特許第6733045号(P6733045)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6733045
(24)【登録日】2020年7月10日
(45)【発行日】2020年7月29日
(54)【発明の名称】排ガス後処理用のハニカム体
(51)【国際特許分類】
   B01J 35/04 20060101AFI20200716BHJP
   F01N 3/28 20060101ALI20200716BHJP
【FI】
   B01J35/04 321A
   F01N3/28 301Z
   B01J35/04 311A
【請求項の数】10
【全頁数】13
(21)【出願番号】特願2019-508830(P2019-508830)
(86)(22)【出願日】2017年8月15日
(65)【公表番号】特表2019-527620(P2019-527620A)
(43)【公表日】2019年10月3日
(86)【国際出願番号】EP2017070645
(87)【国際公開番号】WO2018033527
(87)【国際公開日】20180222
【審査請求日】2019年2月15日
(31)【優先権主張番号】102016215289.0
(32)【優先日】2016年8月16日
(33)【優先権主張国】DE
(73)【特許権者】
【識別番号】508097870
【氏名又は名称】コンチネンタル オートモーティヴ ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツング
【氏名又は名称原語表記】Continental Automotive GmbH
(74)【代理人】
【識別番号】100114890
【弁理士】
【氏名又は名称】アインゼル・フェリックス=ラインハルト
(74)【代理人】
【識別番号】100098501
【弁理士】
【氏名又は名称】森田 拓
(74)【代理人】
【識別番号】100116403
【弁理士】
【氏名又は名称】前川 純一
(74)【代理人】
【識別番号】100135633
【弁理士】
【氏名又は名称】二宮 浩康
(74)【代理人】
【識別番号】100162880
【弁理士】
【氏名又は名称】上島 類
(72)【発明者】
【氏名】カーステン クルーゼ
(72)【発明者】
【氏名】ペーター ヒアト
(72)【発明者】
【氏名】フランク ボーネ
(72)【発明者】
【氏名】クリスティアン ショアン
【審査官】 中村 俊之
(56)【参考文献】
【文献】 特開平10−314601(JP,A)
【文献】 特表2005−522625(JP,A)
【文献】 特開平07−308588(JP,A)
【文献】 特開平05−309277(JP,A)
【文献】 特表2015−515363(JP,A)
【文献】 特開2003−013724(JP,A)
【文献】 特開平02−273546(JP,A)
【文献】 特開2007−038140(JP,A)
【文献】 特開平09−242530(JP,A)
【文献】 特開2003−120255(JP,A)
【文献】 特表2007−537848(JP,A)
【文献】 特開2008−104990(JP,A)
【文献】 特開平09−029107(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B01D 53/73
B01D 53/86− 53/90
B01D 53/94
B01D 53/96
B01J 21/00− 38/74
F01N 3/00− 3/38
F01N 9/00− 11/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
排ガス後処理用のハニカム体(1)であって、
ケーシング(2)と、
多数の通路(4)を有するハニカム構造(3)と、
を備え、
前記ハニカム構造(3)は、少なくとも部分的に構造化された少なくとも1つの層(5)と、少なくとも1つの平滑層(6)とを交互に有して形成されており、
前記ハニカム構造(3)の横断面(7)は、複数の半径方向のゾーン(8,9)を有し、
記ハニカム構造(3)の少なくとも1つの軸方向の区間(10)において、内側の半径方向のゾーン(8)では前記少なくとも1つの平滑層(6)が途切れることがなく、外側の半径方向のゾーン(9)では前記少なくとも1つの平滑層(6)が存在しない部分があるように、前記少なくとも1つの平滑層(6)が構成され、かつポジショニングされている、
排ガス後処理用のハニカム体。
【請求項2】
前記少なくとも1つの平滑層(6)は、前記内側の半径方向のゾーン(8)にのみ設けられている、請求項1記載のハニカム体。
【請求項3】
前記少なくとも1つの平滑層(6)の平滑層長さ(13)は、前記外側の半径方向のゾーン(9)において、前記内側の半径方向のゾーン(8)における長さよりも短い、請求項1記載のハニカム体。
【請求項4】
前記平滑層長さ(13)は、半径方向外側に向かって減少する、請求項3記載のハニカム体。
【請求項5】
前記少なくとも1つの平滑層(6)は、前記外側の半径方向のゾーン(9)に少なくとも1つの切欠き(14)を有し、前記切欠き(14)の切欠き長さ(15)は、半径方向外側に向かって増加する、請求項1記載のハニカム体。
【請求項6】
