特許第6732707号(P6732707)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6732707
(24)【登録日】2020年7月10日
(45)【発行日】2020年7月29日
(54)【発明の名称】定電圧回路
(51)【国際特許分類】
   G05F 3/18 20060101AFI20200716BHJP
   G05F 3/24 20060101ALI20200716BHJP
   G05F 1/56 20060101ALI20200716BHJP
【FI】
   G05F3/18
   G05F3/24 Z
   G05F1/56 310E
【請求項の数】8
【全頁数】14
(21)【出願番号】特願2017-175832(P2017-175832)
(22)【出願日】2017年9月13日
(65)【公開番号】特開2019-53407(P2019-53407A)
(43)【公開日】2019年4月4日
【審査請求日】2019年7月31日
(73)【特許権者】
【識別番号】000003078
【氏名又は名称】株式会社東芝
(73)【特許権者】
【識別番号】317011920
【氏名又は名称】東芝デバイス&ストレージ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100108855
【弁理士】
【氏名又は名称】蔵田 昌俊
(74)【代理人】
【識別番号】100103034
【弁理士】
【氏名又は名称】野河 信久
(74)【代理人】
【識別番号】100075672
【弁理士】
【氏名又は名称】峰 隆司
(74)【代理人】
【識別番号】100153051
【弁理士】
【氏名又は名称】河野 直樹
(74)【代理人】
【識別番号】100189913
【弁理士】
【氏名又は名称】鵜飼 健
(72)【発明者】
【氏名】篠原 正俊
【審査官】 東 昌秋
(56)【参考文献】
【文献】 特開昭62−133506(JP,A)
【文献】 特開2002−123324(JP,A)
【文献】 特開2015−18443(JP,A)
【文献】 実開昭50−69236(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G05F 1/00−7/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1電圧端子に接続される第1端子と、第1ノードに接続される第2端子とを含む第1抵抗と、
前記第1電圧端子に接続される第1端子と、第2ノードに接続される第2端子と、前記第1ノードに接続される制御端子とを含む第1導電形の第1トランジスタと、
前記第1ノードと第2電圧端子との間に直列に接続される第1ダイオードと、
前記第1ノードと前記第2電圧端子との間に直列に接続されるツェナーダイオードおよび前記第1導電形と異なる第2導電形の第2トランジスタと、
前記第1ノードと前記第2電圧端子との間に直列に接続される第2抵抗および前記第1導電形の第3トランジスタと、
前記第2ノードと前記第2電圧端子との間に直列に接続される第3抵抗および第4抵抗と
を具備し、
前記第2トランジスタの制御端子は、前記第2抵抗の第1端子および前記第3トランジスタの第1端子が接続される第3ノードに接続され、
前記第3トランジスタの制御端子は、前記第3抵抗の第1端子および前記第4抵抗の第1端子が接続される第4ノードに接続される
定電圧回路。
【請求項2】
前記第1ノードに接続される第1端子および制御端子と、第5ノードに接続される第2端子とを含む前記第1導電形の第4トランジスタをさらに具備し、
前記第1ダイオードは、前記第5ノードと前記第2電圧端子との間に直列に接続される
請求項1の定電圧回路。
【請求項3】
前記第1ノードに接続される第1端子および制御端子と、第5ノードに接続される第2端子とを含む前記第1導電形の第4トランジスタをさらに具備する請求項1の定電圧回路。
【請求項4】
前記第1トランジスタと前記第4トランジスタとは、閾値電圧が同じである請求項2または請求項3の定電圧回路。
【請求項5】
