナの複素数パターンを求める必要がある。既存の端末デバイスにおいて、複素数パターンを測定することができる端末デバイスは存在しない。このため、既存の試験方法では、端末デバイスの各アンテナの正確な複素数パターンによるMIMO OTA試験を行うことができない。さらに、取得される測定結果には、比較的大きな誤差がある。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の実施形態は、複素数パターンを測定することができる端末デバイスが存在しないという従来技術の問題を解決するために、端末デバイスのための信号送信方法および端末デバイスを提供する。
【0006】
一態様によれば、本発明の一実施形態は、端末デバイスのための信号送信方法を提供する。本方法は、端末デバイスによって特定の周波数のモノラル信号を生成するステップと、モノラル信号が生成された後に、端末デバイスの特定のアンテナを使用してモノラル信号を送信するステップであって、特定のアンテナが、端末デバイスの受信アンテナまたは送信アンテナである、ステップとを含む。特定のアンテナは、端末デバイスの複数の受信アンテナおよび複数の送信アンテナのうちのいずれかのアンテナであってもよく、特定の周波数は、端末デバイスによって予め設定されてもよいし、ユーザによって設定されてもよい。
【0007】
端末デバイスは、特定のアンテナを使用して指定の周波数のモノラル信号を送信する機能を有する。したがって、端末デバイスのアンテナ複素数パターンの測定システムは、端末デバイスが受信アンテナまたは送信アンテナの各々を使用して特定の周波数のモノラル信号を送信する方法で、端末デバイスの各アンテナの複素数パターンを正確に測定することができる。測定システムは、MIMO OTA性能試験が端末デバイスのすべてのアンテナの複素数パターンに従って端末デバイスに対して行われるとき、正確な測定結果をさらに取得することができる。
【0008】
可能な設計では、モノラル信号は、一定振幅のモノラル連続波信号である。
【0009】
端末デバイスによって送信される特定の周波数のモノラル信号は、一定振幅のモノラル連続波信号である。これにより、測定によって後に取得される各アンテナの複素数パターンの精度を確保することができる。
【0010】
可能な設計では、端末デバイスによって、特定のアンテナを使用してモノラル信号を送信するステップの前に、本方法は、
端末デバイスによって、特定のアンテナのアンテナ選択スイッチを有効にし、特定のアンテナとは異なる他の受信アンテナおよび送信アンテナのアンテナ選択スイッチを無効にするステップ
をさらに含む。
【0011】
端末デバイスの各アンテナの複素数パターンを測定するとき、端末デバイスのアンテナ複素数パターンの測定システムは、複数のアンテナの複素数パターンを同時に測定することはできず、端末デバイスのすべてのアンテナの複素数パターンを順番に測定することができるのみである。したがって、端末デバイスは、上記の方法で特定のアンテナを順番に調整してもよく、これにより、端末デバイスのアンテナ複素数パターンの測定システムは、端末デバイスの各アンテナの複素数パターンを測定することができる。
【0012】
別の態様によれば、本発明の一実施形態は、端末デバイスのアンテナ複素数パターンの測定システムをさらに提供し、該システムは、端末デバイスおよび第1の信号分析器を含み、
端末デバイスは、端末デバイスの複数の受信アンテナのすべてを使用して、特定の順番に従ってモノラル信号を順番に送信するように構成され、
第1の信号分析器は、端末デバイスが受信アンテナを使用してモノラル信号を送信するときに、受信アンテナに固有の工程、すなわち、
受信アンテナによって送信されるモノラル信号の、3次元放射球面の各測定方向における同相Iチャネルおよび直交Qチャネルの振幅および位相を別々に測定する工程、ならびに
受信アンテナに固有の測定によって取得された、3次元放射球面の各測定方向におけるIチャネルおよびQチャネルの振幅および位相に従って受信アンテナの複素数パターンを取得する工程
を実行するように構成される。
【0013】
第1の信号分析器は、端末デバイスがブラックボックスモードにあるとき、各受信アンテナの複素数パターンを正確に直接求めることができる。このようにして、端末デバイスのダウンリンクMIMO OTA性能試験中に、チャネルエミュレータは、各受信アンテナの複素数パターンに従って、端末デバイスが異なる方向にあるときの端末デバイスの信号送信シナリオをエミュレートすることができ、これにより、基地局シミュレータが、端末デバイスが異なる方向にあるときの端末デバイスのダウンリンクスループットを最終的に取得することができることが保証される。
【0014】
本システムによれば、第1の信号分析器は、端末デバイスがブラックボックスモードにあるとき、各受信アンテナの複素数パターンを正確に直接求めることができる。このようにして、端末デバイスのダウンリンクMIMO OTA性能試験中に、チャネルエミュレータは、各受信アンテナの複素数パターンに従って、端末デバイスが異なる方向にあるときの端末デバイスの信号送信シナリオをエミュレートすることができ、これにより、基地局シミュレータが、端末デバイスが異なる方向にあるときの端末デバイスのダウンリンクスループットを最終的に取得することができることが保証される。
【0015】
可能な設計では、第1の信号分析器は、
各受信アンテナの複素数パターンを取得した後に、複数の受信アンテナのうちの2つの受信アンテナの複素数パターンに従って2つの受信アンテナのアンテナエンベロープ相関係数を求める
ようにさらに構成される。
【0016】
このようにして、本システムの第1の信号分析器は、端末デバイスがブラックボックスモードにあるとき、2つの受信アンテナのアンテナエンベロープ相関係数を正確にさらに求めることができる。
【0017】
別の態様によれば、本発明の一実施形態は、端末デバイスのアンテナ複素数パターンの測定システムをさらに提供し、該システムは、端末デバイスおよび第3の信号分析器を含み、
端末デバイスは、端末デバイスの複数の送信アンテナのすべてを使用して、特定の順番に従ってモノラル信号を順番に送信するように構成され、
第3の信号分析器は、端末デバイスが送信アンテナを使用してモノラル信号を送信するときに、送信アンテナに固有の工程、すなわち、
モノラル信号の、3次元放射球面の各測定方向における同相Iチャネルおよび直交Qチャネルの振幅および位相を別々に測定する工程であって、モノラル信号が送信アンテナによって送信される、工程、ならびに
送信アンテナに固有の測定によって取得された、3次元放射球面の各測定方向におけるIチャネルおよびQチャネルの振幅および位相に従って送信アンテナの複素数パターンを取得する工程
を実行するように構成される。
【0018】
本システムによれば、第3の信号分析器は、端末デバイスがブラックボックスモードにあるとき、各送信アンテナの複素数パターンを正確に直接求めることができる。このようにして、端末デバイスのアップリンクMIMO OTA性能試験中に、チャネルエミュレータは、各送信アンテナの複素数パターンに従って、端末デバイスが異なる方向にあるときの端末デバイスの信号送信シナリオをエミュレートすることができ、これにより、基地局シミュレータが、端末デバイスが異なる方向にあるときの端末デバイスのアップリンクスループットを最終的に取得することができることが保証される。
【0019】
可能な設計では、第3の信号分析器は、
各送信アンテナの複素数パターンを取得した後に、複数の送信アンテナのうちの2つの送信アンテナの複素数パターンに従って2つの送信アンテナのアンテナエンベロープ相関係数を求める
ようにさらに構成される。
【0020】
このようにして、本システムの第3の信号分析器は、端末デバイスがブラックボックスモードにあるとき、2つの送信アンテナのアンテナエンベロープ相関係数を正確にさらに求めることができる。
【0021】
別の態様によれば、本発明の一実施形態は、MIMO OTA性能試験システムをさらに提供し、本システムは、基地局シミュレータ、チャネルエミュレータ、および端末デバイスを含み、
基地局シミュレータは、複数のダウンリンクポートを使用してダウンリンク試験信号の複数のストリームをチャネルエミュレータに送信するように構成され、
チャネルエミュレータは、端末デバイスの複数の受信アンテナの各々の複素数パターン、ダウンリンク放射チャネル逆行列、および特定のダウンリンクチャネルフェージングモデルに従って、受信されたダウンリンク試験信号の複数のストリームに対してチャネルエミュレーション処理を実行し、電波暗室内の複数のダウンリンクアンテナを使用して、処理されたダウンリンク試験信号の複数のストリームを電波暗室内の端末デバイスに送信するように構成され、
端末デバイスは、複数の受信アンテナを使用して、チャネルエミュレータによって送信された処理されたダウンリンク試験信号の複数のストリームを受信し、受信された処理されたダウンリンク試験信号の各ストリームに従って確認応答メッセージを基地局シミュレータにフィードバックし、処理されたダウンリンク試験信号のストリームに従ってフィードバックされる確認応答メッセージが、端末デバイスが処理されたダウンリンク試験信号を正しく復調したかどうかを基地局シミュレータに通知するために使用される、ように構成され、
基地局シミュレータは、送信されたダウンリンク試験信号のストリームの量および受信された確認応答メッセージのうちの、端末デバイスが正しい復調を行ったことを示す確認応答情報の量に従って、端末デバイスのダウンリンクスループットを求めるようにさらに構成される。
【0022】
基地局シミュレータは、ダウンリンク試験信号の複数のストリームを送信することができ、端末デバイスは、ダウンリンク試験信号のストリームの量、ダウンリンクアンテナの数、および端末デバイスの受信アンテナの数を制限することなく、複数の受信アンテナを使用して、複数のダウンリンクアンテナを使用してチャネルエミュレータによって送信される処理されたダウンリンク試験信号の複数のストリームを受信することができる。したがって、本システムは、a×bのダウンリンクMIMO試験をサポートすることができ、なお、aおよびbは両方とも2以上の正の整数である。明らかに、本システムは、複数の受信チャネルを有する端末デバイスのスループットを試験することができ、その適用性は比較的高い。
【0023】
可能な設計では、本システムは、
各受信アンテナの複素数パターンを求めるように構成される第1の信号分析器をさらに含み、
チャネルエミュレータは、第1の信号分析器から各受信アンテナの複素数パターンを取得するようにさらに構成される。
【0024】
このようにして、本システムの第1の信号分析器は、本システムの端末デバイスの各受信アンテナの複素数パターンを正確に直接求めることができる。これにより、別の方法で求められた、各受信アンテナの不正確な複素数パターンが不正確な測定結果をもたらすという問題が回避される。
【0025】
可能な設計では、端末デバイスは、複数の受信アンテナのすべてを使用して、特定の順番に従ってモノラル信号を順番に送信するようにさらに構成され、
第1の信号分析器は、各受信アンテナに固有の工程、すなわち、
受信アンテナによって送信されるモノラル信号の、3次元放射球面の各測定方向における同相Iチャネルおよび直交Qチャネルの振幅および位相を別々に測定する工程、ならびに
受信アンテナに固有の測定によって取得された、3次元放射球面の各測定方向におけるIチャネルおよびQチャネルの振幅および位相に従って受信アンテナの複素数パターンを取得する工程
を実行するように特に構成される。
【0026】
本システムの第1の信号分析器は、端末デバイスがブラックボックスモードにあるとき、各受信アンテナの複素数パターンを正確に直接求めることができる。このようにして、端末デバイスのダウンリンクMIMO OTA性能試験中に、チャネルエミュレータは、各受信アンテナの複素数パターンに従って、端末デバイスが異なる方向にあるときの端末デバイスの信号送信シナリオをエミュレートすることができ、これにより、基地局シミュレータが、端末デバイスが異なる方向にあるときの端末デバイスのダウンリンクスループットを最終的に取得することができることが保証される。
