(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、特許文献1に開示された構成は、接続用配管から流入する冷媒の流路損失の調整が不十分であり、接続用配管に最も近い位置に配置されている扁平管に冷媒が流入し易く、この扁平管と他の扁平管との流入量の差を十分に低減できない可能性があった。また、間隔が広く配置される扁平管の間に配置されたフィンの高さが、残りの扁平管の間に配置されたフィンよりも高くなっているので、高さの異なる2種類のフィンを用いる必要があり、部品数増大や組み立て工程の複雑化を招く可能性があった。
【0007】
本発明は、このような事情に鑑みてなされたものであって、各扁平管に流入する冷媒量を均等化し、熱交換性能を向上させることができる熱交換器を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するために、本発明の熱交換器は以下の手段を採用する。
すなわち、本発明の一態様に係る熱交換器は、所定の方向に延在し、且つ、間隔を開けて略平行に配置され、内部を冷媒が流通する複数の扁平管と、隣接する前記扁平管の間に配置され、各前記扁平管に接合されたフィンと、前記扁平管と直交する方向に延在し、各前記扁平管の一端が接続され、各前記扁平管に前記冷媒を導入する第1ヘッダ管と、前記扁平管と直交する方向に延在し、各前記扁平管の他端が接続され、各該扁平管から前記冷媒を吐出される第2ヘッダ管と、を備え、前記第1ヘッダ管は、該第1ヘッダ管に前記冷媒を供給する供給部を有し、前記複数の扁平管は、前記供給部に対向する対向扁平管を有し、前記第2ヘッダ管には、前記対向扁平管の内部に流通する前記冷媒の圧力損失を
他の前記扁平管よりも増大させる圧力損失増大手段が設けられている。
【0009】
供給部に対向するように配置される扁平管は、冷媒の曲げ損失及び摩擦損失が小さいので、冷媒が流入し易く、流入する冷媒量が他の扁平管に比べて多くなる。上記構成では、第2ヘッダ管に圧力損失増大手段を設け、冷媒が流入し易い位置に配置される対向扁平管内を流通する冷媒の圧力損失を増大させている。これにより、対向扁平管に流入する冷媒量が低減し、対向扁平管に流入する冷媒量が低減した分、他の扁平管に流入する冷媒量が増大する。したがって、対向扁平管に流入する冷媒量と、他の扁平管に流入する冷媒量との差を低減し、各扁平管に流入する冷媒量を均等化することができる。流入する冷媒量を均等化することで、熱交換器の熱交換性能を向上させることができる。
【0010】
また、例えば、複数の扁平管に冷媒を導入する第1ヘッダ管内に圧力損失増大手段を設けた場合、圧力損失増大手段を構成する部材によって第1ヘッダ管内の冷媒の流れに乱れが生じてしまい、各扁平管に冷媒が均等に流入し難くなる。上記構成では、圧力損失増大手段を第2ヘッダ管に設けているので、第1ヘッダ管内で、圧力損失増大手段に起因した冷媒流れの乱れが生じない。したがって、圧力損失増大手段を第1ヘッダ管内に設けた場合に比べて、各扁平管に冷媒が均等に流入し易くすることができる。
【0011】
また、上記構成では、複数の扁平管の配置に影響を与えることなく、各扁平管内を流通する冷媒量の差を低減することができる。これにより、複数の扁平管を全て等間隔で設置することができるので、全てのフィンの高さを同一とすることができる。したがって、複数の高さのフィンを用いる場合に比べて、部品点数を低減することができ、組立工程を単純化することができる。
【0012】
また、例えば、第1ヘッダ管に、複数の扁平管を上流側と下流側とに分ける隔壁を設け、第2ヘッダ管にも、複数の扁平管を上流側と下流側とに分ける隔壁を設け、さらに、第1ヘッダ管に設けられた隔壁を跨ぐようにターン配管を設けてもよい。このような構成とすることで、冷媒と空気とが熱交換する冷媒流路の長さを長くして熱交換性能を向上させつつ、さらに、各扁平管に流入する冷媒量を均等化することで、熱交換器の熱交換性能を向上させることができる。
