(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記特徴量空間にプロットされた対象のうち、当該対象の好みを示す情報である好み情報が前記ユーザに適合する対象に関する情報を、前記所定の要求の送信元であるユーザに送信する送信部、
をさらに備えたことを特徴とする請求項1〜5のいずれか一つに記載の抽出装置。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下に、本願に係る抽出装置、抽出方法及び抽出プログラムを実施するための形態(以下、「実施形態」と呼ぶ)について図面を参照しつつ詳細に説明する。なお、この実施形態により本願に係る抽出装置、抽出方法及び抽出プログラムが限定されるものではない。また、各実施形態は、処理内容を矛盾させない範囲で適宜組み合わせることが可能である。また、以下の各実施形態において同一の部位には同一の符号を付し、重複する説明は省略される。
【0011】
〔1.抽出処理の一例〕
まず、
図1を用いて、実施形態に係る抽出処理の一例について説明する。
図1は、実施形態に係る抽出処理の一例を示す図である。
図1では、本願に係る抽出装置100によって、ユーザ間のマッチングを行うためのサービスにおいて、マッチングの成功率を向上させるための抽出処理が行われる例を示す。
【0012】
実施形態では、ユーザ間のマッチングを行うためのサービスとして、異性間の出会いを提供するような出会い系サービスを例に挙げる。具体的には、実施形態に係るサービスでは、サービスを利用するユーザは、サービスに予め登録されている異性ユーザ(実施形態では、ユーザにマッチングされる対象となるユーザ(例えば、サービスを利用するユーザに対する異性のユーザ)を「対象」と表記する)の顔画像を閲覧し、自身の好みの対象を選択する。例えば、サービスでは、対象が予め設定した条件(マッチングされる相手に求める条件)と、対象を選択したユーザの情報(以下、「ユーザ情報」と表記する)とが適合する場合に、マッチングされる候補として、選択された対象がユーザに紹介される。例えば、ユーザに紹介された対象がユーザからの申し出等を受け入れた場合に、ユーザと対象とがマッチングされたものと判定される。
【0013】
一般に、このような出会い系サービスでは、ユーザは、サービスを利用する際に自身のユーザ情報を登録する。例えば、ユーザ情報は、ユーザの性別や年齢や年収や趣味等の属性情報やプロフィールである。また、ユーザは、ユーザ情報とともに、自身の画像(例えば、顔画像)をサービスに登録する。サービスでは、登録されたユーザ情報とともに、当該ユーザの顔画像を掲載し、サービスを利用するユーザに閲覧させる。
【0014】
すなわち、サービスでは、ユーザは、サービスに登録されている異性の顔画像を見ながら自身の好みの対象を探すことができる。しかし、ユーザが自身の好みの対象を選ぶことができたとしても、選んだ対象が適切なマッチング相手であるかは定かではない。具体的には、ユーザが選んだ対象がユーザの容姿を好むか否かが定かでなく、ユーザの一方的な選択となってしまう可能性がある。これは、一般に容姿を言語化することが難しく、性別や年齢等のように明確な情報として登録されるものではないことによる。つまり、「自身が相手にどのような容姿を望むか」といった条件を言語化して登録することが難しく、また、自身の容姿を相手に伝えようとしても的確に内容を伝えることも難しい。このため、サービス側にとって、マッチングされた双方が互いに好みの容姿である、というマッチングを成立させることは行うことは難しい。すなわち、ユーザが自身の好みの対象を探すことができても、その対象が自身の容姿を好むとは限らないため、選択したユーザと選択された対象とが適切なマッチングとなりうるかが定かでない。
【0015】
そこで、
図1に示す抽出装置100は、以下に説明する抽出処理を用いることで、サービスを利用するユーザと、当該ユーザが所望する対象とのマッチングの成功率を向上させる。以下、
図1を用いて、実施形態に係る抽出処理について流れに沿って説明する。
【0016】
図1に示す抽出装置100は、ユーザ同士のマッチングサービスを提供するサーバ装置である。例えば、抽出装置100は、ネットワーク上におけるウェブサーバとして機能し、実施形態に係るサービスを提供する。
【0017】
図1に示すユーザ端末10
1及び10
2は、サービスを利用するユーザによって利用される情報処理端末である。
図1の例では、ユーザ端末10
1はユーザU01によって利用され、ユーザ端末10
2はユーザU02によって利用される。
【0018】
なお、以下では、ユーザ端末10
1やユーザ端末10
2等を区別する必要のないときは、単に「ユーザ端末10」と表記する。また、ユーザU01やユーザU02等を区別する必要のないときは、単に「ユーザ」と表記する。また、以下では、ユーザをユーザ端末10と読み替える場合がある。例えば、「ユーザU01が顔画像を送信する」という記載は、実際には、「ユーザU01が利用するユーザ端末10
1が顔画像を送信する」という状況を示す場合がある。
【0019】
図1において、まず抽出装置100は、各々のユーザからサービスへの登録を受け付ける。この場合、抽出装置100は、サービスに登録を所望する各ユーザからユーザ情報を受け付ける。また、抽出装置100は、各ユーザから顔画像を受け付ける。
【0020】
例えば、サービスを利用しようとするユーザU01は、顔画像を抽出装置100に送信する(ステップS11)。例えば、ユーザU01は、ユーザ端末10
1に備えられたカメラ機能を利用して自身の顔画像を撮像し、撮像した顔画像を抽出装置100に送信する。なお、抽出装置100は、ユーザU01のみならず、他のユーザ(
図1の例では、ユーザU11やユーザU12やユーザU13等)からもサービスへの登録及び顔画像の送信を受け付けているものとする。
【0021】
そして、抽出装置100は、ユーザU01等から取得した顔画像に基づいて特徴量空間を生成する(ステップS12)。具体的には、抽出装置100は、取得した全ての顔画像を対象に、顔画像が似ているほど距離が近くなるように各々のユーザがプロット(配置)される特徴量空間を生成する。
【0022】
例えば、抽出装置100は、取得した顔画像について、画像の特徴量を抽出するための学習を行う。具体的には、抽出装置100は、ディープラーニング(Deep Learning)の手法を用いて、画像に含まれる被写体の顔を特徴付ける要素を抽出する。さらに、抽出装置100は、顔を特徴付ける要素を所定数の次元(例えば100次元など)で構成されるベクトルとして表現する。そして、抽出装置100は、各ユーザの顔画像に対応するベクトルが示す空間上の位置に当該ユーザをプロットした特徴量空間を生成する。このような処理については、種々の既知の手法(例えば、深層学習モデルであるDCGAN(Deep Convolutional Generative Adversarial Networks)等)が利用されてもよい。