【0027】
可能な設計では、本システムは、
端末デバイスのダウンリンク放射チャネル行列を求めるように構成される第2の信号分析器と、
第2の信号分析器からダウンリンク放射チャネル行列を取得し、ダウンリンク放射チャネル逆行列を取得するためにダウンリンク放射チャネル行列の逆行列を計算するように構成される第1の処理デバイスと
をさらに含み、
チャネルエミュレータは、第1の処理デバイスからダウンリンク放射チャネル逆行列を取得するようにさらに構成される。
【0028】
可能な設計では、端末デバイスは、端末デバイスの受信アンテナの数および基地局シミュレータのダウンリンクポートの数の中でより小さい値nを決定し、複数の受信アンテナからn個の受信アンテナを選択し、n個の受信アンテナのすべてを使用して特定の順番に従ってモノラル信号を順番に送信するようにさらに構成され、
第2の信号分析器は、
端末デバイスが受信アンテナの各々を使用してモノラル信号を送信するときに、電波暗室内のn個のダウンリンクアンテナに別々に接続し、n個のダウンリンクアンテナの各々によって受信された信号を測定し、
n個のダウンリンクアンテナから測定された信号に従って、受信アンテナの各々に固有の信号ベクトルを生成し、
n個の受信アンテナの各々に固有の生成された信号ベクトルに従ってダウンリンク放射チャネル行列を生成する
ように特に構成される。
【0029】
上記の方法を使用することにより、第2の信号分析器は、端末デバイスのダウンリンク放射チャネル行列を正確に直接求めることができ、さらには、正確なダウンリンク放射チャネル逆行列を取得することができる。このようにして、端末デバイスのダウンリンクMIMO OTA性能試験中に、チャネルエミュレータは、正確なダウンリンク放射チャネル逆行列に従ってダウンリンク試験信号に対してチャネルエミュレーション処理を実行し、正確な測定結果をさらに取得することができる。
【0030】
可能な設計では、第1の信号分析器は、
端末デバイスの複数の受信アンテナの各々の複素数パターンを求めた後に、複数の受信アンテナのうちの2つの受信アンテナの複素数パターンに従って2つの受信アンテナのアンテナエンベロープ相関係数を求めるようにさらに構成される。
【0031】
このようにして、本システムでは、ブラックボックスモードにある端末デバイスの2つの受信アンテナのアンテナエンベロープ相関係数を正確にさらに求めることができる。
【0032】
別の態様によれば、本発明の一実施形態は、MIMO OTA性能試験システムをさらに提供し、本システムは、端末デバイス、チャネルエミュレータ、および基地局シミュレータを含み、
電波暗室内の端末デバイスは、端末デバイスの複数の送信アンテナを使用してアップリンク試験信号の複数のストリームを送信し、電波暗室内の複数のアップリンクアンテナを使用してアップリンク試験信号の複数のストリームをチャネルエミュレータに送信するように構成され、
チャネルエミュレータは、端末デバイスの複数の送信アンテナの各々の複素数パターン、アップリンク放射チャネル逆行列、および特定のアップリンクチャネルフェージングモデルに従って、アップリンク試験信号の複数のストリームに対してチャネルエミュレーション処理を実行し、処理されたアップリンク試験信号の複数のストリームを基地局シミュレータに送信するように構成され、
基地局シミュレータは、複数のアップリンクポートを使用して、チャネルエミュレータによって送信された処理されたアップリンク試験信号の複数のストリームを受信し、端末デバイスによって送信されたアップリンク試験信号のストリームの量および基地局シミュレータによって受信された処理されたアップリンク試験信号のストリームの量に従って端末デバイスのアップリンクスループットを求めるように構成される。
【0033】
本システムによれば、端末デバイスのアップリンクスループットを正確に測定することができ、これにより、端末デバイスのアップリンク動作性能が正確に取得される。
【0034】
可能な設計では、本システムは、
各送信アンテナの複素数パターンを求めるように構成される第3の信号分析器をさらに含み、
チャネルエミュレータは、第3の信号分析器から各送信アンテナの複素数パターンを取得するようにさらに構成される。
【0035】
このようにして、本システムの第3の信号分析器は、本システムの端末デバイスの各送信アンテナの複素数パターンを直接求めることができる。これにより、別の方法で求められた、各送信アンテナの不正確な複素数パターンが不正確な測定結果をもたらすという問題が回避される。
【0036】
可能な設計では、端末デバイスは、複数の送信アンテナのすべてを使用して、特定の順番に従ってモノラル信号を順番に送信するようにさらに構成され、
第3の信号分析器は、送信アンテナの各々に固有の工程、すなわち、
モノラル信号の、3次元放射球面の各測定方向における同相Iチャネルおよび直交Qチャネルの振幅および位相を別々に測定する工程であって、モノラル信号が送信アンテナによって送信される、工程、ならびに
受信アンテナに固有の測定によって取得された、3次元放射球面の各測定方向におけるIチャネルおよびQチャネルの振幅および位相に従って送信アンテナの複素数パターンを取得する工程
を実行するように特に構成される。
【0037】
本システムの第3の信号分析器は、端末デバイスがブラックボックスモードにあるとき、各送信アンテナの複素数パターンを正確に直接求めることができる。このようにして、端末デバイスのアップリンクMIMO OTA性能試験中に、チャネルエミュレータは、各送信アンテナの複素数パターンに従って、端末デバイスが異なる方向にあるときの端末デバイスの信号送信シナリオをエミュレートすることができ、これにより、基地局シミュレータが、端末デバイスが異なる方向にあるときの端末デバイスのアップリンクスループットを最終的に取得することができることが保証される。
【0038】
可能な設計では、本システムは、
端末デバイスのアップリンク放射チャネル行列を求めるように構成される第4の信号分析器と、
第4の信号分析器からアップリンク放射チャネル行列を取得し、アップリンク放射チャネル逆行列を取得するためにアップリンク放射チャネル行列の逆行列を計算するように構成される第2の処理デバイスと
をさらに含み、
チャネルエミュレータは、第2の処理デバイスからアップリンク放射チャネル逆行列を取得するようにさらに構成される。
【0039】
可能な設計では、端末デバイスは、端末デバイスの送信アンテナの数および基地局シミュレータのアップリンクポートの数の中でより小さい値mを決定し、複数の送信アンテナからm個の送信アンテナを選択し、m個の送信アンテナのすべてを使用して特定の順番に従ってモノラル信号を順番に送信するようにさらに構成され、
第4の信号分析器は、
端末デバイスが各送信アンテナを使用してモノラル信号を送信するときに、電波暗室内のm個のアップリンクアンテナに別々に接続し、m個のアップリンクアンテナの各々によって受信された信号を測定し、
m個のアップリンクアンテナから測定された信号に従って、各送信アンテナに固有の信号ベクトルを生成し、
m個の送信アンテナの各々に固有の生成された信号ベクトルに従ってアップリンク放射チャネル行列を生成する
ように特に構成される。
【0040】
本システムの第4の信号分析器は、端末デバイスのアップリンク放射チャネル行列を正確に直接求めることができ、さらには、正確なアップリンク放射チャネル逆行列を取得することができる。このようにして、端末デバイスのアップリンクMIMO OTA性能試験中に、チャネルエミュレータは、正確なアップリンク放射チャネル逆行列に従ってアップリンク試験信号に対してチャネルエミュレーション処理を実行し、正確な測定結果をさらに取得することができる。
【0041】
可能な設計では、第3の信号分析器は、
端末デバイスの複数の送信アンテナの各々の複素数パターンを求めた後に、複数の送信アンテナのうちの2つの送信アンテナの複素数パターンに従って2つの送信アンテナのアンテナエンベロープ相関係数を求める
ようにさらに構成される。
【0042】
このようにして、本システムでは、ブラックボックスモードにある端末デバイスの2つの送信アンテナのアンテナエンベロープ相関係数を正確にさらに求めることができる。
【0043】
別の態様によれば、本発明の一実施形態は、端末デバイスをさらに提供し、端末デバイスは、上記の方法の実施形態における端末デバイスの挙動を実施する機能を有する。この機能は、ハードウェアを使用して実施されてもよいし、ハードウェアを使用して対応するソフトウェアを実行することによって実施されてもよい。ハードウェアまたはソフトウェアは、上記の機能に対応する1つ以上のモジュールを含む。
【0044】
可能な設計では、端末デバイスの構造は、生成ユニットおよび送信ユニットを含む。これらのユニットは、上記の方法の例の対応する機能を実行することができる。詳細については、方法の例の詳細な説明を参照されたい。詳細はここでは繰り返さない。
【0045】
可能な設計では、端末デバイスの構造は、信号生成器、プロセッサ、バス、メモリ、ならびに複数のアンテナ(複数の受信アンテナおよび複数の送信アンテナ)を含む。信号生成器は、特定の周波数のモノラル信号を生成するように構成され、複数のアンテナは、モノラル信号を送信するように構成され、プロセッサは、上記の方法において対応する機能を実行する際に端末デバイスをサポートするように構成される。メモリは、プロセッサに結合され、端末デバイスの必要なプログラム命令およびデータを格納する。
【0046】
別の態様によれば、本発明の一実施形態は、端末デバイスのアンテナ複素数パターンの測定方法をさらに提供する。本方法は、端末デバイスの各受信アンテナの複素数パターンを測定するために使用される。本方法で使用されるデバイスは、端末デバイスの各受信アンテナの複素数パターンの測定システムの例の対応するデバイスであってもよい。具体的な手順については、上記のシステムの詳細な説明を参照されたい。詳細はここでは繰り返さない。
【0047】
別の態様によれば、本発明の一実施形態は、端末デバイスのアンテナ複素数パターンの測定方法をさらに提供する。本方法は、端末デバイスの各送信アンテナの複素数パターンを測定するために使用される。本方法で使用されるデバイスは、端末デバイスの各送信アンテナの複素数パターンの測定システムの例の対応するデバイスであってもよい。具体的な手順については、上記のシステムの詳細な説明を参照されたい。詳細はここでは繰り返さない。
【0048】
別の態様によれば、本発明の一実施形態は、MIMO OTA性能試験方法をさらに提供する。本方法は、端末デバイスのダウンリンクスループットを試験するために使用される。本方法で使用されるデバイスは、端末デバイスのダウンリンクスループットの測定システムの例の対応するデバイスであってもよい。具体的な手順については、上記のシステムの詳細な説明を参照されたい。詳細はここでは繰り返さない。
【0049】
別の態様によれば、本発明の一実施形態は、MIMO OTA性能試験方法をさらに提供する。本方法は、端末デバイスのアップリンクスループットを試験するために使用される。本方法で使用されるデバイスは、端末デバイスのアップリンクスループットの測定システムの例の対応するデバイスであってもよい。具体的な手順については、上記のシステムの詳細な説明を参照されたい。詳細はここでは繰り返さない。
【0050】
本発明の実施形態において、端末デバイスは、特定のアンテナを使用して指定の周波数のモノラル信号を送信する機能を有する。したがって、端末デバイスのアンテナ複素数パターンの測定システムは、端末デバイスが受信アンテナまたは送信アンテナの各々を使用して特定の周波数のモノラル信号を送信する方法で、端末デバイスの各アンテナの複素数パターンを正確に測定することができる。測定システムは、MIMO OTA性能試験が端末デバイスのすべてのアンテナの複素数パターンに従って端末デバイスに対して行われるとき、正確な測定結果をさらに取得することができる。
【図面の簡単な説明】
【0051】