前記少なくとも1つの平滑層(6)は、前記外側の半径方向のゾーン(9)に多数の穴(16)を有し、前記穴(16)の少なくとも穴サイズ(28)または穴密度(29)は、半径方向外側に向かって増加する、請求項1記載のハニカム体。
【請求項7】
前記少なくとも1つの平滑層(6)の少なくとも第1のエッジ(17)または第2のエッジ(18)は、最大値(20)を前記内側の半径方向のゾーン(8)の領域に有するとともに、最小値(21)を前記外側の半径方向のゾーン(9)の領域に有するプロファイル(19)を有する、請求項1記載のハニカム体。
【請求項8】
前記通路(4)は、前記ハニカム体(1)の第1の端面(22)から前記ハニカム体(1)の第2の端面(23)へと延在し、前記通路(4)は、前記ハニカム体(1)の中心軸線(24)に対して斜めに延びる、請求項1から7までのいずれか1項記載のハニカム体。
【請求項9】
前記ハニカム体(1)は、円錐形に形成されている、請求項1から8までのいずれか1項記載のハニカム体。
【請求項10】
排ガス後処理用のハニカム体(1)を製造する方法であって、
前記ハニカム体(1)は、少なくともケーシング(2)と、多数の通路(4)を有するハニカム構造(3)とを有し、前記ハニカム構造(3)の横断面(7)は、複数の半径方向のゾーン(8,9)を有する、方法において、
a)少なくとも部分的に構造化された少なくとも1つの層(5)を用意し、
b)少なくとも1つの平滑層(6)を用意し、
c)前記ハニカム構造(3)を形成するように前記層(5,6)を交互に配置し、かつ曲成し、
d)前記ハニカム構造(3)を前記ケーシング(2)内に嵌め込み、
e)前記ハニカム構造(3)を前記ケーシング(2)に結合する、
ステップを少なくとも備え、
前記ハニカム構造(3)の少なくとも1つの軸方向の区間(10)において、内側の半径方向のゾーン(8)では前記少なくとも1つの平滑層(6)が途切れることがなく、外側の半径方向のゾーン(9)では前記少なくとも1つの平滑層(6)が存在しない部分があるように、前記少なくとも1つの平滑層(6)を構成し、かつポジショニングする、
排ガス後処理用のハニカム体を製造する方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、排ガス後処理用のハニカム体と、排ガス後処理用のハニカム体を製造する方法とに関する。ハニカム体は、触媒担体本体として移動型の内燃機関の排ガス装置内に装入または排ガス装置内で使用することができる。このようなハニカム体は、特に大きな表面を提供し、その表面上に触媒活性を有する材料が、ポジショニングされ、ハニカム体を貫流する排ガスと接触させられる。本発明は、特に自動車における排ガス浄化に使用される。
【背景技術】
【0002】
既に多数の種々異なる構成の排ガス後処理用のハニカム体が公知である。基本的には、セラミックからなるハニカム体と、金属からなるハニカム体とで区別される。比較的簡単な製造と、比較的薄い壁厚さ、ひいては単位体積あたりの比較的大きな表面を提供する可能性とに基づいて、特に金属のハニカム体が、冒頭で挙げた目的のためには好適である。このようなハニカム体は、平滑なかつ/または構造化された金属の層または薄板シートにより構成されていることができる。これらの金属の層は、積層され、巻回されかつ/または曲成され、最終的にハニカム体のケーシング内に配置されることができ、その結果、排ガスが貫流可能な多数の通路が形成されている。その際、通路は、例えば直線状に、曲成されてかつ/または斜めに、このようなハニカム体の端面間に延在することができる。
【0003】
排ガスをハニカム体の内壁またはそこに配置される触媒コーティングにできる限り緊密に接触させる目的で、ハニカム体を通る排ガスの層流を減じる手段が既に提案されている。例えば開口を通路壁内に設けてもよく、その結果、互いに連通する通路が形成される。同じく、通路内での適切な流動偏向、通路間の圧力差等を実現すべく、通路内に偏向構造、案内羽根等を設けることも公知である。しかし、その際に考慮すべきことは、場合によってはハニカム体内の排ガス流動の強められた偏向により、ハニカム体にわたる圧力損失も高まることである。このことは、内燃機関の出力損失に至らしめることがある。それというのも、これにより形成されるせき止め圧力が、内燃機関からの排ガスの排出を妨げてしまうことがあるからである。
【0004】
まさに自動車製造に際しては、別の要求がこのようなハニカム体またはその製造に課される。そして、特に焦点となるのは、製造をできる限り低コストかつ簡単なものにすることである。さらに、このようなハニカム体は、移動型の排ガス系内でかなりの熱的かつ/または動的な交番負荷に曝されているため、ここでも、これらの条件下でのこのようなハニカム体の耐久性に特に高い要求が課されることについても考慮すべきである。
【0005】
