特許第6732364号(P6732364)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6732364
(24)【登録日】2020年7月10日
(45)【発行日】2020年7月29日
(54)【発明の名称】搬送装置
(51)【国際特許分類】
   B65G 47/46 20060101AFI20200716BHJP
【FI】
   B65G47/46 H
【請求項の数】10
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2015-231838(P2015-231838)
(22)【出願日】2015年11月27日
(65)【公開番号】特開2017-95274(P2017-95274A)
(43)【公開日】2017年6月1日
【審査請求日】2018年11月14日
(73)【特許権者】
【識別番号】000110011
【氏名又は名称】トーヨーカネツ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100110559
【弁理士】
【氏名又は名称】友野 英三
(72)【発明者】
【氏名】雨宮 和行
【審査官】 土田 嘉一
(56)【参考文献】
【文献】 特開平11−165850(JP,A)
【文献】 特開2008−162770(JP,A)
【文献】 特開2003−146438(JP,A)
【文献】 特開2005−112604(JP,A)
【文献】 特開2009−208939(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65G 47/46
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
積荷仕分け機能を有する搬送装置であって、
積荷を前記仕分け機能で仕分ける順番が前記搬送装置の下流である積荷から上流である積荷の順番に前記積荷を前記搬送装置に載置して前記仕分け機能により仕分けることを特徴とする搬送装置。
【請求項2】
積荷仕分け機能を有する搬送装置であって、
先行積荷を分岐する積荷仕分け機能が次の積荷を分岐する積荷仕分け機能より下流にある場合は、前記次の積荷の先端から前記先行積荷の後端までの間隔を第1間隔として積載し、前記先行積荷を分岐する前記積荷仕分け機能が前記次の積荷を分岐する前記積荷仕分け機能より上流にある場合又は前記先行積荷を分岐する積荷仕分け機能と次の積荷を分岐する積荷仕分け機能とが同じ場合は、当該次の積荷の先端から前記先行積荷の後端までの間隔を前記第1間隔より長い第2間隔として積載する
ことに特徴を有する搬送装置。
【請求項3】
複数の積荷の集合に対して各々の積荷を分岐する積荷仕分け機能が下流にあるものから順に並べ替え、先行積荷の後端から前記次の積荷の先端までの間隔を前記第1間隔として積載することに特徴を有する請求項2に記載の搬送装置。
【請求項4】
搬送コンベヤに積荷を搬送する搬送装置と、
前記積荷を分岐する積荷仕分け機能についての情報を獲得する積荷仕分け機能情報装置と、
前記積荷仕分け機能情報装置の情報に基づいて、先行積荷を分岐する積荷仕分け機能が次の積荷を分岐する積荷仕分け機能より下流にある場合は、前記次の積荷の先端から前記先行積荷の後端までの間隔を第1間隔とし、前記先行積荷を分岐する前記積荷仕分け機能が前記次の積荷を分岐する前記積荷仕分け機能より上流にある場合又は前記先行積荷を分岐する積荷仕分け機能と次の積荷を分岐する積荷仕分け機能とが同じ場合は、当該次の積荷の先端から前記先行積荷の後端までの間隔を前記第1間隔より長い第2間隔とするように設定する積荷間隔設定手段と
を具備した搬送装置。
【請求項5】
前記積荷間隔設定手段が前記先行積荷と前記次の積荷との間隔を前記設定に合わせて積載することに特徴を有する請求項4に記載の搬送装置。
【請求項6】
前記積荷間隔設定手段が調整用コンベヤであって、前記先行積荷と前記次の積荷との距離を前記設定に合わせるよう調整することに特徴を有する請求項4乃至5のいずれか1項に記載の搬送装置。