図1】本発明の一実施形態による、端末デバイスのための信号送信方法のフローチャートである。
図2】本発明の一実施形態による端末デバイスのアンテナ複素数パターンの測定システムのアーキテクチャ図である。
図3】本発明の一実施形態による端末デバイスのアンテナ複素数パターンの別の測定システムのアーキテクチャ図である。
図4】本発明の一実施形態によるMIMO OTA性能試験システムのアーキテクチャ図である。
図5】本発明の一実施形態による別のMIMO OTA性能試験システムのアーキテクチャ図である。
図6】本発明の一実施形態による別のMIMO OTA性能試験システムのアーキテクチャ図である。
図7】本発明の一実施形態による端末デバイスの概略構成図である。
図8】本発明の一実施形態による別の端末デバイスの概略構成図である。
図9】本発明の一実施形態による端末デバイスのアンテナ複素数パターンの測定方法のフローチャートである。
図10】本発明の一実施形態による端末デバイスのアンテナ複素数パターンの別の測定方法のフローチャートである。
図11】本発明の一実施形態によるMIMO OTA性能試験方法のフローチャートである。
図12】本発明の一実施形態による別のMIMO OTA性能試験方法のフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0052】
本発明の目的、技術的解決策、および利点をより明確にするために、以下では、添付図面を参照して本発明をさらに詳細に説明する。明らかに、説明されている実施形態は、本発明の実施形態のすべてではなく、その一部に過ぎない。創造的な努力なしに本発明の実施形態に基づいて当業者によって得られる他のすべての実施形態は、本発明の保護範囲内に含まれるものとする。
【0053】
本発明の実施形態は、複素数パターンを測定することができる端末デバイスが存在しないという従来技術の問題を解決するために、端末デバイスのための信号送信方法および端末デバイスを提供する。本方法および本装置は、同じ発明思想に基づいている。本方法および本装置の問題を解決する原理はほぼ同じであるため、本装置および本方法の実施態様を相互に参照することができ、このため繰り返しとなる内容は繰り返さない。
【0054】
本発明の技術的解決策によれば、端末デバイスは、特定の周波数のモノラル信号を生成することができ、端末デバイスの特定の受信アンテナまたは送信アンテナを使用してモノラル信号を送信することができる。端末デバイスは、特定のアンテナを使用して指定の周波数のモノラル信号を送信する機能を有する。したがって、端末デバイスのアンテナ複素数パターンの測定システムは、端末デバイスが受信アンテナまたは送信アンテナの各々を使用して特定の周波数のモノラル信号を送信する方法で、端末デバイスの各アンテナの複素数パターンを正確に測定することができる。測定システムは、MIMO OTA性能試験が端末デバイスのすべてのアンテナの複素数パターンに従って端末デバイスに対して行われるとき、正確な測定結果をさらに取得することができる。
【0055】
本発明の目的、技術的解決策、および利点をより明確にするために、以下では、添付図面を参照して本発明の実施形態の技術的解決策について詳細に説明する。
【0056】
本発明の一実施形態は、端末デバイスのための信号送信方法を提供する。端末デバイスは、各アンテナの複素数パターンを測定することができる。図1を参照すると、本方法の手順は以下の通りである。
【0057】
ステップ101:端末デバイスは、特定の周波数のモノラル信号を生成する。
【0058】
特定の周波数は、端末デバイスによって予め設定されてもよいし、ユーザによって設定されてもよい。これは、本発明では限定されない。
【0059】
任意選択的に、モノラル信号は、一定振幅のモノラル連続波信号である。
【0060】
端末デバイスによって送信される特定の周波数のモノラル信号は、一定振幅のモノラル連続波信号である。これにより、測定によって後に取得される各アンテナの複素数パターンの精度を確保することができる。
【0061】
ステップ102:端末デバイスは、端末デバイスの特定のアンテナを使用してモノラル信号を送信するが、その場合、特定のアンテナは、端末デバイスの受信アンテナまたは送信アンテナである。
【0062】
特定のアンテナは、端末デバイスの複数の受信アンテナおよび複数の送信アンテナのうちのいずれかのアンテナであってもよい。
【0063】
端末デバイスは、モノラル信号を送信するために特定のアンテナを制御することができる。これにより、端末デバイスのアンテナ複素数パターンの測定システムが特定のアンテナの複素数パターンを測定できることが保証され得る。
【0064】
端末デバイスの各アンテナの複素数パターンを測定するとき、端末デバイスのアンテナ複素数パターンの測定システムは、複数のアンテナの複素数パターンを同時に測定することはできず、端末デバイスのすべてのアンテナの複素数パターンを順番に測定することができるのみである。したがって、端末デバイスは、特定のアンテナを順番に調整してもよく、これにより、端末デバイスのアンテナ複素数パターンの測定システムは、端末デバイスの各アンテナの複素数パターンを測定することができる。
【0065】
任意選択的に、端末デバイスは、特定の周波数のモノラル信号を送信するために、端末デバイスの特定のアンテナ(受信アンテナまたは送信アンテナ)を制御してこのアンテナと送信チャネルとを接続することができる。
【0066】
任意選択的に、端末デバイスは、各アンテナのアンテナ選択スイッチを使用して、指定の周波数のモノラル信号を送信するかどうかについて受信アンテナを制御することができる。すなわち、端末デバイスが特定のアンテナを使用してモノラル信号を送信する前に、端末デバイスは、特定のアンテナのアンテナ選択スイッチを有効にし、特定のアンテナとは異なる他の受信アンテナおよび送信アンテナのアンテナ選択スイッチを無効にする。
【0067】
本発明のこの実施形態で提供される端末デバイスのための信号送信方法によれば、端末デバイスは、特定の周波数のモノラル信号を生成することができ、端末デバイスの特定の受信アンテナまたは送信アンテナを使用してモノラル信号を送信することができる。端末デバイスは、特定のアンテナを使用して指定の周波数のモノラル信号を送信する機能を有する。したがって、端末デバイスのアンテナ複素数パターンの測定システムは、端末デバイスが受信アンテナまたは送信アンテナの各々を使用して特定の周波数のモノラル信号を送信する方法で、端末デバイスの各アンテナの複素数パターンを正確に測定することができる。測定システムは、MIMO OTA性能試験が端末デバイスのすべてのアンテナの複素数パターンに従って端末デバイスに対して行われるとき、正確な測定結果をさらに取得することができる。
【0068】
既存のマルチプローブ電波暗室試験方法では、端末デバイスの各受信アンテナの複素数パターンは、測定によって直接取得することができない。放射2段階試験方法では、端末デバイスの各受信アンテナの複素数パターンは、端末デバイスによって報告されるデータを使用することによってしか取得することができない。したがって、上記の試験方法では、端末デバイスの各アンテナの正確な複素数パターンによるMIMO OTA試験を行うことはできず、さらに、取得される測定結果には、比較的大きな誤差がある。
【0069】
本発明の一実施形態は、端末デバイスのアンテナ複素数パターンの測定システムを提供する。本システムは、端末デバイスの各受信アンテナの複素数パターンを測定するように構成される。図2を参照すると、本システムのシステムアーキテクチャは、端末デバイス201および第1の信号分析器202を含む。端末デバイス201は、図1に示した、端末デバイスのための信号送信方法を実施する機能を有する。さらに、端末デバイス201が配置される電波暗室は、汎用の単入力単出力(Single Input Single Output、SISO)OTA電波暗室、大円カット試験方法を使用する電波暗室、または円錐カット試験方法を使用する電波暗室であってもよい。本発明のこの実施形態で使用される電波暗室は、汎用のSISO OTA電波暗室である。第1の信号分析器202は、多入力ネットワーク分析器であってもよい。
【0070】
端末デバイス201は、端末デバイス201の複数の受信アンテナのすべてを使用して、特定の順番に従ってモノラル信号を順番に送信するように構成される。
【0071】
第1の信号分析器202は、各受信アンテナに固有の工程、すなわち、
受信アンテナによって送信されるモノラル信号の、3次元放射球面の各測定方向における同相(In−phase、I)チャネルおよび直交(Quadrature、Q)チャネルの振幅および位相を別々に測定する工程、ならびに
受信アンテナに固有の測定によって取得された、3次元放射球面の各測定方向におけるIチャネルおよびQチャネルの振幅および位相に従って受信アンテナの複素数パターンを取得する工程を実行するように構成される。
【0072】
第1の信号分析器202が各受信アンテナの複素数パターンを求めるとき、端末デバイス201は、特定の周波数を固定する必要がある。すなわち、すべての受信アンテナを使用して端末デバイス201によって送信されるモノラル信号の周波数は同じである。端末デバイス201は、特定の周波数のモノラル信号を送信する機能を有する。さらに、端末デバイス201は、指定の周波数のモノラル信号を送信するために、受信アンテナが送信チャネルに接続されるように受信アンテナを制御することができる。任意選択的に、端末デバイス201は、受信アンテナのアンテナ選択スイッチを使用して、指定の周波数のモノラル信号を送信するかどうかについて受信アンテナを制御することができる。モノラル信号は、一定振幅のモノラル連続波信号である。
【0073】
本発明のこの実施形態で提供されるシステムでは、電波暗室内の回転ディスクが、端末デバイス201の方向を制御するために使用される。第1の信号分析器202は、電波暗室内の二重偏波アンテナを使用して、受信アンテナによって送信されるモノラル信号の測定方向におけるIチャネルおよびQチャネルの振幅および位相を測定する。二重偏波アンテナの位置は固定される。したがって、端末デバイス201は、回転ディスク上で回転されることによって測定方向を調整することができる。
【0074】
任意選択的に、3次元放射球面の各測定方向における振幅および位相は、複数の測定方向における代表的な振幅および位相を使用して表すことができる。測定方向は、第1の夾角θおよび第2の夾角φを使用して表すことができる。第1の夾角は、測定方向のベクトルと水平面との間の垂直夾角である。第1の夾角は、[−90°,90°]の範囲内にある。第2の夾角は、水平面上へのベクトルの投影と基準方向との間の夾角である。第2の夾角は、[0°,360°)の範囲内にある。
【0075】
具体的には、第1の信号分析器202が、第1の受信アンテナについて、第1の受信アンテナによって送信されるモノラル信号の、3次元放射球面の各測定方向におけるIチャネルおよびQチャネルの振幅および位相を別々に測定することは、
回転ディスクの調整をスキップし、現在の測定方向が初期測定方向(θ0,φ0)であることを確認し、ただし、θ0は第1の夾角であり、φ0は第2の夾角であり、また、二重偏波アンテナを使用して第1の信号分析器202によって、複素数試験結果E1I(θ0,φ0)を得るために、第1の受信アンテナによって送信されるモノラル信号の、測定方向(θ0,φ0)におけるIチャネルの振幅および位相を測定し、複素数試験結果E1Q(θ0,φ0)を得るために、受信アンテナによって送信されるモノラル信号の、測定方向(θ0,φ0)におけるQチャネルの振幅および位相を測定し、
測定方向のθを固定したまま、回転ディスクの調整によって端末デバイス201の方向を制御し、φを調整するための値がφの値の範囲を横切るまで特定の第2のステップΔφに従ってφを調整し、ただし、φの値の範囲は[φmod,φmod+Δφ,φmod+2Δφ,…,φmod+pΔφ]であり、φmod=φ0%(Δφ)であり、
【数1】