【0023】
図1の例では、抽出装置100は、性別ごとに異なる特徴量空間を生成するものとする。例えば、抽出装置100は、サービスに登録した女性ユーザをプロットした空間である特徴量空間V01を生成する。なお、
図1では、可視化のため、プロットされた各対象が3次元空間で表現された例(例えば、空間をPCA(Principal Component Analysis、主成分分析)を用いて3次元に圧縮して可視化した例)を示しているが、実際には、特徴量空間V01は3次元で構成されなくてもよい。
【0024】
図1に示すように、特徴量空間V01では、各対象が顔画像の特徴量に応じて特徴量空間V01上にプロットされる。例えば、特徴量空間V01には、対象として、ユーザU01や、他の女性ユーザであるユーザU11や、ユーザU12や、ユーザU13がプロットされる。
【0025】
特徴量空間V01では、各対象の顔画像において抽出された特徴量に応じて各対象がプロットされるため、類似する顔のユーザ同士が近傍にプロットされる。例えば、ユーザU01とユーザU11の顔画像の特徴が類似している場合、ユーザU01とユーザU11とは、特徴量空間V01において近傍にプロットされる。仮に、特徴量空間V01上の領域(座標)を所定の閾値で区分けることにより、特徴量空間V01に所定の範囲を形成した場合、ユーザU01とユーザU11とは同じ範囲内である範囲D11に属するものとする。また、ユーザU12の顔画像から抽出された特徴量が、ユーザU01やユーザU11と所定量を超えて隔たりがある場合、ユーザU12の顔とユーザU01及びユーザU11の顔とは類似しない。この場合、ユーザU12は、ユーザU01やユーザU11が属する範囲D11とは異なる範囲である範囲D12に属する。また、ユーザU13の顔画像から抽出された特徴量が、ユーザU01やユーザU11やユーザU12と所定量を超えて隔たりがある場合、ユーザU13の顔と、ユーザU01、ユーザU11及びユーザU12の顔とは類似しない。この場合、ユーザU13は、ユーザU01やユーザU11が属する範囲D11や、ユーザU12の属する範囲D12とは異なる範囲である範囲D13に属する。
【0026】
このように、抽出装置100は、顔画像に基づいて生成された特徴量空間V01、及び、特徴量空間V01内における所定範囲に基づいて、サービスに登録した各女性ユーザを「似ているユーザ」として分類することができる。
【0027】
続いて、抽出装置100は、サービスに登録したユーザU01に対して、ユーザU01が好む容姿を示す情報(以下、「好み情報」と表記する)を設定する(ステップS13)。例えば、抽出装置100は、サービスに登録済みである異性ユーザの顔画像をユーザU01に提示し、提示された顔画像から1つを選択させることで、ユーザU01の好み情報を設定する。この場合、抽出装置100は、選択された顔画像の特徴量(ベクトル)をユーザU01の好み情報として設定する。
【0028】
あるいは、抽出装置100は、所定の処理により、ユーザU01がどのような顔(具体的には、顔の特徴)を好むかを設定してもよい。詳細は後述するが、例えば、抽出装置100は、サービスを利用するユーザU01に対して、異性ユーザの顔画像を2種類提示し、どちらが好みの顔であるかを選択させる。このとき、抽出装置100は、既に特徴量を抽出済みの2種類の顔画像をユーザU01に提示する。そして、抽出装置100は、異性ユーザの顔画像を2種類提示してどちらが好みの顔であるかをユーザU01に選択させる処理を繰り返すことで、ユーザU01の好み情報を生成する。一例として、抽出装置100は、ユーザU01が選択した顔画像の特徴量を示した各ベクトルの平均を算出することにより、ユーザU01の好み情報を生成する。このようにして生成される好み情報は、異性ユーザがプロットされた特徴量空間においてユーザU01の好みを指し示すベクトルといえる。抽出装置100は、生成した好み情報を、ユーザU01に対応付けられる情報の1つとして設定する。同様に、抽出装置100は、サービスに登録したユーザU11や、ユーザU12や、ユーザU13の好み情報も取得し、各ユーザの情報として設定しているものとする。
【0029】
以上の処理により、抽出装置100は、サービスに登録した女性ユーザを対象とする特徴量空間V01を生成する。なお、抽出装置100は、新たに女性ユーザから登録があった場合には、当該女性ユーザを特徴量空間V01に追加する処理を行ってもよい。すなわち、抽出装置100は、適宜、特徴量空間V01に含まれる対象を更新する処理を行ってもよい。
【0030】
その後、抽出装置100は、サービスを利用しようとする男性ユーザであるユーザU02からアクセスを受け付ける。抽出装置100は、ユーザU02からユーザ情報や顔画像を取得するとともに、ユーザU02の好み情報を受け付ける。すなわち、ユーザU02は、サービスの利用に際して、ユーザU02自身の好み情報を設定する(ステップS14)。
【0031】
例えば、抽出装置100は、ユーザU01について好み情報を設定した際と同様の手法を用いて、ユーザU02の好み情報を設定する。そして、抽出装置100は、特徴量空間V01において、ユーザU02の好み情報に対応した所定範囲を特定する。さらに、抽出装置100は、ユーザU02の好み情報に対応した所定範囲に含まれる対象を特定する。その後、抽出装置100は、特定した対象の中から、ユーザU02の顔を好む対象を抽出する(ステップS15)。
【0032】
上記ステップS15の処理について、具体的に説明する。まず、抽出装置100は、ユーザU02の好み情報を示すベクトルが、特徴量空間V01における範囲D11近傍を示すものである場合に、ユーザU02に紹介する対象として、範囲D11に属するユーザであるユーザU01やユーザU11を特定する。続けて、抽出装置100は、範囲D11に属するユーザU01やユーザU11に設定された好み情報を参照する。
【0033】
そして、抽出装置100は、ユーザU02の好みである対象のうち、ユーザU02の顔が好みである対象を抽出する。例えば、抽出装置100は、範囲D11に属する対象のうち、ユーザU02の属する特徴量空間(
図1の例では、男性ユーザを対象とする特徴量空間)において、ユーザU02が属する範囲内に好み情報のベクトルが向かっているユーザを抽出する。すなわち、抽出装置100は、男性ユーザを対象とする特徴量空間において、ユーザU02がプロットされた空間(所定範囲)に対して、好み情報を示すベクトルが向かっている女性ユーザを抽出する。
【0034】
