(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6733057
(24)【登録日】2020年7月10日
(45)【発行日】2020年7月29日
(54)【発明の名称】商用車用のスクリュコンプレッサ
(51)【国際特許分類】
F04C 18/16 20060101AFI20200716BHJP
F04C 29/02 20060101ALI20200716BHJP
【FI】
F04C18/16 Z
F04C29/02 311Z
【請求項の数】14
【全頁数】12
(21)【出願番号】特願2019-536672(P2019-536672)
(86)(22)【出願日】2017年9月19日
(65)【公表番号】特表2019-529800(P2019-529800A)
(43)【公表日】2019年10月17日
(86)【国際出願番号】EP2017073550
(87)【国際公開番号】WO2018054865
(87)【国際公開日】20180329
【審査請求日】2019年5月10日
(31)【優先権主張番号】102016011393.6
(32)【優先日】2016年9月21日
(33)【優先権主張国】DE
(73)【特許権者】
【識別番号】597007363
【氏名又は名称】クノル−ブレムゼ ジステーメ フューア ヌッツファールツォイゲ ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツング
【氏名又は名称原語表記】Knorr−Bremse Systeme fuer Nutzfahrzeuge GmbH
(74)【代理人】
【識別番号】100114890
【弁理士】
【氏名又は名称】アインゼル・フェリックス=ラインハルト
(74)【代理人】
【識別番号】100098501
【弁理士】
【氏名又は名称】森田 拓
(74)【代理人】
【識別番号】100116403
【弁理士】
【氏名又は名称】前川 純一
(74)【代理人】
【識別番号】100135633
【弁理士】
【氏名又は名称】二宮 浩康
(74)【代理人】
【識別番号】100162880
【弁理士】
【氏名又は名称】上島 類
(72)【発明者】
【氏名】ジル エブラール
(72)【発明者】
【氏名】ジャン−バプティスト マールスコ
(72)【発明者】
【氏名】イェアク メラー
(72)【発明者】
【氏名】トーマス ヴァインホルト
【審査官】
田中 尋
(56)【参考文献】
【文献】
特開昭60−040794(JP,A)
【文献】
米国特許第04478054(US,A)
【文献】
特開2001−227467(JP,A)
【文献】
米国特許第06237362(US,B1)
【文献】
特開2004−176701(JP,A)
【文献】
特開2010−223145(JP,A)
【文献】
米国特許出願公開第2010/0247366(US,A1)
【文献】
米国特許第06364645(US,B1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F04C 18/16
F04C 29/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
商用車用のスクリュコンプレッサ(10)であって、少なくとも1つのケーシングカバー(20b)と少なくとも1つのロータケーシング(20a)とを含む少なくとも1つのケーシング(20)と、少なくとも1つのバッフルプレート(100)と、少なくとも1つのシール部材(104)とを有しており、組み付け状態で前記ケーシング(20)内にはオイルパンが設けられており、
前記組み付け状態において前記シール部材(104)は前記ケーシングカバー(20b)と前記ロータケーシング(20a)との間に配置されていて、前記オイルパンからは突出しており、前記シール部材(104)は、前記ケーシングカバー(20b)の内部を、前記ロータケーシング(20a)の内部から少なくとも部分的に互いに分離させており、前記バッフルプレート(100)は、前記スクリュコンプレッサ(10)が実質的に水平に向けられていて、前記オイルパンが実質的に水平に向けられている前記組み付け状態において、前記オイルパンの上方レベルに対して実質的に平行に向けられている、商用車用のスクリュコンプレッサ(10)。
【請求項2】
前記バッフルプレート(100)は、少なくとも1つの、特に複数のオイル貫流開口を有している、請求項1記載のスクリュコンプレッサ(10)。
【請求項3】
前記バッフルプレート(100)と前記シール部材(104)とは、前記スクリュコンプレッサ(10)の内部を、互いに接続された複数の区画室(K1,K2,K3,K4)に分割している、請求項1または請求項2記載のスクリュコンプレッサ(10)。