であり、また、各測定方向調整後に、二重偏波アンテナを使用して第1の信号分析器202によって、複素数試験結果を得るために、第1の受信アンテナによって送信されるモノラル信号の、調整された測定方向におけるIチャネルの振幅および位相を測定し、複素数試験結果を得るために、第1の受信アンテナによって送信されるモノラル信号の、調整された測定方向におけるQチャネルの振幅および位相を測定し、
回転ディスクの調整によって最後の測定方向のφ=φ0+nΔφを変化させずに保持し、θ=θ0+Δθとするために、特定の第1のステップΔθに従ってθを1回調整し、二重偏波アンテナを使用して第1の信号分析器202によって、複素数試験結果を得るために、第1の受信アンテナによって送信されるモノラル信号の、測定方向(θ0+Δθ,φ0+pΔφ)におけるIチャネルおよびQチャネルの振幅および位相を測定し、回転ディスクの調整を継続して、測定方向のθ=θ0+Δθを固定したままにし、φを調整するための値がφの範囲値を横切るまで特定の第2のステップに従ってφを調整し、ただし、φの値の範囲は[φmod,φmod+Δφ,φmod+2Δφ,…,φmod+pΔφ]であり、φmod=φ0%(Δφ)であり、
【数2】
であり、また、各測定方向調整後に、二重偏波アンテナを使用して第1の信号分析器202によって、複素数測定結果を得るために、第1の受信アンテナによって送信されるモノラル信号の、調整された測定方向におけるIチャネルおよびQチャネルの振幅および位相を測定し、
θを調整するための値がθの値の範囲を横切るまでこのような方法を繰り返し続ける、ただし、θの値の範囲は[θmod,θmod+Δθ,θmod+2Δθ,…,θmod+qΔθ]であり、θmod=θ0%(Δθ)であり、
【数3】
である、ことを含む。
【0076】
第1の信号分析器202は、上記の方法で、第1の受信アンテナによって送信されるモノラル信号の、3次元放射球面の各測定方向における振幅および位相を測定し、測定結果を第1の受信アンテナの複素数パターンP1(θ,φ)として使用する。
【0077】
上記の方法をさらに使用して、第1の信号分析器202は、第2の受信アンテナの複素数パターンP2(θ,φ)および後続の各受信アンテナの複素数パターンを求めることができる。
【0078】
既存のマルチプローブ電波暗室試験方法では、端末デバイスの各受信アンテナの複素数パターンは、測定によって直接取得することができない。放射2段階試験方法では、端末デバイスの各受信アンテナの複素数パターンは、端末デバイスによって報告されるデータを使用することによってしか取得することができない。本発明のこの実施形態で提供されるシステムでは、第1の信号分析器202は、端末デバイス201がブラックボックスモードにあるとき、各受信アンテナの複素数パターンを正確に直接求めることができる。このようにして、端末デバイス201のMIMO OTA性能試験中に、チャネルエミュレータは、各受信アンテナの複素数パターンに従って、端末デバイスが異なる方向にあるときの端末デバイスの信号送信シナリオをエミュレートすることができ、これにより、基地局シミュレータが、端末デバイスが異なる方向にあるときの端末デバイスのスループットを最終的に取得することができることが保証される。
【0079】
任意選択的に、第1の信号分析器202は、
各受信アンテナの複素数パターンを取得した後に、複数の受信アンテナのうちの2つの受信アンテナの複素数パターンに従って2つの受信アンテナのアンテナエンベロープ相関係数を求めるようにさらに構成される。
【0080】
任意選択的に、第1の信号分析器202は、以下の式、すなわち、
【数4】

【数5】
、および
【数6】
に従って第1の受信アンテナと第2の受信アンテナとのアンテナエンベロープ相関係数
【数7】
を求めることができる。
【0081】
上記の式において、E1T(θ,φ)は、各測定方向におけるIチャネルの、第1の受信アンテナの複素数試験結果であり、E’2I(θ,φ)は、E2I(θ,φ)の複素共役であり、E2I(θ,φ)は、各測定方向におけるIチャネルの、第2の受信アンテナの複素数試験結果であり、E1Q(θ,φ)は、各測定方向におけるQチャネルの、第1の受信アンテナの複素数試験結果であり、E’2Q(θ,φ)は、E2Q(θ,φ)の複素共役であり、E2Q(θ,φ)は、各測定方向におけるQチャネルの、第2の受信アンテナの複素テキスト結果であり、PI(θ,φ)は、各測定方向におけるIチャネルの、2つの受信アンテナの複素数試験結果であり、PQ(θ,φ)は、各測定方向におけるQチャネルの、2つの受信アンテナの複素数試験結果であり、XPRは、IチャネルおよびQチャネルの、受信アンテナの予め設定された交差偏波比であり、E’1T(θ,φ)は、E1T(θ,φ)の複素共役であり、E’1Q(θ,φ)は、E1Q(θ,φ)の複素共役である。
【0082】
各受信アンテナの複素数パターンを求めるとき、第1の信号分析器202は、第1ステップΔθに従ってθを調整し、第2のステップに従ってφを調整する。最終的に測定方向を調整するとき、第1の信号分析器104は、以下の式、すなわち、
【数8】

【数9】
、および
【数10】
に従って第1の受信アンテナと第2の受信アンテナとのアンテナエンベロープ相関係数
【数11】
をさらに求めることができる。
【0083】
この式グループの各パラメータの意味は、上記の式グループの対応するパラメータの意味と同じであり、パラメータは相互参照のために使用することができ、詳細はここでは繰り返さない。
【数12】
および
【数13】
【0084】
本発明のこの実施形態で提供されるシステムでは、上記の方法に従って、端末デバイス201の複数の受信アンテナの各々の複素数パターンを求めた後、第1の信号分析器202は、複数の受信アンテナのうちの2つの受信アンテナの複素数パターンに従って2つの受信アンテナのアンテナエンベロープ相関係数を求めることができる。
【0085】
本発明のこの実施形態で提供される端末デバイスのアンテナ複素数パターンの測定システムでは、第1の信号分析器は、端末デバイスがブラックボックスモードにあるとき、各受信アンテナの複素数パターンを正確に直接求めることができる。このようにして、端末デバイスのダウンリンクMIMO OTA性能試験中に、チャネルエミュレータは、各受信アンテナの複素数パターンに従って、端末デバイスが異なる方向にあるときの端末デバイスの信号送信シナリオをエミュレートすることができ、これにより、基地局シミュレータが、端末デバイスが異なる方向にあるときの端末デバイスのダウンリンクスループットを最終的に取得することができることが保証される。さらに、本システムでは、ブラックボックスモードにある端末デバイスの2つの受信アンテナのアンテナエンベロープ相関係数を正確にさらに求めることができる。
【0086】
既存の様々なMIMO OTA試験方法のすべてにおいて、端末デバイスの各送信アンテナの複素数パターンを測定することはできない。本発明の一実施形態は、端末デバイスのアンテナ複素数パターンの別の測定システムを提供する。本システムは、端末デバイスの各送信アンテナの複素数パターンを測定するように構成される。図3を参照すると、本システムのシステムアーキテクチャは、端末デバイス301および第3の信号分析器302を含む。端末デバイス301は、図1に示した、端末デバイスのための信号送信方法を実施する機能を有する。さらに、端末デバイス301が配置される電波暗室は、SISO OTA電波暗室、大円カット試験方法を使用する電波暗室、または円錐カット試験方法を使用する電波暗室であってもよい。本発明のこの実施形態で使用される電波暗室は、汎用のSISO OTA電波暗室である。あるいは、第3の信号分析器302は、多入力ネットワーク分析器であってもよい。
【0087】
端末デバイス301は、端末デバイスの複数の送信アンテナのすべてを使用して、特定の順番に従ってモノラル信号を順番に送信するように構成される。
【0088】
第3の信号分析器302は、各送信アンテナに固有の工程、すなわち、
モノラル信号の、3次元放射球面の各測定方向におけるIチャネルおよびQチャネルの振幅および位相を別々に測定する工程であって、モノラル信号が送信アンテナによって送信される、工程、ならびに
送信アンテナに固有の測定によって取得された、3次元放射球面の各測定方向におけるIチャネルおよびQチャネルの振幅および位相に従って送信アンテナの複素数パターンを取得する工程を実行するように構成される。
【0089】
明らかに、端末デバイス301は、アンテナ選択スイッチを使用して、同様に送信アンテナが特定の周波数および一定振幅のモノラル信号を送信することができるように送信アンテナを制御することができる。モノラル信号は、モノラル連続波信号である。
【0090】
第3の信号分析器302が各送信アンテナの複素数パターンを測定するときに使用される、第3の信号分析器302の機能、試験手順、および測定方向調整方法は、それぞれ、第1の信号分析器202が各受信アンテナの複素数パターンを測定するときに使用されるものと同じである。詳細はここでは繰り返さない。
【0091】
任意選択的に、第3の信号分析器302は、
各送信アンテナの複素数パターンを取得した後に、複数の送信アンテナのうちの2つの送信アンテナの複素数パターンに従って2つの送信アンテナのアンテナエンベロープ相関係数を求めるようにさらに構成される。
【0092】
第3の信号分析器302が2つの送信アンテナのアンテナエンベロープ相関係数を求めるときに使用される方法および式は、それぞれ、第1の信号分析器202が2つの送信アンテナのアンテナエンベロープ相関係数を求めるときに使用されるものと同じである。詳細はここでは繰り返さない。
【0093】
本発明のこの実施形態で提供される端末デバイスのアンテナ複素数パターンの測定システムでは、第3の信号分析器は、端末デバイスがブラックボックスモードにあるとき、各送信アンテナの複素数パターンを正確に直接求めることができる。このようにして、端末デバイスのアップリンクMIMO OTA性能試験中に、チャネルエミュレータは、各送信アンテナの複素数パターンに従って、端末デバイスが異なる方向にあるときの端末デバイスの信号送信シナリオをエミュレートすることができ、これにより、基地局シミュレータが、端末デバイスが異なる方向にあるときの端末デバイスのアップリンクスループットを最終的に取得することができることが保証される。さらに、本システムでは、ブラックボックスモードにある端末デバイスの2つの送信アンテナのアンテナエンベロープ相関係数を正確にさらに求めることができる。
【0094】
現在、端末デバイスのMIMO OTA試験を行うための既存の試験方法は、2×2ダウンリンクMIMO試験のみをサポートしており、2つより多くの受信チャネルを有する端末デバイスのダウンリンクスループットを試験することができない。したがって、既存の試験方法は、複数の受信チャネルを有する端末デバイスのスループットを試験するために使用することができず、その適用性は比較的低い。
【0095】
端末デバイスのMIMO OTA試験を行うための既存の試験方法が、複数の受信チャネルを有する端末デバイスのスループットを試験するために使用することができず、その適用性が比較的低いという問題を解決するために、本発明の一実施形態は、MIMO OTA性能試験システムをさらに提供する。図4を参照すると、本システムのシステムアーキテクチャは、基地局シミュレータ401、チャネルエミュレータ402、および電波暗室内の端末デバイス403を含む。端末デバイス403が配置される電波暗室は、汎用の単入力単出力(Single Input Single Output、SISO)OTA電波暗室、大円カット試験方法を使用する電波暗室、または円錐カット試験方法を使用する電波暗室であってもよい。本発明のこの実施形態で使用される電波暗室は、汎用のSISO OTA電波暗室であり、適切な数の試験アンテナ(ダウンリンクアンテナ)を追加しさえすればよい。したがって、コストが削減される。
【0096】
システムアーキテクチャが端末デバイスのダウンリンクMIMO OTA性能試験を行うために使用される場合、基地局シミュレータ401は、複数のダウンリンクポートを使用してダウンリンク試験信号の複数のストリームをチャネルエミュレータ402に送信するように構成される。
