(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記本体の前記上面は、前記本体が隣接する下位椎骨に対する前記設置位置に配置される時に、上位椎骨の棘突起を受容するように構成された、湾曲した逃げ部を画定する、請求項1に記載のインプラント。
前記本体が、前記本体の中心上下軸を中心として湾曲していることにより、前記本体の前記前面は、前記本体が椎骨に対する前記設置位置に配置される時に、脊髄を保護するための湾曲した逃げ部を画定する、請求項1に記載のインプラント。
【発明を実施するための形態】
【0015】
本明細書では、脊髄の安定化及び/又は減圧術による外傷を低減するための装置、システム、及び方法について述べる。本明細書では椎弓板プロテーゼプレートが提供されるが、これは椎弓切除術後に椎骨上に位置付けられるように構成されたものである。一般的に、椎弓板プレートは、脊椎固定要素(例えば骨ねじ)を受容するための複数の受容孔のような、外科医が椎骨にプレートを連結することを可能とする各種の機構を有することができる。小さな脊椎の露出で、骨の解剖学的構造を反映しかつ骨との引っかかりを大きくする軌道(例えばより長い固定要素を可能とする軌道)に沿って、脊椎固定要素を設置することができるような形状にプレートを成形し、受容穴を位置付けることができる。特定の態様では、椎弓板プレートは、脊髄のための空間を与え、脊髄への損傷を防止するために前方向に湾曲させることができる。椎弓板プレートは、脊椎安定化要素を受容するために、少なくとも1つの受容ヘッドをプレートに連結するための1つ又は2つ以上の機構を有することができる。患者の脊椎の安定化(例えば、正中線、片側性、両側性など)を可能にするために、1つ又は2つ以上の受容ヘッドを椎弓板プレート上に選択的に位置付けることができる。これらの受容ヘッドは、プレートが埋め込まれた後にプレートに連結することができるため、脊椎固定要素を設置することができる角度又は軌道の範囲を制限しない。脊椎安定化が望ましくない場合には、受容ヘッドに選択的に連結するための椎弓板プレート上の機構を使用する必要はなく、椎弓板プレートを、椎弓板を置換し、脊髄を保護するための独立した装置として設置することができる。
【0016】
以下に、本明細書に開示される装置及び方法の構造、機能、製造、及び使用の原理の全体的な理解を与えるため、特定の例示的な実施形態を説明する。これらの実施形態の1つ又は2つ以上の例を添付の図面に示す。当業者であれば、本明細書で具体的に説明され、かつ添付の図面に例示される装置及び方法は、非限定的な例示的実施形態であること、並びに本発明の範囲は特許請求の範囲によってのみ定義されることが理解されるであろう。1つの例示的な実施形態に関連して例示又は説明される特徴は、他の実施形態の特徴と組み合わせることができる。このような改変及び変形は、本発明の範囲内に含まれるものとする。
【0017】
本明細書のシステム及び方法は、従来の減圧及び/又は固定の解決策と比較して多くの利点を提供することができる。例えば、本明細書のシステム及び方法は、脊椎の露出が小さく、それに伴う患者外傷が低減されており、椎弓切除術の実施を容易とすることができる。本明細書のシステム及び方法は、骨との引っかかりが大きく、抜脱のリスクが低減され、逸脱した挿入のリスクが低減された軌道に沿った脊椎固定要素(例えば骨ねじ)の挿入も可能とする。
【0018】
固定アセンブリと対応する椎骨とのより強固な固定を可能にしうる、椎弓板に貫通させる固定手術が開示される。従来の挿入法と比較して固定アセンブリのそれぞれの軌道を正中線からより大きな角度に位置付けることができるため、背側への抜脱に対する抵抗が大きくなり、固定アセンブリが係合することができる表面積を大きくすることができる。軌道を考慮すると、固定アセンブリは、より大きな(例えば、より長い、かつ/又は幅広い)骨アンカー要素を有することができ、これもやはりより強固な固定に寄与するものである。更に、椎弓板に貫通させる打ち込み及び位置付け法は、脊柱管に実質的に垂直でかつ/又は脊柱管に向かう角度をなす従来の軌道と異なり、打ち込み時に固定アセンブリの遠位端を脊柱管から遠ざかる角度とすることができることから、傷害のリスクが大幅に低減される。更に、椎弓板に貫通させる打ち込み及び位置付け法を用いる場合、従来の直接的な打ち込み手法を用いた場合に必要とされる距離と比較して脊柱の正中線から大幅に短い距離にある、椎弓板に貫通させる進入点において、アセンブリを椎骨に進入させることができる。したがって、従来の手法と比較して、必要とされる外側方向の露出の量を大幅に低減させることができる。
【0019】
図1は、本明細書で一般的に椎弓板プレート100と呼ぶ、椎骨(例えば頸椎)用のインプラントの例示的な一実施形態を示したものである。プレート100の本体は、プレートが埋め込まれる時に患者の脊椎から遠くに面するように構成された後面102と、プレートが埋め込まれる時に、患者の脊柱管に向かって面し、その脊柱管に隣接して位置付けられるように構成された、
図2A及び2Bに示される前面104とを有することができる。プレート100は、上面100s及び下面100i、並びに第1及び第2の外側端部100a、100bも有することができる。プレート100には、例えば、プレート100の中心上下軸L
Cに沿って位置付けられた第1の中心穴106、並びに中心上下軸L
Cから外側にオフセットして位置付けられた第1及び第2の外側穴108、110のような、受容ヘッド(図に示されていない)と嵌合するための1つ又は2つ以上の機構が形成されていてよい。以下により詳細に述べるように、これらの機構は、使用者が椎弓板プレート100上に1つ又は2つ以上の受容ヘッドを選択的に位置付けることを可能とするものである。プレート100は、プレート100を椎骨と連結するための脊椎固定要素を受容することができる、例えば受容穴112、114のような1つ又は2つ以上の固定要素受容穴を更に有することができる。
【0020】
プレートは、異なるサイズ、形状、及び構成を有することができる。プレートの前面及び後面は、長方形、正方形、楕円形、又は円形といった様々な形に成形することができる。特定の態様では、プレートは、隣接する椎骨の椎弓板上に複数のプレートを位置付けることを容易とするようなサイズ及び形状とすることができる。
図1に示されるように、プレート100の上面100sは凹状の湾曲部分116を有することができ、プレート100の下面100iは凸状の湾曲部分118を有することができる。凹状部分116は、凸状部分118と実質的に一致していてよい。例えば、凹状部分116の曲率半径は、凸状部分118の曲率半径と実質的に等しくてよい。凹状部分116及び凸状部分118の形状及び曲率の大きさは異なりうるものであり、非限定的な例として、複合曲線、放物曲線などを有することができる。一般的に、凸状部分118にサイズ、形状、及び曲率の大きさが一致した凹状部分116を有することで、椎弓板プレートを、脊椎が曲げられる間、捻られる間、又は他の運動の間に互いに干渉及び接触することなく、隣接する椎骨上に位置付けることが可能となる。凹状部分116は、例えば隣接する上位椎骨の棘突起が椎弓板プレートに対して押しつけられることによって棘突起が脊椎の運動を制限することがないように、棘突起を位置付けることができる逃げ部を形成することもできる。凹状部分116及び凸状部分118の曲率半径は異なりうる。例えば、凹状部分116の曲率半径は約1〜約15mmの範囲であってよく、凸状部分118の曲率半径は約1〜約20mmの範囲であってよい。特定の態様では、凹状部分116及び凸状部分118の曲率半径は実質的に等しくてよい。
【0021】