【0013】
また、本発明の一態様に係る熱交換器は、前記第2ヘッダ管は、該第2ヘッダ管から前記冷媒を排出する排出部を有し、各前記扁平管は、前記第2ヘッダ管と連通する吐出口を有し、前記第2ヘッダ管には、前記圧力損失増大手段として、前記対向扁平管の前記吐出口と前記排出部との間に仕切板が設けられ、前記仕切板は、前記吐出口から前記排出部へ向かう前記冷媒の流れる方向に交差する方向に延び、前記仕切板には、連通穴が形成されていてもよい。
【0014】
上記構成では、対向扁平管の吐出口と排出部との間に、連通穴が形成された仕切板が設けられているので、吐出口から第2ヘッダ管に排出された冷媒は、連通穴を通過して排出部へと流れる。これにより、吐出口から排出部へと向かう冷媒には、連通穴による圧力損失が発生する。したがって、対向扁平管内を流通する冷媒の圧力損失を増大させ、対向扁平管内に流入する冷媒流量を低減することができる。
【0015】
また、連通穴の開口面積によって、対向扁平管内に発生する圧力損失が変化する。したがって、連通穴の開口面積を調整することで、対向扁平管内を流通する前記冷媒に対して所望の圧力損失を発生させ、対向扁平管内を流入する冷媒流量を所望の流量にすることができる。
【0016】
また、連通穴を複数設ける構成としてもよい。複数設けることで、より細かく開口面積を調整することができ、より好適に対向扁平管内を流通する冷媒に対して所望の圧力損失を発生させることができる。また、連通穴の開口面積は、第2ヘッダ管の断面積の半分以下としてもよい。このような構成とすることで、より好適に対向扁平管内を流通する冷媒の圧力損失を増大させることができる。
【0017】
また、本発明の一態様に係る熱交換器は、前記対向扁平管は、前記他端が前記第2ヘッダ管内に挿入され、前記連通穴は、前記第2ヘッダ管の延在方向から前記扁平管の平坦面を見たときに、前記対向扁平管と重なるように配置されていてもよい。
【0018】
対向扁平管から第2ヘッダ管に吐出された冷媒は、排出部に向って流れる。上記構成では、連通穴が第2ヘッダ管の平坦面を見たときに対向扁平管と重なるように配置されているので、対向扁平管から第2ヘッダ管に吐出された冷媒は、一旦吐出方向とは逆方向に蛇行しながら、連通穴を通過し、排出部に向う。これにより、吐出口から排出部へと向かう冷媒には、より好適に圧力損失が発生する。したがって、対向扁平管内を流通する冷媒の圧力損失を増大させ、対向扁平管内に流入する冷媒流量を低減することができる。
【0019】
また、連通穴を設ける位置によって、吐出された冷媒の蛇行量が変化する。吐出された冷媒の蛇行量が変化すると、対向扁平管内に発生する圧力損失も変化する。したがって、連通穴の設ける位置によっても対向扁平管内を流通する冷媒に発生する圧力損失を調整することができるので、対向扁平管内に流入する冷媒流量をより細かく調整することができる。
【0020】
また、本発明の一態様に係る熱交換器は、前記第2ヘッダ管は、該第2ヘッダ管から前記冷媒を排出する排出部を有し、各前記扁平管は、前記第2ヘッダ管と連通する吐出口を有し、前記第2ヘッダ管には、前記圧力損失増大手段として、前記対向扁平管の前記吐出口と対向するように衝突板が設けられていてもよい。
【0021】
上記構成では、対向扁平管の吐出口と対向するように衝突板が設けられているので、吐出口から第2ヘッダ管内に吐出された冷媒が衝突板に衝突し、圧力損失が発生する。したがって、対向扁平管内を流通する冷媒の圧力損失を増大させ、対向扁平管内に流入する冷媒流量を低減することができる。
【0022】