【0097】
チャネルエミュレータ402は、端末デバイス403の複数の受信アンテナの各々の複素数パターン、ダウンリンク放射チャネル逆行列、および特定のダウンリンクチャネルフェージングモデルに従って、受信されたダウンリンク試験信号の複数のストリームに対してチャネルエミュレーション処理を実行し、電波暗室内の複数のダウンリンクアンテナを使用して、処理されたダウンリンク試験信号の複数のストリームを電波暗室内の端末デバイス403に送信するように構成される。
【0098】
端末デバイス403は、複数の受信アンテナを使用して、チャネルエミュレータによって送信された処理されたダウンリンク試験信号の複数のストリームを受信し、受信された処理されたダウンリンク試験信号の各ストリームに従って確認応答メッセージを基地局シミュレータ401にフィードバックし、処理されたダウンリンク試験信号のストリームに従ってフィードバックされる確認応答メッセージが、端末デバイス403が処理されたダウンリンク試験信号を正しく復調したかどうかを基地局シミュレータ401に通知するために使用される、ように構成される。
【0099】
基地局シミュレータ401は、送信されたダウンリンク試験信号のストリームの量および受信された確認応答メッセージのうちの、端末デバイス403が正しい復調を行ったことを示す確認応答情報の量に従って、端末デバイス403のダウンリンクスループットを求めるようにさらに構成される。
【0100】
チャネルエミュレータ402の特定のダウンリンクチャネルフェージングモデルは、空間チャネルモデル拡張(Spatial Channel Model Extended、SCME)Umi、SCME Uma、または別のチャネルフェージングモデルであってもよい。
【0101】
基地局シミュレータ401が、送信されたダウンリンク試験信号のストリームの量および受信された確認応答メッセージのうちの、端末デバイス403が正しい復調を行ったことを示す確認応答情報の量に従って、端末デバイス403のダウンリンクスループットを求めることは、
送信されたダウンリンク試験信号のストリームの量で、正しい復調が行われたことを示す確認応答情報の量を割ることによって得られる商を、基地局シミュレータ401によって端末デバイス403のダウンリンクスループットとして使用することを含む。
【0102】
処理されたダウンリンク試験信号のストリームに従ってフィードバックされる確認応答メッセージは、通常、肯定応答メッセージ(ACKnowledge、ACK)または否定応答メッセージ(Negative ACKnowledge、NACK)である。確認応答メッセージがACKである場合、確認応答メッセージは、端末デバイス403が処理されたダウンリンク試験信号を正しく復調したことを基地局シミュレータ401に通知するために使用される。確認応答メッセージがNACKである場合、確認応答メッセージは、端末デバイス403が処理されたダウンリンク試験信号を正しく復調しなかったことを基地局シミュレータ401に通知するために使用される。
【0103】
任意選択的に、本システムは、
各受信アンテナの複素数パターンを求めるように構成される第1の信号分析器404をさらに含み、
チャネルエミュレータ402は、第1の信号分析器404から各受信アンテナの複素数パターンを取得するようにさらに構成される。
【0104】
第1の信号分析器404が各受信アンテナの複素数パターンを求めるとき、
端末デバイス403は、複数の受信アンテナのすべてを使用して、特定の順番に従ってモノラル信号を順番に送信するようにさらに構成され、
第1の信号分析器404は、各受信アンテナに固有の工程、すなわち、
受信アンテナによって送信されるモノラル信号の、3次元放射球面の各測定方向におけるIチャネルおよびQチャネルの振幅および位相を別々に測定する工程、ならびに
受信アンテナに固有の測定によって取得された、3次元放射球面の各測定方向におけるIチャネルおよびQチャネルの振幅および位相に従って受信アンテナの複素数パターンを取得する工程を実行するように特に構成される。
【0105】
明らかに、本システムの第1の信号分析器404が各受信アンテナの複素数パターンを求めることができるとき、端末デバイス403は、図1に示した端末デバイスのための信号送信方法を実施する機能、すなわち、特定のアンテナを使用して指定の周波数のモノラル信号を送信する機能を有する。
【0106】
第1の信号分析器404が各受信アンテナの複素数パターンを測定するときに使用される、第1の信号分析器404の機能、試験手順、および測定方向調整方法は、それぞれ、図2に示した端末デバイスのアンテナ複素数パターンの測定システムの第1の信号分析器202が各受信アンテナの複素数パターンを測定するときに使用されるものと同じである。詳細はここでは繰り返さない。
【0107】
上記の方法によれば、第1の信号分析器は、端末デバイスがブラックボックスモードにあるとき、各受信アンテナの複素数パターンを正確に直接求めることができる。このようにして、端末デバイスのダウンリンクMIMO OTA性能試験中に、チャネルエミュレータは、各受信アンテナの複素数パターンに従って、端末デバイスが異なる方向にあるときの端末デバイスの信号送信シナリオをエミュレートすることができ、これにより、基地局シミュレータが、端末デバイスが異なる方向にあるときの端末デバイスのダウンリンクスループットを最終的に取得することができることが保証される。
【0108】
任意選択的に、本システムは、
端末デバイスのダウンリンク放射チャネル行列を求めるように構成される第2の信号分析器405と、
第2の信号分析器405からダウンリンク放射チャネル行列を取得し、ダウンリンク放射チャネル逆行列を取得するためにダウンリンク放射チャネル行列の逆行列を計算するように構成される第1の処理デバイス406とをさらに含み、
チャネルエミュレータ402は、第1の処理デバイス406からダウンリンク放射チャネル逆行列を取得するようにさらに構成される。
【0109】
第2の信号分析器405が端末デバイスのダウンリンク放射チャネル行列を求めるとき、端末デバイス403は、端末デバイスの受信アンテナの数および基地局シミュレータのダウンリンクポートの数の中でより小さい値nを決定し、複数の受信アンテナからn個の受信アンテナを選択し、n個の受信アンテナのすべてを使用して特定の順番に従ってモノラル信号を順番に送信するようにさらに構成される。
【0110】
第2の信号分析器405は、
端末デバイスが各受信アンテナを使用してモノラル信号を送信するときに、電波暗室内のn個のダウンリンクアンテナに別々に接続し、n個のダウンリンクアンテナの各々によって受信された信号を測定し、
n個のダウンリンクアンテナから測定された信号に従って、各受信アンテナに固有の信号ベクトルを生成し、
n個の受信アンテナの各々に固有の生成された信号ベクトルに従ってダウンリンク放射チャネル行列を生成するように特に構成される。
【0111】
明らかに、本システムの第2の信号分析器405が端末デバイスのダウンリンク放射チャネル行列を求めることができるとき、端末デバイス403は、図1に示した端末デバイスのための信号送信方法を実施する機能、すなわち、特定のアンテナを使用して指定の周波数のモノラル信号を送信する機能を有する。
【0112】
この図に示すように、端末デバイス403がn個の受信アンテナのうちの第1の受信アンテナを使用してモノラル信号を送信するとき、h1nを取得するためにn個のダウンリンクアンテナのうちのn番目のダウンリンクアンテナの信号が測定されるまで、最初に第2の信号分析器405は、n個のダウンリンクアンテナのうちの第1のダウンリンクアンテナに接続され、h11を取得するために第1のダウンリンクアンテナの信号を測定し、次に第2の信号分析器405は、n個のダウンリンクアンテナのうちの第2のダウンリンクアンテナに接続され、h12を取得するために第1のダウンリンクアンテナの信号を測定する、等々である。第1の受信アンテナがモノラル信号を送信するとき、n個のダウンリンクアンテナの信号の測定結果に従って、第1の受信アンテナに固有の信号ベクトル(h11,h12,...,h1n)が生成される。
【0113】
端末デバイス403がn個の受信アンテナのうちの他の受信アンテナを使用してモノラル信号を送信するとき、第2の信号分析器405は、n個の受信アンテナの各々に固有の信号ベクトルを取得ために上記の方法を使用し続ける。
【0114】
第2の信号分析器405は、n個の受信アンテナの各々に固有の生成された信号ベクトルに従ってダウンリンク放射チャネル行列を生成するが、ただし、ダウンリンクチャネル行列は以下の通りである。
【数14】
【0115】
ダウンリンク放射チャネル行列を求めた後、第2の信号分析器405は、ダウンリンク放射チャネル行列を第1の処理デバイス406に送信する。第1の処理デバイス406は、第2の信号分析器405からダウンリンク放射チャネル行列を取得し、ダウンリンク放射チャネル逆行列を取得するためにダウンリンク放射チャネル行列の逆行列を計算し、ダウンリンク放射チャネル逆行列をチャネルエミュレータ402に送信する。
【0116】
以下の式に従って、上記の放射試験に従って求められたダウンリンク放射チャネル逆行列を伝導試験のダウンリンクチャネル逆行列として使用することができることを確認することができる。すなわち、ダウンリンク放射チャネル逆行列は、ダウンリンク試験信号に対してチャネルエミュレーション処理を実行するためにチャネルエミュレータ102によって使用され得る。
【数15】
ただし、
【数16】
は、伝導試験が行われるときの端末デバイスのn個の受信アンテナの信号であり、
【数17】
は、放射試験が行われるときの端末デバイスのn個の受信アンテナの信号であり、
【数18】
は、ダウンリンク放射チャネル逆行列である。
【0117】
任意選択的に、第1の信号分析器404は、
端末デバイスの複数の受信アンテナの各々の複素数パターンを求めた後に、複数の受信アンテナのうちの2つの受信アンテナの複素数パターンに従って2つの受信アンテナのアンテナエンベロープ相関係数を求めるようにさらに構成される。
【0118】
第1の信号分析器404が2つの受信アンテナのアンテナエンベロープ相関係数を求めるときに使用される方法および式は、それぞれ、図2に示した端末デバイスのアンテナ複素数パターンの測定システムの第1の信号分析器202が2つの受信アンテナのアンテナエンベロープ相関係数を求めるときに使用されるものと同じである。詳細はここでは繰り返さない。
【0119】
既存のMIMO OTA試験方法では、2つの受信アンテナの複素数パターンを直接測定することができない。本発明のこの実施形態で提供されるシステムでは、上記の方法に従って、端末デバイス403の複数の受信アンテナの各々の複素数パターンを求めた後、第1の信号分析器404は、複数の受信アンテナのうちの2つの受信アンテナの複素数パターンに従って2つの受信アンテナのアンテナエンベロープ相関係数を求めることができる。
【0120】
本発明のこの実施形態で提供されるMIMO OTA性能試験システムでは、基地局シミュレータは、ダウンリンク試験信号の複数のストリームを送信することができ、端末デバイスは、ダウンリンク試験信号のストリームの量、ダウンリンクアンテナの数、および端末デバイスの受信アンテナの数を制限することなく、複数の受信アンテナを使用して、複数のダウンリンクアンテナを使用してチャネルエミュレータによって送信される処理されたダウンリンク試験信号の複数のストリームを受信することができる。したがって、本発明のこの実施形態で提供されるMIMO OTA性能試験システムは、a×bのダウンリンクMIMO試験をサポートすることができ、なお、aおよびbは両方とも2以上の正の整数である。明らかに、本発明のこの実施形態で提供されるMIMO OTA性能試験システムは、複数の受信チャネルを有する端末デバイスのスループットを試験することができ、その適用性は比較的高い。
【0121】
