特許第6732744号(P6732744)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6732744ルテニウム触媒作用によるアゾベンゾール類からのビフェニルアミン類の製造方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6732744
(24)【登録日】2020年7月10日
(45)【発行日】2020年7月29日
(54)【発明の名称】ルテニウム触媒作用によるアゾベンゾール類からのビフェニルアミン類の製造方法
(51)【国際特許分類】
   C07C 227/06 20060101AFI20200716BHJP
   C07C 229/52 20060101ALI20200716BHJP
   C07C 245/08 20060101ALN20200716BHJP
   C07B 61/00 20060101ALN20200716BHJP
【FI】
   C07C227/06
   C07C229/52
   !C07C245/08
   !C07B61/00 300
【請求項の数】14
【全頁数】29
(21)【出願番号】特願2017-523880(P2017-523880)
(86)(22)【出願日】2015年11月2日
(65)【公表番号】特表2017-533234(P2017-533234A)
(43)【公表日】2017年11月9日
(86)【国際出願番号】EP2015075368
(87)【国際公開番号】WO2016071249
(87)【国際公開日】20160512
【審査請求日】2018年10月30日
(31)【優先権主張番号】14191403.6
(32)【優先日】2014年11月3日
(33)【優先権主張国】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】507203353
【氏名又は名称】バイエル・クロップサイエンス・アクチェンゲゼルシャフト
(74)【代理人】
【識別番号】100114188
【弁理士】
【氏名又は名称】小野 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100119253
【弁理士】
【氏名又は名称】金山 賢教
(74)【代理人】
【識別番号】100124855
【弁理士】
【氏名又は名称】坪倉 道明
(74)【代理人】
【識別番号】100129713
【弁理士】
【氏名又は名称】重森 一輝
(74)【代理人】
【識別番号】100137213
【弁理士】
【氏名又は名称】安藤 健司
(74)【代理人】
【識別番号】100143823
【弁理士】
【氏名又は名称】市川 英彦
(74)【代理人】
【識別番号】100151448
【弁理士】
【氏名又は名称】青木 孝博
(74)【代理人】
【識別番号】100183519
【弁理士】
【氏名又は名称】櫻田 芳恵
(74)【代理人】
【識別番号】100196483
【弁理士】
【氏名又は名称】川嵜 洋祐
(74)【代理人】
【識別番号】100203035
【弁理士】
【氏名又は名称】五味渕 琢也
(74)【代理人】
【識別番号】100185959
【弁理士】
【氏名又は名称】今藤 敏和
(74)【代理人】
【識別番号】100160749
【弁理士】
【氏名又は名称】飯野 陽一
(74)【代理人】
【識別番号】100160255
【弁理士】
【氏名又は名称】市川 祐輔
(74)【代理人】
【識別番号】100202267
【弁理士】
【氏名又は名称】森山 正浩
(74)【代理人】
【識別番号】100146318
【弁理士】
【氏名又は名称】岩瀬 吉和
(74)【代理人】
【識別番号】100127812
【弁理士】
【氏名又は名称】城山 康文
(72)【発明者】
【氏名】ヒムラー,トーマス
(72)【発明者】
【氏名】ロッジフェルト,ラース
(72)【発明者】
【氏名】フーブリッヒ,ジョナサン
(72)【発明者】
【氏名】アッカーマン,ルッツ
【審査官】 西澤 龍彦
(56)【参考文献】
【文献】 特表2010−531826(JP,A)
【文献】 特表2005−530694(JP,A)
【文献】 特表2008−510745(JP,A)
【文献】 特開平04−316549(JP,A)
【文献】 特開2013−047219(JP,A)
【文献】 特開平06−340600(JP,A)
【文献】 Cheng Qian, Dongen Lin, Yuanfu Deng, Xiao-Qi Zhang, Huanfeng Jiang, Guang Miao, Xihao Tang and Wei Zeng,Palladium-catalyzed ortho-functionalization of azoarenes with aryl acylperoxides,Organic & Biomolecular Chemistry,2014年,Vol. 12,pp. 5866-5875
【文献】 A. RISALITI, S. BOZZINI and A. STENER,THE MECHANISM OF AN UNUSUAL REACTION OF ORTHO-SUBSTITUTED AZOBENZENES WITH GRIGNARD REAGENTS,Tetrahedron,1969年,Vol. 25,pp. 143-148
【文献】 Yoshinori Aihara and Naoto Chatani,Ruthenium-catalyzed direct arylation of C-H bonds in aromatic amides containing a bidentate directing group: singnificant electronic effects on arylation,Chemical Science,2013年,Vol. 4,pp. 664-670
【文献】 Tobias Schabel, Christian Belger, and Bernd Plietker,A Mild Chemoselective Ru-Catalyzed Reduction of Alkynes, Ketones, and Nitro Compounds,Organic Letters,2013年,Vol. 15,pp. 2858-2861
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C07C
CAplus/REGISTRY(STN)
CASREACT(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記一般式(I)のビフェニルアミン類:
【化1】

[式中、
は、水素、ヒドロキシル、フッ素、塩素、C−C−アルキル、C−C−アルコキシ、C−C−アルキルチオまたはC−C−ハロアルキルであり、
は、水素、アルコキシ、アルカノイル、アルキルカルボキシレート、フッ素または塩素であり、
は、水素、アルコキシ、アルカノイル、アルキルカルボキシレート、フッ素または塩素であり、
は、水素、アルコキシ、アルカノイル、アルキルカルボキシレート、フッ素または塩素である。]の製造方法であって、
第1段階
下記式(II)のアゾベンゼン類:
【化2】

(Rは上記で定義の通りである。)を、下記式(III)の芳香族化合物:
【化3】

(式中、
、XおよびXはそれぞれ上記で定義の通りであり、
Halはヨウ素、臭素または塩素である。)と、ルテニウム触媒、カルボン酸である活性化剤および塩基からなる触媒系の存在下、およびケトン類、ニトリル類、エーテル類、炭化水素類およびハロゲン化炭化水素類および分岐アルコール類ならびにこれら溶媒の混合物を含む群から選択される溶媒の存在下に反応させ、
第2段階でそうして得られた式(IV)のアゾベンゼン類:
【化4】

(R、X、XおよびXは上記で定義の通りである。)を水素化して、式(I)のビフェニルアミン類を得ることを特徴とする方法。
【請求項2】
前記溶媒が、エーテル類、芳香族炭化水素類、塩素化芳香族炭化水素類および分岐アルコール類、またはこれら溶媒の混合物を含む群から選択される請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記溶媒が、1,4−ジオキサン、トルエン、オルト−キシレン、メタ−キシレン、パラ−キシレンおよびこれら溶媒の混合物を含む群から選択される請求項1または2に記載の方法。
【請求項4】
前記触媒が[{RuCl(p−シメン)}]である請求項1から3のいずれか1項に記載の方法。
【請求項5】
前記活性化剤が、ギ酸、酢酸、プロピオン酸、ピバリン酸、安息香酸、2−メチル安息香酸、3−メチル安息香酸、4−メチル安息香酸、2,3−ジメチル安息香酸、2,4−ジメチル安息香酸、2,5−ジメチル安息香酸、2,6−ジメチル安息香酸、3,4−ジメチル安息香酸、3,5−ジメチル安息香酸、2,4,6−トリメチル安息香酸、2,3,4−トリメチル安息香酸、3,4,5−トリメチル安息香酸、2,3,5−トリメチル安息香酸、2,3,6−トリメチル安息香酸、フェニル酢酸、2−メチルフェニル酢酸、3−メチルフェニル酢酸、4−メチルフェニル酢酸、2,5−ジメチルフェニル酢酸、2,3,6−トリメチルフェニル酢酸、2,3,5,6−テトラメチルフェニル酢酸、2,3,4,6−テトラメチルフェニル酢酸、2−クロロフェニル酢酸、3−クロロフェニル酢酸、4−クロロフェニル酢酸および2,4−ジクロロフェニル酢酸からなる群から選択されるカルボン酸である請求項1からのいずれか1項に記載の方法。