また、衝突板を設ける位置によって、吐出された冷媒と衝突板との衝突の際の圧力損失が変化する。したがって、衝突板を設ける位置を調整することで、対向扁平管内を流通する冷媒に対して所望の圧力損失を発生させ、対向扁平管内に流入する冷媒流量を所望の流量にすることができる。
【0023】
また、上記構成では、吐出された冷媒と衝突板とが衝突することで対向扁平管内を流通する冷媒の圧力損失を増大させている。したがって、上述の連通穴を通過させる形式の圧力損失増大手段では冷媒の流速と連通穴径との関係によって発生する可能性のあった笛吹音等の異音を発生させずに、対向扁平管内を流通する冷媒の圧力損失を増大させることができる。
【0024】
また、本発明の一態様に係る熱交換器は、各前記扁平管の内部には、前記冷媒が流通する流路が形成され、前記第2ヘッダ管内には、前記圧力損失増大手段として、前記対向扁平管の内部に形成された前記流路の流路面積の一部を封止する封止部材が設けられている。
【0025】
上記構成では、封止部材が、対向扁平管内に形成された流路の流路面積の一部を封止している。これにより、対向扁平管内を流通する冷媒の圧力損失を増大させ、対向扁平管内に流入する冷媒流量を低減することができる。
【0026】
また、封止部材が封止する流路面積によって、対向扁平管内を流通する冷媒の圧力損失が変化する。したがって、封止部材が封止する流路面積を調整することによって、対向扁平管内に流入する冷媒流量を所望の流量にすることができる。
【0027】
例えば、対向扁平管内の流路が複数形成されている場合には、封止部材は、複数の流路のうちの一部の流路のみを封止するようにしてもよい。このような場合には、封止された流路内には冷媒が流入しないので、より好適に、対向扁平管内の流路面積を低減し、対向扁平管内を流通する冷媒の圧力損失を増大させることができる。また、例えば、熱交換器を蒸発器として用いた場合に、着霜のし難い位置に配置された流路は冷媒を流通させ、着霜のし易い位置に配置された流路は冷媒を流通させないようにして、扁平管への着霜を抑制するといったように、複数の流路のうち冷媒が流通する流路を選択することができる。
【0028】
また、本発明の一態様に係る熱交換器は、各前記扁平管は、前記一端が前記第1ヘッダ管内に挿入され、前記第1ヘッダ管内に挿入される各前記扁平管の挿入長さは、前記第1ヘッダ管の内径の半分以下であってもよい。
【0029】
上記構成では、第1ヘッダ管内に挿入された扁平管の挿入長さが短くなっているので、供給部から第1ヘッダ管内に供給された冷媒の流れが、第1ヘッダ管内に挿入された扁平管によって乱され難い。これにより、第1ヘッダ管内に生じる流路損失を抑制することができる。したがって、第1ヘッダ管において複数の扁平管に均等な量の冷媒が流入し易くなり、各扁平管内を流通する冷媒量を均等にすることができる。
【発明の効果】
【0030】
本発明によれば、各扁平管に流入する冷媒量を均等化し、熱交換性能を向上させることができる。
【発明を実施するための形態】
【0032】
以下に、本発明に係る実施形態について、図面を参照して説明する。
[第1実施形態]
以下、本発明の第1実施形態について、
図1から
図3を用いて説明する。
本実施形態に係る熱交換器1は、空気調和機の蒸発器(図示省略)として用いられる。蒸発器は、空気調和機の冷媒サイクルにおいて膨張弁(図示省略)において膨張させられた気液二相または液単相の冷媒を気相の冷媒に蒸発させるものである。
【0033】
図1に示すように、本実施形態に係る熱交換器1は、水平方向に延びる複数の扁平管2(本実施形態では9つ)と、隣接する扁平管2の間に設けられて隣接する扁平管2同士を接続するフィン3と、上下方向に立設して各扁平管2の一端が接続される出入り口ヘッダ管5と、上下方向に立設して各扁平管2の他端が接続される折り返しヘッダ管4と、折り返しヘッダ管4の外側に設けられるターン配管6とを備えている。