前記第1ダイオードのカソードは、前記第2電圧端子に接続される請求項1乃至請求項4のいずれか1項の定電圧回路。
【請求項6】
前記ツェナーダイオードのアノードは、前記第2電圧端子に接続される請求項1乃至請求項5のいずれか1項の定電圧回路。
【請求項7】
前記第1ダイオードに直列に接続される第2ダイオードをさらに具備する請求項1乃至請求項6のいずれか1項の定電圧回路。
【請求項8】
前記第1導電形はN形であり、前記第2導電形はP形である請求項1乃至請求項7のいずれか1項の定電圧回路。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、定電圧回路に関する。
【背景技術】
【0002】
半導体装置において、メイン電源回路の他にサブ電源回路が設けられている。サブ電源回路は、メイン電源回路がオフする際に動作し、メイン電源回路よりも消費電力が小さい。このようなサブ電源回路として、簡易な構成を有する定電圧回路が提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2014−126908号公報
【特許文献2】特開2002−123324号公報
【特許文献3】特許第3637848号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
出力電圧の変動を低減することができる定電圧回路を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本実施形態による定電圧回路は、第1電圧端子に接続される第1端子と、第1ノードに接続される第2端子とを含む第1抵抗と、前記第1電圧端子に接続される第1端子と、第2ノードに接続される第2端子と、前記第1ノードに接続される制御端子とを含む第1導電形の第1トランジスタと、前記第1ノードと第2電圧端子との間に直列に接続される第1ダイオードと、前記第1ノードと前記第2電圧端子との間に直列に接続されるツェナーダイオードおよび前記第1導電形と異なる第2導電形の第2トランジスタと、前記第1ノードと前記第2電圧端子との間に直列に接続される第2抵抗および前記第1導電形の第3トランジスタと、前記第2ノードと前記第2電圧端子との間に直列に接続される第3抵抗および第4抵抗とを具備する。前記第2トランジスタの制御端子は、前記第2抵抗の第1端子および前記第3トランジスタの第1端子が接続される第3ノードに接続され、前記第3トランジスタの制御端子は、前記第3抵抗の第1端子および前記第4抵抗の第1端子が接続される第4ノードに接続される。
【図面の簡単な説明】
【0006】
図1】第1実施形態に係る定電圧回路を含む半導体装置の構成を示す図。
図2】第1実施形態に係る定電圧回路の構成を示す図。
図3】第1実施形態に係る定電圧回路の動作を示す図。
図4】第1実施形態に係る定電圧回路の動作を示す図。
図5】比較例1に係る定電圧回路の構成を示す図。
図6】比較例1に係る定電圧回路の出力電圧と温度との関係を示す図。
図7】比較例2に係る定電圧回路の構成を示す図。
図8】比較例2に係る定電圧回路の出力電圧と温度との関係を示す図。
図9】第1実施形態に係る定電圧回路の出力電圧と温度との関係を示す図。
図10】第2実施形態に係る定電圧回路の構成を示す図。
図11】第2実施形態に係る定電圧回路の動作を示す図。
図12】第2実施形態に係る定電圧回路の動作を示す図。
【発明を実施するための形態】
【0007】
本実施形態を以下に図面を参照して説明する。図面において、同一部分には同一の参照符号を付す。
【0008】
<第1実施形態>
以下に図1乃至図9を用いて、第1実施形態に係る定電圧回路について説明する。以下の説明において、「接続」は直接接続される場合だけではなく、任意の素子を介して接続される場合も含む。また、トランジスタの第1端子はソースおよびドレインの一方を示し、トランジスタの第2端子はソースおよびドレインの他方を示し、トランジスタの制御端子はゲートを示す。また、トランジスタが直列に接続されるとは、第1端子および第2端子が直列に接続されることを示す。また、ダイオードの第1端子はカソードおよびアノードの一方を示し、ダイオードの第2端子はカソードおよびアノードの他方を示す。