【請求項6】
前記活性化剤が2,4,6−トリメチル安息香酸である請求項1からのいずれか1項に記載の方法。
【請求項7】
前記塩基が無機塩基である請求項1からのいずれか1項に記載の方法。
【請求項8】
前記塩基が、水酸化リチウム、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、炭酸リチウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸水素リチウム、炭酸水素ナトリウム、炭酸水素カリウム、炭酸カルシウムおよび炭酸マグネシウムからなる群から選択される請求項1からのいずれか1項に記載の方法。
【請求項9】
前記塩基が炭酸カリウムである請求項1からのいずれか1項に記載の方法。
【請求項10】
前記活性化剤を、式(III)の芳香族化合物に対して0.1から100モルパーセントの量で使用する請求項1からのいずれか1項に記載の方法。
【請求項11】
前記ルテニウム触媒を、式(III)の芳香族化合物に対して1から20モルパーセントの量で使用する請求項1から10のいずれか1項に記載の方法。
【請求項12】
式(II)のアゾベンゼンの式(III)のハロ芳香族化合物に対するモル比が1:0.4から1である請求項1から11のいずれか1項に記載の方法。
【請求項13】
式(II)のアゾベンゼンの式(III)のハロ芳香族化合物に対するモル比が1:0.45から0.9である請求項1から12のいずれか1項に記載の方法。
【請求項14】
前記溶媒が1,4−ジオキサンであり、前記活性化剤が2,4,6−トリメチル安息香酸であり、前記式(III)の芳香族化合物が臭素化芳香族化合物であり、前記塩基が炭酸カリウムであり、前記触媒が[{RuCl(p−シメン)}]である請求項1から13のいずれか1項に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、アゾベンゼン類のルテニウム触媒アリール化によって置換されたビフェニルアミン類の新規な製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
ビアリール化合物、特にはビフェニル化合物は、ファインケミカル、医薬用中間体、光学的光沢剤および農薬として工業的に重要なものである。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
ビアリール化合物の基本的製造方法、さらにはそれに関連する欠点が、欧州特許出願EP14166058.9に開示され、議論されている。
【0004】
これらの方法の欠点には、高い製造コストなどがある。遷移金属触媒交差カップリング(例えば、スズキによる)には、比較的多量の高価なパラジウム触媒など(Bull. Korean Chem. Soc. 2000, 21, 165−166)、廃棄物として処理しなければならない実質的に等価量の亜鉛の使用が必要である。さらに、亜鉛の活性化に、発癌性のジブロモメタンが必要である。
【0005】
スズキ−ミヤウラ反応でのパラジウムによって触媒されるボロン酸で、オルト位でハロゲン化されたアゾベンゼン類をアリール化できることも、すでに報告されている(例えば:K.Suwa et al., Tetrahedron Letters 50(2009)2106−8参照)。この方法には、高価なパラジウム触媒の使用およびハロゲン化アゾベンゼン類を製造する必要性という欠点がある。
【0006】
非ハロゲン化アゾベンゼン類はオルト位でアリール化可能であることも、すでに知られている(S. −I. Murahashi et al., J. Org. Chem. 43(1978) 4099−4106;N.Taccardi et al., Eur. J. Inorg. Chem. 2007, 4645−52)。しかしながら、この方法では、化学量論量のパラジウム錯体を、アゾベンゼン類とともに使用し(製造については、例えば:A. C. Cope and R. W. Siekman, J. Amer. Chem. Soc. 87 (1965) 3272−3を参照する。)、そのために非経済的となる。
【0007】
アゾベンゼン類を、ロジウム触媒の存在下にボロン酸でアリール化可能であることも、すでに報告されている(S. Miyamura et al., J. Organomet. Chem. 693(2008) 2438−42)。しかしながら、ロジウム触媒は特別高価である。さらに、代表的には相当するヨード−もしくはブロモ芳香族化合物からボロン酸類を製造するための別の必要条件が存在する。最後に、収率は不十分であり(最大50%)、生成物としては、オルト,オルト′二重アリール化化合物が得られる。
【0008】
従って、本発明が扱う問題は、高価なパラジウムやロジウム触媒を使用せず、工業的に好ましい反応条件下で、高総収率および高純度でビフェニルアミン類を得ることができる新規な方法を提供するというものであった。
【課題を解決するための手段】
【0009】
従って、本発明は、下記一般式(I)のビフェニルアミン類:
【化1】
【0010】
[式中、
は、水素、ヒドロキシル、フッ素、塩素、C−C−アルキル、C−C−アルコキシ、C−C−アルキルチオまたはC−C−ハロアルキルであり、
は、水素、アルコキシ、アルカノイル、アルキルカルボキシレート、フッ素または塩素であり、
は、水素、アルコキシ、アルカノイル、アルキルカルボキシレート、フッ素または塩素であり、
は、水素、アルコキシ、アルカノイル、アルキルカルボキシレート、フッ素または塩素である。]の製造方法であって、
(1)第1段階で、
下記式(II)のアゾベンゼン類:
【化2】
【0011】
(Rは上記で定義の通りである。)を、下記式(III)の芳香族化合物:
【化3】
【0012】
(式中、
、XおよびXは上記で定義の通りであり、
Halはヨウ素、臭素または塩素である。)と、ルテニウム触媒、活性化剤および塩基からなる触媒系の存在下に反応させ、
(2)第2段階で、そうして得られた式(IV)のアゾベンゼン類:
【化4】
【0013】
(R、X、XおよびXは上記で定義の通りであり、
番号1から6および1′から6′は、表1に記載の化合物における、そして本明細書での式(IV)における位置に関連しての残基Rの位置を定義するものである。)を水素化して、式(I)のビフェニルアミン類を得ることを特徴とする方法を提供する。
【0014】
−C−アルキルは、メチル、エチル、プロピルおよびイソプロピル、ブチル、イソブチルおよびtert−ブチルを包含し、より好ましくはメチルである。
【0015】
−C−アルコキシは、メトキシ、エトキシ、プロポキシ、イソプロポキシおよびブトキシを包含し、より好ましくはメトキシである。
【発明を実施するための形態】
【0016】
この反応手順により、驚くべきことに、ハロゲン化アゾベンゼン類を使用せず、高価なパラジウム触媒やロジウム触媒を使用せず、ボロン酸を製造する必要がなく、工業的に有利な反応条件下で良好な収率で、式(I)のビフェニルアミン類を製造することができる。
【0017】
アゾベンゼンおよびブロモベンゼンを原料として用いる場合、本発明による方法は、例えば、下記式の図式によって示すことができる。
【化5】
【0018】
好ましくは、記載の残基がそれぞれ下記のように定義される原料を用いて、本発明による方法を実施する。その好ましい、特に好ましいおよび特別の好ましい定義は、個々の残基がある全ての化合物に当てはまる。
【0019】
好ましくは、水素、フッ素、塩素、C−C−アルキルまたはC−C−アルコキシである。
【0020】
はさらに好ましくは、フッ素、C−C−アルキルおよびC−C−アルコキシであり、その置換基は、好ましくは3′、4′または5′位にあり、さらに好ましくは4′または5′位にあり、より好ましくは5′位にある[例えば、式(IV)参照]。
【0021】
は、特に好ましくはC−C−アルキルおよびC−C−アルコキシであり、その置換基は4′または5′位にあり、特に好ましくは5′位にある[例えば、式(IV)参照]。
【0022】
についての上記の定義において、C−C−アルキルは好ましくは、メチル、エチルおよびイソプロピルを含む群から選択され、C−C−アルコキシは好ましくは、メトキシおよびエトキシを含む群から選択される。
【0023】
別の実施形態において、
は好ましくはトリフルオロメチルであり、トリフルオロメチルは好ましくは、個々の化合物の4′または5′位にあり、さらに好ましくは5′位にある。
【0024】
さらに別の実施形態において、