【0034】
各扁平管2は、上下一対の平坦面2aと、上下一対の平坦面2aを連結する左右一対の湾曲面2bとを有し、横断面形状が扁平な長円形をしている(
図8(a)(b)参照)。各扁平管2の内部には、横断面形状が矩形の複数の流路10(本実施形態では6つ)が形成されている。各流路10は、扁平管2の延在方向に延在し、且つ、扁平管2の延在方向と直交する方向に一列に並んでいる(
図8(a)(b)参照)。
【0035】
複数の扁平管2は、
図1に示されるように、平坦面2aが対向するように略平行に等間隔に配置される。各扁平管2の一端部分及び他端部分は、それぞれ、出入り口ヘッダ管5及び折り返しヘッダ管4に挿入するように接続されている。
【0036】
複数の扁平管2は、上流側扁平管7と下流側扁平管8とに分けられる。
上流側扁平管7は、後述する第1隔壁15及び第2隔壁23よりも下方に位置する扁平管2であって、本実施形態では最も下方に位置する扁平管2から下から3番目に位置する扁平管2までの3つの扁平管である。また、各上流側扁平管7の内部に形成される6つの流路10は、それぞれ、出入り口ヘッダ管5に連通する流入口7aと、折り返しヘッダ管4に連通する吐出口7bとを有する。
【0037】
下流側扁平管8は、後述する第1隔壁15及び第2隔壁23よりも上方に位置する扁平管2であって、本実施形態では最も上方に位置する扁平管2から上から6番目に位置する扁平管2までの6つの扁平管である。また、各下流側扁平管8の内部に形成される6つの流路10は、それぞれ、折り返しヘッダ管4に連通する流入口8aと、出入り口ヘッダ管5に連通する吐出口8bとを有する。
【0038】
フィン3は、金属によって形成される板状の部材であって、上下方向に延び、上端及び下端が扁平管2の平坦面2aにろう付けによって固定される。
【0039】
出入り口ヘッダ管5は、冷媒サイクルから出入り口ヘッダ管5に冷媒を供給する供給管(供給部)11と、出入り口ヘッダ管5から冷媒サイクルに冷媒を排出する排出管(排出部)12とを有し、内部に空間を有する円筒形状に形成される。供給管11は、出入り口ヘッダ管5の下部に連通し、排出管12は、出入り口ヘッダ管5の上部に連通している。出入り口ヘッダ管5の内部には、供給管11が連通する入口空間13と、排出管12が連通する出口空間14とを隔てる第1隔壁15が設けられている。第1隔壁15は、出入り口ヘッダ管5の長手方向断面形状と略同一の円形板状部材であり、その外周部分が出入り口ヘッダ管5の内周部分にろう付けにより固定されている。
【0040】
また、出口空間14内には、第1隔壁15の直上に配置される扁平管2(後述する対向扁平管9)と、この対向扁平管9の1つ上方に位置する扁平管2との間に、仕切板16が設けられている。仕切板16は、出入り口ヘッダ管5の長手方向断面形状と略同一の円形板状部材であり、その外周部分が出入り口ヘッダ管5の内周部分にろう付けにより固定されている。仕切板16には、連通穴17が形成される。この連通穴17は、
図2(a)に示すように、出入り口ヘッダ管5を平面視したときに、出入り口ヘッダ管5内に挿入される扁平管2と重ならない位置に配置されている。また、連通穴17の開口面積は、出入り口ヘッダ管5の長手方向断面形状の面積の半分以下に形成されている。なお、連通穴は、
図2(b)に示すように、複数形成してもよい。複数の連通穴18は、すべて、出入り口ヘッダ管5を平面視したときに、出入り口ヘッダ管5内に挿入される扁平管2と重ならない位置に配置されている。複数の連通穴18の開口面積の合計は、出入り口ヘッダ管5の長手方向断面形状の面積の半分以下となっている。
【0041】