加えて、特にハニカム体の特定の使用領域では、例えばハニカム体が排ガス経路内の偏向部の下流および/または排ガス管路の湾曲部の下流に配置されているとき、ハニカム体への不均一もしくは非一様な吹き付けは、回避できないか、または比較的高い手間もしくはコストを要してのみ回避することができる。このことは、通例、このようなハニカム体が一様には貫流され得ないため、ハニカム体を理想的には使用できないことにつながる。例えば、この種の不均一な吹き付けの場合、特に、場合によっては存在する触媒コーティングを完全にはかつ/または理想的には排ガスと接触させることができないため、かつ/または場合によってはハニカム体の、分離機能を具備して構成された個々のまたは複数の通路が十分には貫流されないため、ハニカム体の浄化作用が減じられてしまうことがある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
このことから出発して、本発明の課題は、従来技術に関して述べた問題を少なくとも部分的に解決することである。とりわけ、特に排ガス装置内でのハニカム体の不利な組み込み状況でも、ハニカム体のできる限り一様なまたはより一様な貫流を可能にする、排ガス後処理用のハニカム体と、排ガス後処理用のハニカム体を製造する方法とを提供する。加えて、ハニカム体は、できる限り簡単かつ低コストに製造可能であることが望ましい。
【課題を解決するための手段】
【0007】
これには、独立請求項の特徴によって特徴付けられた装置または方法が寄与する。別の有利な構成は、従属請求項に記載されている。付言すると、従属請求項に個々に記載の特徴は、任意の技術的に有意義な形式で互いに組み合わされてもよく、本発明の別の構成を規定する。さらに、特許請求の範囲に記載の特徴を明細書において詳しく特定するとともに、説明し、そこでは本発明のさらなる好ましい構成を示す。
【0008】
排ガス後処理用のハニカム体は、ケーシングと、多数の(貫流可能な)通路を有するハニカム構造とを備え、ハニカム構造は、少なくとも部分的に構造化された少なくとも1つの特に金属の層と、少なくとも1つの特に金属の平滑層とを有して形成されている。ハニカム構造の1つの(または少なくとも1つの特定)横断面は、複数の半径方向のゾーンを有し、少なくとも1つの平滑層は、ハニカム構造の少なくとも1つの軸方向の区間において、内側の半径方向のゾーンにおける第1のセル密度が、外側の半径方向のゾーンにおける第2のセル密度と比較して高くなるように構成され、かつポジショニングされている。このことは、換言すれば、ハニカム構造の少なくとも1つの軸方向の区間におけるハニカム構造の横断面が、複数の(特徴の異なる)半径方向のゾーンを有し、(少なくとも1つの軸方向の区間において)内側の半径方向のゾーンに、外側の半径方向のゾーンにおける第2のセル密度よりも高い第1のセル密度が提供されるように、少なくとも1つの平滑層が構成され、かつポジショニングされていることを特に意味している。
【0009】
提案するハニカム体は、特に自動車の内燃機関の排ガスを後処理するために用いられる。提案するハニカム体は、特に半径方向で変化する/異なっているまたは可変の/変わり得る流動抵抗を有している。提案するハニカム体と、以下でさらに提案する方法とは、特に、ハニカム体の流動抵抗が、外側の半径方向のゾーンにおいて比較的低いセル密度に基づいて(適切に)減じられているため、特に排ガス装置内でのハニカム体の不利な組み込み状況でも、ハニカム体の一様なまたはより一様な貫流を有利な形式で実現する。セル密度の異なる複数の半径方向のゾーンを有したハニカム構造の構成にもかかわらず、ハニカム体は、特に、異なるセル密度が(専ら)平滑層の構成およびポジショニングにより調整可能であるため、有利な形式で比較的簡単かつ低コストに製造可能である。加えて、少なくとも部分的に構造化された1つの層の隣接する領域同士および/または隣接する少なくとも部分的に構造化された複数の層同士が嵌り合うことは、平滑層によって防止し得るので、少なくとも部分的に構造化された少なくとも1つの層を保持する付加的な支持構造は、必ずしも必要でない。さらに、ハニカム体を製造する既存の工具が使用可能である。それというのも、そこでは、特にこの種の層セットを曲成する巻回工程を技術的に簡単に適合させることができるからである。
【0010】
ハニカム体は、基本的には、様々な形状、特に円形、オーバル、多角形またはこれに類する形の横断面を有していてもよい。しばしば、このようなハニカム体は、管類似のケーシングを備えて形成される。その際、排ガスは、運転中、通例、ハニカム体の第1の端面を介して流入し、ハニカム体の第2の端面を介して再流出する。好ましくは互いに略平行に配置される端面は、通例、ハニカム体の中心軸線方向でのハニカム体の(軸方向の)長さを規定する。この中心軸線は、両端面を通り、特に少なくとも一方の端面、好ましくは両方の端面に対して垂直にかつ中央に配置されている。
【0011】
ハニカム体は、少なくとも部分的に構造化された少なくとも1つの(金属の)層を備えている。その際、1つの(単一の)層が、平滑な区間と、構造化された区間とを、またはそれぞれ異なる構造化が施された複数の区間を有していてもよい。その際、少なくとも部分的に構造化された(金属の)層の構造は、好ましくは、長さ全体にわたって、つまり第1の端面と第2の端面との間に形成されている。少なくとも部分的に構造化された(金属の)層の構造は、特に第1の端面から第2の端面へと延在する凸部および凹部により形成されている。凸部および凹部は、例えば層内に押し込み加工されている。凸部および凹部は、横断面で見て正弦波、ジグザグ形またはこれに類する形態を形成してもよい。好ましくは、少なくとも部分的に構造化された少なくとも1つの層と、少なくとも1つの平滑層とは、ハニカム体の(軸方向の)長さ全体にわたって延在している。通路またはその横断面は、(専ら)構造化された層と平滑な層との領域によって画定されていることができる。