【0009】
[第1実施形態における構成]
図1および図2を用いて、第1実施形態における定電圧回路30の構成について説明する。
【0010】
図1は、第1実施形態に係る定電圧回路30を含む半導体装置100の構成を示す図である。
【0011】
図1に示すように、半導体装置100は、メイン電源回路10、メイン機能用ロジック回路20、サブ電源回路(定電圧回路)30、および制御モード判定用ロジック回路40を含む。
【0012】
メイン電源回路10およびサブ電源回路30は、電源電圧端子に電気的に接続される。電源電圧端子には、外部から電源電圧VDDが供給される。また、メイン電源回路10およびサブ電源回路30は、接地電圧端子に電気的に接続される。接地電圧端子には、外部からの接地電圧VSS(例えば0V)が供給される。メイン電源回路10およびサブ電源回路30は、所定の電圧を生成し、各回路の電源となる。
【0013】
制御モードが通常の動作モードであるとき、メイン機能用ロジック回路20は、所定の論理演算等の動作を行う。また、制御モード判定用ロジック回路40は、そのときの制御モードを判定し、制御する。このとき、メイン機能用ロジック回路20および制御モード判定用ロジック回路40は、メイン電源回路10を電源として動作する。
【0014】
一方、制御モードがスタンバイモードのとき、メイン機能用ロジック回路20はオフするが、制御モード判定用ロジック回路40は動作し続ける。このとき、制御モード判定用ロジック回路40は、サブ電源回路30を電源として動作する。サブ電源回路30は、メイン電源回路10よりも消費電力が小さいが、制御モード判定用ロジック回路40を動作させる程度の電力を有する。すなわち、制御モードがスタンバイモードのとき、消費電力の大きいメイン電源回路10がオフされ、消費電力の小さいサブ電源回路30がオンして電源として用いられる。これにより、半導体装置100は、スタンバイモード時の消費電力を必要最小限に抑える。
【0015】
図2は、第1実施形態に係る定電圧回路30の構成を示す図である。
【0016】
図2に示すように、定電圧回路30は、抵抗R1、N形のトランジスタ(NMOSトランジスタ)Q1、N形のトランジスタQ2、および直列回路S1−S4を含む。
【0017】
抵抗R1は、第1端子および第2端子を含む。抵抗R1の第1端子は電源電圧端子(第1電圧端子)に電気的に接続され、抵抗R1の第2端子はノードn1に電気的に接続される。
【0018】
トランジスタQ1は、第1端子、第2端子、および制御端子を含む。トランジスタQ1の第1端子および制御端子は、ノードn1に電気的に接続される。トランジスタQ1の第2端子は、ノードn2に電気的に接続される。
【0019】
トランジスタQ2は、第1端子、第2端子、および制御端子を含む。トランジスタQ2の第1端子は、電源電圧端子に電気的に接続される。トランジスタQ2の第2端子は、ノードn6に電気的に接続される。トランジスタQ2の制御端子は、ノードn1に電気的に接続される。トランジスタQ2は、トランジスタQ1と同じトランジスタサイズ、レイアウト、膜厚、および材料等を有する。ここで、トランジスタサイズとは、トランジスタのゲート長およびゲート幅を示す。また、レイアウトとは、ウェルスペース、ソースドレイン拡散層等を示す。したがって、トランジスタQ2は、トランジスタQ1と同じ閾値電圧を有する。
【0020】
直列回路S1−S4は、互いに並列に電気的に接続される。
【0021】
直列回路S1は、ノードn2と接地電圧端子(第2電圧端子)との間に設けられ、抵抗R1およびトランジスタQ1と直列に電気的に接続される。直列回路S1は、ダイオードD1〜D6を含む。ダイオードD1〜D6は、直列に電気的に接続される。
【0022】