は、好ましくはメトキシまたはメチルチオであり、好ましくは個々の化合物の4′、5′または6′位にあり、さらに好ましくは5′位にある。
【0025】
好ましくは、アルコキシ、アルカノイル、アルキルカルボキシレートまたは塩素である。
【0026】
特に好ましくは、アルコキシ、アルカノイルまたはアルキルカルボキシレートおよび特別に好ましくはアルキルカルボキシレートである。
【0027】
好ましくは、アルコキシ、アルカノイル、アルキルカルボキシレートまたは塩素である。
【0028】
特に好ましくは、アルコキシ、アルカノイルまたはアルキルカルボキシレートであり、特別に好ましくはアルキルカルボキシレートである。
【0029】
好ましくは、アルコキシ、アルカノイル、アルキルカルボキシレートまたは塩素である。
【0030】
特に好ましくは、アルコキシ、アルカノイルまたはアルキルカルボキシレートであり、特別に好ましくはアルキルカルボキシレートである。
【0031】
上記の定義において、アルキルカルボキシレートは特別に好ましくは、メチル、エチルおよびイソプロピルカルボキシレートを含む群から選択される。上記の定義において、アルカノイルは特別に好ましくは、−COMe、−COEt、−COiPr、−COPr、−COブチル、−COイソブチルおよび−COtert−ブチルを含む群から選択され、Me、Et、およびPrはメチル、エチルおよびプロピルの一般的な意味を有する。
【0032】
本発明による方法の実施における第1段階で原料として使用される式(II)のアゾベンゼン類は公知であるか、公知の方法によって得ることができる。
【0033】
本発明による方法の第1段階は、ルテニウム触媒の存在下に行う。使用されるルテニウム触媒は、例えば、[{RuCl(p−シメン)}]、[{RuCl(クメン)}]、[{RuCl(ベンゼン)}]、[{RuCl(CMe)}]、[CpRu(PPhCl](Cp*=ペンタメチルシクロペンタジエニル)などのルテニウム錯体である。好ましくは、[{RuCl(p−シメン)}]を使用する。
【0034】
ルテニウム触媒の量は、広い範囲内で変動し得る。代表的には、式(III)の芳香族化合物に対して、関連する錯体の0.1から30モルパーセントの量を用いる。好ましくは、1から20モルパーセントの関連錯体を用い、さらに好ましくは1から10モルパーセントである。
【0035】
本発明による方法の第1段階は、活性化剤存在下に行う。
【0036】
活性化剤は、好ましくは酸であり、さらに好ましくはカルボン酸である。
【0037】
例えば、カルボン酸には、ギ酸、酢酸、プロピオン酸、ピバリン酸、安息香酸、2−メチル安息香酸、3−メチル安息香酸、4−メチル安息香酸、2,3−ジメチル安息香酸、2,4−ジメチル安息香酸、2,5−ジメチル安息香酸、2,6−ジメチル安息香酸、3,4−ジメチル安息香酸、3,5−ジメチル安息香酸、2,4,6−トリメチル安息香酸、2,3,4−トリメチル安息香酸、3,4,5−トリメチル安息香酸、2,3,5−トリメチル安息香酸、2,3,6−トリメチル安息香酸、フェニル酢酸、2−メチルフェニル酢酸、3−メチルフェニル酢酸、4−メチルフェニル酢酸、2,5−ジメチルフェニル酢酸、2,3,6−トリメチルフェニル酢酸、2,3,5,6−テトラメチルフェニル酢酸、2,3,4,6−テトラメチルフェニル酢酸、2−クロロフェニル酢酸、3−クロロフェニル酢酸、4−クロロフェニル酢酸および2,4−ジクロロフェニル酢酸などがある。
【0038】
好ましくは、2,4,6−トリメチル安息香酸(MesCOH)を用いる。
【0039】
活性化剤は、式(III)の芳香族化合物に対して0.1から100モルパーセントの量で用いる。好ましくは1から50モルパーセントを用い、より好ましくは10から40モルパーセントである。
【0040】
本発明による方法の第1段階は、塩基存在下に行う。有機または無機塩基が塩基として好適である。例としては、アンモニア、トリメチルアミン、トリエチルアミン、トリブチルアミン、ジイソプロピルエチルアミン、ピロリジン、ピペリジン、モルホリン、ピリジン、2−ピコリン、3−ピコリン、4−ピコリン、2,3−ルチジン、2,4−ルチジン、2,5−ルチジン、2,6−ルチジン、3,4−ルチジン、3,5−ルチジン、5−エチル−2−メチルピリジン、キノリン、水酸化リチウム、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、炭酸リチウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸水素リチウム、炭酸水素ナトリウム、炭酸水素カリウム、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、酢酸リチウム、酢酸ナトリウム、酢酸カリウム、ピバリン酸リチウム、ピバリン酸ナトリウムおよびピバリン酸カリウムなどがある。好ましくは、無機塩基を用い、特に好ましくは炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸水素ナトリウム、炭酸水素カリウム、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、酢酸ナトリウム、酢酸カリウム、ピバリン酸ナトリウムおよびピバリン酸カリウムである。
【0041】
特に好ましくは、炭酸カリウムを用いる。
【0042】
本発明による方法の第1段階は、溶媒または溶媒混合物中で行う。例としては、
ケトン、例えばアセトン、ジエチルケトン、メチルエチルケトンおよびメチルイソブチルケトン;
ニトリル類、例えばアセトニトリルおよびブチロニトリル;
エーテル類、例えばジメトキシエタン(DME)、テトラヒドロフラン(THF)、2−メチル−THFおよび1,4−ジオキサン;アルコール類、例えばn−プロパノール、イソプロパノール、tert−ブタノール、イソアミルアルコールまたはtert−アミルアルコール;
炭化水素およびハロゲン化炭化水素、例えばヘキサン、ヘプタン、シクロヘキサン、メチルシクロヘキサン、トルエン、オルト−キシレン、メタ−キシレン、パラ−キシレン、メシチレン、クロロベンゼン、オルト−ジクロロベンゼンまたはニトロベンゼン
などがある。
【0043】
溶媒は、好ましくはエーテル類、芳香族炭化水素類、塩素化芳香族炭化水素類および分岐アルコール類、またはこれら溶媒の混合物を含む群から選択される。
【0044】
本発明の文脈における分岐アルコールは、好ましくはイソプロパノール、tert−ブタノール、イソアミルアルコールおよびtert−アミルアルコールである。
【0045】
溶媒は特に好ましくは、1,4−ジオキサン、THF、2−Me−THF、DME、トルエン、オルト−キシレン、メタ−キシレン、パラ−キシレン、メシチレンまたはtert−アミルアルコール、またはこれらの溶媒の混合物を含む群から選択される。
【0046】
非常に特に好ましいものは、溶媒1,4−ジオキサン、トルエン、オルト−キシレン、メタ−キシレン、パラ−キシレンまたはこれら溶媒の混合物である。
【0047】
適さないことが分かっている溶媒は、メタノール、N,N−ジアルキルアルカンアミド類、例えばN−メチルピロリドン、ラクトン類、例えばγ−バレロラクトン、水、ジメチルスルホキシド(DMSO)およびカルボン酸類、例えば酢酸である。
【0048】
本発明による方法の第1段階は概して、20℃から220℃の範囲、好ましくは50℃から180℃の範囲、より好ましくは80℃から150℃の範囲の温度で行われる。
【0049】
本発明による方法の第1段階を行うにあたり、概して、式(II)のアゾベンゼン1モル当たり、化学両論量より少ない量から等モル量の式(III)のハロ芳香族化合物を用いる。式(II)のアゾベンゼンの式(III)のハロ芳香族化合物に対する比は、概して1:0.4から1であり、好ましくは1:0.45から0.9である。
【0050】
別段の断りがない限り、本発明による方法の第1段階は、概して大気圧下に行う。しかしながら、加圧下または減圧下に行うこともできる。その反応は好ましくは、大気圧下に行う。
【0051】
本発明による方法の第2段階、すなわち式(IV)のアゾベンゼンの還元による式(I)のビフェニルアミンの取得は、基本的に公知の方法により、例えば、亜鉛およびギ酸アンモニウム(S. Gowda et al., Tetrahedron Letters 43 (2002) 1329−31);鉄および塩化カルシウム(S. Chandrappa et al., Synlett 2010, 3019−22);ルテニウム触媒移動水素化(M.Beller et al., Chem. Eur. J. 2011, 17, 14375−79);亜鉛およびKOHによるルテニウム触媒還元(T. Schabel et al., Org. Lett. 15(2013) 2858−61)によって行うことができる。
【化6】
【0052】
好ましくはルテニウム触媒法を用いる。
【0053】
還元は特に好ましくは、本発明による方法の第1段階に既に使用したルテニウム触媒の存在下に行う。
【0054】