図1の例では、ユーザU02が好む顔の特徴を有している対象の属する所定の範囲が範囲D11であるものとし、また、ユーザU01とユーザU11とが範囲D11に属しているものとする。そして、ユーザU01が好む顔の対象にユーザU02が該当し、ユーザU11が好む顔の対象にユーザU02が該当していないとする。この場合、抽出装置100は、ユーザU02とマッチングさせるユーザとしてユーザU01を抽出する。
【0035】
このように、抽出装置100は、対象を撮像した画像(
図1の例では、顔画像)に含まれる対象の身体的な特徴を抽出することにより、各々の画像に対応する対象が所定位置にプロットされた空間である特徴量空間V01を生成する。そして、抽出装置100は、対象に関する所定の要求を、サービスを利用するユーザU02から受け付けることにより、生成された特徴量空間V01において、ユーザU02が所望する所定の範囲D11を特定する。さらに、抽出装置100は、特定された範囲D11に含まれる対象のうち、ユーザU02に関する所定の条件(
図1の例では、ユーザU02の顔が好みであること)に適合した対象を抽出する。
【0036】
このように、実施形態に係る抽出装置100は、マッチングサービスにおいて、サービスを利用するユーザU02の所望する容姿を持つ対象であって、さらに、ユーザU02の容姿を好む対象であるユーザU01を抽出する。すなわち、抽出装置100は、顔や容姿などマッチングサービスにとって重要な要素となる情報であるものの、言語化しにくい情報に関して、互いの好みの容姿を有するユーザ同士を精度よくマッチングさせることができる。具体的には、候補として抽出された対象は、一方的にユーザから好みを告げられた対象ではなく、対象自身の好み情報に基づいて抽出された対象となる。これにより、抽出装置100は、互いの容姿を好むユーザ同士を抽出できるので、マッチングの成功率(例えば、提示されたユーザ同士がペアとして成立すること)を向上させることができる。また、上記抽出処理によれば、サービスを利用するユーザU02に対して抽出される候補(すなわち、レコメンドとして表示される対象)は複数となる場合がある。この場合であっても、抽出装置100によって抽出された候補は、少なくともユーザU02の容姿を好む対象である。このため、ユーザU02にとっては、提示された対象に対して気軽にアプローチを行うことができる。この結果、抽出装置100は、例えばユーザ同士が互いに連絡を取り合う確率や、互いを受け入れる可能性を高めることができるので、マッチングの成功率を向上させることができる。以下、このような処理を行う抽出装置100、及び、抽出装置100を含む抽出処理システム1の構成等について、詳細に説明する。
【0037】
〔2.抽出処理システムの構成〕
次に、
図2を用いて、実施形態に係る抽出装置100が含まれる抽出処理システム1の構成について説明する。
図2は、実施形態に係る抽出処理システム1の構成例を示す図である。
図2に例示するように、実施形態に係る抽出処理システム1には、ユーザ端末10と、抽出装置100とが含まれる。これらの各種装置は、ネットワークNを介して、有線又は無線により通信可能に接続される。なお、
図2に示した抽出処理システム1には、複数台のユーザ端末10が含まれてもよい。
【0038】
ユーザ端末10は、例えば、スマートフォンや、デスクトップ型PC(Personal Computer)や、ノート型PCや、タブレット型端末や、携帯電話機、PDA(Personal Digital Assistant)、ウェアラブルデバイス(Wearable Device)等の情報処理装置である。ユーザ端末10は、ユーザによる操作に従って、抽出装置100にアクセスし、抽出装置100から提供されるマッチングサービスを利用する。
【0039】
抽出装置100は、実施形態に係る抽出処理を実行するサーバ装置である。抽出装置100は、例えばウェブサーバであり、インターネット上で提供されるマッチングサービスをユーザに提供する。
【0040】
〔3.抽出装置の構成〕
次に、
図3を用いて、実施形態に係る抽出装置100の構成について説明する。
図3は、実施形態に係る抽出装置100の構成例を示す図である。
図3に示すように、抽出装置100は、通信部110と、記憶部120と、制御部130とを有する。なお、抽出装置100は、抽出装置100を利用する管理者等から各種操作を受け付ける入力部(例えば、キーボードやマウス等)や、各種情報を表示するための表示部(例えば、液晶ディスプレイ等)を有してもよい。
【0041】
(通信部110について)
通信部110は、例えば、NIC(Network Interface Card)等によって実現される。かかる通信部110は、ネットワークNと有線又は無線で接続され、ネットワークNを介して、ユーザ端末10や、抽出装置100との間で情報の送受信を行う。
【0042】
(記憶部120について)
記憶部120は、例えば、RAM(Random Access Memory)、フラッシュメモリ(Flash Memory)等の半導体メモリ素子、または、ハードディスク、光ディスク等の記憶装置によって実現される。記憶部120は、顔画像記憶部121と、特徴量空間記憶部122と、ユーザ情報記憶部123とを有する。
【0043】
(顔画像記憶部121について)
顔画像記憶部121は、サービスに登録したユーザから受け付けた顔画像に関する情報を記憶する。ここで、
図4に、実施形態に係る顔画像記憶部121の一例を示す。
図4は、実施形態に係る顔画像記憶部121の一例を示す図である。
図4に示した例では、顔画像記憶部121は、「ユーザID」、「性別」、「顔画像ID」、「特徴量情報」といった項目を有する。
【0044】
「ユーザID」は、ユーザを識別するための識別情報を示す。なお、実施形態において、識別情報と、説明で用いる参照符号とは共通するものとする。例えば、ユーザIDが「U01」であるユーザは、ユーザU01を示す。「性別」は、ユーザの性別を示す。「顔画像ID」は、顔画像を識別する識別情報を示す。
【0045】
「特徴量情報」は、顔画像から抽出された特徴量に関する情報を示す。なお、
図4に示した例では、特徴量情報を「G01」等の概念で示しているが、実際には、特徴量情報は、顔画像から抽出された特徴に対応する要素と、要素を示す値等で表される。例えば、特徴量情報は、要素を次元とし、要素を示す値を各次元の数値とするベクトルとして示される。具体的には、特徴量情報は、目全体の形や、白目の形や色、白目と黒目の割合など、ユーザの顔の特徴となる各要素を次元とし、また、各要素を正規化により数値化したベクトルである。このような特徴量情報の抽出は、上述のように、種々の既知の技術(例えばディープラーニングを利用した画像認識技術)によって実現されてもよい。
【0046】
すなわち、
図4に示したデータの一例は、ユーザID「U01」によって識別されるユーザU01の性別は「女性」であり、顔画像ID「P01」で識別される顔画像が登録されており、また、その顔画像の特徴量情報は「G01」であることを示している。
【0047】