既存のMIMO OTA性能試験方法では、端末デバイスのダウンリンクスループットしか試験することができず、端末デバイスのアップリンクスループットを試験することはできない。その結果、端末デバイスのアップリンク動作性能を正確に取得することができない。
【0122】
端末デバイスのアップリンクスループットを正確に測定するために、本発明の一実施形態は、別のMIMO OTA性能試験システムをさらに提供する。図5を参照すると、本システムのシステムアーキテクチャは、基地局シミュレータ501、チャネルエミュレータ502、および電波暗室内の端末デバイス503を含む。端末デバイス503が配置される電波暗室は、汎用のSISO OTA電波暗室、大円カット試験方法を使用する電波暗室、または円錐カット試験方法を使用する電波暗室であってもよい。本発明のこの実施形態で使用される電波暗室は、汎用のSISO OTA電波暗室であり、適切な数の試験アンテナ(アップリンクアンテナ)を追加しさえすればよい。したがって、コストが削減される。
【0123】
システムアーキテクチャが端末デバイスのアップリンクMIMO OTA性能試験を行うために使用される場合、端末デバイス503は、端末デバイス503の複数の送信アンテナを使用してアップリンク試験信号の複数のストリームを送信し、電波暗室内の複数のアップリンクアンテナを使用してアップリンク試験信号の複数のストリームをチャネルエミュレータ502に送信するように構成される。
【0124】
チャネルエミュレータ502は、端末デバイス503の複数の送信アンテナの各々の複素数パターン、アップリンク放射チャネル逆行列、および特定のアップリンクチャネルフェージングモデルに従って、アップリンク試験信号の複数のストリームに対してチャネルエミュレーション処理を実行し、処理されたアップリンク試験信号の複数のストリームを基地局シミュレータ501に送信するように構成される。
【0125】
基地局シミュレータ501は、複数のアップリンクポートを使用して、チャネルエミュレータ502によって送信された処理されたアップリンク試験信号の複数のストリームを受信し、端末デバイス503によって送信されたアップリンク試験信号のストリームの量および基地局シミュレータ501によって受信された処理されたアップリンク試験信号のストリームの量に従って端末デバイス503のアップリンクスループットを求めるように構成される。
【0126】
チャネルエミュレータ502の特定のアップリンクチャネルフェージングモデルは、SCME Umi、SCME Uma、または別のチャネルフェージングモデルであってもよい。
【0127】
基地局シミュレータ501が、端末デバイス503によって送信されたアップリンク試験信号のストリームの量および基地局シミュレータ501によって受信された処理されたアップリンク試験信号のストリームの量に従って端末デバイス503のアップリンクスループットを求めることは、
端末デバイス503によって送信されたアップリンク試験信号のストリームの量で、受信された処理されたアップリンク試験信号のストリームの量を割ることによって得られる商を、基地局シミュレータ501によって端末デバイス503のアップリンクスループットとして使用すること
を含む。
【0128】
任意選択的に、本システムは、
各送信アンテナの複素数パターンを求めるように構成される第3の信号分析器504をさらに含み、
チャネルエミュレータ502は、第3の信号分析器から各送信アンテナの複素数パターンを取得するようにさらに構成される。
【0129】
第3の信号分析器504が各送信アンテナの複素数パターンを求めるとき、
端末デバイス503は、複数の送信アンテナのすべてを使用して、特定の順番に従ってモノラル信号を順番に送信するようにさらに構成され、
第3の信号分析器504は、各送信アンテナに固有の工程、すなわち、
モノラル信号の、3次元放射球面の各測定方向におけるIチャネルおよびQチャネルの振幅および位相を別々に測定する工程であって、モノラル信号が送信アンテナによって送信される、工程、ならびに
受信アンテナに固有の測定によって取得された、3次元放射球面の各測定方向におけるIチャネルおよびQチャネルの振幅および位相に従って送信アンテナの複素数パターンを取得する工程を実行するように特に構成される。
【0130】
明らかに、本システムの第3の信号分析器504が各送信アンテナの複素数パターンを求めることができるとき、端末デバイス503は、図1に示した端末デバイスのための信号送信方法を実施する機能、すなわち、特定のアンテナを使用して指定の周波数のモノラル信号を送信する機能を有する。
【0131】
第3の信号分析器504が各送信アンテナの複素数パターンを測定するときに使用される、第3の信号分析器50の機能、試験手順、および測定方向調整方法は、それぞれ、図3に示した端末デバイスのアンテナ複素数パターンの測定システムの第3の信号分析器302が各送信アンテナの複素数パターンを測定するときに使用されるものと同じである。詳細はここでは繰り返さない。
【0132】
上記の方法によれば、第1の信号分析器は、端末デバイスがブラックボックスモードにあるとき、各送信アンテナの複素数パターンを正確に直接求めることができる。このようにして、端末デバイスのアップリンクMIMO OTA性能試験中に、チャネルエミュレータは、各送信アンテナの複素数パターンに従って、端末デバイスが異なる方向にあるときの端末デバイスの信号送信シナリオをエミュレートすることができ、これにより、基地局シミュレータが、端末デバイスが異なる方向にあるときの端末デバイスのアップリンクスループットを最終的に取得することができることが保証される。
【0133】
任意選択的に、本システムは、
端末デバイスのアップリンク放射チャネル行列を求めるように構成される第4の信号分析器505と、
第4の信号分析器505からアップリンク放射チャネル行列を取得し、アップリンク放射チャネル逆行列を取得するためにアップリンク放射チャネル行列の逆行列を計算するように構成される第2の処理デバイス506とをさらに含み、
チャネルエミュレータ502は、第2の処理デバイスからアップリンク放射チャネル逆行列を取得するようにさらに構成される。
【0134】
第4の信号分析器505が端末デバイスのアップリンク放射チャネル行列を求めるとき、端末デバイス503は、端末デバイスの送信アンテナの数および基地局シミュレータのアップリンクポートの数の中でより小さい値mを決定し、複数の送信アンテナからm個の送信アンテナを選択し、m個の送信アンテナのすべてを使用して特定の順番に従ってモノラル信号を順番に送信するようにさらに構成され、
第4の信号分析器505は、
端末デバイスが各送信アンテナを使用してモノラル信号を送信するときに、電波暗室内のm個のアップリンクアンテナに別々に接続し、m個のアップリンクアンテナの各々によって受信された信号を測定し、
m個のアップリンクアンテナから測定された信号に従って、各送信アンテナに固有の信号ベクトルを生成し、
m個の送信アンテナの各々に固有の生成された信号ベクトルに従ってアップリンク放射チャネル行列を生成するように特に構成される。
【0135】
明らかに、本システムの第4の信号分析器505が端末デバイスのアップリンク放射チャネル行列を求めることができるとき、端末デバイス503は、図1に示した端末デバイスのための信号送信方法を実施する機能、すなわち、特定のアンテナを使用して指定の周波数のモノラル信号を送信する機能を有する。
【0136】
第4の信号分析器505が本発明のこの実施形態で提供されるシステムにおいて端末デバイス503のアップリンク放射チャネル行列を求めるときに使用されるステップは、第2の信号分析器405が図4に示したMIMO OTA試験システムにおいて端末デバイス403のダウンリンク放射チャネル行列を求めるときに使用されるものと同じである。詳細はここでは繰り返さない。
【0137】
任意選択的に、第3の信号分析器504は、
端末デバイスの複数の送信アンテナの各々の複素数パターンを求めた後に、複数の送信アンテナのうちの2つの送信アンテナの複素数パターンに従って2つの送信アンテナのアンテナエンベロープ相関係数を求めるようにさらに構成される。
【0138】
第3の信号分析器504が2つの送信アンテナのアンテナエンベロープ相関係数を求めるときに使用される方法および式は、それぞれ、図3に示した端末デバイスのアンテナ複素数パターンの測定システムの第3の信号分析器302が2つの送信アンテナのアンテナエンベロープ相関係数を求めるときに使用されるものと同じである。詳細はここでは繰り返さない。
【0139】
本発明のこの実施形態で提供されるMIMO OTA性能試験システムによれば、端末デバイスのアップリンクスループットを正確に測定することができ、これにより、端末デバイスのアップリンク動作性能が正確に取得される。
【0140】
上記の実施形態に基づいて、本発明の一実施形態は、MIMO OTA性能試験システムをさらに提供する。本システムは、端末デバイスのアップリンクスループットを測定することができ、また、端末デバイスのダウンリンクスループットを測定することもできる。図6に示すように、本システムのシステムアーキテクチャは、基地局シミュレータ601、チャネルエミュレータ602、および電波暗室内の端末デバイス603を含む。
【0141】
任意選択的に、本システムは、各受信アンテナの複素数パターンを求めるように構成される第1の信号分析器604をさらに含むことができる。
【0142】
任意選択的に、本システムは、端末デバイス603のダウンリンク放射チャネル行列を求めるように構成される第2の信号分析器605をさらに含むことができる。
【0143】
これに対応して、本システムは、第2の信号分析器605からダウンリンク放射チャネル行列を取得し、ダウンリンク放射チャネル逆行列を取得するためにダウンリンク放射チャネル行列の逆行列を計算するように構成される第1の処理デバイス606をさらに含む。
【0144】
任意選択的に、本システムは、各送信アンテナの複素数パターンを求めるように構成される第3の信号分析器607をさらに含むことができる。
【0145】
任意選択的に、本システムは、端末デバイス603のアップリンク放射チャネル行列を求めるように構成される第4の信号分析器608をさらに含むことができる。
【0146】
これに対応して、本システムは、第4の信号分析器608からアップリンク放射チャネル行列を取得し、アップリンク放射チャネル逆行列を取得するためにアップリンク放射チャネル行列の逆行列を計算するように構成される第2の処理デバイス609をさらに含む。
【0147】
本システムが端末デバイス603のダウンリンクスループットを測定するときに使用される各関連デバイスの機能については、図4に示した実施形態の対応するデバイスの機能を参照されたい。本システムが端末デバイス603のアップリンクスループットを測定するときに使用される各関連デバイスの機能については、図5に示した実施形態の対応するデバイスの機能を参照されたい。詳細はここでは繰り返さない。
【0148】
本発明のこの実施形態で提供されるMIMO OTA性能試験システムにおいて、第1の信号分析器604および第3の信号分析器607は、それぞれ、各送信アンテナの複素数パターンおよび各送信アンテナの複素数パターンを試験する。したがって、第1の信号分析器604および第3の信号分析器607は、同じ信号分析器であってもよい。同様に、第2の信号分析器605および第4の信号分析器608は、同じ信号分析器であってもよい。任意選択的に、第1の信号分析器604、第2の信号分析器605、第3の信号分析器607、および第4の信号分析器608は、同じ信号分析器であってもよい。これは、本発明のこの実施形態では限定されない。あるいは、本発明で使用される各信号分析器は、多入力ネットワーク分析器であってもよい。
【0149】
本発明のこの実施形態で提供されるMIMO OTA性能試験システムでは、第1の処理デバイス606および第2の処理デバイス609は、同じ処理デバイスであってもよい。これは、本発明のこの実施形態では限定されない。
【0150】