認識されるように、プレート100の高さは水平方向に変化しうる。例えば、上面100sと下面100iとの間の距離は、図に示されるようにプレート100の第1の外側端部100aから第2の外側端部100bに水平方向にわたってほぼ等しくてもよく、又は上面と下面との間の距離は変化してもよい。図に示される実施形態では、上面100sと下面100iとの間の距離は、約18〜約20mmの範囲とすることができる。
【0022】
プレートは、
図2A〜2Bに最も分かりやすく示されるように、中心上下軸L
Cを中心として形成することができる湾曲部Xを有してよく、これにより、本体の前面は、プレートが埋め込まれる時に、患者の脊髄を覆って配置されるように構成された、湾曲した逃げ部を画定している。より詳細には、プレート100は、プレートの互いに対向した外側端部100a、100bがプレート100の中央部分の前側に位置付けられるように、中心上下軸L
Cを中心として湾曲させることができる。その結果、プレート100の後面102は、中心上下軸L
Cを中心とした実質的に凸状の形状を有することができる。プレート100の前面104は、後面102のサイズ及び曲率の大きさと実質的に同じサイズ及び曲率の大きさであってよい、中心上下軸L
Cを中心とした実質的に凹状の形状を有することができる。一般的に、湾曲部Xは、患者から椎弓板が除去される前の椎弓板の曲率と実質的に等しくてもよく、又は湾曲部Xは、脊髄と前面104との間により大きな空間を可能とするようにより大きな曲率を有してもよい。
【0023】
一部の実施形態では、椎弓板プレートは、リビングヒンジ、ばねなどの、使用者がその曲率を選択的に調節することを可能とする1つ又は2つ以上の機構を有してもよい。例えば、
図2C及び2Dは、プレートの曲率の大きさを調節するための調節機構130’を有する例示的な椎弓板プレート100’を示している。図に示される調節機構130’は、前後方向にプレートを貫通して延びる螺刻ロッド132’を有している。ナット134’がプレートの後面に隣接してロッド132’上に螺着され、拡張部材138’がプレートの前面に隣接してロッドに連結されている。プレートは、拡張部材138’の少なくとも一部をその内部に受容するように構成された凹部136’を更に有することができる。プレートは、弾性材料で形成することができる(例えば、プレートが折り畳まれた形態へと付勢されるように)。使用時には、使用者はナット134’を締め付けるか又は緩めることによってプレート100’を選択的に拡張及び圧縮させることができる。詳細には、ナット134’を締め付けることによって凹部136’内に拡張部材138’を楔の様に割り込ませ、プレートを
図2Dに示される拡張位置へと動かすことができる。螺刻ロッド132’は、図に示されるように、受容部材140’と連結されるように構成することができる。受容部材140’の特徴を以下により詳細に説明する。
【0024】
椎弓板プレート100は、椎骨(例えば頸椎)と嵌合するように構成することができ、椎弓板及び棘突起を両方とも脊椎から除去する完全椎弓切除術の後、プロテーゼとして機能することができる。椎弓板プレートは、後面102及び前面104に垂直な距離として測定される厚さtを有することができる。より詳細には、プレート100は、プレート100の中心上下軸L
Cにおける厚さt
1、並びにプレートの第1及び第2の外側端部100a、100bにおける第2の厚さt
2を有することができる。プレート100の厚さtは、プレート100の中心上下軸L
Cから第1及び第2の外側端部100a、100bにかけて増大してよい。これにより、プレート100が椎骨にしっかりと連結された状態に維持されるように、プレート100の両端に構造的支持を与えることができ、また、患者の解剖学的構造に合わせてプレートの中央部分に更なるクリアランスを与えることができる。
【0025】
プレート100の外側端部100a、100bは、椎骨上に残留する椎弓板の部分及び/又は椎弓根などの椎骨の異なる位置に連結することができる第1及び第2の外側嵌合機構120a、120bを有することができる。第1及び第2の外側嵌合機構120a、120bは、プレート100と椎骨との接触を促すようなサイズ、形状とし、様々な形の外形とすることができる。
図2A及び2Bに示されるように、第1及び第2の外側嵌合機構120a、120bは、約0.5〜約4mmの範囲の曲率半径を有する半円筒状又は半球状凹部122a、122bを有することができる。凹部122a、122bは、プレート100が接触する骨表面積を増大させうる、
図2Bに最も分かりやすく示されるような第1及び第2の延長部分124e、126eを画定することができる。これは、インプラント100が椎骨に連結される時に、プレート100が前後方向又は他の任意の方向にずれることを防止する助けとなりうる。認識されるように、外側嵌合機構120a、120bは他の形態を有してもよく、例えば椎骨と固定的に係合しうる切欠き、スリット、歯なども含みうる。
【0026】
椎弓板プレート100は、プレート100を椎骨と固定的な接触状態に保つ助けとなりうる固定要素を受容するための様々な機構を有することができる。再び
図1を参照すると、椎弓板プレート100は、例えば骨ねじのような固定要素をその内部に受容するようにそれぞれが構成されている、第1の受容穴112及び第2の受容穴114を有することができる。当業者には認識されるように、プレートは、例えばプレートの第1の外側端部に位置付けられた2つの受容穴及びプレートの第2の外側端部に位置付けられた2つの受容穴のように、任意の数の受容穴を有することができる。受容穴112、114の軸は、固定要素が受容穴に通される時に固定要素が椎骨内に(例えば椎骨の外側塊(LM)内に)貫通するように、プレート100に対して異なる方向に向けることができる。受容穴112、114のそれぞれを通って延びる中心軸L
Rとインプラントの中心腹背軸との間の角度θ
1は、約20°〜約70°の範囲、好ましくは約30°〜約50°の範囲とすることができる。
【0027】
椎弓板プレートとともに使用するための固定要素は、椎骨と係合するように構成された遠位部分を有する実質上任意の種類の要素であってよい。例えば
図3には、椎骨と係合するように構成された骨ねじ200が示されている。例示的な一実施形態では、骨ねじ200は、その遠位部分200dに沿って延びる1本又は2本以上の螺条202を有し、螺条202は、ねじ200を椎骨に効果的にねじ込んで椎骨内にしっかりと位置付けることを可能とする。ねじ200の近位部分200pは、ねじ200をプレート200に貫通させて骨内にねじ込むための挿入工具と係合させることができる1つ又は2つ以上の係合機構(図に示されていない)を有しうるヘッド204を有することができる。固定要素は、上記に示したように広範なサイズ及び/又は形状を有することができるが、椎弓板に貫通させて打ち込むことの1つの利点は、椎骨の正中線と外側塊との間の組織を切除及び/又は圧排して、骨ねじが椎骨の外側塊の内部に直接延びるように骨ねじを挿入する従来の手法と比較して、より長い要素を使用することが可能となる点である。例えば、
図3は、筋肉及び組織の更なる部分を取り去らなければならない従来の挿入法において用いられる骨ねじの長さよりも大幅に大きい長さL
Sを有する骨ねじ200の一実施形態を示している。長さL
Sは、約8〜約25mmの範囲とすることができる。ねじ200の遠位部分200dの直径D
Dは約1.5〜約4.0mmの範囲であってよく、ヘッド204の直径D
Hは約2.0〜約6.0mmの範囲であってよい。一部の実施形態では、ヘッド204の最大外径は、ねじの遠位部分200dの最大外径よりも小さいか又はこれと等しくてよい。
【0028】
使用時には、