(特徴量空間記憶部122について)
特徴量空間記憶部122は、抽出装置100によって生成された特徴量空間に関する情報を記憶する。ここで、
図5に、実施形態に係る特徴量空間記憶部122の一例を示す。
図5は、実施形態に係る特徴量空間記憶部122の一例を示す図である。
図5に示した例では、特徴量空間記憶部122は、「特徴量空間ID」、「属性」、「顔画像ID」といった項目を有する。
【0048】
「特徴量空間ID」は、特徴量空間を識別するための識別情報を示す。「属性」は、特徴量空間に属するユーザ(対象)の属性を示す。「顔画像ID」は、特徴量空間に含まれる各顔画像の識別情報を示す。なお、
図5での図示は省略しているが、特徴量空間記憶部122には、顔画像IDのみならず、特徴量空間に属するユーザを識別する情報や、各顔画像の特徴量情報が記憶されているものとする。
【0049】
すなわち、
図5に示したデータの一例は、特徴量空間ID「V01」で識別される特徴量空間V01に属するユーザの属性は「女性」であり、特徴量空間V01には、例えば、顔画像ID「P01」、「P11」、「P12」、「P13」で識別される顔画像に対応付けられた対象が属していることを示している。
【0050】
(ユーザ情報記憶部123について)
ユーザ情報記憶部123は、サービスを利用するユーザから受け付けた好み情報等のユーザ情報を記憶する。ここで、
図6に、実施形態に係るユーザ情報記憶部123の一例を示す。
図6は、実施形態に係るユーザ情報記憶部123の一例を示す図である。
図6に示した例では、ユーザ情報記憶部123は、「ユーザID」、「属する範囲」、「好み情報」、「ターゲットとする範囲」、「マッチングユーザ候補」といった項目を有する。
【0051】
「ユーザID」は、
図4で示した同一の項目に対応する。「属する範囲」は、特徴量空間においてユーザがプロットされた範囲を示す。例えば、範囲とは、特徴量空間における所定の幅を有する空間である。このため、同一の範囲に属するユーザは、似たような特徴を有する顔(容姿)を有する。例えば
図1に示したように、特徴量空間V01における範囲D11には、顔画像において似た特徴を有するユーザU01やユーザU11が属することになる。
【0052】
「好み情報」は、ユーザごとに設定された好み情報を示す。なお、
図6に示した例では、好み情報を「H01」等の概念で示しているが、実際には好み情報は、特徴量情報と同様、顔画像から抽出された特徴に対応する要素と、要素を示す値等で表される。すなわち、好み情報は、要素を次元とし、要素を示す値を各次元の数値とするベクトルとして示される。なお、好み情報は、一意の数値で定まらず、ある程度の幅を持った数値で示されてもよい。すなわち、好み情報は、ユーザの好みを示す情報であるため、特定の人物を示す情報(一意に定まる情報)でなく、ユーザが好む顔の特徴が認識可能な程度の幅(範囲)を持ったベクトルであってもよい。
【0053】
「ターゲットとする範囲」は、好み情報に対応した範囲であって、異性の特徴量空間における範囲を示す。なお、抽出装置100は、「ターゲットとする範囲」や「属する範囲」の項目について、一定の閾値を定めて設定する必要はなく、処理に応じて範囲が定まるよう、各範囲を定める閾値を動的に変更してもよい。また、抽出装置100は、好み情報が一意に定まる場合には、例えば、好み情報が指し示す特徴量空間上の一点から所定の領域までを「ターゲットとする範囲」に設定するなど、柔軟に範囲を定めてもよい。
【0054】
「マッチングユーザ候補」は、ユーザにマッチングされる対象として抽出された候補であるユーザを示す。
図6の例では、マッチングユーザ候補は、ユーザIDと共通した参照符号により示される。例えば、抽出装置100は、ユーザがターゲットとする範囲に属する対象であって、当該対象がターゲットとする範囲に当該ユーザが含まれている、という条件を満たす場合に、マッチングユーザ候補として当該対象を抽出する。言い換えれば、マッチングユーザ候補は、サービスにおいてユーザが好み情報を設定した際に、当該ユーザにレコメンドされる対象となるユーザである。
【0055】
すなわち、
図6に示したデータの一例は、ユーザID「U01」で識別されるユーザU01が特徴量空間において属する範囲は「D11」であり、好み情報は「H01」であり、その好み情報に基づいて定まる範囲(ターゲットとする範囲)は、「E12」であり、ユーザU01に対応するマッチングユーザ候補は、「U21」等であることを示している。
【0056】
(制御部130について)
制御部130は、例えば、コントローラ(controller)であり、CPU(Central Processing Unit)やMPU(Micro Processing Unit)等によって、抽出装置100内部の記憶装置に記憶されている各種プログラム(抽出プログラムの一例に相当)がRAMを作業領域として実行されることにより実現される。また、制御部130は、例えば、コントローラであり、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)やFPGA(Field Programmable Gate Array)等の集積回路により実現される。
【0057】
図3に示すように、制御部130は、取得部131と、生成部132と、受付部133と、特定部134と、抽出部135と、送信部136とを有し、以下に説明する情報処理の機能や作用を実現または実行する。なお、制御部130の内部構成は、
図3に示した構成に限られず、後述する情報処理を行う構成であれば他の構成であってもよい。また、制御部130が有する各処理部の接続関係は、
図3に示した接続関係に限られず、他の接続関係であってもよい。
【0058】
(取得部131について)
取得部131は、各種情報を取得する。例えば、取得部131は、サービスを利用するユーザのユーザ情報を取得する。取得部131は、ユーザ情報として、ユーザの属性情報を取得する。具体的には、取得部131は、ユーザの性別や年齢、職業、年収、居住地等の属性情報を取得する。
【0059】
また、取得部131は、ユーザの画像を取得する。例えば、取得部131は、ユーザの顔を被写体とした顔画像を取得する。また、取得部131は、ユーザの好み情報を取得する。なお、取得部131は、後述する受付部133によってユーザから受け付けられた情報に基づいて作成される好み情報を取得するようにしてもよい。
【0060】
取得部131は、取得した各情報を記憶部120内に格納する。また、取得部131は、記憶部120内に格納された情報を適宜取得してもよい。
【0061】