折り返しヘッダ管4は、内部に空間を有する円筒形状に形成される。折り返しヘッダ管4の内部には、上流側扁平管7が接続される下方空間21と、下流側扁平管8が接続される上方空間22とを隔てる第2隔壁23が設けられている。第2隔壁23は、折り返しヘッダ管4の長手方向断面形状と略同一の円形板状部材であり、その外周部分が折り返しヘッダ管4の内周部分にろう付けにより固定されている。また、
図3に示すように、折り返しヘッダ管4の内部に挿入される各扁平管2の挿入長さは、折り返しヘッダ管4の長手方向断面形状の内径の半分以下となっている。
ターン配管6は、下方空間21と連通するターン配管導入口26と、上方空間22と連通するターン配管供給口27とを有し、折り返しヘッダ管4の外側に第2隔壁23を跨ぐように設けられる配管である。ターン配管供給口27は、上方空間22の下方に連通し、かつ、第1隔壁15及び第2隔壁23のすぐ上に配置される扁平管2(すなわち、下流側扁平管8のうちで最も下方に位置する扁平管2)である対向扁平管9と対向する。
【0042】
次に、本実施形態における熱交換器1内の冷媒の流れを説明する。
図1の矢印で示されるように、熱交換器1には、供給管11を介して冷媒が供給される。供給管11から供給された冷媒は、まず、出入り口ヘッダ管5内の入口空間13に流入する。入口空間13に流入した冷媒は、各上流側扁平管7を通過して(すなわち、各上流側扁平管7内の6つの流路10を通過して)、折り返しヘッダ管4内の下方空間21に流入する。下方空間21に流入した冷媒は、次に、ターン配管6に流入する。ターン配管導入口26からターン配管6内を流通した冷媒は、ターン配管供給口27から上方空間22に供給される。上方空間22に供給された冷媒は、上方空間22内で各下流側扁平管8に配分される。配分された冷媒は、そのまま各下流側扁平管8内を通過して(すなわち、下流側扁平管8内の6つの流路10を通過して)、出口空間14に吐出される。出口空間14に吐出された冷媒は、排出管12に向い、排出管12から熱交換器1の外部に排出される。このとき、下流側扁平管8のうち、対向扁平管9を通過して(すなわち、対向扁平管9内の6つの流路10を通過して)、出口空間14に吐出された冷媒は、仕切板16に設けられた連通穴17を通過して排出管12に向う。
以上、熱交換器1を蒸発器として用いる場合について説明したが、熱交換器1を凝縮器として用いる場合には、上記した流れとは逆の流れとなる。
【0043】
本実施形態によれば、以下の作用効果を奏する。
対向扁平管9の吐出口9bと排出管12との間に、連通穴17が形成された仕切板16が設けられているので、吐出口9bから出入り口ヘッダ管5に排出された冷媒は、連通穴17を通過して排出管12へと流れる。これにより、吐出口9bから排出管12へと向かう冷媒には、連通穴17による圧力損失が発生する。したがって、対向扁平管9内を流通する冷媒の圧力損失を増大させ、折り返しヘッダ管4内において、対向扁平管9内に流入する冷媒流量を低減することができる。対向扁平管9に流入する冷媒量が低減した分、他の下流側扁平管8に流入する冷媒量が増大する。したがって、対向扁平管9に流入する冷媒量と、他の下流側扁平管8に流入する冷媒量との差を低減し、各下流側扁平管8に流入する冷媒量を均等化することができる。流入する冷媒量を均等化することで、熱交換器1の熱交換性能を向上させることができる。
【0044】
また、連通穴17の開口面積によって、対向扁平管9内に発生する圧力損失が変化する。したがって、連通穴17の開口面積を調整することで、対向扁平管9内を流通する冷媒に対して所望の圧力損失を発生させ、対向扁平管9内に流入する冷媒流量を所望の流量にすることができる。具体的には、連通穴17の開口面積を大きく形成することで、対向扁平管9内を流通する冷媒の圧力損失は減少し、対向扁平管9内に流入する冷媒流量を比較的多く設定することができ、連通穴17の開口面積を小さく形成することで、対向扁平管9内を流通する冷媒の圧力損失は増大し、対向扁平管9内に流入する冷媒流量を比較的少なく設定することができる。また、