ダイオードD1〜D6のそれぞれは、第1端子および第2端子(アノードおよびカソード)を含む。ダイオードD1のアノードはノードn2に電気的に接続され、ダイオードD1のカソードはダイオードD2のアノードに電気的に接続される。同様に、ダイオードD2のカソードはダイオードD3のアノードに、ダイオードD3のカソードはダイオードD4のアノードに、ダイオードD4のカソードはダイオードD5のアノードに、ダイオードD5のカソードはダイオードD6のアノードに電気的に接続される。そして、ダイオードD6のカソードは、接地電圧端子に電気的に接続される。
【0023】
なお、ダイオードD1〜D6のそれぞれは、PN接合ダイオードであってもよいし、NPNトランジスタであってもよい。また、ダイオードの数は任意であり、定電圧回路30の出力電圧の大きさに応じて適宜決定される。
【0024】
直列回路S2は、ノードn1と接地電圧端子との間に設けられ、抵抗R1と直列に電気的に接続される。直列回路S2は、P形のトランジスタ(PMOSトランジスタ)Q4およびツェナーダイオードDz1を含む。トランジスタQ4およびツェナーダイオードDz1は、直列に電気的に接続される。
【0025】
トランジスタQ4は、第1端子、第2端子、および制御端子を含む。トランジスタQ4の第1端子は、ノードn1に電気的に接続される。トランジスタQ4の第2端子は、ノードn3に電気的に接続される。トランジスタQ4の制御端子は、ノードn4に電気的に接続される。ツェナーダイオードDz1は、第1端子および第2端子(アノードおよびカソード)を含む。ツェナーダイオードDz1のカソードはノードn3に電気的に接続され、ツェナーダイオードDz1のアノードは接地電圧端子に電気的に接続される。
【0026】
直列回路S3は、ノードn1と接地電圧端子との間に設けられ、抵抗R1と直列に電気的に接続される。直列回路S3は、抵抗R4およびN形のトランジスタQ3を含む。抵抗R4およびトランジスタQ3は、直列に電気的に接続される。
【0027】
抵抗R4は、第1端子および第2端子を含む。抵抗R4の第1端子はノードn1に電気的に接続され、抵抗R4の第2端子はノードn4に電気的に接続される。トランジスタQ3は、第1端子、第2端子、および制御端子を含む。トランジスタQ3の第1端子は、ノードn4に電気的に接続される。トランジスタQ3の第2端子は、接地電圧端子に電気的に接続される。トランジスタQ3の制御端子は、ノードn5に電気的に接続される。
【0028】
直列回路S4は、ノードn6と接地電圧端子との間に設けられ、トランジスタQ2と直列に電気的に接続される。直列回路S4は、抵抗R2,R3を含む。抵抗R2,R3は、直列に電気的に接続される。
【0029】
抵抗R2は、第1端子および第2端子を含む。抵抗R2の第1端子はノードn6に電気的に接続され、抵抗R2の第2端子はノードn5に電気的に接続される。抵抗R3は、第1端子および第2端子を含む。抵抗R3の第1端子はノードn5に電気的に接続され、抵抗R3の第2端子は接地電圧端子に電気的に接続される。
【0030】
定電圧回路30は、ノードn6を介して電圧VREGを出力する。
【0031】
[第1実施形態における動作]
図3および図4を用いて、第1実施形態における定電圧回路30の動作について説明する。
【0032】
図3および図4は、第1実施形態に係る定電圧回路30の動作を示す図である。より具体的には、図3は出力電圧VREGが所定電圧より小さい場合の動作を示す図であり、図4は出力電圧VREGが所定電圧以上の場合の動作を示す図である。
【0033】
一般的に、定電圧回路の出力電圧は、温度に依存し、負の温度特性(負の温度係数)を有する。すなわち、定電圧回路の出力電圧は、温度が高くなると、小さくなる。第1実施形態における定電圧回路30では、高温時において出力電圧VREGが所定電圧よりも小さくなると、出力電圧VREGはダイオードD1〜D6の降圧電圧に基づいて設定される。そして、低温時において出力電圧が所定電圧以上になると、ダイオードD1〜D6の降圧電圧に基づく電圧がツェナーダイオードDz1によってクランプされる。その結果、出力電圧VREGはツェナーダイオードDz1の降圧電圧に基づいて設定される。これらの切り替えは、電圧VREGの値に応じてツェナーダイオードDz1を定電圧回路30から電気的に遮断することで実行される。以下に、第1実施形態における定電圧回路30の動作について詳説する。
【0034】