本発明による方法の第2段階は特別に好ましくは、この場合、本発明による方法の第1段階後に、式(IV)のアゾベンゼンを単離せずにワンポット反応で直接行うように実施する。
【0055】
特に好ましい実施形態において、溶媒は、1,4−ジオキサン、トルエン、オルト−キシレン、メタ−キシレン、パラ−キシレンまたはこれら溶媒の混合物を含む群から選択され、活性化剤は2,4,6−トリメチル安息香酸であり、式(III)の芳香族化合物は臭素化芳香族化合物であり、塩基は炭酸カリウムであり、触媒は[{RuCl(p−シメン)}]である。
【0056】
式(I)のビフェニルアミンは、殺真菌有効成分の製造用の貴重な中間体である(WO03/070705を参照する)。
【0057】
本発明の文脈における式(IV)の化合物の好ましい実施形態は、下記のものである(Rの数字はそれぞれ位置を示し、HALは原料化合物IIIのハロゲンである。):
表1
【表1】
【0058】
製造例
実施例1:メチル4′−メチル−2′−[(E)−(3−メチルフェニル)ジアゼニル]ビフェニル−4−カルボキシレート
【化7】
【0059】
乾燥機乾燥した反応容器中、(E)−ビス(3−メチルフェニル)ジアゼン(210mg、1.0mmol)、[{RuCl(p−シメン)}](15.3mg、5.0モル%)、MesCOH(24.6mg、30モル%)、KCO(138mg、1.0mmol)および4−ブロモ安息香酸メチル(108mg、0.5mmol)からなる懸濁液を、窒素雰囲気下に脱水1,4−ジオキサン(2.0mL)中120℃で18時間撹拌した。反応混合物を室温でジクロロメタン(DCM)(75mL)によって希釈し、セライトおよびシリカゲルで濾過し、濾液を濃縮した。そうして得られた粗生成物をシリカゲルでのクロマトグラフィー(n−ヘキサン/DCM:7/3)によって精製した。メチル4′−メチル−2′−[(E)−(3−メチルフェニル)ジアゼニル]ビフェニル−4−カルボキシレート150mgを橙赤色固体として得た(理論値の87%)。
【0060】
融点=136−137℃。H−NMR(CDCl、300MHz):δ=8.10(d、J=8.0Hz、2H)、7.64(s、1H)、7.60−7.53(m、4H)、7.49(d、J=7.8Hz、1H)、7.40−7.32(m、2H)、7.30−7.24(m、1H)、3.96(s、3H)、2.48(s、3H)、2.42(s、3H)。13C−NMR(CDCl、126MHz):δ=167.0(Cq)、152.7(Cq)、149.3(Cq)、143.6(Cq)、138.8(Cq)、138.7(Cq)、137.1(Cq)、131.7(CH)、131.5(CH)、130.7(CH)、130.4(CH)、128.8(CH)、128.7(CH)、128.5(Cq)、124.2(CH)、119.8(CH)、116.1(CH)、52.1(CH)、21.4(CH)、21.3(CH)。IR(無希釈):3030、2951、2914、2850、1721、1606、1438、1279、1106、829、790、704、533、475、436cm−1。MS(EI)m/z(相対強度):344([M]60)、329(80)、285(38)、225(43)、165(87)、91(100)、65(25)、43(22)。HR−MS(EI)m/zC2220[M]の計算値344.1525、実測値344.1511。
【0061】
実施例2:メチル4′−メチル−2′−[(E)−(3−メチルフェニル)ジアゼニル]ビフェニル−4−カルボキシレート
トルエンを1,4−ジオキサンに代えて溶媒として用いたという点で異なる以外、実施例1について記載の方法に従って実験を行った。収率は理論値の83%であった。
【0062】
実施例3:メチル4′−メチル−2′−[(E)−(3−メチルフェニル)ジアゼニル]ビフェニル−4−カルボキシレート
オルト−キシレンを1,4−ジオキサンに代えて溶媒として用いたという点で異なる以外、実施例1について記載の方法に従って実験を行った。収率は理論値の84%であった。
【0063】
実施例4:メチル4′−メチル−2′−[(E)−(3−メチルフェニル)ジアゼニル]ビフェニル−4−カルボキシレート
tert−アミルアルコールを1,4−ジオキサンに代えて溶媒として用いたという点で異なる以外、実施例1について記載の方法に従って実験を行った。収率は理論値の75%であった。
【0064】
実施例5:メチル4′−メチル−2′−[(E)−(3−メチルフェニル)ジアゼニル]ビフェニル−4−カルボキシレート
炭酸ナトリウムを炭酸カリウムに代えて塩基として用いたという点で異なる以外、実施例1について記載の方法に従って実験を行った。収率は理論値の75%であった。
【0065】
実施例6:メチル4′−メチル−2′−[(E)−(3−メチルフェニル)ジアゼニル]ビフェニル−4−カルボキシレート
酢酸カリウムをMesCOHに代えて添加剤として用いたという点で異なる以外、実施例1について記載の方法に従って実験を行った。収率は理論値の79%であった。
【0066】
実施例7:メチル4′−メチル−2′−[(E)−(3−メチルフェニル)ジアゼニル]ビフェニル−4−カルボキシレート
ピバリン酸をMesCOHに代えて添加剤として用いたという点で異なる以外、実施例1について記載の方法に従って実験を行った。収率は理論値の76%であった。
【0067】
実施例8:1−{4′−メチル−2′−[(E)−(3−メチルフェニル)ジアゼニル]ビフェニル−4−イル}エタノン
【化8】
【0068】
乾燥機乾燥した反応容器中、(E)−1,2−ジ−m−トリルジアゼン(210mg、1.0mmol)、[{RuCl(p−シメン)}](15.3mg、5.0モル%)、MesCOH(24.6mg、30モル%)、KCO(138mg、1.0mmol)および4−ブロモアセトフェノン(99.5mg、0.5mmol)からなる懸濁液を、窒素雰囲気下に脱水1,4−ジオキサン(2.0mL)中にて120℃で18時間撹拌した。次に、反応混合物を室温にてジクロロメタン(DCM)(75mL)で希釈し、セライトおよびシリカゲルで濾過し、濾液を濃縮した。そうして得られた粗生成物をシリカゲルでのクロマトグラフィー(n−ヘキサン/DCM:7/3)によって精製した。1−{4′−メチル−2′−[(E)−(3−メチルフェニル)ジアゼニル]ビフェニル−4−イル}エタノン106mgを得た(理論値の65%)。
【0069】
融点=123−124℃。H−NMR(CDCl、300MHz):δ=8.00(d、J=8.6Hz、2H)、7.64−7.50(m、5H)、7.46(d、J=7.8Hz、1H)、7.39−7.29(m、2H)、7.28−7.21(m、1H)、2.64(s、3H)、2.47(s、3H)、2.40(s、3H)。13C−NMR(CDCl、126MHz):δ=198.1(Cq)、152.9(Cq)、149.6(Cq)、144.0(Cq)、139.0(Cq)、138.9(Cq)、137.2(Cq)、135.6(Cq)、131.9(CH)、131.7(CH)、131.0(CH)、130.5(CH)、129.0(CH)、127.6(CH)、124.4(CH)、119.9(CH)、116.3(CH)、26.5(CH)、21.2(CH)、21.1(CH)。IR(無希釈):2914、2856、2723、1679、1600、1266、819、797、688、599cm−1。MS(EI)m/z(相対強度):328([M]100)、285(44)、209(25)、165(41)、91(83)、65(19)、65(20)、43(76)。HR−MS(EI)m/zC2220O[M]の計算値328.1576、実測値328.1572。
【0070】
実施例9:1−{4′−メトキシ−2′−[(E)−(3−メトキシフェニル)ジアゼニル]ビフェニル−4−イル}エタノン
【化9】
【0071】
乾燥機乾燥した反応容器中、(E)−ビス(3−メトキシフェニル)ジアゼン(242mg、1.0mmol)、[{RuCl(p−シメン)}](15.3mg、5.0モル%)、MesCOH(24.6mg、30モル%)、KCO(138mg、1.0mmol)および4−ブロモアセトフェノン(99.5mg、0.5mmol)からなる懸濁液を、窒素雰囲気下に脱水1,4−ジオキサン(2.0mL)中、120℃で18時間撹拌した。次に、反応混合物を室温にてジクロロメタン(DCM)(75mL)で希釈し、セライトおよびシリカゲルで濾過し、濾液を濃縮した。そうして得られた粗生成物をシリカゲルでのクロマトグラフィー(n−ヘキサン/DCM:7/3)によって精製した。1−{4′−メトキシ−2′−[(E)−(3−メトキシフェニル)ジアゼニル]ビフェニル−4−イル}エタノン96mgを得た(理論値の53%)。
【0072】