図2(b)に示すように、連通穴18を複数設けた場合には、より細かく開口面積を調整することができ、より好適に対向扁平管9内を流通する冷媒に対して所望の圧力損失を発生させることができる。
【0045】
また、本実施形態では、連通穴17の開口面積が、出入り口ヘッダ管5の長手方向断面形状の面積の半分以下に形成されているので、好適に対向扁平管9内を流通する冷媒の圧力損失を増大させることができる。
【0046】
また、例えば、折り返しヘッダ管4の上方空間22に連通穴17を設けた場合、連通穴17を形成した仕切板16によって折り返しヘッダ管4内の冷媒の流れに乱れが生じ、各下流側扁平管8に冷媒が均等に流入し難くなる可能性がある。本実施形態では、連通穴17が形成された仕切板16を出入り口ヘッダ管5の出口空間14に設けているので、上方空間22内で仕切板16に起因した冷媒流れの乱れが生じない。したがって、連通穴17が形成された仕切板16を上方空間22内に設けた場合に比べて、各下流側扁平管8に冷媒が均等に流入し易くすることができる。
【0047】
また、本実施形態では、複数の扁平管2を全て等間隔で設置しているので、全てのフィン3の高さを同一とすることができる。したがって、複数の高さのフィンを用いる場合に比べて、部品点数を低減することができ、組立工程を単純化することができる。
【0048】
また、本実施形態では、複数の扁平管2を上流側扁平管7と下流側扁平管8とに分けて、ターン配管6で上流側扁平管7と下流側扁平管8とをつないでいるので、冷媒と空気とが熱交換する冷媒流路の長さを長くして熱交換性能を向上させつつ、さらに、各扁平管2に流入する冷媒量を均等化して熱交換器1の熱交換性能を向上させることができる。
【0049】
また、上記構成では、折り返しヘッダ管4の内部に挿入される下流側扁平管8の挿入長さは、折り返しヘッダ管4の長手方向断面形状の内径の半分以下となっているので、ターン配管供給口27から折り返しヘッダ管4内に供給された冷媒の流れが、折り返しヘッダ管4内に挿入された下流側扁平管8によって乱され難い。これにより、折り返しヘッダ管4内に生じる流路損失を抑制することができる。したがって、折り返しヘッダ管4において複数の下流側扁平管8に均等な量の冷媒が流入し易くなり、下流側扁平管8内を流通する冷媒量を均等にすることができる。
【0050】
次に、本実施形態における仕切板16の変形例を
図4及び
図5を用いて説明する。
本変形例に係る仕切板28は、第1実施形態に係る仕切板16と、連通穴の形成位置が相違する。他の構成は第1実施形態に係る熱交換器1と同様につき同一符号を付し、その説明は省略する。
【0051】
本変形例に係る連通穴29は、
図4(a)に示すように、出入り口ヘッダ管5を平面視したときに、全体が出入り口ヘッダ管5内に挿入される扁平管2と重なるように形成されている。このように、連通穴29を形成することで、
図5の矢印で示すように、対向扁平管9から出入り口ヘッダ管5に吐出された冷媒は、一旦吐出方向とは逆方向に蛇行しながら、連通穴29を通過し、排出管12に向う。これにより、吐出口9bから排出管12へと向かう冷媒には、より好適に圧力損失が発生する。したがって、対向扁平管9内を流通する冷媒の圧力損失を増大させ、対向扁平管9内に流入する冷媒流量を低減することができる。
【0052】
なお、本変形例では、連通穴29全体が出入り口ヘッダ管5内に挿入される扁平管2と重なる位置に配置される場合を説明したが、連通穴は、
図4(b)に示される連通穴30のように、一部が出入り口ヘッダ管5内に挿入される扁平管2と重なるように配置してもよい。また、連通穴が複数形成される場合には、すべての連通穴が出入り口ヘッダ管5内に挿入される扁平管2と重なるように形成してもよいし、出入り口ヘッダ管5内に挿入される扁平管2と重なる連通穴と、出入り口ヘッダ管5内に挿入される扁平管2と重ならない連通穴とを両方形成してもよい。