要するに、本発明のこの実施形態で提供されるMIMO OTA性能試験システムは、複数の受信チャネルを有する端末デバイスのスループットを測定することができるだけでなく、複数の送信チャネルを有する端末デバイスのスループットを測定することもできる。従来技術のマルチプローブ電波暗室試験方法と比較して、端末デバイスのアンテナごとに2つのチャネルシミュレータを構成する必要はない。明らかに、本発明は試験コストを低減することができる。さらに、本発明のこの実施形態で提供されるシステムによれば、端末の各受信アンテナの複素数パターンおよび各送信アンテナの複素数パターンをさらに直接測定することができ、ダウンリンク放射チャネル逆行列およびダウンリンク放射チャネル逆行列をさらに取得するために、ダウンリンク放射チャネル行列およびアップリンク放射チャネル行列をさらに直接測定することができる。さらに、取得されたパラメータはより正確である。これにより、MMO OTA性能試験結果の精度が最終的に向上する。
【0151】
上記の実施形態に基づいて、本発明の一実施形態は、端末デバイスをさらに提供する。端末デバイスは、図1に示した信号送信方法を実施するように構成される。図7を参照すると、端末デバイス700は、生成ユニット701および送信ユニット702を含む。
【0152】
生成ユニット701は、特定の周波数のモノラル信号を生成するように構成される。
【0153】
送信ユニット702は、端末デバイス700の特定のアンテナを使用してモノラル信号を送信し、特定のアンテナが、端末デバイスの受信アンテナまたは送信アンテナである、ように構成される。
【0154】
任意選択的に、モノラル信号は、一定振幅のモノラル連続波信号である。
【0155】
任意選択的に、送信ユニット702は、
特定のアンテナを使用してモノラル信号を送信する前に、特定のアンテナのアンテナ選択スイッチを有効にし、特定のアンテナとは異なる他の受信アンテナおよび送信アンテナのアンテナ選択スイッチを無効にするようにさらに構成される。
【0156】
本発明のこの実施形態で提供される端末デバイスを使用することにより、端末デバイスは、特定の周波数のモノラル信号を生成することができ、端末デバイスの特定の受信アンテナまたは送信アンテナを使用してモノラル信号を送信することができる。端末デバイスは、特定のアンテナを使用して指定の周波数のモノラル信号を送信する機能を有する。したがって、端末デバイスのアンテナ複素数パターンの測定システムは、端末デバイスが受信アンテナまたは送信アンテナの各々を使用して特定の周波数のモノラル信号を送信する方法で、端末デバイスの各アンテナの複素数パターンを正確に測定することができる。測定システムは、MIMO OTA性能試験が端末デバイスのすべてのアンテナの複素数パターンに従って端末デバイスに対して行われるとき、正確な測定結果をさらに取得することができる。
【0157】
上記の実施形態に基づいて、本発明の一実施形態は、端末デバイスを提供する。端末デバイスは、図1に示した信号送信方法を実施するように構成される。図8を参照すると、端末デバイス800は、信号生成器801、プロセッサ802、バス803、メモリ804、および複数のアンテナを含む。複数のアンテナは、複数の受信アンテナ805および複数の送信アンテナ806を含み、各アンテナは、アンテナ選択スイッチを有する。
【0158】
信号生成器801、プロセッサ802、メモリ804、および複数のアンテナは、バス803を使用して相互に接続される。バス803は、周辺コンポーネント相互接続(peripheral component interconnect、略してPCI)バスまたは拡張業界標準アーキテクチャ(extended industry standard architecture、略してEISA)バスなどであってもよい。バスは、アドレスバス、データバス、および制御バスなどに分けることができる。表記を容易にするために、バスは、図8では1本の太線のみを使用して表されている。しかしながら、これは、1つのバスまたは1つのタイプのバスしかないことを意味しない。
【0159】
信号生成器801は、特定の周波数のモノラル信号を生成するように構成される。
【0160】
複数のアンテナは、モノラル信号を送信するように構成される。受信アンテナ805は、ダウンリンク信号を受信するようにさらに構成され、送信アンテナ806は、アップリンク信号を送信するようにさらに構成される。
【0161】
プロセッサ802は、図1に示した信号送信方法を実施するように構成され、この方法は、
信号生成器801を有効にして特定の周波数のモノラル信号を生成させるために信号生成器801を制御するステップと、
端末デバイスの特定のアンテナを使用してモノラル信号を送信するステップであって、特定のアンテナが、端末デバイスの受信アンテナ805または送信アンテナ806である、ステップと
を含む。
【0162】
任意選択的に、モノラル信号は、一定振幅のモノラル連続波信号である。
【0163】
任意選択的に、プロセッサ802は、
特定のアンテナを使用してモノラル信号を送信する前に、特定のアンテナのアンテナ選択スイッチを有効にし、特定のアンテナとは異なる他の受信アンテナ805および送信アンテナ806のアンテナ選択スイッチを無効にする
ようにさらに構成される。
【0164】
本発明のこの実施形態で提供される端末デバイスを使用することにより、端末デバイスは、特定の周波数のモノラル信号を生成することができ、端末デバイスの特定の受信アンテナまたは送信アンテナを使用してモノラル信号を送信することができる。端末デバイスは、特定のアンテナを使用して指定の周波数のモノラル信号を送信する機能を有する。したがって、端末デバイスのアンテナ複素数パターンの測定システムは、端末デバイスが受信アンテナまたは送信アンテナの各々を使用して特定の周波数のモノラル信号を送信する方法で、端末デバイスの各アンテナの複素数パターンを正確に測定することができる。測定システムは、MIMO OTA性能試験が端末デバイスのすべてのアンテナの複素数パターンに従って端末デバイスに対して行われるとき、正確な測定結果をさらに取得することができる。
【0165】
上記の実施形態に基づいて、本発明の一実施形態は、端末デバイスのアンテナ複素数パターンの測定方法をさらに提供する。本方法は、図2に示した端末デバイスのアンテナ複素数パターンの測定システムに適用可能である。この方法で使用されるデバイスは、図2に示したシステムの対応するデバイスであってもよい。図9を参照すると、本方法の手順は以下のステップを含む。
【0166】
ステップ901:端末デバイスは、端末デバイスの複数の受信アンテナのすべてを使用して、特定の順番に従ってモノラル信号を順番に送信する。
【0167】
ステップ902:第1の信号分析器は、各受信アンテナに固有の工程、すなわち、
受信アンテナによって送信されるモノラル信号の、3次元放射球面の各測定方向におけるIチャネルおよびQチャネルの振幅および位相を別々に測定する工程、ならびに
受信アンテナに固有の測定によって取得された、3次元放射球面の各測定方向におけるIチャネルおよびQチャネルの振幅および位相に従って受信アンテナの複素数パターンを取得する工程
を実行する。
【0168】
任意選択的に、第1の信号分析器が各受信アンテナの複素数パターンを取得した後に、本方法は、
複数の受信アンテナのうちの2つの受信アンテナの複素数パターンに従って2つの受信アンテナのアンテナエンベロープ相関係数を求めるステップ
をさらに含む。
【0169】
本発明のこの実施形態で提供される端末デバイスのアンテナ複素数パターンの測定方法によれば、第1の信号分析器は、端末デバイスがブラックボックスモードにあるとき、各受信アンテナの複素数パターンを正確に直接求めることができる。このようにして、端末デバイスのダウンリンクMIMO OTA性能試験中に、チャネルエミュレータは、各受信アンテナの複素数パターンに従って、端末デバイスが異なる方向にあるときの端末デバイスの信号送信シナリオをエミュレートすることができ、これにより、基地局シミュレータが、端末デバイスが異なる方向にあるときの端末デバイスのダウンリンクスループットを最終的に取得することができることが保証される。さらに、本システムでは、ブラックボックスモードにある端末デバイスの2つの受信アンテナのアンテナエンベロープ相関係数を正確にさらに求めることができる。
【0170】
上記の実施形態に基づいて、本発明の一実施形態は、端末デバイスのアンテナ複素数パターンの測定方法をさらに提供する。本方法は、図3に示した端末デバイスのアンテナ複素数パターンの測定システムに適用可能である。この方法で使用されるデバイスは、図3に示したシステムの対応するデバイスであってもよい。図10を参照すると、本方法の手順は以下のステップを含む。
【0171】
ステップ1001:端末デバイスは、端末デバイスの複数の送信アンテナのすべてを使用して、特定の順番に従ってモノラル信号を順番に送信する。
【0172】
ステップ1002:第3の信号分析器は、各送信アンテナに固有の工程、すなわち、
モノラル信号の、3次元放射球面の各測定方向におけるIチャネルおよびQチャネルの振幅および位相を別々に測定する工程であって、モノラル信号が送信アンテナによって送信される、工程、ならびに
送信アンテナに固有の測定によって取得された、3次元放射球面の各測定方向におけるIチャネルおよびQチャネルの振幅および位相に従って送信アンテナの複素数パターンを取得する工程
を実行する。
【0173】
任意選択的に、第3の信号分析器が各送信アンテナの複素数パターンを取得する工程の後に、本方法は、
複数の送信アンテナのうちの2つの送信アンテナの複素数パターンに従って2つの送信アンテナのアンテナエンベロープ相関係数を求めるステップ
をさらに含む。
【0174】
本発明のこの実施形態で提供される端末デバイスのアンテナ複素数パターンの測定方法によれば、第3の信号分析器は、端末デバイスがブラックボックスモードにあるとき、各送信アンテナの複素数パターンを正確に直接求めることができる。このようにして、端末デバイスのアップリンクMIMO OTA性能試験中に、チャネルエミュレータは、各送信アンテナの複素数パターンに従って、端末デバイスが異なる方向にあるときの端末デバイスの信号送信シナリオをエミュレートすることができ、これにより、基地局シミュレータが、端末デバイスが異なる方向にあるときの端末デバイスのアップリンクスループットを最終的に取得することができることが保証される。さらに、本システムでは、ブラックボックスモードにある端末デバイスの2つの送信アンテナのアンテナエンベロープ相関係数を正確にさらに求めることができる。
【0175】
上記の実施形態に基づいて、本発明の一実施形態は、MIMO OTA性能試験方法をさらに提供する。本方法は、図4に示したMIMO OTA性能試験システムに適用可能である。本方法で使用されるデバイスは、図4に示したシステムの対応するデバイスであってもよい。図11を参照すると、本方法の手順は以下のステップを含む。
【0176】
ステップ1101:基地局シミュレータは、複数のダウンリンクポートを使用してダウンリンク試験信号の複数のストリームをチャネルエミュレータに送信する。
【0177】
ステップ1102:チャネルエミュレータは、端末デバイスの複数の受信アンテナの各々の複素数パターン、ダウンリンク放射チャネル逆行列、および特定のダウンリンクチャネルフェージングモデルに従って、受信されたダウンリンク試験信号の複数のストリームに対してチャネルエミュレーション処理を実行し、電波暗室内の複数のダウンリンクアンテナを使用して、処理されたダウンリンク試験信号の複数のストリームを電波暗室内の端末デバイスに送信する。
【0178】
ステップ1103:端末デバイスは、複数の受信アンテナを使用して、チャネルエミュレータによって送信された処理されたダウンリンク試験信号の複数のストリームを受信し、受信された処理されたダウンリンク試験信号の各ストリームに従って確認応答メッセージを基地局シミュレータにフィードバックするが、その場合、処理されたダウンリンク試験信号のストリームに従ってフィードバックされる確認応答メッセージは、端末デバイスが処理されたダウンリンク試験信号を正しく復調したかどうかを基地局シミュレータに通知するために使用される。