【請求項7】
第1方向に物品を搬送する第1搬送路と、
前記第1搬送路の第1分岐箇所にて、前記第1方向と異なる第2方向に物品を搬送する第2搬送路と、
前記第1分岐箇所より前記第1搬送路の上流にある第2分岐箇所にて、前記第1方向と異なる第3方向に物品を搬送する第3搬送路と、
を備える搬送装置であって、
前記第1搬送路上の物品の搬送順序として、前記第3搬送路にて搬送される物品3の下流に第2搬送路にて搬送される物品2を配置し、更に前記物品2の下流に前記第2分岐箇所以降も第1搬送路にて搬送される物品1を配置することを特徴とする搬送装置。
【請求項8】
所定箇所から物品を搬送する第1搬送路と、
前記所定箇所から前記第1搬送路の上流側の第1距離にある第1分岐箇所にて分岐する第2搬送路と、
前記所定箇所から上流側で前記第1距離より長い第2距離にある前記第1搬送路の第2分岐箇所にて分岐する第3搬送路と、を備える搬送装置であって、
前記第1搬送路上の物品の搬送順序として、前記第3搬送路にて搬送される物品3の前に第2搬送路にて搬送される物品2を配置し、更に前記物品2の前に前記第1搬送路にて搬送される物品1を配置することを特徴とする搬送装置。
【請求項9】
物品の第1搬送路上の分岐箇所に関する分岐情報を取得する搬送路情報取得手段と、
前記分岐情報に基づいて、先行物品の分岐箇所が後続物品の分岐箇所より下流にある場合は、前記後続物品の先端から前記先行物品の後端までの間隔を第1間隔とし、前記先行物品の分岐箇所が、前記後続物品の分岐箇所より上流もしくは同じ位置にある場合は、前記後続物品の先端から前記先行物品の後端までの間隔を前記第1間隔より長い第2間隔とするように設定する物品間隔設定手段と
を具備した搬送装置。
【請求項10】
物品の第1搬送路上の分岐箇所に関する分岐情報を取得する搬送路情報取得手段と、
前記分岐情報に基づいて、先行物品の分岐箇所以降も前記第1搬送路にて後続物品が搬送される場合は、前記後続物品の先端から前記先行物品の後端までの間隔を第1間隔とし、前記先行物品の分岐箇所より手前で前記後続物品が分岐される場合は、前記後続物品の先端から前記先行物品の後端までの間隔を前記第1間隔より短い第2間隔とするように設定する物品間隔設定手段と
を具備した搬送装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は例えば物品の搬送装置に係り、特に仕分け装置を備える搬送装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来からの複数の物品を搬送する搬送ラインを有する物品仕分け装置においては、先行物品と後続物品との仕分け動作中のお互いの接触を防ぐため、その物品間の間隔は搬送ラインを流れる全物品のうち最大長さを有する物品に基づいて一定に設定されていた。
【0003】
搬送中の物品の大きさ及び長さは多種多様であり、コンベヤ分岐点においてはコンベヤスピードが制御されることが多く、形状の長い物品は分岐の際、進行方向を変更するために時間を要するため、後続物品が接触する危険がある。よってコンベヤ上を流れる物品間の間隔は、先行物品の後端から後続物品の先端までの距離を一定分確保する必要があるが、そのためには絶えず全物品の長さ形状を認識しなければならず煩雑な作業となる。
【0004】
実際の作業現場においては、この煩雑な作業を回避し、長い物品を考慮した余裕のある一定の間隔を時間に換算し、コンベヤ上に物品を一定時間おきに移載投入することが通常であり、逆にこれが高速化されたコンベヤスピードに対応するためには簡易な手段であった。
【0005】
しかし、この場合には物品間の距離を狭くできる場合についても最大幅の一定間隔を設定していることにより無駄な物品間隔がコンベヤ上に存在し、搬送コンベヤ長さに対する搬送物品の密度の低下を来し、経済効率や作業効率が悪い等の問題があった。
【0006】
これにより、先行物品と後続物品との間隔を制御して接触しない距離に設定する仕分け装置に関する技術開発が広く行われてきた。