なお、取得部131は、サービスへの反応に関する情報を取得してもよい。例えば、取得部131は、サービスにおいて抽出された候補に対するユーザの反応を取得してもよい。取得部131は、ユーザの反応として、対象がユーザから選択された(クリックやタッチされた)数もしくは率、又は、ユーザと対象とがマッチングに成功した数もしくは率の少なくともいずれか一つを取得する。すなわち、候補に対するユーザの反応とは、候補として提示された対象に対してユーザが示した反応であり、例えば、候補として提示された対象がクリックされることによりユーザから候補に対してアプローチが行われたことや、対象がユーザのアプローチを受け入れ、両者がペアとして成立したことである。あるいは、取得部131は、ユーザに提示した候補が、ユーザの好みでないとする反応をユーザから取得してもよい。例えば、取得部131は、サービスにおいて、「このユーザはあなたの好みですか?」といったメッセージを提示し、そのメッセージに対する回答をユーザの反応として取得してもよい。
【0062】
(生成部132について)
生成部132は、対象を撮像した画像に含まれる対象の身体的な特徴を抽出することにより、各々の画像に対応する対象が所定位置にプロットされた空間である特徴量空間を生成する。
【0063】
なお、実施形態では、対象とは、抽出装置100が提供するサービスに登録するユーザが対応する。また、実施形態では、身体的な特徴とは、ユーザの顔画像から抽出される特徴量情報が対応する。すなわち、生成部132は、対象の顔画像から特徴量情報を抽出し、抽出した情報に基づいて、当該対象をプロットした特徴量空間を生成する。
【0064】
生成部132は、例えば、既知の画像認識技術を用いて、顔画像から顔の特徴量情報を抽出する。また、生成部132は、例えばDCGAN等を利用して特徴量空間を生成する。
【0065】
また、生成部132は、対象の属性情報ごとに異なる特徴量空間を生成してもよい。例えば、生成部132は、
図1で示したように、対象の性別ごとに異なる特徴量空間を生成してもよい。生成部132は、生成した特徴量空間に関する情報を特徴量空間記憶部122に格納する。
【0066】
(受付部133について)
受付部133は、各種情報を受け付ける。例えば、受付部133は、ユーザからサービス利用の要求を受け付ける。この場合、受付部133は、所定のユーザインターフェース画面(例えば、マッチングサービスに対応するアプリ)を提供し、サービスへの登録をユーザに促す。そして、受付部133は、ユーザから登録される情報を受け付ける。
【0067】
受付部133は、サービスへの登録にあたり、マッチングされる対象に望む条件をユーザから受け付ける。例えば、受付部133は、対象の性別や年齢、職業、年収等の条件を受け付ける。
【0068】
また、受付部133は、ユーザが所望する条件の1つとして、対象の容姿に関する好み情報を受け付ける。例えば、受付部133は、既に特徴量情報が抽出されている顔画像をユーザに提示し、ユーザがその顔を好むか否かを尋ねるためのユーザインターフェースをユーザ端末10に提供する。そして、受付部133は、ユーザの返答に応じて、当該ユーザの好み情報を受け付ける。
【0069】
この点について、
図7を用いて説明する。
図7は、実施形態に係る受付処理の一例を説明するための図である。
図7では、受付部133から提供されたユーザインターフェース70(例えば、アプリ画面)をユーザ端末10が表示する状況を示している。
【0070】
図7に示すように、受付部133は、AとBで示された顔画像を選択させるユーザインターフェース70をユーザ端末10に表示させる。例えば、ユーザは、指F10で画面をタッチすることで、AとBのどちらの顔が好みかを選択する。
【0071】
このとき、受付部133は、ユーザから選択を受け付けた顔画像に基づいて、ユーザが好む顔の特徴量を受け付ける(ステップS21)。ユーザから選択を受け付けた後、受付部133は、さらに異なる2つの顔をユーザインターフェース70に表示させる。そして、受付部133は、再びユーザからの選択を受け付ける。受付部133は、この選択を所定数繰り返す。
【0072】
そして、受付部133は、選択された顔画像(すなわち、ユーザが好む顔)の特徴量を総合して、当該ユーザの好み情報として設定する(ステップS22)。例えば、受付部133は、ユーザから選択された各顔画像の特徴量情報を平均した情報を、当該ユーザの好み情報として受け付ける。
【0073】
なお、
図7に示すように、実施形態に係るサービスでは、ユーザに設定された好み情報と、既に設定されていた対象の好み情報とを参照する処理が行われ、ユーザインターフェース71にマッチングされる候補となる対象の顔画像が表示される。かかる処理は、後述する特定部134、抽出部135、送信部136によって実行される。
【0074】
また、
図7に示したユーザインターフェース70の画面や処理は一例であり、受付部133は、さらに異なる手法によって好み情報を受け付けるようにしてもよい。例えば、ユーザインターフェース70では、
図7で示したようにAとBの2種類の顔画像を提示するのではなく、3種類以上の顔画像を提示するようにしてもよい。この場合、受付部133は、1種類のみの顔画像の選択を受け付けるのではなく、複数の顔画像の選択を受け付けてもよい。また、ユーザは、ユーザインターフェース70に好みの顔が表示されていない場合には、選択を保留してもよい。例えば、ユーザは、ユーザインターフェース70において、「この中には好みの顔がない」旨を示す選択を行う。この場合、受付部133は、ユーザインターフェース70において異なる顔画像を表示させ、新たにユーザから好みの顔を受け付けてもよい。すなわち、ユーザは、異なる顔画像を表示させて、再度の選択操作を行ってもよい。このように、受付部133は、様々な手法で各ユーザに好みの顔画像を選択させ、顔画像が選択されることに伴って取得される情報(例えば、各顔画像に対応するベクトル情報)に基づいて、各ユーザに好み情報を設定するようにしてもよい。
【0075】
(特定部134について)
特定部134は、対象に関する所定の要求をユーザから受け付けることにより、生成部132によって生成された特徴量空間において、ユーザが所望する所定範囲を特定する。実施形態では、所定の要求とは、例えば、マッチングサービスを利用するための要求(リクエスト)であり、また、マッチングサービスにおいて自分とマッチングする候補となる対象を抽出させる要求である。所定の要求には、ユーザが好む容姿に関する情報、すなわち好み情報が含まれる。
【0076】
特定部134は、対象の各々から所定の要求を受け付けることにより、各々の対象が所望する各々の所定範囲を特定する。すなわち、特定部134は、サービスを利用しようとするユーザのみならず、既にサービスに登録され、特徴量空間にプロットされた対象の好み情報に基づいて、各々の対象が所望する所定範囲を特定する。例えば、