【0053】
連通穴を設ける位置によって、吐出された冷媒の蛇行量が変化する。吐出された冷媒の蛇行量が変化すると、対向扁平管9内に発生する圧力損失も変化する。したがって、連通穴の開口面積を変化させて対向扁平管9内を流通する冷媒に発生する圧力損失を調整することに加え、連通穴の設ける位置によっても対向扁平管9内を流通する冷媒に発生する圧力損失を調整することができる。具体的には、冷媒の蛇行する距離が短くなると、対向扁平管9内を流通する冷媒の圧力損失は減少し、冷媒の蛇行する距離が長くなると、対向扁平管9内を流通する冷媒の圧力損失は増大する。
【0054】
[第2実施形態]
次に、本発明の第2実施形態について、
図6を用いて説明する。
本実施形態は、上記した第1実施形態に対して、仕切板16の代わりに衝突板32を設けた点で異なる。その他の点については、第1実施形態と同様につき同一符号を付し、その説明は省略する。
【0055】
本実施形態では、
図6に示すように、出入り口ヘッダ管5の出口空間14内に衝突板32を設けている。衝突板32は、第1隔壁15の上面にろう付け固定され、対向扁平管9内に形成された流路10の吐出口9bと対向するように、第1隔壁15の上面から上方に延びている。衝突板32と対向扁平管9の一端とは離間するように配置される。また、衝突板32の上下方向の高さは、対向扁平管9の上端よりも高く、対向扁平管9の1つ上に配置される扁平管2の下端よりも低く設定されている。本実施形態では、衝突板32と吐出口9bとが離間する距離は短く設定され、冷媒は吐出口9bから吐出された直後に衝突板32に衝突する。
【0056】
本実施形態によれば、以下の作用効果を奏する。
上記構成では、対向扁平管9内に形成された流路10の吐出口9bと対向するように衝突板32が設けられているので、吐出口9bから出入り口ヘッダ管5内に吐出された冷媒が衝突板32に衝突し、圧力損失が発生する。したがって、対向扁平管9内を流通する冷媒の圧力損失を増大させ、対向扁平管9内に流入する冷媒流量を低減することができる。
【0057】
また、衝突板32を設ける位置によって、吐出された冷媒と衝突板32との衝突の際の圧力損失が変化する。したがって、衝突板32を設ける位置を調整することで、対向扁平管9内を流通する冷媒に対して所望の圧力損失を発生させ、対向扁平管9内に流入する冷媒流量を所望の流量にすることができる。具体的には、衝突板32と吐出口9bとの距離を長くすると、対向扁平管9内を流通する冷媒の圧力損失は減少し、衝突板32と吐出口9bとの距離を短くすると、対向扁平管9内を流通する冷媒の圧力損失は増大する。
【0058】
また、本実施形態では、吐出された冷媒と衝突板32とが衝突することで対向扁平管9内を流通する冷媒の圧力損失を増大させている。したがって、第1実施形態で説明した連通穴17を通過させる形式では冷媒の流速と連通穴17の径との関係によって発生する可能性のあった笛吹音等の異音の発生をさせずに、対向扁平管9内を流通する冷媒の圧力損失を増大させることができる。
【0059】
また、本実施形態では、衝突板32を第1隔壁15にろう付け固定してから、第1隔壁15を出入り口ヘッダ管5の内周面にろう付け固定する。したがって、部品点数を削減し、出入り口ヘッダ管5内のろう付け箇所を減らしつつ、対向扁平管9内に流入する冷媒量を低減することができる。
【0060】
[第3実施形態]
次に、本発明の第3実施形態について、
図7及び
図8を用いて説明する。
本実施形態は、上記した第1実施形態に対して、仕切板16の代わりに封止部材35を設けた点で異なる。その他の点については、第1実施形態と同様につき同一符号を付し、その説明は省略する。
【0061】
本実施形態では、