図4Aに示されるように、椎弓板プレート100は椎骨V1に連結されることができ、第1及び第2の椎弓板のプロテーゼとして機能することができる。第1及び第2の外側嵌合機構120a、120bを椎骨V1と嵌合させることができ、外側塊(LM)内にそれぞれが延びる第1及び第2の骨ねじ200によって椎骨V1に固定することができる。プレート100の前面104は、脊髄、硬膜、及び脊柱管(SC)内に配置された他の解剖学的構造のための空間を与えることができる。
【0029】
椎弓板プレートは、脊椎の固定を可能とする受容ヘッドと選択的かつ/又は着脱可能に嵌合するための、本明細書では受容機構と呼ばれる、1つ又は2つ以上の凹部又は穴などの1つ又は2つ以上の機構を有することができる。認識されるように、椎弓板プレートには、プレートの異なる位置に位置付けられる、例えば0、1つ、2つ、3つ、4つ、5つ、などの任意の数の受容機構を形成することができる。
図4Bに示されるように、椎弓板プレート100は、プレート100の中心上下軸L
Cに沿って位置付けられた第1の中心受容機構106、並びに第1の中心受容機構106の外側に位置付けられた第1及び第2の外側受容機構108、110を含む3つの受容機構を有することができる。第1及び第2の外側受容機構108、110は、第1の中心受容機構106を通って延びる長手方向水平軸H
2からオフセットした、プレートの長手方向水平軸H
1に沿って位置付けることができる。すなわち、第1の中心受容機構106は、第1及び第2の外側受容機構108、110の下側に位置付けることができる。第1及び第2の外側受容機構108、110は、両側での安定性を与えるために、図の実施形態のように中心上下軸L
Cの両側に位置付けることができる。認識されるように、受容機構は、第1及び第2の外側受容機構108、110の上側に位置付けられた第1の中心受容機構106など、プレートに沿って様々な他の形で位置付けることができる。受容機構106、108、110のそれぞれは、プレート100の後面102及び前面104を貫通し、その表面102、104にほぼ垂直に、又はその表面102、104に対して斜めの角度で形成された穴とすることができる。一部の実施形態では、1つ又は2つ以上の受容機構を、プレートの前面を貫通しない凹部とすることができる。受容機構は、
図4Bに示されるように、その内面に沿って延びる1本又は2本以上の螺条のような、受容ヘッドとの嵌合を促す様々な機構を有することができる。以下に更に述べるように、受容ヘッド300は、受容機構内の内側螺条と嵌合するように構成された、ねじ308などの螺刻機構を有することができる。
【0030】
椎弓板プレートは、脊椎安定化要素(例えば、剛性又は可撓性の安定化ロッド、テザー、又はテープなど)としっかりと係合する様々な形で構成することができる。例えば、受容ヘッドは、任意の数の位置(例えば、プレートに形成された受容機構の任意のものなど)において椎弓板プレートと連結することができる。そのような受容ヘッドは、様々な形で脊椎安定化要素をしっかりと受容するように構成することができる。例えば、
図5Aに示される例示的な一実施形態では、受容ヘッド300は、安定化要素305を受容するように構成された「U」字形状の開口部302を有することができる。他の実施形態では、開口部302は、開口部302が安定化要素を受容することができるように、他の形状に成形することができる。受容ヘッドは、その内部に安定化要素を固定するための様々な形で構成することもできる。例えば、受容ヘッドは、その内周に沿った異なる内側螺条304を有してよく、ロックキャップ306又は止めねじなどの閉鎖機構を受容することが可能であり、これにより安定化要素305がヘッド300内部に固定される。これに代えるか、又はこれに加えて、受容ヘッドは外側螺条及びロックナットを有してもよい。当業者であれば、安定化要素を内部に保持するための様々な形で受容ヘッドを構成することができる点は認識されるであろう。
【0031】
本明細書のシステムは、例えば、複雑な脊椎変形を安定化させるため、プレートに対する受容ヘッドの枢動などの椎弓板プレートに対する受容ヘッドの運動を可能とするように構成することができる。受容ヘッドは、任意の所望の運動及び/又は運動範囲を与えるために任意の方法で椎弓板プレートと連結することができるが、例示的な一実施形態では、受容ヘッドは、プレートに対して多軸運動を行うことが可能である。受容ヘッドは、このような多軸運動を与えるような様々な形で構成及び/又は連結することができる点は認識されよう。例えば受容ヘッドは、プレートに形成された球状座部内に着座又は捕捉される球状部を有することができる。一部の実施形態では、受容ヘッドは、プレートに連結される時に椎弓板プレートに対して選択的に回転させることが可能であり、これにより、安定化要素を受容ヘッドに通す前に異なる受容ヘッドの開口部を互いに対して整列させることができる。一部の実施形態では、受容ヘッドは、一平面型(単一平面に沿って枢動するように構成される)又は単一軸型(プレートに対して軸方向に固定されておりプレートに対して枢動することはできない)とすることができる。
図5Bに示される実施形態では、受容ヘッド300’内に閉鎖機構306’を締める動作によって、ヘッド300’をその時点の角度位置においてプレート100に対してロックすることができる。これは、例えば、受容ヘッド300’を貫通してプレート100内に延びる拡張式アンカー要素308’によって実現可能であり、このアンカー要素308’は、安定化要素305がヘッド300’内でロックされる時に、ドライウォールアンカーと同じ要領で径方向外側に動く第1及び第2のアーム310a、310bのような1本又は2本以上のアームを有している。すなわち、閉鎖機構306’を回転させるとその下面が安定化要素305と接触する。これにより、安定化要素305が受容ヘッド300’内でクレードル309’に向かって下方に動かされる。クレードル309’は、その中に安定化要素305を着座させる上面311’と、アンカー要素308’と連結された下面313’とを有しうるため、安定化要素305がクレードル309’の上面311’内に着座させられると、ピン315’がアームの間で遠位方向に駆動されてアームを径方向外側に拡張させ、プレートにヘッド300’をロックする。受容ヘッドは、
図6Aに示されるような異なる位置に配置することができるが、1つの受容ヘッド300を、椎弓板プレート100の中心上下軸L
Cに沿った第1の中心嵌合機構に位置付けることができる。別の実施形態では、
図6Bに示されるように、第1及び第2の受容ヘッド300a、300bを、中心上下軸L
Cの両側の第1及び第2の外側嵌合機構にそれぞれ位置付けることができる。
【0032】
1つ又は2つ以上の安定化要素(例えば安定化ロッド)を椎弓板プレートの受容ヘッドに固定して、所望の治療効果をもたらすことができる。安定化要素は、剛性又は可撓性のロッド、テザー、テープ、ケーブル、生物学的構造体などであってよい。安定化要素は、患者の解剖学的構造及び/又は外科手術の必要条件に応じて選択される広範な寸法(例えば、長さ及び/又は直径)及び/又は形状(例えば、真っ直ぐ、外形が形成されている、など)を有することができる。やはり図に示されるように、例示的な方法は、患者の脊柱の正中線(ML)の両側に第1及び第2の安定化要素を位置付けることを含むか、又は、患者の脊柱の正中線(ML)に沿ってかつその上に1つの安定化要素を位置付けることを含みうる。椎弓板プレート及び脊椎固定アセンブリは、各種の固定要素を受容するように構成することができる。適当な脊椎安定化要素の非限定的な例としては、ロッド、テザー、ケーブル、プレートなどが挙げられる。脊椎安定化要素は様々な構成を有してよく、非限定的な例として、剛性、半剛性、折り曲げ可能、可撓性、などであってよい。脊椎安定化要素は、患者の体内へのこのようなシステムの癒合性を改善する更なる機構を有することができる。例えば、一部の実施形態では、脊椎安定化要素は、更に後述するように、軟組織が付着して癒合及び術後回復を促すことができるフィンを更に有することができる。