なお、以下の説明において、抵抗R1〜R4のそれぞれの抵抗値は、R1〜R4とする。また、ダイオードD1〜D6のそれぞれは電圧VFを降圧し、ツェナーダイオードDz1は電圧VDz1を降圧する。
【0035】
図3および図4に示すように、出力電圧VREGは、抵抗R2,R3によって分圧されてノードn5に印加される。これにより、ノードn5に、電圧[VREG×{R3/(R2+R3)}]が印加される。
【0036】
図3に示すように、電圧[VREG×{R3/(R2+R3)}]がトランジスタQ3の閾値電圧Vth3よりも小さい場合、すなわち、高温時において出力電圧VREGが所定電圧よりも小さい場合、トランジスタQ3はオフする。その結果、トランジスタQ4がオフし、ツェナーダイオードDz1は定電圧回路30から電気的に遮断される。この場合、以下のように、出力電圧VREGはダイオードD1〜D6によって生成される電圧に基づいて設定される。
【0037】
まず、抵抗R1を介して降圧された電圧VDDがトランジスタQ1のゲートに印加されることで、トランジスタQ1がオンする。これにより、ダイオードD1〜D6に電流I1が流れる。電流I1は、ダイオードD1〜D6のそれぞれが電圧VFを安定して生成することができる電流である。その結果、ノードn2(トランジスタQ1のソース)には、ダイオードD1〜D6によって電圧[6×VF]が印加される。したがって、トランジスタQ1のゲートには、電圧[6×VF+VGS1]が印加される(VGS1は、トランジスタQ1のゲート−ソース間電圧)。この電圧[6×VF+VGS1]は、トランジスタQ2のゲートにも印加される。このため、ノードn6(トランジスタQ2のソース)には、電圧[6×VF+VGS1−VGS2]が印加される(VGS2は、トランジスタQ2のゲート−ソース間電圧)。ここで、電圧VGS1(トランジスタQ1の閾値電圧)と電圧VGS2(トランジスタQ2の閾値電圧)とは等しい。よって、ノードn6には電圧[6×VF]が印加され、電圧VREGとして電圧[6×VF]が出力される。
【0038】
一方、図4に示すように、電圧[VREG×{R3/(R2+R3)}]がトランジスタQ3の閾値電圧Vth3以上である場合、すなわち、低温時において出力電圧VREGが所定電圧以上である場合、トランジスタQ3はオンする。その結果、トランジスタQ4のゲートには接地電圧VSSが印加され、トランジスタQ4はオンする。したがって、ツェナーダイオードDz1は、定電圧回路30に電気的に接続される。これにより、以下のように、出力電圧VREGはツェナーダイオードDz1によって生成される電圧に基づいて設定される。
【0039】
まず、抵抗R1を介して降圧された電圧VDDがトランジスタQ1のゲートに印加されることで、トランジスタQ1がオンする。これにより、ツェナーダイオードDz1に電流I2が流れる。電流I2は、ツェナーダイオードDz1が電圧VDz1を安定して生成することができる電流である。一方、ダイオードD1〜D6に電流I1が流れる。
【0040】
ここで、ツェナーダイオードDz1は、降圧電圧が電圧VDz1以上にならず、その電圧VDz1で固定される素子特性を有する。したがって、ツェナーダイオードDz1は、ノードn1(トランジスタQ1のゲート)が電圧VDz1以上にならないようにクランプする。ダイオードD1〜D6の電圧[6×VF]は、負の温度特性を有し、低温になるほど大きくなる。このため、低温時において電圧[6×VF+VGS1]が電圧VDz1以上となる場合、トランジスタQ1のゲートは電圧VDz1にクランプされる。この電圧VDz1は、トランジスタQ2のゲートにも印加される。このため、ノードn6(トランジスタQ2のソース)には、電圧[VDz1−VGS2]が印加される。よって、電圧VREGとして電圧[VDz1−VGS2]が出力される。
【0041】
[第1実施形態における効果]
図5は、比較例1に係る定電圧回路の構成を示す図である。また、図6は、比較例1に係る定電圧回路30の出力電圧VREG1と温度との関係を示す図である。
【0042】