融点=155−156℃。H−NMR(CDCl、300MHz):δ=7.98(d、J=8.5Hz、2H)、7.61−7.22(m、7H)、7.13(dd、J=8.6、2.7Hz、1H)、7.00(ddd、J=8.0、2.7、1.2Hz、1H)、3.91(s、3H)、3.78(s、3H)、2.63(s、3H)。13C−NMR(CDCl、126MHz):δ=198.1(Cq)、160.4(Cq)、160.2(Cq)、154.0(Cq)、150.2(Cq)、143.8(Cq)、135.4(Cq)、133.4(Cq)、131.6(CH)、131.1(CH)、129.9(CH)、127.6(CH)、118.5(CH)、118.0(CH)、117.4(CH)、106.4(CH)、99.4(CH)、55.6(CH)、55.3(CH)、26.6(CH)。IR(無希釈):3068、3005、2961、2940、2915、2834、1673、1604、1513、1269、1132、1040、887、819、782、634cm−1。MS(EI)m/z(相対強度):360([M]100)、317(57)、139(38)、107(53)、92(24)、77(30)、43(54)。HR−MS(EI)m/zC2220[M]の計算値360.1474、実測値360.1466。
【0073】
実施例10:1−{3′−メチル−2′−[(E)−(2−メチルフェニル)ジアゼニル]ビフェニル−4−イル}エタノン
【化10】
【0074】
乾燥機乾燥した反応容器中、(E)−ビス(2−メチルフェニル)ジアゼン(210mg、1.0mmol)、[{RuCl(p−シメン)}](15.3mg、5.0モル%)、MesCOH(24.6mg、30モル%)、KCO(138mg、1.0mmol)および4−ブロモアセトフェノン(99.5mg、0.5mmol)からなる懸濁液を、窒素雰囲気下に脱水1,4−ジオキサン(2.0mL)中、120℃で18時間撹拌した。次に、反応混合物を室温にてジクロロメタン(DCM)(75mL)で希釈し、セライトおよびシリカゲルで濾過し、濾液を濃縮した。そうして得られた粗生成物をシリカゲルでのクロマトグラフィー(n−ヘキサン/DCM:7/3)によって精製した。1−{3′−メチル−2′−[(E)−(2−メチルフェニル)ジアゼニル]ビフェニル−4−イル}エタノン87mgを得た(理論値の53%)。
【0075】
融点=125−126℃。H−NMR(CDCl、300MHz):δ=7.89(d、J=8.6Hz、2H)、7.38−7.20(m、9H)、2.59(s、3H)、2.46(s、3H)、2.27(s、3H)。13C−NMR(CDCl、126MHz):δ=198.0(Cq)、151.0(Cq)、150.8(Cq)、145.7(Cq)、138.5(Cq)、135.2(Cq)、134.7(Cq)、131.5(CH)、131.4(CH)、131.3(CH)、130.9(Cq)、130.4(CH)、128.9(CH)、128.2(CH)、128.0(CH)、126.4(CH)、115.0(CH)、26.5(CH)、19.1(CH)、17.0(CH)。IR(無希釈):3054、2961、2923、1679、1603、1356、1264、955、766、600cm−1。MS(EI)m/z(相対強度):328([M]100)、285(32)、209(25)、165(45)、91(98)、65(27)、43(90)。HR−MS(EI)m/zC2220O[M]の計算値328.1576、実測値328.1569。
【0076】
実施例11:エチル4′−メチル−2′−[(E)−(3−メチルフェニル)ジアゼニル]ビフェニル−4−カルボキシレート
【化11】
【0077】
乾燥機乾燥した反応容器中、(E)−ビス(3−メチルフェニル)ジアゼン(210mg、1.0mmol)、[{RuCl(p−シメン)}](15.3mg、5.0モル%)、MesCOH(24.6mg、30モル%)、KCO(138mg、1.0mmol)および4−ブロモ安息香酸エチル(107mg、0.5mmol)からなる懸濁液を、窒素雰囲気下に脱水1,4−ジオキサン(2.0mL)中、120℃で18時間撹拌した。次に、反応混合物を室温にてジクロロメタン(DCM)(75mL)で希釈し、セライトおよびシリカゲルで濾過し、濾液を濃縮した。そうして得られた粗生成物をシリカゲルでのクロマトグラフィー(n−ヘキサン/DCM:7/3)によって精製した。エチル4′−メチル−2′−[(E)−(3−メチルフェニル)ジアゼニル]ビフェニル−4−カルボキシレート113mgを得た(理論値の63%)。
【0078】
融点=94−95℃。H−NMR(CDCl、300MHz):δ=8.09(d、J=8.5Hz、2H)、7.63−7.60(m、1H)、7.58−7.50(m、4H)、7.47(d、J=7.9Hz、1H)、7.39−7.30(m、2H)、7.28−7.22(m、1H)、4.41(q、J=7.1Hz、2H)、2.47(s、3H)、2.41(s、3H)、1.41(t、J=7.1Hz、3H)。13C−NMR(CDCl、126MHz):δ=166.8(Cq)、153.0(Cq)、149.6(Cq)、143.7(Cq)、139.0(Cq)、138.9(Cq)、137.4(Cq)、131.9(CH)、131.7(CH)、130.8(CH)、130.6(CH)、129.0(Cq)、128.9(CH)、128.8(CH)、124.4(CH)、119.9(CH)、116.3(CH)、60.9(CH)、21.3(CH)、21.1(CH)、14.3(CH)。IR(無希釈):2979、2921、2867、1713、1607、1268、1180、1100、775、688cm−1。MS(EI)m/z(相対強度):358([M]47)、329(100)、285(37)、239(19)、211(17)、165(60)、91(80)、65(14)。HR−MS(EI)m/zC2322[M]の計算値358.1681、実測値358.1669。
【0079】
実施例12:(E)−1−(4′−メトキシ−4−メチルビフェニル−2−イル)−2−(3−メチルフェニル)ジアゼン
【化12】
【0080】
乾燥機乾燥した反応容器中、(E)−ビス(3−メチルフェニル)ジアゼン(210mg、1.0mmol)、[{RuCl(p−シメン)}](15.3mg、5.0モル%)、MesCOH(24.6mg、30モル%)、KCO(138mg、1.0mmol)および4−ブロモアニソール(93.5mg、0.5mmol)からなる懸濁液を、窒素雰囲気下に脱水1,4−ジオキサン(2.0mL)中、120℃で18時間撹拌した。次に、反応混合物を室温にてジクロロメタン(DCM)(75mL)で希釈し、セライトおよびシリカゲルで濾過し、濾液を濃縮した。そうして得られた粗生成物をシリカゲルでのクロマトグラフィー(n−ヘキサン/DCM:7/3)によって精製した。(E)−1−(4′−メトキシ−4−メチルビフェニル−2−イル)−2−(3−メチルフェニル)ジアゼン106mgを得た(理論値の67%)。
【0081】
融点=121−122℃。H−NMR(CDCl、300MHz):δ=7.69−7.59(m、2H)、7.55−7.52(m、1H)、7.47(d、J=7.8Hz、1H)、7.43−7.31(m、4H)、7.29−7.23(m、1H)、6.97(d、J=8.9Hz、2H)、3.87(s、3H)、2.46(s、3H)、2.43(s、3H)。13C−NMR(CDCl、126MHz):δ=158.8(Cq)、152.9(Cq)、149.4(Cq)、138.8(Cq)、137.7(Cq)、137.3(Cq)、131.9(CH)、131.5(CH)、131.4(CH)、131.1(Cq)、130.4(CH)、128.7(CH)、124.0(CH)、120.0(CH)、116.0(CH)、113.0(CH)、55.3(CH)、21.4(CH)、21.2(CH)。IR(無希釈):2962、2914、2856、1606、1518、1249、1177、1016、816、791、689、538cm−1。MS(EI)m/z(相対強度):316([M]100)、301(40)、197(67)、182(65)、153(42)、91(78)、65(30)。HR−MS(EI)m/zC2120O[M]の計算値316.1576、実測値316.1577。
【0082】
実施例13:(E)−1−(ビフェニル−2−イル)−2−フェニルジアゼン
【化13】
【0083】
乾燥機乾燥した反応容器中、からなる懸濁液(E)−1,2−ジフェニルジアゼン(182mg、1.0mmol)、[{RuCl(p−シメン)}](15.3mg、5.0モル%)、MesCOH(24.6mg、30モル%)、KCO(138mg、1.0mmol)およびブロモベンゼン(79mg、0.5mmol)を、窒素雰囲気下に脱水1,4−ジオキサン(2.0mL)中、120℃で18時間撹拌した。次に、反応混合物を23℃でCHCl(75mL)によって希釈し、セライトおよびシリカゲルで濾過し、濾液を濃縮した。そうして得られた粗生成物をシリカゲルでのクロマトグラフィー(n−ヘキサン/EtOAc/NEt:88/6/6)によって精製した。(E)−1−(ビフェニル−2−イル)−2−フェニルジアゼン(68mg、53%)を橙赤色粘稠油状物として得た。
【0084】