【0033】
例示的な一実施形態では、脊椎安定化要素は細長いロッドである。このロッドは実質的に真っ直ぐなものでよいが、ロッドが複数の椎骨にわたって延びることができるように、1つ又は2つ以上の次元に折曲されるか又は湾曲していてもよい。折曲又は湾曲部は任意の形状を取りうるが、ロッドは脊椎の湾曲に相補的なものであることが好ましい場合もある。したがって、ロッドの形状は、脊椎の自然な湾曲又は正中線(ML)に沿った脊椎の所望の術後の湾曲と実質的に同様なものとすることができる。例えば、ロッドは、1つの椎骨の棘突起から隣の椎骨の棘突起へと、それらの間で脊柱の輪郭と近密な関係を維持して延びるように湾曲させることができる。いくつかの例において、ロッドの湾曲は予め決定されたものでもよい。他の例において、ロッドが、その埋め込み位置と一致した形状とすることができるようにある程度の可撓性を有してもよい。更に他の例において、ロッドは、その長さに沿って任意の所望の形状に形成することができるように、完全に折り曲げ可能であってもよい。ロッドは、例えば頸椎の正中線から胸椎又は他の下位椎骨の外側へと延びるように、1つ又は2つ以上の平面(例えば冠状面)内で湾曲又は分枝してもよい。ロッドは、様々な断面を有してもよい。例えば、ロッドは円形の断面を有しうる。あるいは、脊椎の正中線上に使用されるロッドは、高いねじれ安定性を与えるような形状としてもよい。例えば、一実施形態では、ロッドは、不規則かつ/又は長方形の断面を有することができる。
【0034】
一部の実施形態では、角度調節可能な脊椎ロッドアセンブリを使用することができる。このアセンブリは、回転関節において互いに連結された第1及び第2のロッドを有することにより、第1のロッドと第2のロッドとの間の角度を調節することができる。一部の実施形態では、アセンブリは、外科医が第1及び第2のロッドを所望の角度関係に設定することを助けうる角度ゲージを有することができる。このようなアセンブリの使用は、本明細書では主として椎弓板プレートを必要とする固定手術に関連して開示されているが、アセンブリは、従来の椎弓根ねじを使用した後頭骨/頸椎固定術のような他の手術で使用することもできる。
図7Aに示されるように、角度調節可能な脊椎ロッドアセンブリ400は、枢動点408において互いに枢動可能に連結された第1及び第2の細長いアーム402、404を一般的に有することができる。第1及び第2のアーム402、404の一方は、それと一体形成されるか、又は連結された角度ゲージ406を有することができる。
図7Bに示されるように、角度ゲージ406は、角度又は他の単位の複数のマーキング410を有してよく、また、第1のアーム402と第2のアーム404との間の角度が調節される際に動くインジケータ412を有してよく、ゲージ406は、インジケータ412が第1のアーム402と第2のアーム404との間の現在の角度に対応したマーキングと揃うように校正されている。一部の実施形態では、インジケータ412を含む角度ゲージ406は、第1及び第2のアーム402、404から取り外し可能とすることができる。使用時には、アセンブリ400を患者体内に挿入して、患者の脊椎に取り付けられた受容要素にアーム402、404を連結することができる。次いで、患者の脊椎を角度ゲージによって示される所望の角度に調節することができ、その時点でロック部材又はねじ409(
図7Cに示される)を開口部411内に締め付けてアセンブリを所望の角度にロックすることにより、患者の脊椎を上記角度に固定することができる。これに代えるか又はこれに加えて、このようなアセンブリを測定器具として使用して、外科医に脊椎の複数の高さにわたる異なる受容ヘッド間の角度に関する推定値を与えることもできる。
【0035】
上記に述べた脊髄減圧及び/又は安定化のための様々なシステム及び装置に加えて、本明細書では、脊髄減圧及び/又は安定化を提供するための方法についても記載する。椎骨を減圧するための例示的な一方法は、一般に完全椎弓切除術と呼ばれる、椎骨の第1及び第2の椎弓板両方の除去を含むことができる。完全椎弓切除術は、必要に応じて、1個の椎骨に対して、連続した/隣接した椎骨に対して、交互の椎骨に対して、といった要領で行うことができる。頸椎に対して行われる例示的な椎弓切除術が
図8に示されており、第1及び第2の椎弓板L
A、L
Bの第1の切れ目Lから第2の切れ目Mまでの水平幅W、並びにその結果として生じる切断部分における第1及び第2の厚さT
A、T
Bを示している。水平幅Wは約15〜約30mmの範囲であってよく、第1及び第2の厚さは約2〜約8mmの範囲であってよい。切断部分の第1及び第2の厚さT
A、T
Bは、椎弓板プレート100の椎骨への連結を促すために、椎弓板プレート100の第1及び第2の外側嵌合機構120a、120bの厚さよりも小さいか又はこれと等しくすることができる。胸椎では、水平幅Wは、約10〜約20mmの範囲とすることができる。腰椎では、水平幅Wは、約10〜約35mmの範囲とすることができる。頸椎、胸椎、及び腰椎では、第1及び第2の厚さT
A、T
Bは、約2〜約8mmの範囲とすることができる。
【0036】
椎弓板プレートを椎骨に連結する固定要素の長さは、椎骨のサイズ及び形状に基づいて選択することができる。
図9A及び9Bは、頸椎C
3の異なる領域までの距離を示している。
図9Aは、第1及び第2の切断部分E、Fから第1及び第2の外側塊(LM)の外側又は前縁までの第1及び第2の距離D
1、D
2をそれぞれ示しており、第1及び第2の距離D
1、D
2は約10〜約20mmの範囲であってよい。
図9Bは、椎弓板を第1及び第2の切断部分A、Bで切断した場合の残りの椎弓板の長さを表す第1及び第2の距離D
3、D
4を示している。距離D
3、D
4は、約0〜約8mmの範囲とすることができる。胸椎では、第1及び第2の距離D
1、D
2は約15〜約22mmの範囲であってよく、第1及び第2の距離D
3、D
4は約0〜約5mmの範囲であってよい。腰椎では、第1及び第2の距離D
1、D
2は約15〜約30mmの範囲であってよく、第1及び第2の距離D
3、D
4は約0〜約10mmの範囲であってよい。
【0037】
図10は、切断部分K、Jから第1及び第2の孔F
A、F
Bまでの第1及び第2の距離D
5、D
6をそれぞれ示しており、第1及び第2の距離D
5、D
6は約10〜約20mmの範囲であってよい。これらの測定値に基づき、椎弓板プレート100を頸椎に固定するために使用される、例えば骨ねじなどの固定要素は、約10〜約20mmの範囲の長さ及び約2〜約8mmの範囲の幅を有する遠位骨係合部分を有することができる。外側塊を有さない、胸椎に貫通させられる固定要素では、固定要素は、約15〜約22mmの範囲の長さを有する遠位骨係合部分を有することができる。やはり外側塊を有さない、腰椎に貫通させられる固定要素では、固定要素は、約15〜約30mmの範囲の長さを有する遠位骨係合部分を有することができる。
【0038】
頸椎C
3の外側塊(LM)内への固定要素の軌道が、
図11A〜11Bに示されている。この進入角度は、椎骨の正中線L
Mに対して定義することができる。第1の椎弓板と第2の椎弓板との間で、椎骨C
3を減圧するために椎骨C
3から切り取られ、椎弓板プレートを受容する部分に概ね延びる水平軸H
3も示されている。
図11Aに示されるように、固定要素の軌道は、椎弓根を貫通して外側塊の中心部分の中へと延びてよく、椎骨の正中線L
Mに対して約60°の角度θ
最大をなすことができる。
図11Bに示されるように、固定要素の軌道は、椎孔の外側縁に向かって方向付けることができ、椎骨の正中線L
Mに対して約40°である、固定要素の最小角度θ