【請求項4】
前記シール部材(104)は前記ケーシング内部を非対称的に少なくとも1つの第1の領域(B1)と少なくとも1つの第2の領域(B2)とに分割しており、前記第1の領域(B1)は前記第2の領域(B2)よりも小さい、請求項1から3までのいずれか1項記載のスクリュコンプレッサ(10)。
【請求項5】
前記スクリュコンプレッサ(10)は、空気/オイル分離装置(42)と、空気/オイル分離装置流入部(102)とを有しており、前記空気/オイル分離装置流入部(102)は前記スクリュコンプレッサ(10)の前記ケーシング内部に開口しており、前記シール部材(104)の貫通開口は前記空気/オイル分離装置流入部(102)の近傍に配置されている、請求項1から4までのいずれか1項記載のスクリュコンプレッサ(10)。
【請求項6】
前記空気/オイル分離装置流入部(102)は前記ケーシングカバー(20b)に形成されている、請求項5記載のスクリュコンプレッサ(10)。
【請求項7】
前記空気/オイル分離装置流入部(102)は前記ケーシング内部の前記第1の領域内に開口している、請求項4および5または6記載のスクリュコンプレッサ(10)。
【請求項8】
前記スクリュコンプレッサ(10)が実質的に水平に向けられており、前記オイルパンが実質的に水平に向けられている組み付け状態において前記シール部材(104)は実質的に垂直に配置されている、請求項1から7までのいずれか1項記載のスクリュコンプレッサ(10)。
【請求項9】
前記貫通開口は実質的に丸形に、特に円形に形成されている、請求項1から8までのいずれか1項記載のスクリュコンプレッサ(10)。
【請求項10】
前記シール部材(104)は、組み付け状態で前記ケーシング内部に位置する領域を含む少なくとも所定の領域で、多孔板として形成されている、請求項1から9までのいずれか1項記載のスクリュコンプレッサ(10)。
【請求項11】
前記シール部材(104)は、バッフルプレート貫通開口を有している、請求項1から10までのいずれか1項記載のスクリュコンプレッサ(10)。
【請求項12】
前記シール部材(104)と前記バッフルプレート(100)とは互いに差し込まれている、請求項1から11までのいずれか1項記載のスクリュコンプレッサ(10)。
【請求項13】
前記シール部材(104)と前記バッフルプレート(100)とは互いに交差して配置されている、請求項1から12までのいずれか1項記載のスクリュコンプレッサ(10)。
【請求項14】
前記シール部材(104)と前記バッフルプレート(100)とは実質的に互いに垂直に配置されている、請求項1から13までのいずれか1項記載のスクリュコンプレッサ(10)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、商用車用のスクリュコンプレッサであって、少なくとも1つのケーシングカバーと少なくとも1つのロータケーシングとを含む少なくとも1つのケーシングと、少なくとも1つのバッフルプレートと、少なくとも1つのシール部材とを有しており、組み付け状態でケーシング内にはオイルパンが設けられている、商用車用のスクリュコンプレッサに関する。
【0002】
従来技術により既に、商用車用のスクリュコンプレッサが公知である。このような形式のスクリュコンプレッサは、例えば商用車のブレーキシステムのために必要な圧縮空気を準備するために使用される。
【0003】
この関連で特に、オイルが充填されたコンプレッサ、特にスクリュコンプレッサも公知であり、このようなコンプレッサでは、オイル温度の制御が課題である。オイル温度の制御は通常、オイルが充填されたコンプレッサおよびオイル循環路に温度調整弁を介して接続されている外部のオイルクーラを設けることにより実施される。この場合、オイルクーラは、互いに分離された2つの循環路を有する熱交換器であって、高温の流体、すなわちコンプレッサオイル用の第1の循環路と、冷却流体用の第2の循環路とが設けられている。冷却流体としては例えば、空気、凍結防止剤を含む混合水、またはその他のオイルを使用することができる。
【0004】
そしてこのオイルクーラは、管路またはホースを介してコンプレッサオイル循環路に接続されなければならず、オイル循環路は漏れに対して防護されていなければならない。
【0005】
さらに、この外部の容積には、オイルを充填しなければならないので、オイルの総量も増大される。これによりシステム慣性は増大される。さらに、オイルクーラは、周囲に存在している保持体、または別個の保持体によって、機械的に収納されて取り付けられなければならず、このことは付加的な取付け手段、ひいては構成スペースも必要とする。