H−NMR(CDCl、300MHz):δ=7.81−7.75(m、2H)、7.62−7.35(m、12H)。13C−NMR(CDCl、126MHz):δ=152.9(Cq)、149.8(Cq)、141.2(Cq)、138.9(Cq)、131.1(CH)、131.0(CH)、130.9(CH)、130.8(CH)、129.1(CH)、128.1(CH)、127.7(CH)、127.3(CH)、123.3(CH)、116.0(CH)。IR(無希釈):3058、3030、1470、1149、1008、770、730、685、535、497cm−1。MS(EI)m/z(相対強度):258([M]42)、152(82)、84(100)、77(70)。HR−MS(EI)m/zC1814[M]の計算値258.1157、実測値258.1152。
【0085】
実施例14:メチル2′−[(E)−フェニルジアゼニル]ビフェニル−4−カルボキシレート
【化14】
【0086】
乾燥機乾燥した反応容器中、(E)−1,2−ジフェニルジアゼン(182mg、1.0mmol)、[{RuCl(p−シメン)}](15.3mg、5.0モル%)、MesCOH(24.6mg、30モル%)、KCO(138mg、1.0mmol)および4−ブロモ安息香酸メチル(108mg、0.5mmol)からなる懸濁液を、窒素雰囲気下に脱水1,4−ジオキサン(2.0mL)中、120℃で18時間撹拌した。次に、反応混合物を23℃にてCHCl(75mL)で希釈し、セライトおよびシリカゲルで濾過し、濾液を濃縮した。そうして得られた粗生成物をシリカゲルでのクロマトグラフィー(n−ヘキサン/CHCl:7/3)によって精製した。メチル2′−[(E)−フェニルジアゼニル]ビフェニル−4−カルボキシレート(93mg、59%)を橙赤色固体として得た。
【0087】
融点=128−129℃。H−NMR(CDCl、500MHz):δ=8.09(d、J=8.6Hz、2H)、7.80−7.72(m、3H)、7.57−7.52(m、4H)、7.51−7.42(m、4H)、3.94(s、3H)。13C−NMR(CDCl、126MHz):δ=167.2(Cq)、152.7(Cq)、149.6(Cq)、143.7(Cq)、140.2(Cq)、131.1(CH)、130.9(CH)、130.9(CH)、130.7(CH)、129.1(CH)、128.9(CH)、128.8(Cq)、128.7(CH)、123.3(CH)、116.0(CH)、52.1(CH)。IR(無希釈):3071、2947、2920、2848、1721、1437、1273、1103、774、736、686、541cm−1。MS(EI)m/z(相対強度):316([M]58)、301(100)、257(40)、211(44)、152(91)、77(94)。HR−MS(EI)m/zC2016[M]の計算値316.1212、実測値316.1205。
【0088】
実施例15:メチル3′−メチル−2′−[(E)−(2−メチルフェニル)ジアゼニル]ビフェニル−4−カルボキシレート
【化15】
【0089】
乾燥機乾燥した反応容器中、(E)−1,2−ジ−o−トリルジアゼン(210mg、1.0mmol)、[{RuCl(p−シメン)}](15.3mg、5.0モル%)、MesCOH(24.6mg、30モル%)、KCO(138mg、1.0mmol)および4−ブロモ安息香酸メチル(108mg、0.5mmol)からなる懸濁液を、窒素雰囲気下に脱水1,4−ジオキサン(2.0mL)中、120℃で18時間撹拌した。次に、反応混合物を23℃にてCHCl(75mL)で希釈し、セライトおよびシリカゲルで濾過し、濾液を濃縮した。そうして得られた粗生成物をシリカゲルでのクロマトグラフィー(n−ヘキサン/CHCl:7/3)によって精製した。メチル3′−メチル−2′−[(E)−(2−メチルフェニル)ジアゼニル]ビフェニル−4−カルボキシレート(103mg、60%)を、橙赤色固体として得た。
【0090】
融点=123−124℃。H−NMR(CDCl、500MHz):δ=7.97(d、J=8.1Hz、2H)、7.38−7.26(m、9H)、3.92(s、3H)、2.47(s、3H)、2.28(s、3H)。13C−NMR(CDCl、126MHz):δ=167.1(Cq)、150.9(Cq)、150.7(Cq)、145.4(Cq)、138.5(Cq)、134.7(Cq)、131.3(CH)、131.2(CH)、131.1(CH)、130.8(Cq)、130.1(CH)、129.1(CH)、128.9(CH)、128.1(CH)、128.0(Cq)、126.3(CH)、115.0(CH)、52.0(CH)、19.2(CH)、17.1(CH)。IR(無希釈):3059、2951、2923、2844、1719、1608、1398、1272、1179、1101、856、766、739、712cm−1。MS(EI)m/z(相対強度):344([M]60)、329(93)、285(30)、225(50)、165(99)、91(100)、65(34)。HR−MS(EI)m/zC2220[M]の計算値344.1525、実測値344.1526。
【0091】
実施例16:メチル5′−メチル−2′−[(E)−(4−メチルフェニル)ジアゼニル]ビフェニル−4−カルボキシレート
【化16】
【0092】
乾燥機乾燥した反応容器中、(E)−1,2−ジ−p−トリルジアゼン(210mg、1.0mmol)、[{RuCl(p−シメン)}](15.3mg、5.0モル%)、MesCOH(24.6mg、30モル%)、KCO(138mg、1.0mmol)および4−ブロモ安息香酸メチル(108mg、0.5mmol)からなる懸濁液を、窒素雰囲気下に脱水1,4−ジオキサン(2.0mL)中、120℃で18時間撹拌した。次に、反応混合物を23℃にてCHCl(75mL)で希釈し、セライトおよびシリカゲルで濾過し、濾液を濃縮した。そうして得られた粗生成物をシリカゲルでのクロマトグラフィー(n−ヘキサン/CHCl:7/3)によって精製した。メチル5′−メチル−2′−[(E)−(4−メチルフェニル)ジアゼニル]ビフェニル−4−カルボキシレート(112mg、65%)を、橙赤色固体として得た。
【0093】
融点=138−139℃。H−NMR(CDCl、500MHz):δ=8.08(d、J=8.6Hz、2H)、7.71(d、J=8.2Hz、1H)、7.64(d、J=8.2Hz、2H)、7.54(d、J=8.6Hz、2H)、7.37−7.35(m、1H)、7.27(ddq、J=8.2、2.0、0.6Hz、1H)、7.25−7.21(m、2H)、3.94(s、3H)、2.46(s、3H)、2.39(s、3H)。13C−NMR(CDCl、126MHz):δ=167.2(Cq)、151.0(Cq)、147.6(Cq)、143.9(Cq)、141.4(Cq)、141.1(Cq)、140.0(Cq)、131.1(CH)、130.8(CH)、129.7(CH)、129.5(CH)、128.7(CH)、128.6(Cq)、123.1(CH)、115.8(CH)、52.1(CH)、21.5(CH)。IR(無希釈):3029、2948、2921、2844、1721、1599、1437、1274、1149、1112、824、702、565、385cm−1。MS(EI)m/z(相対強度):344([M]66)、329(73)、285(29)、225(47)、165(86)、91(100)、65(25)。HR−MS(ESI)m/zC2221[M+H]の計算値345.1603、実測値345.1599。
【0094】
実施例17:メチル4′−エチル−2′−[(E)−(3−エチルフェニル)ジアゼニル]ビフェニル−4−カルボキシレート
【化17】
【0095】
乾燥機乾燥した反応容器中、(E)−1,2−ビス(3−エチルフェニル)ジアゼン(238mg、1.0mmol)、[{RuCl(p−シメン)}](15.3mg、5.0モル%)、MesCOH(24.6mg、30モル%)、KCO(138mg、1.0mmol)および4−ブロモ安息香酸メチル(108mg、0.5mmol)からなる懸濁液を、窒素雰囲気下に脱水1,4−ジオキサン(2.0mL)中、120℃で18時間撹拌した。次に、反応混合物を23℃にてCHCl(75mL)で希釈し、セライトおよびシリカゲルで濾過し、濾液を濃縮した。そうして得られた粗生成物をシリカゲルでのクロマトグラフィー(n−ヘキサン/CHCl:7/3)によって精製した。メチル4′−エチル−2′−[(E)−(3−エチルフェニル)ジアゼニル]ビフェニル−4−カルボキシレート(155mg、83%)を、橙赤色固体として得た。融点=81−82℃。H−NMR(CDCl、500MHz):δ=8.07(d、J=8.6Hz、2H)、7.68−7.65(m、1H)、7.61−7.59(m、1H)、7.57−7.52(m、3H)、7.50(dd、J=7.9、0.5Hz、1H)、7.39(dd、J=7.9、1.8Hz、1H)、7.35(t、J=7.7Hz、1H)、7.29−7.26(m、1H)、3.94(s、3H)、2.77(q、J=7.6Hz、2H)、2.71(q、J=7.6Hz、2H)、1.32(t、J=7.6Hz、3H)、1.26(t、J=7.6Hz、3H)。13C−NMR(CDCl、126MHz):δ=167.2(Cq)、153.0(Cq)、149.6(Cq)、145.3(Cq)、145.2(Cq)、143.8(Cq)、137.5(Cq)、130.9(CH)、130.7(CH)、130.6(CH)、130.5(CH)、129.0(CH)、128.8(CH)、128.6(Cq)、123.4(CH)、119.8(CH)、115.0(CH)、52.1(CH)、28.7(CH)、28.7(CH)、15.4(CH)、15.3(CH)。IR(無希釈):2962、2930、2871、1717、1606、1439、1273、1181、1102、691cm−1。MS(EI)m/z(相対強度):372([M]89)、357(100)、313(45)、239(61)、180(35)、165(75)、105(91)、77(32)。HR−MS(ESI)m/zC2425[M+H]の計算値373.1916、実測値373.1915。