図1のように性別ごとに特徴量空間が生成された場合には、特定部134は、一の特徴量空間にプロットされた対象が所望する範囲(好み情報が示す範囲)であって、もう一つの異なる特徴量空間に属する範囲を特定する。すなわち、特定部134は、対象に関する所定の要求をユーザから受け付けることにより、生成部132によって生成された特徴量空間のうち、ユーザとは異なる性別の特徴量空間においてユーザが所望する所定範囲を特定する。
【0077】
なお、特定部134は、好み情報が示す所定の範囲について、動的に範囲を設定してもよい。例えば、特定部134は、抽出部135によって抽出された対象(候補)に対するユーザの反応を取得された場合には、ユーザの反応に基づいて、ユーザに対応付けられていた所定範囲を更新してもよい。
【0078】
例えば、ユーザの好み情報に基づいて設定した所定範囲(例えば、
図6の「ターゲットとする範囲」に対応する範囲)に属する対象であって、抽出部135によって抽出された対象が、ユーザからマッチングを拒否されたとする。この場合、特定部134は、ユーザのターゲットとして設定した範囲を空間上でずらす処理や、狭める処理等を行ってもよい。すなわち、特定部134は、所定の学習処理を経て、所定範囲を設定するようにしてもよい。
【0079】
(抽出部135について)
抽出部135は、特定部134によって特定された所定範囲に含まれる対象のうち、ユーザに関する所定の条件に適合した対象を抽出する。例えば、抽出部135は、対象が、ユーザを含む所定範囲を所望し、かつ、ユーザが所望する所定範囲に含まれるという条件を満たす場合に、対象を抽出する。
【0080】
例えば、抽出部135は、対象の性別ごとに異なる特徴量空間が生成されている場合、対象が、ユーザがプロットされた特徴量空間においてユーザを含む所定範囲を所望し、かつ、ユーザとは異なる性別の特徴量空間においてユーザが所望する所定範囲に含まれるという条件を満たす場合に、当該対象をマッチングの候補として抽出する。
【0081】
抽出部135は、条件に適合した複数の対象を抽出してもよいし、最も条件に適合した一人の対象を抽出するようにしてもよい。
【0082】
(送信部136について)
送信部136は、各種情報を送信する。例えば、送信部136は、抽出部135によって抽出された対象に関する情報をユーザ端末10に送信する。例えば、送信部136は、特徴量空間にプロットされた対象のうち、対象の好みを示す情報である好み情報がユーザに適合する対象に関する情報を、所定の要求の送信元であるユーザに送信する。
【0083】
具体的には、送信部136は、
図7に示したユーザインターフェース71に示したように、候補として抽出された対象の顔画像をユーザ端末10に送信する。
【0084】
〔4.処理手順〕
次に、
図8及び
図9を用いて、実施形態に係る抽出装置100による処理の手順について説明する。まず、
図8を用いて、特徴量空間の生成に関する処理手順を説明する。
図8は、実施形態に係る処理手順を示すフローチャート(1)である。
【0085】
図8に示すように、抽出装置100は、サービスに登録するユーザから顔画像を取得したか否かを判定する(ステップS101)。顔画像を取得していない場合(ステップS101;No)、抽出装置100は、顔画像を取得するまで待機する。
【0086】
一方、顔画像を取得した場合(ステップS101;Yes)、抽出装置100は、顔画像から特徴量情報を抽出する(ステップS102)。そして、抽出装置100は、顔画像から抽出された特徴量情報に基づいて、顔画像に対応する対象をプロットして特徴量空間を生成する(ステップS103)。
【0087】
さらに、抽出装置100は、特徴量空間にプロットされた対象の好み情報を設定する(ステップS104)。そして、抽出装置100は、生成した特徴量空間に関する情報を記憶部120に格納する(ステップS105)。
【0088】
次に、
図9を用いて、特徴量空間を用いた抽出処理に関する処理手順を説明する。
図9は、実施形態に係る処理手順を示すフローチャート(2)である。
【0089】
図9に示すように、抽出装置100は、ユーザからサービスの利用の要求を受け付けたか否かを判定する(ステップS201)。抽出装置100は、サービスの利用の要求を受け付けていない場合(ステップS201;No)、受け付けるまで待機する。
【0090】
一方、サービスの利用の要求を受け付けた場合(ステップS201;Yes)、抽出装置100は、当該ユーザから好み情報を受け付ける(ステップS202)。そして、抽出装置100は、特徴量空間においてユーザが所望する範囲(好み情報が示す範囲)を特定する(ステップS203)。
【0091】
さらに、抽出装置100は、特定された範囲に含まれる対象のうち、当該ユーザを好む対象を抽出する(ステップS204)。そして、抽出装置100は、抽出された対象の情報(例えば、対象の顔画像)をユーザに送信する(ステップS205)。
【0092】
なお、抽出装置100は、この後、ユーザに送信した対象が実際にユーザからペアとして選択されたかといった反応や、ペアが成立したという情報(例えば、ユーザからのペアの申し出を候補となった対象が受け入れたことを示す情報等)や、ユーザの好みと抽出された対象とが適切でなかったといった結果情報等を取得してもよい。また、抽出装置100は、かかる結果を受けて、特定する所定の範囲の設定を変更するなど、所定の学習処理を行ってもよい。
【0093】
〔5.変形例〕
上述した抽出装置100は、上記実施形態以外にも種々の異なる形態にて実施されてよい。そこで、以下では、抽出装置100の他の実施形態について説明する。
【0094】
〔5−1.サービスの構成〕
上記実施形態では、抽出装置100がマッチングサービスを提供する例を示した。しかし、マッチングサービスは、抽出装置100によって提供されず、所定のウェブサーバ等によって提供されてもよい。この場合、抽出装置100は、特徴量空間の生成処理や、候補となる対象の抽出処理などを行うバックエンドサーバとしての機能を実行してもよい。
【0095】
また、抽出装置100は、実施形態に係る抽出処理を、異性間のマッチングを行うサービスのみならず、他のサービスに利用してもよい。例えば、抽出装置100は、友人を検索するサービス等に実施形態に係る抽出処理を利用してもよい。
【0096】
〔5−2.画像の情報〕
上記実施形態では、顔画像に基づいて対象の特徴量を抽出したり、好み情報を設定したりする例を示した。しかし、抽出装置100は、顔に限らず、種々の情報の特徴を抽出するようにしてもよい。例えば、抽出装置100は、顔を含めた全身の画像の特徴量情報に基づいて、上記実施形態で示した抽出処理を実行してもよい。
【0097】
また、抽出装置100は、顔や全身のみならず、例えば、画像内の被写体の服装を含めた容姿の特徴量を抽出するようにしてもよい。すなわち、抽出装置100は、ディープラーニング等を利用して対象の身体的特徴を抽出できるのであれば、顔に限らず、あらゆる情報を利用してもよい。
【0098】
〔5−3.好み情報〕