図7に示すように、出入り口ヘッダ管5の出口空間14内に封止部材35を設けている。封止部材35は、第1隔壁15の上面にろう付け固定され、対向扁平管9内に形成された流路10の吐出口9bと対向するように、第1隔壁15の上面から上方に延在する板状部材である。封止部材35と対向扁平管9の一端とは当接するように配置される。また、封止部材35の上下方向の高さは、対向扁平管9の上端よりも高く、対向扁平管9の1つ上に配置される扁平管2の下端よりも低く設定されている。
【0062】
封止部材35は、
図8(a)に示すように、側面の略中心に矩形の連通開口36が1つ形成されている。連通開口36は、対向扁平管9内に形成された6つの流路10のうち、中心の2つの流路10の吐出口9bと連通するように配置されている。すなわち、封止部材35は、対向扁平管9内に形成された6つの流路10のうち、中心の2つの流路10以外の流路10の吐出口9bを封止している。
【0063】
なお、本実施形態では、連通開口36が封止部材35の略中心に1つ形成されている場合を説明したが、連通開口は、
図8(b)に示す連通開口37のように、複数形成されていてもよい。
【0064】
本実施形態によれば、以下の作用効果を奏する。
上記構成では、封止部材35が、対向扁平管9内に形成された複数の流路10のうち、一部の流路10を封止している。封止された流路10内には冷媒がほとんど流入しないので、より好適に、対向扁平管9内を流通する冷媒の圧力損失を増大させることができる。したがって、好適に、対向扁平管9内に流入する冷媒流量を低減することができる。
【0065】
また、封止部材35が封止する流路10の数によって、対向扁平管9内を流通する冷媒の圧力損失が変化する。したがって、封止部材35が封止する流路10の数を調整することによって、対向扁平管9内に流入する冷媒流量を所望の流量にすることができる。具体的には、封止する流路10の数を少なく設定すると、対向扁平管9内を流通する冷媒の圧力損失は減少し、封止する流路10の数を多く設定すると、対向扁平管9内を流通する冷媒の圧力損失は増大する。
【0066】
また、本実施形態では、複数の流路10のうち、着霜し難い位置である中心部に配置された流路10には冷媒を流通させ、着霜し易い位置である外側に配置された流路10には冷媒を流通させないようにしているので、対向扁平管9への着霜を抑制することができる。
【0067】
なお、本実施形態では、板状の封止部材35によって、流路10の一部を封止しているが、流路10を封止する態様はこれに限定されない。例えば、封止したい流路10のみを潰して塞いでもよい。
【0068】
なお、本発明は、上記各実施形態にかかる発明に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲において、適宜変形が可能である。例えば、上記各実施形態では、各下流側扁平管8へ流入する冷媒流量を均一化するために出入り口ヘッダ管5の出口空間14に圧力損失を増大させる手段を設けているが、各上流側扁平管7へ流入する冷媒流量を均一化するために、折り返しヘッダ管4の下方空間21に圧力損失を増大させる手段を設けてもよい。
【0069】
また、各上記実施形態では、熱交換器1を蒸発器として用いる場合について説明したが、本発明の熱交換器1は、凝縮器として用いる場合にも有効である。凝縮器として用いる場合には、冷媒の流れが逆になるので、折り返しヘッダ管4の上方空間22または、出入り口ヘッダ管5の入口空間13に圧力損失を増大させる手段を設けることになる。
【0070】
また、上記各実施形態では、第1隔壁15等をろう付け固定しているが、固定態様はこれに限定されず、例えば溶接で固定してもよい。また、上記各実施形態では、扁平管2内に複数の流路10を形成しているが、扁平管内の流路10は1つであってもよい。