【0006】
米国特許第4780061号明細書(US 4,780,061)により既に、組み込まれたオイル冷却部を備えたスクリュコンプレッサが公知である。
【0007】
本発明の課題は、冒頭で述べた形式の商用車用のスクリュコンプレッサを改良して、特に、圧縮空気からのオイルの除去を改善し、簡単にできるようにすることである。
【0008】
この課題は、本発明によれば、請求項1の特徴を備えた商用車用のスクリュコンプレッサにより解決される。これによると、商用車用のスクリュコンプレッサであって、少なくとも1つのケーシングカバーと少なくとも1つのロータケーシングとを含む少なくとも1つのケーシングと、少なくとも1つのバッフルプレートと、少なくとも1つのシール部材とを有しており、組み付け状態でケーシング内にはオイルパンが設けられており、組み付け状態においてシール部材はケーシングカバーとロータケーシングとの間に配置されていて、オイルパンからは突出しており、シール部材は、ケーシングカバーの内部を、ロータケーシングの内部から少なくとも部分的に互いに分離させており、バッフルプレートは、スクリュコンプレッサが実質的に水平に向けられていて、オイルパンが実質的に水平に向けられている組み付け状態において、オイルパンの上方レベルに対して実質的に平行に向けられている、商用車用のスクリュコンプレッサが設けられている。
【0009】
ケーシングは2つの部分から、または複数の部分から形成されていてよい。複数の部分から成る構成は特に、ケーシングがケーシングカバーとロータケーシングとから接合されて成ることにより製作される。
【0010】
本発明の根底を成す思想は、シール部材およびバッフルプレートのような、オイルを部分的に貫流させる相応のエレメントを配置することにより、スクリュコンプレッサ内側でのオイルの動きを制限することにある。これにより、走行作動中であっても、オイルパンのオイルはバッフルプレートの「下方で」動くことができ、水平方向のバッフル運動も、オイルパンから突出しているシール部材によって阻止することができる。これにより、例えば空気/オイル分離装置またはそれに類似のもののような、圧縮空気からオイルを除去するための相応のエレメント内へのオイルの進入を減じることができる。
【0011】
バッフルプレートは、少なくとも1つの、特に複数のオイル貫流開口を有していてよい。このような形式のオイル貫流開口は、例えば、細長い、丸みづけされたスリットとして形成されてよい。これにより、オイルは、例えばオイル蒸気状に、またはオイルエアロゾル状にオイルパンから上昇することができ、スクリュコンプレッサの内部に広がることができる。
【0012】
さらに、バッフルプレートとシール部材とは、スクリュコンプレッサの内部を、互いに接続された複数の区画室に分割していてよい。これにより、オイルを、スクリュコンプレッサ内部の相応の区画室内で保持することができ、もしくは所定の区画室内にオイル蒸気を実質的に設け、所定の区画室内にオイルパンもしくは液体オイルを保持することができる。
【0013】
さらに、シール部材はケーシング内部を非対称的に少なくとも1つの第1の領域と少なくとも1つの第2の領域とに分割しており、第1の領域は第2の領域よりも小さくてよい。これにより例えば、小さなオイル液滴およびオイルエアロゾルもしくはオイル蒸気がより供給されるべき所定の領域に良好に到達することができ、第2の領域よりも小さく形成された第1の領域にはより少ない小さなオイル液滴およびオイルエアロゾルもしくはオイル蒸気が供給される。
【0014】
スクリュコンプレッサは、空気/オイル分離装置と、空気/オイル分離装置流入部とを有しており、空気/オイル分離装置流入部はスクリュコンプレッサのケーシング内部に開口しており、シール部材の貫通開口は空気/オイル分離装置流入部の近傍に配置されていてよい。これにより、空気/オイル分離装置は比較的小型に形成することができる。特に、空気/オイル分離装置内へのオイルの進入は、シール部材の形成および配置により制限することができる。空気/オイル分離装置流入部の近傍にシール部材の貫通開口が配置されていることにより既に、空気/オイル分離装置流入部への、ひいては空気/オイル分離装置へのオイルの進入が減じられる。
【0015】