【0012】
ハニカム構造の1つの横断面は、それぞれ異なるセル密度を有する複数の半径方向のゾーンを有している。ハニカム構造の、特に中心軸線に沿ってかつ/または軸方向で互いに間隔を置いた複数の横断面が、それぞれ異なるセル密度を有する複数の半径方向のゾーンを有していることもある。ハニカム構造のこの横断面またはここで見たようなこれらの横断面は、それぞれ、特にハニカム体の中心軸線に対して直交するように方向付けられた横断面の平面内に位置している。「軸方向」および「半径方向」なる概念は、ここでは、特に断りのない限り、ハニカム体の中心軸線に関する。
【0013】
少なくとも1つの平滑層は、ハニカム構造の少なくとも1つの軸方向の区間において、内側の半径方向のゾーンにおける第1のセル密度が、外側の半径方向のゾーンにおける第2のセル密度と比較して高くなるように構成され、かつポジショニングされている。好ましくは、特に中心軸線に沿ってかつ/または軸方向で互いに間隔を置いた複数の軸方向の区間に、セル密度の異なる複数の半径方向のゾーンがハニカム構造内に設けられている。さらに好ましくは、少なくとも1つの軸方向の区間が、ハニカム体の少なくとも第1の端面または第2の端面に対して間隔を置いている。好ましくは、半径方向のゾーンは、ハニカム構造の軸方向の長さ(全体)に沿って延在している。
【0014】
好ましくは、第1のセル密度に対する第2のセル密度の比は、0.1ないし0.7の範囲、特に好ましくは、0.25ないし0.6の範囲内にある。好ましくは、第1のセル密度は、300ないし1000cpsi(平方インチあたりのセル数)の範囲、特に400ないし800cpsiの範囲内にある。さらに好ましくは、第2のセル密度は、100ないし600cpsiの範囲、特に100ないし400cpsiの範囲内にある。
【0015】
好ましくは、複数の外側の半径方向のゾーン、特にそれぞれ異なるセル密度を有する複数の外側の半径方向のゾーンが設けられており、これらの外側の半径方向のゾーンにおけるセル密度は、それぞれ、内側の半径方向のゾーンにおけるセル密度よりも小さい。単数または複数の外側の半径方向のゾーンは、特に、内側の半径方向のゾーンを少なくとも部分的に、好ましくは完全に包囲するように配置されている。好ましくは、内側の半径方向のゾーンは、ハニカム体の中心軸線の領域にまたはハニカム体の中心軸線の周りに配置されている。さらに好ましくは、外側の半径方向のゾーンは、ケーシングの領域にまたはケーシングに接するように配置されている。
【0016】
内側の半径方向のゾーンは、様々な形状、特に円形、オーバル、多角形またはこれに類する形の横断面を有していてもよい。好ましくは、内側の半径方向のゾーンは、少なくとも50cm(平方センチメートル)の大きさを有している。好ましくは、内側の半径方向のゾーンは、70ないし85cmの範囲内の大きさを有している。外側の半径方向のゾーンは、少なくとも70cmの大きさを有していることができる。好ましくは、外側の半径方向のゾーンは、90ないし120cmの範囲内の大きさを有している。さらに好ましくは、内側の半径方向のゾーンおよび外側の半径方向のゾーンの(総)横断面積に対する、内側の半径方向のゾーンの(内側)横断面積の比は、0.3ないし0.6の範囲、特に0.4ないし0.5の範囲内にある。好ましくは、少なくとも内側の半径方向のゾーンまたは外側の半径方向のゾーンは、ハニカム体の中心軸線に対して同軸に配置されている。換言すれば、内側の半径方向のゾーンは、好ましくは、ハニカム構造の横断面に関して中央に配置されている。
【0017】
好ましくは、少なくとも内側の半径方向のゾーンまたは外側の半径方向のゾーンは、少なくとも排ガス装置内でのハニカム体の組み込み状況に応じて、またはハニカム体に吹き付ける排ガス流動の吹き付けプロファイルに応じて配置されている。この場合、内側の半径方向のゾーンは、ハニカム体の中心軸線に対して偏心してポジショニングされていてもよい。例えばハニカム体が(直接的に)排ガス装置内の偏向部の下流および/または排ガス管路の湾曲部の下流に配置されているように、排ガス装置または排ガス管路内でのハニカム体の組み込み状況がなっている場合、ハニカム体に吹き付ける排ガス流動の流動プロファイルは、ハニカム体の中心軸線に対して偏心して配置される流動プロファイル最大値を有していることがある。流動(吹き付け)プロファイルは、流動(吹き付け)横断面にわたる流動速度の分布を示している。流動(吹き付け)プロファイル最大値は、特に最大の吹き付け速度の領域にある。好ましくは、内側の半径方向のゾーンは、ハニカム体の吹き付けに関して中央に、特にハニカム体に吹き付ける排ガス流動の流動(吹き付け)プロファイル最大値に関して中央に配置されている。特に好ましくは、内側の半径方向のゾーンは、内側の半径方向のゾーンの中央の領域が、ハニカム体に吹き付ける排ガス流動の流動(吹き付け)プロファイル最大値を覆うまたは流動(吹き付け)プロファイル最大値に重なるように配置されている。
【0018】