【0179】
ステップ1104:基地局シミュレータは、送信されたダウンリンク試験信号のストリームの量および受信された確認応答メッセージのうちの、端末デバイスが正しい復調を行ったことを示す確認応答情報の量に従って、端末デバイスのダウンリンクスループットを求める。
【0180】
任意選択的に、チャネルエミュレータによって、受信されたダウンリンク試験信号の複数のストリームに対してチャネルエミュレーション処理を実行するステップの前に、本方法は、
第1の信号分析器によって、各受信アンテナの複素数パターンを求めるステップと、
チャネルエミュレータによって、第1の信号分析器から各受信アンテナの複素数パターンを取得するステップと
をさらに含む。
【0181】
任意選択的に、本方法は、
端末デバイスによって、複数の受信アンテナのすべてを使用して特定の順番に従ってモノラル信号を順番に送信するステップ
をさらに含み、
第1の信号分析器によって各受信アンテナの複素数パターンを求めるステップは、
第1の信号分析器によって、各受信アンテナに固有の工程、すなわち、
受信アンテナによって送信されるモノラル信号の、3次元放射球面の各測定方向におけるIチャネルおよびQチャネルの振幅および位相を別々に測定する工程、ならびに
受信アンテナに固有の測定によって取得された、3次元放射球面の各測定方向におけるIチャネルおよびQチャネルの振幅および位相に従って受信アンテナの複素数パターンを取得する工程
を実行するステップ
を含む。
【0182】
任意選択的に、チャネルエミュレータによって、受信されたダウンリンク試験信号の複数のストリームに対してチャネルエミュレーション処理を実行するステップの前に、本方法は、
第2の信号分析器によって端末デバイスのダウンリンク放射チャネル行列を求めるステップと、
第1の処理デバイスによって、第2の信号分析器からダウンリンク放射チャネル行列を取得し、ダウンリンク放射チャネル逆行列を取得するためにダウンリンク放射チャネル行列の逆行列を計算するステップと、
チャネルエミュレータによって、第1の処理デバイスからダウンリンク放射チャネル逆行列を取得するステップと
をさらに含む。
【0183】
任意選択的に、本方法は、
端末デバイスによって、端末デバイスの受信アンテナの数および基地局シミュレータのダウンリンクポートの数の中でより小さい値nを決定し、複数の受信アンテナからn個の受信アンテナを選択し、n個の受信アンテナのすべてを使用して特定の順番に従ってモノラル信号を順番に送信するステップ
をさらに含み、
第2の信号分析器によって端末デバイスのダウンリンク放射チャネル行列を求めるステップが、
端末デバイスが各受信アンテナを使用してモノラル信号を送信するときに、電波暗室内のn個のダウンリンクアンテナに別々に接続し、n個のダウンリンクアンテナの各々によって受信された信号を測定するステップと、
n個のダウンリンクアンテナから測定された信号に従って、各受信アンテナに固有の信号ベクトルを生成するステップと、
n個の受信アンテナの各々に固有の生成された信号ベクトルに従ってダウンリンク放射チャネル行列を生成するステップと
を含む。
【0184】
任意選択的に、第1の信号分析器によって各受信アンテナの複素数パターンを求めた後に、本方法は、
複数の受信アンテナのうちの2つの受信アンテナの複素数パターンに従って2つの受信アンテナのアンテナエンベロープ相関係数を求めるステップ
をさらに含む。
【0185】
本発明のこの実施形態で提供されるMIMO OTA性能試験方法によれば、基地局シミュレータは、ダウンリンク試験信号の複数のストリームを送信することができ、端末デバイスは、ダウンリンク試験信号のストリームの量、ダウンリンクアンテナの数、および端末デバイスの受信アンテナの数を制限することなく、複数の受信アンテナを使用して、複数のダウンリンクアンテナを使用してチャネルエミュレータによって送信される処理されたダウンリンク試験信号の複数のストリームを受信することができる。したがって、本発明のこの実施形態で提供されるMIMO OTA性能試験システムは、a×bのダウンリンクMIMO試験をサポートすることができ、なお、aおよびbは両方とも2以上の正の整数である。明らかに、本発明のこの実施形態で提供されるMIMO OTA性能試験システムは、複数の受信チャネルを有する端末デバイスのスループットを試験することができ、その適用性は比較的高い。
【0186】
上記の実施形態に基づいて、本発明の一実施形態は、MIMO OTA性能試験方法をさらに提供する。本方法は、図5に示したMIMO OTA性能試験システムに適用可能である。本方法で使用されるデバイスは、図5に示したシステムの対応するデバイスであってもよい。図12を参照すると、本方法の手順は以下のステップを含む。
【0187】
ステップ1201:電波暗室内の端末デバイスは、端末デバイスの複数の送信アンテナを使用してアップリンク試験信号の複数のストリームを送信し、電波暗室内の複数のアップリンクアンテナを使用してアップリンク試験信号の複数のストリームをチャネルエミュレータに送信する。
【0188】
ステップ1202:チャネルエミュレータは、端末デバイスの複数の送信アンテナの各々の複素数パターン、アップリンク放射チャネル逆行列、および特定のアップリンクチャネルフェージングモデルに従って、アップリンク試験信号の複数のストリームに対してチャネルエミュレーション処理を実行し、処理されたアップリンク試験信号の複数のストリームを基地局シミュレータに送信する。
【0189】
ステップ1203:基地局シミュレータは、複数のアップリンクポートを使用して、チャネルエミュレータによって送信された処理されたアップリンク試験信号の複数のストリームを受信し、端末デバイスによって送信されたアップリンク試験信号のストリームの量および基地局シミュレータによって受信された処理されたアップリンク試験信号のストリームの量に従って端末デバイスのアップリンクスループットを求める。
【0190】
任意選択的に、チャネルエミュレータによって、アップリンク試験信号の複数のストリームに対してチャネルエミュレーション処理を実行するステップの前に、本方法は、
第3の信号分析器によって、各送信アンテナの複素数パターンを求めるステップと、
チャネルエミュレータによって、第3の信号分析器から各送信アンテナの複素数パターンを取得するステップと
をさらに含む。
【0191】
任意選択的に、本方法は、
端末デバイスによって、複数の送信アンテナのすべてを使用して特定の順番に従ってモノラル信号を順番に送信するステップ
をさらに含み、
第3の信号分析器によって各送信アンテナの複素数パターンを求めるステップは、
第3の信号分析器によって、各送信アンテナに固有の工程、すなわち、
モノラル信号の、3次元放射球面の各測定方向におけるIチャネルおよびQチャネルの振幅および位相を別々に測定する工程であって、モノラル信号が送信アンテナによって送信される、工程、ならびに
受信アンテナに固有の測定によって取得された、3次元放射球面の各測定方向におけるIチャネルおよびQチャネルの振幅および位相に従って送信アンテナの複素数パターンを取得する工程
を実行するステップ
を含む。
【0192】
任意選択的に、チャネルエミュレータによって、アップリンク試験信号の複数のストリームに対してチャネルエミュレーション処理を実行するステップの前に、本方法は、
第4の信号分析器によって端末デバイスのアップリンク放射チャネル行列を求めるステップと、
第2の処理デバイスによって、第4の信号分析器からアップリンク放射チャネル行列を取得し、アップリンク放射チャネル逆行列を取得するためにアップリンク放射チャネル行列の逆行列を計算するステップと、
チャネルエミュレータによって、第2の処理デバイスからアップリンク放射チャネル逆行列を取得するステップと
をさらに含む。
【0193】
任意選択的に、本方法は、
端末デバイスによって、端末デバイスの送信アンテナの数および基地局シミュレータのアップリンクポートの数の中でより小さい値mを決定し、複数の送信アンテナからm個の送信アンテナを選択し、m個の送信アンテナのすべてを使用して特定の順番に従ってモノラル信号を順番に送信するステップをさらに含み、
第4の信号分析器によって端末デバイスのアップリンク放射チャネル行列を求めるステップが、
端末デバイスが各送信アンテナを使用してモノラル信号を送信するときに、電波暗室内のm個のアップリンクアンテナに別々に接続し、m個のアップリンクアンテナの各々によって受信された信号を測定するステップと、
m個のアップリンクアンテナから測定された信号に従って、各送信アンテナに固有の信号ベクトルを生成するステップと、
m個の送信アンテナの各々に固有の生成された信号ベクトルに従ってアップリンク放射チャネル行列を生成するステップと
を含む。
【0194】
任意選択的に、第3の信号分析器によって各送信アンテナの複素数パターンを求めた後に、本方法は、
複数の送信アンテナのうちの2つの送信アンテナの複素数パターンに従って2つの送信アンテナのアンテナエンベロープ相関係数を求めるステップ
をさらに含む。
【0195】
本発明のこの実施形態で提供されるMIMO OTA性能試験システムによれば、端末デバイスのアップリンクスループットを正確に測定することができ、これにより、端末デバイスのアップリンク動作性能が正確に取得される。
【0196】
要するに、本発明のこの実施形態で提供される、端末デバイスのための信号送信方法および端末デバイスによれば、端末デバイスは、特定の周波数のモノラル信号を生成することができ、端末デバイスの特定の受信アンテナまたは送信アンテナを使用してモノラル信号を送信することができる。端末デバイスは、特定のアンテナを使用して指定の周波数のモノラル信号を送信する機能を有する。したがって、端末デバイスのアンテナ複素数パターンの測定システムは、端末デバイスが受信アンテナまたは送信アンテナの各々を使用して特定の周波数のモノラル信号を送信する方法で、端末デバイスの各アンテナの複素数パターンを正確に測定することができる。測定システムは、MIMO OTA性能試験が端末デバイスのすべてのアンテナの複素数パターンに従って端末デバイスに対して行われるとき、正確な測定結果をさらに取得することができる。
【0197】
本発明のいくつかの好ましい実施形態について説明してきたが、当業者は、基本的な発明概念を習得したら、これらの実施形態を変更および修正することができる。したがって、以下の特許請求の範囲は、本発明の範囲内に含まれる好ましい実施形態ならびにすべての変更例および修正例を包含すると解釈されることを意図されている。
【0198】
明らかに、当業者は、本発明の実施形態の精神および範囲から逸脱することなく、本発明の実施形態を様々に修正および変形することができる。本発明の実施形態は、以下の特許請求の範囲およびその均等な技術によって規定される保護範囲内に含まれるならば、これらの修正例および変形例を包含することを意図されている。
【符号の説明】
【0199】
201 端末デバイス
202 第1の信号分析器
301 端末デバイス
302 第3の信号分析器
401 基地局シミュレータ
402 チャネルエミュレータ
403 端末デバイス
404 第1の信号分析器
405 第2の信号分析器
406 第1の処理デバイス
5011 基地局シミュレータ
402 チャネルエミュレータ
503 端末デバイス
504 第3の信号分析器
505 第4の信号分析器
506 第2の処理デバイス
601 基地局シミュレータ
602 チャネルエミュレータ
603 端末デバイス
604 第1の信号分析器
605 第2の信号分析器
606 第1の処理デバイス
607 第3の信号分析器
608 第4の信号分析器
609 第2の処理デバイス
700 端末デバイス
701 生成ユニット
702 送信ユニット
800 端末デバイス
801 信号生成器
802 プロセッサ
803 バス
804 メモリ
805 受信アンテナ
806 送信アンテナ
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12