さらに、空気/オイル分離装置流入部はケーシングカバーに形成されていてよい。これにより、空気/オイル分離装置流入部の製造は容易になる。さらにこれにより、空気/オイル分離装置流入部、および組み付け状態でケーシングカバーとケーシングボディの間に存在しているシール部材の配置を比較的簡単に調節することができる。特に、空気/オイル分離装置流入部は、ケーシング内部の第1の領域に開口していてよい。したがって、オイル分離装置流入部は、ケーシング内部の、第2の領域よりも小さく形成されている領域で開口しており、第1および第2の領域はシール部材によって互いに分離される。さらに、スクリュコンプレッサが実質的に水平に向けられており、オイルパンが実質的に水平に向けられている組み付け状態においてシール部材は実質的に垂直に配置されていてよい。これにより、シール部材で捕捉されるオイルのオイルパンへの戻し案内を容易にすることができる。重力により、このオイルは簡単に再びオイルパンへと流れて戻される。
【0016】
貫通開口は実質的に丸形に、特に円形に形成されていてよい。貫通開口のこのような形状により、シール部材の簡単な製作および製造が可能になる。しかしながらこの関連では、貫通開口のその他の各形状も可能である。これにより、例えば、小さなオイル液滴、オイル蒸気、またはオイルエアロゾルによるオイルの移動の制限が改善されるという別の利点が生じる。
【0017】
さらに、シール部材は、組み付け状態でケーシング内部に位置する領域を含む少なくとも所定の領域で、多孔板として形成されていてよい。これにより、シール部材の簡単な製作および製造が可能になる。シール部材の安定性もこれにより影響され、良好に形成することができる。シール部材が有孔板として形成されている領域に孔を均一に配置することにより、シール部材を全体として脆弱にすることなく、貫通開口の良好な面積を提供することができる。
【0018】
シール部材はさらに、バッフルプレート貫通開口を有していてよい。バッフルプレート貫通開口は、組み付け状態でほぼオイルパンの表面のレベルの高さに位置するように形成されていることが考えられる。バッフルプレートとシール部材とは実質的に互いに垂直に配置されていてよい。バッフルプレート貫通開口の形成により、全体として簡単なシール部材とバッフルプレートとの構成および組み付けが可能となる。
【0019】
バッフルプレートを設けることにより、オイルパンのオイルの主な部分は、スクリュコンプレッサの作動中でも、特に商用車の走行作動時でも、スクリュコンプレッサの比較的低く位置する領域内に保持され、オイルがあちらこちらにはねるのを補償する必要はない。
【0020】
シール部材は、シール部材とケーシングカバーとロータケーシングとを互いにねじ固定するねじピンを貫通させるために設けられているねじピン貫通孔を有していてよい。これにより、ケーシングカバーとロータケーシングとの間におけるシール部材の簡単、安全かつ確実な組み付けが可能である。
【0021】
さらに、シール部材とバッフルプレートとは互いに差し込まれていてよい。これにより、スクリュコンプレッサならびにシール部材とバッフルプレートとの組み付けおよび製造が簡単になる。
【0022】
シール部材とバッフルプレートとは互いに交差して配置されていてよい。これにより、区画室、およびスクリュコンプレッサの内部における相応の領域の簡単かつ明確な画定が可能となる。
【0023】
さらに、シール部材とバッフルプレートとは実質的に互いに垂直に配置されていてよい。このような配置により、スクリュコンプレッサの空間内部の好適な分割が達成される。さらに、このような配置は、水平方向のバッフル運動を確実に阻止し、このためにできるだけ大きな障害作用物を形成すると同時に、オイルパンの方向へのシール部材に沿った流出を可能にするために、シール部材を、垂直な「バッフルプレート」としてのバッフルプレートと組み合わせて利用するのに有利である。
【0024】
本発明のさらなる詳細および利点は、図示した実施例につき詳しく説明される。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【
図1】本発明によるスクリュコンプレッサの概略的な断面図である。
【
図2】スクリュコンプレッサのケーシング内部を示す、スクリュコンプレッサの斜視断面図である。
【0026】
図1には、本発明の実施例によるスクリュコンプレッサ10が概略的な断面図で示されている。
【0027】
スクリュコンプレッサ10は、このスクリュコンプレッサ10を、ここには図示されていない電気モータに機械的に取り付けるための取付けフランジ12を有している。
【0028】
しかしながら入力軸14は示されており、この入力軸を介して、電気モータからトルクが両スクリュ16および18のうちの一方に、すなわちスクリュ16に伝達される。
【0029】
スクリュ18はスクリュ16に噛み合っていて、スクリュ16によって駆動される。
【0030】
スクリュコンプレッサ10はケーシング20を有していて、このケーシング内に、スクリュコンプレッサ10の主要な構成要素が収容されている。
【0031】