【0007】
たとえば、特許文献1には、検知器を有する整列手段の下流の搬送ラインの途中位置に独立して駆動する前コンベヤと後コンベヤとを直列に設け、第1検知器が物品を検知した後に第2検知器が物品の先端部を検知すると後コンベヤを停止させ、その後第1検知器が物品を検知しなくなると後コンベヤを作動させるように制御する制御手段を有する仕分け装置に係る技術的思想が開示されている。
【0008】
しかしながら、当該技術思想では物品間が接触しないための手段として、先行物品の長さを特殊な検知器により検知することに加えて後続物品との距離を設定し、物理的に物品を移動させるという複雑な制御をしており、高速化した搬送コンベヤスピードに追随できない場合も多く、設備的にも高額で、従来からの物品仕分け作業効率の問題に対して根本的な解決策に至っていない。
【0009】
また、段ボール箱等に同一物品が複数個入れられているものを単数に個別分別してコンベヤ搬送しながら仕分けを行なう場合、仕分け機による分岐点が上流である物品から下流である物品の順番に従って分別載置してコンベヤ搬送するのが通常である。(ここで、搬送コンベヤに物品を載置して流す側を搬送コンベヤの「上流」、物品が搬送コンベヤにより搬送され又は分岐されていく側を搬送コンベヤの「下流」と定義する。以降同じ。)この場合においても前記と同様に物品の長さを基準に後続物品との間隔を設定するため、物品の長さが長いものほど物品間の間隔距離を長くする必要があり、搬送効率を低下させる一因となっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【特許文献1】特開2009−208939号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
そこで、上記問題を解決するため、本発明は、先行物品と後続物品とのコンベヤ上での距離間隔を可能な限り小さく保ちながら物品のコンベヤ上への移載投入を制御することにより両物品の接触を防ぎ、搬送効率を向上させることを可能にする搬送装置を提供することを目的とする。特に搬送される先行及び後続の物品同士が搬送仕分けの際に接触しないように間隔を維持するとともに物品運搬の時間を無駄なく輸送できるように間隔を短縮化することができる仕分け装置を具備する搬送装置を提供することを目的とする。また、コンベヤ上での先行物品の進行方向の長さをセンサーにより計測することにより物品間の距離を調節する等の煩わしい設備を要することなく、安価な作業効率の高い物品間隔短縮化仕分装置を提供することを目的とする。
【0012】
そして、物品間の接触による物品の損傷を防ぐだけでなく、物品の長さおよび仕分けの順序に応じて仕分け機構を制御でき、作業性を格段に向上させつつ、経済効率も格段に向上させることの可能な物品間隔短縮化仕分け装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0013】
上記課題を解決するため、本発明に係る搬送装置は、積荷仕分け機能を有する搬送装置であって、積荷を前記仕分け機能で仕分ける順番が前記搬送装置の下流である積荷から上流である積荷の順番に前記積荷を前記搬送装置に載置して前記仕分け機能により仕分けることを特徴とする。
【0014】
また、本発明に係る搬送装置は、積荷仕分け機能をもつ搬送装置であって、先行積荷を分岐する積荷仕分け機能が次の積荷を分岐する積荷仕分け機能より下流にある場合は、前記次の積荷の先端から前記先行積荷の後端までの距離を短くして積載し、前記先行積荷を分岐する前記積荷仕分け機能が前記次の積荷を分岐する前記積荷仕分け機能より上流にある場合又は前記先行積荷を分岐する積荷仕分け機能と次の積荷を分岐する積荷仕分け機能とが同じ場合は、当該次の積荷の先端から前記先行積荷の後端までの距離を長くして積載することに特徴を有する。(以降、「積荷仕分け機能」は積荷仕分け機構に属するものであり、その機能と共に設置位置を明確化するために「積荷仕分け機能を有する分岐点」を「積荷仕分け分岐点」と称する。)