提案する有利な一構成によれば、少なくとも1つのまたは各平滑層は、内側の半径方向のゾーンにのみ設けられている。好ましくは、少なくとも1つの平滑層は、ハニカム体の(軸方向の)長さ全体にわたって延在している。
【0019】
提案する別の有利な一構成によれば、少なくとも1つの平滑層の平滑層長さは、外側の半径方向のゾーンにおいて、内側の半径方向のゾーンにおける長さよりも短い。平滑層長さは、ハニカム体の軸方向または長手方向での平滑層の延在寸法を表している。好ましくは、平滑層長さは、半径方向外側に向かって減少する。特に好ましくは、平滑層長さは、(半径方向)外側に向かって連続的に、特にリニアに減少する。さらに好ましくは、平滑層長さは、最大値を内側の半径方向のゾーンの領域に有するとともに、最小値を外側の半径方向のゾーンの領域に有している。好ましくは、平滑層は、菱形の形態で形成されており、特に菱形の互いに反対側に位置する2つの先端は、(半径方向)外側に向かっており、菱形の互いに反対側に位置する2つの別の先端は、ハニカム体の端面に向かっている。特に好ましくは、菱形の、ハニカム体の端面に向かっている先端は、それぞれ、内側の半径方向のゾーンの(半径方向で)中央の領域に位置している。好ましくは、少なくとも1つの平滑層は、ハニカム体の中央の軸方向の領域に相当する領域で(のみ)、完全に内側の半径方向のゾーンと外側の半径方向のゾーンとにわたって延在している。提案する別の有利な一構成によれば、少なくとも1つの平滑層は、外側の半径方向のゾーンに少なくとも1つの切欠きを有し、(同じ)切欠きの切欠き長さは、半径方向外側に向かって増加する。切欠き長さは、ハニカム体の軸方向または長手方向での切欠きの延在寸法を表している。好ましくは、切欠き長さは、(半径方向)外側に向かって連続的に、特にリニアに増加する。好ましくは、平滑層は、双三角形の形態で形成されており、特に双三角形の、互いに反対側に位置する2つの三角形底辺は、ハニカム体の端面に向かっており、双三角形の両三角形の側辺および/または先端は、ハニカム体の長さの中央の領域で集合するまたは結合されている。好ましくは、少なくとも1つの平滑層は、ハニカム体の第1の端面の領域および/またはハニカム体の第2の端面の領域で(のみ)、完全に内側の半径方向のゾーンと、外側の半径方向のゾーンとにわたって延在している。
【0020】
提案する別の有利な一構成によれば、少なくとも1つの平滑層は、外側の半径方向のゾーンに多数の穴を有し、穴の少なくとも穴サイズまたは穴密度は、半径方向外側に向かって増加する。代替的または累積的に、少なくとも1つの平滑層の空隙率が、半径方向外側に向かって増加してもよい。穴は、内側の半径方向のゾーンにも設けられていてよく、これらの穴は、特に外側の半径方向のゾーンにおける穴よりも小さい穴サイズおよび/または穴密度を有している。好ましくは、穴の穴直径は、(半径方向)外側に向かって増加する。さらに好ましくは、隣接する穴間の間隔は、(半径方向)外側に向かって減少する。好ましくは、穴の穴サイズまたは穴直径は、2mmないし20mm(ミリメートル)の範囲、特に5mmないし15mmの範囲内にある。好ましくは、少なくとも1つの平滑層は、ハニカム体の第1の端面および/またはハニカム体の第2の端面の領域で(のみ)、完全に内側の半径方向のゾーンと、外側の半径方向のゾーンとにわたって延在している。さらに好ましくは、少なくとも1つの平滑層は、穴間に配置される少なくとも1つの軸方向の領域で(のみ)、完全に内側の半径方向のゾーンと、外側の半径方向のゾーンとにわたって延在している。
【0021】
提案する有利な一構成によれば、少なくとも1つの平滑層の少なくとも第1のエッジまたは第2のエッジは、最大値を内側の半径方向のゾーンの領域に有するとともに、最小値を外側の半径方向のゾーンの領域に有する(波形)プロファイルを有している。平滑層は、好ましくは、第1のエッジがハニカム体の第1の端面に向かっており、第2のエッジがハニカム体の第2の端面に向かっているように配置されている。第1のエッジおよび/または第2のエッジのプロファイルは、正弦波、ジグザグ形またはこれに類する形態を形成してもよい。第1のエッジおよび/または第2のエッジの(波形)プロファイルは、特に、プロファイルの最大値および最小値がハニカム体の軸方向の一方向または他方向に延在するように形成されている。これにより、平滑層は、プロファイルが付与された第1のエッジおよび/または第2のエッジの領域でも平滑に形成されている。好ましくは、第1のエッジまたは第2のエッジのみが、(波形)プロファイルを有している。
【0022】