最小を定義することができる。胸椎及び腰椎では、固定要素の軌道は、約20°〜約70°の範囲の角度θ
最小〜θ
最大をなすことができる。θ
最小〜θ
最大は、特定の患者の解剖学的構造及び他の因子に基づいて本明細書で指定される非限定的な例示的値及び範囲よりも大きくても、又はこれよりも小さくてもよい点は認識されるであろう。
【0039】
固定要素はこれらの記載される角度範囲内で挿入することができ、これにより、固定要素の最も遠位の端部が、神経根又は椎骨動脈孔内に延びることなく、かつ/又は椎骨の外表面を貫通することなく、頸椎の外側塊のような椎骨内へと貫通する。完全椎弓切除術後に椎弓板の切断部分に固定要素を進入させ、外側塊に貫通させることを組み合わせて行うことで、従来の挿入法と比較してより長いねじを椎骨内に挿入することができる。これにより、固定要素と骨との固定性を向上させ、外科手術後に固定要素が骨から抜脱することを防止する助けとなることができる。プレートを貫通して椎骨内に延びる2つ又は3つ以上の固定要素を使用することも、抜脱を防止することができる。更に、従来の固定要素の配置法と比較して固定要素がより外側に延在することができる、固定要素が設置されうる角度は、後ろ方向に作用する抜脱力に対して大きな抵抗を与えることができる。
【0040】
図12を参照すると、頸椎正中線固定の方法は、本明細書に述べたタイプの複数の椎弓板プレートを複数の脊椎レベルに固定することを含むことができる。詳細には、方法は、患者の第1の椎骨V
1に第1の椎弓板プレート100を固定することと、第1の椎弓板プレート100に第1の受容ヘッド300を固定することと、患者の第2の椎骨V
2に第2の椎弓板プレート100を固定することと、第2の椎弓板プレート100に第2の受容ヘッド300を固定することと、を含むことができる。2本の骨ねじ200を、椎弓板貫通軌道で椎弓板プレートのそれぞれに貫通させ、各椎骨V
1、V
2の外側塊の内部へと挿入して、各椎弓板プレートをそれらの対応する椎骨と固定的な係合状態に固定することができる。図に示される実施形態では、各椎弓板プレート100の各受容ヘッド300は、患者の脊椎の正中線(ML)の上で整列されるように位置付けられている。次いで、脊椎安定化要素305を、患者の脊椎の正中線(ML)の上で第1及び第2の受容ヘッド300に固定することができる。一部の実施形態では、更なる椎骨レベルを含めることができる。例えば、やはり
図12に示されるように、本方法は、第3の椎骨V3に第3の椎弓板プレート100を固定することと、第3の椎弓板プレートに第3の受容ヘッド300を連結することと、第3の受容ヘッドに安定化要素305を固定することと、を含むことができる。一部の実施形態では、本方法は、受容ヘッドを、椎弓板プレートを貫通して挿入された1本又は2本以上の骨ねじ200に固定することを含むことができる。認識されるように、椎弓板プレートは、安定化要素を受容するための受容ヘッドを有する必要はなく、代わりに、複数の椎骨レベルにわたって固定又は安定化を与える代わりに椎弓板を置換し、脊髄を保護する目的で使用することができる。
【0041】
椎弓板プレートは、脊椎の連続した、隣接する椎骨レベルに配置するか、又は脊椎の交互のレベルに連結することができる。上記で述べたように、椎骨にプレートが連結される前に各椎骨に完全椎弓切除術が行われている場合、プレートは、その上面に形成された逃げ部を有してもよく、又はそうでない場合には、必要に応じて隣接する椎骨にプレートを連結することを可能とするサイズ及び形状とすることができる。本明細書の技法は、第1の椎骨に対する1回の椎弓切除術が正中線の第1の側で行われ、第2の、隣接する椎骨に対する1回の椎弓切除術が正中線の第2の側で行われる、といった具合に行われる、椎骨に1回の椎弓切除術を必要とする特定の既存の手術/プロテーゼとは異なるものである。本明細書の技法は、外科医が外側塊から組織を除去するか又は他の方法で外側塊を露出させる必要がなく、椎弓板プレートを、完全椎弓切除術を行った椎骨に連結することができ、この椎弓板プレートが脊髄の保護要素として機能しうることからも、従来の手術/プロテーゼとは異なっている。上記に述べたように、本開示の方法は、任意の数の椎弓板プレートを任意の数及び/又はパターンの椎骨に送達及び位置付けることを可能とするものである。他の実施形態では、本方法は、任意の数の椎弓板プレート(例えば、1、3、4、5つ、など)、及び任意の所望の長さの1乃至複数の脊椎安定化要素を受容かつ固定するように構成された任意の数の受容ヘッド(例えば、0、1、2、3、4、5、6つ、など)を含むことができる。更に、椎弓板プレートは、連続した椎骨、1個おきの椎骨、3個おきの椎骨に、又は特定の手術で必要とされる、かつ/又は好ましい任意の他のパターンで固定することができる。このような汎用性は、外科医が椎弓板プレート及び安定化要素を送達及び位置付けるための最適な椎骨の位置を選択することを可能とするものである。
【0042】
図13は、3つの椎弓板プレートを、連続した隣隣する椎骨に固定する例示的な一方法を示したものである。各椎弓板プレート100は、患者の脊椎の正中線(ML)から外側にオフセットして位置付けられた第1及び第2の受容ヘッド300a、300bを有することができ、第1の受容ヘッド300aは脊椎の正中線(ML)の第1の側に位置付けられ、第2の受容ヘッド300bは脊椎の正中線(ML)の第2の、反対側に位置付けられている。上記に述べた実施形態と同様、椎弓板プレート100は、複数の安定化要素、例えば2本の安定化ロッド305a、305bを、正中線(ML)からオフセットした所望の位置に位置付けるように、様々なパターン及び/又は構成で椎骨V
1、V
2、V
3に送達することができる。一部の実施形態では、上記に述べたものと同様、各椎弓板プレートは、1つおきの椎弓板に、3個おきの椎骨に、といった要領で連結することができる。簡単に言うと、本方法は、任意の数及び/又はパターンの標的椎骨内に位置付けられた任意の数の椎弓板プレートを含むことにより、少なくとも1つの安定化要素を所望の位置にしっかりと位置付けることができる。
【0043】
図14Aに示される別の例示的な方法では、二叉の、又は分枝した安定化要素305’を使用することができる。例えば、安定化要素305’は実質的にY字状であってよく、第1のアーム307a、第2のアーム307b、及び第3のアーム307cを有することができる。第1及び第2のアーム307a、307bは、第3のアーム307cに対して斜めの角度で延びることができる。図の実施形態では、第1及び第2のアーム307a、307bは第3のアーム307cの下方に配置され、第1及び第2の椎弓根ねじ200によって椎骨V3に固定されている。第3のアーム307cは、それぞれの椎弓板プレート100を介して1個以上の椎骨(例えば、図の椎骨V1、V2)に固定することができる。このようなロッドの構成は、脊柱に対するロッドの位置を正中線の位置から外側又はオフセットした位置へと、ロッドの長さに沿って変えることを可能とするものである。受容ヘッドの位置における、また、安定化要素のカスタカマイゼーションを可能とするこのような柔軟性は、外科医が本明細書の椎弓板プレートを使用して複雑な脊椎変形を矯正することを可能とするものである。
【0044】