【0015】
そして、本発明に係る搬送装置は、任意の複数の積荷の集合に対して各々の積荷を積荷仕分け分岐点が遠方にあるものから順に並べ替え、先行積荷の後端から前記次の積荷の先端までの距離を短くして積載することに特徴を有する。
【0016】
商品配送拠点においては、全ての物品に対して特定するための識別情報が例えばバーコードのような形態で付与されており、その物品の出荷と同時に出荷先情報が商品個別識別情報に紐付けされる。紐付けされた出荷先情報の中には、コンベヤ上の分岐点情報を包含しており、この情報により本発明に係る搬送コンベヤ装置は、物品の搬送コンベヤへの移載の際、投入順位を任意に設定し且つ投入間隔を任意に設定することができる。
(同一物品の分岐点別の並び替えを含む。)
【0017】
つまり、本発明に係る搬送コンベヤ装置は、搬送コンベヤに積荷を移載する積載装置と、前記積荷に係る仕分け分岐点についての情報を獲得する積荷仕分け分岐点情報装置と、前記積荷仕分け分岐点情報装置の情報に従い前記積荷のうちの先行積荷の積荷仕分け分岐点と前記積荷のうちの後続積荷の積荷仕分け分岐点との遠近位置関係を判断する判断手段と、前記判断手段による判断に基づいて前記先行積荷の後端から前記後続積荷の先端までの距離を任意に設定する積荷間隔短縮化手段とを具備して構成される。
【0018】
また本発明に係る搬送装置は、前記積荷間隔短縮化手段が前記先行積荷と前記後続積荷との距離を前記設定に合わせて積載することに特徴を有する。
【0019】
つまり、積荷仕分け分岐点情報装置とは、上記の物品個別識別情報とそれに紐付けされた出荷先情報及びコンベヤ分岐点情報を入手し、その情報を移載装置に指示する機能を指す。これによりコンベヤ上に移載される全ての物品のコンベヤ上の分岐点情報は、積載装置に認識されるため、移送装置は移載物品の投入すべき順序をアルゴリズムにも基づき設定することができる。
【0020】
本発明に係る搬送装置は、予めコンベヤ分岐経路を設定された搬送物品の個別識別情報を読み取ることにより、搬送装置に移載する際、前の物品のコンベヤ分岐路を考慮して後に移載の物品を決定するロジックを組むことができる。このロジックは、先行物品の搬送分岐点の違いによって後続物品の投入時間を設定する場合分けのロジックでよい。
【0021】
つまり、搬送コンベヤ上の前の物品が分岐路において分岐しなければ、後続の物品は間隔を大きくとることなく搬送コンベヤに載置することができる。例えば、一定の数を有する1ロットの物品を搬出コンベヤから出荷用の搬送コンベヤに移載する際に、そのロットの中で最も前方遠いところに分岐路を有する物品をまず載置し、次は前記物品の分岐路の次に前方遠い分岐路をもつ物品を載置する。このロジックをこの1ロットの物品に対して全て適用して搬送コンベヤに載置する順番を決定して載置することによって、物品間隔は短くできる。
【0022】
倉庫における物品の入出庫管理は、商品ごとに例えばバーコードのような形態で識別情報と紐付けされている。もちろんそれらの情報の中にはその商品の客先別の仕向け先情報も入っており、このことにより、その商品がコンベヤ上のどの分岐路で分岐されてどのコンベヤに乗りどの出荷ヤードへ向かうべき商品なのかがわかる。つまり、搬送コンベヤのどの分岐点でどの分岐路へ分岐搬送されるかの情報がすでに紐付されているのである。よって、搬送コンベヤに移載する際に、全ての商品に対してその識別情報を読み取り、分岐点が搬送コンベヤの最も遠方に分岐点を有する順に「仮想並び替え」を行い、その順番に従って搬送コンベヤに物品を移載すればよいことになる。
【0023】
つまり、本発明に係る搬送コンベヤ装置は、上記設定により物品をコンベヤ上での分岐点が遠方にある物品から移載投入することができる。同時に投入する物品のコンベヤ上の間隔は最小に設定することができる。
【0024】