提案する有利な一構成によれば、通路は、ハニカム体の第1の(流入)端面からハニカム体の第2の(流出)端面へと延在し、通路は、ハニカム体の中心軸線に対して斜めに延びている。好ましくは、少なくとも部分的に構造化された層の構造または少なくとも部分的に構造化された層の凸部および凹部の、ハニカム体内での配置は、これらが中心軸線に対して斜めに延びるように実施される。これにより特に、中心軸線に対して平行ではなく、斜めに延びる通路が形成される。特に好ましくは、構造は、(半径方向で見て)隣接する領域または隣接する層内に設けられた凸部および凹部が、それぞれ異なって傾けられているかまたは互いに異なる配向を有しているように特徴付けられている。殊に特に好ましいのは、これらの方向付けまたは配向が半径方向で見て常に交互となることである。このことは、特に、凸部および凹部が少なくとも部分的に、かつ好ましくは、ハニカム体のいずれの箇所でも、線形に重なり合わず、互いに交差し、ひいては互いに略点形の載置点のみを形成するに至る。これにより、部分排ガス流が絶えず偏向され、隣接する凸部または凹部内に流入、特にジグザグの形態で流入し得る構造を得ることができる。好ましくは、凸部または凹部と中心軸線と間の角度は、最大20°(角度)である。特にこの角度は、1°ないし10°の範囲、殊に特に好ましくは、2°ないし6°の範囲内にあるようにしてもよい。ハニカム体の中心軸線に対して斜めに延びる通路は、特に、少なくとも1つの平滑層が内側の半径方向のゾーンにのみ設けられている場合に、有利である。この場合、交差する凸部および凹部は、有利な形式で、少なくとも部分的に構造化された単数または複数の層同士が、外側の半径方向のゾーンにおいて嵌り合うことを防止することができる。
【0023】
提案する有利な一構成によれば、ハニカム体は、円錐形に形成されている。好ましくは、少なくともハニカム体のケーシングまたはハニカム構造は、円錐の形態で形成されている。その際、通路は、同じく円錐形に拡張または狭窄することができる。好ましくは、ケーシング壁とハニカム体の中心軸線との間の角度は、0.5°ないし5°(角度)の範囲、特に1°ないし2°の範囲内にある。円錐形のハニカム体またはハニカム体の円錐形のケーシングは、特に、平滑層長さが、最小値を外側の半径方向のゾーンの領域に有している場合に、かつ/または少なくとも1つの平滑層の第1のエッジまたは第2のエッジ(のみ)が、最小値を外側の半径方向のゾーンの領域に有する(波形)プロファイルを有している場合に、有利である。この場合、ハニカム構造内で上述の最小値の(軸方向の)領域において場合によっては発生する予圧減少には、ハニカム体またはケーシングの円錐状の形状が有利な形式で対抗するように作用することができる。
【0024】
好ましくは、少なくとも1つの平滑層は、特にハニカム体の軸方向に対して平行に方向付けられた平滑層の中心線に対して対称に形成されている。好ましくは、少なくとも1つの平滑層は、少なくとも部分的に、ケーシングの特に実質的に互いに反対側に位置する2つの領域へと延在している。さらに好ましくは、少なくとも1つの平滑層の、互いに反対側に位置する2つのエッジは(部分的に)、かつ/または少なくとも部分的に構造化された少なくとも1つの層の、互いに反対側に位置する2つのエッジは、ケーシング内面と接触する。
【0025】
ハニカム構造は、少なくとも部分的に構造化された少なくとも1つの(金属の)層と、少なくとも1つの(金属の)平滑層とを有し、これらの層は、巻回され、曲成され(gewunden)かつ/または積層されていることができる。好ましくは、少なくとも部分的に構造化された少なくとも1つの(金属の)層と、少なくとも1つの(金属の)平滑層とを有してs字形に曲成されている積層体を有するハニカム構造が製造されている。複数の積層体が使用される場合、積層体は、u字形かつ/またはv字形に曲げられる配置として相並んで配置され、かつ互いに曲成されて、ケーシング内に収められていることができる。両構成は、一般的に、積層体および/または層のすべての端部が外側に向かって方向付けられている(つまり、ケーシングに当接している)一方、曲げ部(s、v、u)が内部にポジショニングされている点で、共通している。積層体内には、それぞれハニカム体の通路を画定する少なくとも部分的に構造化された層と平滑層とが、好ましくは交互に存在する。通路の壁は、平滑(通路の延び方向で平坦かつ/または組み込み部材なし)であるかつ/または突出部、ベーン、穴および/または排ガス用の偏向面を有していることができる。そうして、ディスク形のハニカム体を通過する排ガス流動が、(例えば流動速度、部分流動方向、温度および/またはこれに類するパラメータに関して)均されるかつ/または混ぜ合わされることができる。
【0026】
別の一態様によれば、排ガス後処理用のハニカム体を製造する方法であって、ハニカム体は、少なくともケーシングと、多数の特に貫流可能な通路を有するハニカム構造とを有し、ハニカム構造の横断面は、(異なる)複数の半径方向のゾーンを有する、方法において、
a)少なくとも部分的に構造化された少なくとも1つの層を用意し、
b)少なくとも1つの平滑層を用意し、
c)ハニカム構造を形成するようにこれらの層を配置し、かつ曲成し、
d)ハニカム構造をケーシング内に嵌め込み、
e)ハニカム構造をケーシングに結合する、
ステップを少なくとも備え、ハニカム構造の少なくとも1つの軸方向の区間において、内側の半径方向のゾーンにおける第1のセル密度が、外側の半径方向のゾーンにおける第2のセル密度と比較して高くなるように、少なくとも1つの平滑層を構成し、かつポジショニングする、排ガス後処理用のハニカム体を製造する方法を提案する。
【0027】
好ましくは、当該方法を、ここで紹介するハニカム体を製造するために使用する。方法ステップの示した順序は、当該方法の正規の進行時に生じる。個々のまたはすべての方法ステップは、同時に、相前後してかつ/または少なくとも部分的に並行して実施されてもよい。