ケーシング20にはオイル22が充填されている。
【0032】
スクリュコンプレッサ10のケーシング20の空気入口側には入口管片24が設けられている。この場合、入口管片24は、この入口管片にエアフィルタ26が配置されているように形成されている。さらに、空気入口管片24には半径方向で空気入口28が設けられている。
【0033】
入口管片24と、ケーシング20に入口管片24が取り付けられている個所との間の領域には、ばね荷重が加えられたバルブインサート30が設けられており、この場合、軸方向シールとして構成されている。
【0034】
このようなバルブインサート30は逆止弁として機能する。
【0035】
バルブインサート30の下流には、空気を両スクリュ16,18に供給する空気供給通路32が設けられている。
【0036】
両スクリュ16,18の出口側には、上昇管路36を備えた空気出口管34が設けられている。
【0037】
上昇管路36の端部の領域には温度センサ38が設けられており、この温度センサによってオイル温度を監視することができる。
【0038】
さらに、空気出口領域には、空気/オイル分離装置42のためのホルダ40が設けられている。
【0039】
空気/オイル分離装置のためのホルダ40は、(
図1に示したような)組み付け状態で底面側の領域に、空気/オイル分離装置42を有している。
【0040】
さらに、空気/オイル分離装置42の内部には、相応のフィルタスクリーンもしくは公知の濾過およびオイル分離装置44が設けられているが、これについてはより詳しくは特記しない。
【0041】
空気/オイル分離装置のためのホルダ40は、組み付け状態および作動準備完了状態(すなわち
図1に示したような状態)に関して中央上方領域に、空気出口開口46を有しており、この空気出口開口は逆止弁48および最低圧力弁50に通じている。逆止弁48および最低圧力弁50は、組み合わせられた1つの共通の弁として形成されてもよい。
【0042】
逆止弁48に続いて、空気出口51が設けられている。
【0043】
空気出口51は、通常、相応に公知の圧縮空気消費器に接続されている。
【0044】
空気/オイル分離装置42内に存在する分離されたオイル22を再びケーシング20内に戻し案内するために、上昇管路52が設けられていて、この上昇管路は、空気/オイル分離装置42のためのホルダ40から出発して、ケーシング20内へ移行するところに、濾過および逆止弁54を有している。
【0045】
濾過および逆止弁54の下流では、ケーシング孔内にノズル56が設けられている。オイル戻し案内管路58は、スクリュ16またはスクリュ18のほぼ真ん中の領域に戻されて、このスクリュに再びオイル22を供給する。
【0046】
組み付け状態にあるケーシング20の底面領域には、オイル排出ねじ59が設けられている。オイル排出ねじ59を介して、相応のオイル排出開口が開かれ、この開口を介してオイル22を排出することができる。
【0047】
ケーシング20の下方領域には、オイルフィルタ62が取り付けられる付設部60も設けられている。ケーシング20内に配置されているオイルフィルタ入口通路64を介して、オイル22はまずは温度調整弁66に案内される。
【0048】
温度調整弁66の代わりに、ケーシング20内にあるオイル22のオイル温度を監視することができ、かつ目標値へと調整することができる開ループ制御装置および/または閉ループ制御装置が設けられてよい。
【0049】
次いで温度調整弁66の下流には、オイルフィルタ62のオイル入口があり、このオイルフィルタは、中央の戻し案内管路68を介してオイル22を再び、スクリュ18へと、またはスクリュ16へと戻し案内するが、軸14のオイル潤滑される軸受70にも戻し案内する。軸受70の領域にはノズル72も設けられていて、このノズルはケーシング20内で戻し案内管路68に連通して設けられている。
【0050】
クーラ74は付設部60に接続されている。
【0051】
ケーシング20の(組み付け状態に関して)上方領域には、ケーシング20内の高すぎる圧力を減圧することができる安全弁76が位置している。
【0052】
最低圧力弁50の手前に、放圧弁80に通じるバイパス管路78が位置している。空気供給通路32との接続によって制御されるこの放圧弁80を介して、空気入口28の領域に空気を戻し案内することができる。この領域には、示されていない空気抜き弁およびノズル(供給管路の縮径部)が設けられていてよい。
【0053】
さらに、ケーシング20の外壁にほぼ管路34の高さにオイルレベルセンサ82を設けることができる。このオイルレベルセンサ82は例えば、光学センサであってよく、センサ信号により、作動中に油面がオイルレベルセンサ82の上方にあるかどうか、またはオイルレベルセンサ82が露出していて、これにより油面が相応に低下しているかどうかを検知することができるように構成され、調整されている。