図14Bに示される別の例示的な方法では、コネクタ500を、二叉の安定化要素の代わりに、又はそれに加えて使用することができる。コネクタ500は、脊椎ロッド506又は他の安定化部材を連結することができる複数の嵌合機構504が延出する中心横断部分502を有することができる。嵌合機構504は、ロック止めねじを備えた雌レセプタクルとして示されているが、クランプなどの、ロッドをコネクタに取り付けるための他の様々な構造をこの代わりに、又はこれに加えて使用することができる点は認識されるであろう。図のコネクタ500は二叉のY字状を有しており、この形状は、第1の安定化要素506Aを1個又は2個以上の椎骨の正中線の上に位置付け、第2及び第3の安定化要素506B、506Cを1個又は2個以上の他の椎骨の正中線の外側でかつ正中線の両側に位置付けることを可能とする。安定化要素506は、本明細書に述べられるタイプの椎弓板プレートを使用して、又は従来の骨アンカーを使用して椎骨に固定することができる。椎弓板プレート上の受容ヘッドの位置の柔軟性、及びロッド間の連結を形成できることもまた、外科医が複雑な脊椎変形を矯正することを可能とするものである。
【0045】
1個又は2個以上の椎骨を治療するための方法は、患者の身体に1つ又は2つ以上の切開を形成することと、筋肉及び組織を圧排して標的椎骨(例えば頸椎)にアクセスすることとを含むことができる。完全椎弓切除術は、第1の椎弓板又はその近くに第1の切れ目を、第2の反対側の椎弓板又はその近くに第2の切れ目を形成し、その記第1及び第2の椎弓板を患者の身体から除去することなどにより、標的椎骨に対して行うことができる。一部の実施形態では、椎弓板の切れ目間の距離は、約15〜約30mmの範囲とすることができ、椎骨を露出させるために圧排される筋肉/組織の外側方向の距離は、頸椎では約15〜約40mmの範囲とすることができる。一般的に、本明細書の技法における椎骨の露出の大きさは、固定要素が椎弓板に貫通させられるのではなく、外側塊の内部に直接挿入される従来の手術における大きさよりも小さくすることができる。大きな切開及び外側方向の大きな切除は患者の失血量を増大させる傾向にあるため、これにより、患者の外傷を低減し、治癒を促すことができる。椎弓板プレートのサイズ、形状、及び曲率は、固定要素が椎弓板を貫通して延びるように選択されることから、外科医が外側塊を露出させる必要がなく、したがって、露出の大きさは従来の手術におけるよりも小さくなる。椎骨に形成される切れ目を削ぐか、外形を形成するか、又は他の形で改変することによって、椎弓板プレートの外側端部と連結するために切断面に準備処置を行うことができる。
【0046】
椎弓板プレートは、患者体内に挿入し、設置位置(例えば、プレートの第1の外側端部が椎骨の第1の切断部分と接触及び/又はこれを受承し、プレートの第2の外側端部が椎骨の第2の切断部分と接触及び/又はこれを受承することによって、プレートが椎骨のその第1及び第2の切断された椎弓板端部にまたがる位置)に位置付けることができる。1つ又は2つ以上の固定要素を、プレートに貫通させて椎骨内に挿入することができる。例えば、第1の固定要素(例えば骨ねじ)を、プレートの第1の受容穴に通して挿入し、第2の固定要素(例えば骨ねじ)を、プレートの第2の受容穴に通して挿入することができる。一部の実施形態では、固定要素のそれぞれの遠位部分は椎骨の外側塊内に貫通させることができ、これにより固定強度を高めることができる。椎弓板プレートは、プレートに連結された受容ヘッド/安定化要素を有する必要はなく、脊椎を安定化させることなく脊髄を保護する椎弓板プロテーゼとして機能しうる。受容ヘッドがないことで、本明細書に開示される軌道に沿った固定要素の挿入を容易とするのに適当なクリアランスが与えられ、椎骨を更に外側方向に露出させる必要を最小限に抑えるか又はなくすことができる。
【0047】
他の実施形態では、1つ又は2つ以上の受容ヘッドを椎弓板プレートに連結して、脊椎の安定化及び脊髄の保護の両方を行うことができる。かかる実施形態では、受容ヘッドは、椎弓板プレートを患者体内に挿入する前、又は椎弓板プレートを患者体内に位置付けた後、骨ねじ又は他の固定要素を挿入してプレートを椎骨に取り付ける前若しくは後に、椎弓板プレートに連結することができる。上記1つ又は2つ以上の受容ヘッドを取り付ける前に骨ねじを設置することにより、外科医に、本明細書に開示される軌道に沿って骨ねじを挿入するのに適当なクリアランスが与えられ、椎骨を更に外側方向に露出させる必要を最小限に抑えるか又はなくすことができる。椎弓板プレートが患者体内に位置付けられた後に受容ヘッドを挿入することによっても、外科医が解剖学的構造を通じて進む能力を向上させることができる。椎弓板プレートを挿入する工程、固定要素を介してプレートを椎骨に固定する工程、及び、1つ又は2つ以上の受容ヘッドをプレートに連結する工程は、脊椎の任意のレベルにおいて、複数の椎骨で繰り返すことができる。一部の実施形態では、椎弓根ねじ又は他の固定要素を椎骨内に挿入し、椎弓板プレートを用いずに受容ヘッドに連結することができる。受容ヘッド及びプレートがこのように位置付けられた状態で、安定化要素(例えばロッド)を受容ヘッドに通して挿入することができる。受容ヘッドは、安定化要素を受容ヘッドに通すことができるように、必要に応じて枢動させるか又は他の形で角度的に方向付けることができる。例えば止めねじ又はロックナットのようなロック要素を受容ヘッドのそれぞれに挿入して、各受容ヘッドの角度をプレートに対してロックし、かつ/又は安定化要素を受容ヘッドに取り付けることができる。例えば両側での安定化が望ましい場合に、これらの工程を第2の安定化要素で繰り返すことができる。所望の安定化が実現された後、切開を閉じることができる。
【0048】
図15A〜15Cは、棘突起及び椎弓板を除去する前に椎骨内に固定要素(図に示されていない)を挿入することを可能とするガイド器具600を示している。これにより、椎弓切除術後に脊髄が露出される時に、先の尖った鋭利な器具の使用を最小限に留めることができる。図に示されるように、ガイド器具600は、クランプ部材604と、調節可能な係止要素606と、ガイドスリーブ608とを含む水平本体602を有することができる。ガイド器具600は、棘突起の最も後方の端に挿入される固定ピン若しくはねじにより、又は棘突起の第1及び第2の外側面と係合する図のクランプ部材604によってなど、様々な形で椎骨に連結することができる。例えば、
図15Aは、棘突起に固定的に連結される器具600の中心部分に配置されたクランプ部材604を有するガイド器具600を示している。
【0049】
クランプ部材604は様々な構成を有しうるが、図の実施形態では、棘突起の両側に固定されうる第1及び第2のアーム610a、610bを有している。アーム610a、610bは、例えば棘、針など、器具600と棘突起との間の固定強度を高めるための様々な表面機構612を有することができる。
図15Bに示されるように、クランプ部材604は、ノブ614を回転させて螺刻シャフトを前進させ、第1のカムブロック616aを第2のカムブロック616bに対してスライドさせてアーム610a、610b間の水平距離を小さくすることによって、棘突起上に選択的にロックすることができる。
【0050】
器具600の第1の外側端部は、係止要素618の遠位端622が椎弓板と接触するように、必要に応じて前進又は後退させることができる螺刻部材620のような調節可能な係止要素618を有することができる。これにより、
図15Bに示されるように、器具600の水平部材602を椎弓板に対して確実に平行となるようにすることができる。あるいは、調節可能な係止要素は、水平部材602に平行な他の軌道に適合させるために用いることもできる。器具600は、ガイドアーム624を有する器具600の第2の外側端部に配置されたガイドスリーブ608を有することができる。図に示されるように、ガイドスリーブ608は、水平部材602に平行な軌道を規定する、アーム624に形成された開口部623を有している。これにより、器具600は、ドリリング、タッピング加工、及び/又はねじ挿入に使用することができる、椎弓板内への軌道を確立することができる。
【0051】
認識されるように、器具600は様々な形で異なりうる。例えば、