【0028】
好ましくは、特に平滑層をステップc)において、少なくとも部分的に構造化された少なくとも1つの層に関して(規定通りに)配置するまたは方向付けると、この平滑層によって、内側の半径方向のゾーンに、外側の半径方向のゾーンにおける第2のセル密度よりも高い第1のセル密度が提供されるように、少なくとも1つの平滑層をステップb)において、成形された状態で用意するか、または成形かつ/または加工する。好ましくは、ステップe)における結合は、熱を用いた接合法、特に溶接法または(硬)ろう付け法により実施される。
【0029】
ハニカム体との関連で述べた詳細、特徴および有利な構成は、ここで紹介する方法でも相応に成立することがあり、逆もまたしかりである。その点では、そこで述べた説明が、特徴をより詳しく特定するために全面的に援用される。
【0030】
別の一態様によれば、特にここで紹介する排ガス後処理用のハニカム体を、好ましくは自動車の内燃機関の排ガスの後処理のために使用することを提案する。ハニカム体および/または方法との関連で前述した詳細、特徴および有利な構成は、ここで紹介する使用でも相応に成立することがあり、逆もまたしかりである。その点では、そこで述べた説明が、特徴をより詳しく特定するために全面的に援用される。
【0031】
別の一態様によれば、特に自動車であって、排ガス装置を有する内燃機関を備え、排ガス装置は、ここで説明するハニカム体を有して構成された少なくとも1つの触媒担体または粒子状物質分離装置を有している、自動車を提案する。その際、触媒担体および/または粒子状物質分離装置は、場合によってはハニカム体の軸方向の部分区間で異なって構成されていてもよい触媒活性を有するコーティングを有していてもよい。
【0032】
本発明および技術的環境について、以下に図面を参照しながら詳しく説明する。付言すると、本発明は、図示の実施例により限定されるものではない。特に、図面に示した事項の部分態様を抜き出し、他の図面および/または本明細書に記載の別の構成部分および/または知見と組み合わせることも、特に断りのない限り可能である。
【図面の簡単な説明】
【0033】
図1】セル密度の異なる複数の半径方向のゾーンを有するハニカム体の概略正面図である。
図2】積層体の概略正面図である。
図3図2に示した積層体の要部概略図である。
図4】平滑層の概略平面図である。
図5】別の平滑層の概略平面図である。
図6】別の平滑層の概略平面図である。
図7】別の平滑層の概略平面図である。
図8】円錐状のハニカム体の概略断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0034】
図1は、セル密度の異なる複数の半径方向のゾーン8,9を備えるハニカム体1の正面図を概略的に示している。ハニカム体1は、ケーシング2と、多数の通路4を有するハニカム構造3とを備えている。ハニカム構造3の横断面7は、それぞれ異なるセル密度を有する複数の半径方向のゾーンを有し、内側の半径方向のゾーン8における第1のセル密度11は、外側の半径方向のゾーン9における第2のセル密度12と比較して高くなっている。
【0035】
図2は、積層体25の正面図を概略的に示しており、積層体25は、少なくとも部分的に構造化された3つの金属の層5と、4つの金属の平滑層6とを有している。積層体25は、例えばs字形に、ハニカム体(ここでは図示せず)用のハニカム構造(ここでは図示せず)へと巻回または曲成されることができる。図2には、ハニカム構造(ここでは図示せず)の少なくとも1つの軸方向の区間(ここでは図示せず)において、内側の半径方向のゾーン8における第1のセル密度11が、外側の半径方向のゾーン9における第2のセル密度12と比較して高くなるように、平滑層6が構成され、かつポジショニングされていることが示されている。このために、平滑層6は、例示的に内側の半径方向のゾーン8にのみ設けられている。図2に示した平滑層の構成および配置により、内側の半径方向のゾーン8において、外側の半径方向のゾーン9における第2のセル密度12の2倍の大きさの第1のセル密度11が実現される。半径方向のゾーン8,9は、積層体25をハニカム構造へと巻回または曲成することで初めて生じるため、図2では、積層体25の領域の、半径方向のゾーン8,9に対する将来的な対応関係を略示したにすぎない。
【0036】
図3には、図2に示した積層体25の要図を示してある。図3に示した要図は、少なくとも部分的に構造化された層6同士の配置に関する。図3に示した図示によれば、通路4は、ハニカム体(ここでは図示せず)の第1の端面22からハニカム体の第2の端面23へと延在し、通路4は、ハニカム体の中心軸線24に対して斜めに延びている。中心軸線24は、図3には方向を規定するためだけに記入してある。斜めに延びる通路4を形成すべく、少なくとも部分的に構造化された複数の層6の凸部26および凹部27が、互いに対してかつ中心軸線24に対して斜めに延びるように配置されている。説明のために図3には、凸部26および凹部27間の角度αを記入してある。交差する凸部26および凹部27は、ここでは、図2および図3に示した例によれば、少なくとも部分的に構造化された層6間に平滑層が設けられていない外側の半径方向のゾーン9においても、少なくとも部分的に構造化された層6同士が嵌まり合わないという利点を提供する。