【0054】
このような監視との関連で、相応のエラー報知または警告をシステムの使用者に発する、もしくは伝えるアラームユニットを設けることもできる。
【0055】
図1に示されたスクリュコンプレッサ10の機能は以下の通りである:
空気は、空気入口28を介して供給され、逆止弁30を介してスクリュ16,18に到り、ここで空気は圧縮される。5〜16倍に圧縮された空気オイル混合物は、スクリュ16,18を出た後、出口管34を通って上昇管路36を介して上昇し、温度センサ38へと直接吹き付けられる。
【0056】
まだ部分的にオイル粒子を含む空気は、次いで、ホルダ40を介して空気/オイル分離装置42へと案内され、相応の最低圧力に達すると空気出口管路51へと到る。
【0057】
ケーシング20内に存在するオイル22は、オイルフィルタ62を介して、かつ場合によっては熱交換器74を介して作動温度に保持される。
【0058】
冷却が不要な場合は、熱交換器74は使用されず、オンにもされていない。
【0059】
相応のスイッチオンは、温度調整弁66を介して行われる。オイルフィルタ62における浄化後、オイルは管路68を介してスクリュ18にまたはスクリュ16に供給されるが、軸受70にも供給される。スクリュ16またはスクリュ18には、戻し案内管路52,58を介してオイル22が供給され、この場合、オイル22の浄化は、空気/オイル分離装置42内で行われる。
【0060】
図示されていない電気モータのトルクは、軸14を介してスクリュ16に伝達され、このスクリュ16はスクリュ18に噛み合っており、この電気モータを介してスクリュコンプレッサ10のスクリュ16,18は駆動される。
【0061】
詳しくは図示されていない放圧弁80に基づいて、作動状態で例えばスクリュ16,18の出口側に形成される高圧が、供給管路32の領域で閉じ込められることがなく、特にコンプレッサの始動時に供給管路32の領域には常に低い入口圧が、特に大気圧が存在していることが保証される。さもないと、コンプレッサの始動により最初に、駆動モータに過剰に負荷をかける極めて高い圧力がスクリュ16,18の出口側に発生してしまう恐れがある。
【0062】
図2には、
図1のスクリュコンプレッサ10の概略的な斜視図で、スクリュコンプレッサ10のケーシング20の内部の断面が示されている。
【0063】
ケーシング20の内部にはバッフルプレート100が配置されていて、このバッフルプレートは実質的に、オイル22のオイルパンの上方レベルの高さに位置している。この場合、組み付け状態と、オイルパンの上方レベルの水平の配置とを前提としている。
【0064】
ケーシング20は、ケーシングカバー20bとロータケーシング20aとを有している。
【0065】
ケーシングカバー20bには、空気/オイル分離装置42に接続されている空気/オイル分離装置流入部102が位置している。
【0066】
ケーシングカバー20bとロータケーシング20aとの間にはシール部材104が設けられていて、このシール部材は組み付け状態で、ケーシングカバー20bの縁部とロータケーシング20aとの間で環状に保持されており、これらの間に密に挟まれてねじ固定されている。
【0067】
このために、シール部材104は、ねじピンによる相応のねじ固定部を貫通させることができるねじピン貫通孔106を有しており、これによりシール部材104、ケーシングカバー20b、およびロータケーシング20aは互いにねじ固定することができ、もしくは組み付け状態で互いにねじ固定されている。
【0068】
スクリュコンプレッサ10の組み付け状態に関して、シール部材104はケーシングカバー20bとロータケーシング20aとの間に配置されていて、オイル22のオイルパンからは突出している。
【0069】
シール部材104はシールプレートとして形成されていて、複数の貫通開口108を有している。
【0070】
貫通開口108は円形に形成されていて、多孔板の形式で規則的に互いにずらされて、オイルパンの上側に位置するシール部材104の領域に配置されている。
【0071】
シール部材104は、ケーシング内部を非対称的に少なくとも1つの第1の領域B1と第2の領域B2とに分割しており、第1の領域B1は実質的にケーシングカバー20bの内側の領域に該当し、第2の領域B2は実質的に残りのケーシング20の、すなわちロータケーシング20aの内部に該当する。第1の領域B1はこの場合、第2の領域B2よりも小さい。
【0072】
空気/オイル分離装置流入部102は第1の領域B1に開口しており、シール部材104の貫通開口108の近傍に位置している。