図15Cは、水平部材602’と、ガイドスリーブ608’と、クランプ部材の代わりに固定ピン604’とを有するガイド器具600’を概略的に示している。このガイド器具600’は、椎弓板(図に示されていない)と連結することができる第1及び第2の椎弓板ドッキング点626a’、626b’を更に有している。椎骨に対する器具600’の位置に関係なく、ガイドスリーブ608’とドッキング点626a’、626b’との間には固定された深さxが存在する。
【0052】
図16A〜16Eは、「最初にねじを用いる」方法の例示的な一実施形態を示したものである。上記に述べた方法と同様、この方法は、患者の身体に1つ又は2つ以上の切開を形成することと、筋肉及び組織を圧排して標的椎骨(例えば頸椎)にアクセスすることとを含んでよく、椎骨の露出の大きさは、固定要素が椎弓板に貫通させられるのではなく、外側塊の内部に直接挿入される従来の手術における大きさよりも小さくすることができる。大きな切開及び外側方向への大きな切除は患者の失血量を増大させる傾向にあるため、これにより、患者の外傷を低減し、治癒を促すことができる。この実施形態では、固定要素200A、200Bを、椎弓切除術を行う前、かつ椎骨上に椎弓板プレートを設置する前に、椎骨内に挿入することができる。認識されるように、これにより、ドリリング及び固定要素の挿入時に脊髄が椎弓板及び棘突起の両方によって保護された状態に維持されるため、脊髄を傷つけるリスクが低減される。
【0053】
図16Aは、椎骨、より詳細には棘突起に連結されるガイド器具600’を示している。図に示されるように、ドリル700をガイドスリーブ608に通して挿入することができ、椎骨の椎弓板800を貫通して第1の外側塊LM内に延びる軌道を辿るような角度に向けることができる。認識されるように、椎骨の正中線に対するドリル(図に示されていない)の角度は、
図11A及び11Bに示したθ
最小〜θ
最大の範囲とすることができる。器具600’を使用して所望の角度を設定した後、器具600’をこの角度にロックし、ドリル700を椎骨の解剖学的構造を辿る軌道に沿って遠位方向に前進させることができる。ドリル700の遠位先端部を、例えば椎弓板又は外側塊内の所望の終点に達するまで前進させることで、骨内に経路を形成することができる。固定要素200A(例えば骨ねじ)を、例えば器具600’のガイドスリーブ608’を介してこの経路を通じて椎骨内部に挿入することができる。これらの工程を、第2の固定要素200B(例えば骨ねじ)で繰り返すことができる。
図16Bに示されるように、頸椎では、固定要素200A、200Bのそれぞれの遠位端を外側塊LMの最も遠位の位置に位置付けることができる。やはり
図16Bに示されるように、固定要素200A、200Bは、各固定要素の近位端が次の工程で椎弓板が切断される平面の下に引っ込んだ位置となるように、椎骨内に前進させることができる。このような配置を促すため、固定要素200A、200Bは、最大外径がねじの螺刻軸の最大外径よりも小さいか又はそれに等しい、高さの低い頭部を有するねじとすることができる。
【0054】
第1及び第2の固定要素200A、200Bが椎骨内部に挿入された後、
図16Cに示されるような完全椎弓切除術を行うことができる。上記の実施形態と同様、完全椎弓切除術を標的椎骨に対して行うことができ、椎骨に形成された切れ目を削ぐか、外形を形成するか、又は他の形で改変して、椎弓板プレートの外側端部と連結するために切断面に準備処置を行うことができる。切断面間の相対距離は、上記に述べたものと同じであってよい。次いで、
図16Dに示されるように、第1及び第2の固定要素200A、200Bを近位方向に動かすことができ(例えば、ねじの場合では逆方向に回すことにより)、これにより、固定要素200A、200Bが切断された椎弓板の端部から突出して椎弓板プレートを受承する準備が整う。次いで、
図16Eに示されるように、椎弓板プレート100’を突出した固定要素200A、200B上に設置することができる。詳細には、椎弓板プレートを、患者体内に挿入し、設置位置(例えば、プレートの第1の外側端部が椎骨の第1の切断部分と接触及び/又はこれを受承し、プレートの第2の外側端部が椎骨の第2の切断部分と接触及び/又はこれを受承することによって、プレートが椎骨のその第1及び第2の切断された椎弓板端部にまたがる位置)に位置付けることができる。椎弓板プレート100’は、例えば
図2C及び2Dに示されるように手術部位により効果的に適合するように圧縮位置と拡張位置との間で椎弓板プレートが動くことを可能とする機構など、本明細書で述べた機構のいずれを有することもできる。椎弓板プレート100’が設置された後、1つ又は2つ以上の受容ヘッド140’をプレート若しくは固定要素200A、200Bに連結するか、又は、プレート100’を、受容ヘッド及び安定化要素を必要としないプロテーゼとして単独で使用することができる。
【0055】
椎弓板プレートは、上記に述べたタイプの「最初にねじを用いる方法」における使用を促すための各種の機構のいずれを有することもできる。例えば、
図2C〜2Dに示される実施形態では、椎弓板プレートを拡張形態に変化させることができ、これにより、椎弓板プレートは固定要素200A、200Bと係合するように拡張して、固定要素にしっかりと取り付けられる。更なる例として、椎弓板プレートは、1つ又は2つ以上のフック、又は固定要素200A、200Bをその中に受容することができる1つ又は2つ以上のスロットを有することができる。
図17A〜17Cは、切断された椎弓板から突出する固定要素200A、200Bの一部を受容するためのスロット150を有する椎弓板プレート100の例示的な一実施形態を示したものである。各スロット150は、プレート100の外側端部から、スロット内に受容される固定要素200の中心長手方向軸と実質的に同一直線上の軸に沿って内側に延びることができる。プレート100はまた、上記1つ又は2つ以上のスロット150のそれぞれに対応した1つ又は2つ以上の開口部152も有することができ、固定要素をスロット内にロックするためのロック機構154をこの開口部152に通して受容することができる。例えば、図に示されるように、スロット150のそれぞれはスロット150に垂直に延びる開口部152を有し、この開口部152の中にロックねじ154を受容することができる。固定要素200がスロット150内に位置付けられた後、ロックねじ154を開口部152内に前進させて固定要素と係合させ、固定要素をスロット内に固定することができる。一部の実施形態では、ロックねじ154はその近位端に形成された受容ヘッドを有することができ、この受容ヘッド内に脊椎安定化要素を受容することができる。
【0056】
本明細書に述べたシステム及び装置のいずれも、例えば小腸粘膜下組織(SIS)、真皮、及び心膜組織などの軟組織の治癒を促す生体材料とともに使用することができる。これらの材料は、その周囲で組織を治癒させる接着性増強表面を与えることができ、金属、プラスチックなどの表面に一体化することができる。生体材料は、例えば、ブタ、ウシ、ウマ、及びヒトなどの様々な由来源から抽出することができる。この材料を、1つ又は2つ以上の受容ヘッドに沿って、椎弓板プレートの後面に沿って、及び/又は複数の受容ヘッドを通じて延びる安定化要素に沿って、など、装置の様々な位置に付着させることができる。例えば、
図18は、椎弓板プレート100の受容ヘッド300に結合され、受容ヘッド300から後方に延びる生体材料156を有する椎弓板プレート100の受容ヘッド300を示している。認識されるように、生体材料と装置との取り付けは様々な方法で行うことができる。例えば、外科医は、椎弓板プレートなどの装置が患者に埋め込まれた後、装置上に材料を手で位置付けることができ、必要に応じてこの材料を患者の組織に縫合することができる。別の実施形態では、椎弓板インプラント、受容ヘッド、及び/又は安定化要素を、組織の接着を促す生物学的表面仕上げを有するように製造プロセスの間に改変することができる。