【0037】
図4は、ハニカム構造(ここでは図示せず)の1つの軸方向の区間10において、内側の半径方向のゾーン8における第1のセル密度(ここでは図示せず)が、外側の半径方向のゾーン9における第2のセル密度(ここでは図示せず)と比較して高くなるように構成され、かつポジショニング可能である平滑層6の平面図を示している。このために例示的に、平滑層6の平滑層長さ13は、外側の半径方向のゾーン9において、内側の半径方向のゾーン8における長さよりも短い。加えて、図4には、平滑層長さ13が、半径方向外側に向かって連続的に、ここではそれどころかリニアに減少することが示されている。平滑層6は、ここでは、菱形の形態で形成されている。平滑層6が、図4に示した図示によれば、内側の半径方向のゾーン8にも外側の半径方向のゾーン9にも設けられていることは、少なくとも部分的に構造化された層同士が嵌り合うことを両ゾーンにおいて防止できるという利点を提供する。
【0038】
図5は、ハニカム構造(ここでは図示せず)の1つの軸方向の区間10において、内側の半径方向のゾーン8における第1のセル密度(ここでは図示せず)が、外側の半径方向のゾーン9における第2のセル密度(ここでは図示せず)と比較して高くなるように構成され、かつポジショニング可能である別の平滑層6の平面図を示している。このために平滑層6は、外側の半径方向のゾーン9に例示的に切欠き14を有し、切欠き14の切欠き長さ15は、半径方向外側に向かって連続的に増加している。平滑層6は、ここでは、双三角形の形態で形成されている。図5に示した図示によれば、平滑層6が、ハニカム体(ここでは図示せず)の第1の端面22の領域と、ハニカム体の第2の端面23の領域とで、完全に内側の半径方向のゾーン8と、外側の半径方向のゾーン9とにわたって延在していることは、第1の端面22および第2の端面23に、予圧と、ハニカム構造(ここでは図示せず)の良好なろう接性とを維持することができるという利点を提供する。
【0039】
図6は、ハニカム構造(ここでは図示せず)の3つの軸方向の区間10において、内側の半径方向のゾーン8における第1のセル密度(ここでは図示せず)が、外側の半径方向のゾーン9における第2のセル密度(ここでは図示せず)と比較して高くなるように構成され、かつポジショニング可能である別の平滑層6の平面図を示している。このために平滑層6は、外側の半径方向のゾーン9に多数の穴16を有し、穴16の穴サイズ28および穴密度29は、半径方向外側に向かって増加している。図6に示した図示によれば、平滑層6が、ハニカム体(ここでは図示せず)の複数の軸方向の領域で、完全に内側の半径方向のゾーン8と、外側の半径方向のゾーン9とにわたって延在していることは、予圧と、良好なろう接性とを、ハニカム構造(ここでは図示せず)の(略)全体で維持することができるという利点を提供する。
【0040】
図7は、ハニカム構造(ここでは図示せず)の1つの軸方向の区間10において、内側の半径方向のゾーン8における第1のセル密度(ここでは図示せず)が、外側の半径方向のゾーン9における第2のセル密度(ここでは図示せず)と比較して高くなるように構成され、かつポジショニング可能である別の平滑層6の平面図を示している。このために、平滑層6の第1のエッジ17は、最大値20を内側の半径方向のゾーン8の領域に有するとともに、最小値21を外側の半径方向のゾーン9の領域に有する(波形)プロファイル19を有している。平滑層6の第2のエッジ28は、直線状に構成されているので、平滑層は、ハニカム体の第2の端面23の領域で、完全に内側の半径方向のゾーン8と外側の半径方向のゾーン9とにわたって延在している。このことは、第2の端面23に、予圧と、ハニカム構造(ここでは図示せず)の良好なろう接性とを維持することができるという利点を提供する。加えて、図7に示した平滑層6の形態は、平滑層6が(ほぼ)切り屑なしに例えば帯材から製造可能であるという利点を提供する。
【0041】
図8は、円錐状のハニカム体1の断面図を概略的に示している。ハニカム体1は、中心軸線24を備えている。図8に示した図示によれば、ハニカム体1のケーシング2と、ハニカム体1の、ケーシング2内に配置され、かつ保持されたハニカム構造3とが、ハニカム体1の第1の端面22からハニカム体1の第2の端面23に向かって円錐状に拡張することが看取可能である。このような円錐形のハニカム体1は、例えば、少なくとも1つの平滑層(ここでは図示せず)が図7に示した図示に則して形成されていると、有利である。こうすると、少なくとも1つの平滑層の曲成中に生じる軸方向で可変のハニカム構造3の予圧を、ハニカム体1のケーシング2の軽微なテーパによって(略)補償することができる。
【0042】
ここでは、従来技術に関して述べた問題を少なくとも部分的に解決する排ガス後処理用のハニカム体と、排ガス後処理用のハニカム体を製造する方法とを提供する。特にこのハニカム体およびこの方法は、ハニカム体のできる限り一様なまたはより一様な貫流を可能にする。加えて、このハニカム体は、簡単かつ低コストに製造可能である。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8