【0073】
図2により明らかであるように、シール部材104は、スクリュコンプレッサ10が実質的に水平に向けられており、オイル22のオイルパンが実質的に水平に向けられている組み付け状態において垂直に配置されている。
【0074】
さらに、シール部材104は、オイル22のオイルパンの上方レベルの高さで、バッフルプレート100用の貫通開口110を有している。
【0075】
図2に示した実施例では、バッフルプレート100は、細長いスリットとして形成されている複数のオイル貫流開口を有している。
【0076】
バッフルプレート100とシール部材104とは、スクリュコンプレッサ10の内部を、互いに接続された複数の区画室K1,K2,K3,およびK4に分割している。
【0077】
この場合、区画室K2およびK3は、オイル22のオイルパンが内部に位置している区画室K2およびK3である。区画室K1は領域B1に位置していて、区画室K4は領域B2に位置している。
【0078】
シール部材104とバッフルプレート100とは互いに差し込まれていて、互いに交差して配置されている。この場合、シール部材104とバッフルプレート100とは実質的に、互いに垂直に配置されている。
【0079】
シール部材104とその貫通開口108の機能は、以下のように説明される:
作動中、スクリュ16および18は、オイルパンからのオイル22の加圧供給によって潤滑され、したがってオイルパンの上方レベルの上側にはオイル蒸気、小さなオイル液滴、またはオイルエアロゾルが存在している。商用車の走行移動により必然的にさらなるオイルの移動が生じるので、バッフルプレート100およびシール部材104によって、オイル22の移動およびオイル22の移動可能性が制限されている。しかしながら同時に、バッフルプレート100およびシール部材104に設けられた貫通開口108を通って、小さな液滴、オイル蒸気、またはオイルエアロゾルの形態の十分なオイル22が、スクリュコンプレッサ10の領域全体に到ることができる。
【0080】
空気/オイル分離装置42内へのオイルの進入を減じるために、空気/オイル分離装置流入部102内へのオイルの進入が減じられる。このことは、シール部材104の多孔板状の構造に基づいてオイル22はわずかな量しか空気/オイル分離装置流入部102へと到ることができないことから、シール部材104の貫通開口108によって行われる。これにより、空気/オイル分離装置42内へのオイルの進入は減じられる。
【0081】
このことは、シール部材104の構成により既に著しいオイル量を留めることができ、このオイル量は貫通開口108の縁部で捕捉され、次いでそこでシール部材104の壁に沿って再び、オイル22のオイルパンへと戻るように流れるので、空気/オイル分離装置42を比較的少ないオイル量に合わせて設計することができるという効果を有している。
【0082】
シール部材104とバッフルプレート100との配置はさらに、水平方向のバッフル運動も阻止することができる、もしくは減じることができる、という機能を有している。
【0083】
バッフルプレート100とシール部材104とはしたがって、水平方向の、特に空気/オイル分離装置流入部102の方向のバッフル運動を阻止する封鎖体として機能し、これにより空気/オイル分離装置42内へのオイルの進入を制限する。
【符号の説明】
【0084】
10 スクリュコンプレッサ
12 取付けフランジ
14 入力軸
16 スクリュロータ
18 スクリュロータ
20 ケーシング
20a ケーシングボディ/ロータケーシング
20b ケーシングカバー
22 オイル
24 入口管片
26 エアフィルタ
28 空気入口
30 バルブインサート
32 空気供給通路
34 空気出口管
36 上昇管路
38 温度センサ
40 空気/オイル分離装置のためのホルダ
42 空気/オイル分離装置
44 フィルタスクリーンもしくは公知の濾過もしくはオイル分離装置
46 空気出口開口
48 逆止弁
50 最低圧力弁
51 空気出口
52 上昇管路
54 濾過および逆止弁
56 ノズル
58 オイル戻し案内管路
59 オイル排出ねじ
60 付設部
62 オイルフィルタ
64 オイルフィルタ入口通路
66 温度調整弁
68 戻し案内管路
70 軸受
72 ノズル
74 クーラ、熱交換器
76 安全弁
78 バイパス管路
80 放圧弁
82 オイルレベルセンサ
100 バッフルプレート
102 空気/オイル分離装置流入部
104 シール部材
106 ねじピン貫通孔
108 貫通開口
110 貫通開口
B1 第1の領域
B2 第2の領域
K1 区画室
K2 区画室
K3 区画室
K4 区画室