図5に示すように、比較例1における定電圧回路は、抵抗R11,R12、トランジスタQ11,Q12、およびツェナーダイオードDz11を含む。ここで、ツェナーダイオードDz11は電圧VDz11を降圧する。また、電圧VGS11をトランジスタQ11のゲート−ソース間電圧とし、電圧VGS12をトランジスタQ12のゲート−ソース間電圧とする。また、トランジスタQ11の閾値電圧とトランジスタQ12の閾値電圧が同じであるとする。この場合、比較例1における定電圧回路では、出力電圧VREG1は、ツェナーダイオードDz11の降圧電圧VDz11に基づいて設定される。より具体的には、ノードn1に電圧VDz11が印加され、ノードn2(トランジスタQ12のゲート)に電圧[VDz11+VGS11]が印加される。よって、ノードn3(トランジスタQ12のソース)には電圧[VDz11+VGS11−VGS12]、すなわち、電圧VDz11が印加され、電圧VREG1として電圧VDz11が出力される。
【0043】
しかしながら、ツェナーダイオードDz11は、高温時においてリーク電流が大きくなる。その結果、図6に示すように、比較例1における定電圧回路のトランジスタQ12のゲート電圧およびこれに基づく出力電圧VREG1(VDz11)は、高温時において急激に低下してしまう。このため、比較例1における定電圧回路は、高温時において正常に動作しなくなってしまう。
【0044】
図7は、比較例2に係る定電圧回路の構成を示す図である。また、図8は、比較例2に係る定電圧回路30の出力電圧VREG2と温度との関係を示す図である。
【0045】
図7に示すように、比較例2における定電圧回路は、比較例1のツェナーダイオードDz11の代わりに、ダイオードD11−D16を含む。ここで、ダイオードD11−D16のそれぞれは電圧VF1を降圧する。この場合、比較例2における定電圧回路では、出力電圧VREG2は、ダイオードD11−D16の降圧電圧に基づいて設定される。より具体的には、ノードn1に電圧[6×VF1]が印加され、ノードn2(トランジスタQ12のゲート)に電圧[6×VF1+VGS11]が印加される。よって、ノードn3には電圧[6×VF1+VGS11−VGS12]、すなわち、電圧[6×VF1]が印加され、電圧VREG2として電圧[6×VF1]が出力される。
【0046】
ダイオードD11−D16では、比較例1のツェナーダイオードDz11のような高温時の急激なリーク電流はない。このため、比較例2における定電圧回路は、高温時においても、正常に動作し得る。しかしながら、ダイオードD11−D16は、ツェナーダイオードDz11よりも大きな温度依存性を有する。したがって、図8に示すように、比較例2における定電圧回路のトランジスタQ12のゲート電圧およびこれに基づく出力電圧VREG2(6×VF1)は、比較例1よりも大きい負の温度特性(負の温度係数)を有する。このため、温度変化に伴う出力電圧VREG2(6×VF1)の変動は、比較例1よりも大きくなってしまう。これにより、比較例2に係る定電圧回路を電源として用いるロジック回路等の仕様を満足しない懸念がある。例えば、高温時における出力電圧VREG2をロジック回路等に必要な大きさに設定すると、低温時の出力電圧VREG2が必要以上に高くなってしまう。その結果、低温時にロジック回路等に過電圧が印加され、ロジック回路等において素子破壊が起こる懸念がある。
【0047】
図9は、第1実施形態に係る定電圧回路30の出力電圧VREGと温度との関係を示す図である。
【0048】
上記問題に対し、第1実施形態では、定電圧回路30は、ツェナーダイオードDz1およびダイオードD1〜D6を含む。そして、定電圧回路30は、高温時において出力電圧VREGが所定電圧よりも小さい場合に、ダイオードD1〜D6の降圧電圧[6×VF]に基づいて出力電圧VREGを生成する。一方、定電圧回路30は、低温時において出力電圧VREGが所定電圧以上になると、ダイオードD1〜D6の降圧電圧[6×VF]に基づく電圧がツェナーダイオードDz1によってクランプされる。その結果、出力電圧VREGは、ツェナーダイオードDz1の降圧電圧VDz1に基づいて生成される。
【0049】