本発明に係る搬送コンベヤ装置は、搬送される物品の個別識別情報に紐付けされた出荷先情報に含まれるコンベヤ搬送経路情報を、予めコンベヤ投入の際に活用し、投入間隔及び投入順位を任意制御する技術思想に係るものである。この技術思想によっては、コンベヤ投入する物品を一定の集合体化して処理する方法や、コンベヤ上の物品の配置位置及び配置角度規制などの特定処理などへの対応も同時にすることができる。本発明に係る搬送コンベヤ装置は、物品の投入間隔制御のみに限定するものではない。
【発明の効果】
【0025】
本発明によれば、コンベヤ上の先行物品の後端部と後続物品の先端部との距離を狭くなるように距離を調整することができ、搬送コンベヤ内の複数の物品は間隔を最低限に詰めて搬送することができることからコンベヤ上の物品搬送密度を向上させることができる。本発明によれば、物品間の接触による物品の損傷を防ぐだけでなく、物品の長さおよび仕分けの順序に応じて仕分け機構を制御できるため、作業性を格段に向上させつつ、経済効率も格段に向上させることの可能な物品間隔短縮化仕分け装置を伴う搬送コンベヤ装置が実現される。
【図面の簡単な説明】
【0026】
図1】本発明の一実施形態に係る搬送コンベヤ装置を示した概念図である。
図2】搬送コンベヤ装置上の物品と搬送間隔を示した概念図である。
図2A】搬送コンベヤ装置上の物品と搬送間隔を示した概念図である。
図3】本発明の一実施形態に係る搬送コンベヤ装置を示した概念図である。
図4】本発明の一実施形態に係る搬送コンベヤ装置の中間コンベヤを示した概念図である。
【発明を実施するための形態】
【0027】
以下、図面を参照して本発明を実施するための形態について説明する。なお、以下では本発明の目的を達成するための説明に必要な範囲を模式的に示し、本発明の該当部分の説明に必要な範囲を主に説明することとし、説明を省略する部分については公知技術によるものとする。
【0028】
図1は、本発明の一実施形態に係る搬送コンベヤ装置を示した概念図である。同図に示すように、搬送コンベヤ1には、物品4が投入される投入コンベヤ3及び物品が分岐されて搬送される分岐コンベヤ2が連結されている。投入コンベヤ3も分岐コンベヤ2も複数連結されている場合が多い。同図においては、搬送コンベヤ1と分岐コンベヤ2とが直角をなす態様が示されているが、これは概念的なものであって、搬送コンベヤ1と分岐コンベヤ2とが鈍角で交わる態様でもよい。特にシューによる分岐の場合には鈍角で交わる態様が現実的である。
【0029】
倉庫内にある物品4は、出荷する際に投入コンベヤ3から搬送コンベヤ1に移載投入される。搬送コンベヤ1に投入される物品4は、通常は図1に示すように投入コンベヤ3にd,b,f,a,c,eの並んだ順に投入される。それぞれの物品は、搬送コンベヤ1に搬送されながら出荷先に応じて分岐コンベヤ2に移載されていくことになる。
【0030】
図2は、搬送コンベヤ上の物品の搬送間隔を示した概念図である。図2の左側が従来の搬送態様を示し、図2の右側が本発明に係る搬送態様を示している。矢印は搬送物品の搬送される下流側を示している。同図に示すように搬送コンベヤ上の各物品の間隔は、先行物品の後端から後続物品の先端までの距離Aとして示されている。搬送コンベヤ上の物品4は、出荷先によってそれぞれ分岐コンベヤ2に移載分岐されていくことになる。図1に示すように搬送コンベヤ1から分岐コンベヤ2に移載される際、物品は方向転換のために移載用シュート又は移載用コンベヤなどによりスピードを落とすことが多い。また、方向転換の途中において、全長が長い物品は後部を搬送コンベヤ1に残留させる時間が多くなる。
【0031】
図2に示すように、上記のような先行物品のコンベヤ分岐点でのスピード変化により、後続物品が先行物品に衝突し破損事故を起こすことがないように余裕を持った長い物品間隔Aが確保されている。図2Aに示すように、分岐点において物品bはシュー6によって分岐のため方向転換及び回転を起こす。後続物品Cは、先行物品bの後端部において衝突のリスクが発生するため、物品間隔Dは図2で説明したようにB<D≦Aが必要となる。
【0032】