【0096】
実施例18:メチル4′−イソプロピル−2′−[(E)−(3−イソプロピルフェニル)ジアゼニル]ビフェニル−4−カルボキシレート
【化18】
【0097】
乾燥機乾燥した反応容器中、(E)−1,2−ビス(3−イソプロピルフェニル)ジアゼン(266mg、1.0mmol)、[{RuCl(p−シメン)}](15.3mg、5.0モル%)、MesCOH(24.6mg、30モル%)、KCO(138mg、1.0mmol)および4−ブロモ安息香酸メチル(108mg、0.5mmol)からなる懸濁液を、窒素雰囲気下に脱水1,4−ジオキサン(2.0mL)中、120℃で18時間撹拌した。次に、反応混合物を23℃にてCHCl(75mL)で希釈し、セライトおよびシリカゲルで濾過し、濾液を濃縮した。そうして得られた粗生成物をシリカゲルでのクロマトグラフィー(n−ヘキサン/CHCl:4/6)によって精製した。メチル4′−イソプロピル−2′−[(E)−(3−イソプロピルフェニル)ジアゼニル]ビフェニル−4−カルボキシレート(160mg、80%)を、橙赤色固体として得た。融点=92−93℃。H−NMR(CDCl、500MHz):δ=8.07(d、J=8.5Hz、2H)、7.71(t、J=1.8Hz、1H)、7.63(d、J=1.9Hz、1H)、7.56−7.50(m、4H)、7.43(dd、J=8.0、1.9Hz、1H)、7.35(t、J=7.7Hz、1H)、7.32−7.29(m、1H)、3.93(s、3H)、3.04(7重線、J=6.9Hz、1H)、2.97(7重線、J=6.9Hz、1H)、1.33(d、J=6.9Hz、6H)、1.27(d、J=6.9Hz、6H)。13C−NMR(CDCl、126MHz):δ=167.2(Cq)、153.1(Cq)、150.0(Cq)、149.9(Cq)、149.5(Cq)、143.8(Cq)、137.7(Cq)、130.9(CH)、130.6(CH)、129.4(CH)、129.1(CH)、129.0(CH)、128.8(CH)、128.6(Cq)、122.4(CH)、119.6(CH)、113.7(CH)、52.1(CH)、34.1(CH)、34.0(CH)、23.9(CH)、23.8(CH)。IR(無希釈):2959、2889、2868、1718、1607、1439、1273、1113、858、835、797、694cm−1。MS(EI)m/z(相対強度):400([M]96)、385(100)、341(41)、253(45)、211(47)、179(43)、119(78)、91(42)。HR−MS(EI)m/zC2628[M]の計算値400.2151、実測値400.2138。
【0098】
実施例19:メチル4′−メトキシ−2′−[(E)−(3−メトキシフェニル)ジアゼニル]ビフェニル−4−カルボキシレート
【化19】
【0099】
乾燥機乾燥した反応容器中、(E)−1,2−ビス(3−メトキシフェニル)ジアゼン(242mg、1.0mmol)、[{RuCl(p−シメン)}](15.3mg、5.0モル%)、MesCOH(24.6mg、30モル%)、KCO(138mg、1.0mmol)および4−ブロモ安息香酸メチル(108mg、0.5mmol)からなる懸濁液を、窒素雰囲気下に脱水1,4−ジオキサン(2.0mL)中、120℃で18時間撹拌した。次に、反応混合物を23℃にてCHCl(75mL)で希釈し、セライトおよびシリカゲルで濾過し、濾液を濃縮した。そうして得られた粗生成物をシリカゲルでのクロマトグラフィー(n−ヘキサン/CHCl:4/6)によって精製した。メチル4′−メトキシ−2′−[(E)−(3−メトキシフェニル)ジアゼニル]ビフェニル−4−カルボキシレート(139mg、74%)を、橙赤色固体として得た。融点=145−146℃。H−NMR(CDCl、500MHz):δ=8.06(d、J=8.6Hz、2H)、7.53−7.48(m、3H)、7.44(ddd、J=7.8、1.7、1.0Hz、1H)、7.37(d、J=8.1Hz、1H)、7.35−7.33(m、1H)、7.27(dd、J=2.6、1.7Hz、1H)、7.13(dd、J=8.5、2.7Hz、1H)、7.02−6.98(m、1H)、3.93(s、3H)、3.91(s、3H)、3.78(s、3H)。13C−NMR(CDCl、126MHz):δ=167.1(Cq)、160.3(Cq)、160.0(Cq)、153.9(Cq)、150.0(Cq)、143.5(Cq)、133.5(Cq)、131.6(CH)、130.9(CH)、129.8(CH)、128.7(CH)、128.4(Cq)、118.4(CH)、118.0(CH)、117.4(CH)、106.2(CH)、99.3(CH)、55.6(CH)、55.3(CH)、52.1(CH)。IR(無希釈):2950、2902、2834、1719、1597、1519、1481、1433、1270、1132、1103、1039、887、782、683cm−1。MS(EI)m/z(相対強度):376([M]64)、361(100)、317(53)、241(38)、182(35)、139(54)、107(65)、77(38)。HR−MS(ESI)m/zC2221[M+H]の計算値377.1501、実測値377.1491。
【0100】
実施例20:(E)−1−(3′,4′−ジクロロビフェニル−2−イル)−2−フェニルジアゼン
【化20】
【0101】
乾燥機乾燥した反応容器中、(E)−1,2−ジフェニルジアゼン(182mg、1.0mmol)、[{RuCl(p−シメン)}](15.3mg、5.0モル%)、MesCOH(24.6mg、30モル%)、KCO(138mg、1.0mmol)および4−ブロモ−1,2−ジクロロベンゼン(113mg、0.5mmol)からなる懸濁液を、窒素雰囲気下に脱水1,4−ジオキサン(2.0mL)中、120℃で18時間撹拌した。次に、反応混合物を23℃にてCHCl(75mL)で希釈し、セライトおよびシリカゲルで濾過し、濾液を濃縮した。そうして得られた粗生成物をシリカゲルでのクロマトグラフィー(n−ヘキサン/EtOAc/NEt:88/6/6)によって精製した。(E)−1−(3′,4′−ジクロロビフェニル−2−イル)−2−フェニルジアゼン(79mg、48%)を、橙赤色固体として得た。
【0102】
融点=128−129℃。H−NMR(CDCl、600MHz):δ=7.81−7.77(m、3H)、7.62(d、J=2.1Hz、1H)、7.54−7.52(m、2H)、7.51−7.45(m、5H)、7.29(dd、J=8.3、2.1Hz、1H)。13C−NMR(CDCl、126MHz):δ=152.8(Cq)、149.4(Cq)、139.0(Cq)、138.9(Cq)、132.5(CH)、131.8(Cq)、131.6(Cq)、131.3(CH)、131.1(CH)、130.5(CH)、130.3(CH)、129.5(CH)、129.2(CH)、128.9(CH)、123.3(CH)、116.1(CH)。IR(無希釈):3092、3055、1459、1374、1137、1023、817、772、755、740、684、551cm−1。MS(EI)m/z(相対強度):326([M]35)、221(26)、186(72)、151(26)、105(28)、77(100)、51(30)。HR−MS(ESI)m/zC1813Cl[M+H]の計算値327.0456、実測値327.0451。
【0103】
実施例21:(E)−1−(4′−クロロ−4−メチルビフェニル−2−イル)−2−(3−メチルフェニル)ジアゼン
【化21】
【0104】
乾燥機乾燥した反応容器中、(E)−1,2−ジ−m−トリルジアゼン(210mg、1.0mmol)、[{RuCl(p−シメン)}](15.3mg、5.0モル%)、MesCOH(24.6mg、30モル%)、KCO(138mg、1.0mmol)および1−ブロモ−4−クロロベンゼン(96mg、0.5mmol)からなる懸濁液を、窒素雰囲気下に脱水1,4−ジオキサン(2.0mL)中、120℃で18時間撹拌した。次に、反応混合物を23℃にてCHCl(75mL)で希釈し、セライトおよびシリカゲルで濾過し、濾液を濃縮した。そうして得られた粗生成物をシリカゲルでのクロマトグラフィー(n−ヘキサン/EtOAc/NEt:88/6/6)によって精製した。(E)−1−(4′−クロロ−4−メチルビフェニル−2−イル)−2−(3−メチルフェニル)ジアゼン(93mg、58%)を、橙赤色固体として得た。