抽出装置100は、好み情報を設定する場合、必ずしもサービスに登録された対象の顔画像を提示することを要しない。すなわち、抽出装置100は、ユーザの好みのタイプ(特徴)が取得できれば、あらゆる手法を用いてユーザの好み情報を設定してもよい。
【0099】
例えば、抽出装置100は、芸能人や有名人など、ネットワークN上をクロールして取得可能な画像を取得する。そして、抽出装置100は、取得した画像から特徴量情報を抽出する。そして、抽出装置100は、サービスを利用するユーザに対して、取得した有名人の画像を提示し、この有名人が好みか否かを尋ねる。そして、抽出装置100は、ユーザからの回答に基づいて、当該ユーザの好み情報を設定してもよい。
【0100】
〔5−4.特徴量空間〕
上記実施形態では、抽出装置100は、性別ごとに異なる特徴量空間を生成する例を示した。しかし、抽出装置100は、1つの特徴量空間を生成し、サービスを利用するユーザを1つの特徴量空間にプロットしてもよい。
【0101】
この場合、抽出装置100は、例えば、ユーザの好み情報を示すベクトルと、ユーザがターゲットとする範囲に属する対象であって、当該対象の好み情報を示すベクトルとの距離を算出する。抽出装置100は、算出した距離が小さいほど、ユーザは対象の好みに近いと判定することができる。すなわち、抽出装置100は、ベクトル間の距離に基づいて、マッチング候補となる対象を抽出するようにしてもよい。
【0102】
〔5−5.条件〕
上記実施形態では、抽出装置100が、ユーザの好み情報と、対象の好み情報との適合に応じて候補となる対象を抽出する例を示した。ここで、抽出装置100は、顔画像における好み情報に加味して、さらに条件を満たした対象のみを抽出するようにしてもよい。すなわち、抽出装置100は、対象に対する条件として設定された性別や年齢や職業や年収等の条件に適合する対象であって、かつ、好み情報に関する条件に適合した対象を抽出するようにしてもよい。
【0103】
〔5−6.抽出〕
抽出装置100は、サービスを利用するユーザから好み情報を受け付けずとも、ユーザに対象をレコメンドとして送信する処理を行ってもよい。すなわち、抽出装置100は、ユーザから顔画像のみを受け付け、特徴量空間に当該ユーザをプロットするとする。そして、抽出装置100は、サービスに登録された対象のうち、ユーザからの好み情報による範囲の特定処理をスキップし、全対象の中から、当該ユーザを好みとする対象を抽出する。
【0104】
かかる処理によれば、ユーザは、サービスに好み情報を設定せずとも、少なくとも自分の容姿を好むような対象のレコメンドを受けることができる。
【0105】
〔6.ハードウェア構成〕
上述してきた実施形態に係る抽出装置100やユーザ端末10は、例えば
図10に示すような構成のコンピュータ1000によって実現される。以下、抽出装置100を例に挙げて説明する。
図10は、抽出装置100の機能を実現するコンピュータ1000の一例を示すハードウェア構成図である。コンピュータ1000は、CPU1100、RAM1200、ROM1300、HDD1400、通信インターフェイス(I/F)1500、入出力インターフェイス(I/F)1600、及びメディアインターフェイス(I/F)1700を有する。
【0106】
CPU1100は、ROM1300又はHDD1400に記憶されたプログラムに基づいて動作し、各部の制御を行う。ROM1300は、コンピュータ1000の起動時にCPU1100によって実行されるブートプログラムや、コンピュータ1000のハードウェアに依存するプログラム等を記憶する。
【0107】
HDD1400は、CPU1100によって実行されるプログラム、及び、かかるプログラムによって使用されるデータ等を記憶する。通信インターフェイス1500は、通信網500(
図2に示したネットワークNに対応)を介して他の機器からデータを受信してCPU1100へ送り、CPU1100が生成したデータを、通信網500を介して他の機器へ送信する。
【0108】
CPU1100は、入出力インターフェイス1600を介して、ディスプレイやプリンタ等の出力装置、及び、キーボードやマウス等の入力装置を制御する。CPU1100は、入出力インターフェイス1600を介して、入力装置からデータを取得する。また、CPU1100は、入出力インターフェイス1600を介して生成したデータを出力装置へ出力する。
【0109】
メディアインターフェイス1700は、記録媒体1800に記憶されたプログラム又はデータを読み取り、RAM1200を介してCPU1100に提供する。CPU1100は、かかるプログラムを、メディアインターフェイス1700を介して記録媒体1800からRAM1200上にロードし、ロードしたプログラムを実行する。記録媒体1800は、例えばDVD(Digital Versatile Disc)、PD(Phase change rewritable Disk)等の光学記録媒体、MO(Magneto-Optical disk)等の光磁気記録媒体、テープ媒体、磁気記録媒体、または半導体メモリ等である。
【0110】
例えば、コンピュータ1000が実施形態に係る抽出装置100として機能する場合、コンピュータ1000のCPU1100は、RAM1200上にロードされたプログラムを実行することにより、制御部130の機能を実現する。また、HDD1400には、記憶部120内のデータが記憶される。コンピュータ1000のCPU1100は、これらのプログラムを記録媒体1800から読み取って実行するが、他の例として、他の装置から通信網500を介してこれらのプログラムを取得してもよい。
【0111】
〔7.その他〕
また、上記実施形態において説明した各処理のうち、自動的に行われるものとして説明した処理の全部または一部を手動的に行うこともでき、あるいは、手動的に行われるものとして説明した処理の全部または一部を公知の方法で自動的に行うこともできる。この他、上記文書中や図面中で示した処理手順、具体的名称、各種のデータやパラメータを含む情報については、特記する場合を除いて任意に変更することができる。例えば、各図に示した各種情報は、図示した情報に限られない。
【0112】
また、図示した各装置の各構成要素は機能概念的なものであり、必ずしも物理的に図示の如く構成されていることを要しない。すなわち、各装置の分散・統合の具体的形態は図示のものに限られず、その全部または一部を、各種の負荷や使用状況などに応じて、任意の単位で機能的または物理的に分散・統合して構成することができる。例えば、
図3に示した取得部131と、受付部133とは統合されてもよい。また、例えば、記憶部120に記憶される情報は、ネットワークNを介して、外部に備えられた所定の記憶装置に記憶されてもよい。
【0113】