本発明に係る搬送コンベヤ装置は、搬送物品の搬送時の物品同士の間隔距離を任意に調整することを特徴とする。搬送コンベヤは、多品種多量の物品搬送において各々の物品の仕向け先の違いによって搬送経路を分岐分割される場合が多い。つまり搬送コンベヤ上の物品は、衝突破砕等を避けるために一定の間隔をもってコンベヤ上に載置されている。この間隔は、一様に余裕をもって決められている場合が多く、コンベヤ速度が速くなればなるほど大きな間隔を必要とする。
【0033】
また、コンベヤスピードを上げて大量の物品を仕向け先別に素早く分配したいのにもかかわらず、コンベヤ上の物品間隔を大きく設定することは、コンベヤ配送効率を逆に下げ、且つコンベヤの長さも必要以上に長くしなければならない。
【0034】
しかし、先行物品が分岐コンベヤ2に移載する分岐点に達する前に後続物品が分岐されるのであれば、図2Aに示されるようにシューによる回転の影響は当該シューにより押圧される物品と当該商品の直後の後続物品とに限定されることから、上記のような衝突事故は原理的に発生しないことになるため、物品間隔Aは大きく余裕をもった長さにすることは要せず、最短の長さに短縮することができる。図1に示すように、物品d,b,f,a,c,eの分岐コンベヤ2による分岐先が同図の矢印a,b,c,d,e,fであれば、投入コンベヤ3での搬送コンベヤ1への投入順番をa,b,c,d,e,fに設定することにより、先行物品が分岐点に達するより前に後続物品が分岐することになるため衝突事故は発生しないことになる。
【0035】
1ロットの物品のなかで、前を搬送される物品が分岐路に到達する前に後続の物品が分岐路で分岐されていくのであれば、前方物品の減速衝突を考慮して物品間隔を大きく設定する必要がないのである。
【0036】
例えば、分岐点が同じ物品が複数あった場合は、その分岐点において両者共に同じように減速するのであるから、物品同士の間隔を大きく開ける必要はない。また分岐路を持たずに最後まで搬送コンベヤ上を直線的に進行する物品に対しては、後続の物品は物品間隔を大きく設定する必要がない。
【0037】
このようなロジックによって、コンベヤに移載する物品の順番を認知することによって1ロットの物品群に対して搬送順番による「仮想並び替え」を行い、その順番に従って物品を搬送コンベヤに乗せることができれば、物品同士の搬送間隔は最も短く設定することができるため、搬送効率が向上し、またコンベヤ長さを必要以上に長くする必要もなくなる。またコンベヤスピードを上げても、大きな障害は発生しない。
【0038】
上記の「仮想並び換え」は、表現の通り物品を現実的に物理的に並び替える必要はない。例えば、搬送コンベヤに物品を移載する装置があるとすれば、その装置が物品の移載する順番を識別情報から認識すればよいのであって、あとは当該「仮想的に並び換えられた」順番に沿って例えば押出し装置によってコンベヤ上に押出し移載すればよい。尤も、コンベヤスピードから計算された物品同士の最短間隔距離を考慮して、その時間間隔ごとにコンベヤに移載すれば、コンベヤ上の物品間隔は一定に保たれることになる。
【0039】
図3は、本発明の一実施形態に係る搬送コンベヤ装置を示した概念図である。同図に示すように搬送コンベヤ1に連結する投入コンベヤ3には移載装置5が併設されている。移載装置5は、本発明の一実施形態に係る搬送コンベヤ装置の当該「仮想的に並び換えられた」順番情報指示に従い物品4をa,b,cの順に搬送コンベヤ1に投入することができる。移載装置5は、図3に示すように押出し機能を有するものに限定する必要はない。搬送コンベヤ装置のロジックによる当該「仮想的に並び換えられた」順番情報指示を受けて物品4を搬送コンベヤに投入できる機能を有する装置であればよい。
【0040】
本発明の一実施形態に係る搬送コンベヤ装置は、例えば物品に貼付されたバーコード等の個別識別情報を読み取り、その物品の搬送先及び搬送コンベヤ1の分岐点を認知することができる。商品配送拠点においては、物品の出荷時には全ての物品に出荷先情報が紐付けされているため、物品個別識別情報を読み取ることによって出荷先及びコンベヤ分岐点等の必要情報を得ることは容易である。物品の個別識別情報の中には物品の外装箱サイズ等の情報も紐付けられているため物品の長さも物品間隔距離設定に加味することができる。