【0105】
融点=120−121℃。H−NMR(CDCl、500MHz):δ=7.73−7.69(m、1H)、7.60(s、1H)、7.58−7.52(m、2H)、7.42(d、J=7.9Hz、1H)、7.38−7.36(m、3H)、7.36−7.32(m、2H)、7.29−7.25(m、1H)、2.45(s、3H)、2.41(s、3H)。13C−NMR(CDCl、126MHz):δ=152.9(Cq)、149.5(Cq)、139.0(Cq)、138.5(Cq)、137.3(Cq)、137.1(Cq)、133.2(Cq)、132.1(CH)、131.8(CH)、131.7(CH)、130.4(CH)、128.9(CH)、127.7(CH)、124.2(CH)、120.0(CH)、116.2(CH)、21.4(CH)、21.2(CH)。IR(無希釈):3049、3028、2949、2920、2859、1596、1479、1092、1005、811、788、747、687cm−1。MS(EI)m/z(相対強度):320([M]67)、201(54)、166(93)、91(100)、65(35)。HR−MS(ESI)m/zC2018ClN[M+H]の計算値321.1159、実測値321.1141。
【0106】
実施例22:(E)−1−(3′,4′−ジクロロ−4−メチルビフェニル−2−イル)−2−(3−メチルフェニル)ジアゼン
【化22】
【0107】
乾燥機乾燥した反応容器中、(E)−1,2−ジ−m−トリルジアゼン(210mg、1.0mmol)、[{RuCl(p−シメン)}](15.3mg、5.0モル%)、MesCOH(24.6mg、30モル%)、KCO(138mg、1.0mmol)および4−ブロモ−1,2−ジクロロベンゼン(113mg、0.5mmol)からなる懸濁液を、窒素雰囲気下に脱水1,4−ジオキサン(2.0mL)中、120℃で18時間撹拌した。次に、反応混合物を23℃にてCHCl(75mL)で希釈し、セライトおよびシリカゲルで濾過し、濾液を濃縮した。そうして得られた粗生成物をシリカゲルでのクロマトグラフィー(n−ヘキサン/EtOAc/NEt:88/6/6)によって精製した。(E)−1−(3′,4′−ジクロロ−4−メチルビフェニル−2−イル)−2−(3−メチルフェニル)ジアゼン(112mg、63%)を、淡橙赤色固体として得た。融点=127−128℃。H−NMR(CDCl、500MHz):δ=7.62−7.56(m、4H)、7.46(d、J=8.3Hz、1H)、7.42(d、J=7.8Hz、1H)、7.38−7.33(m、2H)、7.29−7.25(m、2H)、2.46(s、3H)、2.42(s、3H)。13C−NMR(CDCl、126MHz):δ=152.9(Cq)、149.1(Cq)、139.1(Cq)、139.0(Cq)、138.8(Cq)、136.0(Cq)、132.6(CH)、131.9(CH)、131.8(CH)、131.7(Cq)、131.3(Cq)、130.2(CH)、130.1(CH)、129.4(CH)、129.0(CH)、123.7(CH)、120.5(CH)、116.2(CH)、21.4(CH)、21.2(CH)。IR(無希釈):3026、2918、2858、1601、1463、1371、1133、1027、882、826、808、686cm−1。MS(EI)m/z(相対強度):354([M]55)、235(43)、200(62)、165(61)、91(100)、65(36)。HR−MS(EI)m/zC2016Cl[M]の計算値354.0691、実測値354.0686。
【0108】
比較例1:メチル4′−メチル−2′−[(E)−(3−メチルフェニル)ジアゼニル]ビフェニル−4−カルボキシレート
N,N−ジメチルホルムアミドを1,4−ジオキサンに代えて溶媒として用いたという点で異なる以外、実施例1について記載の方法に従って実験を行った。標的生成物は全く得られなかった。
【0109】
比較例2:メチル4′−メチル−2′−[(E)−(3−メチルフェニル)ジアゼニル]ビフェニル−4−カルボキシレート
N,N−ジメチルアセトアミドを1,4−ジオキサンに代えて溶媒として用いたという点で異なる以外、実施例1について記載の方法に従って実験を行った。標的生成物は全く得られなかった。
【0110】
比較例3:メチル4′−メチル−2′−[(E)−(3−メチルフェニル)ジアゼニル]ビフェニル−4−カルボキシレート
メタノールを1,4−ジオキサンに代えて溶媒として用いたという点で異なる以外、実施例1について記載の方法に従って実験を行った。標的生成物は全く得られなかった。
【0111】
比較例4:メチル4′−メチル−2′−[(E)−(3−メチルフェニル)ジアゼニル]ビフェニル−4−カルボキシレート
N−メチルピロリジノンを1,4−ジオキサンに代えて溶媒として用いたという点で異なる以外、実施例1について記載の方法に従って実験を行った。標的生成物は全く得られなかった。
【0112】
比較例5:メチル4′−メチル−2′−[(E)−(3−メチルフェニル)ジアゼニル]ビフェニル−4−カルボキシレート
γ−バレロラクトンを1,4−ジオキサンに代えて溶媒として用いたという点で異なる以外、実施例1について記載の方法に従って実験を行った。標的生成物は全く得られなかった。
【0113】
比較例6:メチル4′−メチル−2′−[(E)−(3−メチルフェニル)ジアゼニル]ビフェニル−4−カルボキシレート
ジメチルスルホキシドを1,4−ジオキサンに代えて溶媒として用いたという点で異なる以外、実施例1について記載の方法に従って実験を行った。標的生成物は全く得られなかった。
【0114】
比較例7:メチル4′−メチル−2′−[(E)−(3−メチルフェニル)ジアゼニル]ビフェニル−4−カルボキシレート
水を1,4−ジオキサンに代えて溶媒として用いたという点で異なる以外、実施例1について記載の方法に従って実験を行った。標的生成物は全く得られなかった。
【0115】
比較例8:メチル4′−メチル−2′−[(E)−(3−メチルフェニル)ジアゼニル]ビフェニル−4−カルボキシレート
酢酸を1,4−ジオキサンに代えて溶媒として用いたという点で異なる以外、実施例1について記載の方法に従って実験を行った。標的生成物は全く得られなかった。
【0116】
実施例23:メチル2′−アミノ−4′−メチルビフェニル−4−カルボキシレート
【化23】
【0117】
乾燥機乾燥した反応容器中、(E)−1,2−ジ−m−トリルジアゼン(421mg、2.0mmol)、[{RuCl(p−シメン)}](30.6mg、5.0モル%)、MesCOH(49.3mg、30モル%)、KCO(276mg、2.0mmol)および4−ブロモ安息香酸メチル(215mg、1.0mmol)からなる懸濁液を窒素雰囲気下に脱水1,4−ジオキサン(3.0mL)中、120℃で18時間撹拌した。その反応混合物に23℃で、[RuCl(PPh](47.9mg、5.0モル%)、KOH(16.8mg、30モル%)、Zn(262mg、4.0mmol)、HO(14.4mg、8.0mmol)および最後に1,4−ジオキサン(2.0mL)を加えた。混合物を窒素雰囲気下に80℃で24時間撹拌した。次に、反応混合物を23℃にてEtOAc(75mL)で希釈し、セライトおよびシリカゲルで濾過し、濾液を濃縮した。そうして得られた粗生成物をシリカゲルでのクロマトグラフィー(n−ヘキサン/EtOAc:5/1)によって精製した。メチル2′−アミノ−4′−メチルビフェニル−4−カルボキシレート(160mg、66%)を、白色固体として得た。
【0118】
融点=136−137℃。H−NMR(CDCl、300MHz):δ=8.08(d、J=8.6Hz、2H)、7.52(d、J=8.6Hz、2H)、7.02(d、J=7.7Hz、1H)、6.65(ddd、J=7.7、1.6、0.7Hz、1H)、6.59(s、1H)、3.92(s、3H)、3.71(s、2H)、2.30(s、3H)。13C−NMR(CDCl、400MHz):δ=166.9(Cq)、144.5(Cq)、143.2(Cq)、139.2(Cq)、130.2(CH)、130.0(CH)、129.0(CH)、128.6(Cq)、123.7(Cq)、119.8(CH)、116.5(CH)、52.1(CH)、21.2(CH)。IR(無希釈):3442、3360、2947、2915、2164、1703、1604、1435、1280、1178、1103、772cm−1。MS(EI)m/z(相対強度):241([M]100)、210(31)、167(35)、84(24)、49(38)。HR−MS(EI)m/zC1515NO[M]の計算値241.1103、実測値241.1109。