より具体的には、図9に示すように、温度が温度T1よりも高い場合、ツェナーダイオードDz1は定電圧回路30から電気的に遮断されている(トランジスタQ3,Q4がオフしている)。または、ツェナーダイオードDz1が定電圧回路30に電気的に接続されていたとしても(トランジスタQ3,Q4がオンしていたとしても)、トランジスタQ2のゲート電圧がツェナーダイオードDz1の降圧電圧VDz1以下である。この場合、定電圧回路30は、出力電圧VREGをダイオードD1〜D6の降圧電圧[6×VF]に基づいて設定する。すなわち、図3に示したように、トランジスタQ2のゲートに電圧[6×VF+VGS1]が印加され、電圧VREGとして電圧[6×VF]が出力される。
【0050】
一方、図9に示すように、温度が温度T1以下である場合、ツェナーダイオードDz1は定電圧回路30から電気的に接続されている(トランジスタQ3,Q4がオンしている)。この場合、トランジスタQ2のゲート電圧がツェナーダイオードDz1の降圧電圧VDz1よりも大きくなると、トランジスタQ2のゲート電圧はツェナーダイオードDz1によってクランプされる。この場合、定電圧回路30は、出力電圧VREGをツェナーダイオードDz1の降圧電圧VDz1に基づいて設定する。すなわち、図4に示したように、トランジスタQ2のゲートに電圧[VDz1]が印加され、電圧VREGとして電圧[VDz1−VGS2]が出力される。
【0051】
上述のように動作することで、高温時においては急激な電圧降下のないダイオードD1〜D6によって出力電圧VREGが設定され、低温時においては比較的温度特性が小さいツェナーダイオードDz1によって出力電圧VREGが設定される。これにより、高温時および低温時において出力電圧VREGの変動を低減することができ、比較例1に示した高温時の問題および比較例2に示した低温時の問題を解消することができる。すなわち、高温時においてツェナーダイオードDz1の温度特性の影響を防ぐことができ、急激な出力電圧の低下を防ぐことができる。また、低温時においてダイオードD1〜D6の温度特性の影響を防ぐことができ、ロジック回路等に過電圧が印加されることを防ぐことができる。
【0052】
なお、第1実施形態において、トランジスタQ1が設けられなくてもよい。この場合、ノードn1とノードn2とは同一ノードとなる。そして、定電圧回路30は、高温時において出力電圧VREGとして電圧[6×VF−VGS2]を出力し、低温時において出力電圧VREGとして電圧[VDz1−VGS2]を出力する。
【0053】
<第2の実施形態>
以下に図10乃至図12を用いて、第2実施形態に係る定電圧回路について説明する。
【0054】
上記第1実施形態では、ツェナーダイオードDz1の降圧電圧VDz1がノードn1(トランジスタQ1のゲート)に供給された。これに対し、第2実施形態では、ツェナーダイオードDz1の降圧電圧VDz1がノードn2(トランジスタQ1のソース)に供給される。以下に、第2の実施形態について詳説する。
【0055】
なお、第2実施形態において、上記第1実施形態と同様の点については説明を省略し、主に異なる点について説明する。
【0056】
[第2実施形態における構成]
図10を用いて、第2実施形態における定電圧回路30の構成について説明する。
【0057】
図10は、第2実施形態に係る定電圧回路30の構成を示す図である。
【0058】
図10に示すように、定電圧回路30は、抵抗R1、N形のトランジスタ(NMOSトランジスタ)Q1、N形のトランジスタQ2、および直列回路S1−S4を含む。
【0059】
第2実施形態では、上記第1実施形態と異なり、直列回路S2がノードn2と接地電圧端子との間に設けられる。すなわち、トランジスタQ4の第1端子は、ノードn2(トランジスタQ1のソース)に電気的に接続される。
【0060】
[第2実施形態における動作]
図11および図12を用いて、第2実施形態における定電圧回路30の動作について説明する。
【0061】
図11および図12は、第2実施形態に係る定電圧回路30の動作を示す図である。より具体的には、図11は出力電圧VREGが所定電圧より小さい場合の動作を示す図であり、図12は出力電圧VREGが所定電圧以上の場合の動作を示す図である。