【0057】
本明細書の装置は、患者の体内に挿入することができる様々な生体適合性材料で形成することができる。プレート、ねじ、受容ヘッドなどを形成するための例示的な材料の非限定的な例としては、ステンレス鋼、チタン、ポリマー、セラミック、同種移植片、及び/又はこれらの組み合わせが挙げられる。上記に述べたように、脊椎安定化要素は様々な特性を有することができ、非限定的な例として、剛性、半剛性、折り曲げ可能、可撓性であってよい。安定化要素を形成するための例示的な材料の非限定的な例としては、ステンレス鋼、チタン、ポリマー、セラミック、及び/又はこれらの組み合わせが挙げられる。
【0058】
以上、特定の実施形態を参照して本発明を説明したが、記載された発明の概念の趣旨及び範囲内で多くの変更がなされうる点を理解されたい。したがって、本発明は記載された実施形態に限定されるものではなく、むしろ、以下の「特許請求の範囲」の文言によって定義される完全な範囲を有するものとする。
【0059】
〔実施の態様〕
(1) 脊椎インプラントであって、
前面、後面、上面、及び下面を有する本体であって、椎弓切除術が実施された椎骨に対して、前記本体の第1の外側端部が前記椎骨の第1の切断された椎弓板端部の少なくとも一部を受承し、前記本体の第2の反対側の外側端部が前記椎骨の第2の反対側の切断された椎弓板端部の少なくとも一部を受承することにより、前記本体が前記椎骨の前記第1及び第2の切断された椎弓板端部にまたがるような設置位置に位置付け可能である、本体と、
前記本体の前記第1の外側端部に形成された第1の骨アンカー受容穴であって、前記本体が前記椎骨に対する前記設置位置に配置される時に、前記第1の骨アンカー受容穴を通して挿入される骨ねじが椎骨の第1の外側塊の内部に延びるような角度をなす、第1の骨アンカー受容穴と、
前記本体の前記第2の外側端部に形成された第2の骨アンカー受容穴であって、前記本体が前記椎骨に対する前記設置位置に配置される時に、前記第2の骨アンカー受容穴を通して挿入される骨ねじが椎骨の第2の反対側の外側塊の内部に延びるような角度をなす、第2の骨アンカー受容穴と、を備える、脊椎インプラント。
(2) 前記本体に形成された、受容ヘッドを選択的に連結することができる少なくとも1つの嵌合機構を更に備える、実施態様1に記載のインプラント。
(3) 前記少なくとも1つの嵌合機構が、前記本体の中心上下軸に沿って配置された中心嵌合機構を含むことにより、前記本体が椎骨に対する前記設置位置に配置される時に、前記中心嵌合機構は前記椎骨の正中線の上に位置付けられている、実施態様2に記載のインプラント。
(4) 前記少なくとも1つの嵌合機構が、前記本体の中心上下軸から外側にオフセットして位置付けられた第1及び第2の外側嵌合機構を含む、実施態様2に記載のインプラント。
(5) 前記少なくとも1つの嵌合機構が、前記本体に形成された螺刻穴を含む、実施態様2に記載のインプラント。
【0060】
(6) 前記本体の前記上面は、前記本体が隣接する下位椎骨に対する前記設置位置に配置される時に、上位椎骨の棘突起を受容するように構成された、湾曲した逃げ部を画定する、実施態様1に記載のインプラント。
(7) 前記本体が、前記本体の中心上下軸を中心として湾曲していることにより、前記本体の前記前面は、前記本体が椎骨に対する前記設置位置に配置される時に、脊髄を保護するための湾曲した逃げ部を画定する、実施態様1に記載のインプラント。
(8) 前記本体に形成された前記少なくとも1つの嵌合機構に受容ヘッドを選択的に連結するように構成された嵌合機構を有する受容ヘッドを更に備える、実施態様2に記載のインプラント。
(9) 前記受容ヘッドが、多軸連結、一平面連結、及び単一軸連結の少なくとも1つを介して前記本体に連結されるように構成されている、実施態様8に記載のインプラント。
(10) 前記第1の骨アンカー受容穴は、前記本体の最も後方の区域が存在する平面に対して約120°〜約140°の範囲の角度で延びている、実施態様1に記載のインプラント。
【0061】
(11) 椎骨を減圧するための方法であって、
患者の椎骨から第1及び第2の椎弓板を除去することにより、第1の切断された端部と第2の切断された端部とを形成することと、
椎弓板プレートの第1の終端部が前記椎骨の前記第1の切断された端部と接触し、前記椎弓板プレートの第2の終端部が前記椎骨の前記第2の切断された端部と接触するように、前記患者体内に前記椎弓板プレートを挿入することと、
前記椎弓板プレートの第1の骨ねじ穴を通して、前記椎骨の第1の外側塊の内部へと第1のねじを挿入することと、
前記椎弓板プレートの第2の骨ねじ穴を通して、前記椎骨の第2の外側塊の内部へと第2のねじを挿入して、前記椎弓板プレートを前記椎骨に連結することと、
前記患者体内に前記椎弓板プレートを挿入した後、前記椎弓板プレートに受容ヘッドを取り付けることと、を含む、方法。
(12) 前記第1及び第2の骨ねじが前記椎弓板プレートを貫通して挿入された後、前記受容ヘッドが前記椎弓板プレートに取り付けられている、実施態様11に記載の方法。
(13) 前記第1及び第2の骨ねじが前記椎弓板プレートを貫通して挿入された後、前記受容ヘッドが前記第1の骨ねじ及び前記第2の骨ねじの一方に取り付けられている、実施態様11に記載の方法。
(14) 脊椎の複数の連続した椎骨レベルに完全椎弓切除術を実施することと、前記連続した椎骨レベルのそれぞれに椎弓板プレートを連結することとを更に含む、実施態様11に記載の方法。
(15) 各椎弓板プレート内に受容ヘッドを取り付けることを更に含む、実施態様14に記載の方法。
【0062】
(16) 前記受容ヘッド内に脊椎安定化要素を挿入することを更に含む、実施態様15に記載の方法。
(17) 前記安定化要素が、前記脊椎の正中線の上に位置付けられている、実施態様16に記載の方法。
(18) 前記安定化要素が、前記脊椎の正中線から外側方向にオフセットして位置付けられている、実施態様16に記載の方法。
(19) 前記第1の切断された端部と前記第2の切断された端部との間の距離が、約15〜約30mmの範囲である、実施態様11に記載の方法。
(20) 前記方法を実施する際に前記椎骨のわずかに約15〜約40mmが前記椎骨の正中線に対して外側方向に露出させられている、実施態様11に記載の方法。
【0063】
(21) 椎骨を治療するための方法であって、
第1のねじを椎骨の第1の椎弓板の内部に挿入することと、
第2のねじを前記椎骨の第2の椎弓板の内部に挿入することと、
前記第1及び第2のねじを挿入した後、前記第1及び第2の椎弓板の少なくとも一部を除去することにより、第1の切断された端部と第2の切断された端部とを形成することと、
前記第1及び第2のねじが前記第1及び第2の切断された端部からそれぞれ突出するように、前記椎骨から前記第1及び第2のねじを部分的に引き抜くことと、
椎弓板プレートの第1の終端部が前記椎骨の前記第1の切断された端部と接触し、前記椎弓板プレートの第2の終端部が前記椎骨の前記第2の切断された端部と接触するように、前記第1及び第2のねじに前記椎弓板プレートを取り付けることと、を含む、方法。
(22) 前記第1及び第2のねじに前記椎弓板プレートを取り付けた後、前記椎弓板プレートに少なくとも1つの受容ヘッドを取り付けることを更に含む、実施態様21に記載の方法。
(23) 前記第1及び第2のねじに前記椎弓板プレートを取り付けることは、前記椎弓板プレートを第1の圧縮位置から、前記プレートが前記ねじと係合する第2の拡張位置へと動かすことを含む、実施態様21に記載の方法。