【0041】
物品の個別識別情報の読み取り方法及び装置については光学読み取りであっても画像認識であってもよく特に限定はない。従来技術の範囲である。
【0042】
本発明の一実施形態に係る搬送コンベヤ装置は、上記のような物品個別識別情報の読み取り装置から、その情報による仮想並び替えのロジック演算コンピュータ及び移載装置、押出し装置及び搬送コンベヤを全て包括した搬送コンベヤ装置を意味する。
【0043】
つまり、物品個別識別情報から搬送先分岐情報を予め読み取り、それに対応した物品搬送順番及び物品間隔を任意に設定することができるための搬送装置全般を包含した搬送コンベヤ装置が本発明の技術的思想の示すところである。
【0044】
搬送コンベヤにおいても、方向を変化させずに一定間隔でコンベヤ間に連結される調整用コンベヤがある。その調整用コンベヤは、可動停止又はスピードを制御することにより、搬送される物品の間隔を変更調整することができる。このような調整用コンベヤによっても本発明に係るロジック構成による物品間隔の調整が可能である。本発明に係る搬送コンベヤ装置はこのような物品間隔調整装置をも内包する包括的な概念としての搬送コンベヤ装置を権利に含むものである。
【0045】
図4に示すように本発明の一実施形態に係る搬送コンベヤ装置は、搬送方向Xに向かって複数の物品を連続して搬送する搬送コンベヤ1と、搬送コンベヤ1から物品を所定方向Y1に仕分ける分岐コンベヤ2と、物品を分岐コンベヤ2に誘導するための仕分け手段26と、搬送コンベヤ1に設けられ複数の物品のうち先行物品の先端から後端までの遮光時間を検知するためのセンサー30と、センサー30における記録を受けて複数物品のうち先に仕分けられる先行物品と後続物品との距離を、先行物品の分岐時に後続物品が接触しない距離になるように間隔を調整する間隔調整装置31と調整用コンベヤ27とを備えても実施することができる。これらの装置は物品個別識別情報を有するロジック演算コンピュータと連結している。
【0046】
図4において、先行物品21および後続物品23は搬送コンベヤ1で搬送され、先行物品21はY1方向に分岐されて21'となる。物品21と物品22との間隔は図4のBに示すように狭い距離で両物品間の接触はない。一番先に仕分けられる物品21と後に仕分けられる物品23との間隔は、図4のAに示すように広い間隔にする必要がある。この物品間の距離はセンサー30によって検知し、距離を調整すべく間隔調整装置31から調整用コンベヤ27に信号が送られ、調整用コンベヤ27のスピード調整によって修正される。もちろん先行物品の分岐点情報は個別識別情報から得られる。
【0047】
この場合は、積荷間隔短縮化を実施するのが調整用コンベヤ27であって、前記先行物品と後続物品との距離を任意設定できるよう調整することができ、本発明に係る搬送コンベヤ装置に包含される。
【0048】
またこの技術的思想を反映して流用できる他分野での物流又は物品の搬送仕分けにおいても本発明を利用することができ、これらは本発明に係る技術思想の一部である。
【産業上の利用可能性】
【0049】
上述したように、本願発明によれば、物品間の接触による物品の損傷を防ぐだけでなく、物品の長さに応じて仕分け機構を制御できるため効率よく物品搬送を行うことができるため、作業性を格段に向上させつつ、経済効率も格段に向上させることの可能な物品搬送コンベヤ装置が実現される。
【0050】
したがって、本発明は、あらゆる品物の運搬に適用可能であり各種産業に対して大きな有益をもたらすものである。
【符号の説明】
【0051】
1 搬送コンベヤ
2 分岐コンベヤ
3 投入コンベヤ
4 物品(商品)
5 移載装置
6 シュー
21、22、23 物品
26 仕分け装置
27 調整用コンベヤ
30 センサー
31 制御装置
図1
図2
図2A
図3
図4