【0062】
図11および図12に示すように、出力電圧VREGは、抵抗R2,R3によって分圧されてノードn5に印加される。これにより、ノードn5に、電圧[VREG×{R3/(R2+R3)}]が印加される。
【0063】
図11に示すように、電圧[VREG×{R3/(R2+R3)}]がトランジスタQ3の閾値電圧Vth3よりも小さい場合、すなわち、高温時において出力電圧VREGが所定電圧よりも小さい場合、トランジスタQ3はオフする。その結果、トランジスタQ4がオフし、ツェナーダイオードDz1は定電圧回路30から電気的に遮断される。この場合、第1実施形態と同様に、ノードn6には電圧[6×VF]が印加され、電圧VREGとして電圧[6×VF]が出力される。
【0064】
一方、図12に示すように、電圧[VREG×{R3/(R2+R3)}]がトランジスタQ3の閾値電圧Vth3以上である場合、すなわち、低温時において出力電圧VREGが所定電圧以上である場合、トランジスタQ3,Q4はオンする。その結果、ツェナーダイオードDz1は定電圧回路30に電気的に接続され、以下のように出力電圧VREGはツェナーダイオードDz1によって生成される電圧に基づいて設定される。
【0065】
まず、抵抗R1を介して降圧された電圧VDDがトランジスタQ1のゲートに印加されることで、トランジスタQ1がオンする。これにより、ツェナーダイオードDz1に電流I2が流れる。電流I2は、ツェナーダイオードDz1が電圧VDz1を安定して生成することができる電流である。一方、ダイオードD1〜D6に電流I1が流れる。
【0066】
ここで、ツェナーダイオードDz1は、降圧電圧が電圧VDz1以上にならず、その電圧VDz1で固定される素子特性を有する。したがって、ツェナーダイオードDz1は、ノードn2(トランジスタQ1のソース)が電圧VDz1以上にならないようにクランプする。ダイオードD1〜D6の電圧[6×VF]は、負の温度特性を有し、低温になるほど大きくなる。このため、低温時において電圧[6×VF]が電圧VDz1以上となる場合、トランジスタQ1のソースは電圧VDz1にクランプされる。したがって、トランジスタQ1のゲートには、電圧[VDz1+VGS1]が印加される。この電圧[VDz1+VGS1]は、トランジスタQ2のゲートにも印加される。このため、ノードn6(トランジスタQ2のソース)には、電圧[VDz1+VGS1−VGS2]が印加される。よって、ノードn6には電圧VDz1が印加され、電圧VREGとして電圧VDz1が出力される。
【0067】
[第2実施形態における効果]
第2実施形態では、定電圧回路30は、低温時において出力電圧VREGが所定電圧以上になると、ダイオードD1〜D6の降圧電圧[6×VF]がツェナーダイオードDz1によってクランプされる。その結果、出力電圧VREGは、ツェナーダイオードDz1の降圧電圧VDz1に基づいて生成される。すなわち、図12に示したように、トランジスタQ2のゲートに電圧[VDz1+VGS1]が印加され、電圧VREGとして電圧[VDz1]が出力される。これにより、第1実施形態と同様の効果を得ることができる。
【0068】
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0069】
R1〜R4…抵抗(第1抵抗、第2抵抗、第3抵抗、第4抵抗)、Q1〜Q4…トランジスタ(第1トランジスタ、第2トランジスタ、第3トランジスタ、第4トランジスタ)、D1〜D6…ダイオード(第1ダイオード、第2ダイオード)、Dz1…ツェナーダイオード、n1〜n6…ノード(第1ノード、第2ノード、第3ノード、第4ノード、第5ノード)
図1
図2
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図5
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図10
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図12