また、上記実施形態では、抽出装置100が、例えば、画像を取得する取得処理と、特徴量空間を生成する生成処理と、対象を抽出する抽出処理とを行う例を示した。しかし、上述した抽出装置100は、取得処理を行う取得装置と、生成処理を行う生成装置と、抽出処理を行う抽出装置とに分離されてもよい。この場合、取得装置は、少なくとも取得部131を有する。生成装置は、少なくとも生成部132を有する。抽出装置は、少なくとも抽出部135を有する。そして、実施形態に係る抽出装置100による処理は、取得装置と、生成装置と、抽出装置との各装置を有する抽出処理システム1によって実現されてもよい。
【0114】
また、上述してきた実施形態及び変形例は、処理内容を矛盾させない範囲で適宜組み合わせることが可能である。
【0115】
〔8.効果〕
上述してきたように、実施形態に係る抽出装置100は、生成部132と、特定部134と、抽出部135とを有する。生成部132は、対象を撮像した画像に含まれる対象の身体的な特徴に基づいて、各々の画像に対応する対象が所定位置にプロットされた空間である特徴量空間を生成する。特定部134は、ユーザから受け付けた対象に関する所定の要求に基づいて、生成部132によって生成された特徴量空間において、ユーザが所望する所定範囲を特定する。抽出部135は、特定部134によって特定された所定範囲に含まれる対象のうち、ユーザに関する所定の条件に適合する対象を抽出する。
【0116】
このように、実施形態に係る抽出装置100は、ユーザが所望する範囲に含まれる対象を単に抽出するのではなく、ユーザに関する所定の条件に適合する対象を抽出する。すなわち、抽出装置100は、ユーザの希望による一方的な方向ではなく、対象からユーザに対して求められる所定の条件に適合した対象を抽出する。これにより、抽出装置100は、互いの要求を満たすユーザと対象とをマッチング候補として抽出することができるため、マッチングの精度を向上させることができる。
【0117】
また、特定部134は、対象の各々から所定の要求を受け付けることにより、特徴量空間における、各々の対象が所望する各々の所定範囲を特定する。
【0118】
このように、実施形態に係る抽出装置100は、対象の各々から受け付けた要求(例えば好み情報)に基づいて、対象の各々がマッチングされる相手として所望する範囲を特定する。これにより、抽出装置100は、特徴量空間上において、ユーザが対象の掲げる条件に適合するか否かを精度よく判定することができる。
【0119】
また、抽出部135は、対象が、ユーザを含む所定範囲を所望し、かつ、ユーザが所望する所定範囲に含まれるという条件を満たす場合に、対象を抽出する。
【0120】
このように、実施形態に係る抽出装置100は、ユーザが所望する範囲に属する対象であって、かつ、ユーザ(ユーザの容姿)を所望する対象を抽出する。すなわち、抽出装置100は、互いを好みとするユーザ同士を抽出することができるので、ユーザ同士を精度よくマッチングさせることができる。
【0121】
また、生成部132は、対象の性別ごとに異なる特徴量空間を生成する。特定部134は、生成部132によって生成された特徴量空間のうち、ユーザとは異なる性別の特徴量空間においてユーザが所望する所定範囲を特定する。抽出部135は、対象が、ユーザがプロットされた特徴量空間においてユーザを含む所定範囲を所望し、かつ、ユーザとは異なる性別の特徴量空間においてユーザが所望する所定範囲に含まれるという条件を満たす場合に、対象を抽出する。
【0122】
このように、実施形態に係る抽出装置100は、性別ごとに異なる特徴量空間を生成してもよい。これにより、抽出装置100は、異性間のマッチングサービスにおけるマッチングの成功率を向上させることができる。
【0123】
また、実施形態に係る抽出装置100は、抽出部135によって抽出された対象に対するユーザの反応を取得する取得部131をさらに備える。特定部134は、取得部131によって取得されたユーザの反応に基づいて、ユーザに対応付けられていた所定範囲を更新する。
【0124】
このように、実施形態に係る抽出装置100は、抽出された対象(例えば、マッチングサービスにおいて候補として提示された対象)に対するユーザの反応を取得し、取得した情報に基づいて、所定範囲を設定するようにしてもよい。すなわち、抽出装置100は、マッチングされる相手を特定するための所定範囲を学習し、最適化することができる。これにより、抽出装置100は、実際のマッチング傾向を反映した所定範囲の特定を行うことができる。
【0125】
また、取得部131は、対象に対するユーザの反応として、対象がユーザから選択された数もしくは率、又は、ユーザと対象とがマッチングに成功した数もしくは率の少なくともいずれか一つを取得する。
【0126】
このように、実施形態に係る抽出装置100は、ユーザが候補に対してアプローチした数や、実際にペアとして成立した数等に基づいて、所定範囲の特定に関する処理を行ってもよい。これにより、抽出装置100は、実際のマッチング傾向を反映した所定範囲の特定を行うことができる。
【0127】
また、生成部132は、画像における被写体の顔の特徴に基づいて特徴量空間を生成する。特定部134は、顔に関するユーザの好みを示す要求に基づいて、特徴量空間においてユーザが好む顔に対応した対象が含まれる所定範囲を特定する。抽出部135は、特定部134によって特定された所定範囲に含まれる対象を抽出する。
【0128】
このように、実施形態に係る抽出装置100は、画像のうち、特に顔に関する特徴に基づいた処理を行うようにしてもよい。一般に、マッチングサービス等において、顔は、ペアとなる相手を選択する際に重要な要素となりうる。このため、抽出装置100は、顔に関する特徴に基づいて特徴量空間を生成し、かかる特徴量空間に基づいた抽出処理を行うことで、マッチングの成功率を向上させることができる。
【0129】
また、実施形態に係る抽出装置100は、特徴量空間にプロットされた対象のうち、対象の好みを示す情報である好み情報がユーザに適合する対象に関する情報を、所定の要求の送信元であるユーザに送信する送信部136をさらに備える。
【0130】
このように、実施形態に係る抽出装置100は、レコメンドとして、ユーザを好む対象に関する情報をユーザに送信するようにしてもよい。これにより、抽出装置100は、ユーザの積極的なアプローチを促したり、互いに好む容姿を有するユーザ同士の出会いを促進させたりすることができるので、マッチング数やマッチングの成功率を向上させることができる。
【0131】
以上、本願の実施形態を図面に基づいて詳細に説明したが、これは例示であり、発明の開示の欄に記載の態様を始めとして、当業者の知識に基づいて種々の変形、改良を施した他の形態で本発明を実施することが可能である。
【0132】
また、上述してきた「部(section、module、unit)」は、「手段」や「回路」などに読み替えることができる。例えば、取得部は、取得手段や取得回路に読み替えることができる。